JPH0131522B2

JPH0131522B2 -

Info

Publication number: JPH0131522B2
Application number: JP56149001A
Authority: JP
Inventors: Hajime Kitamura; Toshihide Shimizu; Yoshitaka Okuno; Toshiaki Maruyama; Ichiro Kaneko
Original assignee: Shin Etsu Chemical Co Ltd
Current assignee: Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date: 1981-09-21
Filing date: 1981-09-21
Publication date: 1989-06-27
Also published as: JPS5852301A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は、重合器内壁等へのスケール付着防止
方法およびそのための装置に関する。

従来、ビニル系単量体あるいはジエン系単量体
等の単量体の重合方法としては、懸濁重合法、乳
化重合法、溶液重合法、気相重合法、あるいは塊
状重合法などが知られているが、これらの重合法
においては、いずれの場合にも重合器内壁その他
かくはん装置部等における重合体スケール付着の
問題点があつた。

すなわち、これらの方法でビニル系単量体を重
合すると、重合器内壁およびかくはん装置部など
単量体が接触する部分に、重合体スケールが付着
しこのため重合体の収率、重合器冷却能力などが
低下するほか、このスケールがはく離して製品中
に混入し、製品の品位を低下させるという不利が
もたらされ、他方また、この付着スケールを除去
するためには、過大な労力と時間とを要するのみ
ならず、このスケール中に未反応の単量体が吸着
されているので、近時きわめて重大な問題となつ
ている単量体（塩化ビニル等）による人体障害の
危険性があるという不利がある。

このようなスケール付着の問題点を解決するた
めに、従来から重合器内壁、かくはん装置部など
にスケール防止剤を塗布する方法が知られてお
り、たとえばアミン化合物、キノン化合物、アル
デヒド化合物などの極性有機化合物や染料、顔料
などを塗布する方法、極性有機化合物あるいは染
料を金属塩で処理したものを塗布する方法、電子
供与性化合物と電子受容性化合物との混合物を塗
布する方法、あるいはスルホン酸型もしくはカル
ボン酸型染料のアルカリ金属もしくはアンモニウ
ム塩を溶解した水溶液をPH７以下に調整して塗布
する方法等が公知とされている。

しかして、これらの塗布方法を実施するための
具体的手段としては、塗布液を重合器に満杯にし
ついで抜き出す方法、塗布液をスプレーによつて
吹き付ける方法等が行われているが、前者の重合
器を満杯にする方法は重合器内の残存重合物ある
いは水等が張り込んだ塗布液に混入するので、こ
れの多数回のくり返し使用が不可能になるという
不利がある。これに対しスプレー塗布する方法は
塗布液が残存重合物あるいは水等により汚染され
ることがなく、したがつて処方どおりの塗布液を
絶えず塗布することができ、またむだを生じるこ
ともないという利点を有する。

しかしながら、このスプレー塗布は重合器のマ
ンホール等から行うものである。そのため単量体
による人体障害の危険性が重大な問題となつてき
た今日、マンホールの開放は問題が多く、クロー
ズド系での操業、少くとも自動塗布方法による操
業が強く要望されている。

かかる要請を満足するために、本発明者らは先
に重合器内の内壁およびかくはん装置等に均一に
スケール防止剤を自動塗布することができる塗布
装置を組み込んだ重合装置を開発したが、この重
合装置はノズルからの噴出液滴の径が1000μ以上
で、スコールのごとく塗布することを提案したも
のであるため、塗布剤を多量に使用することにな
り、過剰の塗布液あるいはその洗浄水は着色性あ
るいはBODのため排水処理をしなければならな
いという難点がある。また、この塗布装置は一流
体のスプレーであるため、液滴の径を微噴霧状に
すると飛距離がなくなり、塗布効率が低下してし
まうという難点がある。

本発明は、このような欠点を解決した、重合器
内壁等へのスケール付着防止方法およびそのため
の装置を提供しようとするもので、要旨はつぎの
とおりである。

１重合器内上部に設けた液体―気体の二流体噴
霧ノズルより、単量体もしくは重合体が接触す
る器壁、管壁、その他の装置部表面に、あらか
じめスケール防止剤を噴霧してスケール防止塗
膜を形成した後、このノズルより注水しながら
重合を行うことを特徴とする重合器内壁等への
スケール付着防止方法。

２重合器内上部に気体供給管と液体供給管とを
互いに同心の環状に設け、両供給管を求心状に
配設された複数の小管で連結し、それぞれの小
管に二流体噴霧ノズルを下方に向けて設け、前
記液体供給管にスケール防止剤給液手段と給水
手段とを切り替え自在に連結してなる重合器内
壁等へのスケール付着防止装置。

この本発明によれば、スケール防止剤の塗布
は、少量の塗布液で、塗り残しなく均一に行うこ
とができ、塗布時間も数秒から数十秒で自動塗布
される。したがつて、重合バツチ毎あるいは数バ
ツチ毎に行われるスケール防止剤塗布操作が非常
に容易かつ安全に行われ、目的とするすぐれたス
ケール防止効果を得ることができる。

以下本発明を詳細に説明する。

本発明はかくはん機を有する重合器内上部に設
置した液体―気体の二流体噴霧ノズル付塗布装置
からスケール防止剤（液状）を１〜100μの微噴
霧液滴としてスプレーさせて、重合器内壁、かく
はん機等への塗布を行い、それら塗布面で瞬時に
乾燥させてスケール防止塗膜を形成した後、この
ノズルより注水しながら重合を行うものである。

第１図はこうした塗布装置を組み込んだ重合装
置の概略を示したもので、１は重合器、２は重合
器１内の上部に設置した塗布装置、３はスケール
防止剤（塗布液）貯蔵用タンク、４はポンプ、
５，７はバルブ、６は塗布液の圧力調整バルブ、
８は気体の圧力調整バルブ、９は重合中塗布装置
のノズル孔閉塞を防止するための注水ポンプ、１
０はスケール防止剤塗布時は閉としておくバルブ
であり、これらのバルブ５，７，１０を操作する
ことによつて、スケール防止剤と気体の供給と給
水とを任意に切り替えて塗布装置２へ供給できる
ようになつている。第２図は塗布装置２の一態様
を示す概略図であり、これによると気体供給管と
液体供給管とが互いに同心の環状に設けられ、両
供給管の間には求心状に配設された複数の小管が
あつて、それぞれの小管に気体と液体とが同時に
噴出できるように噴霧口が二重になつている二流
体噴霧ノズル１１が下方に向けて設置されてい
る。

塗布液の噴霧は、スケール防止剤（液体）がノ
ズルを通じて吸上げられるか、または重力で供給
されるサイホンスプレー法か、またはスケール防
止剤（液体）が圧力でノズルに送り込まれ、スケ
ール防止剤と気体は内部で混合され、細かく噴霧
化されたスプレーを作る圧力式スプレー法かによ
り重合器内壁およびかくはん軸等の表面に運ばれ
る。圧力式スプレーは定量的に液体を運ぶことが
できるため工業的には圧力式が望ましい。

微噴霧化されたスプレーは、気体の圧力により
任意の飛距離が選択できるため、噴霧ノズルを重
合器内部全体を塗布できるように配置することに
より、これまで塗布が困難であつた死角になるジ
ヤマ板の裏面あるいはかくはん軸もくまなく塗布
することができる。

微噴スプレーは重合器内壁面で瞬時に乾燥させ
ることが必要で、そのために重合器内壁をあらか
じめ加熱しておく方法がとられる。加熱はスケー
ル防止剤の溶媒の種類によつても異なるが、通常
は40〜95℃の範囲で行われる。またこれらをより
効率的に行うため減圧下で噴霧させる方法もとら
れる。

塗布液の乾燥を完全に行う場合には塗布後通気
するかまたは減圧で乾燥することにより行われ
る。

以上の方法により、本発明は塗布効率が改良さ
れる結果必要塗布量は著しく減少する。したがつ
て、過剰塗布液のための排水処理の必要がなく、
噴霧スプレー後は、排水することなく仕込みを開
始できるという特徴がある。

本発明の他の特徴の一つは、スケール防止剤の
スケール防止効果を十分に発揮させるため、スケ
ール防止剤が溶媒に溶解した状態で噴霧されるこ
とである。そのために使用される気体の温度はス
ケール防止剤が溶媒から分離しない温度とされ
る。したがつて気体の温度はスケール防止剤の溶
媒の種類にもよるが、通常室温から95℃の範囲で
使用されるし、また塗布液の温度についても、ス
ケール防止剤が溶媒に溶解する温度で使用され、
通常室温から95℃の範囲である。

上記目的で使用される好適な気体としては、空
気、窒素、一酸化炭素、アンモニア、メタン、エ
タン、ブタン、イソブタン、エチレン、プロピレ
ン、ブタジエン、アセチレン、塩化ビニル、塩化
メチル、フレオン13、フレオン12、フレオン22、
メチルエーテル、メチルアミン等が例示される。

なお、本発明は塩化ビニルなどの重合に有利に
適用されるが、この場合に上記気体として塩化ビ
ニルを使用すると、その重合の操業をクローズド
系で実施することが容易となるという利点が与え
られる。

一方、本発明に使用し得るスケール防止剤とし
ては従来公知のいずれのものでもよく、これには
染料、極性有機化合物、無機化合物あるいは高分
子化合物などスケール防止効果を示すものとして
提案されたものはいずれも包含され、これらはそ
の１種もしくは２種以上をあらかじめ適当な媒体
に溶解させて使用する。この媒体（溶剤）として
は、水、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケ
トン系溶剤、炭化水素系溶剤、塩素化炭化水素系
溶剤などの１種もしくは２種以上の混合溶剤が使
用される。これら媒体へのスケール防止剤の溶剤
濃度は0.01〜３重量％程度とすることが望まし
く、特には0.1〜１重量％前後とされる。

塗布装置に前記した気体およびスケール防止剤
（塗布液）を供給して目的の塗布を行うのである
が、この際の気体の供給圧力は、通常、２〜20
Kg／cm²の範囲望ましくは３〜10Kg／cm²とすること
がよく、また、塗布液の供給圧力は、塗布量との
関係で設定されるのであるが、通常２〜20Kg／cm²
の範囲望ましくは３〜８Kg／cm²とすることがよ
い。塗布液の塗布量はスケール防止剤の濃度によ
つても異るが、一般的には0.01／m²ないしは
1.0／m²、望ましくは0.03／m²ないし0.2／
m²とすればよい。こうすることにより、重合器内
壁等の表面にスケール防止塗膜が形成される。

二流体噴霧ノズル付塗布装置は重合器内の上部
に設置されており、そのノズル口に重合相の液体
が接触することは避けるようにしているが、しか
し重合中噴霧ノズル口の閉塞を防止するため、水
を圧送し、ノズル口より少しずつ水を出すように
する。この注水は重合原料が仕込まれるときから
開始し、重合終了後重合スラリーが取出されるま
で連続的に行なわれ、その際の注水量は、一般の
工業的規模の重合器においては、おおむね0.01
／分ないし10／分とされる。

重合器内壁その他単量体が接触する部分におけ
るスケール防止剤の塗布操作が終了した後は、こ
の重合器に常法にしたがつて水媒体、ビニル系あ
るいはジエン系単量体、重合開始剤、その他必要
とされる添加剤たとえば単量体の分散助剤等を仕
込んで重合させる。

上記単量体の具体的例示としては、塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル
酸、メタクリル酸あるいはそれらのエステルまた
は塩、マレイン酸またはフマル酸、およびそれら
のエステルまたは無水物、ブタジエン、クロロプ
レン、イソプレンさらにスチレン、アクリロニト
リル、ハロゲン化ビニリデン、ビニルエーテルな
どがあげられる。

さらに重合系に添加される分散助剤、重合開始
剤等は従来公知のものが使用される。

つぎに具体的実施例を示す。

実施例１アシツドブラツク14をを0.3重量％の水溶液と
し、これにフチン酸でPH2.5に調整してスケール
防止剤塗布液とした。

内容積130m²のステンレス製重合器のジヤケツ
ト温度を50℃に昇温し内圧が−600mmＨｇとなる
まで減圧し、重合器の上部に第１図および第２図
に示す塗布装置（二流体噴霧ノズル付）を設置
し、スケール防止塗布液を６Kg／cm²の圧力で送
り、これを50℃に加熱ガス化した塩化ビニルモノ
マーを７Kg／cm²の圧力で送ることにより微噴化し
10を塗布した。

塗布液は瞬時に乾燥して塗布膜を形成したの
で、これ以上の乾燥を行うこともなく、また水洗
もせずに、下記の重量割合で仕込みを行い（仕込
み全量約110m³）、57℃で７時間重合を行つた。

塩化ビニルモノマー 100重量部水 130 〃部分ケン化ポリビニルアルコール 0.04 〃ヒドロキシプロピルメチルセルロース
0.02 〃ジ―２―エチルヘキシルパーオキシジカーボネ
ート 0.04 〃重合中は第１図にしたがつて塗布装置に２／
分で水を供給し、ノズル口から注水させながら重
合を行つた。

重合終了後重合内容物を取出し、クローズド系
のまま重合器内を水洗した。

以上の重合操作を１バツチとし、くり返し重合
を600バツチ行つたところ、ノズルの閉塞は認め
られず、重合器内壁、かくはん機およびジヤマ板
にもスケール付着は認められなかつた。

実施例２オイルブラツクを0.2重量％のトリクロロエチ
レン溶液とし、これをスケール防止剤塗布液とし
た。

内容積1000のステンレス製重合器内の上部に
第１図および第２図に示した塗布装置を設置し、
塗布ノズルより上記スケール防止塗布液0.2を
４Kg／cm²の圧力で送り、空気を用いて５Kg／cm²の
圧力で微噴化し塗布したところ、重合器内面は均
一に塗布された。この塗布後、ジヤケツト温度を
90℃に昇温し５分間乾燥した。

塗布装置のノズルから水を0.04／分の割合で
重合器内に注水する操作を開始した。

つぎに、この重合器に下記の重量割合で仕込み
を行い（仕込み全量約900）、70℃で７時間さら
に80℃で２時間重合させた。

スチレン 70重量部アクリロニトリル 30 〃水 120 〃ヒドロキシアパタイト 0.5 〃ラウロイル硫酸ナトリウム 0.01 〃ラウロイルパーオキサイド 0.35 〃反応終了後重合内容物を取出し重合器内を水洗
したところ、スケールの付着は認められなかつ
た。

以上の操作を１バツチとし、くり返し重合を行
つたところ、30バツチ行つてもスケール付着およ
びノズルの閉塞は認められなかつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は塗布装置を組み込んだ重合装置の概略
を示したものであり、第２図は塗布装置の一態様
を示す概略図である。１……重合器、２……塗布装置、３……スケー
ル防止剤（塗布液）貯蔵用タンク、４……ポン
プ、５，７……バルブ、６……塗布液の圧力調整
バルブ、８……気体の圧力調整バルブ、９……注
水ポンプ、１０……スケール防止剤塗布時は閉と
しておくバルブ、１１……二流体噴霧ノズル。

Claims

【特許請求の範囲】１重合器内上部に設けた液体―気体の二流体噴
霧ノズルより、単量体もしくは重合体が接触する
器壁、管壁、その他の装置部表面に、あらかじめ
スケール防止剤を噴霧してスケール防止塗膜を形
成した後、このノズルより注水しながら重合を行
うことを特徴とする重合器内壁等へのスケール付
着防止方法。２重合器内上部に気体供給管と液体供給管とを
互いに同心の環状に設け、両供給管を求心状に配
設された複数の小管で連結し、それぞれの小管に
二流体噴霧ノズルを下方に向けて設け、前記液体
供給管にスケール防止剤給液手段と給水手段とを
切り替え自在に連結してなる重合器内壁等へのス
ケール付着防止装置。３スケール防止剤が、気体と共にそれぞれ供給
圧力２〜20Kg／cm²の下、塗布量0.01〜1.0／m²
で噴霧され、水が0.1〜10／分で注水される特
許請求の範囲第１項記載の重合器内壁等へのスケ
ール付着防止方法。