JPH0124375Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、内燃機関に対する気化器のフロート
室に、内燃機関のエンジンルームから離れた箇所
に配設した燃料タンクにおける燃料を供給するた
めの燃料供給装置に関するものである。

〔従来の技術〕

燃料タンク内の燃料を、内燃機関によつて駆動
される燃料ポンプにて気化器のフロート室に供給
する場合、前記燃料ポンプにおける吐出室内に
は、燃料中の空気及び燃料から発生するベーパー
が溜ることにより、燃料のフロート室への供給不
能を招来することがある。

そこで、先行技術としての実公昭36−10403号
公報は、燃料ポンプからの吐出燃料の一部を、リ
ターン通路を介して燃料タンクに還流することに
より、燃料ポンプにおける吐出室内に空気及びベ
ーパーが溜ることがないようにしている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、内燃機関によつて駆動される燃料ポン
プは、内燃機関のシリンダブロツク又はシリンダ
ヘツドに対して直接的に取付けられていて、当該
燃料ポンプの温度が高くなるから、以下のような
別の不具合が発生する。

すなわち、燃料ポンプは、内燃機関の運転に際
し、高い温度になつているから、内燃機関の運転
を停止したときにおいて、当該燃料ポンプ内の燃
料が余熱によつて蒸発し、そのベーパーが吐出弁
を押し開いて吐出室内に入り、吐出室内及びリタ
ーン通路内に溜る一方、吸入室内、及び前記燃料
タンクから吸入室への燃料吸入通路内にも、燃料
ポンプ内における燃料から蒸発したベーパーが溜
ることになる。

この場合、吐出室は、リターン通路を介して燃
料タンクに連通しており、また、吸入室も、燃料
吸入通路を介して燃料タンクに連通しているもの
の、燃料タンクは、内燃機関を車両の前部に搭載
した場合には、車両の後部に配設すると云うよう
に、内燃機関から遠く離れた部位に配設されてい
て、前記リターン通路及び燃料吸入通路は、著し
く長いことに加えて、これら両通路の途中にはＵ
字状の曲がり等のような燃料溜り部が存在してい
ることにより、前記燃料ポンプにおける吐出室及
び吸入室内に溜るベーパーは、可成り高い圧力に
なり、前記吐出室内における燃料は、この高い圧
力のベーパーにてリターン通路を経て燃料タンク
に向つて多量に押し出される一方、前記吸入室及
び燃料吸入通路内の燃料も、前記高い圧力のベー
パーにて燃料タンクに向つて多量に押し出される
ことになるから、これら吐出室、吸入室及び燃料
吸入通路内には、燃料が詰つていない著しく大き
い空容積ができるのである。

従つて、次に内燃機関を再始動するに際して、
燃料ポンプからフロート室への燃料の送出は、吐
出室、吸入室、燃料吸入通路及びリターン通路内
におけるベーパーが、その圧力が低い値にまで下
がるように抜けたのち、吐出室、吸入室及び燃料
吸入通路内に燃料が一杯に充満するまでの時間の
間だけ遅れることになるから、内燃機関の再始動
性が低下するのであり、また、気化器におけるフ
ロート室内に残留している燃料によつて、内燃機
関が、一旦、始動したとしても、その後における
燃料の供給が一時的に跡絶えることにより、内燃
機関にサージング（息付き）やエンジンストール
が発生するのであつた。

本考案は、この不具合を解消することを目的と
するものである。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するため本考案は、内燃機関に
対するエンジンルームから離れた部位における燃
料タンクからの燃料吸入通路を、内燃機関によつ
て駆動される燃料ポンプにおける吸入室に接続す
る一方、前記燃料ポンプにおける吐出室を、イン
レツト通路を介して気化器におけるフロート室に
接続して成る燃料供給装置において、前記燃料ポ
ンプにおける吐出室及び吸入室を、ベーパー抜き
通路を介して、キヤニスタに接続し、該ベーパー
抜き通路中に、内燃機関の運転停止時において開
くようにした弁を設ける一方、前記燃料タンクか
ら吸入室への燃料吸入通路中のうち吸入室に近い
部位に、吸入室への方向にのみ開くようにした逆
止弁を設ける構成にした。

〔考案の作用・効果〕 この構成において、燃料ポンプの吐出室及び吸
入室と、キヤニスタとを連通するベーパー通路中
の弁は、内燃機関の運転中において閉じているか
ら、内燃機関の運転中において、燃料ポンプにお
ける燃料がキヤニスタに流出することはない。

一方、内燃機関の運転を停止すると、前記ベー
パー抜き通路中の弁が開いて、燃料ポンプにおけ
る吐出室及び吸入室が、キヤニスタに連通し、燃
料ポンプにおける吐出室及び吸入室に溜るベーパ
ーは、ベーパー抜き通路を介してキヤニスタに逐
次流出することにより、燃料ポンプにおける吐出
室及び吸入室に溜るベーパーの圧力が高くなるこ
とを防止できるから、吐出室内における燃料が、
リターン通路を介して燃料タンクに押し出される
ことを防止でき、換言すると、吐出室内に、大き
い空容積ができることを防止できる。

しかも、前記のように吸入室内におけるベーパ
ーの圧力が高くならないことに加えて、前記内燃
機関の運転停止と同時に、燃料吸入通路中に設け
た逆止弁が閉じることにより、吸入室内における
燃料及びベーパーが、燃料吸入通路の方に流出す
ることを防止できるのであり、その上、前記逆止
弁を、燃料吸入通路中のうち吸入室に近い部位に
設けたことにより、燃料吸入通路内における燃料
のうち前記逆止弁と吸入室との間の部分における
燃料が、蒸発によつて失なわれる量を小量にとど
めることができるから、前記吸入室及び燃料吸入
通路内に、大きい空容積ができることを防止でき
るのである。

以上の通り本考案によると、内燃機関の運転停
止時において、燃料ポンプにおける吐出室及び吸
入室におけるベーパーの圧力が高くなること、こ
れら吐出室及び吸入室並びに燃料吸入通路内に大
きい空容積ができることの両方を防止できて、内
燃機関の再始動に際して、気化器におけるフロー
ト室への燃料の供給を迅速に行うことができるか
ら、燃料をベーパーを大気中に放出することな
く、内燃機関の再始動性を確実に向上できると共
に、内燃機関にサージングやエンジンストールが
発生することを確実に防止できる効果を有する。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
ると、符号１は、内燃機関に対するエンジンルー
ム（いずれも図示せず）から離れた箇所に設置し
た燃料タンクを、符号２は、内燃機関によつて駆
動されるダイヤフラム式燃料ポンプを、符号３
は、前記内燃機関に対するフロート室４付きの気
化器を各々示し、前記燃料ポンプ２における吸入
室５には、前記燃料タンク１からの燃料吸入通路
１０が接続されている一方、吐出室７には、前記
フロート室４へのインレツト通路１１が接続され
ており、前記燃料ポンプ２におけるポンプ室９内
のダイヤフラムの上下動により、吸入弁６及び吐
出弁８が開閉して、フロート室４への燃料の送出
を行うように構成されている。

符号１２は、前記吐出室７及びインレツト通路
１１から前記燃料タンク１へのリターン通路であ
る。

また、符号２１は、活性炭等の吸着剤を内蔵し
たキヤニスタを示し、該キヤニスタ２１に、前記
燃料ポンプ２における吸入室５及び吐出室７から
のベーパー抜き通路２０を接続し、このベーパー
抜き通路２０中に、内燃機関におけるイグニツシ
ヨンスイツチ２３等に連動して内燃機関の運転時
に閉で、内燃機関の運転を停止すると開くように
した弁２４を設ける。

一方、前記燃料吸入通路１０中には、燃料ポン
プ２における吸入室５に近い部位、すなわち内燃
機関の余熱を受け難い範囲内で可及的に燃料ポン
プ２に近い部位には、当該燃料ポンプ２の方向に
のみ開くように構成した弁体１４及び付勢ばね１
５とより成る逆止弁１３を設ける。

このような構成において、内燃機関を始動する
と、前記ベーパー抜き通路２０中の弁２４が閉じ
ることにより、燃料ポンプ２における吐出室７及
び吸入室５とキヤニスタ２１との連通状態が遮断
されるから、燃料ポンプ２における燃料がキヤニ
スタ２１に流出することはない。

一方、内燃機関の運転を停止すると、前記ベー
パー抜き通路２０中の弁２４が開いて、燃料ポン
プ２における吐出室７及び吸入室５が、キヤニス
タ２１に連通し、燃料ポンプ２における吐出室７
及び吸入室５に溜るベーパーは、ベーパー抜き通
路２０を介してキヤニスタ２１に逐次流出するこ
とにより、燃料ポンプ２における吐出室７及び吸
入室５に溜るベーパーの圧力が高くなることを防
止できる。

これと同時に、燃料吸入通路１０中における逆
止弁１３が閉じることにより、燃料ポンプ２にお
ける吸入室５内の燃料及びベーパーが、燃料吸入
通路１０内に流入することを防止できるから、前
記燃料吸入通路１０のうち前記逆止弁１３と燃料
タンク１との間における部分の燃料が、燃料タン
ク１に流出することはないのである。

なお、前記ベーパー抜き通路２０中に、キヤニ
スタ２１への方向にのみ開くようにした逆止弁２
２を設けておけば、ベーパーのキヤニスタ２１へ
の流出を、当該ベーパーが或る圧力を越えたとき
において行うように規制することができるから、
キヤニスタ２１の容量の増大を回避することがで
きる。また、前記燃料ポンプ２おける吸入室５か
らのベーパー抜き通路２０′中にも、前記弁２４
と同様に内燃機関の運転停止時にのみ開くように
関連させた弁２５を別途設けても良いのである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すものである。 １……燃料タンク、２……燃料ポンプ、３……
気化器、４……フロート室、５……燃料ポンプの
吸入室、７……燃料ポンプの吐出室、１０……燃
料吸入通路、１１……インレツト通路、１２……
リターン通路、１３……逆止弁、２１……キヤニ
スタ、２０……ベーパー抜き通路、２４……弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内燃機関に対するエンジンルームから離れた部
   位における燃料タンクからの燃料吸入通路を、内
   燃機関によつて駆動される燃料ポンプにおける吸
   入室に接続する一方、前記燃料ポンプにおける吐
   出室を、インレツト通路を介して気化器における
   フロート室に接続して成る燃料供給装置におい
   て、前記燃料ポンプにおける吐出室及び吸入室
   を、ベーパー抜き通路を介して、キヤニスタに接
   続し、該ベーパー抜き通路中に、内燃機関の運転
   停止時において開くようにした弁を設ける一方、
   前記燃料タンクから吸入室への燃料吸入通路中の
   うち吸入室に近い部位に、吸入室への方向にのみ
   開くようにした逆止弁を設けたことを特徴とする
   内燃機関における燃料供給装置。