JP7843701B2 - Il-33アンタゴニストの使用方法 - Google Patents
Il-33アンタゴニストの使用方法Info
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Description
「IL-33」タンパク質とは、本明細書で用いられるとき、インターロイキン33、特に哺乳類インターロイキン33タンパク質、例えばUniProt番号095760で寄託されているヒトタンパク質を指す。しかしながら、この実体が単一の種ではなく、むしろ還元型及び酸化型として存在することは明らかである。還元型がin vivoで(例えば5分~40分の時間で)及びin vitroで急速に酸化することを所与とすれば、先行技術によるIL-33への言及は、実際には酸化型に言及したものである。更に、市販のアッセイは還元型と酸化型を効果的に区別できない場合がある。用語「IL-33」及び「IL-33ポリペプチド」は、同じ意味で用いられる。特定の実施形態において、IL-33は完全長である。別の実施形態において、IL-33は成熟トランケート型IL-33(アミノ酸112~270)である。最近の研究によれば、完全長IL-33は活性であることが示唆される(Cayrol and Girard,Proc Natl Acad Sci USA 106(22):9021-6(2009);Hayakawa et al.,Biochem Biophys Res Commun.387(1):218-22(2009);Talabot-Ayer et al,J Biol Chem.284(29):19420-6(2009))。しかしながら、限定はされないが、aa 72~270、79~270、95~270、99~270、107~270、109~270、111~270、112~270を含め、N末端プロセシングを受けた又はトランケートされたIL-33は、亢進した活性を有し得る(Lefrancais 2012,2014)。別の実施形態において、IL-33には、完全長IL-33、その断片、又はIL-33突然変異体若しくはバリアントポリペプチドが含まれることもあり、ここでIL-33の断片又はIL-33バリアントポリペプチドは、活性IL-33の一部又は全ての機能特性を保持している。
「WT IL-33」又は「IL-33」への言及は、それが使用される文脈から型の1つが意味されることが明らかでない限り、還元若しくは酸化型のいずれか、又は両方を指し得ると理解すべきである。
本開示は、IL-33アンタゴニストの医学的使用、特にIL-33媒介EGFRシグナル伝達を阻害することにより疾患を予防又は治療するための医学的使用に関する。特定の場合においては、本開示は、EGFR媒介疾患に見出され得る異常な上皮生理機能の予防又は治療のためのIL-33アンタゴニストの使用に関する。
本明細書に記載の医学的使用及び方法におけるIL-33アンタゴニストは、医薬組成物の形態で患者に投与することができる。
本開示は、異常な上皮生理機能を予防又は治療するためのIL-33アンタゴニストの医学的使用に関する。
粘膜毛様体クリアランスの改善若しくは増加;
粘液産生の低減若しくは阻害;
異常な粘液組成の阻害;
上皮リモデリングの低減若しくは阻害;並びに/又は
杯細胞の分化及び/若しくは増殖の低減若しくは阻害を含み得る。
本開示は、酸化IL-33はRAGEに結合し、RAGEは順次EGFRと複合体化し、上皮の恒常性を破壊するように作用するという発見に基づいている。IL-33アンタゴニストの使用は、酸化IL-33のシグナル伝達を阻害し、それによってRAGEの活性化を阻害し、RAGE-EGFR複合体化を阻害する可能性がある。本明細書に開示されるデータは、RAGE-EGFR複合体の形成を妨げることにより、IL-33媒介EGFRシグナル伝達が妨げられ、正常な上皮生理学が回復することを実証している。
本開示は、上皮生理機能を改善することによるか、又はEGFR媒介効果を調節することによる、好適には、EGFR媒介を阻害することによる、好適には、RAGE/EGFR媒介効果を阻害することによる、呼吸器疾患の予防又は治療のためのIL-33アンタゴニストの医学的使用に関する。
粘膜毛様体クリアランスの改善若しくは増加;
粘液産生の低減若しくは阻害;
異常な粘液組成の阻害;
異常な上皮リモデリングの低減若しくは阻害;及び/又は
杯細胞分化若しくは増殖の低減若しくは阻害を含み得る。
本開示は、RAGE-EGFR媒介シグナル伝達及び効果を阻害するためのIL-33アンタゴニストの医学的使用に関するが、IL-33アンタゴニストがST2媒介シグナル伝達及び効果を阻害し得ることはすでに知られている。したがって、本明細書で記載される医学的使用は、EGFR媒介効果及びST2媒介効果の両方の調節を想定している。
方法及び医学的使用は、患者又は対象に関して実践される。患者は、異常な上皮生理機能、EGFR媒介疾患、又は呼吸器疾患などの生理学的病態又は疾患の識別、診断、又は治療を必要とする患者であってもよい。
本開示の一部は、以下の実施形態によって特徴付けることができる:
実施形態1は、EGFR媒介効果を阻害することによる疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態2は、EGFR媒介効果が、RAGE-EGFR媒介効果である、実施形態1に従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態3は、EGFR媒介効果が、RAGE-EGFR媒介シグナル伝達である、実施形態1又は2に従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態4は、疾患が呼吸器疾患である、実施形態1~3のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態5は、疾患が、異常な上皮生理機能及び/又は異常EGFR活性を特徴とする、実施形態1~4のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態6は、疾患が:COPD、気管支炎、肺気腫、CF-気管支拡張症又は-CF-気管支拡張症などの気管支拡張症、喘息、又は喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)から選択される、実施形態1~5のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態7は、呼吸器疾患が、気管支炎性COPDである、実施形態4~6のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態8は、治療が:粘液クリアランスを改善し;異常な粘液産生を阻害し;異常な上皮リモデリングを阻害し;及び/又は異常な杯細胞分化を阻害する、実施形態1~7のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態9は、IL-33アンタゴニストが、酸化IL-33の活性を阻害する、実施形態1~8のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態10は、IL-33アンタゴニストが、酸化IL-33のRAGEとの結合を妨げ、それによりRAGE-EGFRシグナル伝達を阻害する、実施形態1~9のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態11は、IL-33アンタゴニストが、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片、好ましくは、抗還元IL-33抗体又はその抗原結合断片である、実施形態1~10のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態12は、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片が、表1から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)のペアの相補性決定領域(CDR)を含む、実施形態11に従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態13は、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片が、表1から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)のペアを含む、実施形態12に従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態14は、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片が、配列番号37の配列を有するVHCDR1、配列番号38の配列を有するVHCDR2、配列番号39の配列を有するVHCDR3、配列番号40の配列を有するVLCDR1、配列番号41の配列を有するVLCDR2、及び配列番号42の配列を有するVLCDR3を含む、実施形態11~13のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態15は、IL-33アンタゴニストが、配列番号1の配列のVHドメインと、配列番号19の配列のVLドメインとを含む、IL33抗体又はその抗原結合断片である、実施形態11~14のいずれ1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
[項1]
RAGE-EGFR媒介効果を調節又は阻害することによる異常な上皮生理機能の予防又は治療で使用するための、IL-33アンタゴニスト。
[項2]
前記異常な上皮生理機能が、異常な粘膜毛様体生理機能、好ましくは、呼吸上皮の異常な粘膜毛様体生理機能である、上記項1に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
[項3]
異常な粘膜毛様体生理機能が:異常な粘液産生;異常な杯細胞分化;異常な杯細胞増殖;異常な上皮厚さ;異常な粘液クリアランス;及び/又は異常な粘液組成から選択される、上記項2に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項4]
異常な粘液産生が、異常なMUC5AC産生を含み;及び/又は異常な杯細胞分化が、異常なMUC5AC+杯細胞分化を含み;及び/又は異常な杯細胞増殖が、異常なMUC5AC+杯細胞増殖を含み;及び/又は異常な前記上皮厚さが、前記上皮の全組織領域で異常な量のMUC5AC+杯細胞を含む、上記項3の記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項5]
異常な粘膜毛様体生理機能が:粘液産生の増加;杯細胞分化の増加;杯細胞増殖の増加;前記上皮の厚さの増加;及び/又は粘液クリアランスの減少を含む、上記項2、3、又は4の記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項6]
粘液産生の増加が、MUC5AC産生の増加を含み;及び/又は杯細胞分化の増加が、MUC5AC+杯細胞分化の増加を含み;及び/又は杯細胞増殖の増加が、MUC5AC+杯細胞増殖の増加を含み;及び/又は前記上皮の厚さの増加が、前記上皮の全組織領域で増加した量のMUC5AC+杯細胞を含む、上記項5の記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項7]
異常な粘液組成が、粘液に含有される様々な粘液化合物の比率の増加若しくは減少;1つ以上の粘液化合物の増加若しくは減少;及び/又は粘液の濃度若しくは濃さの増加若しくは減少を含む、上記項3の記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項8]
異常な粘液組成が、MUC5AC:MUC5Bの比率の増加を含み;及び/又は異常な粘液組成が、粘液に含有されるMUC5ACの増加を含み;及び/又は異常な粘液組成が、粘液の濃さの増加を含む、上記項7の記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項9]
前記異常な上皮生理機能が、異常な上皮リモデリングである、上記項1に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
[項10]
前記異常な上皮生理機能が、気道、好ましくは、前記気道の異常な粘膜毛様体生理機能である、上記項1~9のいずれか一項に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
[項11]
前記気道が、下気道、好ましくは、気管支である、上記項10に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
[項12]
EGFR媒介疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項13]
前記EGFR媒介疾患が、RAGE-EGFR媒介疾患である、上記項12に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
[項14]
前記EGFR媒介疾患が、異常なEGFR活性を特徴とする、上記項12又は13に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
[項15]
前記EGFR媒介疾患が、異常な上皮生理機能を特徴とする、上記項12~14のいずれか一項に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
[項16]
上皮生理機能を改善することによる疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項17]
EGFR媒介効果を阻害することによる疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項18]
前記EGFR媒介効果が、EGFRシグナル伝達である、上記項17に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
[項19]
前記EGFR媒介効果が、RAGE-EGFR媒介効果である、上記項17又は18に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
[項20]
前記EGFR媒介効果が、RAGE-EGFR媒介シグナル伝達である、上記項17~19のいずれか一項に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
[項21]
前記疾患が呼吸器疾患である、上記項16~20のいずれか一項に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
[項22]
前記呼吸器疾患が、異常な上皮生理機能及び/又は異常EGFR活性を特徴とする、上記項21に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
[項23]
前記呼吸器疾患が、下呼吸器疾患、好ましくは、気管支の呼吸器疾患である、上記項21又は22に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
[項24]
前記呼吸器疾患が:COPD、気管支炎、肺気腫、CF-気管支拡張症若しくは-CF-気管支拡張症などの気管支拡張症、喘息、又は喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)から選択される、上記項21~23のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項25]
前記呼吸器疾患が、COPD、好ましくは、気管支炎性COPDである、上記項21~24のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項26]
前記呼吸器疾患が、喘息、好ましくは、気管支喘息である、上記項21~24のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項27]
前記予防又は治療が、粘液クリアランスを改善する、上記項16~26のいずれか一項に記載の使用のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項28]
前記予防又は治療が、異常な粘液産生を阻害又は低減する、上記項16~27のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項29]
前記予防又は治療が、MUC5AC産生を阻害又は低減する、上記項28に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項30]
前記予防又は治療が、異常な粘液組成を阻害する、上記項16~29のいずれか一項に記載の使用のためのIL-33アンタゴニスト。
[項31]
前記予防若しくは治療が、MUC5AC:MUC5Bの比率を阻害又は低減する;及び/又は前記予防若しくは治療が、粘液中のMUC5ACを阻害又は低減する;及び/又は前記予防若しくは治療が、粘液の濃さを低減する、上記項30に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項32]
前記予防又は治療が、異常な上皮リモデリングを阻害する、上記項16~31のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項33]
前記予防又は治療が、異常な杯細胞分化又は増殖を阻害する、上記項16~32のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項34]
前記異常な杯細胞分化又は増殖が、異常なMUC5AC+杯細胞分化又は増殖である、上記項33に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項35]
前記予防又は治療が、呼吸器上皮の厚さを低減する、上記項16~34のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項36]
前記予防若しくは治療が、前記上皮の全組織領域でMUC5AC+杯細胞の量を低減する、上記項35に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項37]
前記IL-33アンタゴニストが、酸化IL-33の活性を阻害する、上記項1~36のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項38]
前記IL-33アンタゴニストが、酸化IL-33のRAGEとの結合を妨げ、それによりRAGE-EGFRシグナル伝達を阻害する、上記項1~37のいずれか一項に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
[項39]
前記IL-33アンタゴニストが、RAGE-EGFR依存シグナル伝達及び/又はRAGE-EGFR媒介効果を下方制御又は阻害する、上記項1~38のいずれか一項に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
[項40]
前記IL-33アンタゴニストが、IL-33、好ましくは、還元IL-33又は酸化IL-33、好ましくは、還元IL-33に結合する、結合分子又はその断片である、上記項1~39のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項41]
前記IL-33アンタゴニストが、抗体又はその抗原結合断片、好ましくは、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片、好ましくは、抗還元IL-33抗体又はその抗原結合断片である、上記項1~40のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項42]
前記IL-33アンタゴニストが、表1から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)のペアの相補性決定領域(CDR)を含む、結合分子である、上記項1~41のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項43]
前記IL-33アンタゴニストが、表1から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)のペアを含む、結合分子である、上記項1~42のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
[項44]
前記IL-33アンタゴニストが、配列番号37の配列を有するVHCDR1、配列番号38の配列を有するVHCDR2、配列番号39の配列を有するVHCDR3、配列番号40の配列を有するVLCDR1、配列番号41の配列を有するVLCDR2、及び配列番号42の配列を有するVLCDR3を含む結合分子である、上記項1~43のいずれか一項に記載のIL-33アンタゴニスト。
[項45]
治療有効量のIL-33アンタゴニストを投与して、RAGE-EGFR媒介効果を調節又は阻害することによる、対象における異常な上皮生理機能の予防又は治療のための方法。
[項46]
前記異常な上皮生理機能が、異常な粘膜毛様体生理機能、好ましくは、呼吸上皮の異常な粘膜毛様体生理機能である、上記項45に記載の方法。
[項47]
異常な粘膜毛様体生理機能が:異常な粘液産生;異常な杯細胞分化;異常な杯細胞増殖;異常な上皮厚さ;異常な粘液クリアランス;及び/又は異常な粘液組成から選択される、上記項46に記載の方法。
[項48]
異常な粘液産生が、異常なMUC5AC産生を含み;及び/又は異常な杯細胞分化が、異常なMUC5AC+杯細胞分化を含み;及び/又は異常な杯細胞増殖が、異常なMUC5AC+杯細胞増殖を含み;及び/又は異常な前記上皮厚さが、前記上皮の全組織領域で異常な量のMUC5AC+杯細胞を含む、上記項47に記載の方法。
[項49]
異常な粘膜毛様体生理機能が:粘液産生の増加;杯細胞分化の増加;杯細胞増殖の増加;前記上皮の厚さの増加;及び/又は粘液クリアランスの減少を含む、上記項47又は48に記載の方法。
[項50]
粘液産生の増加が、MUC5AC産生の増加を含み;及び/又は杯細胞分化の増加が、MUC5AC+杯細胞分化の増加を含み;及び/又は杯細胞増殖の増加が、MUC5AC+杯細胞増殖の増加を含み;及び/又は前記上皮の厚さの増加が、前記上皮の全組織領域で増加した量のMUC5AC+杯細胞を含む、上記項49に記載の方法。
[項51]
異常な粘液組成が、粘液に含有される様々な粘液化合物の比率の増加若しくは減少;1つ以上の粘液化合物の増加若しくは減少;及び/又は粘液の濃度若しくは濃さの増加若しくは減少を含む、上記項47に記載の方法。
[項52]
異常な粘液組成が、MUC5AC:MUC5Bの比率の増加を含み;及び/又は異常な粘液組成が、粘液に含有されるMUC5ACの増加を含み;及び/又は異常な粘液組成が、粘液の濃さの増加を含む、上記項51に記載の方法。
[項53]
前記異常な上皮生理機能が、異常な上皮リモデリングである、上記項45に記載の方法。
[項54]
前記異常な上皮生理機能が、気道、好ましくは、前記気道の異常な粘膜毛様体生理機能である、上記項45~53のいずれか一項に記載の方法。
[項55]
前記気道が、下気道、好ましくは、気管支である、上記項54に記載の方法。
[項56]
治療有効量のIL-33アンタゴニストを投与することによる、EGFR媒介疾患の予防又は治療のための方法。
[項57]
前記EGFR媒介疾患が、RAGE-EGFR媒介疾患である、上記項56に記載の方法。
[項58]
前記EGFR媒介疾患が、異常なEGFR活性を特徴とする、上記項56又は57に記載の方法。
[項59]
前記EGFR媒介疾患が、異常な上皮生理機能を特徴とする、上記項56~58のいずれか一項に記載の方法。
[項60]
治療有効量のIL-33アンタゴニストを投与して、上皮生理機能を改善することによる、疾患の予防又は治療のための方法。
[項61]
治療有効量のIL-33アンタゴニストを投与して、EGFR媒介効果を阻害することによる、疾患の予防又は治療のための方法。
[項62]
前記EGFR媒介効果が、EGFRシグナル伝達である、上記項61に記載の方法。
[項63]
前記EGFR媒介効果が、RAGE-EGFR媒介効果である、上記項61又は62に記載の方法。
[項64]
前記EGFR媒介効果が、RAGE-EGFR媒介シグナル伝達である、上記項61~63のいずれか一項に記載の方法。
[項65]
前記疾患が呼吸器疾患である、上記項60~64のいずれか一項に記載の方法。
[項66]
前記呼吸器疾患が、異常な上皮生理機能及び/又は異常EGFR活性を特徴とする、上記項65に記載の方法。
[項67]
前記呼吸器疾患が、下呼吸器疾患、好ましくは、気管支の呼吸器疾患である、上記項65又は66に記載の方法。
[項68]
前記呼吸器疾患が:COPD、気管支炎、肺気腫、CF-気管支拡張症又は-CF-気管支拡張症などの気管支拡張症、喘息、又は喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)から選択される、上記項65~67のいずれか一項に記載の方法。
[項69]
前記呼吸器疾患が、COPD、好ましくは、気管支炎性COPDである、上記項65~68のいずれか一項に記載の方法。
[項70]
前記呼吸器疾患が、喘息、好ましくは、気管支喘息である、上記項65~69のいずれか一項に記載の方法。
[項71]
前記方法が、粘液クリアランスを改善する、上記項45~70のいずれか一項に記載の方法。
[項72]
前記方法が、異常な粘液産生を阻害又は低減する、上記項45~71のいずれか一項に記載の方法。
[項73]
前記異常な粘液産生が、MUC5AC産生の増加である、上記項72に記載の方法。
[項74]
前記方法が、異常な粘液組成を阻害する、上記項45~73のいずれか一項に記載の方法。
[項75]
前記方法が、MUC5AC:MUC5Bの比率を阻害若しくは低減し;及び/又は前記方法が、粘液中のMUC5ACを阻害若しくは低減し;及び/又は前記方法が、粘液の濃さを阻害若しくは低減する、上記項74に記載の方法。
[項76]
前記方法が、異常な上皮リモデリングを阻害する、上記項45~75のいずれか一項に記載の方法。
[項77]
前記方法が、異常な杯細胞分化又は増殖を阻害又は低減する、上記項45~76のいずれか一項に記載の方法。
[項78]
前記方法が、異常なMUC5AC+杯細胞分化又は増殖を阻害又は低減する、上記項77に記載の方法。
[項79]
前記方法が、呼吸器上皮の厚さを低減する、上記項45~78のいずれか一項に記載の方法。
[項80]
前記方法が、前記呼吸器上皮の全組織領域でMUC5AC+杯細胞の量を低減する、上記項79に記載の方法。
[項81]
前記IL-33アンタゴニストが、酸化IL-33の活性を阻害する、上記項45~80のいずれか一項に記載の方法。
[項82]
前記IL-33アンタゴニストが、酸化IL-33のRAGEとの結合を妨げ、それによりRAGE-EGFRシグナル伝達を阻害する、上記項45~81のいずれか一項に記載の方法。
[項83]
前記IL-33アンタゴニストが、RAGE-EGFR依存シグナル伝達及び/又はRAGE-EGFR媒介効果を下方制御又は阻害する、上記項45~82のいずれか一項に記載の方法。
[項84]
前記IL-33アンタゴニストが、IL-33、好ましくは、還元IL-33又は酸化IL-33、好ましくは、還元IL-33に結合する、結合分子又はその断片である、上記項45~83のいずれか一項に記載の方法。
[項85]
前記IL-33アンタゴニストが、抗体又はその抗原結合断片、好ましくは、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片、好ましくは、抗還元IL-33抗体又はその抗原結合断片である、上記項45~84のいずれか一項に記載の方法。
[項86]
前記IL-33アンタゴニストが、表1から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)のペアの相補性決定領域(CDR)を含む、結合分子である、上記項45~85のいずれか一項に記載の方法。
[項87]
前記IL-33アンタゴニストが、表1から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)のペアを含む、結合分子である、上記項45~86のいずれか一項に記載の方法。
[項88]
前記IL-33アンタゴニストが、配列番号37の配列を有するVHCDR1、配列番号38の配列を有するVHCDR2、配列番号39の配列を有するVHCDR3、配列番号40の配列を有するVLCDR1、配列番号41の配列を有するVLCDR2、及び配列番号42の配列を有するVLCDR3を含む結合分子である、上記項45~87のいずれか一項に記載の方法。
[項89]
前記IL-33アンタゴニストが、配列番号1の配列のVHドメインと、配列番号19の配列のVLドメインとを含む、抗IL33抗体又はその抗原結合断片である、上記項45~88のいずれか一項の記載の方法、又は上記項1~44のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
実施形態は、次の図面を参照して、例示として説明する。
Cohen,E.S.et al.Nat.Commun.6:8327(2015)では、出願人は、IL-33の酸化されたジスルフィド結合型(DSB IL-33)の発見について記載しており、この型がST2に結合せず、ST2依存シグナル伝達を活性化できないことを示した。続いて(国際公開第2016156440A1号パンフレットを参照)、出願人は、oxIL-33が終末糖化産物の受容体(RAGE)に結合し、RAGE依存的にシグナル伝達してSTAT5を活性化し、上皮の移動に影響を与えることを示した。
ヒトIL-33(112~270);受託番号(UniProt)095760(IL33-01又はIL-33とも称される)の成熟成分、及び4つのシステイン残基をセリンに突然変異させたバリアント(IL33-16又はIL-33[C->S])をコードするcDNA分子をプライマー伸長PCRによって合成し、pJexpress411(DNA2.0)にクローニングした。野生型(WT)及び突然変異体IL-33コード配列は、タンパク質のN末端に10xHis、Avitag、及び第Xa因子プロテアーゼ切断部位(MHHHHHHHHHHAAGLNDIFEAQKIEWHEAAIEGR 配列番号43)を含有するように修飾した。大腸菌(E.coli)BL21(DE3)細胞を形質転換することにより、N末端タグ付加His10/Avitag IL33-01(WT、配列番号44)、及びN末端タグ付加His10/Avitag IL33-16(WT、配列番号45)を作成した。形質転換細胞を自己誘導培地(Overnight Express(商標)Autoinduction System 1,Merck Millipore,71300-4)中37℃で18時間培養した後、細胞を遠心分離によって回収し、-20℃で保存した。細胞を、cOmplete EDTAフリープロテアーゼ阻害剤カクテル錠(Roche,11697498001)及び50U/mLのベンゾナーゼヌクレアーゼ(Merck Millipore,70746-3)を含有する2×DPBS中に再懸濁させて、音波処理で溶解させた。細胞溶解物は、4℃で30分間、50,000×gで遠心分離することにより清澄化した。IL-33タンパク質は、固定化金属親和性クロマトグラフィーにより上清から精製し、2×DPBS、1mMのDTTで5mL/分で平衡化したHisTrap Excelカラム(GE Healthcare,17371205)にロードした。カラムを、2×DPBS、1mMのDTT、20mMのイミダゾール、pH7.4で洗浄して不純物を除去し、次いで2×DPBS、0.1%のTritonX-114で洗浄してエンドトキシンの固定化タンパク質を除去した。2×DPBS、1mMのDTT、20mMのイミダゾール、pH7.4で更に洗浄した後、サンプルを2×DPBS、1mMのDTT、400mMのイミダゾール、pH7.4で溶出した。IL-33は、2×DPBSで2.5mL/分にてHiLoad Superdex75 26/600 pgカラム(GE Healthcare,28989334)を使用したサイズ排除クロマトグラフィーによって更に精製した。ピーク画分をSDS PAGEによって分析した。純粋IL-33を含有する画分をプールし、280nmの吸光度によって濃度を計測した。最終試料をSDS PAGEによって分析した。
還元IL33-01は、60%IMDM培地(フェノールレッドを含まない)、40%DPBS中で最終濃度0.5mg/mLに希釈し、37℃で18時間インキュベートすることにより酸化した。酸化プロセス中に生じた凝集物は、HiTrap Capto Q ImpResアニオン交換カラム(GE Healthcare,17547055)にロードすることにより、サンプルから除去した。ロードする前に、1MのTris、pH9.0をpHが8.3に達するまで添加し、最終濃度が125mMになるように5MのNaClを添加することにより、サンプルを調整した-これらのロード条件下で、カラムに結合した凝集物とモノマーのoxIL-33が結合せずに流れ、回収された。タグは、22℃で120分間、50μgのoxIL-33当たり1μgの第Xa因子の最終濃度で第Xa因子(NEB,P8010L)とインキュベートすることにより、oxIL-33から切断した。残存する還元IL-33をサンプルから除去するために、ヒトIgG1 Fc-His6に融合した可溶性ヒトST2S細胞外ドメインを、サンプルとともに22℃で30分間インキュベートし、還元IL-33に結合させた。サンプルを3,000Daカットオフの遠心濃縮器で濃縮し、HiLoad Superdex 75 26/600 pgカラム(GE Healthcare,28989334)に2mL/分の流速でロードし、モノマーのoxIL-33を、他のサンプル成分から分離した。純粋なoxIL-33を含有する画分をプールして濃縮し、サンプルの最終濃度を280nmでのUV吸光度分光法によって計測した。最終生成物の品質は、SDS-PAGE、HP-SEC、及びRP-HPLCによって評価した。
内因性シグナルペプチド(アミノ酸残基19-328)を有さないST2(UniProtアクセッションQ01638-2)の天然に存在するST2S可溶性アイソフォームをコードするcDNAを、ギブソンアセンブリと適合する伸長をコードするプライマー及びST2Sコード配列のN末端に融合したCD33シグナルペプチドを用いてPCRで増幅した。C末端にHis6タグを有するヒトIgG1Fcのコード配列も同様に増幅した。ST2S cDNA及びIgG1 Fc-His6 cDNAは、ギブソンアセンブリを使用して、EBVからのOriP複製起点を持つ哺乳類のCMVプロモーター駆動型発現ベクターであるpDEST12.2OriPを使用してアセンブルし、EBNA-1タンパク質を発現する細胞株のエピソーム維持を可能にした。タンパク質発現のために、トランスフェクション試薬としてポリエチレンイミンを使用して、プラスミドを、EBNA-1を過剰発現するCHO細胞の懸濁培養液に一次的に形質転換した。分泌されたST2S-Fc-His6融合タンパク質を含む条件培地をトランスフェクションの7日後に回収し、HiTrap MabSelect SuRe(プロテインA、GE Healthcare、11-0034-95)親和性クロマトグラフィーカラムに2mL/分でロードした。カラムを2×DPBSで洗浄し、タンパク質を25mMの酢酸ナトリウム、pH3.6で溶出した。ST2S-Fc-His6を含有する画分をプールし、2×DPBSで2mL/分にて平衡化したHiLoad Superdex 200 26/600pgカラム(GE Healthcare,28989336)にロードした。純粋なST2S-Fc-His6タンパク質を含有する画分をプールし、280nmの吸光度によって濃度を計測した。最終試料をSDS PAGEによって分析した。
細胞質ドメイン及び膜貫通ドメイン(アミノ酸残基62-291)を有さないアシアロ糖タンパク質受容体(UniProtアクセッションP07306)の細胞外ドメイン(ECD)をコードするcDNAを、GeneartでCD33シグナルペプチドとそれに続くECDドメインのN末端に融合したHis10_Aviタグ配列を用いて化学合成した。コンストラクトを、EBVからのOriP複製起点を持つ哺乳類のCMVプロモーター駆動型発現ベクターであるpDEST12.2OriPに直接クローン化し、EBNA-1タンパク質を発現する細胞株のエピソーム維持を可能にした。タンパク質発現のために、トランスフェクション試薬として293フェクチンを使用して、プラスミドを、HEK Freestyle 293F細胞の懸濁培養液に一次的に形質転換した。分泌されたHisAVi_hASGPR ECD融合タンパク質を含む条件培地を、固定化金属親和性クロマトグラフィーにより、トランスフェクションの7日後に回収し、2×DPBSで4mL/分にて平衡化したHisTrap Excelカラム(GE Healthcare,17371205)にロードした。カラムを2×DPBS、40mMのイミダゾール、pH7.4で洗浄して不純物を除去し、サンプルを2×DPBS、400mMのイミダゾール、pH7.4で溶出した。ヒトASGPR ECDは、2×DPBSで1mL/分にてHiLoad Superdex75 16/600 pgカラム(GE Healthcare,28-9893-33)を使用したサイズ排除クロマトグラフィーによって更に精製した。ピーク画分をSDS-PAGEによって分析した。純粋なモノマーASGPRを含有する画分をプールし、280nmの吸光度によって濃度を計測した。最終試料をSDS PAGEによって分析した。
正常なヒト気管支上皮(NHBE)細胞(CC-2540)をLonzaから入手し、製造元のプロトコルに従い完全BEGM培地(Lonza)に維持した。NHBEをアキュターゼ(PAA,#L1 1-007)で回収し、培養培地[BEGM(Lonza CC-3171)及び補充キット(Lonza CC-4175)]の6ウェルディッシュ(Corning Costar,3516)に1×106/2mLで播種した。細胞を37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。この時間経過後、培地をアスピレーションし、細胞を1mL PBSで2回洗浄した後、飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したBEGM(Lonza CC-3171)を添加した。次いで、刺激の前に、プレートを37℃、5%CO2で更に18~24時間インキュベートした。
oxIL-33によって活性化された受容体チロシンキナーゼ(RTK)を同定するために、71RTKアレイを使用してスクリーニングを実施した。RTKリン酸化抗体アレイキット(ab193662)はAbcamから購入し、製造元の指示に従って実験を実施した。NHBEを培養し、培養培地[BEGM(Lonza CC-3171)及び補充キット(Lonza CC-4175)]の6ウェルプレート(Corning Costar,3516)に1×106/2mLで播種した。細胞を37℃で、5%CO2で18~24時間インキュベートした。この時間経過後、培地をアスピレーションし、細胞を1mL PBSで2回洗浄した後、飢餓培地(補充キットなしのBEGM(Lonza CC-3171)を添加した。次いで、刺激の前に、プレートを37℃、5%CO2で更に18~24時間インキュベートした。MAPキナーゼアレイについて前述したのと同じ手順に従って、細胞を活性化し(表2の活性化因子)、溶解し、アレイメンブレン当たり250μgの総タンパク質を使用した。その後の全ての工程は製造業者の指示に従って実施した。メンブレンをLiCor C-digitで視覚化し、Image Liteスタジオを使用して定量化した。還元野生型(IL-33)又はC->S(IL-33[C->S])IL-33(それぞれ、IL33-01及びIL33-16)のいずれに対しても応答は検出されなかった。しかしながら、oxIL-33(酸化IL-33-01)は、上皮成長因子受容体(EGFR)に対応するRTKアレイで正のシグナルを惹起した(図2)。
ウェスタンブロット実験を実施して、EGFRシグナル伝達複合体のどの要素がoxIL-33(酸化IL33-01)に応答して活性化されるかを更に調査した。NHBEを培養し、上記のセクション5で説明したように6ウェルディッシュにプレーティングした。血清飢餓の後、細胞をoxIL-33(30ng/mL)で5~240分間刺激した。次いで培地をアスピレーションし、細胞を氷冷PBSで洗浄した後、150μLの溶解バッファー[1×LDSサンプルバッファー(Thermo,NP0008)、10mMのMgCl2(VWR,7786-30-3)、2.5%のβ-メルカプトエタノール(Sigma,M6250)、及び0.4μg/mLのベンゾナーゼ(Millipore,70746)]を添加した。細胞を氷上に10分間置いた後、溶解物を1.5mLチューブに移し、90℃に5分間加熱した。溶液を新しい1.5mLチューブに移し、10μLのサンプルと5μLのタンパク質ラダー(BioRad,1610374)を、MESランニングバッファー(B0002)中の4~12%SDS-PAGEゲル(Thermo,NW04127BOX)で泳動した。Transblot Turbo(BioRad)を使用して、ゲルをPVDFメンブレン(BioRad,1704156)に転写した。PVDFメンブレンを5%スキムミルクパウダー(Marvel)を含むPBS-tween溶液で10分間ブロックした。次いで、メンブレンを、5%BSAを含むPBS-tween中の一次抗体とともに4℃で一晩インキュベートした。次いで、メンブレンを、PBS-tweenで5回洗浄し、5%スキムミルクパウダーを含むPBS-tween中の二次HRPタグ付き抗体とともに室温で1時間インキュベートした。次いで、メンブレンをPBS-tweenで5回洗浄した後、ECL(BioRad,1705062)を添加し、Licor C-digitを可視化した。
次に、EGFRへの結合を妨げることによってoxIL33媒介STAT5活性化を阻害できるかどうかを確認することが求められた。要約すると、A549細胞を、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%FBSを補充したRPMI GlutaMax培地で培養した。細胞をアキュターゼで回収し、5×105/100μLで96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。次いで、ウェルを100μLのPBSで2回洗浄した後、100μLの飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI GlutaMax培地)を添加し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。抗EGFR抗体(クローンLA1(05-101,Millipore)又はアイソタイプコントロール(MAB002,R&D Systems)を用量依存的にウェルに添加し、プレートを30分間インキュベータに戻した。次いで、プレートを酸化IL-33(30ng/mL)で30分間刺激した後、phosho-STAT5 ELISAキット溶解バッファー(85-86112-11,ThermoFischer Scientific)を使用して溶解し、製造元の指示に従って展開して、450nMでの吸光度を読み取った。図5で示すように、oxIL-33-01で活性化された細胞は、STAT5のリン酸化を示し、これは、抗EGFR抗体の存在下で減少する(図5)。
9.oxIL-33は、EGFRとRAGEの間の複合体形成を誘導する
RAGE及びEGFRがoxIL-33のシグナル伝達の促進にどのように関与しているかを理解するために、免疫沈降実験を行ってシグナル伝達複合体を調べた。まず、抗EGFR抗体は、Dynabeadsに共有結合した。抗EGFR抗体(R&D systems,AF231)の2つの100μgバイアルを、40mgのDynabeads(Thermo,14311D)とインキュベートし、製造元の指示に従って共有結合させた。カップリングが成功した後、ビーズを30mg/mLのPBSに再懸濁させ、4℃に維持した。
上記の実験は、oxIL-33がEGF受容体(EGFR)の複合体のリガンドであり、下流のシグナル伝達をもたらすことを示している。このセクションの実験は、oxIL-33がRAGE又はEGFRのいずれかの直接結合リガンドであるかどうかを判断するために設計されている。シグナル伝達複合体の形成について更に理解し、oxIL-33がEGFRと直接相互作用するかどうかを評価するために、ELISA形式を使用してoxIL-33のRAGE、ST2-Fc、及びEGFRへの結合を調べた。
oxIL-33シグナル伝達においてST2よりもRAGEの重要性を確認するために、ブロッキング抗体を試験した。要約すると、A549を、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%FBSを補充したRPMI GlutaMax培地で培養した。細胞をアキュターゼで回収し、5×105/100μLで96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。次いで、ウェルを100μLのPBSで2回洗浄した後、100μLの飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI GlutaMax培地)を添加し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。抗RAGE(M4F4;国際公開第2008137552号パンフレット);抗ST2(AF532;RnD Systems)、又は アイソタイプコントロール(MAB002,R&D Systems)を用量依存的にウェルに添加し、プレートを30分間インキュベータに戻した。次いで、プレートを酸化IL-33(30ng/mL)で30分間刺激した後、phosho-STAT5 ELISAキット溶解バッファー(85-86112-11,ThermoFischer Scientific)を使用して溶解し、メーカーの指示に従って展開し、450nMでの吸光度を読み取った。図9で示すように、oxIL-33-01で活性化された細胞は、STAT5のリン酸化を示し、これは、抗RAGE抗体の存在下では減少したが、抗ST2抗体の存在下では減少しなかった(図9)。
次に、oxIL-33がEGFと比較してEGFRの動態の変化を誘発するかどうかを調べた。
この実験は、共焦点イメージングを利用して、EGF、還元型又は酸化型のIL-33で刺激した後の上皮細胞におけるEGFRの動態を調査することを目的としている。EGFR-GFP A549上皮細胞株(Sigma,CLL1141-1VL)を、20000細胞/mL(RPMI培地+10%FCS+ペニシリン/ストレプトマイシン)の濃度で、24ウェルガラス底プレート(Greiner,662892)当たり1mLプレーティングした。緑色蛍光タンパク質(GFP)に連結したEGF受容体により、EGFR膜の動態及びインターナリゼーションを追跡することができる。細胞をPBSで1回洗浄し、RPMI培地(FCS無し)でインキュベートした。飢餓状態の24時間後、細胞をRPMIで洗浄し、1:5000希釈で、CellMask(Invitrogen C10046)ディープレッドを含む0.5mLのRPMI培地とインキュベートした。細胞は、膜マーキングの処理前にCellMaskで簡単に染色し、共焦点での処理の直後に1フレーム/分でライブ画像化し、EGFR-GFPの動態を記録した。細胞を37℃で5分間染色し、PBSで1回洗浄し、0.5mLの無血清RPMI/ウェル中の200ng/mLの濃度でoxIL-33(酸化IL-33-01)又はIL-33-16により刺激した。共焦点画像をすぐに撮影した。40倍のオイル対物レンズ、1分/フレーム、5スタック間隔2μmで25分間(タンパク質を添加してから約30分後)。GFPシグナルの乱れた(点線の)パターンは、膜上の受容体のクラスター化及びインターナリゼーションを示している。膜領域(CellMaskでマスク)及び細胞内領域(逆CellMaskでマスク、図示せず)のピクセル強度ヒストグラムは、ライブ画像化とは異なる時点で作成され、非クラスター領域でのEGFRの枯渇を示しており(ヒストグラムのベル形状ピークの左シフト)、クラスター化によって引き起こされる飽和ピクセルの数は増加した(強度255)。oxIL-33は、EGF受容体のクラスター化及びインターナリゼーションを誘導したが、EGF刺激は最も明白なEGFRクラスター化をもたらした。対照的に、還元型のIL-33(IL-33-16)は、EGFR細胞分布に大きな変化を示さなかった(図10)。
13.oxIL-33によるIL-8の選択的分泌
健康な対象からのヒト気管支上皮細胞(NHBE;Lonza CC-2540)及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)からのヒト気管支上皮細胞(DHBE;Lonza 00195275)は、製造元のプロトコルに従って完全BEGM培地(Lonza)で1か月間維持され、細胞がコンフルエントに達するまで3日ごとに培地を交換した。細胞をアキュターゼで回収し、培養培地中の96ウェルプレート(Corning 3596)に5×105/100μLで播種した。プレートを37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。この時間経過後、培地をアスピレーションし、細胞を100μLのPBSで2回洗浄した後、飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充した補充キットなしのBEGM(Lonza CC-3171)を添加した。次いで、プレートを37℃、5%CO2で更に18~24時間インキュベートした後、培地のみ(非刺激対照)、30ng/mLの還元IL-33-01、30ng/mLのIL-33-16、30ng/mLの酸化IL-33-01、又は30ng/mLのEGFで刺激し、37℃、5%CO2に戻した。刺激の24時間後、上清を回収し、多重アッセイ(Mesoscale Discovery K15047D-2)を使用してケモカイン産生を評価した。図11にて示すように、NHBE及びDHBEは、非刺激細胞(培地のみ)と比較して、oxIL-33で活性化するとIL-8の分泌が4倍増加を示す。他のケモカイン(TARC、MIP-1a、MIP1b、MCP4、MCP1、IP10、エオタキシン、エオタキシン-3、MDC-データは示さず)では大きな違いは観察されなかった。
14.oxIL-33は、EGFとは対照的に、A549及びNHBE細胞のスクラッチ創傷の閉鎖を損なう
A549をATCCから入手し、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%FBSを補充したRPMI GlutaMax培地で培養した。細胞をアキュターゼ(PAA,#L1 1-007)で回収し、5×105/100μLで96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。次いで、ウェルを100μLのPBSで2回洗浄した後、100μLの飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI GlutaMax培地)を添加し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。WoundMaker(商標)(Essen Bioscience)を使用して、細胞をスクラッチし、次いでウェルを200μLのPBSで2回洗浄した後、示された刺激;培地のみ(非刺激対照)、30ng/mLの還元IL-33-01、30ng/mLの酸化IL-33-01、又は30ng/mL EGFを含有する、0.1%FBS(v/v)及び1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI GlutaMax培地を添加し、37℃、5%CO2に戻した。プレートを創傷治癒のイメージング及び分析のためのIncucyteZoomに48時間入れた。相対的な創傷密度は、IncucyteZoomソフトウェア内の創傷治癒アルゴリズムを介して計算した。
oxIL-33のこれらの機能的効果がRAGE/EGFRを介して媒介されるかどうかを理解するために、セクション14で説明したように、ただし異なる受容体成分を中和する抗体の存在下で、NHBE細胞でスクラッチアッセイを実施した。NHBE細胞は、10μg/mLの抗ST2(AF532,R&D Systems)、抗RAGE(M4F4、国際公開第2008137552号パンフレット)又は抗EGFR(クローンLA1、05-101 Millipore)の存在下で、培地のみ(非刺激対照)、還元IL-33、又は酸化型IL-33で処理した。oxIL-33はスクラッチ閉鎖を阻害するが、還元IL-33は阻害しなかった。oxIL-33のこの効果は、抗RAGE及び抗EGFRによって逆転するが、抗ST2によっては逆転せず、これも、RAGE及びEGFRが酸化IL-33シグナル伝達経路に関与する必須受容体であることを示している(図13)。
16.oxIL-33は、スクラッチ創傷閉鎖アッセイにおいて、健康なNHBEでCOPDのような反応を引き起こし得る
次に、健康な人、喫煙者、及びCOPD気管支上皮細胞における酸化IL-33の影響を調べた。NHBE(CC-2540)、喫煙者からのNHBE(CC-2540)、及びDHBE(COPD、00195275)をLonzaから入手し、製造元のプロトコルに従い完全BEGM培地(Lonza)に維持した。スクラッチアッセイは、セクション14に記載したように実施した。細胞を、培地のみ(非刺激対照)、又は30ng/mLの酸化IL-33で処理した。喫煙者又はCOPD由来の気管支上皮細胞は、健康な対象由来の細胞と比較して、oxIL-33で健康な細胞を処理した後に観察された障害と同様のスクラッチ閉鎖能力の障害を示した(図14)。健康な細胞とは対照的に、喫煙者及びCOPD HBE細胞では、oxIL-33によってスクラッチ創傷の閉鎖反応が更に損なわれることはなかった(図14)。
上皮細胞はIL-33を産生することが知られているため、オートクリンIL-33分泌が、COPD細胞で観察されるスクラッチ創傷修復表現型の障害の原因となる可能性がある。調査するために、IL-33中和の存在下でCOPD由来の気管支上皮細胞でスクラッチ閉鎖アッセイを実施した。NHBE(Lonza CC-2540)及びDHBE(Lonza,COPD 00195275)は、製造元のプロトコルに従って完全BEGM培地(Lonza)に維持した。細胞をアキュターゼで回収し、培養培地中の96ウェルImageLockプレート(Sartorius,4379)に5×105/100μLで播種した。プレートを37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。この時間経過後、培地をアスピレーションし、細胞を100μLのPBSで2回洗浄した後、飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシン(Steptomycin)を補充した補充キットなしのBEGM(Lonza CC-3171)を添加した。次いで、スクラッチ創傷の前に、プレートを37℃、5%CO2で更に18~24時間インキュベートした。WoundMaker(商標)(Essen Bioscience)を使用して、細胞をスクラッチし、次いでウェルを200μLのPBSで2回洗浄した後、10μg/mLの抗IL-33(33_640087-7B、国際公開第2016/156440号パンフレットに記載されている)、抗ST2(AF532,R&D Systems)、抗RAGE(M4F4、国際公開第2008137552号パンフレット)、又はNIP228(IgG1アイソタイプコントロール)を含有する、0.1%FBS(v/v)及び1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したBEBM培地(Lonza)を添加し、37℃、5%CO2に戻した。プレートを創傷治癒のイメージング及び分析のためのIncucyteZoomに48時間入れた。相対的な創傷密度は、IncucyteZoomソフトウェア内の創傷治癒アルゴリズムを介して計算した。以前に観察されたように、COPD細胞は、健康な対象に由来する細胞と比較して、スクラッチ閉鎖反応が損なわれていた。抗IL-33及び抗RAGEは、COPD細胞のスクラッチ閉鎖反応を健康な細胞と同様のレベルに改善することができ(図15)、上皮細胞がRAGE/EGFR経路を介してシグナル伝達するオートクリンIL-33を産生することを示している(図15)が、抗ST2は、そうではなかった。
18.気道基底細胞の気液界面(ALI)培養
次に、本発明者らは、気液界面細胞培養(「ALI培養」)におけるIL-33シグナル伝達の関連性を判断しようとした。ALI培養は、基底細胞を、培地と接触させた基底表面と空気にさらされた上部(頂端)細胞層で成長させる方法である。ALI培養により、気管上皮と同様に、偽重層上皮の粘膜毛様体表現型を用いたin vitroでの3次元細胞構造の発達が可能になる。したがって、ALI培養は、細胞間シグナル伝達、疾患モデリング、及び呼吸再生など、呼吸上皮の基本的な側面を研究するために使用することができる。
COPDドナーからのALI培養物は、セクション18で説明されているように作成及び処理した。ALI上皮培養物を10%中性緩衝ホルマリンで24時間固定し、パラフィン包埋した。パラフィン切片(4um)を正に帯電したスライド上にマウントし、Ventana Discovery Ultraで連続3プレックス発色アッセイで染色した。抗原の回収はセルコンディショナー1(CC1)(カタログ番号5424569001,Roche)で行い、内因性ペルオキシダーゼはDiscovery Inhibitor(カタログ番号7017944001,Roche)で12分間ブロックした。抗p63(クローン4A4)(カタログ番号790-4509,Roche,Basel,Switzerland)を36℃で24分間適用し、マウス抗HQ(12分)(カタログ番号7017782001,Roche)及び抗HQ HRP(12分)(カタログ番号7017936001,Roche)で可視化し、Teal substrate(カタログ番号8254338001,Roche)で12分間インキュベートした。スライドを、セルコンディショナー2(CC2)(カタログ番号5424542001,Roche)を用いた抗体変性ステップ(100℃で24分間)で処理し、次いで抗チューブリン(カタログ番号ab24610,Abcam,Cambridge,UK)を、Dako抗体希釈液(カタログ番号S3022)で16分間0.01μg/mLに希釈し、マウスOmniMap-HRP(8分)(カタログ番号5269652001,Roche)で検出し、Discovery Purple基質(カタログ番号7053983001,Roche)で16分間可視化した。スライドをCC2で追加の抗体変性にかけ、次いでウサギ抗ムチン5AC1.1μg/mLとウサギ抗ムチン5B7μg/mL(それぞれカタログ番号ab198294とカタログ番号ab87376,Abcam)のカクテルを、20分間適用し、抗ウサギNP(4分)(カタログ番号7425317001,Roche)、抗NP-AP(8分)(カタログ番号7425325001,Roche)で、次いでDiscovery Yellow(カタログ番号7698445001,Roche)で20分間可視化した。染色されたスライドをDawn洗剤ですすぎ、ヘマトキシリン(カタログ番号5277965001,Roche)で対比染色し、すすぎ、段階的な一連のエタノールとキシレンで脱水し、永久マウント培地でマウントした。HALOソフトウェアを使用した定量化では、抗IL-33で処理された健康なドナーに由来するALI培養物の杯細胞の減少が示された(図16)。
20.IHC二重IF染色(ムチン5B+ムチン5AC)
COPDドナーからのALI培養物は、セクション18で説明されているように作成及び処理した。ALI上皮培養物を10%中性緩衝ホルマリンで24時間固定し、パラフィン包埋した。パラフィン切片(4um)を正に帯電したスライド上にマウントし、Ventana Discovery Ultraで連続二重免疫蛍光アッセイで染色した。抗原の回収はセルコンディショナー1(Ultra CC1)で行い、内因性ペルオキシダーゼはDiscovery Inhibitorで12分間ブロックし、そのブロックの8分間は、S Block(RUO)Roche Diagnostics(カタログ番号760-4212)でブロックし、Dako Ab Diluent,S3022で希釈した7μg/mLで使用した抗ムチン5Bで、36Cで24分間インキュベートし、抗ウサギHQ(Roche Diagnosticsカタログ番号760-4815)で4分間、及び抗HQ-HRP(Roche Diagnosticsカタログ番号760-4820)で8分間検出した。次いで、サンプルをチラミドコンジュゲートであるDiscovery FITC(Roche Diagnostics カタログ番号760-232)と8分間インキュベートした。Discovery Ultraプログラムでデュアルシーケンスが選択され、サンプルをセルコンディショナー2(CC2)を使用して抗体変性ステップ(100℃で24分間)で処理し、次いでDiscovery Inhibitor(40C、24分)で中和した後、抗ムチン5AC、1.1μg/mLを20分間36℃で添加した。ムチン5ACは、抗ウサギHQ(Roche Diagnosticsカタログ番号760-4815)で4分間、抗HQ-HRP(Roche Diagnosticsカタログ番号760-4820)で8分間検出し、チラミドコンジュゲートであるDiscovery Red610で8分間可視化した。このステップの完了後、染色したスライドをDiscovery Ultra Autostainerから取り出し、Dawn洗剤、次いで脱イオン水ですすいだ。サンプルを、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール、ジヒドロクロリド(DAPI核酸染色)、Thermo Fisherカタログ番号D1306でインキュベートし、脱イオン水で1μg/mLに2分間希釈した。サンプルを脱イオン水ですすぎ、ProLong Gold Antifadeマウント培地(Thermo Fisher,カタログ番号P36930)でカバースリップをのせ、遮光スライドボックスに保存した。染色したスライドは、Zeiss LSM 880共焦点顕微鏡(Carl Zeiss Microscopy,LLC,White Plains,NY)で画像化された。図17は、ALI培養物の抗IL-33処理が、COPD培養物中の様々なムチンの下方制御につながる可能性があることを示している。
COPDドナーからのALI培養物は、セクション18で説明されているように作成及び処理した。次いで、PBSで1:33に希釈した0.2μM FluoSpheres(ThermoFisher,F8811)30μLを頂端表面に添加し、Zeiss LSM800顕微鏡を使用して、FluoSphereの動きの短いビデオがキャプチャされ、抗IL-33(33_640087-7B)での処理後に粘液毛様体運動が増加するが、対照抗体では増加しないことが示された。
COPDドナーからのALI培養物は、セクション18で説明されているように作成及び処理した。単一細胞懸濁液を得るために、フィルタインサートを0.25%トリプシンと37℃で5分間インキュベートした。上皮細胞を、PBSピペッティングで上下に洗浄することによりフィルターから穏やかに剥離し、次いで15mLのファルコンチューブに移した。細胞を1000RPMで5分間4℃で遠心分離にかけた。上清を除去した後、細胞をPBS中の0.4%BSAに再懸濁し、細胞濃度をシーケンス用に1000細胞/μLに調整した。Chromiumシングルセル3’キットの標準プロトコルに従って細胞懸濁液をロードし、5000~10.000細胞/チャネルを捕捉した。バージョン2の化学的性質を使用した。Illuminaシーケンス用のシングルセル3’ライブラリは、製造元のプロトコル(Chromium(商標)シングルセル3’試薬キット、v2 Chemistry)に従って取得した。ライブラリの品質を評価し(TapeStation 4200,Agilent)、次いでNextSeq500又はNovaSeq6000機器(Illumina)で配列決定した。最初のデータ処理は、Cell Rangerバージョン2.0パイプライン(10x Genomics)を使用して実行した。後処理は、低セル品質の排除及び正規化するためにSeuratパッケージを使用して実行した。各サンプルは、サンプル内の不均一性(セルのサブタイピング)を捕捉するために独立したデータとして分析された。クラスター化及び可視化は、t分布型確率的近傍埋め込み法(tSNE)で実現された。COPDの細胞クラスターの同定は、マーカー遺伝子によって導いた。他のサンプルでは、最初のクラスターを手動で検査してから、サブタイプの同定にSeuratのラベル転送アルゴリズムを適用した。MUC5AC及びMUC5B遺伝子発現分析は、セクション18で述べたように、抗IL-33処理の有無にかかわらずCOPD ALI培養からの細胞間の各クラスターに対して実施した。ヒートマップ及びtSNEプロットは、Seuratを使用して作成した。図18は、非処理と比較した抗IL-33(33_640087-7B)で処理されたALI培養物で見られる細胞サブタイプの異なる比率を示すtSNEプロットを示している。図18にて示すように、抗IL-33処理後、MUC5B高細胞の減少が認められた。
22.気道基底細胞の気液界面(ALI)培養
生理学的に関連する気液界面(ALI)培養システムにおけるoxIL-33の効果を定量化及び調査するために、杯細胞型(MUC5ac対MUC5b)と残りの上皮個体数(ムチン陰性)とを区別することを目的としたフローサイトメトリーアッセイを展開した。
7日間の処理(表6)に続いて、6.5mmインサートでの4週齢の正常対照又はCOPD ALI培養物をフローサイトメトリーで分析した。200μLの37℃PBSを各トランスウェルの頂端表面(トランスウェル表面)に添加し、30分間インキュベータ内に置いた。ムチン分析のために、頂端洗浄液を-80℃で保存した。150μLのトリプシン(Lonza トリプシン継代培養パック-#CC-5034)を、頂端と基底外側(トランスウェルの下)の両方の区画に添加した。トランスウェルを30分間インキュベータに戻した。トリプシンを上下に静かにピペッティングすることにより、ALIを分離させた。150μLのトリプシン中和溶液(Lonzaトリプシン継代培養パック-#CC-5034)を、各頂端チャンバに添加し、混合した。細胞懸濁液をU字型の90ウェルプレートに移し、細胞をカウントし、1200RPM、4℃で5分間遠心分離した。トリプシン/TNSを除去し、200μLの生死(live dead)染料(eBioscience(商標)Fixable Viability Dye eFluor(商標)780 Thermo 65-0865-14、PBS中で1:2000の希釈)を各ウェルに添加した。細胞を再懸濁させ、暗所の氷上にて10分間インキュベートした。プレートを1200RPM、4℃で5分間遠心分離し、生死染料を除去し、200μLのPBSを各ウェルに添加した。プレートを1200RPM、4℃で5分間遠心分離し、PBSを除去し、200μLの固定/透過処理溶液(Thermo 00-5123及び00-5223)に置き換えた。プレートを暗所の氷上にて40分間インキュベートした。プレートを1200RPM、4℃で5分間遠心分離し、溶液を除去した。細胞を、300μLの1×透過処理溶液(Thermo 00-8333)中に再懸濁させた。各ウェルの5e4細胞を新しい96ウェルU底プレートに添加し、1200RPM、4℃で5分間遠心分離し、細胞を50μLの1×透過処理溶液に再懸濁させた。50μLの抗体染色カクテル(1:400の抗Muc5AC及び1:800の抗Muc5B)又は同じ希釈のアイソタイプ染色カクテル。プレートを暗所の氷上にて30分間インキュベートした。プレートを1200RPM、4℃で5分間遠心分離し、溶液を除去した。細胞をPBSで洗浄し、遠心分離して、次いで150μLのPBSに再懸濁させた。次いでBD FACSymphony(商標)でデータを取得し、FlowJoソフトウェアを使用して分析した。
7日間の処理(表6)に続いて、6.5mmインサートでの4週齢の正常対照又はCOPD ALI培養物をRNA分析用に溶解させた。最初に200μLの37℃PBSを各ALIの頂端表面に添加し、プレートを30分間インキュベータ内に戻した。ムチン分析のために、頂端洗浄液を-80℃で保存した。MagMAX(商標)-96全RNA単離キット(Thermo,AM1830)を使用して、ALI培養物を溶解し、RNAを抽出した。次いで、RNAを使用して、High-Capacity RNA-to-cDNA(商標)キット(Thermo,4388950)を使用してcDNAを合成した。これにより、9μLの各RNAサンプルを10μLの2XRTバッファーミックス及び1μLの20XRT酵素ミックスとPCRチューブ(Thermo,AM12230)でインキュベートし、サーモサイクラーに置き、37℃で60分間インキュベートした。95℃に5分間加熱し、4℃に保持することにより反応を停止させた。60μLのヌクレアーゼフリーの水(Thermo,750024)を、20μLのcDNAが入った各チューブに添加した。RT-qPCRの場合、4μLのcDNAを、バーコードがついたMicroAmp(商標)EnduraPlate(商標)オプティカル384ウェルクリアリアクションプレート(Thermo.4483273)に、5μLのTaqMan Fast Advanced Master Mix(Thermo,4444557)、並びに0.5μLのMuc5AC FAMプローブ(Thermo,Hs01365616_m1)、及び0.5μLのGAPDH VICプローブ(Thermo,Hs02786624_g1)とともに添加した。プレートを密封し、簡単に遠心分離した後、QuantStudio(商標)7FlexリアルタイムPCRシステム(Thermo)を使用して分析した。次いで、データを非処理の正常な対照に正規化することにより、デルタ-デルタ-ctを計算した。
次に、ALI免疫組織化学からの定量的画像分析を評価した。COPDドナーからのALI培養物は、セクション22;気道基底細胞の気液界面(ALI)培養で説明されているように作成及び処理した:ALI上皮培養物を10%中性緩衝ホルマリンで24時間固定し、パラフィン包埋した。パラフィン切片(4um)を正に帯電したスライド上にマウントし、Ventana Discovery Ultraで連続三重発色アッセイで染色した。抗原の回収はセルコンディショナー1(Ultra CC1)(カタログ番号5424569001,Roche)で行い、内因性ペルオキシダーゼはDiscovery Inhibitor(カタログ番号7017944001,Roche)で12分間ブロックした。抗p63(クローン4A4)(カタログ番号790-4509,Roche,Basel,Switzerland)を24分間適用し、抗マウスHQ(12分)(カタログ番号7017782001,Roche)及び抗HQ HRP(12分)(カタログ番号7017936001,Roche)で可視化し、Discovery Purple kit(カタログ番号07053983001,Roche)で12分間インキュベートした。スライドを、セルコンディショナー2(Ultra CC2)(カタログ番号5424542001,Roche)を用いた抗体変性ステップ(92℃で24分間)で処理し、次いで抗チューブリン(カタログ番号ab24610,Abcam,Cambridge,UK)を、Dako抗体希釈液(カタログ番号S3022)で16分間希釈し(スライド上の濃度0.003μg/mL)、マウスOmniMap-HRP(8分)(カタログ番号5269652001,Roche)で検出し、Discovery Teal HRP kit(カタログ番号82544338001,Roche)で可視化した。スライドをCC2で追加の抗体変性にかけ、次いでウサギ抗ムチン5AC1.1μg/mL(ディスペンサ濃度)とウサギ抗ムチン5B7μg/mL(ディスペンサ濃度)(それぞれカタログ番号ab198294とカタログ番号ab87376,Abcam)のカクテルを、20分間適用し、抗ウサギNP(4分)(カタログ番号7425317001,Roche)、抗NP-AP(8分)(カタログ番号7425325001,Roche)で、次いでDiscovery Yellow(カタログ番号7698445001,Roche)で20分間可視化した。染色されたスライドを、ヘマトキシリンII(8分)(カタログ番号5277965001,Roche)及びBluing試薬(4分)(カタログ番号5266769001,Roche)で対比染色し、食器洗剤ですすぎ、段階的な一連のエタノールとキシレンで脱水し、永久マウント培地でマウントした。
COPDの重要な特徴は、杯細胞及び粘液分泌の増加による過剰な粘液である(Gohy et al 2019 Sci Rep 9:17963)。酸化IL-33が杯細胞COPD表現型に直接的な役割を果たすことができるかどうかを調査するために、セクション22~25で説明されているように、COPDドナーからのALI培養物を読み取った情報で確立した。
表1にリストされている配列に加えて、次の追加のCDR配列を提供する:
配列番号37:SYAMS
配列番号38:GISAIDQSTYYADSVKG
配列番号39:QKFMQLWGGGLRYPFGY
配列番号40:SGEGMGDKYAA
配列番号41:RDTKRPS
配列番号42:GVIQDNTGV
N末端His10/Avitag/第Xa因子プロテアーゼ切断部位
配列番号43:MHHHHHHHHHHAAGLNDIFEAQKIEWHEAAIEGR
IL-33-01
配列番号44:
配列番号45:
配列番号46:GLNDIFEAQKIEWHE
RAGEエクソン3を標的とするgRNAベクター
配列番号47:TGAGGGGATTTTCCGGTGC
RAGEフォワードプライマー
配列番号48:gttgcagcctcccaacttc
RAGEリバースプライマー
配列番号49:aatgaggccagtggaagtca
ヒトST2S(シグナルペプチドは下線が引かれている)
配列番号50:
配列番号51:
His10/AvitagヒトASGPR ECD(シグナルペプチドは下線が引かれており、タグは二重下線が引かれている)
Claims (21)
- RAGE-EGFR媒介シグナル伝達を阻害することによる呼吸器疾患の予防又は治療用の医薬組成物であって、前記医薬組成物が抗IL-33抗体又はその抗原結合断片を含み、前記呼吸器疾患が、COPD、気管支炎、肺気腫、CF-気管支拡張症及び非-CF-気管支拡張症を含む気管支拡張症、喘息、又は喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)から選択され、かつ、異常EGFR活性を特徴とする、医薬組成物。
- 前記呼吸器疾患が、下呼吸器疾患である、請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記下呼吸器疾患が、気管支の呼吸器疾患である、請求項2に記載の医薬組成物。
- 前記呼吸器疾患が、COPD又は喘息である、請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記COPDが気管支炎性COPDである、又は前記喘息が気管支喘息である、請求項4に記載の医薬組成物。
- 前記予防又は治療が、
a.粘液クリアランスを改善する、及び/又は異常な粘液産生を阻害又は低減する;
b.MUC5AC産生を阻害又は低減する;
c.異常な粘液組成を阻害する、及び/又は異常な上皮リモデリングを阻害する;
d.異常な杯細胞分化又は増殖を阻害する;及び/又は
e.呼吸器上皮の厚さを低減する、及び/又は前記上皮の全組織領域でMUC5AC+杯細胞の量を低減する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。 - 前記異常な粘液組成の阻害が、MUC5AC:MUC5Bの比率の低減、粘液中のMUC5ACの阻害又は低減、及び/又は粘液の濃さの低減を含む;及び/又は
前記異常な杯細胞分化又は増殖の阻害が、異常なMUC5AC+杯細胞分化又は増殖の阻害を含む、
請求項6に記載の医薬組成物。 - RAGE-EGFR媒介効果を調節又は阻害することによる、異常EGFR活性および異常な上皮生理機能を特徴とする疾患の予防又は治療用の医薬組成物であって、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片を含み、前記異常な上皮生理機能が、粘液産生の増加、杯細胞分化の増加、杯細胞増殖の増加、上皮の厚さの増加、粘液クリアランスの減少、及び/又は異常な粘液組成から選択される異常な粘膜毛様体生理機能である、医薬組成物。
- 前記異常な粘膜毛様体生理機能が、呼吸上皮の異常な粘膜毛様体生理機能である、請求項8に記載の医薬組成物。
- 粘液産生の増加が、MUC5AC産生の増加を含み;及び/又は杯細胞分化の増加が、MUC5AC+杯細胞分化の増加を含み;及び/又は杯細胞増殖の増加が、MUC5AC+杯細胞増殖の増加を含み;及び/又は上皮の厚さの増加が、上皮の全組織領域で増加した量のMUC5AC+杯細胞を含む、請求項8に記載の医薬組成物。
- 異常な粘液組成が、粘液に含有される様々な粘液化合物の比率の増加若しくは減少;1つ以上の粘液化合物の増加若しくは減少;及び/又は粘液の濃度若しくは濃さの増加若しくは減少を含む、請求項8に記載の医薬組成物。
- 異常な粘液組成が、MUC5AC:MUC5Bの比率の増加を含み;及び/又は異常な粘液組成が、粘液に含有されるMUC5ACの増加を含み;及び/又は異常な粘液組成が、粘液の濃さの増加を含む、請求項11に記載の医薬組成物。
- 前記異常な上皮生理機能が、異常な上皮リモデリングである、請求項8に記載の医薬組成物。
- 前記異常な上皮生理機能が、気道の異常な上皮生理機能である、請求項8に記載の医薬組成物。
- 前記気道が下気道である、請求項14に記載の医薬組成物。
- 前記下気道が気管支である、請求項15に記載の医薬組成物。
- 前記抗IL-33抗体又はその抗原結合断片が、酸化IL-33の活性を阻害する、請求項1~16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記抗IL-33抗体又はその抗原結合断片が、酸化IL-33のRAGEとの結合を妨げ、それによりRAGE-EGFRシグナル伝達を阻害する、請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記抗IL-33抗体又はその抗原結合断片が、抗還元IL-33抗体又はその抗原結合断片である、請求項1~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記抗体又はその抗原結合断片が、配列番号37の配列を有するVHCDR1、配列番号38の配列を有するVHCDR2、配列番号39の配列を有するVHCDR3、配列番号40の配列を有するVLCDR1、配列番号41の配列を有するVLCDR2、及び配列番号42の配列を有するVLCDR3を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記抗体又はその抗原結合断片が、VH及びVLを含み、前記VHが配列番号1からなるアミノ酸配列を有し、前記VLが配列番号19からなるアミノ酸配列を有する、請求項20に記載の医薬組成物。
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