JPH0121177Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

この考案は内燃機関の燃料噴射気化器の改良に
関する。

【従来技術】 近年、マイクロコンピユータよりなる電子制御
装置によつて制御される自動車用エンジンにおい
て用いられる燃料噴射装置の１つとして、吸気マ
ニホルドの上流側のスロツトルボデイ部分におけ
る吸気通路内に１個の燃料噴射弁を配置して、該
スロツトルボデイに設けられたスロツトルバルブ
の上流側で燃料を噴射するようにされたいわゆる
シングルポイントインジエクタと称される燃料噴
射気化器がある。 このような燃料噴射気化器においては、プレツ
シヤレギユレータによつて前記燃料噴射弁に供給
される燃料の圧力が制御されるようになつてい
る。 このようなプレツシヤレギユレータは、前記燃
料噴射弁から離れた位置に配置すると、両者間の
燃料通路の距離が長くなり、従つて、プレツシヤ
レギユレータによる燃料圧力制御特性が乱れ易
く、特に、空燃比を大きくしていわゆるリーンバ
ーンを実施するような燃料噴射気化器において
は、混合気の失火限界近くに空燃比を設定するた
めに、僅かの燃料制御の乱れがエンジンの運転性
に致命的な打撃を与えることになる。 従つて、プレツシヤレギユレータは燃料噴射弁
にできるだけ近い位置に配置することが望まし
く、この場合、該プレツシヤレギユレータを燃料
噴射弁と共に吸気通路中に配置することが最適と
なる。 しかしながら、この場合は、スロツトルボデイ
における吸気通路の通路面積が小さくなるため
に、プレツシヤレギユレータはスロツトルボデイ
の外側に取付けざるを得ず、前述のような、燃料
圧力の制御性が不充分となるという問題点が生じ
る。 又上記のような燃料噴射気化器における前記燃
料噴射弁の燃料噴霧角度はθは、一般的に60゜な
いし90゜が好適とされているが、燃料噴射弁から
噴霧された燃料が、スロツトル開度によつては、
スロツトルバルブの上流側開動先端を乗り越えて
流下したり、あるいは専ら下流側開動先端側のみ
から流下し、スロツトルボア内で左右に移動する
ことにより多気筒エンジンの各気筒への燃料分配
量がばらつきを生じることがある。 特に、冷間時あるいはインテークマニホールド
に形状差等がある時に、ばらつきが著しく、エン
ジン出力に悪影響を与え、又、エンジンのアイド
ル運転状態が不安定であり、更に、スロツトルバ
ルブの開度変化に対するエンジン出力の応答性即
ち過渡応答性が不充分であるという問題点があつ
た。

【考案の目的】

この考案は上記問題点に鑑みてなされたもので
あつて、吸気通路の通路面積を小さくすることな
く、プレツシヤレギユレータを燃料噴射弁に接近
して配置させて、燃料圧力の制御性を向上させる
と共に、多気筒エンジンの各気筒への燃料分配量
のばらつきを小さくし、これによつて、エンジン
のアイドル運転状態及び出力を安定化することが
でき、且つ、スロツトルバルブの開度変化に対す
るエンジン出力応答性即ち過渡応答性を改良する
ことができるようにした燃料噴射気化器を提供す
ることを目的とする。

【考案の構成】

この考案は、スロツトルボデイに形成された吸
気通路に臨み、スロツトルバルブの上流側に該ス
ロツトルバルブに向けて配置された燃料噴射弁
と、前記スロツトルボデイに取付けられ、前記燃
料噴射弁に供給される燃料の圧力を調整するプレ
ツシヤレギユレータとを有する内燃機関の燃料噴
射気化器において、前記燃料噴射弁の燃料噴霧角
度範囲が、噴霧燃料の前記スロツトルバルブ面へ
の到達位置が、全閉状態から全開状態に至る前記
スロツトルバルブの全スロツトル開度の範囲で、
常に該スロツトルバルブの上流方向開動先端より
も下流方向開動先端側となり、且つ、全閉状態で
の前記スロツトルバルブの下流方向開動先端と前
記燃料噴射弁の噴霧中心とを結ぶ直線から上流方
向開動先端側の領域内となるように、前記燃料噴
射弁を前記吸気通路内で該下流方向開動先端側に
偏倚して配置するとともに、前記プレツシヤレギ
ユレータを、前記スロツトルボデイにおける、前
記スロツトルバルブの下流方向開動先端側の外壁
に配置することにより上記目的を達成するもので
ある。

【考案の作用】

この考案においては、燃料噴射弁を吸気通路内
で一方に偏倚して取付けることによつて、プレツ
シヤレギユレータとの距離が短くされ、且つ、燃
料噴射弁から噴射された燃料のほとんどが、スロ
ツトルボア内壁の一方に沿つて流下される。

【実施例】

以下本考案の実施例を図面を参照して説明す
る。 この実施例は、第１図に示されるように、スロ
ツトルボデイ１２に形成された吸気通路１４に臨
み、スロツトルバルブ１６の上流側に該スロツト
ルバルブ１６に向けて配置された燃料噴射弁１８
と、前記スロツトルボデイ１２に取付けられ、前
記燃料噴射弁１８に供給される燃料の圧力を調整
するプレツシヤレギユレータ２０とを有する内燃
機関の燃料噴射気化器１０において、前記燃料噴
射弁１８の燃料噴霧角度θの範囲が、噴霧燃料の
前記スロツトルバルブ１６面への到達位置が、全
閉状態から全開状態に至る前記スロツトルバルブ
１６の全スロツトル開度の範囲で、常に該スロツ
トルバルブ１６の上流方向開動先端１６Ｂよりも
下流方向開動先端１６Ａ側となるように、前記燃
料噴射弁１８を前記吸気通路１４内で該下流方向
開動先端１６Ａ側に偏倚して配置するとともに、
前記プレツシヤレギユレータ２０を、前記スロツ
トルボデイ１２における、前記スロツトルバルブ
１６の下流方向開動先端１６Ａ側の外壁に配置し
たものである。 即ち、前記燃料噴射弁１８は、その前記燃料噴
霧角中心線１９が、スロツトルボア２２の中心軸
線２３に対して平行に、且つ、前記スロツトルバ
ルブ１６の前記下流方向開動先端１６Ａ寄りに、
距離Ｘだけオフセツトして配置され、又燃料噴霧
角度θが、スロツトル開度範囲で前記スロツトル
バルブ１６の上流方向開動先端１６Ｂよりも下流
方向開動先端１６Ａ側となる範囲とされている。 又、前記燃料噴射弁１８の燃料噴霧角度θは、
前記下流方向開動先端１６Ａ側の限界が全閉状態
における前記スロツトルバルブ１６の該下流方向
開動先端１６Ａに略一致するようにされている。 図の符号２４は燃料噴射弁１８の制御のための
配線コネクタ、２６は燃料供給通路、２８は燃料
戻り通路、３０は燃料噴射弁１８を支持するため
の支持バー、３２はインテークマニホールドをそ
れぞれ示す。 この実施例においては、スロツトルバルブ１６
周囲におけるスロツトルボア２２の内径を45mm、
スロツトルシヤフト１７の揺動中心軸１７Ａから
燃料噴射弁１８の先端燃料噴霧中心１８Ａまでの
スロツトルボア軸方向距離を35mm、前記燃料噴射
弁１８の噴霧角中心線１９の、スロツトルボア２
２の中心軸線２３に対するオフセツト量Ｘを５mm
とした場合、燃料噴霧角度θは50゜である。 この実施例においては、燃料噴射弁１８が、吸
気通路１４内において、その中心軸線２３から一
方に偏倚して配置され、且つ、この偏倚側のスロ
ツトルボデイ１２外壁に前記プレツシヤレギユレ
ータ２０が配置されているので、これら燃料噴射
弁１８とプレツシヤレギユレータ２０との距離
は、該燃料噴射弁１８の偏倚量Ｘだけ短縮される
ことになる。 従つて、両者の距離の短縮分に応じてプレツシ
ヤレギユレータ２０による燃料噴射弁１８への供
給燃料の調圧精度が向上され又、これにより、燃
料噴霧角度θを正確に設定できることになる。 又、上記実施例においては、燃料噴射弁１８の
燃料噴霧角中心線１９がスロツトルボア２２の中
心軸線２３に対してスロツトルバルブ１６の下流
方向開動先端１６Ａ側にオフセツトされていて、
且つ、前記燃料噴射弁１８の燃料噴霧角度θの範
囲は、噴霧燃料のスロツトルバルブ１６面への到
達位置が、全閉状態から全開状態に至る前記スロ
ツトルバルブ１６の全スロツトル開度の範囲で、
常に該スロツトルバルブ１６の上流方向開動先端
１６Ｂよりも下流方向開動先端１６Ａ側となり、
且つ、前記燃料噴射弁１８の噴霧中心と、全閉時
におけるスロツトルバルブ１６の上流方向開動先
端１６Ｂ及び下流方向開動先端１６Ａとを結ぶ直
線よりも上流方向開動先端１６Ｂ側となるように
されているので、燃料噴射弁１８から噴霧された
燃料はスロツトルバルブ１６の開度に拘わらず、
常に、該スロツトルバルブ１６の下流方向開動先
端１６Ａ側から流下され、スロツトルボア２２内
で図において右側の、前記上流方向開動先端１６
Ｂ側から該スロツトルボア２２内壁に沿つて流下
されることはないか、又は、非常に少ないものと
なる。 又、燃料噴霧角度θは、全閉状態におけるスロ
ツトルバルブ１６の下流方向開動先端１６Ａと略
一致するようにされているので、噴霧された燃料
が、スロツトルバルブ１６の上面に到達する範囲
は、スロツトルボア２２の内径よりも小さい直径
の範囲となる。 従つて噴霧された燃料が、スロツトルボア２２
とスロツトルシヤフト１７の交点近傍に到達する
ことがない。 このスロツトルシヤフト１７とスロツトルボア
２２の交点近傍は、通常、吸気流速が遅いため
に、ここに噴霧された燃料が、該交点近傍を吸気
流に妨げられることなくスロツトルバルブ１６と
スロツトルボア２２との隙間を通過して前記上流
方向開動先端１６Ｂ側のスロツトルボア２２内壁
に到達することが考えられるが、上記実施例によ
れば、噴霧された燃料は全てスロツトルバルブ１
６の上面に沿つて下流方向開動先端１６Ａ側から
流下するので、スロツトルボア２２の上流方向開
動先端１２Ｂ側内壁又は噴霧燃料が付着すること
はほとんどないかあるいは非常に少ないものとな
る。 このため、燃料噴射弁１８から噴霧された燃料
がスロツトルボア２２内で左右に移動することが
ない。 従つて、この実施例においては、燃料制御を改
善すると共に、各気筒への燃料分配量のばらつき
を小さくし、これにより、エンジンのアイドル運
転状態及び出力を安定化することができ、且つ、
スロツトルバルブ１６の開度変化に対するエンジ
ンの出力応答性即ち過渡応答性を改良することが
できる。 上記実施例は、燃料噴射弁１８の噴霧角中心線
１９即ち、燃料噴射弁１８の中心軸線をスロツト
ルボア２２の中心軸線２３に対してスロツトルバ
ルブ１６の下流方向開動先端１６Ａ側に平行にオ
フセツトしたものであるが、本考案はこれに限定
されるものでなく、燃料噴射弁１８を傾斜して且
つ下流方向開動先端１６Ａ側にオフセツトするよ
うにしてもよい。

【考案の効果】

本考案は上記のように構成したので、吸気通路
の流通面積を小さくすることなく、プレツシヤレ
ギユレータを燃料噴射弁に接近して配置させて、
燃料制御を改善すると共に、各気筒への燃料分配
量のばらつきを小さくし、これにより、エンジン
のアイドル運転状態及び出力を安定化することが
でき、且つ、スロツトルバルブの開度変化に対す
るエンジン出力応答性即ち過渡応答性を改良する
ことができるという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る燃料噴射気化器の実施例
を示す断面図である。 １０……燃料噴射気化器、１２……スロツトル
ボデイ、１４……吸気通路、１６……スロツトル
バルブ、１６Ａ……下流方向開動先端、１６Ｂ…
…上流方向開動先端、１８……燃料噴射弁、２０
……プレツシヤレギユレータ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スロツトルボデイに形成された吸気通路に臨
   み、スロツトルバルブの上流側に該スロツトルバ
   ルブに向けて配置された燃料噴射弁と、前記スロ
   ツトルボデイに取付けられ、前記燃料噴射弁に供
   給される燃料の圧力を調整するプレツシヤレギユ
   レータとを有する内燃機関の燃料噴射気化器にお
   いて、前記燃料噴射弁の燃料噴霧角度範囲が、噴
   霧燃料の前記スロツトルバルブ面への到達位置
   が、全閉状態から全開状態に至る前記スロツトル
   バルブの全スロツトル開度の範囲で、常に該スロ
   ツトルバルブの上流方向開動先端よりも下流方向
   開動先端側となり、且つ、全閉状態での前記スロ
   ツトルバルブの下流方向開動先端と前記燃料噴射
   弁の噴霧中心とを結ぶ直線から上流方向開動先端
   側の領域内となるように、前記燃料噴射弁を前記
   吸気通路内で該下流方向開動先端側に偏倚して配
   置するとともに、前記プレツシヤレギユレータ
   を、前記スロツトルボデイにおける、前記スロツ
   トルバルブの下流方向開動先端側の外壁に配置し
   てなる内燃機関の燃料噴射気化器。