JP3045665U - 農業用組立式パイプベンチ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 苺等の栽培で、育苗用としても定植用とし
ても、同じものが使用できる経済的な簡易型パイプベン
チを提供する。 【構成】 腰の高さ位に設置された２本のパイプの間
を、およそ１３ｃｍの幅で平行に保持するために、育苗
時には線材製の横張り、定植時には板金製の横張りと、
取り外し組み立て可能な形状にした横張りで締結固定し
たことを特長とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、苺等の栽培を行なう際、育苗用としても定植用としても、期間を通 して使用可能とした、農業用簡易型組立式パイプベンチに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、苺の栽培には、親株から伸びたランナーから子株を採取し、ポリポット やトレイなどに１株ずつ植えつけ、それを地面や育苗用ベンチの上に並べて一定 期間育苗した後、ビニールハウス内の苗床などに定植するという方法が取られて いた。その間、育苗と定植とでは苗の大きさ、必要とする土壌の量、養分の量、 株間距離などの違いから、育苗時には狭い面積、定植時には広い面積を必要とし た。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来行なわれている苺の栽培方法には、次のような不便があった。 （イ）育苗にしても定植にしても、地面で行なわれることが多いことから、炭ソ 病などの病気の発生が起こりやすく、また、いったん病気が発生すると伝染も早 く、沢山の苗が使えなくなった。 （ロ）地面で行なう作業では膝や腰への負担が大きく、膝痛や腰痛など身体の不 調の原因にもなった。 （ハ）地面で行なうことの多い農作業は、膝痛や腰痛などの問題も含め、若い人 から敬遠されがちで、農家の後継ぎ不足の一因ともなった。 （ニ）地面で行なう作業をなくし、立って作業できるようにしたのがベンチ栽培 であるが、現存する栽培ベンチとしては、水耕栽培やロックウール栽培など、大 がかりなシステム栽培用ベンチが主流であり、非常に高額な設備投資が必要であ った。 （ホ）育苗時にポットやトレイを並べるために使用される従来型のベンチとして は、溶接式の枠にエクスパンドメタルなどを張ったものが殆どである。しかし、 その場合でもかなり高価なものであるため、大量の苗を栽培する農家では育苗だ けでも広い面積を必要とし、高額な費用負担を必要とした。 本考案は、これらの欠点を解消するためになされたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

（イ）パイプ１の端や中間にパイプがたわまないような間隔で脚２を付け、立っ て作業するのに都合の良い、腰の高さ位に保持する。 （ロ）そのパイプ１を２本平行に配置し、その２本のパイプ１の間隔を一定に保 持するために、取り外し可能な形状にした横張りで２本のパイプ１を締結固定す る。 （ハ）横張りには、線材製フック３、板金製フック５、２枚合わせ式フック６、 またはパイプや金具などのジョイント類を使用する。 （ニ）育苗時には、１つのケースに複数の仕切り枠のある育苗用トレイ４を使用 する。 （ホ）定植時には、ピートモスなどの養土を、水を含んでもバラバラにならない ように袋で包んだ生育マット７を使用する。 以上の構成からなる農業用組立式パイプベンチ

【０００５】

【作 用】

育苗時には、線材製フック３を横張りとして使用して組み立てられた本考案の ベンチに、苗を植えつけた育苗トレイ４を、ベンチ上部の２本の平行なパイプ１ に育苗トレイ４の下面仕切り溝を嵌合させて置き、一定期間育苗の用に供す。定 植時には、育苗トレイ４を外して、線材製フック３の上に板や穴明きボードなど を敷いたり、または線材製フック３を板金製フック５や２枚合わせ式フック６な どに替えた後、その上に生育マット７を置く。定植は生育マット７の上面に穴を 明け、そこに苗を植えつけ栽培を行なう。

【０００６】

【実施例】

以下、本案の実施例について説明する。 （イ）パイプ１の端を曲げるか、パイプ１の全長が長い場合などには別のパイプ で、パイプの端や中間にパイプがたわまないような間隔で脚２を設け、パイプ１ の高さを、立って作業するのに都合の良い腰の高さ位に保持する。 （ロ）平行に設置された２本のパイプの間隔は、およそ１３ｃｍくらいになるよ うに、予め使用する育苗トレイ４の底面の仕切り溝ピッチに合わせて、横張りで 締結固定する。 （ハ）育苗には、高密度に苗を植えつけ出来る育苗用トレイ４を使用する。 （ニ）育苗時に使用する横張りには、育苗トレイ４の下面の仕切り溝のスペース に納まりやすい線材製フック３が適している。 （ホ）育苗時には、苗を植えつけた育苗トレイ４を、ベンチ上部の平行な２本の パイプ１に、育苗トレイ４の下面の仕切り溝を嵌合させて置く。 （ヘ）平行に配置された２本のパイプ１の間隔と、育苗トレイ４の下面の仕切り 溝ピッチが合っているため、育苗トレイ４は苗や養土や水分の重みでパイプ１に 嵌め合わさった状態で安定して保持される。 （ト）その際、線材製フック３の長手方向の位置は、育苗トレイ４が線材製フッ ク３に干渉して乗り上げたり、途中で垂れ下がったりすることのないよう、育苗 トレイ４の仕切り溝の位置に合わせて適宜調整する。 （チ）定植時に使用する横張りには、生育マット７を面で支えてたわみやうねり が生じないように、ある程度幅のある板金製フック５や２枚合わせ式フック６な どが適している。 （リ）定植時には、育苗トレイ４をベンチから外し、線材製フック３を、必要に 応じて、板金製フック５や２枚合わせ式フック６などに替え、生育マット７をそ の上に置く。 （ヌ）生育マット７を本考案のベンチの上に置く際、横張りと生育マット７の間 に、板や穴明きボードなどを敷いても良い。 （ル）生育マット７の上面に苗を植えつける。 （ヲ）生育マット７に植えつけられた苗は、施肥や灌水などの管理を続けること により結実し、やがて収穫の時期を迎える。 （ワ）生育マット７の幅はベンチの幅と同様およそ１３ｃｍと狭く、苺が実を付 けたときには生育マット７の側面に並んでぶら下がるようになる。

【０００７】

【考案の効果】

本考案のベンチを構成するパイプについては、ビニールハウス用などとして、 広く一般に普及している農業用亜鉛メッキパイプが使用出来るため、比較的安く 材料を入手することができ、脚を付ける金具類についても、ビニールハウス用の ジョイント類がそのまま使用できる。また、本考案のベンチは構造も単純で、短 時間で組み立てることが出来るため、工事費も安く、育苗にも定植にも同じ１つ のベンチが使えるため、非常に経済的である。 経済的な簡易ベンチの登場は、立ったままでの作業、腰痛や膝痛からの開放、 栽培中の病気の発生や伝染の抑制、カビの発生防止など、ベンチ栽培の利点を広 く一般に提供することが出来る。 また、本考案のベンチでは、生育マット７の幅が狭いために苺の実は生育マッ ト７の横面にぶら下がるように成るため、日当たりがよく、苺の色付きも良くな ると同時に、収穫作業にもとても都合が良い。 育苗の際、苗を育苗トレイ４を利用することで、より小面積で高密度に多数の 苗を集中的に管理することが出来る。 定植にピートモスなどを主体とする生育マットを利用することにより、養土の 交換の際にも焼却処分が可能となり、産業廃棄物の問題等が発生しない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の横張りに、線材製フック３を使用した
場合の実施例を表す説明図である。

【図２】本考案の横張りに使用する線材製フック３を表
す斜視図である。

【図３】本考案のベンチ上のパイプ１に育苗トレイ４を
嵌合させて置いた場合の実施例を表す斜視図である。

【図４】本考案のベンチに育苗トレイ４を置いた場合
の、育苗トレイ４の下面仕切り溝に対する線材製フック
３の長手方向の位置関係を示す説明図である。

【図５】本考案のベンチの育苗時の使用状態を表す説明
図である。

【図６】本考案の横張りに使用する板金製フック５を表
す斜視図である。

【図７】本考案のに使用する横張りを、２枚合わせ式に
した場合の２枚合わせ式フック６を表す説明図である。

【図８】本考案のベンチの定植時の使用状態を表す説明
図である。

【図９】本考案のベンチの定植時の実施例を表す斜視図
である。

【符号の説明】

１ パイプ ２ 脚 ３ 線材製フック ４ 育苗トレイ ５ 板金製フック ６ ２枚合わせ式フック ７ 生育マット ８ 抜け止め

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】パイプの端や中間に脚２を設けたパイプ１
   を平行に２本配置し、その２本のパイプ１の間隔を一定
   に保持するために、取り外し可能な形状にした横張りで
   締結固定する構造とした農業用組立式パイプベンチ。