JPH0127519Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は２つ以上のプロペラおよび２つ以上の
舵を有する多軸多舵船の舵、とくに各舵の舵板を
支持する舵支材に翼を取り付け、推進効率の向上
などを図つた多軸多舵船用舵に関する。

船舶推進用プロペラ後方に発生するプロペラ後
流の回転エネルギを有効利用するため、第１図お
よび第２図に示すごとくプロペラａ後方に配置し
た舵板ｂ側部に舵板ｂと交差する羽根ｃを取り付
ける考案が、本考案と同一の出願人によつて提案
されている（特願昭56−115519号および実願昭57
−24509号参照）。

これら考案の原理は、いずれもプロペラ後流を
羽根ｃに流入させ、羽根ｃによつて発生した揚力
L₁，L₂のプロペラ軸心ｄ方向、成分を合計した
推力Ｔを推進力に利用するもので、とくに実願昭
57−24509号においては、プロペラ後流の分布状
態を船体後流に関連させて解析し、プロペラ後流
を一層効果的に利用する方法を提案している。

本考案は前述の考案の原理を２つ以上のプロペ
ラおよび２つ以上の舵を有する船舶に適用したも
ので、隣り合う舵の舵支材を翼を用いて連結し、
さらに最外側に位置する翼支材の外側にフインを
突設した多軸多舵船の舵に係わるものであり、舵
支材を連結する翼は、舵支材によつて両端支持さ
れているので、前述の片持支持構造の羽根に較べ
て構造上有利であり、翼厚の薄い性能の良い翼を
使用できるので推進力を増大させることができ、
また舵支材は翼によつて支持されるので強度上、
防振上有利な舵構造を構成し得るなどの利点を有
するものである。

以下、本考案の実施例を図面にもとづいて説明
する。第３図ないし第６図は本考案の第１の実施
例（２軸２舵船に適用した場合）を示し、図中、
符号１ａ，１ｂは舵板、２ａ，２ｂは各舵板１
ａ，１ｂを船体３に支持する舵支材、４ａ，４ｂ
は相互に反対方向、例えば矢印ｆ，ｈ方向に回転
するプロペラであり、舵支材２ａ，２ｂは、その
内側に水平に配置した水平翼５によつて相互に連
結され、各舵支材２ａ，２ｂの外側にはフイン６
ａ，６ｂが突設してある。なお水平翼５およびフ
イン６ａ，６ｂの取付高さは、船体後流がプロペ
ラ後流に及ぼす影響を考慮してプロペラ軸心d₁，
d₂より若干高く設定してある。

水平翼５およびフイン６ａ，６ｂはいずれも同
じ流線形断面を有するが、強度を確保するため、
フイン６ａ，６ｂの翼厚を内方に向つて逓増させ
てある。また各舵軸の軸線S₁，S₂の両側では翼お
よびフインの面８，９が相互に上下反対の方向を
向くように、且つ翼およびフインの取付角θが水
平面ｉに対し相互に上下反対になるように取り付
けられる（第５図および第６図参照）。なお、翼
およびフインは対称断面の翼型を有するものであ
つてもよく、また、取付角をゼロに設定してもよ
い。

次に本舵の作用を右舷側の舵について説明す
る。水平翼５およびフイン６ａに流入するプロペ
ラ後流のプロペラ回転方向成分は、船体後流の影
響を考慮すると、第４図に矢印ｊ，ｋ，ｌ，ｍ，
ｎ，ｐ，ｑ，ｒで示すように右側のフイン６ａお
よび水平翼５の右半分１０の周りに分布している
（実願昭57−24509号参照）。

従つて、水平翼の右半分１０には速度成分ｒに
相当する速度Vrの後流が、また右側のフイン６
ａには速度成分ｋに相当する速度Vkの後流が流
入してそれぞれ揚力Lr，Lkが発生し、この揚力
Lr，Lkのプロペラ軸心d₁方向成分Tr，Tkが推
進力となつて舵支材２ａを介して船体３を推進す
る（第５図および第６図参照）。

フイン６ｂおよび水平翼５の左側半分１１にも
同様に左舷側のプロペラ４ｂによる後流が流入
し、同大、同方向の揚力を発生し、この揚力のプ
ロペラ軸心d₂方向成分が舵支材２ｂに作用し、結
局、左右の舵支材２ａ，２ｂを介して合計2Tr，
2Tkが推力として船体３を推進する。

以上述べたとおりプロペラ後流中に水平翼５お
よびフイン６ａ，６ｂを配置し、これらを各プロ
ペラ４ａ，４ｂが発生するプロペラ後流の流れの
方向に適合するに取り付けたので、プロペラ後流
の回転エネルギを有効に回収できる。また水平翼
５は二本の舵支材２ａ，２ｂを連結して一種のラ
ーメン構造を形成し、強度上、防振上有利であ
る。一方水平翼５は２本の舵支材２ａ，２ｂによ
つて両端支持されているので、翼の厚みを薄くす
ることができ、抵抗が小さく、しかも揚力の大き
い理想的な翼型を選定することができる。

第１の実施例の変形を第７図および第８図に示
す。この例は上下２段に水平翼５，５ａ、フイン
６ａ，６a₁，６ｂ，６b₂を舵支材２a₁，２b₁に取
り付けたもので、プロペラ後流のエネルギを、一
層有効に回収し得るものである。

本考案の第２の実施例を第９図に示す。この例
は３軸３舵船への適用を示し、図中、符号１ｃ，
２ｃ，４ｃは船体中心ｅに設けた舵板、舵支材、
プロペラを示す。中央のプロペラ４ｃが軸心d₃の
周りに矢印ｈ方向に回転する場合、各プロペラ４
ａ，４ｂ，４ｃの後流の回転方向速度成分は、矢
印のごとく分布するので、船体中心ｅより左舷側
水平翼部分の右側半分５c₁の取付角はフイン６
ａ，６ｂと上下方向に同一に、また左側半分５c₂
の取付角および右舷側の水平翼部分５b₁の取付角
はフイン６ａ，６ｂに対し上下方向に反対になる
ように取付けられる。

本考案の第３の実施例を第１０図に示す。この
例は３軸２舵船への適用を示し、水平翼の各部分
の取付角は第２の実施例の場合と同様である。

なお本考案は前述の実施例にのみ限定されるも
のではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲にお
いて種々変更を加え得ることは勿論である。

本考案の多軸多舵船用舵は、前述の構成を有す
るので次の優れた効果を発揮する。

(i) 隣り合う舵支材の間を翼を用いて連結したの
で、強度上、防振上有利であり、軽量な舵構造
を提供できる。

(ii) 翼は２本の舵支材によつて両端支持されるの
で、従来の片持支持構造の羽根に較べて強度上
有利であり、厚みの薄い性能の良い翼を使用で
き、最外側の舵支材に突設したフインと共にプ
ロペラ後流のエネルギを効率よく回収すること
ができる。

(iii) 第(ii)項の結果、船舶の推進機関出力の減少お
よび燃料費の節約を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来の舵構造を示し、第
１図は舵の側面図、第２図は第１図における−
方向からの矢視図、第３図ないし第６図は本考
案の第１の実施例を示し、第３図は舵の側面図、
第４図は第３図における−方向からの矢視
図、第５図および第６図は第４図における−
方向および−方向からの矢視図、第７図およ
び第８図は第１の実施例の変形を示し、第７図は
側面図、第８図は第７図における−方向から
の矢視図、第９図および第１０図は本考案の第２
および第３の実施例を示し、いずれも後面図であ
る。 図中、１ａ，１ｂ，１ｃは舵板、２ａ，２ｂ，
２ｃは舵支材、４ａ，４ｂ，４ｃはプロペラ、
５，５ａは水平翼、５b₁は右舷側の水平翼部分、
５c₁，５c₂は左舷側の水平翼部分の右、左半分、
６ａ，６a₁，６ｂ，６b₁はフインを示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ２つ以上の推進用プロペラおよび前記プロペラ
   後方に配置した２つ以上の舵を有する船舶におい
   て、隣り合う舵の各舵板を支持する２つの舵支材
   間に該舵支材を相互に連結する翼を配置し、最外
   側に位置する舵支材の外側部に側方に張り出すフ
   インを設けたことを特徴とする多軸多舵船用舵。