JPH0125557Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、農作物を育苗するための紙筒育苗容
器を多数保持する側枠体に関するものである。

（従来の技術及びその課題） 農作物の収量を増大させる一要素として、「苗
作り半作」と称されるように健全で強固な苗を育
成させることがあげられる。こうしたことから、
近年、健全苗を育成させるのに有効な紙筒容器が
使用されるようになつた。このような育苗容器に
よる育苗はビニールハウス内で行われることもあ
るが、露地を床としてこの上に載置して育苗する
ことも行われている。後者の場合育苗期間中にお
いて外周部に位置する育苗容器の面が大気にさら
されるため育苗容器の周辺に土盛や木板等を巡ら
せることが行われているが、土盛の場合には土盛
の土自体の保有熱により周辺部と内部の育苗容器
に乾湿の差が生ずると共に、苗床の側壁に土砂を
盛り上げたり、土砂を取り除く作業を行わなけれ
ばならず、これらの作業に必要とされる土寄せ用
の土砂の採取、運搬は困難な作業であつた。

また、特に寒冷地農業の主幹作物であるビート
では、ビニールハウス内の育苗において床替を行
う必要がある。この床替の目的は、苗の選別、根
がらみの切断、酸素の供給、水分のコントロール
等であるが、従来の育苗では苗床の周囲を土砂で
囲つていたので、床替を行うには苗床の側壁の土
砂を取り除く作業を行わなければならないが、こ
の作業のため育苗の紙筒の外周を傷つけたり破損
したり、また苗をも破損することが多く、更には
苗ずらし後、再び土砂を盛り上げる作業が必要と
された。これらの作業を繰り返すことは、膨大な
エネルギーが必要とされると共に、ビニールハウ
スの内などの狭隘な場所での作業は困難であつ
た。

また木板等の場合には、陽当たりを遮断して周
辺部の育苗容器の日照を阻害すると共に、木板の
含水による温度の低下に左右され、育苗用紙筒の
位置により育苗に温度差が生じて苗の成育を不揃
いにする欠陥があつた。

本考案は上記欠陥を是正するべく考案なされた
もので育苗の位置にかかわらず、成育度の揃つた
苗を得ると共に、設置および移動が容易で作物栽
培作業を容易とする紙筒育苗用側枠体を提供する
ことを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記課題を解決するために本考案は、紙筒育苗
容器を囲繞して固定保持する紙筒育苗用側枠体で
あり、地表面に直接固設されると共に、軽量で断
熱性を持つ材料よりなり、上記育苗容器に接する
内側面部を該育苗容器の高さに略々等しくし、外
側面部を該育苗容器より高く設定し、上記内側面
部の上端部に傾斜部を設け、且つ、上記多数の育
苗容器を挾んで対設した水平な上面部に作業板を
掛け渡し状に載置可能にしたことを特徴とする。

（作用） 地表面に紙筒育苗容器を密接状に多数配設し、
その周囲を紙筒育苗用側枠体で囲繞し固定保持す
る。このとき内側面部の上端に構成した傾斜部を
育苗容器側に向けて側枠体を配置する。また、多
数の育苗容器を挾んで対設した側枠体の上面を水
平にし作業板を掛け渡して載置可能にする。

（実施例） 本考案の実施例を図面に基づいて説明すると、
第１図において、１は農作物の苗を育成するため
の紙筒容器４，４…を多数密接状に配設して固定
保持する紙筒育苗用側枠体である。即ち、この紙
筒育苗用側枠体１の中央に多数の紙筒育苗容器
４，４…を集合させこれらを囲繞して後述する接
続具によつて地表面に側枠体１を直接固設する。

側枠体１は、比較的軽量で強度があり、且つ、
十分な断熱性を持つ材料、例えば発泡スチロール
等で形成する。容器４，４…の各側辺となる側枠
体１は、容器４，４…に面する内側上部を斜めに
切り落とした状態の傾斜部２を長手方向に連続的
に形成してなる。この傾斜部２の傾斜角度は太陽
の角度と方位を考慮して決定されるが、垂直に対
して30度程度であり、実用的には45度もあれば充
分である。この傾斜部２は太陽光線を遮断しない
という効果と共に、苗側に反射せしめる効果も有
する。

育苗容器４，４…に接する垂直な内側面部３の
高さを育苗容器４，４…の高さに略々等しく、反
対側の外側面部６は育苗容器４，４…の高さより
高く設定し、外側面部６の上端の高さに水平な上
面部５を形成する。つまり、水平な上面部５を育
苗容器４，４…の高さより上方に位置させる。ま
た、外側面部６乃至上面部５の高さは、内側面部
３の高さの1.3〜1.5倍の範囲で選択すればよい。
また側枠体１の幅ｄは10cm位が適当である。

前記上面部５は、例えば走行装置の走路に利用
できるほか、一定間隔に設置した左右枠体１，１
の両者間に板等を渡して人が作業できるようにす
るため適当な幅をもつた水平面として形成されて
いることが望ましく、幅d′としては実験の結果か
ら５cm位が望ましい。

このように構成した育苗用側枠体１を使用する
ときは第２図に示すように苗床に載置した育苗容
器４に対して傾斜部２が内側となるように、かつ
側面部３を育苗容器４の周辺に接して配置する。
このように配置することによつて、側枠体１と周
辺部の育苗容器４との間の熱の出入りがなく、か
つ周辺部の育苗容器４の側面が大気から遮断され
て保温状態となるので側枠体１，１間にある育苗
ようき４，４…のすべてが同じ条件の下に置かれ
ることになる。

上記において大規模の育苗容器に施用する場合
には、例えば第３図に示すように側枠体１の両側
底部に穴７を穿説し、第４図に示すような貫通穴
８，８を穿つた板体９と、棒体１０，１０からな
る接続具を構成し、この接続具を第５図に示す如
く板体９の上面を地表面１１に合わせるように板
体９を埋設し、棒体１０，１０を上方の一部を残
して、前記穴８，８を通して地中に打込んで固定
し、棒体１０，１０の露出部に連接した側枠体
１，１の穴７，７を夫々挿入するのである。これ
により隣接する側枠体１，１の接続部分は密接
し、上面部５，５も一平面に揃うのである。

上記実施例における、接続具は板体９と棒体１
０，１０より成るが、どのような構成を採つても
よく、たとえば、縦長な板材の上部を直角に折り
曲げて逆Ｌ字状乃至鉤状に形成した接続具を用い
て、側枠体１の外側面部６に接面させて地表面に
打ち込み、接続具の曲折部を側枠体１の上面部５
に当接させ固定するようにしてもよい。

更に上述の如く複数の側枠体１，１…を接続し
て使用するときでも上面部５，５…は平面に揃う
のでこの上面部５，５…を走行路に利用して育苗
管理用の各種装置を取付けた走行用の装置（図示
せず）を左右の側枠体１，１…上を走行させるこ
とができ便利である。

またこの上面部５，５に板を掛け渡し、この板
の上に作業者が乗つて除草や苗の間引きが容易に
行えるようになつた。

（考案の効果） 以上述べた如く本考案によれば、露地に育苗容
器を置いて育苗する場合でも周辺部の育苗容器の
側面を大気から保護すると共に日照を阻害するこ
とがないので育苗容器の全体を同じ育苗条件に置
くことができるため、成育度の揃つた苗を得るこ
とができると共に、ハウス面積に応じて育苗設置
が自由で移動も容易に行えるから、床替作業も容
易に行えるなど、作物栽培を効率的に行える等の
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
全体斜視図、第２図は使用状態を示す部分断面
図、第３図は側枠体に穴を穿設した状態を示す説
明図、第４図は接続具の斜視図、第５図は接続具
による接続の説明図である。 １……育苗用側枠体、２……傾斜部、３，６…
…側面部、５……上面部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 密接状に多数配設した紙筒育苗容器を囲繞して
   固定保持する紙筒育苗用側枠体であつて、地表面
   に直接固設されると共に、軽量で断熱性を持つ材
   料よりなり、上記育苗容器に接する内側面部を該
   育苗容器の高さに略々等しくし、外側面部を該育
   苗容器より高く設定し、上記内側面部の上端部に
   傾斜部を設け、且つ、上記多数の育苗容器を挾ん
   で対設した水平な上面部に作業板を掛け渡し状に
   載置可能にしたことを特徴とする紙筒育苗用側枠
   体。