JPH0113859Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、アーマチユアとこのアーマチユア
を支持するハブとの間に、駆動または制動時の急
激な負荷が吸収される弾性部材を配置した構造を
有する電磁連結装置に関するものである。

入力または出力回転部材と一体に回転し、かつ
軸線方向に可動としてアーマチユアを、出力また
は入力回転部材と一体に回転するロータに磁気吸
着させて入力または出力回転部材から出力または
入力回転部材にトルクを伝達する電磁連結装置と
しての電磁クラツチにおいては、通常アーマチユ
アをハブにスプライン嵌合による支持とするが、
アーマチユアをロータに磁気吸着させると従動側
に衝激的にトルクが伝達されるなど種々悪影響が
生じる。

例えば、第１図に上半部のみを縦断側面図で示
した製袋機用電磁連結装置は、出力回転部材とし
ての従動軸１上にベアリング２，２を介して同心
に支持した入力回転部材としてのプーリ３を有
し、このプーリ３には複数本のボルト４によりハ
ブ５を固着してある。ハブ５は外周部を環板状の
アーマチユア６の中心部に形成してあるスプライ
ン孔部６Ａに嵌合するスプライン歯部５Ａに形成
してある。前記アーマチユア６は、従動軸１と一
体に回転するロータ７に、常時面摺接させてあ
り、ロータ７にアーマチユア６を磁気吸着させる
場合のタイムラグが零で、信号を受けると同時の
トルク伝達が可能となるようにしてあるため、励
磁させるとアーマチユア６に急激に負荷がかか
る。

なお、アーマチユア６をロータ７に磁気吸着さ
せる構造としては、ロータ７を間にしてアーマチ
ユア６に正対配置してある環状のフイールドコア
８に内蔵の電磁コイル９に電圧を印加するが、こ
の構造は常時アーマチユア６がロータ７から離れ
ていて相互に面摺接していない通常の電磁連結装
置と同様である。

このような駆動時（電磁ブレーキであれば制動
時）にアーマチユア側にかかる急激な負荷を吸収
できる電磁連結装置としては、例えば実公昭50−
25885号公報に記載されるものが知られている。
この電磁連結装置は、アーマチユアとこのアーマ
チユアを支持する回転軸上のハブとの間に弾性部
材としてのゴムをリベツト加締め固定し、このト
ルク伝達経路中の前記弾性部材での前記負荷を吸
収するものである。

しかし、このようにリベツトにより弾性部材を
加締め固定する構造であると、弾性部材の交換に
おいては、リベツトを破壊しなければならず、交
換作業が困難である。

この考案は、上述の観点に基づき、弾性部材の
交換作業が容易にできる電磁連結装置を提供する
ことを目的とし、電磁コイルの磁束回路の一部と
なるアーマチユアと、このアーマチユアを相対的
な回転のみを規制して支持するハブと、これらア
ーマチユアとハブとの間に配置された弾性部材を
備えた電磁連結装置において、前記アーマチユア
を、アーマチユア本体とこのアーマチユア本体に
重ね合わされ前記ハブに相対的な回転のみを規制
して支持された支持用環部材とで構成し、前記ア
ーマチユア本体または前記支持用環部材のいずれ
か一方に穿設された嵌挿孔と、この嵌挿孔に嵌合
された貫孔を有する前記弾性部材と、前記貫孔と
同心上で前記アーマチユア本体または前記支持用
環部材のいずれか他方に穿設されたボルト挿通孔
と、この挿通孔より前記弾性部材の貫孔内に挿通
されるボルトと、このボルト先端に前記弾性部材
を介して螺合されるナツトとを備え、前記弾性部
材を前記嵌挿孔内にて前記ボルトの締付けにより
圧縮変形自在とすることにより、前記弾性部材を
介して前記アーマチユア本体と前記支持用環部材
とを連結した点に特徴がある。

ついで、この考案の装置を実施例により図面を
参照しつつ説明する。

第２図にはこの考案の装置の実施例を上半部の
縦断側面図で示してある。図面に示したように、
出力回転部材としての従動軸１にベアリング２，
２を介して同心に支持した入力回転部材としての
プーリ３に、複数のボルト４（図には１本のみ示
す）によつてハブ５を同一軸線上配置で固着して
ある点、及び、ハブ５の外周面をスプライン歯部
５Ａに形成してある点、さらに、出力回転部材と
しての従動軸１に固着したロータ７を有し、前記
ハブ５のスプライン歯部５Ａに嵌合するスプライ
ン孔部６′Ａをもつたアーマチユア６′を具備し、
このアーマチユア６′を、ロータ７の背側に臨ま
せてある同心配置の環状のフイールドコア８に内
蔵の電磁コイル９に電圧を印加することにより、
ロータ７に磁気吸着させる点、特に、常時、アー
マチユア６′がロータ７に面摺接している点にお
いては、第１図によつて説明した従来の装置と同
様であるが、この考案の装置は、前記アーマチユ
ア６′を、支持用環部材１０と、ロータ７への磁
気吸着を自在とした磁性材製環板状アーマチユア
本体１１との２部材からなるものとし、かつ、ア
ーマチユア本体１１に設けた軸線と平行の複数の
弾性部材嵌挿孔１２（図には１つのみ示す）に嵌
合させた中心部に貫孔１３Ａを有するゴム等の弾
性部材１３に挿通するボルト１４とナツト１５と
により、前記支持用環部材１０とアーマチユア本
体１１との２部材を一体に結合させてある点が、
従来の装置とは大きく異る。

前記ボルト１４を挿通する弾性部材１３側の貫
孔１３Ａは、この実施例ではボルト１４の外径と
ほぼ同寸の直径の孔としてあるが、支持用環部材
１０に穿設したボルト１４、挿通用のばか孔１０
Ａは内径をボルト１４の外径よりも僅かに大寸に
定めてあり、かつ、ボルト１４の頭部１４Ａをフ
ランジ付の頭部としてある。

なお、ロータ７を一体に固着した２部材からな
るものとしてあるが、これを１部材製とするこ
と、及び従動軸１にキー１６によりロータ７を取
付けてあるが、他の手段により一体に回転するよ
うに取付けることなどは設計上自由である。

上記の構成からなるこの考案の装置は、常時ロ
ータ７に面摺接しているアーマチユア６′を、電
磁コイル９への電圧印加によりロータ７に磁気吸
着させて、プーリ３から従動軸１にトルクを伝達
するが、その際、アーマチユア６′を形成してい
る支持用環部材１０とアーマチユア本体１１との
間に、弾性部材１３の撓みによるエネルギ吸収作
用が生じるので、急激なトルク伝達が緩和され
る。

なお、第３図に縦断側面図で示し、第４図に第
３図矢視図で示したナツト１５′は、前記ボル
ト１４に螺合するナツト１５の変形例であり、ア
ーマチユア本体１１の弾性部材嵌挿孔１２に嵌合
自在の外径としたゴム製のキヤツプ状弾性部材１
３′内に埋込んである。このナツト１５′は、緩衝
効果を備え、ボルト１４との螺合がゆるみにく
く、組付けが容易であるなどの点において前記ナ
ツト１５よりも優れている。

以上の説明から明らかなように、この考案の装
置は、常時ロータに面摺接しているアーマチユア
がロータに磁気吸着したときにスプライン嵌合部
に加わる大きな衝撃を、弾性部材を介して連結し
た２部材からなるアーマチユアにおいて吸収でき
る。

また、弾性部材をこの弾性部材嵌挿孔内に嵌合
した後ボルトの締付けにより圧縮変形させ、以つ
て、この弾性部材を嵌挿孔内に圧入嵌合した状態
で構成できるから、弾性部材の交換においては、
ボルトを緩めることにより弾性部材が嵌挿孔内に
おいて非圧入状態となるから、その交換作業がき
わめて容易にでき、更に、嵌挿孔の内径寸法や弾
性部材の外径寸法などの寸法精度が緩和されるの
で、この種装置の生産性が向上できる優れた利点
を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の装置の上半部を示す縦断側面
図、第２図はこの考案の装置のの実施例の上半部
を示す縦断側面図、第３図はナツトの変形例を示
す縦断側面図、第４図は第３図矢視図である。
図面において、１……出力回転部材としての従動
軸、３……入力回転部材としてのプーリ、５……
ハブ、６，６′……アーマチユア、６Ａ，６′Ａ…
…スプライン孔部、７……ロータ、８……フイー
ルドコア、９……電磁コイル、１０……支持用環
部材、１０Ａ……ばか孔、１１……アーマチユア
本体、１２……弾性部材嵌挿孔、１３，１３′…
…弾性部材、１３Ａ……貫孔、１４……ボルト、
１４Ａ……頭部、１５，１５′……ナツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電磁コイルの磁束回路の一部となるアーマチユ
   アと、このアーマチユアを相対的な回転のみを規
   制して支持するハブと、これらアーマチユアとハ
   ブとの間に配置された弾性部材を備えた電磁連結
   装置において、前記アーマチユアを、アーマチユ
   ア本体とこのアーマチユア本体に重ね合わされ前
   記ハブに相対的な回転のみを規制して支持された
   支持用環部材とで構成し、前記アーマチユア本体
   または前記支持用環部材のいずれか一方に穿設さ
   れた嵌挿孔と、この嵌挿孔に嵌合された貫孔を有
   する前記弾性部材と、前記貫孔と同心上で前記ア
   ーマチユア本体または前記支持用環部材のいずれ
   か他方に穿設されたボルト挿通孔と、この挿通孔
   より前記弾性部材の貫孔内に挿通されるボルト
   と、このボルト先端に前記弾性部材を介して螺合
   されるナツトとを備え、前記弾性部材を前記嵌挿
   孔内にて前記ボルトの締付けにより圧縮変形自在
   とすることにより、前記弾性部材を介して前記ア
   ーマチユア本体と前記支持用環部材とを連結した
   ことを特徴とする電磁連結装置。