JPH0115563B2 - - Google Patents

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JPH0115563B2
JPH0115563B2 JP16074885A JP16074885A JPH0115563B2 JP H0115563 B2 JPH0115563 B2 JP H0115563B2 JP 16074885 A JP16074885 A JP 16074885A JP 16074885 A JP16074885 A JP 16074885A JP H0115563 B2 JPH0115563 B2 JP H0115563B2
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JP
Japan
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wire
phase
ferrite
diameter
composite structure
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JP16074885A
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JPS6220824A (ja
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Takaaki Yuzutori
Masaaki Katsumata
Takehiko Kato
Yasuhiro Hosoki
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
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Publication of JPS6220824A publication Critical patent/JPS6220824A/ja
Publication of JPH0115563B2 publication Critical patent/JPH0115563B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は極細線の製造方法に関する。 (従来の技術) 本発明において、極細線とは線径が概ね150μm
以下、好ましくは100μm以下に伸線された低炭素
鋼線をいい、スイツチングワイヤー、コロナワイ
ヤー、ドツトプリンタ用ワイヤー等として使用さ
れている。これらの極細線は、従来は、伸線加工
ごとに伸線材の靭性が低下するので、通常、高炭
素鋼5.5mm径圧延線材から中途に数度のパテンテ
イング処理を行ないつつ、数次にわたる冷間伸線
加工によつて製造されているので、多くの製造工
程数を必要とすると共に、製造費用が高くならざ
るを得ない。 他方、鈍鉄や低炭素フエライト・パーライト鋼
線材によれば、極細線への強加工による伸線自体
は可能であるが、伸線加工による強度の上昇が少
ないので、最終製品としての極細線における強度
が低い。即ち、95〜99%強加工伸線でも、その強
度は70〜130Kgf/mm2であり、170Kgf/mm2以上の
強度を達成することはできない。また、加工率99
%以上の伸線加工によつても、強度は190Kgf/
mm2以下である。 (発明の目的) 本発明者らは、フエライト・パーライト組織を
有する冷間伸線用の低炭素鋼線材、又は冷間伸線
用の低炭素鋼線材の組織を予め残留オーステナイ
トを含有していてもよいベイナイト、マルテンサ
イト又はこれらの微細混合組織とし、これより逆
変態したオーステナイトを所定の冷却条件下に変
態させることによつて、最終組織として、一部残
留オーステナイトを含有していてもよい針状ベイ
ナイト、マルテンサイト又はこれらの混合組織か
らなる微細な低温変態生成相がフエライト相中に
均一に分散されてなる複合組織を有せしめた線材
を径0.5〜3.5mmの中間線材まで伸線し、この線材
を再度、所定の条件下に熱処理して、上記中間線
材と同様に、針状マルテンサイト、ベイナイト又
はこれらの混合組織からなる低温変態生成相がフ
エライト相中に均一に分散されてなる複合組織線
材とすることによつて、その後の冷間伸線におい
て、何らの熱処理を必要とせずして、径150μm〜
20μmの極細線に伸線加工することができ、且つ、
かかる極細線は十分な強度を有することを見出し
て、本発明に至つたものである。 従つて、本発明は、現在、工業的には製造でき
ない径150μm以下の極細線を実際に工業的に製造
するための方法を提供することを目的とする。 (発明の構成) 本発明による極細線の製造方法の第1は、重量
%で C 0.01〜0.30%、 Si 1.5%以下、 Mn 0.3〜2.5%、 残部鉄及び不可避的不純物よりなり、針状マル
テンサイト、ベイナイト又はこれらの混合組織か
らなる低温変態生成相がフエライト相中に均一に
分散されてなる複合組織線材を (a) 径3.5〜0.5mmの中間線材に伸線し、 (b) この中間線材を20℃/秒以上の速度で急速加
熱してオーステナイト化した後、急冷して針状
マルテンサイト、ベイナイト又はこれらの混合
組織組織させ、次いで、 (c) Ac1〜Ac3温度域に加熱した後、焼入れして、
針状マルテンサイト、ベイナイト又はこれらの
混合組織からなる低温変態生成相がフエライト
相に対して10〜50%の体積分率でフエライト相
中に均一に分散されてなる複合組織を有する複
合組織中間線材とし、次いで、 (d) この複合組織中間線材を径150μm以下の極細
線に伸線加工することを特徴とする。 また、本発明による極細線の製造方法の第2
は、上記第1の方法において、線材としてフエラ
イト・パーライト組織からなる線材を用いるもの
である。 以下、本発明においては、単に「線材」と称す
るときは、径3.5〜0.5mmの中間線材への伸線に供
される針状マルテンサイト、ベイナイト又はこれ
らの混合組織かからなる低温変態生成相がフエラ
イト相中に均一に分散されてなる複合組織を有す
る線材を意味し、単に「中間線材」と称するとき
は、上記線材を径3.5〜0.5mmに伸線加工した線材
を意味し、「複合組織中間線材」とは、上記中間
線材を所定の条件下に熱処理することによつて、
針状マルテンサイト、ベイナイト又はこれらの混
合組織からなる低温変態生成相がフエライト相に
対して10〜50%の体積分率でフエライト相中に均
一に分散されてなる複合組織を有せしめた中間線
材を意味するものとする。 また、本発明において、針状(elongated又は
acicular)とは粒子が方向性を有することをい
い、塊状(globular)とは粒子が方向性を有しな
いことをいう。また、針状粒子の換算粒子径と
は、針状粒子の面積を円に換算したときの直径を
意味する。 本発明の方法によれば、所定の化学成分を有
し、且つ、所定の低温変態生成相を有する複合組
織からなる線材又はフエライト・パーライト組織
を有する線材を径0.5〜3.5mmの中間線材に伸線し
た後、これを所定の条件下に熱処理して、所定の
針状低温変態生成相を有する複合組織中間線材と
し、ここにかかる複合組織中間線材は、上記針状
低温変態生成相が著しく微細であるので、従来に
ない強加工性を有して、その後の伸線加工途中に
Ac1温度以上の温度域への加熱処理を必要とせず
して、減面率99.9%以上の冷間伸線によつて、直
ちに径150〜20μmの極細線とすることができ、且
つ、かかる極細線は、例えば、径が100μm以下で
あるとき、300Kgf/mm2以上の強度を有すると共
に、高延性を有する。 以下に本発明において用いる線材における化学
成分の限定理由について説明する。 Cは、本発明において用いる線材が、中間線材
への伸線の後、後述する所定の熱処理によつて所
定の複合組織を有するために0.01%以上を添加す
ることが必要であるが、0.30%を越えるときは、
針状のマルテンサイト、ベイナイト又はこれらの
混合組織からなる低温変態生成相(以下、単に第
2相ということがある。)の延性が劣化するよう
になる。従つて、C添加量は0.01〜0.30%の範囲
とする。 Siはフエライト相の強化元素として有効である
が、1.5%を越えると変態点温度を著しく高温側
にずらせ、また、線材の表面の脱炭を起こしやす
くするので、添加量は1.5%を上限とする。 Mnは線材を強化すると共に、第2相の焼入れ
性を高め、また、その形態を針状化するために
0.3%以上を添加することが必要であるが、2.5%
を越えて多量に添加しても、その効果が飽和する
ので、Mn添加量は0.3〜2.5%とする。 本発明においては、線材の金属組織を微細化す
るために、Nb、V及びTiから選ばれる少なくと
も1種の元素を更に添加することができる。この
組織の微細化のためには、いずれの元素について
も0.005%以上の添加を必要とするが、しかし、
過多に添加してもその効果が飽和し、また、経済
的にも不利であるので、その上限は、Nbについ
ては0.2%、V及びTiについてはそれぞれ0.3%と
する。 更に、本発明おける線材に不可避的に含まれる
元素又は含まれてもよい元素について説明する。 Sは線材中のMnS量を少なくするために、
0.005%以下とするのがよく、これにより線材の
延性が向上する。 Pは粒界偏析の著しい元素であるので、その含
有量を0.01%以下とするのが好ましい。 Nは固溶状態で存在すると、最も時効しやすい
元素である。従つて、加工中に時効して加工性を
阻害し、或いは加工後にも時効して、伸線により
得られる極細線の延性を劣化させるので、0.003
%以下とするのが好ましい。 Alは酸化物系介在物を形成し、この酸化物系
介在物は変形し難いために、線材の加工性を阻害
する場合があり、線材を伸線する間にこの介在物
を起点として破断が生じやすい。従つて、Alの
添加量は、通常、0.01%以下とするのが好まし
い。 また、線材におけるSi/Al比が大きくなると
き、シリケート系介在物が増大し、特に、Al量
が少ないときには、急激にシリケート系介在物が
増大して、線材の伸線性を劣化させるのみななら
ず、伸線して得られる伸線材の疲労特性が劣化す
る。従つて、本発明においては、好ましくはSi/
Al比を250以下、特に好ましくは100以下とする。
更に、本発明によれば、Si/Al比を上記のよう
に規制すると共に、Si/Mn比を0.4以下とするこ
とが好ましい。Si/Mn比が0.4を越えるときは、
介在物の組成や形態等が変化し、介在物の分散や
分布が原因となつて、線材の伸線性を劣化させる
ことがあるからである。 一方、CaやCe等の希土類元素を添加すること
によつて、MnS介在物の形状を調整することも
好ましい。 また、前記したNb、V及びTiを含めて、Al等
を添加することにより、固溶CやNを固定するこ
ともできる。更に、本発明による極細線の用途に
応じて、用いる線材にはCr、Cu及び/又はMoを
それぞれ1.0%以下、Niを6%以下、Al及び/又
はPをそれぞれ0.1%以下、Bを0.02%以下適宜
に添加することもできる。 本発明の方法においては、線材として、微細な
針状マルテンサイト、ベイナイト又はこれらの混
合組織からなる低温変態生成相がフエライト相中
に均一に分散されてなる複合組織を有する線材、
又は微細なフエライト相・パーライト組織を有す
る線材を用い、このような線材を径3.5〜0.5mmの
中間線材まで伸線し、この中間線材を所定の条件
下に熱処理することによつて、再度、針状マルテ
ンサイト、ベイナイト又はこれらの混合組織から
なる微細な低温変態生成相がフエライト相中に均
一に分散さされてなる複合組織中間線材を得、次
いで、この複合組織中間線材を冷間伸線加工によ
つて径150〜20μmの極細線に伸線するが、上記所
定の複合組織を有する線材と上記複合組織中間線
材を製造するための熱処理条件は実質的に同じで
ある。従つて、複合組織を有する線材の製造につ
いては、後に簡単に説明するにとどめる。 本発明の方法においては、先ず、線材を径0.5
〜3.5mmまで伸線して中間線材とする。鋼の熱間
圧延によつて、通常、5.5〜4.0mm径の線材を得る
ことができるが、本発明に従つて、中間線材に強
加工性を付与するために、中間線材組織を複合化
するには、径が3.5mm以下であることが必要であ
り、他方、中間線材を余りに細径化するときは、
その組織を複合化するための熱処理費用が高くな
るので、本発明にいては、線材を径0.5〜3.5mm径
に伸線して、中間線材とする。特に好ましい中間
線材の径は0.8〜3.0mmの範囲である。尚、0.8mm径
は、フエライト・パーライト組織の伸線可能な加
工限界の径である。 本発明の方法によれば、次いで、上記したよう
な中間線材に所定の熱処理を施こして、その組織
を旧オーステナイト粒径が平均値にて50μ以下の
ベイナイト、マルテンサイト又はこれらの混合組
織とした後、これをAc1〜Ac3温度域に加熱して、
オーステナイト化分率が約15%以上となるように
オーステナイト化を進行させ、次いで、このよう
な処理した線材を平均冷却速度15〜150℃/秒に
て常温乃至500℃まで冷却することによつて、本
発明で用いる強加工性にすぐれた冷間伸線用の複
合組織中間線材を製造する。次いで、この線材を
合計減面率99.9%以上にて冷間伸線して、径150
〜20μmの極細線を得る。 先ず、中間線材における金属組織における第2
相を微細な針状組織とするために、中間線材を
Ac1〜Ac3温度域に加熱する前に、所定の条件で
の熱処理を施こすことにより、その組織を、一部
残留オーステナイトを含有していてもよい旧オー
ステナイト粒径が平均値にて50μ以下、好ましく
は35μ以下のベイナイト、マルテンサイト又はこ
れらの微細混合組織(以下、これらを単に前組織
ということがある。)とする。前組織をこのよう
に微細化することにより、最終組織を微細化して
複合組織中間線材の延性及び靭性を向上させ、か
くして所要の強度を付与することができる。 旧オーステナイト粒径を平均値にて50μ以下に
調整するには、通常、中間線材をオーステナイト
の粒成長の進行が著しく遅い温度域、即ち、Ac3
+150℃以下であつて、且つ、Ac3点以上の温度
範囲に20℃/秒以上の速度にて急速加熱し、且
つ、上記温度範囲での保持時間をできる限り短く
することが必要である。加熱温度がAc3+150℃
を越える温度であるときは、オーステナイトが粒
成長しやすいからである。この後、水冷等による
急冷を行なうことにより、中間線材組織をベイナ
イト、マルテンサイト又はこれらの混合組織とす
ることができる。冷却速度は5℃/秒以上とする
ことが必要である。これよりも小さい冷却速度で
は、通常のフエライト・パーライト組織となるか
らである。 但し、前記した加熱温度は現在技術の加熱備の
能力を考慮した例示的な値であつて、加熱速度が
早められれば変態温度も高くなるので、本発明に
おいて加熱温度は、オーステナイト化するには足
る温度であると理解されるべきである。 このように中間線材の組織を従来のフエライ
ト・パーライト組織に代えて、残留オーステナイ
トを含有していてもよいマルテンサイト、ベイナ
イト又はこれらの混合組織からなる低温変態生成
相とし、次いで、この中間線材をAc1〜Ac3域に
加熱することにより、低温変態生成相のラス境界
に存在している残留オーステナイト若しくはセメ
ンタイトを優先核として、初期オーステナイト粒
が多数生成し、上記ラス境界に沿つて成長する。 次いで、所定の条件下での冷却によつてこのオ
ーステナイトから変態すするマルテンサイト又は
ベイナイトを針状にして、周囲のフエライト相に
対して整合性のよいものとし、かくして、従来の
フエライト・パーライト前組織に比較して、第2
相粒子を格段に微細化する。従つて、Ac1〜Ac3
域への加熱及び冷却の条件が重要である。即ち、
条件によつては、第2相が塊状化し、或いは第2
相に塊状の粒子が混在して、強加工性を損なうこ
ととなるからである。 より詳細に説明すれば、微細なベイナイト、マ
ルテンサイト又はこれらの混合組織からなる前組
織をオーステナイト域に加熱する際の逆変態は、
オーステナイト分率が約20%までは旧オーステナ
イト粒界から塊状オーステナイトが生成し、ま
た、粒内からは針状オーステナイトが生成するこ
とにより開始されるので、この状態から、例えば
150〜200℃/秒以上の冷却速度で急冷することに
より、針状と塊状の低温変態生成相がフエライト
中に分散した組織を得る。従つて、旧オーステナ
イトが細粒であるほど、塊状オーステナイトの生
成頻度が高い。オーステナイト化が更に約40%以
上進行すると、針状オーステナイト粒子相互が合
体して塊状オーステナイトへと変化するので、こ
の状態から急冷すると、フエライト相と粗大な塊
状の低温変態生成相との混合組織を形成する。更
にオーステナイト化が約90%以上進行すれば、塊
状オーステナイト相互が合体成長してオーステナ
イト化が完了するので、この状態から急冷すれ
ば、低温変態生成相が主体の組織となる。 そこで、本発明においては、前記組織に調整し
た中間線材をAc1〜Ac3域に加熱するに際して、
そのオーステナイト化をオーステナイト化分率が
約15%以上、好ましくは約20%以上とし、この状
態から平均冷却速度15%以上、好ましくは40〜
150℃/秒にて常温乃至500℃の温度まで調整冷却
することにより、冷却中の変態過程において塊状
オーステナイトからフエライトと針状オーステナ
イトとを分離させ、この針状オーステナイトを低
温変態生成相に変態させることにより、一部残留
オーステナイトを含有していてもよい針状ベイナ
イト、マルテンサイト又はこれらの混合組織から
なる微細な低温変態生成相がフエライト相中に均
一に分散された複合組織を得るのである。上記調
整冷却方法としては水冷又は油冷を採用し得る。 平均冷却速度は上記のように限定される。冷却
速度が15℃/秒よりも遅い場合には、塊状オース
テナイトからポリゴナルフエライトが生成し、残
留する塊状オーステナイト粒子は塊状第2相に変
態し、一方、冷却速度が150℃/秒よりも速い場
合には、上記したように塊状第2相が生成するか
らである。また、本発明においては、フエライト
相中における第2相の体積分率は10〜50%の範囲
とする。第2相の体積分率がこの範囲にあると
き、第2相粒子は針状であり、且つ、その平均換
算粒子径が3μ以下となり、かくして、得られる
複合組織中間線材は、従来にない独特の複合組織
を有するために、すぐれた強加工性を有する。ま
た、第2相の体積分率が上記範囲をはずれると
き、上記条件での冷却によつても、最終組織中に
塊状第2相が混入しやすい。特に好ましい第2相
の体積分率は15〜40%の範囲である。 冷却停止温度は常温乃至500℃である。これは、
低温変態生成相としてベイナイト、マルテンサイ
ト又はこれらの混合組織を得るためであると共
に、この温度範囲内で冷却速度を遅くし、又は停
止することによつて、生成した第2相の焼戻しを
兼ねさせることもできるからである。 また、本発明においては、中間線材をAc1以上
の温度に加熱し、適宜時間保持した後、放冷又は
急冷する加熱処理を行なつて、線材から中間線材
への伸線による歪みを除去し、この後に前述した
ように、中間線材をオーステナイト化、冷却によ
つつて所定の前組織とし、次いで、Ac1〜Ac3
度域への加熱、冷却によつて所定の複合組織中間
線材とすることもできる。この方法によれば、上
記Ac1以上に温度域への加熱処理によつて中間線
材における伸線歪が解放されているので、この後
のオーステナイト化において急速加熱を必要とし
ない利点がある。 以上のようにして得られる複合組織中間線材
は、針状の低温変態生成相が10〜50%の体積分率
にてフエライト相中に均一に分散されてなる従来
にない特異な微細複合組織を有し、かくして、伸
線に際してAc1温度以上に加熱することなくし
て、99.9%以上の強加工率による冷間伸線によつ
て、径150〜20μの極細線を得ることができる。 尚、本発明の方法において、針状の低温変態生
成相がフエライト中に均一に分散されてなる線材
は、前記所定の化学組成を有する低炭素鋼片を熱
間圧延後に水冷し、前組織が微細なマルテンサイ
ト組織である熱間圧延線材を得、次いで、この線
材をAc1〜Ac3域に加熱後、冷却することによつ
て得ることができ、ここに、前組織調整条件及び
Ac1〜Ac3域への加熱、冷却条件は、複合組織中
間線材の製造における条件と実質的に同じであ
る。 (発明の効果) 本発明の方法によれば、フエライト・パーライ
ト組織を有する冷間伸線用の低炭素鋼線材、又は
組織を予め残留オーステナイトを含有していても
よい針状ベイナイト、マルテンサイト又はこれら
の微細混合組織とし、これより逆変態したオース
テナイトを所定の冷却条件下に変態させることに
よつて、最終組織として、一部残留オーステナイ
トを含有していてもよい針状のベイナイト、マル
テンサイト又はこれらの混合組織からなる微細な
低温変態生成相がフエライト相中に均一に分散さ
れてなる複合組織を有する冷間伸線用の低炭素鋼
線材を用い、かかる線材を径0.8〜3.5mmの中間線
材まで伸線した後、再度、所定の条件下に熱処理
して、上記後者の中間線材と同様に、最終的に針
状マルテンサイト、ベイナイト又はこれらの混合
組織からなる低温変態生成相がフエライト相中に
均一に分散されてなる複合組織中間線材とすると
き、かかる複合組織中間線材が著しく強加工性に
すぐれる結果、その後の冷間伸線において、何ら
の熱処理を必要とせずして、径150μm〜20μmの
極細線に容易に伸線加工することができる。 更に、従来の高炭素鋼線材を用いて、パテンテ
イング処理及び伸線を数次にわたつて行なつて
も、その製造が困難であつた径50μm以下の極細
線をも容易に製造することができる。 (実施例) 以下に参考例及び実施例を挙げて本発明を説明
するが、本発明はこれら実施例によつて何ら限定
されるものではない。先ず、参考例において、微
細マルテンサイト・フエライト組織を有する線材
の製造について説明し、次いで、実施例として、
この線材及び微細フエライト・パーライト組織を
有する線材からの極細線の製造について説明す
る。 参考例 (線材の製造例及び線材の性質) 第1表に示すように、本発明で規定する化学組
成を有する鋼A及びBを圧延後に水冷して、前組
織を微細なマルテンサイト組織としたものをそれ
ぞれA1及びB1とし、比較鋼として、鋼Aを圧
延後空冷して、前組織をフエライト・パーライト
組織としたものをA2とする。旧オーステナイト
粒径はいずれも20μ以下である。 次に、上記A1及びB1を異なるオーステナイ
ト分率を有するようにAc1〜Ac3域に3分間加熱
保持し、種々の平均冷却速度にて常温まで冷却し
た。加熱温度及び冷却速度に対する第2相粒子の
形態とその体積分率を第1図に示す。実線はフエ
ライトと針状第2相との均一な混合組織を有し、
【表】 破線はフエライトと塊状第2相、又フエライト
と針状若しくは塊状第2相との混合組織を示す。 平均冷却速度125℃/秒又は80℃/秒で冷却し
たとき、圧延線材の第2相形態は針状であつて、
組織はこの第2相がフエライト相中に均一に分散
して形成されており、また、第2相の体積分率は
加熱温度にかかわらずにほぼ一定である。これに
対して前組織が同じであつても、平均冷却速度が
170℃/秒以上のときは、第2相形態は塊状、又
は塊状と針状の混合物となり、更に第2相分率は
加熱温度が高いほど多くなる。 第2図は最終組織に含まれる第2相体積分率と
第2相粒子の平均換算粒子径の関係をマルテンサ
イト前組織のA1及びB1、並びにフエライト・
パーライト前組織A2及びB2についてそれぞれ
示す。ここで、平均換算粒子径は、いずれの形態
についても、前記したように面積を円に換算した
ときの平均直径を意味する。 いずれの圧延線材についても、第2相粒子の粒
子径は第2相体積分率の増加に伴つて大きくなる
が、第2相分率が同一である場合は、マルテンサ
イト前組織から得られる粒子の粒子径はフエライ
ト・パーライト前組織から得られる粒子の粒子径
に比べて著しく小さい。即ち、同一の組成を有す
る鋼片であつても、前組織をフエライト・パーラ
イトからマルテンサイト組織に調整することによ
り、第2相粒子を格段に微細化できる。この第2
相粒子の微細化により、圧延線材の圧性は大幅に
改善されるが、必ずしも強加工性に富むとは限ら
ない。即ち、第2相の体積分率を10〜50%、好ま
しくは15〜40%の範囲とすることによつて、第2
相の形態は針状が主体となり、且つ、第2相が平
均換算粒子径3μ以下の微細な針状粒子からなり、
更に、このような微細な針状第2相がフエライト
中に均一に分散分布されるために強加工性にすぐ
れるのである。勿論、上記は第2相が針状ベイナ
イト又はこれとマルテンサイトとの混合組織の場
合にも当てはまる。 次に、前記圧延線材A1及びA2について、加
熱及び冷却条件、最終組織並びに機械的性質を第
2表に示す。前組織が微細なマルテンサイトであ
るA1をオーステナイト化分率が20%以上となる
ようにAc1〜Ac3域に加熱した後、125℃/秒で冷
却して得られた鋼番号3,4,5及び6の線材
は、フエライト相中に微細針状マルテンサイト
(第2相)が体積分率15〜40%の範囲内で均一に
混合分散されてなる複合組織を有し、強度・延性
バランスに格段にすぐれていることが明らかであ
る。 一方、前組織はマルテンサイトであるが、鋼番
号1はAc1〜Ac3域に加熱後の冷却速度が遅いた
めに、また、鋼番号2はAc1〜Ac3域に加熱した
際のオーステナイト化分率が小さいために、いず
れもその組織がフエライトと塊状及び針状マルテ
ンサイトとの微細な混合組織であり、上記鋼番号
3〜6に比べれば強度・延性バランスにやや劣
る。 これに対して、前組織がフエライト・パーライ
トである圧延線材A2は、加熱及び冷却条件にか
かわらずに、第2相の形態が塊状である鋼番号
10,11又は12を与え、これらはいずれも強度
【表】 ・延性バランスに劣つている。また、鋼番号7〜
9はいずれもフエライトと塊状マルテンサイトの
混合組織であつて、強度・延性バランスに劣る。 次に、異なる第2相形態を有する6.4mm径線材
冷間伸線による強加工を加えた。この加工後の性
質を第3表に示す。鋼番号1の線材によれば、加
工度90%にて引張強度170Kgf/mm2、破断絞り58
%である2mm径の線材を得ることができ、加工度
99%によつて一層高強度の0.7mm径の線材を得る
ことができる。一方、塊状の第2相を有する鋼番
号2の比較鋼線材によれば、加工度の増大につれ
て急激に延性が劣化し、約90%の加工度において
断線が生じた。 次に、第1表に示すように、本発明で規定する
化学組成を有する鋼B及びCを本発明に従つてフ
エライトと針状マルテンサイトの均一な微細複合
組織とを有する5.5mm線径の線材とした。これら
をそれぞれB1及びC1とする。このB1及びC
1の機械的性質及びこれらを1.0mm以下の線径の
極細鋼線に強加工した伸線材の機械的性質を第4
【表】 (注) (a) 第2表と同じ。
(b) 伸線途中で断線した。
【表】 に示す。 B1及びC1は共に高延性を有し、99.9%の強
加工が可能であり、このようにして得られる線材
も高強度及び高延性を有する。また、鋼C1を加
工率97%で伸線して線材(線径0.95mm)とし、こ
れを300〜400℃の温度で低温焼鈍した後の機械的
性質をも第4表に示す。線材が低温焼鈍によつて
延性が改善されていることが明らかである。強度
低下は認められない。従つて、低温焼鈍熱処理に
よつて、線材の延性改善を図ることができ、ま
た、線材の伸線途中工程に低温焼鈍を組み合わせ
ることによつて、得られる線材の延性を一層増す
こともできる。 (2) 実施例(極細線の製造) C 0.08%、 Si 0.46%、 Mn 1.53%、 P 0.007%、 S 0.002%、及び Al 0.001% を含有し、残部鉄及び不可避的不純物よりなる鋼
片を5.5mm径線材に熱間圧延した後、直接焼入れ
し、次いで、810℃の温度で2分間加熱後、油冷
却し、0.8mm径中間線材に伸線した。次いで、こ
の中間線材を45℃/秒の速度にて900℃まて加熱
し(所要時間20秒)、この温度に10秒間保持した
後、水冷してマルテンサイト化し、更に、820℃
の温度に2分間加熱後、油冷した。かかる複合組
織中間線材は、フエライトに針状マルテンサイト
が均一に分散した複合組織を有し、第2相分率22
%、第2相平均換算粒子径1.3μであつた。尚、前
組織における旧オーステナイト化分率は42%であ
つた。この複合組織中間線材を線材1とする(第
1発明)。 また、上記のように、鋼片を5.5mm径線材に熱
間圧延した後、ステルモア冷却して、フエライ
ト・パーライト組織線材を得、これを2.2mm径に
伸線して、中間線材を得た後、23℃/秒の速度に
て900℃まで加熱し(所要時間40秒)、この温度に
20秒間保持した後、水冷してマルテンサイト化
し、更に、820℃の温度に2分間加熱後、油冷し
た。かかる複合組織中間線材は、フエライトに針
状マルテンサイトが均一に分散した複合組織を有
し、第2相分率19%、第2相平均換算粒子径1.5μ
であつた。尚、前組織における旧オーステナイト
化分率は39%であつた。この複合組織中間線材を
線材2とする(第2発明)。 上記線材1及び2を冷間伸線したときの加工硬
化挙動を第3図に示す。いずれの場合も断線な
く、極細線化することができた。このように、本
発明の方法によれば、所定の複合組織中間線材か
ら何らの熱処理を必要としないで、強度300Kg
f/mm2以上、線径100μm以下の極細線を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明で規定する組成を有する鋼を
Ac1〜Ac3域に加熱し、冷却したときの加熱温度
と平均冷却速度とに対する低温変態生成相の形態
とそのフエライト相中における体積分率の関係を
示すグラフ、第2図は第2相の体積分率と、第2
相の形態及び粒子の平均換算粒子径との関係を示
すグラフ、第3図は複合組織中間線材の伸線加工
歪と引張強度との関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 重量%で C 0.01〜0.30%、 Si 1.5%以下、 Mn 0.3〜2.5%、 残部鉄及び不可避的不純物よりなり、針状マル
    テンサイト、ベイナイト又はこれらの混合組織か
    らなる低温変態生成相がフエライト相中に均一に
    分散されてなる複合組織を有する線材を (a) 径3.5〜0.5mmの中間線材に伸線し、 (b) この中間線材を20℃/秒以上の速度で急速加
    熱してオーステナイト化した後、急冷して針状
    マルテンサイト、ベイナイト又はこれらの混合
    組織に変態させ、次いで、 (c) Ac1〜Ac3温度域に加熱した後、焼入れして、
    針状マルテンサイト、ベイナイト又はこれらの
    混合組織からなる低温変態生成相がフエライト
    相に対して10〜50%の体積分率でフエライト相
    中に均一に分散されてなる複合組織を有する複
    合組織中間線材とし、次いで、 (d) この複合組織中間線材を径150μm以下の極細
    線に伸線加工することを特徴とする極細線の製
    造方法。 2 重量%で C 0.01〜0.30%、 Si 1.5%以下、 Mn 0.3〜2.5%、 残部鉄及び不可避的不純物よりなり、微細フエ
    ライト・パーライト組織からなる線材を (a) 径3.5〜0.5mmの中間線材に伸線し、 (b) この中間線材を20℃/秒以上の速度で急速加
    熱してオーステナイト化した後、急冷して針状
    マルテンサイト、ベイナイト又はこれらの混合
    組織に変態させ、次いで、 (c) Ac1〜Ac3温度域に加熱した後、焼入れして、
    針状マルテンサイト、ベイナイト又はこれらの
    混合組織からなる低温変態生成相がフエライト
    相に対して10〜50%の体積分率でフエライト相
    中に均一に分散されてなる複合組織を有する複
    合組織中間線材とし、次いで、 (d) この複合組織中間線材を径150μm以下の極細
    線に伸線加工することを特徴とする極細線の製
    造方法。
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