JPH0115102Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は土鍋類に係るもので、電磁調理器で加
熱調理ができると共に、加熱のときの熱効率を向
上させた新規の土鍋類を提供するものである。な
お、本考案における土鍋類とは、土鍋のほか、陶
製湯沸し類を含む広義の意味である。

「従来の技術」 近年、電磁調理器が普及し、日常の調理用とし
て一般に多く用いられている。しかし、該電磁調
理器は「磁気回路中で磁束密度が周期的に変化す
ると、回路中に置かれた導体にはうず電流が発生
し、その際のうず電流損ならびにヒステリシス損
による発熱現象」を応用したもので、その電磁調
理器に用いる鍋類は、透磁率ならびに導電率が共
に高い鉄製鍋に限るものとされている。

従つて、従来から広く使用されて親しまれてい
る土鍋は、保温性や清潔感に優れ、調理容器とし
て優れた利点を有するものの、透磁率ならびに導
電率が著しく低く、電磁調理器用加熱容器として
使用できないものになつている。

一方従来の土鍋は、優れた保温性を有するもの
の、ガス、電熱等による加熱のときの熱伝導性が
低く、金属性鍋に比べて加熱のときの熱効率が劣
る難点がある。

「考案が解決しようとする問題点」 本考案は、以上の従来の土鍋における電磁調理
器への非適応性、ならびに加熱のときの低熱効率
性を解消する新規構造の土鍋類を提供するのが目
的である。

「問題点を解決するための手段」 以上の目的を達成する本考案の土鍋類は「陶土
によつて焼成され胴部と、鉄製板体によつて形成
された底部との結合からなり、前記の胴部と底部
は同互に重合するフランジ部を有し、該フランジ
部を「はんだガラス」によつて相互に結合固着し
た構造」から成つている。

「作用」 以上の構成の本考案の土鍋類によると、陶製の
胴部と鉄板製の底部の結合構成から成つているの
で、該底部は高い透磁性と導電性ならびに優れた
熱伝導性を有するので、当該土鍋を電磁調理器用
加熱容器として用いることができると共に、ガス
等の通常の熱源によつて加熱するとき、その伝熱
効率を向上させることができる。

「実施例」 以下、本考案の実施例を引用して詳しく説明す
る。まず、その一実施例を示す第１図において、
本考案の土鍋１は、陶製の胴部２と鉄板製の底部
３の結合から成つており、胴部２と底部３は、そ
れぞれのフランジ部４，５を重合して結合され、
その結合部分は公知の「はんだガラス」によつて
一体に固着されている。

詳しくは、胴部２は土鍋１の上縁部８を含む側
壁部を主要部として環体に形成され、下方には底
部１を受け入れる開口部がある。そして、該開口
部の周縁は、土鍋１の定常な使用時に概ね水平方
向となる平坦なフランジ部４に形成してある。な
お、胴部２は、通常の土鍋と同様に陶土によつて
予め焼成成形してある。

一方、底部３は鉄製板から成る皿形になつてお
り、その周縁には胴部２のフランジ部４の上に重
合するフランジ部５が形成してある。なお、以上
のフランジ部４，５は相互に重合したとき、底部
３と胴部２の昇温時の膨張を許容するように、フ
ランジ部４の先端と底部３の周壁間、ならびにフ
ランジ部５と胴部２の周壁間にそれぞれクリアラ
ンス７が生ずる形状にしてある。

以上の構成からなる胴部２の開口部に底部３が
挿入され、相互のフランジ部４，５を重合させる
と共に、その重合部分は、公知の「はんだガラ
ス」によつて両者が一体に固着されている。

即ち、フランジ部４，５が重合した結合部分
は、土鍋１が昇温したとき、胴部２と底部３との
材質の相異に基づく膨張特性の相異によつて、そ
の結合部分に生ずる応力によつて分離したり、或
は胴部２の破損を生じないよう、公知の「はんだ
ガラス」の中から、例えば胴部２と底部３の膨張
特性の中間的膨張特性を有する「はんだガラス」
を用いて焼成固着するか、或は胴部２側に胴部２
と近似した膨張特性を有する「はんだガラス」、
底部３側に底部３と近似した膨張特性を有する
「はんだガラス」を塗布して両者を組合せ、その
接合部分を焼成して結合固着する。

なお、土鍋１は予め構成部材として完成した胴
部２と底部３を組合せ、両者の接合部分に前記の
「はんだガラス」を付与し、該「はんだガラス」
を溶着させる必要温度に加熱焼成して固着させ
る。

つぎに、第２図は本考案の他の実施例の土鍋１
を示したもので、前記と同一の胴部２と底部３と
の結合から成り、底部３が浅形に形成された実施
例である。

以上の実施例の土鍋１によると、土鍋１の周壁
を形成する胴部２が陶製、底部３が鉄板製に成り
両者が一体に結合固着しているので、土鍋１は適
度の保温断熱性を有すると共に、ガス等の熱源に
よる加熱時には、極めて効率的に土鍋１の内部に
伝熱されるので、加熱効率を向上し燃料節減を図
ることができる。

そして、土鍋１は電磁調理器用加熱容器として
も充分に機能することができる。なお、本考案の
前記の構成は前記実施例の土鍋のみではなく、湯
沸し類にも応用して同一の作用を享受することが
できる。

「考案の効果」 以上の説明の様に、本考案の土鍋類は適度の保
温性と優れた熱効率を有すると共に、電磁調理器
用加熱容器ならびにガス加熱等の通常の加熱容器
として多機能に使用できるので、広く一般に活用
し日常生活の便宜向上に寄与する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図：本考案一実施例の土鍋を示す正面断面
図、第２図：本考案の他の実施例の土鍋を示す正
面断面図。 主な符号、１：土鍋、２：胴部、３：底部、
４，５：フランジ部、６：はんだガラス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 陶土によつて焼成された胴部と、鉄製板体によ
   つて形成された底部との結合から成り、前記の胴
   部と底部は相互に重合するフランジ部を有し、前
   記フランジ部を「はんだガラス」によつて結合固
   着した構造を特徴とする土鍋類。