JPH0117002Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 この考案は、動力を必要としないで熱媒体を循
環させる循環集熱システムに関する。

(ロ) 従来技術 動力を必要としない集熱システムとしては、従
来第１図に示したような密閉系自然循環集熱シス
テムが一般的なものである（例えばフランス特許
願公開第2480864号参照）。すなわち２１は熱交換
器、太陽熱集熱器などの熱源、２２は蓄熱槽であ
り、熱媒体循環管路２３で連結されている。熱源
２１で加熱された熱媒体は蒸発または沸騰し発生
した蒸気は最上部に配設された蓄熱槽２２に流入
する。この時気液の比重差により系内に熱媒の循
環が起こる。このようなシステムはボイラー等で
よく用いられるが蓄熱槽はシステムの最上部に配
設しなければならないという制約がある。この制
約はこのシステムを大型化するのに障害となり、
通常、大型システムでは、蓄熱槽が熱源より下方
に配設され、熱源から蓄熱槽へ加熱された熱媒を
送る循環ポンプが用いられる。

(ハ) 考案の目的 この考案は、上記の循環集熱システムの制約を
解消することを目的とする。

(ニ) 考案の構成 この考案の構成は第１図に示す如く第１タンク
１と、このタンク１よりも下位に設けた第２タン
ク２と、第２タンク２内上部に一端を開放し他端
を閉塞しこの閉塞側端部を熱交換部３ａとして第
１タンク１内に配設した熱輸送管３と、上記両タ
ンク１，２より下位に設け第１タンク１から延び
て第１タンク１への熱媒体の逆流を阻止する第１
逆止弁５と熱源６とを介して第２タンク２の下部
に連結した第１熱媒体管路７，７′，７″と、上記
両タンク１，２より下位に設け第１熱媒体管路の
第１タンク１と第１逆止弁５との間ら延びて蓄熱
槽９と第２タンク２への熱媒体の逆流を阻止する
第２逆止弁１０を介して第２タンク２の下部に連
結した第２熱媒体管路１１，１１′とからなるこ
とを特徴とするものである。

斯る構成における作用を第２図及び第３図によ
つて説明する。このシステム中には熱媒体が第１
タンク１及び第２タンク２内にある液位まで封入
されていて、加熱されていない場合の両タンク液
位は第３図ａの如くであり、第１タンク１は空の
状態で、第２タンク２は略いつぱいの状態となつ
ている。

熱源６は熱媒体が加熱され始めると加熱された
熱媒は蒸発もしくは沸騰し、発生蒸気は第１熱媒
体管路の一部７″を経由して第２タンク２内に流
入し第２タンク２内の熱媒体が加熱され温度が上
昇する。この上昇は熱輸送管３にて第１タンク１
に伝えられるが熱交換部３ａが気相熱媒体に接触
しているので、輸送効率が低く、第１タンク１と
第２タンク２とで熱媒蒸気圧に差を生ずる。

第２タンク２内の熱媒体の加熱が進行するにつ
れて両室内の蒸気圧の差が増大し第１タンク１内
の熱媒体の液位は上昇し、第２タンク２内の熱媒
体の液位は低下する。この時第２タンク２内の加
熱された熱媒体は第２熱媒体管路の一部１１″，
１１′により第２逆止弁１０を経て蓄熱槽９に流
入する。従つて蓄熱槽９内の比較的低温の熱媒体
は第２熱媒体管路の一部１１、分岐部８および第
１熱媒体管路の一部７とを経て第１タンク１に流
入する。

さらに熱源６による熱媒体の加熱が進み第１タ
ンク１内の熱媒体の液位がさらに上昇し第３図ｂ
に示すように熱交換部３ａにまで達すると、熱輸
送管３の熱輸送作用（ヒートパイプ作用）により
第２タンク２が急激に冷却される。そのため両室
内の蒸気圧は瞬間的に等しくなる。この時第１タ
ンク１内の熱媒体は第１熱媒体管路７，７′，
７″により第１逆止弁５と熱源６を経て第２タン
ク２は流入し両室の熱媒体の液位は最初の状態に
戻る。

上記のように熱源６における熱媒体の加熱によ
つて熱媒体が熱源６→第２タンク２→蓄熱槽９→
第１タンク１→熱源６という循環を繰り返し、熱
源６から蓄熱槽９への熱移動が循環ポンプを使用
せず自然に行われる。

(ホ) 考案の効果 上記説明から明らかなようにこの考案の循環集
熱システムは、熱媒体の循環ポンプを使用する必
要がない。またシステムの大小にかゝわらず蓄熱
槽をシステムの最上部に配置する必要もなく熱源
と同位もしくは熱源より下位でもよく、特に大型
のシステムの場合有利である。

又、熱輸送管の第１タンク側を閉じているので
第２タンクの液位を下げる動作において第２タン
クと第１タンクとの間を遮断する弁を必要としな
いので、機械的摩耗部分を少なくでき耐久性の大
なる装置を提供できる。

(ヘ) 考案の実施態様 この考案において熱輸送管の熱交換器を螺旋状
にすることにより、第１タンク内に占めるスペー
スを狭くでき第１タンクの小型化を実現できると
共に、熱交換部での熱交換量を大きくできる。

又、熱源を太陽熱集熱器とすることにより動力
源無しの太陽熱集熱システムを提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の循環集熱システムの構成説明
図、第２図はこの考案の循環集熱システムの一実
施例の構成説明図、並びに第３ａ、第３ｂ図はこ
の考案のシステムの作動を説明するための要部の
概略縦断面図である。 １……第１タンク、２……第２タンク、３……
熱輸送管、５……第１逆止弁、６……熱源、７，
７′，７″……第１熱媒体管路、８……分岐部、９
……蓄熱槽、１０……第２逆止弁、１１，１１′，
１１″……第２熱媒体管路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 第１タンクと、このタンクよりも下位に設け
   た第２タンクと、第２タンク内上部に一端を開
   放し他端を閉塞しこの閉塞側端部を熱交換部と
   して第１タンク内に配設した熱輸送管と、上記
   両タンクより下位に設け第１タンクから延びて
   第１タンクへの熱媒体の逆流を阻止する第１逆
   止弁と熱源とを介して第２タンクの下部に連結
   した第１熱媒体管路と、上記両タンクより下位
   に設け第１熱媒体管路の第１タンクと第１逆止
   弁との間から延びて蓄熱槽と第２タンクへの熱
   媒体の逆流を阻止する第２逆止弁を介して第２
   タンクの下部に連結した第２熱媒体管路とから
   なる循環集熱システム。 (2) 熱輸送管の熱交換部を螺旋状に形成した実用
   新案登録請求の範囲第(1)項記載の循環集熱シス
   テム。 (3) 熱源を太陽熱集熱器とした実用新案登録請求
   の範囲第(1)項記載の循環集熱システム。