JPH0120432Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は合成樹脂製床板に関し、雨水等の床
面上の水を積極的に排水しようとするものであ
る。

通常、一般にぬれ縁、テラス、物干台、バルコ
ニー及び渡り廊下等に用いられる床板（デツキ）
は床板本体の両側縁が垂下され、かつこの本体の
長手方向中央部に凹溝が形成され、この凹溝を内
部からビス、ボルト等を用いて根太に固定し凹溝
カバーでカバーしたものが多く用いられている。
従来からこの凹溝カバーはビス、ボルト等の雨水
による腐食を防止するため、床板本体の上面を安
全に歩行するため、及び美観を守るため等の目的
から種々の形状のものが提案されている（例…実
公昭55−1603号公報参照）。しかし、これらの凹
溝カバーは凹溝を完全に蓋をする方式であるた
め、例えば床板を住宅周辺部の戸外に使用した場
合、雨が降るとこの床板面の上に水が溜り、特に
風雨が強い場合には、この溜つた水が風に煽られ
住宅内（室内）に入つてくる問題があつた。

この考案はこれらの事情に鑑みなされたもの
で、その具体的な構成は、長手方向に根太固定用
凹溝を有する長尺板状の床板本体と、この床板本
体の凹溝をカバーする略筒状の凹溝カバーとから
構成され、根太固定用凹溝の側壁が水平面を上向
きに有する突起を対向して長手方向に有し、かつ
凹溝カバーの上壁が、長手方向全体に延びその上
壁上の水を凹溝カバー内部に導入しうる開口を有
し、底壁が凹溝の底部を覆つて当接し、両側壁が
根太固定用凹溝の前記突起に係止する水平段差部
を有すると共に、その水平段差部より上位部分を
根太固定用凹溝の側壁に密接されてなる合成樹脂
製床板である。

すなわちこの考案は、凹溝カバーの上壁が長手
方向全体に開口し、それによつて、床板本体の上
面に溜る雨水等の水を積極的に排水しようとし、
更に上壁の開口が長手方向全体であることからく
る強度上の弱点を、底壁を凹溝の底部を覆つて当
接させ、両側壁を床板本体の凹溝側壁に特定の係
止構造にて密接嵌着させることによつて、解決し
ようとするものである。

なお、この考案に用いられる床板本体と凹溝カ
バーは合成樹脂製の押出成型加工品で、その材料
は例えば硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン及び
FRP（ガラス繊維強化プラスチツク）等が好まし
い例として挙げられる。

以下図に示す実施例に基づいてこの考案を詳述
する。なお、これによつてこの考案が限定される
ものではない。

まず第１図において、合成樹脂床板１は横幅90
〜300mmの長方板状からなる床板本体２と、この
本体の長手方向に形成された横幅16〜26mmの凹溝
３と、この溝をカバーする略筒状の凹溝カバー４
とから構成される。なお、２７は根太である。

前記凹溝３はその側壁にそれぞれ凹溝カバー４
を係止する係止用突起５，６と支持用突起７，８
とを上方より順次備え、さらに凹溝３の底面には
床板本体２を根太２７に固着する床板本体固定部
９を形成している。なお、前記係止用突起５，６
は、凹溝３の上端面よりこの縦幅の略1/4下方に
設けた断面小半円型の水平な突起であり、また支
持用突起７，８は凹溝３縦幅の中央部に水平面を
上向きにして水平に突出した断面３角形状の突起
である。さらに床板本体固定部９は上向きに突出
しその断面が台形状をしている。

前記凹溝カバー４はその断面がわずかに外開き
の略垂直な対向する側壁１０，１１と、これらの
側壁の上端部に連結されそれぞれ水平に対向して
延びる２つの上部壁１２，１３と、前記側壁１
０，１１の下端部をそれぞれ連結する底壁１４と
から構成される。前記上部壁１２，１３の先端部
は５mm程度離れ、凹溝カバー４の上面には長手方
向に連通する連通溝１５が形成されている。また
凹溝カバー４の側壁１０，１１はその縦幅の中央
付近にそれぞれ設けた係止用水平段差部１６，１
７と、この段差部を境として凹溝カバー４の横幅
が拡い上部側壁１８，１９と狭い下部側壁２０，
２１とからなり、これらの上部・下部側壁は側壁
１０，１１の上部・下部にそれぞれ位置してい
る。

さらにこれらの上部側壁１８，１９はこの縦幅
の中央付近に断面小半円球状の凹溝カバー４を係
止する係止用凹部２２，２３をそれぞれ凹溝３の
側壁側、すなわち上部側壁１０，１１の外面に備
え、この係止用凹部に対応して上部側壁１８，１
９の内面に凸部を形成している。また底壁１４は
２つの下部側壁２０，２１の下端部付近にそれぞ
れ設けた断面が上向き半円状の２つの曲部２４，
２５と、これらの曲部と連結され、底壁１４の中
央部に上向きに突出した断面が台形状のビスカバ
ー部２６とからなる。

以上のように構成される合成樹脂製床板１は次
のように取付けられる。

第２図に示すようにまず複数個の床板本体２を
適宜間隙を保持しつつ設置して凹溝３の底部に形
成されている小孔にビスを挿通し、ナツトに依り
根太２７に締着する。

次いで床板本体２のそれぞれの凹溝３に凹溝カ
バー４を底壁１４から押込むと、溝カバー４の側
壁１０，１１はわずかに外開きであるため側壁自
体の弾性力により、凹溝３の側壁をそれぞれ押圧
しながら凹溝カバー４の係止用凹部２２，２３が
凹溝３の係止用突起５，６に嵌合して凹溝カバー
４は凹溝３内に確実に嵌着される。この結果、凹
溝３底部のビスは凹溝カバー底壁１４の２つの曲
部２４，２５とビスカバー部２６によつて完全に
カバーされる。さらに凹溝３の支持係止部７，８
と凹溝カバー４の段差部１６，１７が係合するこ
とによつて、凹溝カバー４は確実に凹溝３に保持
され、上方より外力が加わつても変形したり、そ
の位置がずれたりしないようになつている。

また、凹溝カバー４の上面と前記床板本体２の
上面とが面一になるように凹溝カバー４のそれぞ
れの寸法はあらかじめ設定してある。

このように凹溝３を凹溝カバー４によつて完全
に被覆することにより、合成樹脂製床板１を住宅
周辺の戸外で使用する場合、雨水は風によつて床
板本体２上にたたきつけられ、床板本体２上をは
うように走る水を住宅内にくるまでに連通溝１５
によつて凹溝カバー４内の２つの曲部２４，２５
に送り込むことができる。

従つて床板本体の上面に水が溜まることもな
く、また風による水のはね上りもなく、住宅内部
特に室内に水が入ることを防止できる。また一旦
凹溝３に凹溝カバー４を嵌着すると凹溝側壁に弾
圧着力が大きく作用し、凹溝カバー４の離脱が防
止でき、さらに凹溝３側壁に凹溝カバー４の側壁
が完全に密着するため、凹溝３に雨水等の浸入も
なく、水密性が保たれ、その結果、ビス、ボルト
等の締着具の保護並びにボルト穴からの水の浸入
も防止できる。

さらに凹溝カバー４の連通溝１５が５mm程度と
狭く、かつ凹溝カバー４と床板本体１の上端面が
面一に形成されることによつて、歩行上障害とな
ることもなく美観を損うこともない。

前記凹溝カバー４の形状は床板本体１、凹溝カ
バー４のそれぞれの材質、寸法及び形状に応じて
変更できる。例えばまず第３図イに示すものは２
つの上部壁１２，１３をそれぞれ下向きにわずか
に傾斜させ、その先端部を垂直に折曲したもので
床板本体２上を歩行する際の滑りを止め、さらに
連通溝１５に指等をはさんでも安全であるように
するものである。次にロに示すものは凹溝カバー
４の上面とその底壁１４のビスカバー部２６の上
面が面一になるように形成したもので凹溝カバー
４の強度を増すようにするものである。

一方凹溝３の形状もこの床板１の用途、材質及
び寸法に応じ種々の形状ものがある。例えば第４
図に示すように凹溝３はその横幅が入口部から底
部に拡がるように形成され、入口部から底部方向
に向いその深さの約1/3付近まで側壁が平行で、
それより下部の側壁は断面が略台形状に形成され
ている。この平行側壁はその縦幅の中央部付近に
係止用突起５，６と、その下端部に支持用突起
７，８とを備えている。

このように凹溝３の形状・寸法が変わつても、
それに応じて前記凹溝カバー４の形状・寸法を適
合させ凹溝３を完全に被覆することができる。

なお、床板本体２及び凹溝カバー４は合成樹脂
製の押出成形加工品で、その材料は硬質ポリ塩化
ビニルが用いられる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る合成樹脂製床板の一実
施例を示す要部拡大断面図、第２図はその斜視
図、第３図イおよびロはそれぞれ他の実施例の要
部拡大断面図、第４図はさらに他の実施例を示す
凹溝カバーを省いた前図相当図である。 １……合成樹脂製床板、２……床板本体、３…
…凹溝、４……凹溝カバー、１５……連通溝、２
６……ビスカバー部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 長手方向に根太固定用凹溝を有する長尺板状の
   床板本体と、この床板本体の凹溝をカバーする略
   筒状の凹溝カバーとから構成され、根太固定用凹
   溝の側壁が水平面を上向きに有する突起を対向し
   て長手方向に有し、かつ凹溝カバーの上壁が、長
   手方向全体に延びその上壁上の水を凹溝カバー内
   部に導入しうる開口を有し、底壁が凹溝の底部を
   覆つて当接し、両側壁が根太固定用凹溝の前記突
   起に係止する水平段差部を有すると共に、その水
   平段差部より上位部分を根太固定用凹溝の側壁に
   密接されてなる合成樹脂製床板。