JPH0118195Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、アーク溶接時等に発生するヒユー
ム及びオイルミストを捕集する電気集塵機に関
し、特に、例えば炭酸ガス溶接時に発生するヒユ
ーム粉塵を集塵するに当り、オイルミストを含ん
だ可燃性ヒユームの着火を防止するために、集塵
用の電極板の表面に附着又は凝集したヒユーム粉
塵とオイルミストを除塵（清掃）する様に構成し
た電気集塵機の清掃装置に関する。

微細なヒユーム粉塵を集塵する方法として、電
極部にヒユーム粉塵を附着粗大化し、又は静電凝
集した後、バツクフイルタに捕集させる電気集塵
機が広く使用されているが、この電気集塵機の使
用に当つては、電極部を構成する放電極と集塵極
に吸引したヒユーム粉塵が附着、堆積すると、火
花放電を引起してミストを含有した燃え易い炭素
ヒユームに着火し、これがバツグフイルタ側へ吸
引されるとバツグフイルタが火災を起す危険があ
るので、電極部に附着、堆積したヒユーム粉塵を
除塵する必要があつた。

ところが、電極部は放電線とか集塵電極板等に
よつて複雑に構成されているので、その除塵作業
は非常に煩雑でついつい怠り勝ちであり、忙しさ
に紛れて除塵が不完全に成る問題が多く、この問
題を解決するために、本出願人は、先に実願昭56
−194222号の考案に於いて、数時間に一度集塵運
転を停止させ、除塵ブラシを作動操作して電極部
の清掃を行なわないと、次の集塵運転の起動を行
なえない様に構成した集塵用電極の清掃装置を提
案したのであるが、しかし、この清掃装置にも、
除塵に当つて一定時間集塵機の運転を停止させな
ければならないので、この間溶接等の作業を停止
しなくてはならない作業能率上の問題と、誰かが
いちいち除塵ブラシのハンドル操作を行なわない
と電極部の除塵並びに集塵機の再起動を行なえな
い非能率的な操作上の問題点が残存し、更に加え
て、除塵ブラシによる清掃は除塵効率が低く、ハ
ンドル操作を正確に行なわないと除塵むらが生じ
て電極部にヒユーム粉塵が付着残留してしまうと
いつた問題もあつた。

そこで本出願人は、先般特願昭57−103273号に
よつて、電極部を相対向して回転する放電極板と
集塵極板とによつて構成した回転式自動除塵構造
の電気集塵機を提案したが、電極部、特に集塵極
板に附着したオイルミストや溶接ヒユーム等のダ
ストは、集塵極板を回転しただけでは容易に除塵
することができず、従つて、附着したミストやヒ
ユーム等を完全に除塵するには、集塵極板を本体
より適宜取り外して洗滌液で洗滌するか、或は、
ブラシ等でブラツシングする必要があつて、除塵
作業の完全自動化は達し得なかつた。

而して、本考案は上述した諸問題を解決するで
く開発した電気集塵装置であつて、その目的はミ
スト及びヒユーム等が附着する集塵極板の清掃を
集塵機の運転時に自動的に而かも確実に行なえる
様に工夫した電気集塵機の清掃装置を提供する点
にあり、本考案ではこの目的を達成するために、
電極部を相対向して回転する放電極板と集塵極板
とによつて構成し、これ等電極部の始動回転時に
弾性材料で造つた清掃部材が往復回動して集塵極
板の表面に附着、堆積したヒユーム及びミストを
除塵する構成にしている。

以下に、本考案の好適な実施例を添附した図面
を参照しながら詳細に説明する。尚、電気集塵機
にはヒユーム粉塵に静電気を荷電して凝集させ、
これをバツグフイルタに捕集させる静電凝集型集
塵機と、ヒユーム粉塵を集塵電極に附着、捕集し
て粗大化し、これを定期的に払い落してバツグフ
イルタに捕集させる電気集塵型集塵機の２種類が
存在するが、いずれの集塵機も原理的な構造は共
通しており、同時に本考案を全く同じ構造で双方
の集塵機に実施できるので、以下の説明は本考案
を静電凝集型集塵機に実施した場合についてのみ
行ない、電気集塵型集塵機に実施した場合の説明
は省略する。

第１図は本考案の清掃装置を実施する電気集塵
機の一例を示した全体の正面図であつて、図中、
符号１で全体的に示したのは内部に電極部２を備
え、且つ、上面部に吸塵口１ａを設けた一次集塵
室（静電凝集機）で、同じく符号３で全体的に示
したのは、内部をクリーン室３ａとダスト室３ｂ
の上下２室に仕切り、クリーン室３ａには吸塵用
フアン４を備えたフアンモータ５を設け、また、
ダスト室３ｂには複数のバツグフイルタ６を設け
た二次集塵室（バツグフイルタ集塵機）であつ
て、この静電凝集型集塵機は上記二次集塵室３の
ダスト室３ｂに上記一次集塵室１を連通状態に連
結することによつて構成される。尚、図示した実
施例では、第２図の様に一次集塵室１の下部側面
に連通口１ｂを開口し、この連通口１ｂを二次集
塵室３のダスト室３ｂに開口した接続口（図示せ
ず）に直接連結することにより、一次集塵室１と
ダスト室３ｂの連結を図つているが、両者を離し
てダクト等で連結する場合もある。

以上の様に構成した集塵機は、モータ５を起動
して吸塵フアン４を回転すると、発塵源（溶接
源）から送られて来るヒユーム粉塵とオイルミス
ト（以下ヒユーム・ミストと云う）は先ず吸塵口
１ａより一次集塵室１内に吸引され、比較的粗大
なゴミは第２図に示したバツフルボツクス９内に
そのまま落下され、その他のヒユーム・ミストは
電極部２にて荷電されて凝集、粗大化されつつ二
次集塵室３のバツグフイルタ６に捕集されるので
あるが、次に前記電極部２の構造を第２図と第３
図に示した実施例の記載に基づいて説明する。

第２図は前記一次集塵室１の第１実施例を示し
た拡大図であつて、ここに示されている電極部２
は全体を円形の略傘型形状に造つた放電極板２Ａ
と集塵極板２Ｂによつて構成されており、特に、
放電極板２Ａは全体面に複数の通気穴２a′……を
穿設した骨枠構造に造られ、且つ、放電極板２Ａ
の底面には多数の放電片２ａ……が下方に向けて
垂設されている。

また、集塵極板２Ｂは全体が略傘型形状を成す
円形状に造られていて、場合によつては、表面に
ヒユーム・ミストの剥離性を高めるビニール等の
コーテイングを施すことも考えられる。尚、上述
した放電極板２Ａ及び集塵極板２Ｂは、いずれも
略傘型の円形に造られているが、これを多角形状
に造る場合もあり、更には全体を平板状に造る場
合もある。

次に、第２図に於いては１２は一次集塵室１の
底部室１ｃ内に取付けた電極部２用のモータで、
一次集塵室１内の吸塵通路上に突出したこのモー
タ１２の回転軸１２ａには、上述した放電極板２
Ａと集塵極板２Ｂを対向した状態で上下２段に取
付け、且つ、両者２Ａ，２Ｂは回転軸１２ａに嵌
着した絶縁管１３によつて絶縁されている。尚、
これ等放電極板２Ａと集塵極板２Ｂには夫々電気
端子（図示せず）が接触されて両者２Ａ，２Ｂ間
に電界を造る仕組に成つており、また、上記モー
タ１２は連続的又はヒユーム・ミストの附着情況
に応じて制御回路（図示せず）によつて定期的に
駆動して放電極板２Ａと集塵極板２Ｂを除塵回転
する仕組に成つているが、これ等の電気系統はい
ずれも公知のものを使用するのでその説明は省略
する。

以上説明した一次集塵室１の第１実施例に於い
ては、放電極板２Ａと集塵極板２Ｂを１個のモー
タ１２によつて同一回転させる構造に成つている
が、第３図に示した第２実施例では、集塵極板２
Ｂを下部モータ１２Ｂの回転軸１２Ｂ１に取付け
て回転し、放電極板２Ａを一次集塵室１の上部室
１ｄ内に取付けた上部モータ１２Ａの回転軸１２
Ａ１に取付けて回転する仕組に成つている。この
様に放電極板２Ａと集塵極板２Ｂを異となる回転
手段、即ち、異となるモータ１２Ａ及び１２Ｂで
除塵回転する場合は、放電極板２Ａと集塵極板２
Ｂの回転比或は回転方向を違えて、附着したヒユ
ーム・ミストの除塵を効果的に行なうことが可能
となる。また、第２図に示した第１実施例でも、
回転軸１２ａを放電極板２Ａ用と集塵極板２Ｂ用
の二重シヤフト構造にして、これ等の軸をモータ
１２のギヤーボツクス１２ｂ内に収めた歯車機構
によつて、回転比或は回転方向を違えて回転して
第２実施例と同様な作用、効果を得ることも可能
である。

尚、第１図に於いて、７はバツグフイルタ６を
除塵するための操作ハンドルで、このハンドル７
を回動操作すると、二次集塵室３内に取付けた除
塵部材（図示せず）がバツグフイルタ６に附着し
たヒユーム・ミストをバケツト１０に払い落すこ
とができる。また、１１は一次集塵室１の側面に
開閉自在に取付けた電極部２用の点検扉である。

以上述べた電気集塵機によると、吸塵用フアン
４の回転によつて一次集塵室１内に吸引されたヒ
ユーム・ミストは、電極部２を構成する放電極板
２Ａと集塵極板２Ｂの間を通過する際、荷電され
て凝集、粗大化されつつ第２集塵室３側に吸引さ
れてバツグフイルタ６に捕集される。また、通過
に当つて特に上記集塵極板２Ｂの面に附着、堆積
するヒユーム・ミストは、これをモータ１２によ
つて連続的、又は、定期的に回転することによつ
て、附着、堆積を可成り防止することができ、更
に、放電極板２Ａと集塵極板２Ｂの除塵回転を異
となる回転手段、即ち、上部モータ１２Ａと下部
モータ１２Ｂによつて夫々別個に回転比、或は、
回転方向を変えて回転することにより、より優れ
た除塵効果を発揮することができるのであるが、
次に、以上の如く構成した電気集塵機、特に、一
次集塵室１に実施して集塵極板２Ｂに附着、堆積
したヒユーム・ミストを完全に除塵する本考案の
清掃装置の一実施例を、第２図乃至第６図の記載
に基づいて詳細に説明する。

第２図乃至第４図に於いて、２０は前記一次集
塵室１の底部に設けたボツクス３０内に取付けら
れるタイミングモータで、このモータ２０の駆動
軸２０ａにはカム円盤２１が取付けられ、カム円
盤２１の周面にはリミツトスイツチ２２のアクチ
ユエータ２２ａが押接されている。上記のタイミ
ングモータ２０は第７図に示したタイミングチヤ
ートに示す如く、電源スイツチ（起動スイツチ）
の投入によつて電気集塵機の各モータ５，１２或
は１２Ａ，１２Ｂが駆動始めると一諸に駆動して
カム円盤２１を回転すると共に、カム円盤２１が
１回転して周面の凹溝２１ａ内に前記アクチユエ
ータ２２ａが落込んでリミツトスイツチ２２がオ
フに成ると、その駆動を停止する仕組に成つてい
る。また、上記のモータ１２或は１２Ａ，１２Ｂ
によつて回転される放電極板２Ａと集塵極板２Ｂ
の間には、同じく第７図のタイミングチヤートに
示す如く、上記カム円盤２１が１回転してタイミ
ングモータ２０が駆動を停止すると同時に高圧が
印加されてヒユーム・ミストに対する荷電が行な
われる仕組に成つている。

次に、２３は先端を取付ピン２４によつて上記
カム円盤２１の上面一側に枢着した駆動リンク杆
で、２５はこの駆動リンク２３の根端に連結ピン
２６によつて枢着された連動リンク杆、２７は上
端側を前記集塵極板２Ｂの一側近傍に位置させる
様に前記一次集塵室１の内部に回転自在に縦設し
た回転軸で、この回転軸２７の下端に上記の連動
リンク杆２５が固着していて、カム盤２１がタイ
ミングモータ２０の起動によつて第５図に於いて
時計回転方向に回転を始めると、駆動リンク２３
と連動リンク２５に連動されて回転軸２７が始め
の半回転で図面上反時計回転方向に大凡45゜正回
転され、残りの半回転で同じく図面上時計回転方
向に大凡45゜逆回転される仕組に成つている。ま
た、２８は上記回転軸２７の上端に取付金具２９
を介して略水平に固定した清掃部材で、この清掃
部材２８は弾性を備えた金属又は樹脂等によつ
て、往復回動時にその先端部が集塵極板Ｂの表面
に弾性的に接して清掃できる様に、全体が細長い
棒軸或はブラシ状に造られている。

上記の様に回転軸２７の上端に取付けた清掃部
材２８は、集塵極板２Ｂに対して通常は第６図に
示したＶ点の位置に停止しているが、集塵運転の
開始に従つて上記タイミングモータ２０が駆動す
ると、上記リンク杆２３と２５の働きによつて正
逆回転する回転軸２７により、先ず、第２図、第
３図の様に集塵極板２Ｂの表面にその先端を弾性
的に押接しながら第６図に示した集塵極板２Ｂの
中心部Ｗ点の位置に向けて往回動した後、再び前
記Ｖ点に向けて復回動し、この往復回動によつて
集塵極板２Ｂの表面に附着、堆積したヒユーム・
ミストを剥離清掃することができる。

尚、上述した実施例では、清掃部材２８の往復
回動をカム円盤２１とリンク杆２３，２５の組合
せから成るリンク装置によつて行なう構造に成つ
ているが、例えば、歯車とかベルト等を用いた上
記リンク装置以外の装置で回転軸２７を正逆回転
して、清掃部材２８の往復清掃回動を行なう様に
する場合も考えられる。

本考案に係る電気集塵機の清掃装置は以上述べ
た如くであるから、モータによる回転だけでは除
塵しきれずに集塵極板の表面に附着、堆積してし
まうヒユーム・ミストを、集塵運転が開始される
度に清掃部材が丁度ワイパー或は蓄音機のピツク
アツプアームの様に集塵極板上を往復回動して必
ず剥離清掃するので、ヒユーム・ミストの附着、
堆積による火花放電と、火花放電による着火事故
を未然に防止して、安全な集塵運転を確約すると
共に、清掃が全自動化されるから、清掃を忘れる
心配もなく、また、清掃のために集塵運転を停止
したり、集塵極板を取外して洗滌等、面倒な清掃
作業を行なう必要が一切無くなり、集塵運転の能
率向上と省力化に寄与できる利点も備えるもので
あつて、構成は簡単であるがその実用的価値は極
めて高い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る清掃装置を実施する電気
集塵の一例を示した全体正面図、第２図は本考案
の実施した一次集塵室の第１実施例を示した拡大
正断面図で、第３図は同じく第２実施例の拡大側
断面図、第４図は清掃部材用作動機構の一例を示
した正面図で、第５図はその要部の平面図、第６
図は清掃部材の作動状態を説明した平面図、第７
図は集塵運転時に於ける各部の動作を説明したタ
イミングチヤートである。 １……一次集塵室、２……電極部、２Ａ……放
電極板、２Ｂ……集塵極板、３……二次集塵室、
４……吸塵用フアン、５……フアン用モータ、６
……バツグフイルタ、１２，１２Ａ，１２Ｂ……
電極部回転用モータ、２０……タイミングモー
タ、２１……カム円盤、２２……リミツトスイツ
チ、２７……回転軸、２８……清掃部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸引したオイルミストとか溶接ヒユーム等のダ
   ストを附着又は静電凝集する電極部を、相対向し
   て回転する放電極板と集塵極板とによつて構成し
   た電気集塵機に於いて、上記の電極部を内装した
   集塵室に、集塵運転の開始時に上記電極部の始動
   回転に同調して集塵室内に取付けた回転軸を１回
   だけ正逆方向に往復回転して停止するモータを取
   付け、この回転軸には、回転軸の往復回転に従つ
   て上記集塵極板の表面に弾性的に接しながら中心
   部に向けて往復回動を行う清掃部材を取付けたこ
   とを特徴とする電気集塵機の清掃装置。