JP2010184982A - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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Abstract

【課題】印字濃度に優れたインクジェット記録用水分散体、それを含有する水系インク、及び水分散体の製造方法を提供する。
【解決手段】(1)アニオン性顔料粒子、及びカチオン性顔料粒子を含有するインクジェット記録用水分散体、(2)その水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク、及び(3)着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体と、カチオン性着色粒子の水分散体とを混合して、カチオン性着色粒子に着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子が付着した複合粒子の水分散体を得る工程(a)、及び得られた複合粒子の水分散体に架橋剤を添加して、カチオン性着色粒子に、着色剤を含有するアニオン性架橋ポリマー粒子が付着した複合粒子の水分散体を得る工程(b)を有するインクジェット記録用水分散体の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用水分散体、それを含有する水系インク、及び水分散体の製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて、文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
最近では、印刷物に耐候性や耐水性を付与するために、色材として顔料を用いるインクが広く用いられている。さらにインクのにじみを抑制したり、顔料の紙への定着性を高めるために、樹脂エマルジョン等を添加することが行われている。
特許文献1には、分散安定性、吐出性、光沢性の改善を目的として、顔料、疎水性基含有カチオンポリマー及び、疎水性基含有アニオンポリマーを含む水性顔料分散液が開示されている。
特許文献2には、画像濃度、フェザリングの改善を目的として、アニオン性もしくはカチオン性自己分散型の第1顔料、及び高分子分散剤によって水性媒体に分散される第2顔料、第1顔料の表面に結合されている基と同極性かノニオン性高分子分散剤を含むインクが開示されている。
特許文献3には、耐水性、印刷特性の改善を目的として、アニオン性媒体中の乳化性ポリマー樹脂の乳濁液を、顔料及びカチオン性界面活性剤と合体し、得られた混合物中の粒子を所望の粒子サイズに凝集する工程を含むインクジェットインク組成物の形成方法が開示され、特許文献4には、光学濃度、定着性、耐水性等の改善を目的として、カチオン型に表面改質された自己分散型顔料と、pH6におけるゼータ電位が−15mV以下であるアニオン性樹脂粒子と水性媒体を含んでなるインクジェット記録用インクが開示されている。
特開2008−239961号公報 特開2000−239589号公報 特開平9−124985号公報 特開2003−306624号公報
従来から、色材として顔料等の水に不溶な分散性色材を用いたインクでは、十分な印字濃度が得られ難いという問題がある。
本発明は、印字濃度に優れたインクジェット記録用水分散体、それを含有する水系インク、及び水分散体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、顔料等の水に不溶な分散性色材を用いたインクで十分な印字濃度が得られ難い原因は、顔料が微細粒子であるため紙へ浸透しやすいことにあると考えて検討を行った結果、アニオン性着色粒子とカチオン性着色粒子を併用すれば、印字濃度を向上させることができることを見出した。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)を提供する。
(1)アニオン性着色粒子及びカチオン性着色粒子を含有するインクジェット記録用水分散体。
(2)前記(1)の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
(3)下記工程(a)及び(b)を有するインクジェット記録用水分散体の製造方法。
工程(a):着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体と、カチオン性着色粒子の水分散体とを混合して、カチオン性着色粒子に着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子が付着した複合粒子の水分散体を得る工程
工程(b):工程(a)で得られた複合粒子の水分散体に架橋剤を添加して、カチオン性着色粒子に着色剤を含有するアニオン性架橋ポリマー粒子が付着した複合粒子の水分散体を得る工程
本発明のインクジェット記録用水分散体及びそれを含有する水系インクは、印字濃度に優れている。また、本発明の水分散体の製造方法によれば、印字濃度に優れたインクジェット記録用水分散体を効率的に製造することができる。
本発明のインクジェット記録用水分散体は、アニオン性着色粒子及びカチオン性着色粒子を含有することを特徴とする。
アニオン性着色粒子とカチオン性着色粒子の水分散体中における状態は、水分散体及びインクの印字濃度及び保存安定性の観点から、カチオン性着色粒子に、アニオン性着色粒子が付着した複合粒子の形態であることが好ましい。
通常、水系のインクジェットインクは、弱アルカリ性であるように設計される。これは、インク流路やヘッド部材の腐食を防止するためである。本発明のインクジェット記録用水分散体及び水系インクにおいても、pHは7〜9であることが好ましい。そのため、前記複合粒子は、アニオン性着色粒子のアニオン性基によって、水分散体及びインク中で分散させることが好ましく、カチオン性着色粒子に、アニオン性着色粒子が付着した複合粒子の形態とすることが好ましい。
本発明のインクジェット記録用水分散体及び水系インクが印字濃度に優れる原因は定かではないが、アニオン性着色粒子とカチオン性着色粒子がイオン相互作用で引きつけあい、凹凸を有する粒子となるため、紙等の印刷面に残りやすくなり、印刷物の印字濃度が向上するものと考えられる。さらに、カチオン性着色粒子にアニオン性着色粒子が付着した複合粒子の形態では、インク中の濃度やpH等の条件によることなく、凹凸を有する粒子となるため、さらに印字濃度向上効果が高くなると考えられる。
アニオン性着色粒子とカチオン性着色粒子との付着状態の確認は、該水分散体又は水系インクを電子顕微鏡観察することにより行うことができる。
アニオン性顔料着色粒子のカチオン性ポリマー粒子への付着状態としては、カチオン性顔料着色粒子の表面に付着していてもよく、一部がカチオン性顔料着色粒子の内部に入り込んでいてもよいが、印字濃度を向上させる観点から、表面に付着しているものが好ましい。
以下、本発明のインクジェット記録用水分散体に用いられる各成分について説明する。
[アニオン性着色粒子]
本発明において、アニオン性着色粒子は、アニオン性着色粒子及び複合粒子の水分散体及び水系インク中での分散安定性の観点、カチオン性ポリマー粒子に効果的に付着させる観点、及びインクの印字濃度を向上させる観点から、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子であることが好ましい。また、該アニオン性ポリマー粒子は、水分散体の保存安定性の観点から、アニオン性架橋ポリマー粒子であることが好ましい。
該架橋ポリマー粒子は、後述するように、例えば、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体に架橋剤を添加して、着色剤を含有するアニオン性架橋ポリマー粒子の水分散体の形態として得ることができる。また、カチオン性着色粒子に着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子が付着した複合粒子の水分散体に架橋剤を添加して、カチオン性着色粒子に着色剤を含有するアニオン性架橋ポリマー粒子が付着した複合粒子の水分散体の形態としても得ることができる。
なお、本明細書において、「アニオン性」とは、未中和の化合物等を、純水に分散又は溶解させた場合、pHが7未満となること、又は化合物等が純水に不溶であり、pHが明確に測定できない場合には、純水に分散させた分散体のゼータ電位が負となることをいう。
アニオン性着色粒子としては、顔料等の着色剤のみからなる粒子、着色剤がアニオン性界面活性剤で分散されてなる粒子、着色剤がアニオン性高分子分散剤で分散されてなる粒子、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子等が挙げられ、これらの中では、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子が好ましい。
アニオン性着色粒子の平均粒径は、インクの印字濃度の観点から、好ましくは30〜300nm、より好ましくは40〜200nm、より好ましくは50〜150nm、更に好ましくは60〜90nmである。
アニオン性着色粒子をカチオン性着色粒子に効果的に付着させる観点から、アニオン性着色粒子は、カチオン性着色粒子の平均粒径よりも小さい平均粒径を有するものであることが好ましい。なお、平均粒径は、実施例記載の方法により測定される。
(着色剤)
アニオン性着色粒子に用いられる着色剤としては、特に制限はなく、顔料、疎水性染料、水溶性染料(酸性染料、反応染料、直接染料等)等を用いることができるが、印字濃度の観点から、顔料及び疎水性染料が好ましく、顔料がより好ましい。
顔料及び疎水性染料は、水系インクに使用する場合には、界面活性剤、ポリマーを用いて、インク中で安定な微粒子にすることが好ましい。特に、耐滲み性、耐水性等の観点から、ポリマーの粒子中に顔料及び/又は疎水性染料を含有させることが好ましい。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
色相は特に限定されず、赤色有機顔料、黄色有機顔料、青色有機顔料、オレンジ有機顔料、グリーン有機顔料等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。また、キナクリドン固溶体顔料等の固溶体顔料を用いることができる。
キナクリドン固溶体顔料は、β型、γ型等の無置換キナクリドンと、2,9−ジクロルキナクリドン、3,10−ジクロルキナクリドン、4,11−ジクロルキナクリドン等のジクロロキナクリドンからなる。キナクリドン固溶体顔料としては、無置換キナクリドン(C.I.ピグメント・バイオレット19等)と2,9−ジクロルキナクリドン(C.I.ピグメント・レッド202等)との組合せからなる固溶体顔料が好ましい。
本発明においては、自己分散型顔料を用いることもできる。自己分散型顔料とは、親水性官能基(カルボキシ基やスルホン酸基等のアニオン性親水基、又は第4級アンモニウム基等のカチオン性親水基)の1種以上を直接又は他の原子団を介して顔料の表面に結合することで、界面活性剤や樹脂を用いることなく水系媒体に分散可能である無機顔料や有機顔料を意味する。ここで、他の原子団としては、炭素数1〜12のアルカンジイル基、フェニレン基又はナフチレン基等が挙げられる。アニオン性着色粒子に用いる場合には、親水性官能基が、カルボキシ基やスルホン酸基等のアニオン性親水基であることが好ましい。
顔料を自己分散型顔料とするには、例えば、親水性官能基の必要量を、常法により顔料表面に化学結合させればよい。より具体的には、硝酸、硫酸、ペルオキソ二硫酸、次亜塩素酸、クロム酸等の酸類等により液相酸化する方法やカップリング剤を用いて親水基を結合する方法が好ましい。
親水性官能基の量は特に限定されないが、自己分散型顔料1g当たり100〜3,000μmol/gが好ましく、親水性官能基がカルボキシ基の場合は、自己分散型顔料1g当たり200〜700μmol/gが好ましい。
アニオン性自己分散型顔料の市販品としては、CAB−O−JET 200、同300、同1027R、同250C、同260M、同270Y、同554B(キャボット社製)やBONJET CW−1、同CW−2(オリヱント化学工業株式会社製)、Aqua−Black 162(東海カーボン株式会社製)等が挙げられる。
疎水性染料は、ポリマー粒子中に含有させることができるものであればよく、その種類には特に制限がない。疎水性染料は、ポリマー中に効率よく染料を含有させる観点から、ポリマーの製造時に使用する有機溶媒(好ましくメチルエチルケトン)に対して、2g/L以上、好ましくは20〜500g/L(25℃)溶解するものが望ましい。
疎水性染料としては、油溶性染料、分散染料等が挙げられ、これらの中では油溶性染料が好ましい。油溶性染料としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック、C.I.ソルベント・イエロー、C.I.ソルベント・レッド、C.I.ソルベント・バイオレット、C.I.ソルベント・ブルー、C.I.ソルベント・グリーン、及びC.I.ソルベント・オレンジからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられ、オリヱント化学株式会社、BASF社等から市販されている。
上記の着色剤は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
[着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子]
(アニオン性ポリマー)
着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子に用いられるアニオン性ポリマーとしては、水分散体及びインクの印字濃度向上の観点から、水不溶性ポリマーであることが好ましい。ここで、水不溶性ポリマーとは、105℃で2時間乾燥させ、恒量に達したポリマーを、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、その溶解量は好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。アニオン性ポリマーの場合、溶解量は、ポリマーのアニオン性基を水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
用いるポリマーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、ビニル系ポリマー等が挙げられるが、水分散体の保存安定性の観点から、ビニル単量体(ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物)の付加重合により得られるビニル系ポリマーが好ましい。
アニオン性ビニル系ポリマーとしては、(a)アニオン性モノマー(以下「(a)成分」ともいう)と、(b)マクロマー(以下「(b)成分」ともいう)及び/又は(c)疎水性モノマー(以下「(c)成分」ともいう)とを含むモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物」ともいう)を共重合させてなるビニル系ポリマーが好ましい。このビニル系ポリマーは、(a)成分由来の構成単位と、(b)成分由来の構成単位及び/又は(c)成分由来の構成単位を有する。なかでも(a)成分由来の構成単位、(b)成分由来の構成単位、(c)成分由来の構成単位を全て含有するものが好ましい。
〔(a)アニオン性モノマー〕
(a)アニオン性モノマーは、アニオン性着色粒子を水分散体及びインク中で安定に分散させ、カチオン性着色粒子に効果的に付着させるために、アニオン性ポリマーのモノマー成分として用いられる。
アニオン性モノマーとしては、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマー等が挙げられる。
カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。
リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、アニオン性着色粒子及び複合粒子の水分散体及びインク中での分散安定性の観点から、カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
〔(b)マクロマー〕
(b)マクロマーは、片末端に重合性官能基を有する数平均分子量500〜100,000の化合物であり、アニオン性着色粒子及び複合粒子の水分散体及びインク中での保存安定性の観点から、アニオン性ポリマーのモノマー成分として用いられる。片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基がより好ましい。(b)マクロマーの数平均分子量は500〜100,000が好ましく、1,000〜10,000がより好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(b)マクロマーとしては、アニオン性着色粒子及び複合粒子の水分散体及びインク中での分散安定性の観点から、スチレン系マクロマー、芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー及びシリコーン系マクロマーが好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。共重合体の場合、アニオン性着色粒子及び複合粒子の水分散体及びインク中での分散安定性の観点から、スチレン系モノマーの含有量は50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等が挙げられる。共重合される他のモノマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレート又はアクリロニトリル等が挙げられる。スチレン系マクロマーの具体例としては、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)(東亞合成株式会社の商品名)等が挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレートの単独重合体又はそれと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。共重合体の場合、アニオン性着色粒子及び複合粒子の水分散体及びインク中での分散安定性の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレート系モノマーの含有量は50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。
芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい炭素数7〜22のアリールアルキル基、又はヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい炭素数6〜22のアリール基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。その具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート等が挙げられ、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。共重合される他のモノマーとしては、スチレン系モノマー又はアクリロニトリル等が挙げられる。
(b)マクロマーはシリコーン系マクロマーであってもよく、シリコーン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
〔(c)疎水性モノマー〕
(c)疎水性モノマーは、水分散体及びインクの印字濃度の向上の観点から、アニオン性ポリマーのモノマー成分として用いられる。疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを示す。
芳香族基含有モノマーとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22の芳香族基を有するビニルモノマーが好ましく、スチレン系モノマー、芳香族基含有(メタ)アクリレートがより好ましく、これらを併用することも好ましい。
スチレン系モノマーとしてはスチレン、2−メチルスチレン、及びジビニルベンゼンが好ましく、スチレンがより好ましい。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
〔(d)ノニオン性モノマー〕
モノマー混合物には、更に、(d)ノニオン性モノマー(以下「(d)成分」ともいう)が含有されていてもよい。
(d)成分としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテル、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
商業的に入手しうる(d)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社のNKエステルM−40G、同90G、同230G、日本油脂株式会社のブレンマーPE−90、同200、同350、PME−100、同200、同400、同1000、PP−500、同800、同1000、AP−150、同400、同550、同800、50PEP−300、50POEP−800B、43PAPE600B等が挙げられる。
上記(a)〜(d)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
ビニル系ポリマー製造時における、上記(a)〜(c)成分のモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)又はビニル系ポリマー中における(a)〜(c)成分に由来する構成単位の含有量は、次のとおりである。
(a)成分の含有量は、アニオン性着色粒子及び複合粒子を水分散体及びインク中で安定に分散させ、カチオン性着色粒子にアニオン性着色粒子を効果的に付着させる観点から、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは4〜30重量%、特に好ましくは5〜25重量%である。
(b)成分の含有量は、アニオン性着色粒子及び複合粒子の水分散体及びインク中での分散安定性の観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
(c)成分の含有量は、水分散体及びインクの印字濃度向上の観点から、好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜80重量%である。
また、〔(a)成分/[(b)成分+(c)成分]〕の重量比は、アニオン性着色粒子及び複合粒子の水分散体及びインク中での分散安定性及び水分散体及びインクの印字濃度の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.02〜0.67、更に好ましくは0.03〜0.50である。
(アニオン性ポリマーの製造)
前記アニオン性ポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モル(各モノマーの合計モル量の1モル)あたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概には決定することができないが、通常、重合温度は、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、好ましくは1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去することができる。
本発明で用いられるアニオン性ポリマーの重量平均分子量は、アニオン性着色粒子及び複合粒子の水分散体及びインク中での分散安定性と、水分散体及びインクの印字濃度の観点から、5,000〜50万が好ましく、1万〜40万がより好ましく、1万〜30万がより好ましく、2万〜30万が更に好ましい。なお、ポリマーの重量平均分子量は、実施例で示す方法により測定した。
本発明で用いられるアニオン性ポリマーは、(a)アニオン性モノマー由来のアニオン性基を中和剤により中和して用いることが好ましい。中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、各種アミン等の塩基が挙げられる。
アニオン性ポリマーのアニオン性基の中和度は、分散安定性の観点から、10〜300%であることが好ましく、20〜200%がより好ましく、30〜150%が更に好ましい。
アニオン性ポリマーを架橋させる場合は、架橋前のポリマーのアニオン性基の中和度は、分散安定性と架橋効率の観点から、10〜90%であることが好ましく、20〜80%がより好ましく、30〜70%が更に好ましい。
ここで中和度は、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価(KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
酸価は、ポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。又は、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
[着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の製造]
着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体は、下記の工程(1)及び(2)を有する方法により、効率的に製造することができる。
工程(1):アニオン性ポリマー、有機溶媒、着色剤、及び水を含有する混合物を分散処理して、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体を得る工程
工程(1)
工程(1)では、まず、アニオン性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に着色剤、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。アニオン性ポリマーの有機溶媒溶液に加える順序に制限はないが、中和剤、水、着色剤の順に加えることが好ましい。
混合物中、着色剤は、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%が更に好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、10〜50重量%が更に好ましく、アニオン性ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、3〜20重量%が更に好ましく、水は、10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%が更に好ましい。
前記アニオン性ポリマーの量に対する着色剤の量の重量比〔着色剤/アニオン性ポリマー〕は、分散安定性の観点から、50/50〜90/10であることが好ましく、70/30〜85/15であることがより好ましい。
中和剤を用いて中和する場合、最終的に得られる水分散体のpHが7〜11であるように中和することが好ましい。中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、各種アミン等の塩基が挙げられる。また、アニオン性ポリマーを予め中和しておいてもよい。
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒及びジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
該有機溶媒の水100gに対する溶解量は、20℃において、好ましくは5g以上、更に好ましくは10g以上であり、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンが好ましい。
工程(1)における混合物の分散方法に特に制限はない。本分散だけでポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行い、ポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。工程(1)の分散における温度は、5〜50℃が好ましく、10〜35℃がより好ましく、分散時間は1〜30時間が好ましく、2〜25時間がより好ましい。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置、具体例としては、ウルトラディスパー、デスパミル(浅田鉄工株式会社、商品名)、マイルダー(株式会社荏原製作所、太平洋機工株式会社、商品名)、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(以上、プライミクス株式会社、商品名)等の高速撹拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ、商品名)に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社、商品名)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社、商品名)、アルティマイザー、スターバースト(スギノマシン株式会社、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製、商品名)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製、商品名)、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製、商品名)等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。これらの中では、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子を小粒子径化する観点から、メディア式分散機と高圧ホモジナイザーを併用することが好ましい。
工程(2)
工程(2)では、得られた分散体から、公知の方法で有機溶媒を留去することで、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体を得ることができる。得られたポリマー粒子を含む水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよく、架橋工程を後に行う場合は、必要により架橋後に再除去すればよい。残留有機溶媒の量は0.1重量%以下が好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
また必要に応じて、有機溶媒を留去する前に分散体を加熱撹拌処理することもできる。
得られた着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体は、着色剤を含有する該ポリマーの固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも着色剤とアニオン性ポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、該ポリマーに着色剤が内包された粒子形態、該ポリマー中に着色剤が均一に分散された粒子形態、該ポリマー粒子表面に着色剤が露出された粒子形態等が含まれる。
[カチオン性着色粒子]
本発明においては、印刷物の印字濃度向上の観点から、カチオン性着色粒子を用いる。
アニオン性着色粒子だけでなく、カチオン性着色粒子をインクに含有させることにより、印字濃度向上の効果が高まるものと考えられる。アニオン性着色粒子との付着性の観点及び印字濃度向上の観点から、カチオン性着色粒子として、着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子を用いることが好ましい。
印字濃度が向上する原因は定かではないが、前記のようにアニオン性着色粒子とカチオン性着色粒子がイオン相互作用で引きつけあい、凹凸を有する粒子となるため、紙等の印刷面に残りやすくなり、印刷物の印字濃度が向上するものと考えられる。
なお、本明細書において、「カチオン性」とは、未中和の化合物を純水に分散又は溶解させた場合、pHが7より大となること、第4級アンモニウム塩等を有する化合物の場合はその対イオンを水酸化物イオンとして純水に分散又は溶解させた場合、pHが7より大となること、又は化合物等が純水に不溶であり、pHが明確に測定できない場合には、純水に分散させた分散体のゼータ電位が正となることをいう。
カチオン性着色粒子の平均粒径は、分散性、印字濃度の観点から、好ましくは30〜300nm、より好ましくは40〜200nm、更に好ましくは50〜150nmである。
アニオン性着色粒子をカチオン性着色粒子の表面に付着させる観点から、カチオン性着色粒子は、アニオン性着色粒子の平均粒径よりも大きい平均粒径を有するものであることが好ましい。なお、平均粒径は、実施例記載の方法により測定される。
本発明に用いるカチオン性着色粒子の着色剤は、前記のアニオン性着色粒子に用いたものと同一のものが好適に挙げられる。すなわち、顔料、疎水性染料、水溶性染料等を用いることができるが、印字濃度の観点から、顔料及び疎水性染料が好ましく、顔料がより好ましい。上記の着色剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
[着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子]
(カチオン性ポリマー)
着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子に用いられるカチオン性ポリマーとしては、印字濃度向上の観点から、水不溶性ポリマーが好ましい。ここで、水不溶性ポリマーとは前記の定義のとおりである。
なお、カチオン性ポリマーの場合の溶解量は、ポリマーのカチオン性基を塩酸で100%中和した時の溶解量である。
用いるカチオン性ポリマーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、ビニルポリマー等が挙げられるが、水分散体及びインク中での分散安定性の観点から、ビニルポリマーが好ましい。
(カチオン性ビニルポリマー)
カチオン性ビニルポリマーとしては、(g)カチオン性モノマー(以下「(g)成分」ともいう)を含むモノマー混合物を共重合させてなるビニルポリマーが好ましい。このビニルポリマーは(g)成分由来の構成単位を有する。
〔(g)カチオン性モノマー〕
カチオン性モノマーとしては、アミノ基を有する単量体、アミノ基を有する単量体の酸中和物、該単量体を4級化剤で4級化した第4級アンモニウム塩、又はジアリル型第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
アミノ基を有する単量体としては、ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド類、ジアルキルアミノ基を有するスチレン類、ビニルピリジン類、N−ビニル複素環化合物類、及びビニルエーテル類から選ばれる1種以上が好ましい。
ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類としては、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ジアルキルアミノ基を有するスチレン類としては、ジメチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等が挙げられ、ビニルピリジン類としては、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン等が挙げられ、N−ビニル複素環化合物類としては、N−ビニルイミダゾール等が挙げられ、ビニルエーテル類としては、アミノエチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル等が挙げられる。
アミノ基を有する単量体の酸中和物、該単量体を4級化剤で4級化した第4級アンモニウム塩、及びジアリル型第4級アンモニウム塩としては、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物が好ましく、中でも、第4級アンモニウム塩型モノマーは、系のpHが変化しても、分散安定性が良好であり、より好ましい。
Figure 2010184982
(R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、又はベンジル基を示し、R4は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はベンジル基を示し、Yは、−O−基、−NH−基又は−O−CH2CH(OH)−基を示し、Zは、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルカンジイル基を示し、Xは陰イオンを示す。)
一般式(1)において、R2、R3及びR4の炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基が挙げられる。Zとしては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、又はプロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基等が挙げられる。
Xの陰イオンとしては、ハロゲン化物イオン、酸の共役塩基、又は炭素数1〜4のアルキルサルフェートイオンが挙げられる。ハロゲン化物イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられ、酸の共役塩基としては、酸中和物を得るための好ましい酸(後記)から水素原子を除いた基が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物の中で、好ましい具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられ、中でも(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドが好ましい。
Figure 2010184982
(式中、R5及びR6は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R7及びR8は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは前記と同じである。)
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のジアリル型第4級アンモニウム塩が挙げられ、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドが好ましい。
一般式(1)又は(2)で表される化合物が酸中和物であるとき、この酸中和物を得るために用いる好ましい酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、ギ酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、スルファミン酸、トルエンスルホン酸、乳酸、ピロリドン−2−カルボン酸、コハク酸等が挙げられる。
また、一般式(1)又は(2)で表される化合物が第4級アンモニウム塩であるとき、この第4級アンモニウム塩を得るために用いる好ましい4級化剤としては、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロピル等の硫酸ジアルキル、及び塩化ベンジル等のアルキル化剤が挙げられる。
カチオン性ビニルポリマーは、前記(g)成分由来の構成単位以外に、前記の(b)成分、(c)成分、及び(d)成分の各成分由来の構成単位を含有していてもよく、中でも(c)成分由来の構成単位を含有していることが好ましい。
以下に、顔料を含有するカチオン性ポリマー粒子のポリマーを構成する構成単位である各モノマー成分について説明する。
(b)マクロマーは前記のとおりであり、スチレン系マクロマーが好ましい。
(c)疎水性モノマーは前記のとおりであり、印字濃度の向上の観点から用いられる。(c)成分としては、芳香族基含有モノマーが好ましく、スチレン系モノマー、芳香族基含有(メタ)アクリレートがより好ましく、これらを併用してもよく、中でも芳香族基含有(メタ)アクリレートが更に好ましい。
スチレン系モノマーとしてはスチレン、2−メチルスチレン、及びジビニルベンゼンが好ましく、スチレンがより好ましい。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
(d)ノニオン性モノマーは前記のとおりであり、ポリエチレングリコール(n=1〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(g)及び(b)〜(d)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
カチオン性ビニルポリマー製造時における、上記(g)、(b)及び(c)成分のモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)又はカチオン性ビニルポリマー中における(g)、(b)及び(c)成分に由来する構成単位の含有量は、次のとおりである。
(g)成分の含有量は、着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子の分散安定性と印字濃度の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは20〜30重量%である。
(b)成分の含有量は、カチオン性ポリマー粒子の分散安定性の観点から、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜10重量%である。
(c)成分の含有量は、水分散体及びインクの印字濃度向上の観点から、好ましくは30〜95重量%、より好ましくは60〜80重量%である。
また、〔(g)成分/[(b)成分+(c)成分]〕の重量比は、着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子の分散安定性及び水分散体及びインクの印字濃度の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.05〜0.67、更に好ましくは0.10〜0.50である。
(カチオン性ポリマーの製造)
前記ポリマーは、アニオン性ポリマーと同様に製造することができる。
本発明で用いられるポリマーは、(g)カチオン性モノマー由来のカチオン性基を有している場合は中和剤により中和して用いることが好ましい。中和剤としては、例えば、塩酸、酢酸、プロピオン酸等の酸が挙げられる。
ポリマーのカチオン性基の中和度は、分散安定性の観点から、10〜300%であることが好ましく、40〜200%がより好ましく、60〜150%が更に好ましい。
中和は重合する前のモノマーのときに行ってもよく、ポリマーを得た後に行ってもよいが、ポリマーを得た後に行うことが好ましい。
また、4級化したカチオン性基を有するポリマーにおいても、モノマーのときに4級化してもよく、ポリマーを得た後に4級化してもよいが、モノマーのときに行うことが、反応性の観点から好ましい。
[着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子の製造]
着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子の水分散体は、前記の着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子と同様に下記の工程(3)及び(4)を有する方法により、効率的に製造することができる。
工程(3):カチオン性ポリマー、有機溶媒、着色剤、及び水を含有する混合物を分散処理して、着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子の分散体を得る工程
工程(4):工程(3)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子の水分散体を得る工程
工程(3)
工程(3)は、ポリマーの種類が異なること以外は、基本的にアニオン性ポリマー粒子の製造に係る前記工程(1)と同じである。
工程(3)では、まず、カチオン性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に着色剤、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。カチオン性ポリマーの有機溶媒溶液に加える順序に制限はないが、中和剤、水、着色剤の順に加えることが好ましい。
混合物中、着色剤は、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%が更に好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、10〜50重量%が更に好ましく、カチオン性ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、3〜20重量%が更に好ましく、水は、10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%が更に好ましい。
前記カチオン性ポリマーの量に対する着色剤の量の重量比〔着色剤/カチオン性ポリマー〕は、着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子の水分散体中での分散安定性の観点から、50/50〜90/10であることが好ましく、70/30〜85/15であることがより好ましい。
中和剤を用いて中和する場合、最終的に得られる水分散体のpHが1〜7であるように中和することが好ましい。中和剤としては、塩酸、酢酸、プロピオン酸等の酸が挙げられる。また、カチオン性ポリマーを予め中和しておいてもよい。
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒及びジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
該有機溶媒の水100gに対する溶解量は、20℃において、好ましくは5g以上、更に好ましくは10g以上であり、メチルエチルケトン及びエタノールが好ましい。
工程(3)における混合物の分散方法に特に制限はなく、前記のアニオン性ポリマー粒子の製造で用いた分散方法が好ましく、高速撹拌混合装置等によって、予備分散させた後、メディア式分散機、高圧ホモジナイザー等の分散機を用いて本分散を行うことが好ましい。
工程(4)
工程(4)は、ポリマーの種類が異なること以外は、基本的にアニオン性ポリマー粒子の製造に係る前記工程(2)と同じである。
工程(4)では、工程(3)で得られた分散体から、有機溶媒を留去する。このようにして得られた着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子の水分散体は、着色剤を含有する該ポリマーの固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも着色剤とカチオン性ポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、該ポリマーに着色剤が内包された粒子形態、該ポリマー中に着色剤が均一に分散された粒子形態、該ポリマー粒子表面に着色剤が露出された粒子形態等が含まれる。
[インクジェット記録用水分散体の製造]
本発明のインクジェット記録用水分散体は、下記の工程(a)を有する方法によって製造することが好ましい。工程(b)は任意であるが、水分散体の保存安定性を高める観点から、行うことが好ましい。
工程(a):着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体と、カチオン性着色粒子の水分散体とを混合して、カチオン性着色粒子に着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子が付着した複合粒子の水分散体を得る工程
工程(b):工程(a)で得られた複合粒子の水分散体に架橋剤を添加して、カチオン性着色粒子に着色剤を含有するアニオン性架橋ポリマー粒子が付着した複合粒子の水分散体を得る工程
工程(a)
工程(a)では、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体と、カチオン性着色粒子の水分散体とを混合する。
前記両者を混合することにより、両者がまず電気的に結合し、カチオン性着色粒子の表面に、アニオン性着色粒子が付着した複合粒子を含有するインクジェット記録用水分散体を得ることができる。好ましくは、両者を混合した後に、更に分散処理を行う。
分散処理は、前記工程(1)に記載の分散機を用いて行うことができる。例えば、ロールミル等の混練機、高圧ホモゲナイザー等のホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー、アルティマイザー、スターバースト等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル、ピコミル、ダイノーミル等が挙げられる。また、超音波分散機、好ましくは超音波ホモジナイザーを用いて分散処理することもできる。超音波ホモジナイザーとしては、周波数20〜2000kHz、反応総液量の1リットル当たりのワット数が好ましくは20〜1000W、より好ましくは50〜800Wであるものが望ましい。かかる超音波分散機は、株式会社日本精機製作所、アレックス社等から市販されている。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
工程(a)の分散における温度は5〜50℃が好ましく、10〜35℃が更に好ましい。
工程(b)
工程(b)は、(a)で得られた複合粒子の水分散体に架橋剤を添加して、カチオン性着色粒子に、着色剤を含有するアニオン性架橋ポリマー粒子が付着した複合粒子の水分散体を得る工程である。工程(b)は、水分散体の保存安定性を高める観点から行う。
工程(b)において、カチオン性着色粒子がカチオン性ポリマー粒子の場合であって、カチオン性基の種類と架橋剤の種類の組み合わせによっては、カチオン性ポリマー粒子にも一部架橋がなされる場合があるが、本発明の効果を妨げない範囲で架橋がなされてもよい。
アニオン性ポリマーの架橋は、工程(2)で得られた着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の分散体と架橋剤とを混合して行うこともできる。この場合は、該架橋工程で得られたアニオン性架橋ポリマー粒子の水分散体から、有機溶媒を除去する工程を前記工程(2)と同様に行うことにより、本発明の水分散体を得ることができる。
ここで、架橋剤としては、ポリマーのアニオン性基と反応する官能基を有する化合物が好ましく、該官能基を分子中に2以上、好ましくは2〜6有する化合物がより好ましい。
本発明で用いられる架橋剤は、ポリマー、特に水不溶性ポリマーの表面を効率よく架橋する観点から、25℃の水100gに溶解させたときの溶解量が、好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下、更に好ましくは30g以下である。また、その分子量は、反応のし易さ及び複合粒子の水分散体の保存安定性の観点から、好ましくは120〜2000、より好ましくは150〜1500、更に好ましい150〜1000である。
(架橋剤)
架橋剤の好適例としては、次の(a)〜(c)が挙げられる。
(a)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物:例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル。
(b)分子中に2以上のオキサゾリン基を有する化合物:例えば、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,3−フェニレンビスオキサゾリン、1,3−ベンゾビスオキサゾリン等のビスオキサゾリン化合物、該化合物と多塩基性カルボン酸とを反応させて得られる末端オキサゾリン基を有する化合物。
(c)分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物:例えば、有機ポリイソシアネート又はイソシアネート基末端プレポリマー。
これらの中では、(a)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、特にエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが好ましい。
架橋剤の使用量は、複合粒子の水分散体の保存安定性の観点から、〔架橋剤/アニオン性ポリマー〕の重量比で0.1/100〜50/100が好ましく、0.5/100〜40/100がより好ましく、1/100〜30/100がより好ましく、2/100〜25/100が更に好ましい。
また、架橋剤の使用量は、該アニオン性ポリマー(1g当たり)に対する、架橋剤の反応性基のモル数として、0.01〜10mmol/gであることが好ましく、0.05〜5mmol/gであることがより好ましく、0.1〜2mmol/gであることが更に好ましい。
工程(b)で得られた複合粒子の水分散体におけるアニオン性架橋ポリマーは、架橋ポリマー1g当たり、塩基で中和されたアニオン性基(好ましくはカルボキシ基)を0.5mmol/g以上含有することが好ましい。かかる架橋ポリマーは、水分散体中で解離して、アニオン同士の電荷反発により、着色剤を含有するアニオン性架橋ポリマー粒子の安定性に寄与すると考えられる。
ここで、下記式(3)から求められる架橋ポリマーの架橋率(モル%)は、好ましくは10〜90モル%、より好ましくは20〜80モル%、更に好ましくは30〜70モル%である。架橋率は、架橋剤の使用量と反応性基のモル数、ポリマーの使用量と架橋剤の反応性基と反応できるポリマーの反応性基のモル数から計算で求めることができる。
架橋率(モル%)=[架橋剤の反応性基のモル数/ポリマーが有する架橋剤と反応し得る反応性基のモル数]×100 (3)
式(3)において、「架橋剤の反応性基のモル数」とは、使用する架橋剤のモル数に架橋剤1分子中の反応性基の数を乗じたものである。
工程(a)、又は工程(a)及び(b)によって得られた複合粒子の平均粒径は、水分散体及びインクの印字濃度の観点から、好ましくは40〜1000nm、より好ましくは60〜600nm、更に好ましくは80〜300nmである。なお、平均粒径は、実施例記載の方法で測定される。
[インクジェット記録用水分散体]
本発明の水分散体は、そのまま水系インクとして用いることもできる。
本発明の水分散体中の各成分の含有量は、下記のとおりである。
本発明の水分散体に用いられるアニオン性着色粒子に含まれる着色剤の含有量は、水分散体の印字濃度を高める観点から、水分散体中で、好ましくは2〜35重量%、より好ましくは3〜30重量%、更に好ましくは5〜25重量%である。
本発明の水分散体に用いられるカチオン性着色粒子に含まれる着色剤の含有量は、水分散体の印字濃度を高める観点から、水分散体中で、好ましくは2〜35重量%、より好ましくは3〜30重量%、更に好ましくは5〜25重量%である。
また、アニオン性着色粒子に含まれる着色剤の含有量と、カチオン性着色粒子に含まれる着色剤の含有量の比〔アニオン性着色粒子に含まれる着色剤の含有量/カチオン性着色粒子に含まれる着色剤の含有量〕は、水分散体の印字濃度を高める観点から、好ましくは1/3〜100/1、より好ましくは2/1〜50/1、更に好ましくは5/1〜30/1である。
水の含有量は、好ましくは20〜90重量%,より好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。
本発明の水分散体の好ましい表面張力(20℃)は、30〜70mN/m、より好ましくは35〜65mN/mである。
本発明の水分散体の20重量%(固形分)の粘度(20℃)は、好ましくは1〜12mPa・s、より好ましくは1〜9mPa・s、より好ましくは2〜6mPa・s、更に好ましくは2〜5mPa・sである。
[インクジェット記録用水系インク]
本発明のインクジェット記録用水系インクには、水系インクに通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等を添加することができる。
本発明の水系インク中の各成分の含有量は、下記のとおりである。
本発明の水系インクに用いられるアニオン性着色粒子に含まれる着色剤の含有量は、水系インクの印字濃度を高める観点から、水系インク中で、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは2〜20重量%、より好ましくは4〜15重量%、更に好ましくは5〜12重量である。
本発明の水系インクに用いられるカチオン性着色粒子に含まれる着色剤の含有量は、水系インクの印字濃度を高める観点から、水系インク中で、好ましくは2〜35重量%、より好ましくは3〜30重量%、更に好ましくは5〜25重量%である。
また、アニオン性着色粒子に含まれる着色剤の含有量と、カチオン性着色粒子に含まれる着色剤の含有量の比〔アニオン性着色粒子に含まれる着色剤の含有量/カチオン性着色粒子に含まれる着色剤の含有量〕は、インクの印字濃度を高める観点から、好ましくは1/3〜100/1、より好ましくは2/1〜50/1、更に好ましくは5/1〜30/1である。
水の含有量は、好ましくは20〜90重量%、より好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。
本発明の水系インクの好ましい表面張力(20℃)は、23〜50mN/m、より好ましくは23〜45mN/m、更に好ましくは25〜40mN/mである。
本発明の水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出信頼性を維持するために、好ましくは2〜20mPa・sであり、より好ましくは2.5〜16mPa・s、更に好ましくは2.5〜12mPa・sである。
本発明の水系インクを適用するインクジェットの方式は制限されないが、顔料等分散性色材やポリマー粒子等の粒子を含有する分散液の吐出に適したピエゾ方式のインクジェットプリンターに好適である。
以下の調製例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。なお、ポリマーの重量平均分子量、ポリマー粒子の平均粒径の測定は以下の方法により行い、水分散体について保存安定性を測定し、水系インクについて、以下の印刷方法により印刷して印字濃度を評価した。
(1)アニオン性ポリマーの重量平均分子量の測定
N,N−ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶媒として、ゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK−GEL、α−M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
(2)着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子、複合粒子の平均粒径の測定
大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)を用いて測定した。測定する粒子の濃度を、約5×10-3重量%なるよう水で希釈した分散液を用いた。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。
(3)水分散体の保存安定性
水分散体をガラス製密閉容器に充填し、30℃7日保存後の粘度をE型粘度計(東機産業株式会社製、RE80L)を用いて20℃で測定し、下記式より粘度変化率を求め、以下の評価基準に基づいて評価した。
保存安定性(粘度変化率)(%)=((〔保存後の粘度〕−〔保存前の粘度〕)/〔保存前の粘度〕)×100
(4)印刷方法
インクを、シリコンチューブを介して、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型番:EM−930C、ピエゾ方式)のブラックヘッド上部のインク注入口に充填する。次いで、フォトショップによりベタ印字の印刷パターン(横204mm×縦275mmの大きさ)を作成し、ベタのDutyを変化させて試し印字〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:ブラック、ファイン、双方向〕を行い、実際の吐出量が0.75±0.01mg/cm2となるようにDutyを調整した。吐出量は、インクが入ったスクリュー管の重量変化を測定した。調整したDutyのベタ画像を用い、市販の普通紙(商品名:XEROX4200、XEROX社製、上質普通紙)に印字を行った。
(5)印字濃度の測定
印字物を25℃湿度50%で24時間放置後、印字面の印字濃度を測定した。印字濃度の測定にはマクベス濃度計(グレタグマクベス社製、品番:RD914)を用い、測定条件は、観測光源を D65とし、観測視野を2度とし、濃度基準を DIN16536とし、マゼンタの色濃度成分の数値を読み取った。測定回数は、測定する場所を変え、双方向印字の往路において印字された部分から5点、復路において印字された部分から5点をランダムに選び、合計10点の平均値を求めた。
調製例1(着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体の調製)
(1)アニオン性ポリマーの合成
ベンジルアクリレート142部、メタクリル酸38部、スチレンマクロマー(東亞合成株式会社製、商品名:AS−6S)(固形分50%)40部を混合し、モノマー混合液を調製した。
反応容器内に、メチルエチルケトン18部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、前記モノマー混合液の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行った。
一方、滴下ロートに、モノマー混合液の残りの90%、前記重合連鎖移動剤0.27部、メチルエチルケトン42部及びアゾ系ラジカル重合開始剤(和光純薬工業株式会社製、商品名:V−65、2,2’−アゾビズ−(2,4−ジメチルバレロニトリル))1.2部の混合液を入れ、窒素雰囲気下、反応容器内の前記モノマー混合液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了から75℃で2時間経過後、前記重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、80℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液(ポリマーの重量平均分子量:90000)を得た。
(2)着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体の調製
上記(1)で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー45部をメチルエチルケトン300部に溶かし、その中に中和剤として5N水酸化ナトリウム水溶液10.2部と25%アンモニア水12.2部、及びイオン交換水1150部を加え、更にマゼンタ顔料(無置換キナクリドンと2,9−ジクロロキナクリドンからなる固溶体顔料、チバ・ジャパン株式会社製、商品名:クロモフタルジェットマゼンタ2BC)180部を加え、ディスパー翼7000rpmで20℃で1時間混合したのち、ビーズミル型分散機(寿工業株式会社製、ウルトラ・アペックス・ミル、型式UAM-05、メディア粒子:ジルコニアビーズ、粒径:0.05mm)を用いて20℃で40分間混合分散した。得られた分散液を前記マイクロフルイダイザー(M−140K)を用いて、180MPaの圧力でさらに5パス分散処理した。
得られた分散液を、減圧下60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、遠心分離し、前記フィルター(ザルトリウス社製、孔径:5μm)でろ過して粗大粒子を除き、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体〔固形分濃度:30.0%、平均粒径74nm〕を得た。
調製例2(着色剤を含有するアニオン性架橋ポリマー粒子の水分散体の調製)
調製例1で得られた着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体40gに、エポキシ系架橋剤(商品名:デナコールEX321、エポキシ当量140、ナガセケムテックス株式会社製)0.42gとイオン交換水0.98gを加えて、90℃温浴で、撹拌しながら1時間保持した。冷却後、前記フィルター(ザルトリウス社製、孔径:5μm)でろ過して粗大粒子を除き、顔料を含有するアニオン性架橋ポリマー粒子〔固形分濃度:30.0%、平均粒径77nm、前記式(3)による架橋ポリマーの架橋率:56.8モル%〕の水分散体を得た。
調製例3(着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子の水分散体の調製)
(1)カチオン性ポリマーの合成
500mlセパラフラスコに、ベンジルメタクリレート75g、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム25g、メチルエチルケトン63g、エタノール63gを仕込み、30分間窒素置換を行った。混合液を75℃に昇温し、メチルエチルケトン10gとエタノール10gに溶解した前記重合開始剤(V−65)0.68gを90分間かけて、滴下した。滴下終了後、90分間熟成した。次にMEK5gとエタノール5gに溶解した前記重合開始剤(V−65)0.20gを添加し、さらに3時間熟成した。熟成終了後、冷却した後、固形分が約30%になるように、メチルエチルケトン/エタノール溶液(1/1)を追加して、固形分濃度30.82%のカチオン性ポリマーの溶液を得た。
(2)着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子の水分散体の調製
上記(1)で得られたカチオン性ポリマー溶液97.3g(カチオン性ポリマー含有量30.0g)とメチルエチルケトン71.1gを2L容器に仕込み、イオン交換水461.5gを加えてディスパーで撹拌(回転数3000rpm)した。マゼンタ顔料(置換キナクリドンと2,9−ジクロロキナクリドンからなる固溶体顔料、チバ・ジャパン株式会社製、商品名:クロモフタルジェットマゼンタ2BC、無置換キナクリドン/2,9−ジクロロキナクリドン(重量比)=2/8)120gを入れ、回転数8000rpmにして、1時間撹拌した。200メッシュステンレスフィルターでろ過した後、前記マイクロフルイダイザーを用いて、180MPaの圧力で15パス分散処理した。
得られた分散液を、減圧下60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、遠心分離し、前記フィルター(孔径:5μm)でろ過して粗大粒子を除き、着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子の水分散体〔固形分濃度:18.5%、平均粒径182nm〕を得た。
実施例1(複合粒子を含有する水分散体の製造)
調製例1で得られた着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体50.0gを撹拌しながら、調製例3で得られた着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子の水分散体を17.6g滴下した後、イオン交換水18.8gを加え、超音波分散器(300μA)で5分間分散し、遠心分離(4500rpm×21min)をし、デカンテーションした液を前記フィルター(孔径:5μm)でろ過して粗大粒子を除き、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子が、着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子に付着した複合粒子を得た。この水分散体の固形分濃度は20.6%、平均粒径は186nmであった。
実施例2(複合粒子を含有する水分散体の製造)
調製例1で得られた着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体50.0gを撹拌しながら、調製例3で得られた着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子の水分散体を17.6g滴下した後、イオン交換水18.8gを加え、超音波分散器(300μA)で5分間分散し、さらに、エポキシ系架橋剤(デナコールEX321)0.27gを加えて、90℃温浴で、撹拌しながら1.5時間保持した。冷却後、遠心分離(4500rpm×21min)をし、デカンテーションした液を前記フィルター(孔径:5μm)でろ過して粗大粒子を除き、着色剤を含有するアニオン性架橋ポリマー粒子が、着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子に付着した複合粒子を得た。この水分散体の固形分濃度は20.6%、平均粒径は186nmであった。
実施例3(水系インクの製造)
実施例1記載の水分散体を、着色剤分換算で10.0部となるように用意した。
1,2−ヘキサンジオール(東京化成工業株式会社製)2.0部、2−ピロリドン(和光純薬株式会社製)2.0部、サーフィノール465(日信化学工業株式会社製、ノニオン界面活性剤)0.5部、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、ノニオン界面活性剤)0.5部、グリセリン(花王株式会社製)2.0部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(商品名:ブチルトリグリコール、日本乳化剤株式会社製)10.0部、プロキセルXL2(アビシア株式会社製、防腐剤)0.3部、及びイオン交換水をマグネチックスターラーで撹拌しながら、混合し、更に室温で15分間攪拌して、混合溶液を得た。ここでイオン交換水の配合量は、混合溶液と前記の水分散体を加えた全量が100部となるように調整した量である。
次に予め用意した実施例1記載の水分散体をマグネチックスターラーで撹拌しながら、前記混合溶液を添加し、1.2μmのフィルター(酢酸セルロース膜、ザルトリウス社製)で濾過し、水系インクを得た。結果を表1に示す。
実施例4(水系インクの製造)
実施例3において、実施例1で得られた複合粒子を含有する水分散体に代えて、実施例2で得られた着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体を用いたほかは、実施例3と同様にして、水系インクを得た。結果を表1に示す。
比較例1(水系インクの製造)
実施例3において、実施例1で得られた複合粒子を含有する水分散体に代えて、調製例2で得られた着色剤を含有するアニオン性架橋ポリマー粒子の水分散体を用いたほかは、実施例3と同様にして水系インクを製造した。結果を表1に示す。
比較例2(水系インクの製造)
実施例3において、実施例1で得られた複合粒子を含有する水分散体に代えて、調製例3で得られた着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子の水分散体を用いたほかは、実施例3と同様にして水系インクを製造した。結果を表1に示す。
Figure 2010184982
表1から、実施例3〜4の水系インクは、比較例1〜2の水系インクに比べて、印字濃度が優れていることが分かる。

Claims (8)

  1. アニオン性着色粒子及びカチオン性着色粒子を含有するインクジェット記録用水分散体。
  2. カチオン性着色粒子が、着色剤を含有するカチオン性ポリマー粒子である、請求項1に記載のインクジェット記録用水分散体。
  3. アニオン性着色粒子が、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水分散体。
  4. アニオン性ポリマー粒子が、アニオン性架橋ポリマー粒子である、請求項3に記載のインクジェット記録用水分散体。
  5. カチオン性着色粒子の平均粒径が、アニオン性着色粒子の平均粒径よりも大きい、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  6. カチオン性着色粒子にアニオン性着色粒子が付着した複合粒子を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の水分散体を含有する、インクジェット記録用水系インク。
  8. 下記工程(a)及び(b)を有するインクジェット記録用水分散体の製造方法。
    工程(a):着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体と、カチオン性着色粒子の水分散体とを混合して、カチオン性着色粒子に着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子が付着した複合粒子の水分散体を得る工程
    工程(b):工程(a)で得られた複合粒子の水分散体に架橋剤を添加して、カチオン性着色粒子に着色剤を含有するアニオン性架橋ポリマー粒子が付着した複合粒子の水分散体を得る工程
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