JPH0114472B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、自動車のトランスミツシヨン、デ
イフアレンシヤル装置、あるいはその他の一般機
におけるギヤボツクスのプリーザ装置に関するも
のである。

（従来の技術） この種のギヤボツクスにおいては、その内部に
所要量の潤滑油が封入され、オイルシールを介し
て回転軸が歯車箱外に延出しており、通常はエア
ブリーザ装置が設けられている。エアブリーザ装
置は、ギヤボツクスの内部と外気を連通させてそ
の内圧が運転中に高くなるのを防ぎ、オイルシー
ル部から油漏れが生じないようにするためのもの
である。

（発明が解消しようとする問題点） このエアプリーザ装置は従来種々提案されてい
るものの、ブリーザプラグの開口位置や開口部の
形状が悪いと、ブリーザプラグから油漏れを起こ
すことがあつた。特に使用条件が厳しい場合は、
ギヤボツクス内の設定油量ならびに運転時の飛散
油量が増加するため、ブリーザプラグからの油漏
れが生じやすくなる。

上記の油漏れは、ギヤボツクス内におけるブリ
ーザプラグの開口部に油膜が生じ、これがギヤボ
ツクスの内圧上昇によつて外部へ押し出されるこ
とで起きる。

（発明の目的） この発明は、斯る点に着目してなされたもの
で、その目的はブリーザプラグのギヤボツクス内
開口部付近で潤滑油の油膜が形成されるのを阻止
し得るエアブリーザ装置を提供することである。

（実施例） 以下、この発明の構成を、図面に示す実施例に
従つて説明する。

第１図はエンジン横置き方式の自動車用トラン
スアクスルを示しており、トランスアクスルケー
ス１の内部には、クラツチ２、トランスミツシヨ
ン３、デイフアレンシヤル装置４が組み込まれて
いる。このデイフアレンシヤル装置４におけるデ
イフアレンシヤルケース１２外周のリングギヤ１
３はドライブピニオンシヤフト１０のドライブピ
ニオン１１と常時かみ合つている。なお、この図
面において符号５はトランスミツシヨン３側のア
ウタカバー、６はデイフアレンシヤル装置４側の
リヤカバーを示している。

上記ケース１の内部はドライブピニオンシヤフ
ト１０の軸上において配設された一対のオイルシ
ール１４により、トランスミツシヨン３側の油室
Ｒ１とデイフアレンシヤル装置４側の油室Ｒ２と
に区画されている。そして、一方の油室Ｒ１のた
めにはケース１の上部において周知のエアブリー
ザ装置１６が設けられ、他方の測室Ｒ２のために
はリヤカバー６の上面において本発明の実施品で
あるエアブリーザ装置２０が設けられている。

このエアブリーザ装置２０は第２図、第３図か
らも明らかなように、前記リヤカバー６の上面に
おいて、その内外に貫通したねじ孔７が形成さ
れ、そこにはブリーザプラグ２１が取りつけられ
ている。このブリーザプラグ２１のキヤツプ２２
内には周知のようにバルブ２３およびスプリング
２４が組み込まれており（第３図参照）、前記油
室Ｒ２の内圧が上昇するとバルブ２３がスプリン
グ２４の力に打ち勝つて開放され、もつて油室Ｒ
２と外気とが連通するようになつている。

上記リヤカバー６内において、前記ブリーザプ
ラグ２１が取付けられているねじ孔７の開口部下
方には、この部分を第２図の仮想線で示す前記リ
ングギヤ１３の配設個所から区画するための一対
のリブ８，８が、このリングギヤ１３に近い側か
ら遠い側に向かつて下方に傾斜した状態でリヤカ
バー６と一体に形成されていいる。そして、これ
ら両リブ８，８の相互間には、流通断面積の小さ
いエア通路２５が構成されている。

また、上記リングギヤ１３の隣接個所には、上
下方向に延びる別のリブ２９がリヤカバー６と一
体に形成されている。さらに、上記ねじ孔７の間
口部下方には前記一対のリブ８，８よりもさらに
距離を隔てた位置において、上記のリブ２９から
わずかに下方に傾斜しつつ第２図の左方向に延び
るリブ３０が同じくリヤカバー６と一体に形成さ
れている。なお、これらのリブ２９，３０は第３
図からも明らかなように共に同一高さで、かつ前
記のリブ８，８よりもわずかに低くなつており、
これらのリブ２９，３０は後述するように上記リ
ングギヤ１３の回転に伴う潤滑油の流れを制限す
るデフレクターとしての機能を果すのである。

上記一対のリブ８，８と、これらより低い別の
リブ２９，３０とによつて囲まれた領域には、第
３図から明らかなようにリヤカバー６をその外側
へ膨出させることでチヤンバ２８が構成されてい
る。このチヤンバ２８は、上記のリブ８，８及び
別のリブ２９，３０によつて囲まれる領域の容積
を極力大きくして、リブ２９，３０を乗り越えて
くる潤滑油の流れを弱め、その上方のエア通路２
５に向う潤滑油の量を少なく抑えるように機能す
る。

一方、前記ねじ孔７の開口部下方へ、一対のリ
ブ８，８に囲まれた領域は、リヤカバー６と一体
に形成されたリブ９によつて上下に区画された二
つのチヤンバ２６，２７となつている。このリブ
９は第２図から明らかなように、ねじ孔７の軸線
に対しててわずかに傾斜して交差しており、微少
であるが上のチヤンバ２６にまで到達した潤滑油
が下方へ落ちやすいように配慮している。また、
このリブ９は前記一対のリブ８，８よりも低く形
成されている。このリブ９の高さは、後述する潤
滑油の流れによつて前記エア通路２５から下のチ
ヤンバ２７に流入した油を阻止するためにはより
高く設定した方が有利であるが、このリブ９を乗
り越えて上のチヤンバ２６に到達した油をそこに
溜めることなく戻すにはある程度低くした方がよ
いのである。

この構成において、上記油室Ｒ２内の潤滑油は
前記リングギヤ１３の回転に伴い、第２図で示す
ように主として二つの流れＡ，Ｂが生じる。前記
一対のリブ８，８に沿つた流れＡは、前記のリブ
２９にぶつかつて流れが弱められ、このリブ２９
を乗り越えた潤滑油は先に述べたようにチヤンバ
２８内でさらに弱められて下方に流れ落ちる。な
お、仮に上記チヤンバ２８が無いとすると、一対
のリブ８，８と別のリブ２９，３０とで囲まれる
領域の容積（ボリユーム）が小さくなり、ここに
容積以上の油が流入した場合、その上方のエア通
路２５に向かう油の流れが生じやすくなつて好ま
しくない。

また、他方の流れＢはリブ３０にぶつかつてそ
の流れが弱められ、このリブ３０を乗り越えた潤
滑油はチヤンバ２８内で上述した場合と同様にさ
らに弱められる。このように弱められた流れＢの
大部分は、前記一対のリブ８，８によつて上昇を
阻止され、エア通路２５を通つてチヤンバ２７に
流入した一部の油はリブ９にぶつかつて下方へ落
ち、上のチヤンバ２６に流入することは阻止され
る。ただし、わずかに飛沫となつた潤滑油はリブ
９を乗り越えて上のチヤンバ２６に入る場合もあ
るが、それも前述したようにリブ９の傾斜に沿つ
て直ちに下方へ流れ落ち、ブリーザプラグ２１の
開口部である前記ねじ孔７の開口部まで到達する
ことはない。従つて、この開口部に油膜が形成さ
れるまでには至らず、もつてブリーザプラグ２１
からの油漏れが防止される。

（発明の効果） 本発明によれば、潤滑油の撹拌を伴つて回転す
るギヤによつて上方へかき上げられる潤滑油は、
エア通路を有するリブの下方に形成されたリブに
よつて流れが弱められ、このリブを乗り越えた潤
滑油は前記エア通路を有するリブにぶつかつて流
れの方向が変えられて下方へ戻される。そして、
前記エア通路を有するリブで囲まれた部分を上下
二個のチヤンバに区画しているリブにより、前記
エア通路を通過した僅かな油のほとんどが下のチ
ヤンバ内に止どめられる。したがつて、潤滑油が
ブリーザプラグの開口部がある上のチヤンバまで
到達することはほとんどなく、飛沫状となつた僅
かな油が上のチヤンバに侵入しても、上下のチヤ
ンバを区画している前記リブはエア通路を有する
リブよりも突出量が小さく、かつブリーザプラグ
の開口部の軸線に対して傾斜しているため、上の
チヤンバに入つた油は直ちに下方へ流れ落ちる。

この結果、潤滑油が前記ブリーザプラグの開口
部にまで到達することが抑制もしくは防止され、
ブリーザプラグからの油漏れが回避される。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図はトラン
スアクスルの部分断面図、第２図は第１図の−
矢印方向からみた拡大断面図、第３図は第２図
の−断面図である。 ６……リヤカバー、８，８……一対のリブ、９
……リブ、２０……エアブリーザ装置、２１……
ブリーザプラグ、２５……エア通路、２６，２７
……チヤンバ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ギヤボツクスを構成するケースあるいはカバ
   ーの上部にブリーザプラグを設けたエアブリーザ
   装置であつて、 このブリーザプラグのギヤボツクス内の開口部
   下方と、ギヤボツクス内で潤滑油の撹拌を伴つて
   回転するギヤの配置箇所とが、エア通路を有し、
   かつ前記ギヤに近い側から遠い側に向かつて下方
   へ傾斜したリブによつて区画され、 このリブで囲まれた部分が、前記ブリーザプラ
   グの開口部の軸線に対して傾斜し、かつ前記リブ
   よりも突出量の小さいリブにより上下方向に関し
   て二個のチヤンバに区画され、 さらに、前記エア通路を有するリブの下方に前
   記ギヤ側から上方へ向かう潤滑油の流れを制限す
   るリブが形成されたギヤボツクスのエアブリーザ
   装置。