JPH0123658Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、酸化し易い金属の連続鋳造に用い
られる完全密閉型金属連続装置の改良に関するも
のである。

従来、酸化し易い金属を連続鋳造するに際して
は、第１図に概略縦断面図で示されるような密閉
型金属連続鋳造装置が用いられている。図示され
るように、この従来密閉型金属連続鋳造装置は、
振動台車６上に水冷鋳型５が固定され、この鋳型
の上面中央部には、ドロスまたはスカムを表面に
浮かした状態で前記鋳型への溶湯注入を行なう受
皿３が置かれ、さらに前記鋳型上面には、側面に
還元性ガスまたは不活性ガスなどの非酸化性ガス
の導入口７、並びに接続管２の貫通口を有し、か
つ上面にはのぞき窓（図示せず）を有する鋳型カ
バー４が載置されており、前記鋳型と鋳型カバー
とは、それぞれその上端部および下端部に形成し
たフランジ部をボルトにより固定することにより
相互に固着されており、また、一端部が鋳型カバ
ー４内の受皿３の上方に開口し、他端部が溶湯保
持炉１の底部に開口し、ノズルストツパー８によ
り湯量調節を自在とした出湯口９に連続した接続
管２が設けられた構造になつている。なお、第１
図において、１０は溶解炉、１１は耐熱性シール
材である。

しかし、このような構造の従来密閉型金属連続
鋳造装置は、 (a) 鋳型カバー４が振動台車６上に取付けられた
水冷鋳型５に固定されているために、振動台車
６よりの振動が水冷鋳型５を介して直接鋳型カ
バー４に伝わることから、鋳型カバー４の側面
における接続管２のシール部１１などから鋳型
カバー内雰囲気を形成する非酸化性ガスが逃げ
るのを避げることができず、この結果非酸化性
ガス導入口７よりのガス供給量が相対的に多く
なつてコスト高の原因となる。

(b) 同様に、受皿３が水冷鋳型５の上面中央部に
載置された構造を有するので、水冷鋳型５の振
動が直接受皿３に伝わるため、受皿内に浮遊し
ているドロスまたはスカムが鋳塊に巻き込まれ
易くなることから、ドロスやスカムを巻き込ま
ない条件、すなわち鋳造速度の上下限が狭い範
囲に制約された条件での鋳造を予儀なくされ、
この結果鋳造速度を高々１ｍ／min程度にまで
しか上げることができない。

などの問題点をもつものである。

この考案は、上記の従来密閉型金属連続装置の
もつ問題点を解決した完全密閉型金属連続装置を
提供するもので、鋳型カバーと受皿とを水冷鋳型
とは離して別途支持した構造とすると共に、鋳型
カバーの下端部と水冷鋳型の上面部との接続部を
オイルシール構造または耐熱シート材によるシー
ル構造とし、もつて水冷鋳型の振動が鋳型カバー
および受皿に伝達しない構造とし、これによつ
て、水冷鋳型の振動に原因するドロスまたはスカ
ムの鋳塊への巻き込みが皆無となることから、幅
広い鋳造速度での鋳造が可能となり、かつ鋳型カ
バー内を非酸化性ガスのリークなく非酸化性雰囲
気とすることができるようにした点に特徴を有す
るものである。

つぎに、この考案の装置を実施例により図面を
参照しながら説明する。

第２図は、この考案の完全密閉型金属連続鋳造
装置の概略断面図、 第３図は、この考案の別の実施例の要部概略断
面図、 第４図は、この考案の鋳型カバーの屋根を除い
て見た概略斜視説明図、 第５図は、シール構造の斜視図、 である。

支柱１２は作業床上に立てられており、鋳型カ
バー４の側面は支柱１２の支柱腕１２ａに固定支
持されている。上記鋳型カバー４内の対向側面に
は、２本の支持棒１３がかけ渡されており、上記
２本の支持棒１３に受皿３のフランジ３ａをかけ
わたし、受皿３が鋳型カバー４内に保持されるよ
うになつている。

一方、水冷鋳型５は、従来密閉型金属連続鋳造
装置と同様に、振動するようになつている。

上記鋳型カバー４の下端部と、水冷鋳型５の上
面部との接続部を、振動が伝達しない伸縮自在な
シール構造で接続し、上記振動が伝達しない伸縮
自在なシール構造は、例えば、オイルシール構造
１４、すなわち水冷鋳型５の上面における周辺沿
いに形成した水冷オイル溝内に、鋳型カバー４の
下端部を浸漬させた構造、あるいは、第５図の蛇
腹式の耐熱シート材１５ａを介して、第３図の要
部概略断面図で示されるように、水冷鋳型５の上
面における周辺沿いに形成したフランジ部５ａ
と、鋳型カバー４の下端部に形成したフランジ部
４ａとを耐熱シート材１５ａで連結したシール構
造１５とする。

なお上記耐熱シート材１５ａは、厚さ：0.5mm
のシリコンラバーガラスクロス、フツ素ラバーガ
ラスクロスなどの耐熱シート材で蛇腹状に加工さ
れ、フランジ５ｃに接合してシール構造１５に成
形される。上記シール構造１５は、フランジ５ｃ
に設けられた孔１５ｂによつて水冷鋳型５のフラ
ンジ部５ａと鋳型カバー４の下端部のフランジ部
４ａにボルト等で接合する。

この考案の装置が従来装置と構造的に異る点
は、図示されるように、 (1) 鋳型カバー４が水冷鋳型５と離れて、支柱１
２により別途支持されていること。

(2) 受皿３が鋳型カバー４内の対向側面にかけ渡
した支持棒１３により、水冷鋳型５とは離れた
状態で、鋳型カバー内に保持されていること。

(3) 鋳型カバー４の下端部と、水冷鋳型５の上面
部との接続部を、オイルシール構造１４、すな
わち水冷鋳型５の上面における周辺沿いに形成
した水冷オイル溝内に、鋳型カバー４の下端部
を浸漬させた構造、あるいは第３図に要部概略
断面図で示されるように、水冷鋳型５の上面に
おける周辺沿いに形成したフランジ部５ａと、
鋳型カバー４の下端部に形成したフランジ部４
ａとを耐熱シート材で連結したシール構造１５
としたこと。

以上(1)〜(3)の点にある。

この考案の装置は、上記の(1)〜(3)に示される改
良構造によつて、水冷鋳型の振動が、鋳型カバー
および受皿に伝達するのを完全に避けることがで
きるので、鋳型カバー内雰囲気を形成する非酸化
性ガスのリークが防止されて、コスト低減に寄与
するばかりでなく、受皿中のドロスあるいはスカ
ムの鋳塊への鋳型振動に原因する巻き込みが抑制
されるようになり、この結果、例えば従来±10％
であつた鋳造速度の調整範囲を±20〜25％にまで
広くすることができることから、より速い鋳造速
度、例えば1.5ｍ／min以上での鋳造が可能とな
るなどの実用上有用な効果がもたらされるのであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来金属連続鋳造装置を示す概略縦断
面図、第２図はこの考案の金属連続鋳造装置の実
施例を示す概略縦断面図、第３図はこの考案の金
属連続鋳造装置の別の実施例を示す要部概略縦断
面図、第４図は、この考案の鋳型カバーの屋根を
取り除いて見た概略斜視説明図、第５図は第３図
の別の実施例で用いるシール構造の斜視図であ
る。図面において、１……溶湯保持炉、２……接
続管、３……受皿、４……鋳型カバー、５……水
冷鋳型、６……振動台車、７……非酸化性ガス導
入口、８……ノズルストツパー、９……溶湯保持
炉底部に形成した出湯口、１０……溶湯炉、１１
……耐熱性シール材、１２……支柱、１３……受
皿支持棒、１４……オイルシール構造、１５……
耐熱シート材によるシール構造。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 鋳型カバーの対向側面にかけ渡された２本の受
   皿支持棒の両端に支持された受皿を内部に保持し
   かつ作業床上に立てられた支柱の支柱腕により独
   自支持された鋳型カバーと、 振動台車上の冷却鋳型と、 振動が伝達しない伸縮自在のシール構造と、 からなり、上記シール構造は、上記鋳型カバーの
   下端部と上記冷却鋳型の上面部の間に取付けられ
   ていることを特徴とする完全密閉型金属連続鋳造
   装置。