JPH0124773Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、所定の速度で定速回転するキヤプス
タン軸に磁気テープを圧着挾持し、この磁気テー
プを定速走行させる磁気記録再生装置のテープ駆
動装置に関する。

従来、ビデオテープレコーダやテープレコーダ
等の磁気記録再生装置のテープ駆動装置にあつて
は、定速回転するキヤプスタン軸にゴス等の弾性
材料からなるピンチローラが圧着して磁気テープ
を挾持し、磁気テープを定速走行させるキヤプス
タンピン・チローラ方式が広く用いられている。
このキヤプスタン・ピンチローラ方式を用いたテ
ープ駆動装置にあつては、ワウやフラツターによ
る磁気再生特性の劣化を防止するため走行する磁
気テープが常に一定の位置を走行するように、キ
ヤプスタン軸とピンチローラの回転軸心が正確に
平行となり、ピンチローラによる磁気テープのキ
ヤプスタン軸に対する圧着力が磁気テープの全幅
に亘つて均一となるようにする必要がある。

ところで、キヤプスタン・ピンチローラ方式の
テープ駆動装置は、キヤプスタン軸に対しピンチ
ローラが接離する構造であるため、キヤプスタン
軸又はピンチローラの取付け軸が偏心している
と、ピンチローラがキヤプスタン軸の圧接面に対
し圧着力が均一とならなくなる。このようなピン
チローラのキヤプスタン軸に対する圧着力の不均
一化の発生の原因となるキヤプスタン軸とピンチ
ローラの相対的な偏心を吸収するため、ピンチロ
ーラの支持軸に調芯機構を設け、あるいはピンチ
ローラの圧着操作アームとなるピンチローラアー
ムに調整機構を設けたものなどが用いられてい
る。上記ピンチローラの支持軸に調芯機構を設け
たものは、第１図に示すように略コ字状に折曲げ
形成したピンチローラアーム１に軸支した支持軸
２の中心部にベアリング３を介在させて弾性部材
で形成したピンチローラ４を取付け、このピンチ
ローラ４が上記ベアリング３を中心にして回動変
位する構造とされている。そして、例えば偏心す
るキヤプスタン軸に対して圧着する場合に、ピン
チローラ４は上記回動変位する範囲で変位して調
芯機構が働き偏心するキヤプスタン軸に対し均一
な圧着力をもつて圧着するように機能する。

しかし、第１図に示す如き構造のものにあつて
は、ピンチローラ４は、ベアリング３を中心にし
ていずれの方向にも偏位するものであるため、走
行する磁気テープに対する位置が安定せず、特に
リバース機能を備えた装置に適用した場合、磁気
テープ６の走行方向の切換えに応じ偏位する方向
が変つてしまう。例えば、磁気テープ６が第２図
に示すように正方向へ走行する状態から走行する
状態に切換えたとき、走行する磁気テープ６から
の力を受け一時的に該磁気テープ６の走行方向へ
第３図に示す如く偏位した後再び第２図に示す状
態に復帰する。このようにピンチローラ４の偏位
方向が移動するとキヤプスタン軸に対するピンチ
ローラ４の圧着位置がずれ、その結果磁気テープ
６の走行高さが変わつてしまい記録トラツクのト
ラツクずれを生じ再生信号にノイズが出てしま
う。

また、ピンチローラアームに調整機構を設けた
ものは、ピンチローラアーム内にピンチローラ支
持枠を介在させ、このピンチローラ支持枠を介し
てピンチローラを取付けるようになし、磁気テー
プの走行方向に対する調芯はピンチローラ支持枠
のピンチローラアームに対する取付け位置を調整
して行ない、キヤプスタン軸に対する圧着方向へ
の調芯についてのみピンチローラ支持枠とともに
ピンチローラが変位するようになし、磁気テープ
の走行時にピンチローラが磁気テープの走行方向
への変位が行なわれないように構成したものが提
供されている。しかし、この種のものにあつて
は、あらかじめ組付けられたキヤプスタン軸に対
しそれぞれ取付けられる個々のピンチローラの取
付け位置を、ピンチローラ支持枠のピンチローラ
アームに対する取付け状態の調整を行なつて調整
をする必要があるため、ピンチローラの取付け工
程が複雑となり作業性が悪く量産性に適合しない
ばかりか、ピンチローラ機構の複雑化を避けるこ
とができず機構が大型化してしまい、小型化を図
る磁気記録再生装置に適用することが困難であ
る。

そこで、本考案は従来のテープ駆動装置が有し
ていた欠点を解決することを目的にして案出され
たものであり、磁気テープの走行方向の切換えに
よつて生ずるピンチローラのキヤプスタン軸の圧
着位置の変位に基づく磁気テープの走行高さの変
化の発生を防止し、トラツクずれによる再生ノイ
ズの発生の防止をなすとともに磁気テープのテー
プ走行の立上りを円滑になし安定したテープ走行
を保障することができ、さらに機構の複雑化を図
ることがなく小型化を図る装置にも適合すること
が可能な磁気記録再生装置のテープ駆動装置を提
供しようとするものである。

以下、本考案を図面に示す具体的な実施例を参
照して説明する。

本考案によるテープ駆動装置は、回転磁気ヘツ
ドを取付けた回転ドラムに磁気テープを巻回走行
させて映像信号の記録・再生を行なうヘリカルス
キヤン型のビデオテープレコーダの如き磁気記録
再生装置に適用されるものであつて、第４図はそ
の具体的実施例を示す平面図であり、第４図中１
１は、回転磁気ヘツドが取付けられるとともに磁
気テープが巻回走行させられる回転ドラム装置で
あり、この回転ドラム装置１１へ巻回して走行す
る磁気テープの上記回転ドラム装置１１からの出
口側近傍に本考案によるテープ駆動装置が設けら
れている。本考案によるテープ駆動装置は、図示
しないキヤプスタンモータによつて定速駆動させ
られるキヤプスタン軸１２と、このキヤプスタン
軸１２に圧接して磁気テープを定速駆動させるゴ
ム等の弾性材からなるピンチローラ１３と、この
ピンチローラ１３を支持するピンチローラアーム
１４と、ソレノイドプランジヤー１５により回動
される押圧操作レバー１６を介して回動操作され
上記ピンチローラアーム１４を押圧操作して上記
ピンチローラ１３をキヤプスタン軸１２に圧接操
作するピンチローラ圧着アーム１７とから構成さ
れている。

そして、上記キヤプスタン軸１２は、水平基準
面に対し垂直になるようにシヤーシ基板に植立さ
れる。また、ピンチローラ１３は、第５図及び第
６図に示すように、連結片１８の両端に相対向す
るように折曲げて一対の支持片１９，２０を設け
た全体を略コ字状に形成したピンチローラアーム
１４の上記一対の支持片１９，２０間に軸支され
た支持ピン２２に回転自在に取付けられる。な
お、ピンチローラ１３は支持ピン２２に対し偏心
しないように第７図に示すように中央部に一対の
ベアリング２３，２４を介在させて上記支持ピン
２２に取付けられる。上記ピンチローラアーム１
４は、一対の支持片１９，２０の基端側に連通す
るように穿設した長孔２５を、シヤーシ基板２６
に植立した第１の支軸２７に対し揺動且つ回転自
在に取付けられる。上記長孔２５は、ピンチロー
ラアーム１４がピンチローラ圧着アーム１７によ
つて押圧操作されてキヤプスタン軸１２方向へ回
動操作される方向に対して第１の支軸２７を中心
にして偏位し得るように、上記ピンチローラアー
ム２１の回動方向を長手方向として形成されてい
る。また、ピンチローラアーム１４は、第１の支
軸２７に基端側に設けた筒状の挿通部２８を挿通
支持させ先端側の単板状をなし弾性を有する押圧
片２９を上方側の一方の支持片１９に圧接させて
なる板バネで形成された押圧部材３０によつて、
キヤプスタン軸１２から離間する方向に付勢され
第１の支軸２７に押圧される。なお、ピンチロー
ラアーム１４は上下端を第１の支軸２７に対し均
一な力で押圧されるように、下方側の他方の支持
片２０は第１の支軸２７の基部に巻回され一端が
シヤーシ基板２６上の係止突起３１に係止された
上記押圧部材３０の押圧力と同一の押圧力を有す
るスプリング手段としてのコイルスプリング３２
の他端３３によつて同じくキヤプスタン軸１２か
ら離間する方向に付勢されている。

上記ピンチローラアーム１４を押圧操作し、ピ
ンチローラ１３をキヤプスタン軸１２に圧着せし
めるピンチローラ圧着アーム１７は、第８図、第
９図及び第１０図に示すようにピンチローラアー
ム１４の上下一対の支持片１９，２０に対応して
これら支持片１９，２０を押圧する一対の押圧部
３４，３５を有している。これら押圧部３４，３
５は、シヤーシ基板２６に植立された第２の支軸
３６に挿通支持されたスリーブ３７の上下端に相
対向するように固定された取付け片３８，３９の
先端にローラ４０，４１を軸支して構成されてい
る。上記スリーブ３７に固定される取付け片３
８，３９は、基端側に連通するように穿設された
ピンチローラ圧着アーム１７の回動方向を長手方
向とした長孔４２を介して第２の支軸３６に挿通
されている。また、スリーブ３７は、第２の支軸
３６が挿通する支軸挿通孔４４を上記第２の支軸
３６の径より太径となすとともに上記支軸挿通孔
４４の中央部に突出させた突起部４５部分で第２
の支軸３６に支持され、第２の支軸３６の下端側
段状部４６ａ上に位置決めされている。従つて、
ピンチローラ圧着アーム１７は、スリーブ３７の
突起部４５を中心にして長孔４２，４３にガイド
されて第２の支軸３６に対しピンチローラアーム
１４の押圧方向に揺動変位させられる。さらに、
ピンチローラ圧着アーム１７の一対の取付け片３
８，３９の先端側には、これら取付け片３８，３
９間を連結する連結部材４６が取付けられ、この
連結部材４６の一側へ突出した舌片４７には、ピ
ンチローラ圧着アーム１７を押圧操作する押圧操
作レバー１６の力を受ける支柱４９が植立されて
いる。上記押圧操作レバー１６は支柱４９の基端
部に当接するようになされ、この押圧操作レバー
１６の支柱４９に対する当接点は、連結部材４６
の中心点となるようになし、押圧操作レバー１６
によるピンチローラ圧着アーム１７に対する押圧
力が均等に押圧部３４，３５に伝達するように構
成される。

上記押圧操作レバー１６は、第４図に示すよう
に基端側をソレノイドプランジヤー１５のプラン
ジヤー５０の先端に回動自在に軸支され、先端側
はシヤーシ基板２６に軸５１を介して回動自在に
取付けられた連結リンク５２に軸支されるととも
に引張りバネ５３によつてピンチローラ圧着アー
ム１７から離間する方向に付勢されている。

上述のように構成された本考案によるテープ駆
動装置は、この装置を設けた当該磁気記録再生装
置を再生操作モード又は記録再生モードとなすよ
うにフオワード操作釦が操作されると、ソレノイ
ドプランジヤー１５が動作しプランジヤー５０が
吸着される。プランジヤー５０が吸着されると押
圧操作レバー１６に連結された連結リンク５２が
軸５１を中心にして第４図中時計方向に回動し、
上記押圧操作レバー１６を引張りバネ５３に抗し
て第４図矢印Ａ方向に回動させる。押圧操作レバ
ー１６が回動させられると、この押圧操作レバー
１６によつてピンチローラ圧着アーム１７は第２
の支軸３６を中心にして同じく第４図中矢印Ａ方
向に回動させられ、ピンチローラアーム１４をキ
ヤプスタン軸１２方向に回動させ、このピンチロ
ーラアーム１４に取付けたピンチローラ１３をキ
ヤプスタン軸１２に圧着し、このピンチローラ１
３とキヤプスタン軸１２で磁気テープを挾持す
る。そして、ピンチローラ１３は、キヤプスタン
軸１２の回転に合わせ第４図中Ｂ方向に回転し、
磁気テープを定速走行させて送り出し動作する。

上述のような動作をもつてソレノイドプランジ
ヤー１５によつて操作される押圧操作レバー１６
によつてピンチローラ圧着アーム１７及びピンチ
ローラアーム１４がキヤプスタン軸１２方向へ回
動操作され、ピンチローラ１３を圧着する際、キ
ヤプスタン軸１２とピンチローラ１３の支持ピン
２２の軸心が正確に平行となつていず相対的に偏
位しているような場合にあつては、ピンチローラ
アーム１４及びピンチローラ圧着アーム１７は、
それぞれ第１及び第２の支軸２７，３６に対し長
孔２５及び４２を介して軸支されているため、上
記第１及び第２の支軸２７，３６に対し各長孔２
５及び４２の幅の範囲で揺動変位し、上記相対的
偏位量が吸収されピンチローラ１３とキヤプスタ
ン軸１２の軸心が平行となる。そして、ピンチロ
ーラ１３は軸方向全幅に亘つて均一な圧着力をも
つてキヤプスタン軸１２に圧着することになる。

ところで、本考案にあつては、ピンチローラ１
３をピンチローラアーム１４に対して固定式とな
し、ピンチローラアーム１４の回転中心となる第
１の支軸２７への支持点はキヤプスタン軸１２へ
の圧着方向の長孔２５となすことにより、第１１
図に示す如くピンチローラ１３はキヤプスタン軸
１２への圧着方向に対してのみ同図中矢印Ｃ方向
に回動偏位することになり、磁気テープの走行方
向に対しては回動偏位しない。従つて、従来のも
ののように磁気テープの走行方向を切換えた場合
にピンチローラ１３が揺動することがないので、
磁気テープの走行高さが可変することがない。

また、ピンチローラアーム１４は、キヤプスタ
ン軸１２から離間した状態で押圧部材３０によつ
て第１の支軸２７に押圧付勢されているので、ピ
ンチローラ１３がキヤプスタン軸１２に圧着する
瞬間にピンチローラ１３とキヤプスタン軸がほぼ
平行となることが可能となり、磁気テープ１００
を瞬時に均等な圧着力で挾持することが可能とな
る。さらに、ピンチローラアーム１４を押圧操作
し圧着力を伝達するピンチローラ圧着アーム１７
も回転中心となる第２の支軸３６への支持点はピ
ンチローラアーム１４を押圧する方向の長孔４２
となすことにより、第１１図に示す矢印Ｄ方向に
回動偏位しキヤプスタン軸１２にならつて偏位し
たピンチローラアーム１４に上下均等な力をもつ
て押圧することができる。

さらにまた、ピンチローラ圧着アーム１７は押
圧操作レバー１６によつて中央部を押圧するよう
になすことによつて、ピンチローラ１３の全幅に
おける圧着力のムラを防止することが可能とな
る。

本考案は、磁気テープの走行方向に対しピンチ
ローラを調芯しない構造となし得るので、磁気テ
ープの走行方向の切換えによつて生ずるピンチロ
ーラのキヤプスタン軸の圧着位置のずれに基づく
磁気テープの走行高さ位置の変化の発生を防止
し、トラツクずれに基づく再生ノズルの防止を図
ることができるとともに磁気テープのテープ走行
の立上りを円滑になし安定したテープ走行が保障
される。また、ピンチローラアーム等の各構成部
品は組立状態で調整する部分を有していないので
製造が容易であり、量産性に適すると同時に構造
が簡単であるので小型化をも達成でき小型の装置
に適用する場合に効果的となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のピンチローラのピンチローラア
ームへの取付け構造を示す断面図であり、第２図
及び第３図は従来の調芯機構を備えたピンチロー
ラの調芯状態を示す側面図である。第４図は、本
考案装置をビデオテープレコーダに取付けた状態
の平面図であり、第５図はピンチローラアームの
側面図であり、第６図はその平面図であり、第７
図はその側断面図であり、第８図はピンチローラ
圧着アームの正面断面図であり、第９図はその平
面図であり、第１０図はその側面図であり、第１
１図はピンチローラのキヤプスタン軸への圧着状
態を示す正面図である。 １２……キヤプスタン軸、１３……ピンチロー
ラ、１４……ピンチローラアーム、１６……押圧
操作レバー、１７……ピンチローラ圧着アーム、
１９，２０……ピンチローラアームの一対の支持
片、２５……長孔、２７……第１の支軸、３０…
…押圧部材、３４，３５……ピンチローラ圧着ア
ームの押圧部、３６……第２の支軸、４２……長
孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 連結片の両端から延設してなる相対向する一対
   の支持片間に軸支させた支持ピンに回転自在にピ
   ンチローラを取付け、上記一対の支持片の基端側
   に植立した第１の支軸に挿通し、この第１の支軸
   に対し揺動且つ回動自在に取付けられ、上記第１
   の支軸に挿通部が挿通されて上記第１の支軸に対
   して回動自在に軸支されるとともに上記挿通部に
   連なり弾性を有する平板状の押圧部が上記一対の
   支持片の一方の側面を押圧付勢する押圧部材とこ
   の押圧部材の押圧部が当接する上記一方の支持片
   と対向する他方の支持片近傍に設けられキヤプス
   タン軸から上記ピンチローラが離間する方向に回
   動付勢を行うスプリング手段とによつて上記第１
   の支軸に対し押圧付勢されてなる上記ピンチロー
   ラを上記キヤプスタン軸に圧接操作するピンチロ
   ーラアームと、このピンチローラアームの一対の
   支持片をそれぞれ押圧する一対の押圧部を有し、
   これら押圧部の基端側に連通するように穿設した
   長孔を基板に植立した第２の支軸に挿連し、この
   第２の支軸に揺動且つ回動自在に取付けられたピ
   ンチローラ圧着アームと、このピンチローラ圧着
   アームを押圧操作する押圧操作レバーとからな
   り、この押圧操作レバーによるピンチローラ圧着
   アームの押圧操作によつてピンチローラアームが
   上記スプリング手段の付勢力に抗して回動操作さ
   れキヤプスタン軸にピンチローラを圧着せしめる
   とき、ピンチローラ圧着アーム及びピンチローラ
   アームがそれぞれの支軸に対し揺動変位するよう
   にしてなる磁気記録再生装置のテープ駆動装置。