JPH0135775Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、スローアウエイ式ラフイングエンド
ミルに係り、特に直角肩削り、溝削りが有効に行
なわれるようにしたものである。

（従来の技術） 従来、この種のエンドミルとしては、例えば、
特公昭54−2709号公報、特開昭56−89420号公報、
実開昭57−43915号公報等にみられるものが開示
されている。

特公昭54−2709号公報にみられるものは、円形
板、正方形板等のチツプを取付けるにあたつて、
チツプポケツトを独立して設けたものであり、こ
れによつてホルダーの剛性を高めるようにしたも
のである。

また、特開昭56−89420号公報にみられるもの
は、工具本体のフルート溝内で、切刃チツプが外
周切刃稜側の逃げ面と反対側に位置する締付け部
材によつて取付けられるものである。そして、こ
の切刃チツプは、三角形板の頂角部分を底辺と平
行に切截した四辺形をなし、その切截部分を外周
切刃稜としているものである。

さらに、実開昭57−43915号公報にみられるも
のは、ねじれ溝に沿つて円形板状のチツプがねじ
止めされるもので、特に円形面が逃げ面、円周面
がすくい面を構成するものである。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、前述した特公昭54−2709号公報
にみられる円形板チツプでは、波形の凹凸が形成
されるため、直角肩削りでは、最終的にこの部分
の除去を必要とし、また、正方形板のチツプで
は、凹凸が形成されない反面有効切刃稜が長くな
つて衝撃が高まり切刃損傷の点で不利となるもの
であつた。

また、特開昭56−89420号公報にみられるエン
ドミルでは、切刃チツプの有効切刃稜が１つであ
つり、工具の経済性からすれば非常に不利なもの
となつている。

さらに、特開昭56−89420号公報にみられるエ
ンドミルでは、円形板チツプの取付け剛性は高い
が、その反面前述したように波形の凹凸が形成さ
れるため、直角肩削りで制限を受けるものであつ
た。

このようなことから、直角肩面が得られるよう
にするため、直線状の外周切刃稜を有するスロー
アウエイ式エンドミルを前提にして、有効切刃
数、有効切刃長さ、スローアウエイチツプの配列
などを改善したラフイングエンドミルの開発が要
望されている。

（課題を解決するための手段） 本考案は、上述の点に鑑みなされたもので、円
柱状をなす工具本体の外周部分には、分担切削に
関与する先端切刃チツプおよびこれに続く外周切
刃チツプがチツプ座内で取付けられるようにした
スローアウエイ式ラフイングエンドミルにおい
て、先端切刃チツプおよび外周切刃チツプの配列
については、螺旋配列を採用するとともに、外周
切刃チツプについては、正八角形板、先端切刃チ
ツプについては正方形板を採用して有効切刃数、
有効切刃長さを確保しようとするものである。

（作用） 本考案のスローアウエイ式ラフイングエンドミ
ルは、外周切刃チツプが八角形板をなしているた
め有効切刃数が多くなつているものである。

また、先端切刃チツプについては、正方形板か
らなるものを適用して切削負担に耐えられるよう
にしている。

さらに、これらの先端切刃チツプおよび外周切
刃チツプの配列については、１つの螺旋に基く奇
数分割が採用され、これにより切削衝撃が緩和さ
れるようになつている。そして、この配列では、
２巡目で基準位置に戻れるようになつているもの
である。

（実施例） 以下、本考案スローアウエイ式ラフイングエン
ドミルの一実施例について、図を参照しながら説
明する。

第１図および第２図において、１は、その一端
にテーパー状をなすシヤンク部分２を有する工具
本体であり、その他端側には、先端切刃チツプ３
およびこれに続く外周切刃チツプ４がそれぞれ取
付けられるようになつている。

前記先端切刃チツプ３は、正方形板状をなすも
ので工具本体１のチツプ座５内では、その中央取
付け穴６および止めねじ７の利用により固定され
る。

また、前記外周切刃チツプ４は、切削上のすく
い面側で正八角形板状を呈するもので、その一の
辺部分が回転軌跡上では、工具本体１の軸方向線
と平行になるもので、中央取付け穴６および止め
ねじ７の利用により固定されるものである。この
結果、外周切刃稜８は、同じ内接円を有する正方
形板、三角形板からなるスローアウエイチツプに
対し、有効切刃長さが小さくなる反面有効切刃個
数が増加するものである。そして、有効切刃長さ
が小さくなることは、刃数を増やさなければなら
ないが、外周切刃チツプ４にとつては、むしろ刃
先強度上から好ましいことである。これは、切削
抵抗の負担が少なくなるためである。

そして、これらの先端切刃チツプ３および外周
切刃チツプ４は、第３図でみられるような回転切
削軌跡を画くものである。したがつて外周切刃チ
ツプ４は、工具本体１の軸方向に対して、その外
周切刃稜８の有効切刃稜長さよりも幾分小さいピ
ツチＰでオーバラツプしながら直線状の軌跡を画
き、平滑な仕上げ面が得られることになる。

また、前記先端切刃チツプ３は、第４図に拡大
して示されるように工具本体１の軸方向に対する
直交方向では、その正面切刃稜３ａに切刃角θが
与えられるものである。そして、この切刃角θの
付近に伴つて外周切刃稜３ｂには、軸方向方向側
に傾斜角θが付与されるとともに、第４図で示さ
れるように回転軌跡上では、垂直線状を呈する外
周切刃チツプ４の外周切刃稜８に対し内方に凹ん
だ位置にあるようになつている。そして、この凹
み量は切削送りを基にして設定される。

なお、第１図〜第３図で示された実施例では、
１個の先端切刃チツプ３および22個の外周切刃チ
ツプ４によつて、23枚刃を構成するものが示さ
れ、その端面方向からの配列は、第２図で示され
ている。

すなわち、前記先端切刃チツプ３および外周切
刃チツプ４は、工具本体１の軸方向最先端にある
先端切刃チツプ３を基準にして例えば９枚刃の奇
数分割で周方向に螺旋配列されるものである。そ
して、Ａ〜Ｉの配列による９枚刃の奇数分割構成
では、その分割角度が90゜よりも小さい鋭角（90゜
−α゜）で、２巡目に基準位置置にもどるように設
定されている。したがつて、９枚刃分割の実施例
では、α゜＝10゜に設定されるものである。また、
５枚刃、７枚刃分割のものは、分割角度が90゜よ
りも大きい鈍角（90゜＋α゜）で、２巡目に基準位
置に戻るように設定される。

なお、９枚刃以上で90゜よりも小さい鋭角にし
たのは、前述したように外周切刃チツプ４の有効
切刃長さが正方形板のものより小さくなつている
ことから、刃数を増加させ、結果的に切削時の衝
撃を小さくすることを配慮したものである。

また、奇数刃配列で２巡目戻りとしたのは、外
周切刃チツプ４の軸方向ピツチＰを配慮したもの
である。すなわち、偶数刃配列では、１巡目で基
準位置に戻つてしまい、工具径および刃数によつ
て切刃干渉を起こすおそれがあるからである。ま
た、これを避けて２つの螺旋としたときには、１
つ目の終りと、２つ目の始まりで周方向の等ピツ
チが得られないことによる。

このように先端切刃チツプ３および外周切刃チ
ツプ４を１つの螺旋配列にしたことにより、本考
案では、いわゆる捩れ刃の効果が得られるもので
ある。

また、外周切刃チツプ４を受入れるチツプ座９
は、四辺形状に凹設され、また、切屑の排出性か
らポケツト１０が大きく形成されている。

なお、本考案のエンドミルでは、工具本体１に
形成されるシヤンク部分２は、テーパー状をな
し、工具本体１とシヤンク部分２の中間接続部分
には、フランジ１１が形成されている。しかし、
このシヤンク部分２は、通常みられるストレート
状のものにも適用できるものである。

次に本考案スローアウエイ式ラフイングエンド
ミルによる切削条件について説明する。

すなわち、被削材は、Ni−Cr−Mo鋼とし、こ
れを第１図〜第３図でみられる23枚刃形式のエン
ドミルで肩削りをした。この場合、工具仕様は、
最外周の刃先外径をD₁＝φ60mm、先端切刃チツプ
３については最大外径をD₂＝φ59.6mm、正面切刃
稜３ａの切刃角をθ＝2゜とし、外周切刃チツプ４
については、ピツチをＰ＝4.4mm、最大切刃長さ
をＬ＝104mmに設定した。なお、先端切刃チツプ
３については、12.7mm□（対辺長さ）×6.35mm
（厚さ）とし、また外周切刃チツプ４については、
12.7mm（対辺長さ）×6.35mm（厚さ）のものを選
択した。

また、切削条件は、切削速度Ｖ＝75ｍ／min、
テーブル送りＦ＝120mm／min、回転当り送りｆ
＝0.3mm／rev、切込み深さAd＝80mm、Rd＝20mm
としたものである。

この結果、軸方向の切込み深さAdが大きいに
もかゝわらず、びびり振動もなく安定した切削が
行なえた。これに対し、従来形式のものでは、軸
方向の切込み深さAdが、刃先直径に等しい程度
が限度であつた。

（考案の効果） 本考案は、以上説明したように外周切刃チツプ
４については、正八角形板状のものを適用して有
効切刃枚を確保するとともに、有効切刃長さが小
さくなつたことに対しては、奇数分割で、２巡目
に基準位置に戻るような１つの螺旋配列を採用し
たことから有効な肩削りおよび溝削りが行なえる
という利点を有する。

また、先端切刃チツプ３については、正方形板
状のものを適用して、外周切刃チツプ４に対する
位置関係を特定したことから被削材に対する喰付
きが有効となり、切削性能を向上させるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案スローアウエイ式ラフイング
エンドミルの一実施例を示す正面図、第２図は、
その底面図、第３図は、切刃の回転切削軌跡を概
念的に示す説明図、第４図は、第３図の要部を拡
大して示す説明図である。 １……工具本体、３……先端切刃チツプ、３ａ
……正面切刃稜、３ｂ……外周切刃稜、４……外
周切刃チツプ、５，９……チツプ座、６……中央
取付け穴、８……外周切刃稜。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 円柱状をなす工具本体１の外周部分には、多角
   形板状からなる外周切刃チツプ４および先端切刃
   チツプ３が分担切削できるように軸方向および周
   方向にそれぞれ偏位したチツプ座５，９内で取付
   けられるようにしたスローアウエイ式ラフイング
   エンドミルにおいて、 前記外周切刃チツプ４は、切削上のすくい面側
   で正八角形を呈するように正八角形板からなり、
   その一の辺部分が工具本体１の軸方向で外周切刃
   稜８を形成するとともに、回転軌跡上では、外周
   切刃稜８の有効切刃長さより幾分小さいピツチＰ
   でオーバーラツプしながら工具本体１の軸方向線
   と平行する垂直線状の軌跡を画くようになつてお
   り、 また、前記先端切刃チツプ３は、工具本体１の
   最先端にあつて、切削上のすくい面側で正方形を
   呈するように正方形板からなつているとともに、
   軸方向に対する直交方向側の正面切刃稜３ａに
   は、切刃角θが与えられ、しかも、切刃角θの付
   与に伴つて軸方向側に傾斜角θを付与された外周
   切刃稜３ｂが回転軌跡上では、垂直線状を呈する
   外周切刃チツプ４の外周切刃稜８に対し、内方に
   凹んだ位置にあるようになつており、 さらに、前記外周切刃チツプ４および先端チツ
   プ３は、工具本体１の軸方向最先端に位置する前
   記先端切刃稜３を基準位置としたときに、この先
   端切刃チツプ３から工具本体１の軸方向後方に向
   つて１つの螺旋配列を構成するように外周切刃チ
   ツプ４が順次配列され、しかもこの螺旋配列が２
   巡目で前記基準位置に戻るような奇数分割で設定
   されていることを特徴とするスローアウエイ式ラ
   フイングエンドミル。