JPH0122905Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は点火栓を備えたデイーゼル機関に関す
るものである。

［従来の技術］ 従来、デイーゼル機関に粗悪燃料が使用される
場合の対策として、火花着火を補助的に利用する
ことが、例えば実開昭55−97129号公報や実開昭
55−52516号公報などに提案されている。しかし、
水平断面がほぼ正方形をなす燃焼室の角隅部分に
配置した点火栓に向つて燃料を噴射するもので
は、燃焼室の側壁部に燃料が直接当り、白煙が発
生しやすい。

また、多噴口燃料噴射ノズルを用いた直接噴射
式デイーゼル機関では、スモークの発生を抑える
ために、燃料噴射ノズルの噴霧角（噴射方向の拡
がり）が狭くなつているので、適正な混合気が得
られず、点火栓を配設しても確実な着火が期待で
きない。

特開昭51−22924号公報に開示される燃料噴射
ノズルでは、燃料噴射ノズルをシリンダの中心ま
たは燃焼室の中心に配設できない場合に、ノズル
ヘツドに設けた針弁により開閉される偏心円筒部
に、長さの異なる噴口を設けることにより、燃焼
室に燃料と空気の一様な混合比を得るようにして
いる。しかし、点火栓による着火に好都合な混合
気が点火栓の近傍部に生成されるものではない。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案の目的は点火栓による着火が確実で、ス
モークや白煙の発生を防止し得るデイーゼル機関
を提供することにある。

［問題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案の構成は多
噴口燃料噴射ノズルの外周壁を削除して１つの短
い噴口を形成し、燃焼室のほぼ中央に配置した多
噴口燃料噴射ノズルの前記短い噴口からの燃料噴
出経路よりもスワールの下流側に点火栓を配設し
たものである。

［作用］ 短い噴口１６からの燃料ｂの噴射角が拡がり、
かつ噴射距離が短くなるので、点火栓７の付近で
適正な混合気が形成され、確実に着火される。他
の長い噴口１５からの燃料ａ，ｄ，ｃは燃焼室の
全体に行きわたり、空気とよく混合して完全な燃
焼が促される。これにより、スモークや白煙の発
生が抑えられる。

［考案の実施例］ 第１図に示すように、本考案によるデイーゼル
機関は多噴口燃料噴射ノズル１０がピストン２の
円筒状の燃焼室３のほぼ中央に配置される。シリ
ンダ９に嵌合されるピストン２の頂部に、燃焼室
３が形成され、燃焼室３の底壁５の中央に、スワ
ールの発生を助ける円錐状の突起６が設けられ
る。シリンダヘツド８に多噴口燃料噴射ノズル１
０が燃焼室３のぼ中央へ突出するように支持され
る。また、第２図に示すように、多噴口燃料噴射
ノズル１０の後述する短い噴口からの燃料ｂの噴
出経路よりも矢印で示すスワールの下流側に点火
栓７が配設される。

第３図に示すように、多噴口燃料噴射ノズル１
０はノズルヘツド１２の内部に公知の針弁１３を
嵌装され、この上下移動に伴つてノズルヘツド１
２の噴口１５，１６が開閉される。ノズルヘツド
１２の先端部に多数（図示の実施例では４個）の
噴口１５，１６が周方向に間隔を存して設けら
れ、これらの噴口１５，１６から燃焼室３の内部
へ四方に別れて燃料ａ，ｄ，ｃと燃料ｂが噴噴射
される。このような構成は従来の燃料噴射ノズル
とほぼ同様である。

本考案によれば、点火栓７に隣接する１つの噴
口１６について、ノズルヘツド１２の外周壁を部
分的に壁面１４で示すように削除し、これにより
噴口１６の長さが短くされ、噴霧角が拡げられ
る。

第２図に示すように、燃焼室３の中央に配置さ
れる多噴口燃料噴射ノズル１０の各噴口１５，１
６から、燃料ａ，ｃ，ｄおよびｂが矢印で示すよ
うに４方向に噴射され、燃焼室３へ吸入される空
気（図示の例では反時計方向のスワールを形成す
る空気）と混合し、点火栓７により着火される。
この場合、点火栓７に近くかつスワールの上流側
の噴口１６からの燃料ｂは、第３図に示すよう
に、噴口１６が短いので、それだけ噴霧角が拡が
り、噴射距離も相対的に短くなり、点火栓７の付
近に着火しやすい混合ガスが生成される。

他の３つの噴口１５からの燃料ａ，ｃ，ｄは、
従来と同様に噴口が長いので噴霧角が狭く、噴射
距離も長くなり、燃焼室３の周壁面４の近くまで
噴射される。

このようにして、噴口１６からの噴射された燃
料ｂが点火栓７の火花により着火され、スワール
を伴つて他の噴口１５から噴射された燃料ａ，
ｃ，ｄに順次着火し、完全な燃焼が得られる。

［考案の効果］ 本考案は上述のように、多噴口燃料噴射ノズル
の外周壁を削除して１つの短い噴口を形成し、燃
焼室のほぼ中央に配置した多噴口燃料噴射ノズル
の前記短い噴口からの燃料噴出経路よりもスワー
ルの下流側に点火栓を配設したから、短い噴口は
噴霧角が大きく、噴射距離が短いので、短い噴口
からの燃料により点火栓の付近に着火に適した混
合気が生成され、確実な着火が得られる。

他の長い噴口は噴霧角が小さく、噴射距離が長
いので、長い噴口からの燃料は燃焼室全体に行き
わたり、燃焼室全体で燃料の着火が誘発され、粗
悪燃料を用いた場合でも、火花点火による燃料の
完全燃焼が助長され、スモークの発生が抑えられ
る。

本考案による多噴口燃料噴射ノズルは、一般的
な多噴口燃料噴射ノズルにおけるノズルヘツドの
外周壁を部分的に削除し、噴口の１つを短くすれ
ばよいから、製作が容易でコストが節減される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るデイーゼル機関の要部を
示す側面断面図、第２図は同平面図、第３図は多
噴口燃料噴射ノズルの側面断面図である。 ３……燃焼室、７……点火栓、１０……多噴口
燃料噴射ノズル、１２……ノズルヘツド、１４…
…壁面、１５……長い噴口、１６……短い噴口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 多噴口燃料噴射ノズルの外周壁を削除して１つ
   の短い噴口を形成し、燃焼室のほぼ中央に配置し
   た多噴口燃料噴射ノズルの前記短い噴口からの燃
   料噴出経路よりもスワールの下流側に点火栓を配
   設したことを特徴とするデイーゼル機関。