JPH0133048Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内視鏡、鉗子等の如き生体内挿入器具
における密着コイルと内挿パイプとの結合部の改
良に関するものである。

内視鏡や鉗子等の如く生体腔内に挿入されて、
必要とされる操作を施すことのできることが要求
される生体内挿入器具にあつては、挿入される生
体腔内の形状に応じて自由に彎曲し得る柔軟性を
有すると共に、挿入に際しての挿入力を器具の先
端部にまで充分に伝達し得る剛性を備えているこ
とが要求されている。このため、器具の手許部か
ら先端部にゆくに従つて順次柔軟性の良好な複数
の密着コイルが結合されたものが一般的に使用さ
れており、この結合箇所には金属パイプ等が内挿
され、この金属パイプと密着コイルとはハンダ等
によつて固着されている。また、内視鏡における
彎曲操作ワイヤー保護管のような場合には、手許
部としてパイプを使用し、先端部として密着コイ
ルを使用するが、この場合にも、密着コイルの端
部に手許部としてのパイプの一端を内挿して、こ
れら両者をハンダ等によつて固着している。

しかしながら、これら従来の密着コイルとパイ
プとを固着する場合には、パイプを囲繞する密着
コイルをハンダ付けしようとしても、密着コイル
は文字通り密着しているから、外部からハンダ付
けができず、あらかじめ、ハンダをパイプの外周
あるいは密着コイルの内周に塗布しておいて、パ
イプを密着コイルに内挿してから加熱固着するな
どの繁雑な操作を必要として不便であるのみなら
ず、密着コイルにおけるるハンダの接触面積が小
さいものとならざるを得ないから、密着コイルと
ハンダとの剥離が生じ易い欠陥があつた。

本考案は、かかる現状に鑑み、密着コイルと、
これに少なくとも一端が内装され相互に固着剤に
よつて固定されたパイプとを備えた内視鏡および
鉗子等の生体内挿入器具において、上記密着コイ
ルにおける上記パイプとの固着部位に対応する一
部の密着コイル形成用線輪相互間には、上記固着
剤充填用間隙を形成し、この間隙内にハンダ、接
着剤等の如き固着剤の充填が外部から容易にでき
ると共に、密着コイルと固着剤との間での剥離が
生じない生体内挿入器具の提供を可能ならしめた
ものである。

以下、本考案を図示の実施例に従つて詳細に説
明すると、第１図は鉗子の模式図であるが、鉗子
本体１の左端には摘み子２があつて、右方の操作
体３を操作することによつて、摘み子２が開いた
り、閉じたりするが、この操作体３と摘み子２と
の間は、生体腔内に挿入される際の挿入力を摘み
子２にまで充分に伝達し得る剛性を備えると共
に、生体腔内の形状に応じて自由に彎曲し得る柔
軟性を有せしめるために、操作体３から摘み子２
に至るに従つて順次柔軟性の良好な密着コイルが
接合される。これに用いられる密着コイルは、二
種あるいは数種の柔軟性の異なるものが用いられ
るが、これが接合される状態は、第２図にその一
例を示したように、柔軟性を異にする密着コイル
４と５との両者にわたつてパイプ６が内挿され、
このパイプ６と密着コイル４と５との間にハンダ
等の固着剤７が塗布されるのであるが、このよう
な従来の結合にあつては、前記したような欠陥が
生じていたものであつて、本考案にあつては、第
３図に示したように、柔軟性を異にする密着コイ
ル４と５との両者にわたつてパイプ６が内挿され
ることは、従来のものと異なる処がないが、この
パイプ６にわたつている密着コイル４と５とにお
いて、この密着コイルを、例えば引き伸ばす等の
手段によつて、コイル間隙８を形成し、このコイ
ル間隙８内に固着剤７を充填することによつてこ
れらを固着接合したものである。このように内挿
されたパイプ６上にある密着コイルが二つである
時には、この二つの密着コイルは、例えば線形、
コイル径、コイル条数等の如き形状が、物性やそ
の他各種の条件の異なるコイル同志であることが
通常であるが、これに限ることなく、同じ密着コ
イルが単に分離されて二つとなつた密着コイルで
あつてもよい。

以上は二つの密着コイルを接合する場合につい
て説明したが、次にパイプと密着コイルとの接合
について説明すると、例えば内視鏡における彎曲
操作ワイヤー保護管にあつては手許部としてパイ
プ６が用いられ、先端部としての密着コイル４
が、手許部としてのパイプ６の一端に接合してい
るが、この場合にあつても、第４図に示したよう
に、手許部としてのパイプ６の一端にわたつてい
る密着コイル４にコイル間隙８を形成し、このコ
イル間隔８内に固着剤７を充填することによつ
て、密着コイル４とパイプ６とは強固に固着接合
されるに至るものである。

本考案にあつては、内挿されるパイプの材料は
金属製をはじめ合成樹脂製、その他任意の材料の
ものが用いられ、その形状も通常は円形のものが
用いられるが、これに限られることはない。ま
た、パイプは単なる剛直な円筒に限らず、可撓性
のあるパイプ、例えば軟質合成樹脂を素材として
可撓性を保有せしめたり、金属を素材としても、
その構成によつて可撓性を保有せしめたりするな
どしてパイプ自身が自由に彎曲し得るようなもの
であつてもよい。

本考案にあつては、内挿されたパイプ部分にお
ける密着コイルが二つの密着コイルである場合、
その二つの密着コイルは、互いに線形、コイル
径、コイル条数等の如き形状、物性、その他各種
の条件の異なるコイルである場合はもちろん、そ
れらの条件が異なることがない、すなわち同一の
コイルが二つである場合であつてもよい。

本考案にあつては、コイル間隙が形成される密
着コイルは、内挿されたパイプ部分を囲繞する密
着コイルの全部である必要はない。

本考案は、以上詳細に説明したように構成され
ているから、接合されるべきコイル部分における
コイルと固着剤との接触面積は飛躍的に増大して
固着力を著増すると共に、パイプ側に付着したコ
イル間隙の固着剤が抜け止め作用をなすことによ
つて、パイプと密着コイルとは強固に固着し、従
来、往々にして生じていた生体内挿入器具の使用
中においてのパイプと密着コイルとの外れが全く
解消されるに至つたもので、特に生体の診断、治
療等に使用する器具の欠陥を解消して、安心して
使用ができるという実用上実に優れた作用効果を
奏し得る内視鏡および鉗子等の如き生体内挿入器
具となすことができた。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本考案を説明するためのもので、第
１図は生体内挿入器具の一例である鉗子の模式
図、第２図は鉗子における従来の密着コイルと内
挿パイプとの結合を示す縦断側面図、第３図は本
考案を鉗子に適用した一実施例の縦断側面図、第
４図は本考案を内視鏡に適用した一実施例の縦断
側面図である。 ４，５；密着コイル、６；パイプ、７；固着
剤、８；コイル間隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 密着コイルと、これに少なくとも一端が内装さ
   れ相互に固着剤によつて固定されたパイプとを備
   えた内視鏡および鉗子等の生体内挿入器具におい
   て、上記密着コイルにおける上記パイプとの固着
   部位に対応する一部の密着コイル形成用線輪相互
   間には、上記固着剤充填用間隙が形成されたもの
   であることを特徴とする内視鏡および鉗子等の如
   き生体内挿入器具。