JP7847005B2 - 複合着色粒子 - Google Patents
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Description
筆記具用のインク組成物には、素材への浸透による筆跡の滲み防止及び筆跡の堅牢性などが求められる。そのような目的で、顔料粒子を樹脂粒子の表面に機械的な力で接着又は固着させた複合化粉体が提案されている。
また、筆記具は、生活用品として大量生産される性質の商品であるから、これに使用されるインクは工業的に良好に生産されるものでなければならない。
すなわち、本発明は、粒子表面において正の電荷を有する樹脂粒子及び粒子表面において負の電荷を有する顔料粒子を含み、前記樹脂粒子と前記顔料粒子とが静電相互作用によって複合化された複合着色粒子に関する。
さらに、本発明は、粒子表面において正の電荷を有する樹脂粒子を含む樹脂エマルジョン及び粒子表面において負の電荷を有する顔料粒子を含む顔料分散体を混合する複合化工程を含む複合着色粒子の製造方法に関する。
本発明によれば、筆記性能に優れた水性インク型筆記具が提供される。
本発明に用いられる樹脂粒子は、粒子表面において正の電荷を有する樹脂粒子(以下、カチオン性樹脂粒子ということがある。)である。このような樹脂粒子としては、カチオン基で修飾された高分子からなる樹脂粒子が使用でき、具体的には、樹脂粒子に試剤を付着又は反応させて正の電荷を生じせしめたもの、及び、樹脂粒子を調製する際に正の電荷を有する官能基又はその前駆体を含むモノマーを共存させて、生成する高分子をカチオン化せしめたものが挙げられる。
酢酸ビニル系樹脂のカチオン性樹脂粒子は、粒子内にカチオン性乳化剤を含有するもの、カチオン基を有するポリマーを含有するもの、あるいはカチオン性モノマーを含有して共重合されたものが好ましい。このようなカチオン性樹脂粒子は、酢酸ビニルモノマー、又は、酢酸ビニルモノマーと塩化ビニルや(メタ)アクリル系モノマー等の酢酸ビニルモノマーと共重合可能なコモノマーの混合物を用いて乳化重合する際に、カチオン性乳化剤を用いたり、カチオン基を有するポリマーを保護コロイドとしたり、あるいはカチオン性モノマーを加えて逆相乳化重合を行うことにより作製される。
アクリル系樹脂のカチオン性樹脂粒子は、粒子内にカチオン性乳化剤を含有するもの、カチオン基を有するポリマーを含有するもの、あるいはカチオン性モノマーを含有して共重合されたものが好ましい。このようなカチオン性樹脂粒子は、(メタ)アクリル系モノマー、又は、(メタ)アクリル系モノマーとスチレン系モノマー等の(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能なコモノマーの混合物を用いて乳化重合する際に、カチオン性乳化剤を用いたり、カチオン基を有するポリマーを保護コロイドとしたり、あるいはカチオン性モノマーを加えて逆相乳化重合を行うことにより作製される。
ウレタン系樹脂のカチオン性樹脂粒子としては、四級化アンモニウム基を有するウレタン系樹脂のカチオン性樹脂粒子が好ましい。このカチオン性樹脂粒子は、例えば、溶剤中または無溶剤で、ポリオール、ポリイソシアネート及び三級アミノ基含有ポリオールを反応させてポリウレタンの分散液を作製し、次いで、ポリウレタン中の三級アミノ基を酸でプロトン化、あるいはアルキル化剤で四級化することにより、四級化アンモニウム基を有するウレタン系樹脂のカチオン性樹脂粒子を作製することができる。
本発明に用いられる顔料粒子は、粒子表面において負の電荷を有する樹脂粒子(以下、アニオン性顔料粒子ということがある。)である。このような顔料粒子としては、アニオ
ン基で修飾された固体顔料からなる顔料粒子が使用できる。
顔料を分散剤で表面処理する方法としては、顔料の分散液にアニオン性の高分子分散剤を供給し、アニオン性の高分子分散剤を顔料表面に付着させる方法が挙げられる。
本発明においては、カチオン樹脂粒子とアニオン顔料粒子とを静電相互作用によって複合化することにより、複合着色粒子を製造することができる。図1の模式図に、粒子表面において正の電荷を有する樹脂粒子と粒子表面において負の電荷を有する顔料粒子とが静電相互作用によって複合化し、大粒径の複合着色粒子を形成することを示す。
本発明の複合着色粒子は、具体的には、カチオン樹脂粒子を含む樹脂エマルジョン、及び、アニオン顔料粒子を含む顔料分散体を混合する複合化工程により製造することができる。
本発明の複合着色粒子は、筆記具(ボールペン、サインペン、筆ペン、マーキングペン等)としての要求特性に応じて他の成分とともに水性媒体中に分散されて、筆記具用の水性インク組成物が構成される。当該他の成分としては、pH調整剤、増粘剤、潤滑剤、防錆剤、防腐剤、抗菌剤、界面活性剤、及び、分散媒としての溶剤などを挙げることができる。
すなわち、本発明の水性インク組成物は、少なくとも本発明の複合着色粒子を含む水性インク組成物である。
これに対し、本発明の複合着色粒子とともに界面活性剤を配合した水性インク組成物は、複合着色粒子が媒体中で安定化され、凝集が防止される。そのため、前記した状況でも、書き始めから良好な筆跡(初筆性)を与えるので、好ましい。
配合される界面活性剤は、特に、ノニオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤が好ましい。中でも、フッ素系、アセチレン系、またはシリコーン系のノニオン性もしくはアニオン性の界面活性剤が好ましい。ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の混合物を配合することもできる。
これらのノニオン性界面活性剤は、単独で、あるいは2種類以上混合して使用することができる。
これらのアニオン性界面活性剤は、単独で、あるいは2種類以上混合して使用することができる。
水性インク組成物における水性媒体の配合量は、複合着色粒子100質量部に対し、3~300質量部が好ましく、5~100質量部がより好ましい。
本発明のインク組成物は、サインペン、マーキングペン、筆ペン、ボールペンなどの筆記具に搭載される。本発明のインク組成物を搭載した筆記具は、これを用いて紙面等に筆記した際、筆記時の描線(筆跡)の濃度、耐滲み性、耐擦過性、及び初筆性等の筆記性能に優れるという利点を有する。
カチオン樹脂粒子のエマルジョンとして、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂又はウレタン系樹脂の水性のエマルジョンを使用した。
酢酸ビニル系樹脂エマルジョンとしては、カチオン変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン(ビニブラン1008;日信化学工業株式会社製)を使用した。アクリル系樹脂エマルジョンとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール-アクリル樹脂エマルジョン(モビニール6950;ジャパンコーティングレジン株式会社製)を使用した。ウレタン系樹脂エマルジョンとしては、カチオン性ウレタンエマルジョン(スーパーフレックス620;第一工業製薬株式会社製)を使用した。比較として、ノニオン性変性酢酸ビニル系樹脂エマルジョン(ビニブラン1002;日信化学工業株式会社製)を使用した。
アニオン顔料分散体としては、下記参考例1~4の方法により得られたアニオン性のカーボンブラック又は有機顔料の水性エマルジョンを使用した。
顔料: カーボンブラック(MCF88;三菱ケミカル株式会社製)10質量%
分散剤:αメチルスチレン-アクリル共重合体(ジョンクリル61J、ジョンソン社製、30質量%水溶液) 10質量%
pH調整剤:アミノメチルプロパノール 0.1質量%
粘度調整剤:ポリビニルピロリドン 5質量%
水溶性有機溶剤:プロピレングリコールモノエチルエーテル 5質量%
水:精製水 69.9質量%
カーボンブラックの表面に酸性基を付与した自己分散型カーボンブラック(CAB-O-JET200;キャボット・スペシャリティ社製)をアミノメチルプロパノール水溶液に分散して、pH8.5のアニオン変性カーボンブラック粒子2のエマルジョンを得た。
顔料: フタロシアニンブルー5187(大日精化株式会社製)10質量%
分散剤:αメチルスチレン-アクリル共重合体(ジョンクリル63J、BASF社製、
30質量%水溶液) 10質量%
pH調整剤:アミノメチルプロパノール 0.1質量%
粘度調整剤:ポリビニルピロリドン 5質量%
水溶性有機溶剤:プロピレングリコールモノエチルエーテル 5質量%
水:精製水 69.9質量%
サイズ5.0μm;ミリポア社製)を用いて減圧ろ過を行って、pH8.9のアニオン変性フタロシアニンブルー粒子のエマルジョンを得た。
顔料: カーボンブラック(MCF88;三菱ケミカル株式会社製)10質量%
pH調整剤:アミノメチルプロパノール 0.1質量%
粘度調整剤:ポリビニルピロリドン 5質量%
水溶性有機溶剤:プロピレングリコールモノエチルエーテル 5質量%
水:精製水 79.9質量%
前記した各種のカチオン樹脂粒子エマルジョン及び参考例で作成した各種のアニオン顔料分散体を表1に示す組み合わせ及び質量比(固形物の質量比)で配合し、撹拌機を用いて混合した。次いで、ホモミキサーを用いて強く撹拌して解凝集を行い、本発明の複合着色粒子を含むエマルジョンA-1~A-6、比較例としてエマルジョンC-1~C-2を得た。
複合着色粒子A-1~A-6、又は、比較例としてC-1~C-2を含有するエマルジョンをそれぞれ使用し、pH調整剤、増粘剤、潤滑剤、防錆剤、防腐剤及び分散媒を表3に示す組み合わせ及び重量比で配合、混合し、一部の凝集物を濾過してインク組成物を調製した。
調製した各インク組成物を用いてサインペンを作製した。具体的には、市販のサインペン(商品名:プロッキーPM-120T;三菱鉛筆株式会社製、極細+細字丸芯)に前記実施例1~8及び比較例1~5で製造した各インク組成物を充填してサインペンを作製した。作製した前記の各サインペンの細字側を使用して、筆記時の描線(筆跡)の濃度、滲み性、耐擦過性及び初筆性等の筆記性能を下記の方法で評価した。結果を表3に示す。
1-1)紙への筆記
各サインペンを使用して、ISO規格に準拠した筆記用紙の表面に手書きで螺旋を筆記した後、紙の表面を目視することにより、筆記描線の濃度を下記の基準で評価した。
1-2)布への筆記
各サインペンを使用して、綿布(かなきん3号;JIS染色堅ろう度試験用(JIS L 0803準拠))の表面に手書きで「三菱鉛筆」と筆記した後、紙の表面を目視することにより、筆記描線の濃度を下記の基準で評価した。
A:描線の色が顕著に濃い。
B:描線の色が濃い。
C:描線の色が若干薄い。
D:描線の色が顕著に薄い。
2-1)紙への滲み
各サインペンを使用して、ISO規格に準拠した筆記用紙の表面に手書きで螺旋を筆記した後、紙の表面を目視することにより、筆記描線の滲み状態を下記の基準で評価した。
2-2)布への滲み
各サインペンを使用して、綿布(かなきん3号;JIS染色堅ろう度試験用(JIS L 0803準拠))の表面に手書きで「三菱鉛筆」と筆記した後、紙の表面を目視することにより、筆記描線の滲み状態を下記の基準で評価した。
A:描線の滲みがない。
B:描線の滲みがわずかにある。
C:描線の滲みが相当にある。
D:描線の滲みが顕著にある。
各サインペンを使用して、コート紙(株式会社ユポ・コーポレーション製)の表面に手書きで文字「三菱鉛筆」を筆記し、筆跡を乾燥させた。この筆跡の上にウエス紙(キムワイプ;日本製紙クレシア株式会社製)を置き、500gの分銅を載せ、ウエス紙を分銅ごと水平に5回往復させることによって擦過して、その後の筆跡の状態を下記の基準で評価した。
A:筆跡に欠損は全く生じなかった
B:筆跡に一、二の細線状の欠損があった
C:筆跡に明らかな欠損があった
D:文字の判読が困難になる程大きな欠損があった
前記の各サインペンを使用して、キャップをしない状態で、25℃、60%RH下で1週間放置後、PPC用紙に直線を筆記し、下記評価基準で初筆性を評価した。
A:書き始めからインクの掠れなく筆記可能
B:書き始めから10mm未満のインクの掠れが確認される
C:書き始めから10mm以上のインクの掠れが確認される
複合着色粒子A-1を使用し、pH調整剤、増粘剤、潤滑剤、防錆剤、防腐剤及び分散媒の他、種々の界面活性剤を表4に示す組み合わせ及び重量比で配合、混合し、一部の凝集物を濾過してインク組成物を調製した。
実施例20:アセチレン系ノニオン性界面活性剤(日信化学工業(株)製;サーフィノール104)
実施例21:フッ素系ノニオン性界面活性剤(ケマーズ(株)製;キャップストーンFS-10)
実施例22:シリコーン系ノニオン性界面活性剤(信越化学工業(株)製;KF-6011)
実施例23、比較例13:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩型アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製;ハイテノールNF-13)
実施例24:ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル型ノニオン性界面活性剤(花王(株)製;エマルゲンA-90)
比較例14:第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製;リポカード16-29)
実施例20~24のインク組成物のそれぞれは、本発明の水性インク組成物の一種の実施態様である。比較例13のインク組成物は、界面活性剤の配合量が過剰である比較例であり、比較例14のインク組成物は、界面活性剤としてカチオン性界面活性剤を使用した比較例である。
Claims (11)
- 粒子表面において正の電荷を有する樹脂粒子及び粒子表面において負の電荷を有する顔料粒子を含み、前記樹脂粒子と前記顔料粒子とが静電相互作用によって複合化され、その少なくとも95%が0.2μm~3.0μmの範囲内の粒子径を有する、筆記具インク用の複合着色粒子。
- 複合着色粒子の0.1μm未満の微粒子の含有量が、頻度として3%未満である請求項1に記載の複合着色粒子。
- 樹脂粒子が、カチオン基で修飾された高分子からなる請求項1又は2に記載の複合着色粒子。
- 高分子が、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項3に記載の複合着色粒子。
- 顔料粒子が、アニオン基で修飾された固体顔料からなる請求項1~4の何れか一つに記載の複合着色粒子。
- 少なくとも請求項1~5の何れか一つに記載の複合着色粒子を含むことを特徴とする水性インク組成物。
- さらにノニオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤を含む請求項6に記載の水性インク組成物。
- 請求項6又は7に記載の水性インク組成物を搭載したサインペン又はマーキングペン。
- 粒子表面において正の電荷を有する樹脂粒子を含む樹脂エマルジョン及び粒子表面において負の電荷を有する顔料粒子を含む顔料分散体を混合する複合化工程、次いで、撹拌機を使って撹拌する解凝集工程を含む複合着色粒子の製造方法。
- 複合着色粒子の少なくとも95%が0.2μm~3.0μmの範囲内の粒子径を有する請求項9に記載の複合着色粒子の製造方法。
- 樹脂粒子の少なくとも95%が0.1~1.5μmの範囲内の粒子径を有し、かつ、顔料粒子の少なくとも95%が0.01~0.2μmの範囲内の粒子径を有する請求項9又は10に記載の複合着色粒子の製造方法。
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