JPH0125506Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、電磁調理器用調理器具に関するもの
である。

（従来の技術） 一般に、電磁調理器用調理器具としては、鉄ホ
ーロウ、ステンレス鋼製の容器などが汎用されて
いるが、これらの調理器具はその構造上、保温性
が悪いため、電磁調理器上から降ろすと、その内
容物が直ぐに冷めてしまうという問題がある。こ
のため、実開昭58−138515号公報にて、内壁と外
壁とからなる二重壁構造を有し、内壁の少なくと
も底部を導電体で形成する一方、外壁を非導電体
で形成し、かつ内外壁間を真空断熱してなる誘導
加熱容器が提案されている。

（考案が解決しようとする問題点） この誘導加熱容器は、保温性を有するため、電
磁調理器から降ろしても内容物の温度が急速に低
下するという問題は無いが、内壁をステンレス鋼
や鉄ホーロウ等で形成し、外壁をセラミツクや合
成樹脂等で形成する必要があるため、異質の材料
からなる内外両壁を気密的に接合するのは困難で
あり、また高真空度を長期に渡つて維持すること
は困難であるという問題がある。

従つて、本考案は、高効率で加熱でき、かつ保
温性に優れた電磁調理器用調理器具を提供するこ
とを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、前記問題を解決するため、調理器具
を内容器と外容器とで形成された二重壁構造を有
し、両容器間の空間を真空断熱してなるガラス製
容器で構成すると同時に、内容器の外側表面の少
なくとも底部に導電体からなる薄膜を形成するよ
うにしたものである。

前記薄膜を形成する導電体としては、常磁性
体、反磁性体のいずれでも良く、例えば、Al，
Ni−Cr合金、Ag，Cu，RuO₂からなる群から選
ばれた少なくとも一種の導電体が単独であるいは
組み合わせて使用される。この導電体からなる薄
膜は、単層あるいは積層して形成されるが、通
常、蒸着法、スパツタリング、メツキ、あるいは
ペーストにして塗布することにより形成される。

本考案の実施態様においては、内容器の外側表
面全面にAg，Cuからなる薄膜が形成される。こ
の場合であつても、内容器の底部に形成された薄
膜の上に他の導電体からなる薄膜を積層しても良
い。

また、本考案に係る電磁調理器用調理器具は、
実施例に示されるポツトの形態に限らず、鍋その
他の任意の形態を採用することができる。

（作用） 本考案に係る調理器具を電磁調理器のトツププ
レート上に載せ、コイルに交番電流を流すと、交
番磁力線は外容器を透過して内容器の底部の薄膜
に作用し、薄膜に渦電流が流れその電気抵抗によ
るジユール熱によつて薄膜が発熱し、内容物が加
熱される。このとき、内外両容器間の空間が真空
断熱されているため熱の放散が抑制され、高効率
で加熱される。調理器具を電磁調理器から降ろし
た場合、調理器具は真空断熱されているため保温
性が良く、内容物を長時間に渡つて高温度に保持
できる。特に、内容器の外側表面全面にAgまた
はCuからなる薄膜が形成されている調理器具で
は、薄膜によつてふく射が阻止されるため、保温
性を著しく高められる。なお、一般的には、前記
Al，Ag，Cu，RuO₂などは発熱量が少ないが、
薄膜にすると抵抗が増大し、十分な発熱量が得ら
れる。

（実施例） 以下、本考案に係る電磁調理器用調理器具の一
実施例を添付図面に従つて説明する。

図において、１は本考案に係る電磁調理器用調
理器具で、ガラスで形成された内容器２と外容器
３とからなる二重壁構造を有し、内容器の底部の
外表面には銀メツキからなる薄膜４が形成され、
内外両容器間の空間５は、ガラス製魔法瓶を形成
する場合と同様、チツプ管６を介して排気した
後、溶封して真空にしてある。なお、熱効率を高
めるため、内外両容器の底部はいずれも平たくし
てある。また、チツプ管６を保護すると共に持ち
運びの便宜を図るため、調理器具の肩部には取つ
手７が装着されている。

前記構成の調理器具１を用いる場合、電磁調理
器１０のトツププレート１１上に載せ、コイル１
２に交番電流を流すと、交番磁力線により薄膜に
渦電流が流れ、ジユール熱によつて薄膜が発熱
し、内容物が加熱される。内外両容器間の空間が
真空断熱されているため熱の放散が抑制され、外
容器は発熱しないため、外容器が熱くなることが
無く内容器の底部のみが加熱されるので、やけど
の恐れも無く、熱効率よく加熱できる。調理器具
を電磁調理器から降ろしテーブル上にそのまま置
いても、調理器具の底は熱くないためテーブルに
悪影響を及ぼすことが無く、また、調理器具が真
空断熱二重容器であるため保温性が良く、内容物
を長時間に渡つて高温度に保持できる。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案によれば、電磁調
理器用調理器具が真空断熱二重容器で形成され、
しかも内容器の少なくとも底部にのみ導電体から
なる薄膜が形成されているため、加熱効率を向上
させることができ、しかも保温性を著しく向上さ
せることができる。また、真空断熱二重容器全体
がガラスで形成されるため、ガラス製魔法瓶の分
野において確立された製造技術を用いて容易に製
造できる、など優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る電磁調理器用調理器具の
概略断面図である。 １……電磁調理器用調理器具、２……内容器、
３……外容器、４……薄膜、５……空間、７……
取つ手、１０……電磁調理器、１１……トツププ
レート、１２……コイル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 内容器と外容器とで形成された二重壁構造を
   有し、両容器間の空間を真空断熱してなるガラ
   ス製容器からなり、内容器の外側表面の少なく
   とも底部に導電体からなる薄膜を有する電磁調
   理器用調理器具。 (2) 前記薄膜がAl，Ni−Cr合金、Ag，Cu，
   RuO₂からなる群から選ばれた少なくとも一種
   の導電体からなる実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の電磁調理器用調理器具。 (3) 内容器の外側表面全面にAgまたはCuからな
   る薄膜が形成されている実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の電磁調理器用調理器具。