JPH0113764Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、シリンダー部より下方でクランクシ
ヤフトを軸支するベアリング部を配置したシリン
ダー間の隔壁および前後の外壁を有するエンジン
のクランクケースに関する。

（従来技術とその問題点） 従来の上記エンジンのクランクケースの例とし
ては、実開昭47−8804号公報に記載されているよ
うに、上記シリンダー隔壁のうちピストン運動の
位相が異なるシリンダー隔壁に通気孔を設けたも
のが知られている。この通気孔は、近年のエンジ
ンにおいては、軽量化、コンパクト化のためにク
ランクケース内の空間を小さくし、シリンダー隔
壁の下端がオイルパン内の油面に接近するように
構成した場合、各シリンダー下部の圧力が油面に
作用して油をはね、オイルミストが多量に生じる
という問題を解決する効果を持つものである。

しかし、クランクケースの製造において、上記
通気孔が中子の分割部にあるため、バリが現れ、
このバリはクラツクの発生に繋がるので取り除く
必要がある。ところで、通気孔は一般に入り組ん
だところにあるため、バリ取り作業が困難である
という問題がある。

このバリ取り作業を容易に行うために、本発明
者はクランクケースの前壁に通気孔と同軸に孔を
形成し、この孔を通してバリ取り工具を挿入する
ことを考えたが、この場合クランクケースの前壁
に設けた孔は、開口縁を仕上げ加工した上でプラ
グを圧入しなければならず、さらに後行程でこの
孔を塞がなければならない問題が新たに発生す
る。

（考案の目的） 本考案は、従来のクランクケースの上述の問題
点に鑑みなされたものであつて、シリンダー隔壁
に設けた孔のバリ取りを、クランクケースの前壁
に設けた孔から挿入した棒状バリ取り工具によつ
て効率的に行うことができ、かつ、クランクケー
スの前壁には従来同様にオイルポンプを取り付
け、上記前壁の孔を該オイルポンプのケースによ
つて塞いだエンジンのクランクケースを提供する
ことを目的とする。

（考案の構成） 本考案は、シリンダー部より下方でクランクシ
ヤフトを軸支するベアリング部を配置したシリン
ダー間の隔壁および前後の外壁を有するエンジン
のクランクケースにおいて、中央部にポンプ室を
形成するギヤ収納用凹部を有し、凹部外方の周縁
部を締結状態においてシリンダー下部のボトムデ
ツキ前端とクランク室の両側方のスカート部前端
とに対応するように延設するとともに、延設した
周縁部の上記凹部開口側面に上記ボトムデツキ前
端とスカート部前端とに当接する帯状のシール面
を形成したオイルポンプケースを設ける一方、上
記シリンダー隔壁及びクランクケースの少なくと
も前壁に同軸の孔を設け、上記前壁前面に上記オ
イルポンプケースを締結させたことを特徴とする
エンジンのクランクケースである。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図に基づいて説明す
る。第１図において、クランクシヤフト１は、ク
ランクケース２のシリンダー隔壁３の下端に配置
されたベアリング部によつて軸支されていて、ま
たクランクケース２のシリンダー部５内を摺動す
るピストン６にコネクテイングロツド６′を介し
て連接されている。シリンダー隔壁３およびクラ
ンクケース２の前壁７のそれぞれには動軸の孔８
が設けられている。

孔８は、第２図に示すように、クランクケース
２の前壁７およびシリンダー隔壁３のベアリング
部４の周囲に設けられている。上記前壁７の外面
には歯車式オイルポンプ９が取り付けられてい
る。外ケース１０および内ケース１１からなるオ
イルポンプ９の外形と前壁７とは、両者が当接す
る共通平面内においてほぼ同一形状に形成され、
前壁７の孔８が実質上オイルポンプ９のケースに
よつて塞がれる。すなわち、外ケース１０は、シ
リンダー下部のボトムデツキ前端とクランク室の
両側方のスカート部前壁とに対応するように延設
し、この延設した部分には上記ボトムデツキ前端
とスカート部前端とに当接する帯状のシール面が
されている。

オイルポンプ９の構造は、内ケース１１を取り
外して内ケース１１の取り付け側からみれば、第
３図示すように、外ケース１０の中央凹部１２に
外歯歯車１３と内歯歯車１４とがクレセントを設
けて噛み合わされて配置されている。外歯歯車１
３は外ケース１０と内ケース１１を貫通するクラ
ンクシヤフト１に固定されている。外ケース１０
には吸い込み口１６と吐出口１７とが設けられて
いる。

以上の構成において、クランクケース２のシリ
ンダー隔壁３に設けられた孔のバリ取りは、前壁
７に設けられた孔８から棒状バリ取り工具を挿入
して行う。そして、エンジン組立て時には、前壁
７にオイルポンプ９を取り付けて、前壁７の孔８
をオイルポンプ９の外ケース１０および内ケース
１１によつて塞ぐ。

なお、クランクケースの後壁側にオイルポンプ
を備えている場合には、該後壁にシリンダー隔壁
の孔と同軸の孔を設けて、後壁の孔を該オイルポ
ンプによつて塞ぐようにする。

（考案の効果） 本考案によれば、シリンダー隔壁に設けた孔の
バリ取りを、クランクケースの前壁に設けた孔か
ら挿入したバリ取り工具によつて容易かつ効率的
に行うことができる。一方、クランクケースの前
壁の該孔は従来から設けられているオイルポンプ
のケースによつて塞ぐことができ、前壁に孔を設
けたことによるコストの上昇やエンジンの重量増
加はもたらされることはない。さらに、オイルポ
ンプケースはボトムデツキ前端とクランク室の両
側方のスカート部前端まで延在するから、上記前
壁に設ける孔の大きさおよび位置の選択の自由度
が大きく、該孔のバリ取り効率および通気効率を
高くすることができる利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例のエンジンのクランク
ケースの断面図、第２図は前壁の端面図、第３図
はオイルポンプの構造図である。 １……クランクシヤフト、２……クランクケー
ス、３……シリンダー隔壁、４……ベアリング
部、５……シリンダー部、６……ピストン、７…
…前壁、８……孔、９……歯車式オイルポンプ、
１０……外ケース、１１……内ケース。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シリンダー部より下方でクランクシヤフトを軸
   支するベアリング部を配置したシリンダー間の隔
   壁および前後の外壁を有するエンジンのクランク
   ケースにおいて、 中央部にポンプ室を形成するギヤ収納用凹部を
   有し、凹部外方の周縁部を締結状態においてシリ
   ンダー下部のボトムデツキ前端とクランク室の両
   側方のスカート部前端とに対応するように延設す
   るとともに、延設した周縁部の上記凹部開口側面
   に上記ボトムデツキ前端とスカート部前端とに当
   接する帯状のシール面を形成したオイルポンプケ
   ースを設ける一方、上記シリンダー隔壁及びクラ
   ンクケースの少なくとも前壁に同軸の孔を設け、
   上記前壁前面に上記オイルポンプケースを締結さ
   せたことを特徴とするエンジンのクランクケー
   ス。