JPH0127177B2 - - Google Patents
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- JPH0127177B2 JPH0127177B2 JP59110955A JP11095584A JPH0127177B2 JP H0127177 B2 JPH0127177 B2 JP H0127177B2 JP 59110955 A JP59110955 A JP 59110955A JP 11095584 A JP11095584 A JP 11095584A JP H0127177 B2 JPH0127177 B2 JP H0127177B2
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Description
<技術分野>
本発明は人工皮革用に適した不織布の製造法に
関するものであり、特に製靴性及び着用性に必要
な長手方向(以後タテ方向と略す)とそれに直角
な方向(以後ヨコ方向と略す)の物性バランスに
優れた人工皮革用の不織布の製造法に関するもの
である。 <従来技術> 従来の人工皮革用の乾式不織布は主として長手
方向に繊維が配列したもの、例えば空気流で繊維
を積層したウエブ1枚か又は複数枚重ね合せたも
のがあつた。しかしながら、かかるウエブよりな
る不織布はタテとヨコの物性バランスが良くない
欠点がある。即ち、空気流で繊維を積層すると、
繊維は比較的タテ、ヨコ方向にランダムに分布さ
れているものの、ニードル絡合以降の不織布製造
工程において、繊維は工程張力とともに配向され
易く、タテ方向繊維成分が多くなると同時に幅
(ヨコ方向)が狭くなつてしまう。特に収縮させ
るさいには張力によりヨコ方向の収縮率は大きく
なり、人工皮革にした場合ヨコ方向の伸び止め感
が不足し、更にヨコ方向に折り曲げると折り段の
ある角ので易い欠点がある。一方、繊維フリース
をクロスラツパーを利用してヨコ方向のみに積層
したウエブの場合には、絡合処理後の収縮処理時
にタテ方向の張力により伸び易いため、タテ方向
の収縮率は小さくなり、人工皮革にした場合ヨコ
方向の伸び止め感が不足し、更にタテ方向に折り
曲げると折れ段のある角ので易い欠点がある。 このようにタテ方向の伸び止め感不足(20%伸
長時の応力が低い)や柔軟性と腰のバランス物性
が劣るものは製靴性に劣るものにしかなり得ない
し、またヨコ方向の20%伸長時応力や柔軟性と腰
の物性が劣るものは着用時のフイツト感や型くづ
れのし易いものにしかなり得ない。 この解消方法として、繊維原料をカードから紡
出したフリースを一枚ずつタテ方向とヨコ方向と
に交互に積層することも考えられるが、かかる方
法では工業生産では非常に複雑となり、生産効率
が悪いため実用的でない。 <目的> 本発明は以上の事情を背景として為されたもの
で、生産効率がよく且つ人工皮革としたとき、タ
テとヨコ方向の物性バランスの良い不織布を提供
することにある。 <発明の構成> 即ち、本発明は収縮処理後潜在自発伸長性を有
する高収縮性ポリエステル繊維からなり繊維が主
として長手方向に配列しているウエブ()に、
収縮処理後潜在自発伸長性を有する高収縮性ポリ
エステル繊維からなりカードより紡出されたフリ
ース()を、該ウエブ()に対する該フリー
ス()の重量比が70〜30:30:70となる量、交
叉角度が90゜未満になるように折り返し積層して
積層ウエブとなし、該積層ウエブに絡合処理を施
した後収縮処理することによつて該積層ウエブを
その表面積において30%以上収縮させると共に長
手方向に対しそれに直角な方向の収縮率の比が1
〜0.7となる量収縮させ、次いで繊維が自発伸長
を発現する温度で且つ積積層ウエブの面積が実質
的に拡大しないように拘束した状態で熱処理する
ことを特徴とする不織布の製造法である。 このように収縮処理によつて潜在自発伸長性を
有する高収縮性繊維を、収縮させることと更に熱
処理で自発伸長することを利用することによつて
人工皮革に要求される柔軟性と腰を保持し、且つ
不織布を構成する繊維が長手方向(タテ)と長手
方向と直角な方向(ヨコ)とに両方に分布してい
るため、製靴及び着用で要求される20%伸長時の
応力も含め、タテ、ヨコ方向ともに優れた物性の
確保が可能となるのである。 本発明において使用する収縮処理後潜在自発伸
長性を有する高収縮性ポリエステル繊維は、70℃
の温水中で30%以上の収縮率を有するものであ
り、このためウエブになし60℃から80℃の温水浸
漬による収縮処理することによつてその表面積を
30%以上収縮させることが可能となる。ウエブの
表面積の収縮が30%未満では折れ段のある角の発
生する人工皮革になり易い、またこの繊維は60℃
〜80℃の温水中で収縮させた後130℃〜200℃で熱
処理したとき自発伸長するものであり、少なくと
も5%の伸長率を有するものが好ましい。伸長率
が5%未満の場合には表面積を変えずに拘束した
不織布の緻密性の均一化に劣る。このような収縮
処理後潜在自発伸長性を有する高収縮性繊維は、
具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレートなどのポリエステルやこれ
らポリエステルに芳香族又は脂肪族ジカルボン
酸、又はグリコールを共重合したコポリエステル
を溶融紡糸し、次いで60〜65℃の温水中で2.4〜
2.7倍に延伸し、65℃以下で乾燥することによつ
て容易に得られる。 本発明にあつては、上記高収縮性繊維を用いて
繊維が主として長手(タテ)方向に配列したウエ
ブ()を作成し、これに上記高収縮性繊維を用
いてカードより紡出したフリース()を折り返
し交叉積層する。繊維がタテ方向に配列したウエ
ブ()を作成するには、任意の方法が採用され
る。例えば上記高収縮性繊維をカードで開繊し、
紡出したフリースを複数枚重ね合せる方法でもよ
いが、通常はカード等で開繊された繊維を空気流
を利用して繊維を堆積させてウエブを形成させる
方法が採用される。かかるウエブ作成機としては
市販されているものも使用できる。 このようにして得られるウエブ()にカード
より紡出したフリース()折り返し交叉積層す
るには、例えばローラカード、フラツトカドなど
を用いて開繊し、紡出したフリースをクロスラツ
パーで折り返し交叉積層して積層ウエブとするの
が好ましい。このように主に繊維がタテ方向に配
列した、例えば空気流を利用して作成したウエブ
()にクロスラツパーでフリース()を折り
返し交叉積層することにより両方の欠点を補い、
長所を備えた積層ウエブを工業的に効率よく生産
することができる。この場合、フリース()と
空気流利用ウエブ()の積層はどちらが上層に
なつても良いが、フリース()を上層にした方
が物性上好ましい。この積層ウエブに必要なこと
は、フリース()の折り返し交叉角度を90゜未
満にすることであり、20゜未満にすることが好ま
しい。この角度が90゜以上になると繊維は略ヨコ
方向に配列しているとは言えず不織布のヨコ方向
の物性が劣る結果を招くことになる。また、ウエ
ブ()とフリース()との積層重量比率はタ
テとヨコとの物性バランス上から70:30〜30:70
にすべきであり、60:40〜40:60が好ましい。こ
こで言う交叉角度とは、ウエブ()にフリース
()をクロスラツパーで積層する際にフリース
の折り返し時に形成する角度であり、第1図中θ
で示される角度である。なお第1図中1はウエブ
()を、2はフリース()を示す。 次いで積層ウエブに、例えばキツクを有する針
などで絡合処理を施した後、収縮処理を60℃〜80
℃の温水中で行い、積層ウエブをその表面積にお
いて30%以上、好ましくは35%以上収縮させる。
積層ウエブの表面積の収縮率が小さすぎると、不
織布の緻密性が不足し、折れ段やしわが発生し易
く、人工皮革用不織布には適さない。 このようにウエブ表面積の収縮率を30%以上、
好ましくは35%以上とするには使用する潜在自発
伸長性を有する高収縮繊維の70℃の温水中での収
縮率が30%以上であることが必要となる。 更に、この収縮処理によるタテ方向とヨコ方向
との収縮率の比は、本発明における積層ウエブに
おいては、工程張力によつてヨコ方向の収縮率を
タテ方向の収縮率とほぼ等しいか又は大きく、即
ち(タテ収縮率÷ヨコ収縮率)=1〜0.7とすべき
である。これに対しウエブ()のみでは、この
比が容易に0.6以下となり、0.7以上にするにはウ
エブにシワが入り易くなり連続生産上難しく、こ
のためヨコ方向の伸び止め感が不足する結果とな
る。また、フリース()のみではタテ収縮率は
低く該比は0.4以下となり、タテ方向の折り曲げ
しわが角のあるものとなつてしまう。この収縮比
は収縮時の工程張力にも影響を受けるが、大部分
は繊維のタテとヨコ方向の分布によるものであ
り、収縮率がタテ、ヨコ方向にほぼ等しい方が、
タテ、ヨコ方向の物性としては好ましい。この結
果から見ても本発明における積層ウエブは有効で
ある。 更に、このようにして得られる収縮ウエブに、
構成する繊維が自発伸長性を発現する温度で且つ
このウエブの面積が実質的に拡大しないようにウ
エブを拘束した状態で熱処理する。例えば収縮ウ
エブをベルトと加熱シリンダー間に加圧把持して
ウエブの表面積が実質的に拡大しないように拘束
し、加熱温度を130℃〜200℃、好ましくは150℃
〜180℃にすればよく、こうすることによつて構
成繊維の自発伸長性が発現し、同時に拘束加圧さ
れることによりウエブは高密度で且つ均一にな
る。また、特に繊維繊度には制限はないが、不織
布の高密度化には、単糸繊度が小さい方が積層ウ
エブの収縮率が同一でも可能であるが、一方カー
ドの生産性から考えると0.5デニール以上が好ま
しく、1.0デニール以上が特に好ましい。 従つて、カードを通過させた時の単糸繊度が
0.5デニール以上である海島型複合紡糸繊維や分
割型繊維であつて不織布後に単糸繊度が0.5デニ
ール未満になる繊維の使用は好ましいことであ
る。 なお、本発明の不織布を人工皮革にするには、
通常合成皮革の製造に用いられる高分子重合体、
例えばポリウレタンエラストマー、アクリロニト
リル−ブタジエン重合体、ポリ塩化ビニール、ポ
リアミド等に必要な各種添加物を含有させて溶液
又は分散液とし、これを含浸させ、更にこの含浸
基材に必要に応じて色艶をグラビアロールで塗布
したり、ラミネートして仕上層を形成し、エンボ
スロール等で柄を付与することによつて得られ
る。 <実施例> 更に本発明の特徴を具体的な実施例を挙げて説
明する。以下実施例及び比較例中における各測定
値・評価な下記の方法により実施した。 (1) 繊維の収縮率=l0−l1/l0×100(%) l0:収縮処理前に繊維に初荷重20mg/deをかけ
て測定した長さ l1:収縮処理後に荷重20mg/deをかけて測定し
た長さ (2) 繊維の伸長率=e1−e0/e0×100(%) e0:伸長処理前に荷重20mg/deをかけて測定し
た長さ e1:伸長熱処理後に荷重20mg/deをかけて測定
した長さ (3) ウエブの面積収縮率=s0−s1/s0×100(%) s0:収縮処理前のウエブの面積 s1:収縮処理後のウエブの面積 (4) 伸び止め状態:(JIS−6505−5、2、3)
(20%伸長応力) テンシロンで下記条件でサンプルをタテ方
向とヨコ方向での20%伸長時の応力値(Kg/
cm)で表わす。 サンプルサイズ 9cm×1cm ゲージレングス 50mm チヤートスピード 50mm/mm ヘツドスピード 50mm/mm (5) 曲げ硬さ:タテ方向とヨコ方向に各々 (RB)2.5×9.0cmのサンプルを曲率半径2.0cmに
曲げたときの反撥力を1cm幅に換算した値
(g/cm)で表わす。 (6) 圧縮応力:タテ方向とヨコ方向に各々 (P5)2.5cm×9.0cmのサンプルを2つに折り曲
げ、厚さの3倍まで折り曲げ圧縮したときの
反撥力を歪計で測定し、1cm幅に換算した値
(g/cm)で表わす。 (7) レザーライク性:圧縮応力÷曲げ硬さで表わ
し、この値が大きいほど折り曲げシワが丸味
のあることを示す。 (8) 製靴性:つり込時のイセの発生状態、つり込
部分の修正やバフ掛け時間の加工性評価 (9) 着用性:着用時のフイツト感や型くずれ等の
着用面の評価 実施例 1 ポリエチレンテレフタレート(O−クロロフエ
ノール中35℃で測定した固有粘度0.60)を紡糸温
度290℃、紡糸口金孔数500個、紡糸速度1500m/
minの条件で溶融紡糸し、単糸繊度4.6デニール
の未延伸糸を得た。この未延伸糸を64℃の温水中
で2.3倍に延伸し、次いで押込捲縮機によりクリ
ンプを付与し、油剤処理し、カツトして単糸繊度
2.0デニール、繊維長51mmの繊維を得た。この繊
維を70℃中の温水中で2分間浸漬したときの収縮
率は47%であり、また、遠赤外加熱で110℃、
160℃、180℃で夫々60秒間処理したとき、夫々
0.5%、6.3%、9.6%の伸長率を示した。 この繊維をシングルビーターの開綿機で開綿
し、カードを通して空気流を利用したウエブ作成
機で目付150g/m2のウエブ()を作成し、更
にその上に2山のローラーカードから上記同一の
開綿繊維を使用してフリース()を紡出し、ク
ロスラツパーでフリース折り返し交叉角度16゜で
積層して目付を300g/m2の積層ウエブを得た。
この積層ウエブを40番レギユラーバーブ9個を有
する針を装着したニードルロツカールームで打込
本数800本/cm2のパンチングし、得られたニード
ルパンチウエブを64℃の温水で2分間浸漬して収
縮処理をした結果タテ、ヨコ方向の収縮率は各々
22%、26%で、タテ/ヨコの収縮率比は0.85であ
り、面積収縮率は42%であつた。この収縮ウエブ
を真空脱水したのち、80℃で5分間乾燥させた
し、次いで160℃の熱シリンダーと120メツシユの
ステンレスベルト間に把持加圧して実質的にウエ
ブ表面積が変化しないようにして約1分間処理し
た。得られた不織布はソフトな風合を有するもの
で、特に不織布を折り曲げたときの折曲線に折れ
段の発生しないものであつた。 この不織布をコロイダルシリカ(商品名スノー
テツクス:日産化学(株)製)の水分散液に浸漬し
て、対繊維付着量が1.0%になるように含浸乾燥
した後、ポリウレタン樹脂の14%ジメチルホルム
アミド溶液を均一に含浸させ、スクイズロールで
絞つた後20℃の温水、更に40℃の温水中に浸漬し
凝固させ、更に溶媒が殆んどなくなるまでバイブ
ロワツシヤーで洗浄し、乾燥した。この含浸基材
をグラビアロールで仕上塗装し、更にエンボスロ
ールで柄を刻印して人工皮革を得た。得られた人
工皮革の特性を表−1に示した。表より明らかな
通りタテ、ヨコ方向ともに伸び止め感があり、ソ
フトで腰のある折曲線に丸味のあるものであり、
製靴性及び実着用性に申し分のない優れたもので
あつた。 実施例 2 実施例1の開綿された繊維を使い、主に長手方
向に繊維が配列した空気流を利用したウエブ
()の目付を210g/m2とし、カードフリースを
クロツクスラツパーで交叉角度16゜で積層するウ
エブ()の目付を90g/m2として積層ウエブを
作成した。この積層ウエブを実施例1と同様にし
て不織布にした。そのときの収縮処理により面積
収縮率は実施例1と変わらなかつたが、実施例1
よりヨコ方向の収縮率が大きくなり、タテ、ヨコ
の収縮比率は0.74と低目になつた。得られた不織
布を実施例1と同様にして人工皮革を作成し、そ
の物性を表−1に示した。実施例1と比較してヨ
コ方向の20%伸長応力は低目である以外は秀れた
特性を有するものであつた。 実施例 3 実施例1の積層ウエブをニードル絡合した後、
収縮処理を62℃としたところタテ、ヨコの収縮率
は各々18%、21%で面積収縮率は35%となつた。
この収縮ウエブを実施例1と同様にして不織布に
し、更に人工皮革にした。結果は表−1に示した
通り実施例1に比較しソフト性にやや劣るものの
折り曲げ段のない製靴性及び実着用の良好なもの
であつた。 実施例 4 実施例1のニードルパンチウエブを収縮させる
際に張力をかけて、タテ方向の収縮率を低くした
結果タテ、ヨコの収縮率は各々19%、26%となり
タテ/ヨコ収縮率比が0.73と低目となつた。この
収縮ウエブを実施例1と同様にして不織布にし、
更に人工皮革にして評価した結果、表−1に示す
ように実施例1よりヨコ方向の20%伸長時の応力
が低目となつたことと、ソフトと腰のバランス、
レザーライク性も劣るが折り曲げ段も少ないもの
で製靴性及び実着用性の問題のない良好なもので
あつた。 比較例 1 実施例1のニードルパンチウエブを収縮処理す
る際、実施例4よりも大きな張力をかけた結果、
タテ、ヨコの収縮率は各々18%、30%となり、タ
テ/ヨコ収縮率比は0.60となつたものの面積収縮
率の43%であつた。この収縮ウエブを実施例1と
同様にして不織布にし、更に人工皮革にして評価
した結果、表−1に示すようにヨコ方向の20%伸
長時応力の低い伸び止め感の不足するもので、実
着用時に型くづれの問題の発生するものであつ
た。 比較例 2 実施例1のニードルパンチウエブを収縮処理す
るに当り、温水温度を58℃としたところタテ、ヨ
コの収縮率は各々13%、14%でタテ/ヨコ収縮率
比は0.93と高かつたが、面積収縮率は25%と低
く、実施例1と同様にして不織布にしたが、ソフ
ト性や折り曲げ段の目立つものであつた。この不
織布を実施例1と同様にして人工皮革にして評価
した結果、表−1に示すようにソフト性に欠け、
更に折り曲げ角の出るもので製靴性及び実着用の
フイツト感に欠けるものであつた。 比較例 3 実施例1の収縮ウエブを使い、加圧加熱する温
度を110℃として不織布にしたところ、実施例1
よりソフト感に欠けるものであつた。この不織布
を実施例1と同様にして人工皮革にして評価した
結果、表−1に示すようにソフト感に劣り、折り
曲げシワはやや丸味の欠けるもので、製靴性及び
実着用性もやや劣るものであつた。 比較例 4 実施例1の開綿された繊維を使い、空気流を利
用し繊維を堆積して得たウエブのみで目付300
g/m2とした。このウエブを実施例1と同様にニ
ードル結合し、収縮処理し、加圧加熱処理して不
織布を作成した。この不織布を実施例1と同様に
人工皮革にして評価した結果、表−1に示すよう
にヨコ伸びが大きく着用時の型くずれを発生する
ことやヨコ方向の腰のない折り曲げ段のあるもの
しかならなかつた。 比較例 5 実施例1の開綿された繊維を使い、カードから
紡出したフリースのみをクロスラツパーで交叉角
度16゜で積層して目付300g/m2のウエブを作成し
た。このウエブを実施例1と同様にして不織布に
したところタテ方向の収縮率は張力により伸び易
く18%で、タテ/ヨコの収縮率比は0.72で面積収
縮率は39%であつた。この不織布を実施例1と同
様に人工皮革にして評価した結果、タテ方向の腰
のないもので、タテ折り曲げ段も発生し、製靴性
及び実着用性に劣るものであつた。
関するものであり、特に製靴性及び着用性に必要
な長手方向(以後タテ方向と略す)とそれに直角
な方向(以後ヨコ方向と略す)の物性バランスに
優れた人工皮革用の不織布の製造法に関するもの
である。 <従来技術> 従来の人工皮革用の乾式不織布は主として長手
方向に繊維が配列したもの、例えば空気流で繊維
を積層したウエブ1枚か又は複数枚重ね合せたも
のがあつた。しかしながら、かかるウエブよりな
る不織布はタテとヨコの物性バランスが良くない
欠点がある。即ち、空気流で繊維を積層すると、
繊維は比較的タテ、ヨコ方向にランダムに分布さ
れているものの、ニードル絡合以降の不織布製造
工程において、繊維は工程張力とともに配向され
易く、タテ方向繊維成分が多くなると同時に幅
(ヨコ方向)が狭くなつてしまう。特に収縮させ
るさいには張力によりヨコ方向の収縮率は大きく
なり、人工皮革にした場合ヨコ方向の伸び止め感
が不足し、更にヨコ方向に折り曲げると折り段の
ある角ので易い欠点がある。一方、繊維フリース
をクロスラツパーを利用してヨコ方向のみに積層
したウエブの場合には、絡合処理後の収縮処理時
にタテ方向の張力により伸び易いため、タテ方向
の収縮率は小さくなり、人工皮革にした場合ヨコ
方向の伸び止め感が不足し、更にタテ方向に折り
曲げると折れ段のある角ので易い欠点がある。 このようにタテ方向の伸び止め感不足(20%伸
長時の応力が低い)や柔軟性と腰のバランス物性
が劣るものは製靴性に劣るものにしかなり得ない
し、またヨコ方向の20%伸長時応力や柔軟性と腰
の物性が劣るものは着用時のフイツト感や型くづ
れのし易いものにしかなり得ない。 この解消方法として、繊維原料をカードから紡
出したフリースを一枚ずつタテ方向とヨコ方向と
に交互に積層することも考えられるが、かかる方
法では工業生産では非常に複雑となり、生産効率
が悪いため実用的でない。 <目的> 本発明は以上の事情を背景として為されたもの
で、生産効率がよく且つ人工皮革としたとき、タ
テとヨコ方向の物性バランスの良い不織布を提供
することにある。 <発明の構成> 即ち、本発明は収縮処理後潜在自発伸長性を有
する高収縮性ポリエステル繊維からなり繊維が主
として長手方向に配列しているウエブ()に、
収縮処理後潜在自発伸長性を有する高収縮性ポリ
エステル繊維からなりカードより紡出されたフリ
ース()を、該ウエブ()に対する該フリー
ス()の重量比が70〜30:30:70となる量、交
叉角度が90゜未満になるように折り返し積層して
積層ウエブとなし、該積層ウエブに絡合処理を施
した後収縮処理することによつて該積層ウエブを
その表面積において30%以上収縮させると共に長
手方向に対しそれに直角な方向の収縮率の比が1
〜0.7となる量収縮させ、次いで繊維が自発伸長
を発現する温度で且つ積積層ウエブの面積が実質
的に拡大しないように拘束した状態で熱処理する
ことを特徴とする不織布の製造法である。 このように収縮処理によつて潜在自発伸長性を
有する高収縮性繊維を、収縮させることと更に熱
処理で自発伸長することを利用することによつて
人工皮革に要求される柔軟性と腰を保持し、且つ
不織布を構成する繊維が長手方向(タテ)と長手
方向と直角な方向(ヨコ)とに両方に分布してい
るため、製靴及び着用で要求される20%伸長時の
応力も含め、タテ、ヨコ方向ともに優れた物性の
確保が可能となるのである。 本発明において使用する収縮処理後潜在自発伸
長性を有する高収縮性ポリエステル繊維は、70℃
の温水中で30%以上の収縮率を有するものであ
り、このためウエブになし60℃から80℃の温水浸
漬による収縮処理することによつてその表面積を
30%以上収縮させることが可能となる。ウエブの
表面積の収縮が30%未満では折れ段のある角の発
生する人工皮革になり易い、またこの繊維は60℃
〜80℃の温水中で収縮させた後130℃〜200℃で熱
処理したとき自発伸長するものであり、少なくと
も5%の伸長率を有するものが好ましい。伸長率
が5%未満の場合には表面積を変えずに拘束した
不織布の緻密性の均一化に劣る。このような収縮
処理後潜在自発伸長性を有する高収縮性繊維は、
具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレートなどのポリエステルやこれ
らポリエステルに芳香族又は脂肪族ジカルボン
酸、又はグリコールを共重合したコポリエステル
を溶融紡糸し、次いで60〜65℃の温水中で2.4〜
2.7倍に延伸し、65℃以下で乾燥することによつ
て容易に得られる。 本発明にあつては、上記高収縮性繊維を用いて
繊維が主として長手(タテ)方向に配列したウエ
ブ()を作成し、これに上記高収縮性繊維を用
いてカードより紡出したフリース()を折り返
し交叉積層する。繊維がタテ方向に配列したウエ
ブ()を作成するには、任意の方法が採用され
る。例えば上記高収縮性繊維をカードで開繊し、
紡出したフリースを複数枚重ね合せる方法でもよ
いが、通常はカード等で開繊された繊維を空気流
を利用して繊維を堆積させてウエブを形成させる
方法が採用される。かかるウエブ作成機としては
市販されているものも使用できる。 このようにして得られるウエブ()にカード
より紡出したフリース()折り返し交叉積層す
るには、例えばローラカード、フラツトカドなど
を用いて開繊し、紡出したフリースをクロスラツ
パーで折り返し交叉積層して積層ウエブとするの
が好ましい。このように主に繊維がタテ方向に配
列した、例えば空気流を利用して作成したウエブ
()にクロスラツパーでフリース()を折り
返し交叉積層することにより両方の欠点を補い、
長所を備えた積層ウエブを工業的に効率よく生産
することができる。この場合、フリース()と
空気流利用ウエブ()の積層はどちらが上層に
なつても良いが、フリース()を上層にした方
が物性上好ましい。この積層ウエブに必要なこと
は、フリース()の折り返し交叉角度を90゜未
満にすることであり、20゜未満にすることが好ま
しい。この角度が90゜以上になると繊維は略ヨコ
方向に配列しているとは言えず不織布のヨコ方向
の物性が劣る結果を招くことになる。また、ウエ
ブ()とフリース()との積層重量比率はタ
テとヨコとの物性バランス上から70:30〜30:70
にすべきであり、60:40〜40:60が好ましい。こ
こで言う交叉角度とは、ウエブ()にフリース
()をクロスラツパーで積層する際にフリース
の折り返し時に形成する角度であり、第1図中θ
で示される角度である。なお第1図中1はウエブ
()を、2はフリース()を示す。 次いで積層ウエブに、例えばキツクを有する針
などで絡合処理を施した後、収縮処理を60℃〜80
℃の温水中で行い、積層ウエブをその表面積にお
いて30%以上、好ましくは35%以上収縮させる。
積層ウエブの表面積の収縮率が小さすぎると、不
織布の緻密性が不足し、折れ段やしわが発生し易
く、人工皮革用不織布には適さない。 このようにウエブ表面積の収縮率を30%以上、
好ましくは35%以上とするには使用する潜在自発
伸長性を有する高収縮繊維の70℃の温水中での収
縮率が30%以上であることが必要となる。 更に、この収縮処理によるタテ方向とヨコ方向
との収縮率の比は、本発明における積層ウエブに
おいては、工程張力によつてヨコ方向の収縮率を
タテ方向の収縮率とほぼ等しいか又は大きく、即
ち(タテ収縮率÷ヨコ収縮率)=1〜0.7とすべき
である。これに対しウエブ()のみでは、この
比が容易に0.6以下となり、0.7以上にするにはウ
エブにシワが入り易くなり連続生産上難しく、こ
のためヨコ方向の伸び止め感が不足する結果とな
る。また、フリース()のみではタテ収縮率は
低く該比は0.4以下となり、タテ方向の折り曲げ
しわが角のあるものとなつてしまう。この収縮比
は収縮時の工程張力にも影響を受けるが、大部分
は繊維のタテとヨコ方向の分布によるものであ
り、収縮率がタテ、ヨコ方向にほぼ等しい方が、
タテ、ヨコ方向の物性としては好ましい。この結
果から見ても本発明における積層ウエブは有効で
ある。 更に、このようにして得られる収縮ウエブに、
構成する繊維が自発伸長性を発現する温度で且つ
このウエブの面積が実質的に拡大しないようにウ
エブを拘束した状態で熱処理する。例えば収縮ウ
エブをベルトと加熱シリンダー間に加圧把持して
ウエブの表面積が実質的に拡大しないように拘束
し、加熱温度を130℃〜200℃、好ましくは150℃
〜180℃にすればよく、こうすることによつて構
成繊維の自発伸長性が発現し、同時に拘束加圧さ
れることによりウエブは高密度で且つ均一にな
る。また、特に繊維繊度には制限はないが、不織
布の高密度化には、単糸繊度が小さい方が積層ウ
エブの収縮率が同一でも可能であるが、一方カー
ドの生産性から考えると0.5デニール以上が好ま
しく、1.0デニール以上が特に好ましい。 従つて、カードを通過させた時の単糸繊度が
0.5デニール以上である海島型複合紡糸繊維や分
割型繊維であつて不織布後に単糸繊度が0.5デニ
ール未満になる繊維の使用は好ましいことであ
る。 なお、本発明の不織布を人工皮革にするには、
通常合成皮革の製造に用いられる高分子重合体、
例えばポリウレタンエラストマー、アクリロニト
リル−ブタジエン重合体、ポリ塩化ビニール、ポ
リアミド等に必要な各種添加物を含有させて溶液
又は分散液とし、これを含浸させ、更にこの含浸
基材に必要に応じて色艶をグラビアロールで塗布
したり、ラミネートして仕上層を形成し、エンボ
スロール等で柄を付与することによつて得られ
る。 <実施例> 更に本発明の特徴を具体的な実施例を挙げて説
明する。以下実施例及び比較例中における各測定
値・評価な下記の方法により実施した。 (1) 繊維の収縮率=l0−l1/l0×100(%) l0:収縮処理前に繊維に初荷重20mg/deをかけ
て測定した長さ l1:収縮処理後に荷重20mg/deをかけて測定し
た長さ (2) 繊維の伸長率=e1−e0/e0×100(%) e0:伸長処理前に荷重20mg/deをかけて測定し
た長さ e1:伸長熱処理後に荷重20mg/deをかけて測定
した長さ (3) ウエブの面積収縮率=s0−s1/s0×100(%) s0:収縮処理前のウエブの面積 s1:収縮処理後のウエブの面積 (4) 伸び止め状態:(JIS−6505−5、2、3)
(20%伸長応力) テンシロンで下記条件でサンプルをタテ方
向とヨコ方向での20%伸長時の応力値(Kg/
cm)で表わす。 サンプルサイズ 9cm×1cm ゲージレングス 50mm チヤートスピード 50mm/mm ヘツドスピード 50mm/mm (5) 曲げ硬さ:タテ方向とヨコ方向に各々 (RB)2.5×9.0cmのサンプルを曲率半径2.0cmに
曲げたときの反撥力を1cm幅に換算した値
(g/cm)で表わす。 (6) 圧縮応力:タテ方向とヨコ方向に各々 (P5)2.5cm×9.0cmのサンプルを2つに折り曲
げ、厚さの3倍まで折り曲げ圧縮したときの
反撥力を歪計で測定し、1cm幅に換算した値
(g/cm)で表わす。 (7) レザーライク性:圧縮応力÷曲げ硬さで表わ
し、この値が大きいほど折り曲げシワが丸味
のあることを示す。 (8) 製靴性:つり込時のイセの発生状態、つり込
部分の修正やバフ掛け時間の加工性評価 (9) 着用性:着用時のフイツト感や型くずれ等の
着用面の評価 実施例 1 ポリエチレンテレフタレート(O−クロロフエ
ノール中35℃で測定した固有粘度0.60)を紡糸温
度290℃、紡糸口金孔数500個、紡糸速度1500m/
minの条件で溶融紡糸し、単糸繊度4.6デニール
の未延伸糸を得た。この未延伸糸を64℃の温水中
で2.3倍に延伸し、次いで押込捲縮機によりクリ
ンプを付与し、油剤処理し、カツトして単糸繊度
2.0デニール、繊維長51mmの繊維を得た。この繊
維を70℃中の温水中で2分間浸漬したときの収縮
率は47%であり、また、遠赤外加熱で110℃、
160℃、180℃で夫々60秒間処理したとき、夫々
0.5%、6.3%、9.6%の伸長率を示した。 この繊維をシングルビーターの開綿機で開綿
し、カードを通して空気流を利用したウエブ作成
機で目付150g/m2のウエブ()を作成し、更
にその上に2山のローラーカードから上記同一の
開綿繊維を使用してフリース()を紡出し、ク
ロスラツパーでフリース折り返し交叉角度16゜で
積層して目付を300g/m2の積層ウエブを得た。
この積層ウエブを40番レギユラーバーブ9個を有
する針を装着したニードルロツカールームで打込
本数800本/cm2のパンチングし、得られたニード
ルパンチウエブを64℃の温水で2分間浸漬して収
縮処理をした結果タテ、ヨコ方向の収縮率は各々
22%、26%で、タテ/ヨコの収縮率比は0.85であ
り、面積収縮率は42%であつた。この収縮ウエブ
を真空脱水したのち、80℃で5分間乾燥させた
し、次いで160℃の熱シリンダーと120メツシユの
ステンレスベルト間に把持加圧して実質的にウエ
ブ表面積が変化しないようにして約1分間処理し
た。得られた不織布はソフトな風合を有するもの
で、特に不織布を折り曲げたときの折曲線に折れ
段の発生しないものであつた。 この不織布をコロイダルシリカ(商品名スノー
テツクス:日産化学(株)製)の水分散液に浸漬し
て、対繊維付着量が1.0%になるように含浸乾燥
した後、ポリウレタン樹脂の14%ジメチルホルム
アミド溶液を均一に含浸させ、スクイズロールで
絞つた後20℃の温水、更に40℃の温水中に浸漬し
凝固させ、更に溶媒が殆んどなくなるまでバイブ
ロワツシヤーで洗浄し、乾燥した。この含浸基材
をグラビアロールで仕上塗装し、更にエンボスロ
ールで柄を刻印して人工皮革を得た。得られた人
工皮革の特性を表−1に示した。表より明らかな
通りタテ、ヨコ方向ともに伸び止め感があり、ソ
フトで腰のある折曲線に丸味のあるものであり、
製靴性及び実着用性に申し分のない優れたもので
あつた。 実施例 2 実施例1の開綿された繊維を使い、主に長手方
向に繊維が配列した空気流を利用したウエブ
()の目付を210g/m2とし、カードフリースを
クロツクスラツパーで交叉角度16゜で積層するウ
エブ()の目付を90g/m2として積層ウエブを
作成した。この積層ウエブを実施例1と同様にし
て不織布にした。そのときの収縮処理により面積
収縮率は実施例1と変わらなかつたが、実施例1
よりヨコ方向の収縮率が大きくなり、タテ、ヨコ
の収縮比率は0.74と低目になつた。得られた不織
布を実施例1と同様にして人工皮革を作成し、そ
の物性を表−1に示した。実施例1と比較してヨ
コ方向の20%伸長応力は低目である以外は秀れた
特性を有するものであつた。 実施例 3 実施例1の積層ウエブをニードル絡合した後、
収縮処理を62℃としたところタテ、ヨコの収縮率
は各々18%、21%で面積収縮率は35%となつた。
この収縮ウエブを実施例1と同様にして不織布に
し、更に人工皮革にした。結果は表−1に示した
通り実施例1に比較しソフト性にやや劣るものの
折り曲げ段のない製靴性及び実着用の良好なもの
であつた。 実施例 4 実施例1のニードルパンチウエブを収縮させる
際に張力をかけて、タテ方向の収縮率を低くした
結果タテ、ヨコの収縮率は各々19%、26%となり
タテ/ヨコ収縮率比が0.73と低目となつた。この
収縮ウエブを実施例1と同様にして不織布にし、
更に人工皮革にして評価した結果、表−1に示す
ように実施例1よりヨコ方向の20%伸長時の応力
が低目となつたことと、ソフトと腰のバランス、
レザーライク性も劣るが折り曲げ段も少ないもの
で製靴性及び実着用性の問題のない良好なもので
あつた。 比較例 1 実施例1のニードルパンチウエブを収縮処理す
る際、実施例4よりも大きな張力をかけた結果、
タテ、ヨコの収縮率は各々18%、30%となり、タ
テ/ヨコ収縮率比は0.60となつたものの面積収縮
率の43%であつた。この収縮ウエブを実施例1と
同様にして不織布にし、更に人工皮革にして評価
した結果、表−1に示すようにヨコ方向の20%伸
長時応力の低い伸び止め感の不足するもので、実
着用時に型くづれの問題の発生するものであつ
た。 比較例 2 実施例1のニードルパンチウエブを収縮処理す
るに当り、温水温度を58℃としたところタテ、ヨ
コの収縮率は各々13%、14%でタテ/ヨコ収縮率
比は0.93と高かつたが、面積収縮率は25%と低
く、実施例1と同様にして不織布にしたが、ソフ
ト性や折り曲げ段の目立つものであつた。この不
織布を実施例1と同様にして人工皮革にして評価
した結果、表−1に示すようにソフト性に欠け、
更に折り曲げ角の出るもので製靴性及び実着用の
フイツト感に欠けるものであつた。 比較例 3 実施例1の収縮ウエブを使い、加圧加熱する温
度を110℃として不織布にしたところ、実施例1
よりソフト感に欠けるものであつた。この不織布
を実施例1と同様にして人工皮革にして評価した
結果、表−1に示すようにソフト感に劣り、折り
曲げシワはやや丸味の欠けるもので、製靴性及び
実着用性もやや劣るものであつた。 比較例 4 実施例1の開綿された繊維を使い、空気流を利
用し繊維を堆積して得たウエブのみで目付300
g/m2とした。このウエブを実施例1と同様にニ
ードル結合し、収縮処理し、加圧加熱処理して不
織布を作成した。この不織布を実施例1と同様に
人工皮革にして評価した結果、表−1に示すよう
にヨコ伸びが大きく着用時の型くずれを発生する
ことやヨコ方向の腰のない折り曲げ段のあるもの
しかならなかつた。 比較例 5 実施例1の開綿された繊維を使い、カードから
紡出したフリースのみをクロスラツパーで交叉角
度16゜で積層して目付300g/m2のウエブを作成し
た。このウエブを実施例1と同様にして不織布に
したところタテ方向の収縮率は張力により伸び易
く18%で、タテ/ヨコの収縮率比は0.72で面積収
縮率は39%であつた。この不織布を実施例1と同
様に人工皮革にして評価した結果、タテ方向の腰
のないもので、タテ折り曲げ段も発生し、製靴性
及び実着用性に劣るものであつた。
【表】
【表】
表−1における製靴性・有用性の評価結果の◎は
優秀、○は良好、△はやや不良、×は不
良を意味する。
<効果> 以上説明したように、本発明の方法による不織
布は人工皮革用としてタテ、ヨコ方向の20%伸長
時の応力、柔軟性と圧縮応力(腰)及び柔軟性と
圧縮応力とのバランスに優れたもので、実用上も
製靴性、着用性に良好な人工皮革用の不織布とし
て有効なものである。
優秀、○は良好、△はやや不良、×は不
良を意味する。
<効果> 以上説明したように、本発明の方法による不織
布は人工皮革用としてタテ、ヨコ方向の20%伸長
時の応力、柔軟性と圧縮応力(腰)及び柔軟性と
圧縮応力とのバランスに優れたもので、実用上も
製靴性、着用性に良好な人工皮革用の不織布とし
て有効なものである。
第1図は主として長手方向に繊維が配列したウ
エブ()の上にカードから紡出されたフリース
()をクロスラツパーで折り返し交叉積層する
状態を表わすモデル図である。図中1はウエブ
()、2はフリース()、θはウエブ()上
のフリース()の折り返し交叉角度を示す。
エブ()の上にカードから紡出されたフリース
()をクロスラツパーで折り返し交叉積層する
状態を表わすモデル図である。図中1はウエブ
()、2はフリース()、θはウエブ()上
のフリース()の折り返し交叉角度を示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 収縮処理後潜在自発伸長性を有する高収縮性
ポリエステル繊維からなり繊維が主として長手方
向に配列しているウエブ()に、収縮処理後潜
在自発伸長性を有する高収縮性ポリエステル繊維
からなりカードより紡出されたフリース()
を、該ウエブ()に対する該フリース()の
重量比が70〜30:30:70となる量、交叉角度が
90゜未満になるように折り返し積層して積層ウエ
ブとなし、該積層ウエブに絡合処理を施した後収
縮処理することによつて該積層ウエブをその表面
積において30%以上収縮させると共に長手方向に
対しそれに直角な方向の収縮率の比が1〜0.7と
なる量収縮させ、次いで繊維が自発伸長を発現す
る温度で且つ該積層ウエブの面積が実質的に拡大
しないように拘束した状態で熱処理することを特
徴とする不織布の製造法。 2 収縮処理後潜在自発伸長性を有する高収縮性
ポリエステル繊維が、70℃の温水中で30%以上の
収縮性を有する繊維である特許請求の範囲第1項
記載の不織布の製造法。 3 拘束熱処理温度が、収縮処理後の繊維が少な
くとも5%自発伸長する温度である特許請求の範
囲第1項又は第2項記載の不織布の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP59110955A JPS60259663A (ja) | 1984-06-01 | 1984-06-01 | 不織布の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP59110955A JPS60259663A (ja) | 1984-06-01 | 1984-06-01 | 不織布の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS60259663A JPS60259663A (ja) | 1985-12-21 |
JPH0127177B2 true JPH0127177B2 (ja) | 1989-05-26 |
Family
ID=14548767
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP59110955A Granted JPS60259663A (ja) | 1984-06-01 | 1984-06-01 | 不織布の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS60259663A (ja) |
-
1984
- 1984-06-01 JP JP59110955A patent/JPS60259663A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS60259663A (ja) | 1985-12-21 |
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