JP2023500492A - Il-33アンタゴニストの使用方法 - Google Patents
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Abstract
本開示は、異常な上皮生理機能又はEGFR媒介疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニスト、及びIL-33アンタゴニストをそれを必要とする患者に投与することを含む、対応する予防又は治療方法に関する。
Description
本出願は、2019年11月4日に提出された欧州特許出願第19206984.7号に対する優先権を主張する。この出願の内容は、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。
本開示は、異常な上皮生理機能又はEGFR媒介疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニスト、及びIL-33アンタゴニストを、それを必要とする患者に投与することを含む、対応する予防又は治療方法に関する。
IL-1F11としても知られるインターロイキン-33(IL-33)は、サイトカインのIL-1ファミリーのメンバーである。IL-33は、2つのドメイン:ホメオドメインとサイトカイン(IL-1様)ドメインとからなる270個のアミノ酸のタンパク質である。ホメオドメインには核移行シグナル(NLS)が含まれる。IL-33は、異なる型;還元型(redIL-33)及び酸化型(oxIL-33)で存在することが知られている。以前の研究は、還元型が生理学的条件下で急速に酸化されて、酸化型で少なくとも1つのジスルフィド結合を形成すること、並びに2つの型が異なる結合パターン及び効果を有する可能性があることを示していた。
還元型のIL-33は、ST2に結合し、実際には、Th2細胞及びマスト細胞によって発現されるST2受容体の唯一の既知のリガンドであることが以前に発見された。還元IL-33はST2に結合することによって標的細胞を刺激し、続いてNFκB及びMAPキナーゼ経路を活性化させ、これがサイトカイン及びケモカイン、例えば炎症を促進するためのIL-4、IL-5、及びIL-13などの産生につながる。可溶性ST2(sST2)は、還元IL-33シグナル伝達を妨げるデコイ受容体であると考えられている。
より近年では、酸化型のIL-33もまた、生理学的効果を有することが見出された。酸化IL-33はST2に結合するのではないが、代わりに終末糖化産物受容体(RAGE)に結合し、この代替経路を介してシグナル伝達することが判明した。
主に、ST2を刺激し、強力な炎症効果をもたらす還元型として現在知られているものの能力のために、治療標的としてのIL-33に大きな関心が寄せられている。しかしながら、酸化IL-33経路の治療標的としての研究及び関心はほとんど存在しない。これは、後の発見もあり、RAGEには多くのリガンドがあり、その下流の相互作用がよく理解されていないという事実があるためである。
酸化IL-33の刺激から生じるこれらの下流のRAGE相互作用の少なくとも1つが、本明細書でより詳細に記載される。驚くべきことに、RAGEは、酸化IL-33経路の一部として、上皮成長因子受容体(EGFR)と複合体化することが見出された。還元IL-33は急速に酸化IL-33に変換され、次いでRAGEに結合し、EGFRと複合体を形成してEGFR活性を刺激する。EGFRの関与の驚くべき発見は、EGFRが異常な上皮生理機能の側面を含む多くの疾患の重要な治療標的であるという点で重要である。
本発見の結果として、IL-33のいずれかの型に結合し得るアンタゴニストは、酸化IL-33のシグナル伝達を効果的に妨げることができると考えられている。これは、酸化IL-33自体に結合することによって直接的に、又は還元IL-33から酸化IL-33への変換を阻害することによって間接的に、のいずれかであり得、それにより、そのどちらもRAGEの刺激及びEGFRの刺激を妨げる。このEGFRの刺激の低減は、任意のEGFR媒介疾患において、特にEGFRが過剰に刺激される病態において、治療上の利益をもたらす。
EGFRは上皮生理機能に様々な恒常性効果をもたらすことが知られている。EGFRの刺激は、上皮細胞の分化を増加させ、上皮細胞遊走を増加させ、上皮粘膜の産生を増加させる。EGFR媒介シグナル伝達の阻害は、異常な気道上皮組織のリモデリング又は粘液の過剰産生など、異常な上皮生理機能が存在する障害を治療又は予防すると考えられている。
IL-33は、以前より、気道の組織リモデリングと関連付けられてきた(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。しかしながら、これは、自己永続的な増幅ループを介して間接的に発生すると考えられており、それによって、IL-33シグナル伝達は、IL-33とその同族受容体ST2の両方の発現を上方制御し、慢性的なST2軸シグナル伝達をもたらす。ST2を介した活性が、マクロファージ及び2型自然リンパ球など、ST2が発現する自然細胞によって媒介されるためにIL-33自体が気道上皮生物機能に直接影響を与えることはこれまで確立されていないか又は示唆されていない。
上記のとおり、本開示は、IL-33もまた、異なるメカニズム;RAGE-EGFR経路を介して直接作用するという発見に基づき;上皮生理機能に直接影響を与える。IL-33アンタゴニストの治療用途を広げて、より多くの疾患、より多くの疾患の症状、及びより多くの患者を治療するために使用できるため、この新しい理解は重要である。IL-33を標的とすることにより、IL-33媒介EGFR媒介シグナル伝達を直接的に制御及び阻害する治療の機会は、これまで実現されていなかった。
本出願の開示は、IL-33アンタゴニストの使用が、RAGE/EGFR媒介oxIL-33活性の直接阻害により、COPD又は気管支炎を有する患者など、異常な上皮生理機能を有する患者において、上皮修復反応の障害に直接影響を及ぼし、上皮杯細胞の分化及び増殖を減少させ、粘液産生を減少させ、粘膜毛様体運動を改善し得ることを初めて示している。したがって、本明細書に提示される研究は、異常な上皮生理機能の直接的な予防又は治療におけるIL-33アンタゴニストの治療的使用を支持し、これは典型的にはEGFR媒介効果に起因し、それによりEGFR媒介疾患に存在する。
Li et al JACI,2014 134:1422-32
Vannella et al Sci Transl Med,337ra65
Allinne et al JACI,2019,144:1624-37
第1の態様によれば、RAGE-EGFR媒介効果を調節又は阻害することにより、異常な上皮生理機能の予防又は治療で使用するための、IL-33アンタゴニストが提供される。
代替的な第1の態様によれば、患者の異常な上皮生理機能を予防又は治療する方法であって:有効量のIL-33アンタゴニストをそれを必要とする患者に投与して、RAGE-EGFR媒介効果を調節又は阻害することを含む方法が提供される。
代替的な第1の態様によれば、異常な上皮生理機能の予防又は治療のための薬剤の製造におけるIL-33アンタゴニストの使用が提供される。
第2の態様によれば、EGFR媒介疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストが提供される。
代替的な第2の態様によれば、患者のEGFR媒介疾患を予防又は治療する方法であって:有効量のIL-33アンタゴニストをそれを必要とする患者に投与することを含む方法が提供される。
代替的な第2の態様によれば、EGFR媒介疾患の予防又は治療のための薬剤の製造におけるIL-33アンタゴニストの使用が提供される。
第3の態様によれば、上皮生理機能を改善することによる疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストが提供される。
代替的な第3の態様によれば、患者の上皮生理機能を改善することにより呼吸器疾患を予防又は治療する方法であって:有効量のIL-33アンタゴニストをそれを必要とする患者に投与することを含む方法が提供される。
代替的な第3の態様によれば、上皮生理機能を改善することによる呼吸器疾患の予防又は治療のための薬剤の製造におけるIL-33アンタゴニストの使用が提供される。
第4の態様によれば、EGFR媒介効果を阻害することによる疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストが提供される。
代替的な第4の態様によれば、患者のEGFR媒介効果を阻害することにより呼吸器疾患を予防又は治療する方法であって:有効量のIL-33アンタゴニストをそれを必要とする患者に投与することを含む方法が提供される。
代替的な第4の態様によれば、EGFR媒介効果を阻害することによる呼吸器疾患の予防又は治療のための薬剤の製造におけるIL-33アンタゴニストの使用が提供される。
更なる態様によれば、IL-33媒介EGFRシグナル伝達を阻害することによる疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストが提供される。
代替的な更なる態様によれば、患者のIL-33媒介EGFRシグナル伝達を阻害することにより疾患を予防又は治療する方法であって:有効量のIL-33アンタゴニストをそれを必要とする患者に投与することを含む方法が提供される。
代替的な更なる態様によれば、IL-33媒介EGFRシグナル伝達を阻害することによる疾患の予防又は治療のための薬剤の製造におけるIL-33アンタゴニストの使用が提供される。
上記で定義された態様の更なる特徴及び実施形態は、以下の見出しのセクションで説明される。各セクションは、任意の互換性のある組み合わせで上記の態様のいずれかと組み合わせることができる。
定義
「IL-33」タンパク質とは、本明細書で用いられるとき、インターロイキン33、特に哺乳類インターロイキン33タンパク質、例えばUniProt番号095760で寄託されているヒトタンパク質を指す。しかしながら、この実体が単一の種ではなく、むしろ還元型及び酸化型として存在することは明らかである。還元型がin vivoで(例えば5分~40分の時間で)及びin vitroで急速に酸化することを所与とすれば、先行技術によるIL-33への言及は、実際には酸化型に言及したものである。更に、市販のアッセイは還元型と酸化型を効果的に区別できない場合がある。用語「IL-33」及び「IL-33ポリペプチド」は、同じ意味で用いられる。特定の実施形態において、IL-33は完全長である。別の実施形態において、IL-33は成熟トランケート型IL-33(アミノ酸112~270)である。最近の研究によれば、完全長IL-33は活性であることが示唆される(Cayrol and Girard,Proc Natl Acad Sci USA 106(22):9021-6(2009);Hayakawa et al.,Biochem Biophys Res Commun.387(1):218-22(2009);Talabot-Ayer et al,J Biol Chem.284(29):19420-6(2009))。しかしながら、限定はされないが、aa 72~270、79~270、95~270、99~270、107~270、109~270、111~270、112~270を含め、N末端プロセシングを受けた又はトランケートされたIL-33は、亢進した活性を有し得る(Lefrancais 2012,2014)。別の実施形態において、IL-33には、完全長IL-33、その断片、又はIL-33突然変異体若しくはバリアントポリペプチドが含まれることもあり、ここでIL-33の断片又はIL-33バリアントポリペプチドは、活性IL-33の一部又は全ての機能特性を保持している。
「IL-33」タンパク質とは、本明細書で用いられるとき、インターロイキン33、特に哺乳類インターロイキン33タンパク質、例えばUniProt番号095760で寄託されているヒトタンパク質を指す。しかしながら、この実体が単一の種ではなく、むしろ還元型及び酸化型として存在することは明らかである。還元型がin vivoで(例えば5分~40分の時間で)及びin vitroで急速に酸化することを所与とすれば、先行技術によるIL-33への言及は、実際には酸化型に言及したものである。更に、市販のアッセイは還元型と酸化型を効果的に区別できない場合がある。用語「IL-33」及び「IL-33ポリペプチド」は、同じ意味で用いられる。特定の実施形態において、IL-33は完全長である。別の実施形態において、IL-33は成熟トランケート型IL-33(アミノ酸112~270)である。最近の研究によれば、完全長IL-33は活性であることが示唆される(Cayrol and Girard,Proc Natl Acad Sci USA 106(22):9021-6(2009);Hayakawa et al.,Biochem Biophys Res Commun.387(1):218-22(2009);Talabot-Ayer et al,J Biol Chem.284(29):19420-6(2009))。しかしながら、限定はされないが、aa 72~270、79~270、95~270、99~270、107~270、109~270、111~270、112~270を含め、N末端プロセシングを受けた又はトランケートされたIL-33は、亢進した活性を有し得る(Lefrancais 2012,2014)。別の実施形態において、IL-33には、完全長IL-33、その断片、又はIL-33突然変異体若しくはバリアントポリペプチドが含まれることもあり、ここでIL-33の断片又はIL-33バリアントポリペプチドは、活性IL-33の一部又は全ての機能特性を保持している。
「酸化IL-33」又は「oxIL-33」とは、本明細書で用いられるとき、RAGEに結合してRAGE-EGFR媒介シグナル伝達を惹起する型のIL-33を指す。酸化IL-33とは、例えば非還元条件下でのウェスタンブロット分析によって特徴的なバンドとして現れる、特に対応する還元型(reduced from)よりも4Da少ない質量を有するタンパク質を指す。詳細には、これは、システイン208、227、232及び259から独立して選択されるシステイン間に1つ又は2つのジスルフィド結合を有するタンパク質を指す。一実施形態において、酸化IL-33はST2への結合を示さない。
「還元IL-33」又は「redIL-33」とは、本明細書で用いられるとき、ST2に結合してST2媒介シグナル伝達を惹起する型のIL-33を指す。特に、還元型のシステイン208、227、232及び259はジスルフィド結合していない。一実施形態において、還元IL-33はRAGEへの結合を示さない。
「WT IL-33」又は「IL-33」への言及は、それが使用される文脈から型の1つが意味されることが明らかでない限り、還元若しくは酸化型のいずれか、又は両方を指し得ると理解すべきである。
「WT IL-33」又は「IL-33」への言及は、それが使用される文脈から型の1つが意味されることが明らかでない限り、還元若しくは酸化型のいずれか、又は両方を指し得ると理解すべきである。
本明細書で使用される「抗原的に異なる型のIL-33」は、抗原として作用し、抗体又はその結合断片によって結合され得る任意の型のIL-33を指し、典型的には本開示の文脈において、これは酸化IL-33、還元IL-33、及び還元IL-33/sST2複合体を意味する。
「ST2媒介シグナル伝達/効果」とは、本明細書で用いられる場合、ST2による還元IL-33認識が、細胞表面上及び細胞内のIL-1RAcPとの二量化と、受容体複合体成分MyD88、TRAF6及びIRAK1-4の細胞内TIRドメインへの動員とを促進するIL-33/ST2系を指す。従ってST2依存シグナル伝達/効果は、IL-33とST2の相互作用を乱すことによるか、又はあるいはIL-1RAcPとの相互作用を妨げることにより妨害及び減弱し得る。
「RAGE-EGFR媒介シグナル伝達/効果」とは、本明細書で用いられるとき、RAGEによる酸化IL-33認識が細胞膜内のEGFRとの複合体化を促進する酸化IL-33/RAGE-EGFR系を指す。従ってRAGE-EGFR媒介シグナル伝達/効果は、酸化IL-33とRAGEの相互作用を乱すことによるか、又は還元IL-33の酸化IL-33への変換を妨げることにより妨害及び減弱し得る。
「~の活性を減弱させる」とは、本明細書で用いられるとき、関連する活性を低下させる若しくは阻害すること又は関連する活性を停止させることを指す。一般に、減弱及び阻害とは、本明細書では同じ意味で用いられる。
用語「1つの(a)」又は「1つの(an)」の実体(entity)とは、その実体の1つ以上を指すことに留意すべきである;例えば、「抗IL-33抗体(an anti-IL-33 antibody)」は、1つ以上の抗IL-33抗体を表すものと理解される。そのようなものであるから、用語「1つの(a)」(又は「1つの(an)」)、「1つ以上の」及び「少なくとも1つの」は、本明細書では同じ意味で用いられ得る。
本明細書で使用されるとき、用語「治療する」又は「治療」は、治療的処置及び予防的(prophylactic)又は予防的(preventative)手段の両方を指し、ここで目的は、望ましくない生理的変化又は障害を予防し又は減速させる(和らげる)ことである。有利である又は所望される臨床結果として、限定はされないが、症状の軽減、疾患の程度の低減、疾患の安定化した(すなわち悪化していない)状態、疾患進行の遅延又は緩徐化、病態の回復又は緩和、及び寛解(部分又は全体)、検出可能又は検出不能のいずれかが挙げられる。「治療」はまた、治療を受けない場合に予想される生存期間と比較して生存期間を延ばすことも意味し得る。治療を必要としている者には、既に病態又は障害を有する者並びに病態又は障害に罹り易い者或いは病態又は障害を予防すべき者が含まれる。
「対象」又は「個体」又は「動物」又は「患者」又は「哺乳動物」とは、診断、予後判定、又は治療が望ましい任意の対象、特に哺乳動物対象を意味し、対象が「健康な対象」として定義されている場合を除く。哺乳類対象には、ヒト;家畜;農業動物;例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、雌ウシなどが含まれる。
IL-33アンタゴニスト
本開示は、IL-33アンタゴニストの医学的使用、特にIL-33媒介EGFRシグナル伝達を阻害することにより疾患を予防又は治療するための医学的使用に関する。特定の場合においては、本開示は、EGFR媒介疾患に見出され得る異常な上皮生理機能の予防又は治療のためのIL-33アンタゴニストの使用に関する。
本開示は、IL-33アンタゴニストの医学的使用、特にIL-33媒介EGFRシグナル伝達を阻害することにより疾患を予防又は治療するための医学的使用に関する。特定の場合においては、本開示は、EGFR媒介疾患に見出され得る異常な上皮生理機能の予防又は治療のためのIL-33アンタゴニストの使用に関する。
「IL-33アンタゴニスト」は、本明細書で用いられるとき、IL-33活性、例えば、還元IL-33活性、酸化IL-33活性、又はその両方の活性を減弱させる任意の薬剤を指す。好適には、IL-33アンタゴニストは、還元及び/又は酸化IL-33に特異的である。好適には、減弱は、IL-33を還元型又は酸化型で結合することによるものである。好適には、アンタゴニストが還元IL-33活性及び酸化IL-33活性を減弱させる場合、減弱は、IL-33に還元型で結合することによる(すなわち、還元IL-33に結合することによる)ものである。
好適には、IL-33アンタゴニストは、結合分子又はその断片である。
本開示の「結合分子」又は「抗原結合分子」は、その最も広義の意味において、抗原決定基と特異的に結合する分子を指す。好適には、結合分子は、IL-33、特にredIL-33又は酸化IL-33に特異的に結合する。
好適には、結合分子は:抗体、その抗原結合断片、アプタマー、参照抗体分子のうちの少なくとも1つの重鎖又は軽鎖CDR、及び1つ以上の参照抗体分子由来の少なくとも6つのCDRから選択され得る。
好適には、IL-33アンタゴニストは、抗体又はその結合断片である。好適には、IL-33アンタゴニストは、抗IL-33抗体又はその結合断片である。好適には、抗IL-33抗体又はその結合断片は、IL-33、特に還元IL-33又は酸化IL-33に特異的に結合する。
「抗体」とは、本明細書で用いられる場合、以下で更に詳細に考察するとおりの免疫グロブリン分子、詳細には完全長抗体又は完全長抗体を含む分子、例えばDVD-Ig分子などを指す。
「その結合断片」とは、「その抗原結合断片」と互換可能であり、例えば結合領域を含む、特に重鎖可変領域の3つのCDR及び軽鎖可変領域の3つのCDRなど、6つのCDRを含む、抗体断片のエピトープ/抗原結合断片を指す。
好適には、抗体又はその結合断片は:天然に存在する、ポリクローナル、モノクローナル、多重特異性、マウス、ヒト、ヒト化、霊長類化、又はキメラから選択される。好適には、抗体又はその結合断片は、エピトープ結合断片、例えば、Fab’、及びF(ab’)2、Fd、Fvs、一重鎖Fvs(scFv)、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、VLドメイン又はVHドメインのいずれかを含む断片、又はFab発現ライブラリによって産生される断片であってもよい。好適には、抗体又はその結合断片は、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、又は一本鎖抗体であってもよい。好適には、抗体又はその結合断片は、モノクローナル抗体である。ScFv分子は当該技術分野において公知であり、例えば米国特許第5,892,019号明細書に記載されている。
本開示の免疫グロブリン又は抗体分子は、あらゆる種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2など)、又はサブクラスの免疫グロブリン分子であり得る。
好適には、IL-33アンタゴニストは、好適には、酸化IL-33の形成を阻害することにより、酸化IL-33の活性を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、還元IL-33の酸化IL-33への変換を阻害する。
好適には、IL-33アンタゴニストは、還元IL-33アンタゴニストである。換言すれば、IL-33アンタゴニストは、還元IL-33の活性を減弱させる。好適には、減弱は、還元IL-33に結合することによるものである。好適には、還元IL-33に結合することにより、上記アンタゴニストはまた、その酸化IL-33型への変換を妨げることにより、酸化IL-33の活性を阻害する/減弱させる。
好適には、酸化IL-33の活性の阻害により、RAGE依存シグナル伝達及び/又はRAGE媒介効果が下方制御されるか、又はオフになる。好適には、阻害により、RAGE-EGFR依存シグナル伝達及び/又はRAGE-EGFR媒介効果が下方制御されるか、又はオフになる。好適には、阻害により、EGFR依存シグナル伝達が下方制御されるか、又はオフになる。好適には、阻害により、EGFR媒介効果が下方制御されるか、又はオフになる。特に、還元IL-33に結合するIL33アンタゴニストが、酸化IL-33のRAGEとの結合を妨げ、それによりRAGE-EGFRシグナル伝達を阻害し得ることが示された。
好適には、酸化IL-33の活性の阻害により、RAGE-EGFRの複合体化が下方制御されるか、又は妨げられる。好適には、阻害により、EGFR活性化、好適には、RAGE媒介EGFR活性化が下方制御されるか、又は妨げられる。
好適には、IL-33アンタゴニストは、上記の全ての阻害効果を有する。好適には、還元IL-33アンタゴニストは、上記の全ての阻害効果を有する。
好適には、IL-33アンタゴニストは、還元IL-33結合分子又はその断片である。好適には、IL-33アンタゴニストは、還元IL-33抗体又はその結合断片、好適には、抗還元IL-33抗体又はその結合断片である。
好適には、結合分子又はその断片は、5×10-2M、10-2M、5×10-3M、10-3M、5×10-4M、10-4M、5×10-5M、10-5M、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、又は10-15M未満の結合親和性(Kd)で、redIL-33に特異的に結合する。好適には、redIL-33との結合親和性は、5×10-14M未満(すなわち、0.05pM)である。好適には、結合親和性は、Kinetic Exclusion Assays(KinExA)又はBIACORE(商標)を使用して、好適には、KinExAを使用し、国際公開第2016/156440号パンフレット(その全体が参照として本明細書に組み込まれる)(例えば、実施例11を参照)に記載されているプロトコルをなど使用して測定されるとおりである。この結合親和性でredIL-33に結合する結合分子は、生物学的に関連する時間尺度内で結合分子/redIL-33複合体の解離を防ぐためにredIL-33に十分にしっかりと結合するように見える。理論に束縛されるものではないが、この結合強度は、in vivoでの抗体/抗原複合体の分解前の抗原の放出を妨げ、その結果、redIL-33は放出されず、redIL-33からoxIL-33への変換ができないと考えられる。したがって、この結合親和性でredIL-33に結合する場合、結合分子は、oxIL-33の形成を妨げ、それによってRAGEシグナル伝達を阻害することにより、oxIL-33の活性を阻害又は減弱させることができる。
好適には、結合分子又はその断片は、103M-1秒-1、5×103M-1秒-1、104M-1秒-1、又は5×104M-1秒-1以上のオン速度(k(on))で、redIL-33に特異的に結合し得る。例えば、本開示の結合分子は、105M-1秒-1、5×105M-1秒-1、106M-1秒-1、又は5×106M-1秒-1若しくは107M-1秒-1以上のオン速度(k(on))で、redIL-33又はその断片若しくはバリアントに結合し得る。好適には、k(on)速度は、107M-1秒-1以上である。
好適には、結合分子又はその断片は、5X10-1秒-1、10-1秒-1、5X10-2秒-1、10-2秒-1、5X10-3秒-1、又は10-3秒-1以下のオフ速度(k(off))で、redIL-33に特異的に結合し得る。例えば、本開示の結合分子は、5×10-4秒-1、10-4秒-1、5×10-5秒-1、10-5秒-1、5×10-6秒-1、10-6秒-1、5×10-7秒-1、又は10-7秒-1以下のオフ速度(k(off))でredIL-33又はその断片若しくはバリアントに結合すると言うことができる。好適には、k(off)速度は、10-3秒-1以下である。IL-33は、炎症性刺激に反応して急速且つ高濃度で放出されるアラーミンサイトカインである。redIL-33は、細胞外環境に放出されてからおよそ5~45分後に酸化された状態に変換される。したがって、redIL-33からoxIL-33への変換を妨げるために、本明細書に記載の結合分子は、これらのk(on)及び/又はk(off)速度でredIL-33に結合し得る。理論に束縛されるものではないが、これらのk(on)/k(off)速度は、結合分子がoxIL-33に変換される前にredIL-33に迅速に結合できることを確実にすると考えられ、それによってoxIL-33の形成を低減し、それによってRAGEシグナル伝達、好適にはRAGE/EGFRシグナル伝達を減弱させ、且つそれによってRAGE/EGFR媒介効果を減弱させる。
好適には、IL-33結合分子は、IL-33の結合分子33_640087-7B(国際公開第2016/156440号パンフレットに記載されるとおり)への結合を競合的に阻害し得る。好適には、国際公開第2016/156440号パンフレットには、33_640087-7Bが特に高い親和性でredIL-33に結合し、ST-2とRAGE依存IL-33シグナル伝達の両方を減弱させることが記載されている。したがって、IL-33の結合分子33_640087-7Bへの結合を競合的に阻害する結合分子は、redIL-33及びoxIL-33シグナル伝達の両方を阻害する可能性が高く、したがって、本明細書に記載の方法での使用に特に好適である。
結合分子又はその断片は、それが所与のエピトープに対する参照抗体の結合を何らかの程度遮断する限りにおいてそのエピトープに特異的に結合する場合に、当該のエピトープに対する参照抗体の結合を競合的に阻害すると言われる。競合的阻害は、当該技術分野において公知の任意の方法、例えば、競合ELISAアッセイなどの固相アッセイ、解離促進ランタニド蛍光イムノアッセイ(DELFIA(登録商標)、Perkin Elmer)、及び放射性リガンド結合アッセイによって決定し得る。例えば、当業者は、国際公開第2016/156440号パンフレットの実施例1に記載されているHTRFアッセイの誘導などのin vitro競合結合アッセイを使用することにより、結合分子又はその断片がredIL-33への結合について競合するかどうかを決定することができる。例えば、当業者は、表1の組換え抗体をドナーフルオロフォアで標識し、複数の濃度を、受容体フルオロフォア標識されたredIL-33の固定濃度サンプルと混合することができる。その後、各サンプル内のドナーと受容体のフルオロフォア間の蛍光共鳴エネルギー移動を測定して、結合特性を確認することができる。競合的結合分子を解明するために、当業者は、最初に、様々な濃度の試験結合分子を、表1の固定濃度の標識抗体と混合することができる。標識抗体のみの陽性対照と比較して、混合物を標識IL-33とインキュベートした場合のFRETシグナルの減少は、IL-33への競合的結合を示す。結合分子又はその断片は、所与のエピトープへの参照抗体の結合を少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、又は少なくとも50%競合的に阻害すると言われ得る。
いくつかの実施形態では、結合分子は、以下の抗IL-33抗体:33_640087-7B(国際公開第2016/156440号パンフレットに記載されるとおり)、エトキマブ(Etokimab)として知られるANB020(国際公開第2015/106080号パンフレットに記載されるとおり)、9675P(米国特許出願公開第2014/0271658号明細書に記載されるとおり)、A25-3H04(米国特許出願公開第2017/0283494号明細書に記載されるとおり)、Ab43(国際公開第2018/081075号パンフレットに記載されるとおり)、IL33-158(米国特許出願公開第2018/0037644号明細書に記載されるとおり)、10C12.38.H6.87Y.581 lgG4(国際公開第2016/077381号パンフレットに記載されるとおり)、又はその結合断片のいずれかから選択され、その文献の各々は本明細書に参照により組み込まれる。これらの抗体の全ては、表1で参照される。
好適には、IL-33アンタゴニストは、表1から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)のペアの相補性決定領域(CDR)を含む、抗体又は抗原結合断片である。ペア1は、国際公開2016/156440号パンフレットに記載される33_640087-7BのVHとVLドメインの配列に対応している。ペア2~7は、米国特許出願公開第2014/0271658号明細書に記載される抗体のVHとVLドメインの配列に対応している。ペア8~12は、米国特許出願公開第2017/0283494号明細書に記載される抗体のVHとVLドメインの配列に対応している。ペア13は、国際公開第2015/106080号パンフレットに記載されるANB020のVHとVLドメインの配列に対応している。ペア14~16は、国際公開第2018/081075号パンフレットに記載される抗体のVHとVLドメインの配列に対応している。ペア17は、米国特許出願公開第2018/0037644号明細書に記載されるIL33-158のVHとVLドメインの配列に対応している。ペア18は、国際公開第2016/077381号パンフレットに記載される10C12.38.H6.87Y.581 lgG4のVHとVLドメインの配列に対応している。
好適には、IL-33アンタゴニストは、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(CDR)と、配列番号19の配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の相補性決定領域(CDR)とを含む、抗体又は抗原結合断片である。これらのCDRは、33_640087-7B(国際公開第2016/156440号パンフレットに記載されるとおり)から誘導されるものに対応しており、還元IL-33に結合し、酸化IL-33への変換を阻害する。33_640087-7Bは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/156440号パンフレットに完全に記載されている。
好適には、IL-33アンタゴニストは、配列番号7の配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(CDR)と、配列番号25の配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の相補性決定領域(CDR)とを含む、抗体又は抗原結合断片である。これらのCDRは、抗体9675Pから誘導されるものに対応する。9675Pは、本明細書で参照により組み込まれる米国特許出願公開第2014/0271658号明細書に完全に記載されている。
好適には、IL-33アンタゴニストは、配列番号11の配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(CDR)と、配列番号29の配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の相補性決定領域(CDR)とを含む、抗体又は抗原結合断片である。これらのCDRは、抗体A25-3H04から誘導されるものに対応する。A25-3H04は、本明細書で参照により組み込まれる米国特許出願公開第2017/0283494号明細書に完全に記載されている。
好適には、IL-33アンタゴニストは、配列番号13の配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(CDR)と、配列番号31の配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の相補性決定領域(CDR)とを含む、抗体又は抗原結合断片である。これらのCDRは、抗体ANB020から誘導されるものに対応する。ANB020は、本明細書で参照により組み込まれる国際公開第2015/106080号パンフレットに完全に記載されている。
好適には、IL-33アンタゴニストは、配列番号16の配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(CDR)と、配列番号34の配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の相補性決定領域(CDR)とを含む、抗体又は抗原結合断片である。これらのCDRは、抗体Ab43から誘導されるものに対応する。Ab43は、本明細書で参照により組み込まれる国際公開第2018/081075号パンフレットに完全に記載されている。
好適には、IL-33アンタゴニストは、配列番号17の配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(CDR)と、配列番号35の配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の相補性決定領域(CDR)とを含む、抗体又は抗原結合断片である。これらのCDRは、抗体IL33-158から誘導されるものに対応する。IL33-158は、本明細書で参照により組み込まれる米国特許出願公開第2018/0037644号明細書に完全に記載されている。
好適には、IL-33結合分子は、配列番号18の配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(CDR)と、配列番号36の配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の相補性決定領域(CDR)とを含む、抗体又は抗原結合断片である。これらのCDRは、抗体10C12.38.H6.87Y.581 lgG4.から誘導されるものに対応する。10C12.38.H6.87Y.581 lgG4は、本明細書で参照により組み込まれる国際公開第2016/077381号パンフレットに完全に記載されている。
好適には、当業者は、抗体又はその抗原結合断片の重鎖及び軽鎖可変領域内のCDRを同定するための当該技術分野で利用可能な方法を認識している。好適には、当業者は、例えば、配列に基づくアノテーションを行うことができる。CDR間の領域は一般に高度に保存されているため、論理ルールを使用してCDRの場所を決定することができる。当業者は、従来の抗体について一連の配列に基づくルール(Pantazes and Maranas,Protein Engineering,Design and Selection,2010)を使用することができ、あるいは又は追加的に、当業者は、複数配列アラインメントに基づいてルールをリファインすることができる。あるいは、当業者は、抗体配列を、BLAST+のBLASTPコマンドを使用して、Kabat、Chothia、又はIMGT法で動作する公的に利用可能なデータベースと比較して、最も類似したアノテーションされた配列を同定することができる。これらの各方法は、超可変領域の残基に番号を付ける独自の残基番号付けスキームを考案し、次いで6つのCDRの各々の開始と終了が特定の重要な位置に従って決定される。例えば、最も類似したアノテーションされた配列とアラインメントすると、CDRをアノテーションされた配列からアノテーションされていない配列に外挿することができ、それによってCDRを同定することができる。好適なツール/データベースは:例えば、Kabatデータベース、Kabatman、Scalinger、IMGT、Abnumである。
好適には、IL-33アンタゴニストは、表1から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)のペアを含む、抗体又は抗原結合断片である。
好適には、IL33抗体又はその抗原結合断片は、配列番号1の配列のVHドメインと、配列番号19の配列のVLドメインとを含む。
好適には、IL33抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7の配列のVHドメインと、配列番号25の配列のVLドメインとを含む。
好適には、IL33抗体又はその抗原結合断片は、配列番号11の配列のVHドメインと、配列番号29の配列のVLドメインとを含む。
好適には、IL33抗体又はその抗原結合断片は、配列番号13の配列のVHドメインと、配列番号31の配列のVLドメインとを含む。
好適には、IL33抗体又はその抗原結合断片は、配列番号16の配列のVHドメインと、配列番号34の配列のVLドメインとを含む。
好適には、IL33抗体又はその抗原結合断片は、配列番号17の配列のVHドメインと、配列番号35の配列のVLドメインとを含む。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、例えば、配列番号1、7、11、13、16、17、及び18から独立して選択される重鎖可変領域において3つのCDRを含み得る結合分子である。
好適には、IL-33アンタゴニストは、配列番号1に従う重鎖可変領域において3つのCDRを含む結合分子である。
好適には、IL-33アンタゴニストは、配列番号19、25、29、31、34、35、及び36から独立して選択される軽鎖可変領域において3つのCDRを含み得る結合分子である。
好適には、IL-33アンタゴニストは、配列番号19に従う軽鎖可変領域において3つのCDRを含む結合分子である。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、例えば、配列番号1、7、11、13、16、17、及び18から独立して選択される重鎖可変領域において3つのCDRと、例えば、配列番号19、25、29、31、34、35、及び36から独立して選択される軽鎖可変領域において3つのCDRとを含み得る結合分子である。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、配列番号1に従う重鎖可変領域において3つのCDRと、配列番号19に従う軽鎖可変領域において3つのCDRとを含む結合分子である。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、それぞれ、配列番号37、38、及び39の配列を有するVH CDR 1~3を有する可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)とを含み得る結合分子であり、ここで、1つ以上のVHCDRは、3個以下の単一アミノ酸置換、挿入及び/又は欠失を有する。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、それぞれ、配列番号37、配列番号38、及び配列番号39のVHCDR1~3を含むVHドメインを含む結合分子である。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、それぞれ、配列番号37、配列番号38、及び配列番号39からなるVHCDR1~3を含むVHドメインを含む結合分子である。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、それぞれ、配列番号40、41、及び42の配列を有するVLCDR1~3を有する可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)とを含み得る結合分子であり、ここで、1つ以上のVLCDRは、3個以下の単一アミノ酸置換、挿入及び/又は欠失を有する。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、それぞれ、配列番号40、配列番号41、及び配列番号42のVLCDR1~3を含むVLドメインを含む結合分子である。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、それぞれ、配列番号40、配列番号41、及び配列番号42からなるVLCDR1~3を含むVLドメインを含む結合分子である。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、配列番号37の配列を有するVHCDR1、配列番号38の配列を有するVHCDR2、配列番号39の配列を有するVHCDR3、配列番号40の配列を有するVLCDR1、配列番号41の配列を有するVLCDR2、及び配列番号42の配列を有するVLCDR3を含み得る結合分子である。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、VHとVLとを含む抗体又はその結合断片であり、ここで、VHは、配列番号1、7、11、13、16、17、及び18に従うVHと、少なくとも90%、例えば91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%同一のアミノ酸配列を有する。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、VHとVLとを含む抗体又はその結合断片であり、ここで、VHは、配列番号1に従うVHと、少なくとも90%、例えば91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%同一のアミノ酸配列を有する。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、VHとVLとを含む抗体又はその結合断片であり、ここで、上記で開示されるVHは、フレームワークの1、2、3、又は4つのアミノ酸が欠失しているか、挿入されているか、及び/又は独立して異なるアミノ酸に置換されている配列を有する。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、VHとVLとを含む抗体又はその結合断片であり、ここで、VLは、配列番号19、25、29、31、34、35、及び36に従うVLと、少なくとも90%、例えば91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%同一のアミノ酸配列を有する。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、VHとVLとを含む抗体又はその結合断片であり、ここで、VLは、配列番号19に従うVLと、少なくとも90%、例えば91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%同一のアミノ酸配列を有する。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、VHとVLとを含む抗体又はその結合断片であり、ここで、上記で開示されるVLは、フレームワークの1、2、3、又は4つのアミノ酸が独立して欠失しているか、挿入されているか、及び/又は異なるアミノ酸に置換されている配列を有する。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、VHとVLとを含む抗体又はその結合断片であり、ここで、VHは、配列番号1、7、11、13、16、17、及び18に従うVHと少なくとも90%、例えば91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%同一のアミノ酸配列を有し、VLは、配列番号19、25、29、31、34、35、及び36に従うVLと少なくとも90%、例えば91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%同一のアミノ酸配列を有する。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、VHとVLとを含む抗体又はその結合断片であり、ここで、VHは、配列番号1、7、11、13、16、17、及び18からなるアミノ酸配列を有し、VLは、配列番号19、25、29、31、34、35、及び36からなるアミノ酸配列を有する。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、VHとVLとを含む抗体又はその結合断片であり、ここで、VHは、配列番号1からなるアミノ酸配列を有し、VLは、配列番号19からなるアミノ酸配列を有する。
組成及び投与
本明細書に記載の医学的使用及び方法におけるIL-33アンタゴニストは、医薬組成物の形態で患者に投与することができる。
本明細書に記載の医学的使用及び方法におけるIL-33アンタゴニストは、医薬組成物の形態で患者に投与することができる。
好適には、本明細書における「IL-33アンタゴニスト」への言及はまた、IL-33アンタゴニストを含む医薬組成物を指し得る。好適には、医薬組成物は、1つ以上のIL-33アンタゴニストを含み得る。
好適には、IL-33アンタゴニストは、異常な上皮生理機能、又はEGFR媒介疾患、又は本明細書の医学的使用及び治療態様の方法で定義される呼吸器疾患のin vivoでの治療のために薬学的有効量で投与され得る。
好適には、「薬学的有効量」又は「治療有効量」のIL-33アンタゴニストは、IL-33との有効な結合を達成し、且つ利益を達成する、例えば本明細書の医学的使用/方法で記載されるような疾患又は病態の症状を改善するのに十分な量を意味するように保持されなければならない。
好適には、IL-33アンタゴニスト又はその医薬組成物は、治療効果を生じさせるのに十分な量で上述の治療方法/医学的使用に従いヒト又は他の動物に投与され得る。
好適には、IL-33アンタゴニスト又はその医薬組成物は、公知の技法に従いIL-33アンタゴニストを従来の薬学的に許容される担体又は希釈剤と組み合わせることによって調製される従来の剤形で、このようなヒト又は他の動物に投与され得る。
当業者によれば、薬学的に許容される担体又は希釈剤の形態及び性質が、それと共に組み合わせる活性成分の量、投与経路及び他の周知の変動要因に左右されることが認識されるであろう。当業者は更に、IL-33アンタゴニストの1つ以上の種を含むカクテルが特に有効であると判明し得ることを理解するであろう。
単一の剤形を作製するために担体材料と組み合わせることのできるIL-33アンタゴニストの量は、治療対象及び詳細な投与方法に応じて変わる。好適には、医薬組成物は、単回用量、複数回用量として、又は輸液で確立された期間にわたって投与され得る。好適には、投薬量レジメンもまた、所望される最適反応(例えば、治療的反応又は予防的反応)を実現するように調整され得る。
好適には、投与を容易にし、且つIL-33アンタゴニストの安定性を促進させるために、IL-33アンタゴニストを製剤化する。
好適には、医薬組成物は、薬学的に許容される非毒性滅菌担体、例えば生理食塩水、非毒性バッファー、保存剤などを含むように製剤化する。
好適には、医薬組成物は、例えば、水、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩又は電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドケイ酸、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート類、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及び羊毛脂を含めた、薬学的に許容される担体を含み得る。
好適には、医薬組成物としては、無菌水性又は非水性液剤、懸濁液、及びエマルションを挙げてもよい。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。水性担体としては、例えば、水、アルコール溶液/水溶液、エマルション又は懸濁液、例えば生理食塩水及び緩衝媒体が挙げられる。
好適には、薬学的に許容される担体としては、限定はされないが、0.01~0.1M、好ましくは0.05Mリン酸バッファー又は0.8%生理食塩水が挙げられる。他の一般的な非経口担体としては、リン酸ナトリウム溶液、リンガーのデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンガー、又は固定油が挙げられる。静脈内用担体としては、体液及び栄養素補充液、電解質補充液、例えばリンガーのデキストロースをベースとするものなどが挙げられる。保存剤及び他の添加剤、例えば、抗菌薬、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガスなどもまた存在し得る。
好適には、注射用途用医薬組成物としては、無菌の水溶液(水溶性の場合)又は分散系、及び無菌の注射用溶液又は分散系の即時調製のための滅菌粉末を挙げてもよい。そのような場合、本組成物は無菌でなくてはならず、易注射針通過性が存在する程度に流動性があるべきである。本組成物は製造及び保管条件下で安定していなくてはならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されている。好適には、担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及び好適なそれらの混合物を含有する溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には必要な粒度の維持、及び界面活性剤の使用により維持することができる。
本明細書に開示される治療方法での使用に好適な製剤については、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.)16th ed.(1980)に記載されている。
好適には、微生物作用の防止は、様々な抗細菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば、マンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムなど、糖類、多価アルコール類を医薬組成物に含めることが好適であろう。吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物に含めると、注射用組成物の持続的吸収をもたらすことができる。
好適には、滅菌注射用溶液は、本明細書に列挙される成分の1つ又は組み合わせを有する適切な溶媒中に必要量の活性化合物(例えば、単独の、又は他の活性薬剤と組み合わせた、IL-33アンタゴニスト)を適宜配合し、続いて濾過滅菌することにより調製し得る。一般に、分散液は活性化合物を滅菌媒体に配合することにより調製され、これには基本となる分散媒と上記に列挙したものからの必要な他の成分とが含まれる。滅菌注射用溶液の調製用の滅菌粉末の場合、調製方法は真空乾燥及び凍結乾燥させてもよく、それにより予め滅菌濾過したその溶液から活性成分+任意の追加的な所望の成分の粉末が生じる。
IL-33アンタゴニスト又はその医薬組成物をそれを必要としている対象に投与する方法は、当業者に周知であるか、又は当業者によって容易に決定される。
好適には、IL-33アンタゴニスト又はその医薬組成物の投与経路は、例えば、経口、非経口、吸入によるか又は局所であり得る。好適には、非経口という用語は、本明細書で使用されるとき、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸、又は腟内投与を含む。
好適には、IL-33アンタゴニスト又はその医薬組成物は、例えば、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤、又は溶液剤をはじめとする許容される剤形で、経口投与されてもよい。
好適には、IL-33アンタゴニスト又はその医薬組成物は、鼻エアロゾル又は吸入によって投与されてもよい。このような組成物は、ベンジルアルコール又は他の好適な保存剤、バイオアベイラビリティを亢進させる吸収促進剤、及び/又は他の従来の可溶化剤又は分散剤を用いて、生理食塩水中の溶液として調製されてもよい。
好適には、非経口製剤は、単回ボーラス用量、輸液、又は負荷ボーラス用量とそれに続く維持用量であり得る。これらの組成物は、特定の定若しくは変動間隔で、例えば、1日1回、又は「必要に応じて」投与されてもよい。
好適には、IL-33アンタゴニスト又はその医薬組成物は、疾患又は病態、例えば異常な上皮生理機能の部位に直接送達され、それにより罹患組織の治療剤への曝露を増加させる。好適には、IL-33アンタゴニスト又はその医薬組成物は、疾患又は病態の部位に直接投与される。したがって、好適には、IL-33アンタゴニスト又はその医薬組成物は、異常な上皮生理機能、EGFR媒介疾患、又は呼吸器疾患の部位に投与される。
一実施形態では、IL-33アンタゴニスト又はその医薬組成物の投与は、気道への投与である。好適には、鼻腔内投与による。好適には、鼻腔内吸入による。好適には、IL-33アンタゴニスト又はその医薬組成物は、吸入デバイスで提供されてもよい。好適な吸入デバイスは、当該技術分野において周知である。
一実施形態では、本明細書で定義される病態又は疾患の予防又は治療に使用するためのIL-33アンタゴニスト又はその医薬組成物を含む吸入器が提供される。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニスト又はその医薬組成物は、液体組成物として配合される。好適には、エアロゾル化できる液体組成物としてである。
一実施形態では、IL-33アンタゴニスト又はその医薬組成物は、エアロゾルとして提供される。
好適には、本明細書に記載の医薬組成物を調製するための上記に記載の成分は、キットの形態で包装及び販売することができる。このようなキットは、好適には、関連する医薬組成物が、疾患又は障害に罹患しているか又はそれに罹り易い対象の治療に有用であることを示すラベル又は添付文書を有し得る。
好適には、液体製剤用成分は、当該技術分野において公知の方法に従い処理され、アンプル、バッグ、ボトル、シリンジ又はバイアルなどの容器に充填され、無菌条件下で密封される。好適には、容器は加圧することができ、好適には、これらはエアゾール容器であり得る。これらの容器は、上記のようにキットに含まれていてもよい。好適には、キットは、吸入デバイスを更に含んでもよい。好適には、吸入デバイスは、本明細書に記載のIL-33アンタゴニスト若しくは医薬組成物を含むか、又は本明細書に記載のIL-33アンタゴニスト若しくは医薬組成物を含み得る上記のような容器を含むように動作可能である。
異常な上皮生理機能
本開示は、異常な上皮生理機能を予防又は治療するためのIL-33アンタゴニストの医学的使用に関する。
本開示は、異常な上皮生理機能を予防又は治療するためのIL-33アンタゴニストの医学的使用に関する。
「異常な上皮生理機能」は、本明細書で用いられるとき、人体における上皮の機能の任意の異常を意味する。人体における上皮の機能としては:下の組織を保護するためのバリアとして機能;組織と空洞の間の化学物質の調節及び交換;空洞への化学物質の分泌;並びに感覚が挙げられる。これらの機能のいずれかの異常は、壊滅的な生理学的影響を与える可能性がある。上皮は、皮膚、気道、胃腸管、生殖管、尿路、外分泌腺、及び内分泌腺を含む体内の広範囲の組織に存在し、そのようなものであるため、上皮内の異常は、広範囲の疾患又は病態に関与している可能性がある。好適には、上皮は、気道上皮であり、異常な上皮生理機能は、異常な気道上皮生理機能である。
「異常な」とは、本明細書で用いられるとき、健康な対象における上記機能と比較した機能の違いを意味し、典型的には、健康な対象における上記機能と比較した機能の増加又は減少を意味する。
好適には、上皮は:扁平、立方体、円柱状、及び偽重層から選択される。好適には、上皮は円柱状である。
好適には、上皮は繊毛性である。好適には、上皮は繊毛円柱である。好適には、異常な上皮生理機能は、異常な繊毛円柱上皮生理機能である。
好適には、異常な上皮生理機能には、異常な上皮細胞遊走が含まれる。好適には、異常な上皮生理機能には、上皮細胞遊走の減少が含まれ得る。好適には、異常な上皮生理機能には、異常な上皮細胞増殖が含まれ得る。好適には、異常な上皮生理機能には、上皮細胞増殖の減少が含まれ得る。
好適には、上皮細胞遊走の減少は、創傷を修復する上皮の能力の障害につながる。好適には、異常な上皮生理機能には、創傷修復の障害が含まれる。創傷修復の障害には、創傷閉鎖の障害及び創傷細胞密度の低下が含まれ得る。
好適には、異常な上皮生理機能の治療には、上皮細胞遊走を増加又は改善することが含まれ得る。好適には、異常な上皮生理機能の治療には、上皮創傷修復の増加又は改善が含まれ得る。好適には、異常な上皮生理機能の治療には、創傷閉鎖の増加又は改善が含まれ得る。好適には、異常な上皮生理機能の治療には、創傷細胞密度の増加又は改善が含まれ得る。
好適には、異常な上皮生理機能は、異常な粘膜毛様体生理機能である。
「異常な粘膜毛様体生理機能」は、本明細書で用いられるとき、特に上皮の粘膜毛様体の役割の機能の任意の異常を意味する。上皮の粘膜毛様体の役割の機能の異常は、粘膜毛様体機能の鍵となる繊毛円柱細胞及び/又は杯細胞の機能の異常が原因である可能性がある。好適には、異常な粘膜毛様体生理機能は、杯細胞の異常な機能が原因である。
「粘膜毛様体」とは、本明細書で用いられるとき、粘液を分泌及び移動させる上皮内の繊毛円柱細胞及び杯円柱細胞の機能を指す。上皮の粘膜毛様体の役割には:杯細胞の増殖;杯細胞の分化;粘液の分泌;粘液組成の調節;及び/又は粘液の移動若しくはクリアランスが含まれ得る。
一実施形態では、上皮の異常な粘膜毛様体生理機能などの異常な粘膜毛様体生理機能の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストが提供される。
一実施形態では、患者における上皮の異常な粘膜毛様体生理機能などの異常な粘膜毛様体生理機能を予防又は治療する方法であって:有効量のIL-33アンタゴニストをそれを必要とする患者に投与することを含む方法が提供される。
異常な粘膜毛様体生理機能には、上皮の繊毛円柱細胞又は杯細胞の任意の異常な機能が含まれ得る。好適には、異常な粘膜毛様体生理機能には:異常な粘液産生;異常な杯細胞分化;異常な杯細胞増殖;異常な上皮厚さ;異常な粘液クリアランス;及び/又は異常な粘液組成が含まれる。
好適には、異常な粘液産生は、異常なMUC5AC産生を含む。好適には、異常な杯細胞分化は、異常なMUC5AC+杯細胞分化を含む。好適には、異常な杯細胞増殖は、異常なMUC5AC+杯細胞増殖を含む。好適には、上皮の異常な厚さは、上皮の全組織領域の異常な量のMUC5AC+杯細胞を含む。
好適には、異常な粘膜毛様体生理機能には:杯細胞数の増加;粘液産生の増加;杯細胞分化の増加;上皮の厚さの増加;及び/又は粘液クリアランスの減少が含まれる。
好適には、粘液産生の増加は、MUC5AC産生の増加を含む。好適には、杯細胞分化の増加は、MUC5AC+杯細胞分化の増加を含む。好適には、杯細胞増殖の増加は、MUC5AC+杯細胞増殖の増加を含む。好適には、上皮の厚さの増加は、上皮の全組織領域で増加した量のMUC5AC+杯細胞を含む。
好適には、MUC5AC産生の増加は、MUC5AC遺伝子発現の増加によって引き起こされる。好適には、異常な粘膜毛様体生理機能は、上皮細胞におけるMUC5AC遺伝子発現の増加を含む。好適には、異常な粘膜毛様体生理機能は、上皮の杯細胞におけるMUC5ACの発現の増加を含む。
好適には、異常な粘膜毛様体生理機能には、粘液組成の変化が含まれる。このような変化は、粘液に含有される様々な粘液化合物の比率の増加若しくは減少;1つ以上の特異的粘液化合物の増加若しくは減少、又は粘液の濃度若しくは濃さの増加若しくは減少を含み得る。
粘液組成の変化は、ムチンMUC5ACとMUC5Bの比率の増加又は減少など、異なるムチンの比率の増加又は減少を含み得る。
粘液組成の変化は、ムチンの濃度の増加又は減少を含み得る。好適には、粘液組成の変化は、ムチン5ACの濃度の減少を含む。好適には、粘液組成の変化は、上方制御されたMUC5AC発現を有する杯細胞の数の減少を含む。
粘液に含まれるムチンのこのような変化は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2018/204598号パンフレットに記載されているように測定及び計算することができる。
好適には、異常な粘液組成は、MUC5AC:MUC5Bの比率の増加を含む。好適には、異常な粘液組成は、粘液に含有されるMUC5ACの増加を含む。好適には、異常な粘液組成は、粘液の濃さの増加を含む。
異常な粘膜毛様体生理機能は、上記の症状のいずれか1つ以上を組み合わせて含んでもよい。
好適には、異常な上皮生理機能には、異常な組織リモデリング、例えば異常な上皮リモデリングなどが含まれる。好適には、異常な上皮生理機能には、組織リモデリングの増加が含まれる。好適には、異常な上皮生理機能には、上皮リモデリングの増加が含まれる。
異常な上皮生理機能は、上記の症状のいずれか1つ以上を組み合わせて含んでもよい。
異常な上皮生理機能の治療若しくは予防、又は異常な粘膜毛様体生理機能の治療若しくは予防は:
粘膜毛様体クリアランスの改善若しくは増加;
粘液産生の低減若しくは阻害;
異常な粘液組成の阻害;
上皮リモデリングの低減若しくは阻害;並びに/又は
杯細胞の分化及び/若しくは増殖の低減若しくは阻害を含み得る。
粘膜毛様体クリアランスの改善若しくは増加;
粘液産生の低減若しくは阻害;
異常な粘液組成の阻害;
上皮リモデリングの低減若しくは阻害;並びに/又は
杯細胞の分化及び/若しくは増殖の低減若しくは阻害を含み得る。
好適には、粘液産生の低減又は阻害は、MUC5AC産生の低減又は阻害を含む。したがって、好適には、治療又は予防は、MUC5AC産生を低減又は阻害する。
好適には、異常な粘液組成の阻害は、通常の粘液組成を回復することを含み得る。好適には、これは、MUC5AC:MUC5Bの比率の低減を含む。したがって、好適には、治療又は予防は、MUC5AC:MUC5Bの比率を低減する。好適には、予防又は治療は、粘液中のMUC5ACを阻害又は低減する。好適には、予防又は治療は、粘液の濃さを低減する。
好適には、杯細胞分化及び/又は増殖の低減又は阻害は、MUC5AC+杯細胞の分化又は増殖の低減又は阻害を含む。したがって、好適には、治療又は予防は、MUC5AC+杯細胞分化又は増殖を低減又は阻害する。
好適には、上皮リモデリングの低減又は阻害は、呼吸上皮の厚さの低減を含む。したがって、好適には、治療又は予防は、呼吸上皮の厚さを低減する。
好適には、上皮リモデリングの低減又は阻害は、上皮の全組織領域でMUC5AC+杯細胞の量を低減することを含む。したがって、好適には、治療又は予防は、上皮の全組織領域でMUC5AC+杯細胞の量を低減又は阻害する。
粘膜毛様体クリアランスの改善又は増加は、粘膜毛様体運動の改善又は増加を含む。したがって、好適には、治療又は予防は、粘膜毛様体運動を改善する又は増加させる。
好適には、上皮は呼吸上皮である。好適には、異常な上皮生理機能は、呼吸上皮における異常な上皮生理機能である。
一実施形態では、呼吸器疾患における異常な上皮生理機能の治療で使用するためのIL-33アンタゴニストが提供される。
一実施形態では、呼吸器疾患を有する患者の異常な上皮生理機能を予防又は治療する方法であって:有効量のIL-33アンタゴニストを、それを必要とする患者に投与することを含む方法が提供される。
好適な呼吸器疾患は本明細書の他所に定義されている。
好適には、異常な上皮生理機能は、呼吸上皮における異常な粘膜毛様体生理機能である。
一実施形態では、呼吸器上皮における異常な粘膜毛様体生理機能の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストが提供される。
一実施形態では、患者の呼吸上皮の異常な粘膜毛様体生理機能を予防又は治療する方法であって:有効量のIL-33アンタゴニストを、それを必要とする患者に投与することを含む方法が提供される。
好適には、異常な上皮生理機能は、呼吸器疾患における異常な粘膜毛様体生理機能である。
一実施形態では、呼吸器疾患における異常な粘膜毛様体生理機能の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストが提供される。
一実施形態では、呼吸器疾患を有する患者の異常な粘膜毛様体生理機能を予防又は治療する方法であって:有効量のIL-33アンタゴニストを、それを必要とする患者に投与することを含む方法が提供される。
好適には、異常な上皮生理機能は、気道に存在する。好適には、異常な上皮生理機能は、気道の異常な上皮生理機能である。好適には、異常な上皮生理機能は、気道の異常な粘膜毛様体生理機能である。
気道には、上気道及び下気道が含まれる。典型的には、上気道には、鼻腔、副鼻腔、咽頭、及び喉頭が含まれる。典型的には、下気道には、気管、気管支、細気管支、肺胞管、及び肺胞が含まれる。
好適には、異常な上皮生理機能は、気管支などの下気道の異常な上皮生理機能である。
好適には、異常な上皮生理機能は、下気道の異常な上皮生理機能である。好適には、異常な上皮生理機能は、気管支の異常な上皮生理機能である。好適には、異常な下気道上皮生理機能は、下気道の異常な粘膜毛様体生理機能である。好適には、下気道の異常な粘膜毛様体生理機能は、気管支の異常な粘膜毛様体生理機能である。
一実施形態では、下気道の異常な粘膜毛様体生理機能の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストが提供される。
一実施形態では、患者の下気道の異常な粘膜毛様体生理機能を予防又は治療する方法であって:有効量のIL-33アンタゴニストをそれを必要とする患者に投与することを含む方法が提供される。
一実施形態では、気管支の異常な粘膜毛様体生理機能の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストが提供される。
一実施形態では、患者の気管支の異常な粘膜毛様体生理機能を予防又は治療する方法であって:有効量のIL-33アンタゴニストをそれを必要とする患者に投与することを含む方法が提供される。
EGFRシグナル伝達
本開示は、酸化IL-33はRAGEに結合し、RAGEは順次EGFRと複合体化し、上皮の恒常性を破壊するように作用するという発見に基づいている。IL-33アンタゴニストの使用は、酸化IL-33のシグナル伝達を阻害し、それによってRAGEの活性化を阻害し、RAGE-EGFR複合体化を阻害する可能性がある。本明細書に開示されるデータは、RAGE-EGFR複合体の形成を妨げることにより、IL-33媒介EGFRシグナル伝達が妨げられ、正常な上皮生理学が回復することを実証している。
本開示は、酸化IL-33はRAGEに結合し、RAGEは順次EGFRと複合体化し、上皮の恒常性を破壊するように作用するという発見に基づいている。IL-33アンタゴニストの使用は、酸化IL-33のシグナル伝達を阻害し、それによってRAGEの活性化を阻害し、RAGE-EGFR複合体化を阻害する可能性がある。本明細書に開示されるデータは、RAGE-EGFR複合体の形成を妨げることにより、IL-33媒介EGFRシグナル伝達が妨げられ、正常な上皮生理学が回復することを実証している。
好適には、IL-33アンタゴニストは、酸化IL-33シグナル伝達を阻害する。
好適には、IL-33アンタゴニストは、酸化IL-33のRAGEへの結合を阻害する。
好適には、IL-33アンタゴニストは、RAGE-EGFR複合体の形成を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、酸化IL33-RAGE-EGFR複合体の形成を阻害する。
好適には、IL-33アンタゴニストは、EGFRのクラスター化を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、細胞膜のEGFRのクラスター化を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、EGFRのインターナリゼーションを阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、細胞膜内のRAGEとEGFRの共局在を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、RAGE-EGFR複合体のインターナリゼーションを阻害する。
好適には、IL-33アンタゴニストは、EGFRの活性化を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、EGFRのリン酸化を阻害する。
好適には、IL-33アンタゴニストは、RAGE-EGFR媒介効果を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、RAGE-EGFR複合体によって媒介される効果を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、酸化IL33-RAGE-EGFR複合体によって媒介される効果を阻害する。
好適には、IL-33アンタゴニストは、EGFRシグナル伝達を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、RAGE-EGFRシグナル伝達を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、酸化IL33-RAGE-EGFRシグナル伝達を阻害する。
好適には、IL-33アンタゴニストは、酸化IL-33のRAGEへの結合を阻害し、それによりRAGE-EGFR複合体化を阻害し、それにより下流のシグナル伝達などのRAGE-EGFR媒介効果を阻害する。
好適には、IL-33アンタゴニストは、IL-33媒介EGFR効果を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、IL-33媒介EGFRシグナル伝達を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、酸化IL-33媒介EGFR効果を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、酸化IL-33媒介EGFRシグナル伝達を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、酸化IL-33媒介RAGE-EGFR効果を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、酸化IL-33媒介RAGE-EGFRシグナル伝達を阻害する。
好適には、RAGE-EGFR媒介効果は、RAGE-EGFR複合体化によって、好適には、酸化IL-33-RAGE-EGFR複合体化によって引き起こされる。
好適には、このような効果は、典型的には、本明細書においてEGFRシグナル伝達又はRAGE-EGFRシグナル伝達と呼ばれ得る下流のシグナル伝達を含み得る。好適には、このようなEGFRシグナル伝達には、リン酸化及び/又はケモカイン放出が含まれ得る。
好適には、このようなEGFRシグナル伝達には、EGFRのリン酸化と、それに続くEGFR、PLC、JNK、MAPK/ERK1/2、p38、及びSTAT5などのEGFR経路の成分のリン酸化が含まれる。好適には、EGFRシグナル伝達には、JNK、MAPK/ERK、p38などのチロシンキナーゼのリン酸化が含まれる。
好適には、EGFRシグナル伝達には、IL-8などのケモカインの放出の増加が含まれる。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、EGFR媒介リン酸化及び/又はケモカイン放出を阻害する。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、EGFR経路の成分のリン酸化を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは:EGFR、PLC、JNK、MAPK/ERK1/2、p38、及びSTAT5のうちのいずれか1つのリン酸化を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは:EGFR、PLC、JNK、MAPK/ERK1/2、p38、及びSTAT5のうちのいずれか1つのEGFR媒介リン酸化を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、チロシンキナーゼのリン酸化を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは:JNK、MAPK/ERK、p38から選択されるチロシンキナーゼのリン酸化を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは:JNK、MAPK/ERK、及びp38から選択されるチロシンキナーゼのEGFR媒介リン酸化を阻害する。
したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、ケモカインの放出を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、IL-8の放出を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、ケモカインのEGFR媒介放出を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、IL-8のEGFR媒介放出を阻害する。
一実施形態では、EGFR媒介疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストが提供される。
別の実施形態では、IL-33アンタゴニストは、EGFR媒介効果を阻害することによる呼吸器疾患の予防又は治療で使用するためのものであり得る。
更に、IL-33アンタゴニストは、EGFR媒介疾患における異常な上皮生理機能の予防又は治療で使用するためのものであり得る。
一実施形態では、異常な上皮生理機能を改善することによるEGFR媒介疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストが提供される。
好適には、EGFR媒介疾患はRAGE-EGFR媒介疾患である。
好適には、EGFR媒介効果はRAGE-EGFR媒介効果である。
好適には、EGFR媒介効果はRAGE-EGFR媒介シグナル伝達である。
好適には、IL-33アンタゴニストは、EGFR媒介効果を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、EGFR媒介効果を阻害することにより疾患又は病態を治療又は予防する。
好適には、IL-33アンタゴニストはRAGE-EGFR媒介効果を阻害する。好適には、IL-33アンタゴニストは、RAGE-EGFR-媒介効果を阻害することにより疾患又は病態を治療又は予防する。
本明細書に記載の「RAGE-EGFR媒介効果」は、細胞膜においてRAGEのEGFRとの複合体化及び結果として生じる異常なEGFR活性によって引き起こされる任意の生理学的効果を指す。RAGE-EGFR媒介効果はまた、本明細書において「RAGE-EGFRシグナル伝達」、任意選択的には「RAGE-EGFR媒介シグナル伝達」を含んでもよく、及び/又はそのように称してもよい。このようなRAGE-EGFR媒介効果は、典型的には、上皮に見られ、異常な上皮生理機能として現れる。異常な上皮生理機能は上記で定義されているが、以下に対する悪影響が含まれる場合がある:バリアの完全性;組織と空洞の間の化学物質の調節及び交換;空洞への化学物質の分泌;及び感覚。
好適には、RAGE-EGFR媒介疾患及び/又は効果は、異常なEGFR活性を特徴とする。好適には、RAGE-EGFR媒介疾患及び/又は効果は、異常なRAGE-EGFRシグナル伝達を特徴とする。好適には、RAGE-EGFR媒介効果及び/又はRAGE-EGFRシグナル伝達は、RAGE-EGFR媒介疾患を特徴とする。
好適には、RAGE-EGFR媒介疾患は、異常な上皮生理機能を特徴とする疾患であり得る。
好適には、RAGE-EGFR媒介疾患は、呼吸上皮における異常な上皮生理機能を特徴とする疾患であり得る。
好適には、RAGE-EGFR媒介疾患は、異常な粘膜毛様体生理機能を特徴とする疾患であり得る。
好適には、RAGE-EGFR媒介疾患は、呼吸上皮における異常な粘膜毛様体生理機能を特徴とする疾患であり得る。
好適なRAGE-EGFR媒介疾患は、本明細書中以下において定義される呼吸器疾患のいずれかから選択され得る。
呼吸器疾患
本開示は、上皮生理機能を改善することによるか、又はEGFR媒介効果を調節することによる、好適には、EGFR媒介を阻害することによる、好適には、RAGE/EGFR媒介効果を阻害することによる、呼吸器疾患の予防又は治療のためのIL-33アンタゴニストの医学的使用に関する。
本開示は、上皮生理機能を改善することによるか、又はEGFR媒介効果を調節することによる、好適には、EGFR媒介を阻害することによる、好適には、RAGE/EGFR媒介効果を阻害することによる、呼吸器疾患の予防又は治療のためのIL-33アンタゴニストの医学的使用に関する。
好適には、異常な上皮生理機能は、呼吸器疾患の症状であり得る。したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、異常な上皮生理機能を特徴とする呼吸器疾患の治療又は予防で使用するためのものであり得る。
更なる実施形態で定義されるとおり、上皮生理機能を改善することによる呼吸器疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストが提供される。
異常な上皮生理機能は、本明細書の他所に定義されている。
好適な上皮生理機能の改善は、異常な上皮生理機能の改善を含んでもよい。
異常な上皮生理機能の改善の好適な手段は、本明細書上記に記載されている。
好適には、異常な上皮生理機能を改善することによる呼吸器疾患の治療は:
粘膜毛様体クリアランスの改善若しくは増加;
粘液産生の低減若しくは阻害;
異常な粘液組成の阻害;
異常な上皮リモデリングの低減若しくは阻害;及び/又は
杯細胞分化若しくは増殖の低減若しくは阻害を含み得る。
粘膜毛様体クリアランスの改善若しくは増加;
粘液産生の低減若しくは阻害;
異常な粘液組成の阻害;
異常な上皮リモデリングの低減若しくは阻害;及び/又は
杯細胞分化若しくは増殖の低減若しくは阻害を含み得る。
これらの効果の各々に関する更なる詳細は、異常な上皮生理機能の治療又は予防に関連して上記で提供されており、本明細書では、呼吸器疾患の治療と組み合わせてもよい。
好適には、異常なEGFR活性は、呼吸器疾患の症状であり得る。したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、異常なEGFR活性を特徴とする呼吸器疾患の治療又は予防で使用するためのものであり得る。
更なる実施形態で定義されるとおり、EGFR媒介効果を阻害することによる呼吸器疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストが提供される。
EGFR媒介効果は、本明細書の他所に定義される。
好適には、呼吸器疾患は、下呼吸器疾患であり、好適には、呼吸器疾患は、気管、気管支、細気管支、肺胞管、及び/又は肺胞に影響を与える疾患である。好適には、呼吸器疾患は、気管支疾患である。
好適には、呼吸器疾患は:COPD、気管支炎、肺気腫、CF-気管支拡張症又は非-CF-気管支拡張症などの気管支拡張症、喘息、喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)から選択され得る。
好適には、呼吸器疾患はCOPDである。好適には、呼吸器疾患は気管支炎性COPDである。気管支炎性COPDは、COPDを有する患者に慢性気管支炎が見られる特定の形態のCOPDである。気管支炎性COPDは、肺機能の低下が速く、症状が増加し、二次感染のリスクが高まるため、COPD患者よりも患者の死亡率が高くなる。特に、気管支炎性COPD患者は総ムチン濃度が高く、粘液分泌過多である。したがって、気管支炎性COPD患者は、IL-33アンタゴニストがEGFR活性を阻害し、粘膜毛様体生理機能を改善するという発見によって、本明細書に記載されているように、IL-33アンタゴニストによる治療から特に利益を得る可能性がある。
好適には、同じ理由で、呼吸器疾患は、気管支喘息であり得る。
一実施形態では、気管支炎性COPDを予防又は治療するためのIL-33アンタゴニストが提供される。
一実施形態では、患者の気管支炎性COPDを予防又は治療する方法であって:有効量のIL-33アンタゴニストをそれを必要とする患者に投与することを含む方法が提供される。
ST2シグナル伝達
本開示は、RAGE-EGFR媒介シグナル伝達及び効果を阻害するためのIL-33アンタゴニストの医学的使用に関するが、IL-33アンタゴニストがST2媒介シグナル伝達及び効果を阻害し得ることはすでに知られている。したがって、本明細書で記載される医学的使用は、EGFR媒介効果及びST2媒介効果の両方の調節を想定している。
本開示は、RAGE-EGFR媒介シグナル伝達及び効果を阻害するためのIL-33アンタゴニストの医学的使用に関するが、IL-33アンタゴニストがST2媒介シグナル伝達及び効果を阻害し得ることはすでに知られている。したがって、本明細書で記載される医学的使用は、EGFR媒介効果及びST2媒介効果の両方の調節を想定している。
好適には、IL-33アンタゴニストは、EGFR媒介効果及びST2媒介効果を調節することによる異常な上皮生理機能の予防及び治療で使用するためのものである。好適には、IL-33アンタゴニストは、EGFR媒介効果及びST2媒介効果を阻害することによる異常な上皮生理機能の予防及び治療で使用するためのものである。好適には、IL-33アンタゴニストは、RAGE/EGFR媒介効果及びST2媒介効果を阻害することによる異常な上皮生理機能の予防及び治療で使用するためのものである。異常な上皮生理機能は、本明細書の他所に定義されているとおりである。
好適には、IL-33アンタゴニストは、EGFR媒介効果及びST2媒介効果を調節することによるEGFR媒介疾患の予防及び治療で使用するためのものである。好適には、IL-33アンタゴニストは、EGFR媒介効果及びST2媒介効果を阻害することによるEGFR媒介疾患の予防及び治療で使用するためのものである。好適には、IL-33アンタゴニストは、RAGE/EGFR媒介効果及びST2媒介効果を阻害することによるEGFR媒介疾患の予防及び治療で使用するためのものである。EGFR媒介疾患は、本明細書の他所に定義されるとおりである。
好適には、ST2媒介効果は、炎症を含む。したがって、好適には、IL-33アンタゴニストは、EGFR媒介効果及びST2媒介効果を調節することによるST2媒介疾患の予防及び治療で使用するためのものである。好適には、IL-33アンタゴニストは、EGFR媒介効果及びST2媒介効果を阻害することによるST2媒介疾患の予防及び治療で使用するためのものである。好適には、IL-33アンタゴニストは、RAGE/EGFR媒介効果及びST2媒介効果を阻害することによるST2媒介疾患の予防及び治療で使用するためのものである。好適なST2媒介疾患としては、炎症を特徴とする疾患を挙げてもよい。好適なST2媒介疾患としては、炎症性疾患を挙げてもよい。
ST2媒介疾患又は炎症性疾患としては:COPD;喘息、慢性副鼻腔炎、食物アレルギー、湿疹、及び皮膚炎などのアレルギー性疾患;肺線維症などの線維増殖性疾患;肺好酸球増多症;胸膜悪性病変;関節リウマチ;膠原血管病;アテローム硬化性血管疾患;蕁麻疹(uticaria);炎症性腸疾患;クローン病;セリアック病(coeliac disease);全身性エリテマトーデス;進行性全身性硬化症;ウェゲナー肉芽腫症;敗血症性ショック;及びベーチェット病(Bechet’s disease)を挙げてもよい。
好適には、ST2媒介疾患又は炎症性疾患は、呼吸性である。好適には、ST2媒介疾患又は炎症性疾患は、上記で定義された気道に存在する。
好適には、IL-33アンタゴニストは、炎症又は炎症性疾患の予防及び治療で追加的に使用するためのものである。好適には、IL-33アンタゴニストは、ST2媒介炎症及びST2媒介炎症性疾患の予防及び治療で追加的に使用するためのものであり得る。
好適には、ST2媒介疾患及びEGFR媒介疾患はオーバーラップする。換言すれば、ST2媒介効果及びEGFR媒介効果、好適には、RAGE-EGFR媒介効果は、疾患病理に寄与する。有利には、単一のIL-33アンタゴニストの医学的使用は、IL-33によるRAGEとST2の両方の活性化を阻害する可能性があると考えられている。したがって、単一のIL-33アンタゴニストは、RAGE-EGFR媒介性疾患とST2媒介性疾患の両方を同時に治療し得る。
一実施形態では、異常な上皮生理機能及び炎症の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストが提供される。一実施形態では、患者における異常な上皮生理機能及び炎症を予防又は治療する方法であって:有効量のIL-33アンタゴニストを投与することを含む方法が提供される。
好適には、異常な上皮生理機能及び炎症は、呼吸器疾患の症状であってもよい。したがって、これらの症状の治療及び予防に関する記述は、呼吸器疾患の文脈にあってもよく、好適には呼吸器疾患における異常な上皮生理機能及び炎症の治療又は予防を含んでもよい。
一実施形態では、EGFR媒介疾患及びST2媒介疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストが提供される。
一実施形態では、患者におけるEGFR媒介疾患及びST2媒介疾患を予防又は治療する方法であって:有効量のIL-33アンタゴニストを投与することを含む方法が提供される。
好適には、IL-33アンタゴニストは、還元IL-33アンタゴニストである。好適には、還元IL-33アンタゴニストは、上記に定義されたとおりである。
好適には、IL-33アンタゴニストは、上記に定義されたとおりである。好適には、IL-33アンタゴニストは、33_640087-7Bである。
あるいは、様々なIL-33アンタゴニストを組み合わせ療法として使用して、IL-33によるRAGEとST2の両方の活性化を阻害することができる。したがって、IL-33アンタゴニストの組み合わせは、RAGE-EGFR媒介性疾患とST2媒介性疾患の両方を同時に治療することが想定されている。
好適には、呼吸器疾患は、上記に定義されたとおりである。好適には、呼吸器疾患は、異常なEGFR活性及び異常なST2活性を特徴とする。
したがって、好適には、一実施形態では、異常な上皮生理機能の予防又は治療で使用するための第1のIL-33アンタゴニストと炎症の予防又は治療で使用するための第2のIL-33アンタゴニストが組み合わせて提供される。
したがって、好適には、一実施形態では、患者における異常な上皮生理機能及び炎症を予防又は治療する方法であって:有効量の第1のIL-33アンタゴニストを有効量の第2のIL-33アンタゴニストと組み合わせて投与することを含む方法が提供される。
したがって、好適には、一実施形態では、EGFR媒介疾患の予防又は治療で使用するための第1のIL-33アンタゴニストとST2媒介疾患の予防又は治療で使用するための第2のIL-33アンタゴニストが組み合わせて提供される。
したがって、好適には、一実施形態では、患者におけるEGFR媒介疾患及びST2媒介疾患を予防又は治療する方法であって:有効量の第1のIL-33アンタゴニストを有効量の第2のIL-33アンタゴニストと組み合わせて投与することを含む方法が提供される。
好適には、第1のIL-33アンタゴニストは、異常な上皮生理機能及び/又はEGFR媒介疾患を予防又は治療するためのものである。
好適には、第2のIL-33アンタゴニストは、炎症及び/又はST2媒介疾患を予防及び治療するためのものである。
好適には、第1及び第2のIL-33アンタゴニストは異なる。
好適には、第1のIL-33アンタゴニストは上記に定義されたとおりである。好適には、第2のIL-33アンタゴニストは、ST2媒介効果を阻害することで知られている任意の他のIL-33アンタゴニストであってもよい。好適には、第2のIL-33アンタゴニストもまた、上記に定義されたとおりである。
好適には、第1のアンタゴニストは、還元又は酸化IL-33アンタゴニストであってもよい。好適には、第2のIL-33アンタゴニストは還元IL-33アンタゴニストである。
好適には、IL-33アンタゴニストのうち少なくとも1つは、33_640087-7Bである。好適には、第1のアンタゴニストは33_640087-7Bである。
好適には、第1及び第2のIL-33アンタゴニストは、組み合わせて投与されてもよい。好適には、第1及び第2のIL-33アンタゴニストは、組み合わせて同時に又は異なる時点で投与されてもよい。好適な投与計画は、医療専門家によって決定され得る。
これらの記述は、ST-2媒介疾患も予防又は治療され得る上記の医学的使用/治療方法に等しく適用される。
あるいは、更なる実施形態では、IL-33アンタゴニストは、ST2阻害剤と組み合わせて投与されてもよい。好適には、ST2阻害剤は、IL-33アンタゴニストでない場合があるが、他の手段でST2受容体を阻害する可能性がある。好適には、ST2阻害剤は、上記のようにST2媒介疾患を治療又は予防するように機能してもよい。
したがって、一実施形態では、異常な上皮生理機能の治療又は予防で使用するためのIL-33アンタゴニストと炎症の治療又は予防で使用するためのST2阻害剤が組み合わせて提供される。
一実施形態では、患者における異常な上皮生理機能及び炎症を予防又は治療する方法であって:有効量のIL-33アンタゴニストを有効量のST2阻害剤と組み合わせて投与することを含む方法が提供される。
好適には、異常な上皮生理機能及び炎症は、呼吸器疾患の症状であってもよい。したがって、これらの症状の治療及び予防に関する記述は、呼吸器疾患の文脈にあってもよく、好適には呼吸器疾患における異常な上皮生理機能及び炎症の治療又は予防を含んでもよい。
したがって、一実施形態では、EGFR媒介疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストとST2媒介疾患の治療又は予防で使用するためのST2阻害剤が組み合わせて提供される。
一実施形態では、患者におけるST2媒介疾患と組み合わされたEGFR媒介疾患を予防又は治療する方法であって:有効量のIL-33アンタゴニストを有効量のST2阻害剤と組み合わせて投与することを含む方法が提供される。
好適には、IL-33アンタゴニストは、本明細書の他の箇所で定義されたとおりである。好適なEGFR媒介疾患及びST2媒介疾患は、本明細書の他の箇所で定義されたとおりである。
好適には、ST2阻害剤は、当該技術分野で公知の任意のこのような阻害剤、例えば、GSK3772847(国際公開第2013/165894号パンフレットに記載)及びRG6149(国際公開第2013/173761号パンフレット)であり得、両方とも参照により本明細に組み込まれる。
好適には、IL-33アンタゴニスト及びST2阻害剤は、組み合わせて投与されてもよい。好適には、IL-33アンタゴニスト及びST2阻害剤は、組み合わせて同時に又は異なる時点で投与されてもよい。好適な投与計画は、医療専門家によって決定され得る。
患者
方法及び医学的使用は、患者又は対象に関して実践される。患者は、異常な上皮生理機能、EGFR媒介疾患、又は呼吸器疾患などの生理学的病態又は疾患の識別、診断、又は治療を必要とする患者であってもよい。
方法及び医学的使用は、患者又は対象に関して実践される。患者は、異常な上皮生理機能、EGFR媒介疾患、又は呼吸器疾患などの生理学的病態又は疾患の識別、診断、又は治療を必要とする患者であってもよい。
好適には、患者はヒトであってもよい。患者は医療を受けているか、又は個体が医療を要求している場合がある。好適には、患者は男性又は女性である。好適には、患者は大人又は子供である。
好適には、本明細書に記載される方法において、好適な患者は、異常な上皮生理機能、又はEGFR媒介疾患、又は呼吸器疾患を有していると信じられている者であってもよい。例えば、好適な患者は、このような病態と一致する症状を有し得る。
あるいは、本明細書に記載される方法の文脈における好適な患者は、異常な上皮生理機能、又はEGFR媒介疾患、又は呼吸器疾患を発症するリスクがあると考えられ得る。例えば、このような患者は、このような病態に苦しんでいる個体と接触していた可能性があるか、関連する病態に苦しんでいる可能性があるか、又は喫煙、老年期、アレルギーなどの上記病態に関連する危険因子を満たす可能性がある。
実施形態
本開示の一部は、以下の実施形態によって特徴付けることができる:
実施形態1は、EGFR媒介効果を阻害することによる疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態2は、EGFR媒介効果が、RAGE-EGFR媒介効果である、実施形態1に従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態3は、EGFR媒介効果が、RAGE-EGFR媒介シグナル伝達である、実施形態1又は2に従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態4は、疾患が呼吸器疾患である、実施形態1~3のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態5は、疾患が、異常な上皮生理機能及び/又は異常EGFR活性を特徴とする、実施形態1~4のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態6は、疾患が:COPD、気管支炎、肺気腫、CF-気管支拡張症又は-CF-気管支拡張症などの気管支拡張症、喘息、又は喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)から選択される、実施形態1~5のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態7は、呼吸器疾患が、気管支炎性COPDである、実施形態4~6のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態8は、治療が:粘液クリアランスを改善し;異常な粘液産生を阻害し;異常な上皮リモデリングを阻害し;及び/又は異常な杯細胞分化を阻害する、実施形態1~7のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態9は、IL-33アンタゴニストが、酸化IL-33の活性を阻害する、実施形態1~8のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態10は、IL-33アンタゴニストが、酸化IL-33のRAGEとの結合を妨げ、それによりRAGE-EGFRシグナル伝達を阻害する、実施形態1~9のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態11は、IL-33アンタゴニストが、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片、好ましくは、抗還元IL-33抗体又はその抗原結合断片である、実施形態1~10のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態12は、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片が、表1から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)のペアの相補性決定領域(CDR)を含む、実施形態11に従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態13は、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片が、表1から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)のペアを含む、実施形態12に従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態14は、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片が、配列番号37の配列を有するVHCDR1、配列番号38の配列を有するVHCDR2、配列番号39の配列を有するVHCDR3、配列番号40の配列を有するVLCDR1、配列番号41の配列を有するVLCDR2、及び配列番号42の配列を有するVLCDR3を含む、実施形態11~13のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態15は、IL-33アンタゴニストが、配列番号1の配列のVHドメインと、配列番号19の配列のVLドメインとを含む、IL33抗体又はその抗原結合断片である、実施形態11~14のいずれ1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
本開示の一部は、以下の実施形態によって特徴付けることができる:
実施形態1は、EGFR媒介効果を阻害することによる疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態2は、EGFR媒介効果が、RAGE-EGFR媒介効果である、実施形態1に従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態3は、EGFR媒介効果が、RAGE-EGFR媒介シグナル伝達である、実施形態1又は2に従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態4は、疾患が呼吸器疾患である、実施形態1~3のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態5は、疾患が、異常な上皮生理機能及び/又は異常EGFR活性を特徴とする、実施形態1~4のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態6は、疾患が:COPD、気管支炎、肺気腫、CF-気管支拡張症又は-CF-気管支拡張症などの気管支拡張症、喘息、又は喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)から選択される、実施形態1~5のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態7は、呼吸器疾患が、気管支炎性COPDである、実施形態4~6のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態8は、治療が:粘液クリアランスを改善し;異常な粘液産生を阻害し;異常な上皮リモデリングを阻害し;及び/又は異常な杯細胞分化を阻害する、実施形態1~7のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態9は、IL-33アンタゴニストが、酸化IL-33の活性を阻害する、実施形態1~8のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態10は、IL-33アンタゴニストが、酸化IL-33のRAGEとの結合を妨げ、それによりRAGE-EGFRシグナル伝達を阻害する、実施形態1~9のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態11は、IL-33アンタゴニストが、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片、好ましくは、抗還元IL-33抗体又はその抗原結合断片である、実施形態1~10のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態12は、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片が、表1から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)のペアの相補性決定領域(CDR)を含む、実施形態11に従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態13は、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片が、表1から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)のペアを含む、実施形態12に従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態14は、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片が、配列番号37の配列を有するVHCDR1、配列番号38の配列を有するVHCDR2、配列番号39の配列を有するVHCDR3、配列番号40の配列を有するVLCDR1、配列番号41の配列を有するVLCDR2、及び配列番号42の配列を有するVLCDR3を含む、実施形態11~13のいずれか1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態15は、IL-33アンタゴニストが、配列番号1の配列のVHドメインと、配列番号19の配列のVLドメインとを含む、IL33抗体又はその抗原結合断片である、実施形態11~14のいずれ1つに従って使用するためのIL-33アンタゴニストについて記載する。
実施形態は、次の図面を参照して、例示として説明する。
実施例1-酸化IL-33は、RAGEとEGFRの間のシグナル伝達複合体の形成を促進する
Cohen,E.S.et al.Nat.Commun.6:8327(2015)では、出願人は、IL-33の酸化されたジスルフィド結合型(DSB IL-33)の発見について記載しており、この型がST2に結合せず、ST2依存シグナル伝達を活性化できないことを示した。続いて(国際公開第2016156440A1号パンフレットを参照)、出願人は、oxIL-33が終末糖化産物の受容体(RAGE)に結合し、RAGE依存的にシグナル伝達してSTAT5を活性化し、上皮の移動に影響を与えることを示した。
Cohen,E.S.et al.Nat.Commun.6:8327(2015)では、出願人は、IL-33の酸化されたジスルフィド結合型(DSB IL-33)の発見について記載しており、この型がST2に結合せず、ST2依存シグナル伝達を活性化できないことを示した。続いて(国際公開第2016156440A1号パンフレットを参照)、出願人は、oxIL-33が終末糖化産物の受容体(RAGE)に結合し、RAGE依存的にシグナル伝達してSTAT5を活性化し、上皮の移動に影響を与えることを示した。
oxIL-33の機能を更に調査するために、上皮細胞を還元型又は酸化型のIL-33で刺激し、シグナル伝達経路を調べた。本明細書において、本発明者らは、oxIL-33が終末糖化産物の受容体(RAGE)と上皮成長因子受容体(EGFR)の複合体の新規リガンドであり、上皮機能に重大な影響を与えることを示す。
1.IL33のヒト成熟及びシステイン変異バリアントのクローニング及び発現
ヒトIL-33(112~270);受託番号(UniProt)095760(IL33-01又はIL-33とも称される)の成熟成分、及び4つのシステイン残基をセリンに突然変異させたバリアント(IL33-16又はIL-33[C->S])をコードするcDNA分子をプライマー伸長PCRによって合成し、pJexpress411(DNA2.0)にクローニングした。野生型(WT)及び突然変異体IL-33コード配列は、タンパク質のN末端に10xHis、Avitag、及び第Xa因子プロテアーゼ切断部位(MHHHHHHHHHHAAGLNDIFEAQKIEWHEAAIEGR 配列番号43)を含有するように修飾した。大腸菌(E.coli)BL21(DE3)細胞を形質転換することにより、N末端タグ付加His10/Avitag IL33-01(WT、配列番号44)、及びN末端タグ付加His10/Avitag IL33-16(WT、配列番号45)を作成した。形質転換細胞を自己誘導培地(Overnight Express(商標)Autoinduction System 1,Merck Millipore,71300-4)中37℃で18時間培養した後、細胞を遠心分離によって回収し、-20℃で保存した。細胞を、cOmplete EDTAフリープロテアーゼ阻害剤カクテル錠(Roche,11697498001)及び50U/mLのベンゾナーゼヌクレアーゼ(Merck Millipore,70746-3)を含有する2×DPBS中に再懸濁させて、音波処理で溶解させた。細胞溶解物は、4℃で30分間、50,000×gで遠心分離することにより清澄化した。IL-33タンパク質は、固定化金属親和性クロマトグラフィーにより上清から精製し、2×DPBS、1mMのDTTで5mL/分で平衡化したHisTrap Excelカラム(GE Healthcare,17371205)にロードした。カラムを、2×DPBS、1mMのDTT、20mMのイミダゾール、pH7.4で洗浄して不純物を除去し、次いで2×DPBS、0.1%のTritonX-114で洗浄してエンドトキシンの固定化タンパク質を除去した。2×DPBS、1mMのDTT、20mMのイミダゾール、pH7.4で更に洗浄した後、サンプルを2×DPBS、1mMのDTT、400mMのイミダゾール、pH7.4で溶出した。IL-33は、2×DPBSで2.5mL/分にてHiLoad Superdex75 26/600 pgカラム(GE Healthcare,28989334)を使用したサイズ排除クロマトグラフィーによって更に精製した。ピーク画分をSDS PAGEによって分析した。純粋IL-33を含有する画分をプールし、280nmの吸光度によって濃度を計測した。最終試料をSDS PAGEによって分析した。
ヒトIL-33(112~270);受託番号(UniProt)095760(IL33-01又はIL-33とも称される)の成熟成分、及び4つのシステイン残基をセリンに突然変異させたバリアント(IL33-16又はIL-33[C->S])をコードするcDNA分子をプライマー伸長PCRによって合成し、pJexpress411(DNA2.0)にクローニングした。野生型(WT)及び突然変異体IL-33コード配列は、タンパク質のN末端に10xHis、Avitag、及び第Xa因子プロテアーゼ切断部位(MHHHHHHHHHHAAGLNDIFEAQKIEWHEAAIEGR 配列番号43)を含有するように修飾した。大腸菌(E.coli)BL21(DE3)細胞を形質転換することにより、N末端タグ付加His10/Avitag IL33-01(WT、配列番号44)、及びN末端タグ付加His10/Avitag IL33-16(WT、配列番号45)を作成した。形質転換細胞を自己誘導培地(Overnight Express(商標)Autoinduction System 1,Merck Millipore,71300-4)中37℃で18時間培養した後、細胞を遠心分離によって回収し、-20℃で保存した。細胞を、cOmplete EDTAフリープロテアーゼ阻害剤カクテル錠(Roche,11697498001)及び50U/mLのベンゾナーゼヌクレアーゼ(Merck Millipore,70746-3)を含有する2×DPBS中に再懸濁させて、音波処理で溶解させた。細胞溶解物は、4℃で30分間、50,000×gで遠心分離することにより清澄化した。IL-33タンパク質は、固定化金属親和性クロマトグラフィーにより上清から精製し、2×DPBS、1mMのDTTで5mL/分で平衡化したHisTrap Excelカラム(GE Healthcare,17371205)にロードした。カラムを、2×DPBS、1mMのDTT、20mMのイミダゾール、pH7.4で洗浄して不純物を除去し、次いで2×DPBS、0.1%のTritonX-114で洗浄してエンドトキシンの固定化タンパク質を除去した。2×DPBS、1mMのDTT、20mMのイミダゾール、pH7.4で更に洗浄した後、サンプルを2×DPBS、1mMのDTT、400mMのイミダゾール、pH7.4で溶出した。IL-33は、2×DPBSで2.5mL/分にてHiLoad Superdex75 26/600 pgカラム(GE Healthcare,28989334)を使用したサイズ排除クロマトグラフィーによって更に精製した。ピーク画分をSDS PAGEによって分析した。純粋IL-33を含有する画分をプールし、280nmの吸光度によって濃度を計測した。最終試料をSDS PAGEによって分析した。
非タグ化IL-33を作成するため、N末端タグ付加His10/Avitag IL33を2×DPBSバッファー中タンパク質1mg当たり10単位の第Xa因子(GE healthcare,27084901)と共に室温で1時間インキュベートした。HiLoad Superdex 75pgカラム(GE healthcare,28989333)で2×DPBS中SECクロマトグラフィーを用いて、流量を1mL/分で、非タグ化IL-33を精製した。
2.酸化IL-33(oxIL-33)の作成及び精製
還元IL33-01は、60%IMDM培地(フェノールレッドを含まない)、40%DPBS中で最終濃度0.5mg/mLに希釈し、37℃で18時間インキュベートすることにより酸化した。酸化プロセス中に生じた凝集物は、HiTrap Capto Q ImpResアニオン交換カラム(GE Healthcare,17547055)にロードすることにより、サンプルから除去した。ロードする前に、1MのTris、pH9.0をpHが8.3に達するまで添加し、最終濃度が125mMになるように5MのNaClを添加することにより、サンプルを調整した-これらのロード条件下で、カラムに結合した凝集物とモノマーのoxIL-33が結合せずに流れ、回収された。タグは、22℃で120分間、50μgのoxIL-33当たり1μgの第Xa因子の最終濃度で第Xa因子(NEB,P8010L)とインキュベートすることにより、oxIL-33から切断した。残存する還元IL-33をサンプルから除去するために、ヒトIgG1 Fc-His6に融合した可溶性ヒトST2S細胞外ドメインを、サンプルとともに22℃で30分間インキュベートし、還元IL-33に結合させた。サンプルを3,000Daカットオフの遠心濃縮器で濃縮し、HiLoad Superdex 75 26/600 pgカラム(GE Healthcare,28989334)に2mL/分の流速でロードし、モノマーのoxIL-33を、他のサンプル成分から分離した。純粋なoxIL-33を含有する画分をプールして濃縮し、サンプルの最終濃度を280nmでのUV吸光度分光法によって計測した。最終生成物の品質は、SDS-PAGE、HP-SEC、及びRP-HPLCによって評価した。
還元IL33-01は、60%IMDM培地(フェノールレッドを含まない)、40%DPBS中で最終濃度0.5mg/mLに希釈し、37℃で18時間インキュベートすることにより酸化した。酸化プロセス中に生じた凝集物は、HiTrap Capto Q ImpResアニオン交換カラム(GE Healthcare,17547055)にロードすることにより、サンプルから除去した。ロードする前に、1MのTris、pH9.0をpHが8.3に達するまで添加し、最終濃度が125mMになるように5MのNaClを添加することにより、サンプルを調整した-これらのロード条件下で、カラムに結合した凝集物とモノマーのoxIL-33が結合せずに流れ、回収された。タグは、22℃で120分間、50μgのoxIL-33当たり1μgの第Xa因子の最終濃度で第Xa因子(NEB,P8010L)とインキュベートすることにより、oxIL-33から切断した。残存する還元IL-33をサンプルから除去するために、ヒトIgG1 Fc-His6に融合した可溶性ヒトST2S細胞外ドメインを、サンプルとともに22℃で30分間インキュベートし、還元IL-33に結合させた。サンプルを3,000Daカットオフの遠心濃縮器で濃縮し、HiLoad Superdex 75 26/600 pgカラム(GE Healthcare,28989334)に2mL/分の流速でロードし、モノマーのoxIL-33を、他のサンプル成分から分離した。純粋なoxIL-33を含有する画分をプールして濃縮し、サンプルの最終濃度を280nmでのUV吸光度分光法によって計測した。最終生成物の品質は、SDS-PAGE、HP-SEC、及びRP-HPLCによって評価した。
3.ヒトST2ECDのクローニング、発現、及び精製
内因性シグナルペプチド(アミノ酸残基19-328)を有さないST2(UniProtアクセッションQ01638-2)の天然に存在するST2S可溶性アイソフォームをコードするcDNAを、ギブソンアセンブリと適合する伸長をコードするプライマー及びST2Sコード配列のN末端に融合したCD33シグナルペプチドを用いてPCRで増幅した。C末端にHis6タグを有するヒトIgG1Fcのコード配列も同様に増幅した。ST2S cDNA及びIgG1 Fc-His6 cDNAは、ギブソンアセンブリを使用して、EBVからのOriP複製起点を持つ哺乳類のCMVプロモーター駆動型発現ベクターであるpDEST12.2OriPを使用してアセンブルし、EBNA-1タンパク質を発現する細胞株のエピソーム維持を可能にした。タンパク質発現のために、トランスフェクション試薬としてポリエチレンイミンを使用して、プラスミドを、EBNA-1を過剰発現するCHO細胞の懸濁培養液に一次的に形質転換した。分泌されたST2S-Fc-His6融合タンパク質を含む条件培地をトランスフェクションの7日後に回収し、HiTrap MabSelect SuRe(プロテインA、GE Healthcare、11-0034-95)親和性クロマトグラフィーカラムに2mL/分でロードした。カラムを2×DPBSで洗浄し、タンパク質を25mMの酢酸ナトリウム、pH3.6で溶出した。ST2S-Fc-His6を含有する画分をプールし、2×DPBSで2mL/分にて平衡化したHiLoad Superdex 200 26/600pgカラム(GE Healthcare,28989336)にロードした。純粋なST2S-Fc-His6タンパク質を含有する画分をプールし、280nmの吸光度によって濃度を計測した。最終試料をSDS PAGEによって分析した。
内因性シグナルペプチド(アミノ酸残基19-328)を有さないST2(UniProtアクセッションQ01638-2)の天然に存在するST2S可溶性アイソフォームをコードするcDNAを、ギブソンアセンブリと適合する伸長をコードするプライマー及びST2Sコード配列のN末端に融合したCD33シグナルペプチドを用いてPCRで増幅した。C末端にHis6タグを有するヒトIgG1Fcのコード配列も同様に増幅した。ST2S cDNA及びIgG1 Fc-His6 cDNAは、ギブソンアセンブリを使用して、EBVからのOriP複製起点を持つ哺乳類のCMVプロモーター駆動型発現ベクターであるpDEST12.2OriPを使用してアセンブルし、EBNA-1タンパク質を発現する細胞株のエピソーム維持を可能にした。タンパク質発現のために、トランスフェクション試薬としてポリエチレンイミンを使用して、プラスミドを、EBNA-1を過剰発現するCHO細胞の懸濁培養液に一次的に形質転換した。分泌されたST2S-Fc-His6融合タンパク質を含む条件培地をトランスフェクションの7日後に回収し、HiTrap MabSelect SuRe(プロテインA、GE Healthcare、11-0034-95)親和性クロマトグラフィーカラムに2mL/分でロードした。カラムを2×DPBSで洗浄し、タンパク質を25mMの酢酸ナトリウム、pH3.6で溶出した。ST2S-Fc-His6を含有する画分をプールし、2×DPBSで2mL/分にて平衡化したHiLoad Superdex 200 26/600pgカラム(GE Healthcare,28989336)にロードした。純粋なST2S-Fc-His6タンパク質を含有する画分をプールし、280nmの吸光度によって濃度を計測した。最終試料をSDS PAGEによって分析した。
4.ヒトアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)ECDのクローニング、発現、及び精製
細胞質ドメイン及び膜貫通ドメイン(アミノ酸残基62-291)を有さないアシアロ糖タンパク質受容体(UniProtアクセッションP07306)の細胞外ドメイン(ECD)をコードするcDNAを、GeneartでCD33シグナルペプチドとそれに続くECDドメインのN末端に融合したHis10_Aviタグ配列を用いて化学合成した。コンストラクトを、EBVからのOriP複製起点を持つ哺乳類のCMVプロモーター駆動型発現ベクターであるpDEST12.2OriPに直接クローン化し、EBNA-1タンパク質を発現する細胞株のエピソーム維持を可能にした。タンパク質発現のために、トランスフェクション試薬として293フェクチンを使用して、プラスミドを、HEK Freestyle 293F細胞の懸濁培養液に一次的に形質転換した。分泌されたHisAVi_hASGPR ECD融合タンパク質を含む条件培地を、固定化金属親和性クロマトグラフィーにより、トランスフェクションの7日後に回収し、2×DPBSで4mL/分にて平衡化したHisTrap Excelカラム(GE Healthcare,17371205)にロードした。カラムを2×DPBS、40mMのイミダゾール、pH7.4で洗浄して不純物を除去し、サンプルを2×DPBS、400mMのイミダゾール、pH7.4で溶出した。ヒトASGPR ECDは、2×DPBSで1mL/分にてHiLoad Superdex75 16/600 pgカラム(GE Healthcare,28-9893-33)を使用したサイズ排除クロマトグラフィーによって更に精製した。ピーク画分をSDS-PAGEによって分析した。純粋なモノマーASGPRを含有する画分をプールし、280nmの吸光度によって濃度を計測した。最終試料をSDS PAGEによって分析した。
細胞質ドメイン及び膜貫通ドメイン(アミノ酸残基62-291)を有さないアシアロ糖タンパク質受容体(UniProtアクセッションP07306)の細胞外ドメイン(ECD)をコードするcDNAを、GeneartでCD33シグナルペプチドとそれに続くECDドメインのN末端に融合したHis10_Aviタグ配列を用いて化学合成した。コンストラクトを、EBVからのOriP複製起点を持つ哺乳類のCMVプロモーター駆動型発現ベクターであるpDEST12.2OriPに直接クローン化し、EBNA-1タンパク質を発現する細胞株のエピソーム維持を可能にした。タンパク質発現のために、トランスフェクション試薬として293フェクチンを使用して、プラスミドを、HEK Freestyle 293F細胞の懸濁培養液に一次的に形質転換した。分泌されたHisAVi_hASGPR ECD融合タンパク質を含む条件培地を、固定化金属親和性クロマトグラフィーにより、トランスフェクションの7日後に回収し、2×DPBSで4mL/分にて平衡化したHisTrap Excelカラム(GE Healthcare,17371205)にロードした。カラムを2×DPBS、40mMのイミダゾール、pH7.4で洗浄して不純物を除去し、サンプルを2×DPBS、400mMのイミダゾール、pH7.4で溶出した。ヒトASGPR ECDは、2×DPBSで1mL/分にてHiLoad Superdex75 16/600 pgカラム(GE Healthcare,28-9893-33)を使用したサイズ排除クロマトグラフィーによって更に精製した。ピーク画分をSDS-PAGEによって分析した。純粋なモノマーASGPRを含有する画分をプールし、280nmの吸光度によって濃度を計測した。最終試料をSDS PAGEによって分析した。
5.酸化型のIL-33はMAPキナーゼ経路を活性化する
正常なヒト気管支上皮(NHBE)細胞(CC-2540)をLonzaから入手し、製造元のプロトコルに従い完全BEGM培地(Lonza)に維持した。NHBEをアキュターゼ(PAA,#L1 1-007)で回収し、培養培地[BEGM(Lonza CC-3171)及び補充キット(Lonza CC-4175)]の6ウェルディッシュ(Corning Costar,3516)に1×106/2mLで播種した。細胞を37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。この時間経過後、培地をアスピレーションし、細胞を1mL PBSで2回洗浄した後、飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したBEGM(Lonza CC-3171)を添加した。次いで、刺激の前に、プレートを37℃、5%CO2で更に18~24時間インキュベートした。
正常なヒト気管支上皮(NHBE)細胞(CC-2540)をLonzaから入手し、製造元のプロトコルに従い完全BEGM培地(Lonza)に維持した。NHBEをアキュターゼ(PAA,#L1 1-007)で回収し、培養培地[BEGM(Lonza CC-3171)及び補充キット(Lonza CC-4175)]の6ウェルディッシュ(Corning Costar,3516)に1×106/2mLで播種した。細胞を37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。この時間経過後、培地をアスピレーションし、細胞を1mL PBSで2回洗浄した後、飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したBEGM(Lonza CC-3171)を添加した。次いで、刺激の前に、プレートを37℃、5%CO2で更に18~24時間インキュベートした。
MAPキナーゼリン酸化抗体アレイキット(ab211061)はAbcamから購入し、製造元の指示に従って実験を実施した。18~24時間飢餓状態にした6ウェルディッシュのNHBEは、非処理のままにするか、又は30ng/mLの還元IL-33、IL-33-16、又は酸化IL-33のいずれかで処理した後、37℃、5%CO2で10分間インキュベータに戻した(このアッセイで使用した活性剤については、表2を参照されたい)。プレートをインキュベータから取り外し、細胞を氷冷PBSで洗浄した後、キットに付属の1×溶解バッファーを1ウェル当たり100μL添加した。タンパク質抽出物を1.5mLチューブに移した後、4℃にて14,000rpmで清澄化した。タンパク質濃度はBCA法(Thermo,23225)を使用して測定し、アレイメンブレン当たり250μgの総タンパク質を使用した。その後の全ての工程は製造業者の指示に従って実施した。メンブレンをLiCor C-digitで視覚化し、Image Liteスタジオを使用して定量化した。
野生型(IL-33)及びC->S(IL-33[C->S])還元型のIL-33(それぞれ、IL33-01及びIL33-16)とは対照的に、酸化IL33-01(oxIL-33)は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)が関与する経路と一致する複数の重要なシグナル伝達分子を活性化した(図1)。
6.酸化型のIL-33は上皮成長因子受容体(EGFR)を活性化する
oxIL-33によって活性化された受容体チロシンキナーゼ(RTK)を同定するために、71RTKアレイを使用してスクリーニングを実施した。RTKリン酸化抗体アレイキット(ab193662)はAbcamから購入し、製造元の指示に従って実験を実施した。NHBEを培養し、培養培地[BEGM(Lonza CC-3171)及び補充キット(Lonza CC-4175)]の6ウェルプレート(Corning Costar,3516)に1×106/2mLで播種した。細胞を37℃で、5%CO2で18~24時間インキュベートした。この時間経過後、培地をアスピレーションし、細胞を1mL PBSで2回洗浄した後、飢餓培地(補充キットなしのBEGM(Lonza CC-3171)を添加した。次いで、刺激の前に、プレートを37℃、5%CO2で更に18~24時間インキュベートした。MAPキナーゼアレイについて前述したのと同じ手順に従って、細胞を活性化し(表2の活性化因子)、溶解し、アレイメンブレン当たり250μgの総タンパク質を使用した。その後の全ての工程は製造業者の指示に従って実施した。メンブレンをLiCor C-digitで視覚化し、Image Liteスタジオを使用して定量化した。還元野生型(IL-33)又はC->S(IL-33[C->S])IL-33(それぞれ、IL33-01及びIL33-16)のいずれに対しても応答は検出されなかった。しかしながら、oxIL-33(酸化IL-33-01)は、上皮成長因子受容体(EGFR)に対応するRTKアレイで正のシグナルを惹起した(図2)。
oxIL-33によって活性化された受容体チロシンキナーゼ(RTK)を同定するために、71RTKアレイを使用してスクリーニングを実施した。RTKリン酸化抗体アレイキット(ab193662)はAbcamから購入し、製造元の指示に従って実験を実施した。NHBEを培養し、培養培地[BEGM(Lonza CC-3171)及び補充キット(Lonza CC-4175)]の6ウェルプレート(Corning Costar,3516)に1×106/2mLで播種した。細胞を37℃で、5%CO2で18~24時間インキュベートした。この時間経過後、培地をアスピレーションし、細胞を1mL PBSで2回洗浄した後、飢餓培地(補充キットなしのBEGM(Lonza CC-3171)を添加した。次いで、刺激の前に、プレートを37℃、5%CO2で更に18~24時間インキュベートした。MAPキナーゼアレイについて前述したのと同じ手順に従って、細胞を活性化し(表2の活性化因子)、溶解し、アレイメンブレン当たり250μgの総タンパク質を使用した。その後の全ての工程は製造業者の指示に従って実施した。メンブレンをLiCor C-digitで視覚化し、Image Liteスタジオを使用して定量化した。還元野生型(IL-33)又はC->S(IL-33[C->S])IL-33(それぞれ、IL33-01及びIL33-16)のいずれに対しても応答は検出されなかった。しかしながら、oxIL-33(酸化IL-33-01)は、上皮成長因子受容体(EGFR)に対応するRTKアレイで正のシグナルを惹起した(図2)。
EGFRシグナル伝達を刺激するoxIL-33(酸化IL-33-01)の能力を、更なる方法によって確認した。活性化後、EGFRをTyr1068でリン酸化し、このホスホ-EGFRを、均一FRET(蛍光共鳴エネルギー転移)HTRF(登録商標)(均一時間分解蛍光、Cisbio International)アッセイ(Cisbioキット #64EG1PEH)を用いて検出することができる。要約すると、NHBEを、培養培地[BEGM(Lonza CC-3171)及び補充キット(Lonza CC-4175)]の96ウェルプレート(Corning Costar,3598)中で5×105/100μLでプレーティングした。プレートを37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。この時間経過後、培地をアスピレーションし、細胞を0.2mL PBSで2回洗浄した後、飢餓培地(補充キットなしのBEGM(Lonza CC-3171)を添加した。次いで、プレートを37℃、5%CO2で更に18~24時間インキュベートした後、IL-33-01、IL-33-16、及びoxIL-33(酸化IL-33-01)、並びにEGFRリガンド(表2及び3)の濃度を上げて刺激した後、37℃、5%CO2で10分間インキュベータに戻した。培地をアスピレーションし、ウェル当たり50μLの溶解バッファー(Cisbio,64EG1PEH)と交換した。次いで、アッセイは、製造元の指示(Cisbio,64EG1PEH)に従って実施した。EnVisionプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して620nm及び665nm発光波長で時間分解蛍光を読み取った。データを、665/620nmの比率を計算することによって分析し、GraphPad Prismソフトウェアを使用して、4パラメータロジスティック方程式を用いたカーブフィッティングによりEC50値を決定した。
同様に、EGFRリン酸化を、このセクションで前述したように、HTRFアッセイを利用して上皮細胞株A549で評価した。要約すると、A549をATCCから入手し、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%FBSを補充したRPMI GlutaMax培地で培養した。細胞をアキュターゼ(PAA,#L1 1-007)で回収し、5×105/100μLで96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。次いで、ウェルを100μLのPBSで2回洗浄した後、100μLの飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI GlutaMax培地)を添加し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。細胞を、IL-33-01、IL-33-16、及びoxIL-33-01(酸化IL-33-01の別名)、EGFRリガンド、並びにRAGEリガンド(表2及び3)の濃度を上げて刺激した後、37℃、5%CO2で10分間インキュベータに戻した。培地をアスピレーションし、ウェル当たり50μLの溶解バッファー(Cisbio,64EG1PEH)と交換した。次いで、アッセイは、製造元の指示(Cisbio,64EG1PEH)に従って実施した。EnVisionプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して620nm及び665nm発光波長で時間分解蛍光を読み取った。データを、665/620nmの比率を計算することによって分析し、GraphPad Prismソフトウェアを使用して、4パラメータロジスティック方程式を用いたカーブフィッティングによりEC50値を決定した。
NHBE細胞とA549細胞の両方で、oxIL-33は、真正アゴニストであるEGFと同様にEGFRのリン酸化を促進した(図3)。これは、試験された他のRAGEリガンドでは再現されなかった。
7.シグナル伝達成分のウェスタンブロット
ウェスタンブロット実験を実施して、EGFRシグナル伝達複合体のどの要素がoxIL-33(酸化IL33-01)に応答して活性化されるかを更に調査した。NHBEを培養し、上記のセクション5で説明したように6ウェルディッシュにプレーティングした。血清飢餓の後、細胞をoxIL-33(30ng/mL)で5~240分間刺激した。次いで培地をアスピレーションし、細胞を氷冷PBSで洗浄した後、150μLの溶解バッファー[1×LDSサンプルバッファー(Thermo,NP0008)、10mMのMgCl2(VWR,7786-30-3)、2.5%のβ-メルカプトエタノール(Sigma,M6250)、及び0.4μg/mLのベンゾナーゼ(Millipore,70746)]を添加した。細胞を氷上に10分間置いた後、溶解物を1.5mLチューブに移し、90℃に5分間加熱した。溶液を新しい1.5mLチューブに移し、10μLのサンプルと5μLのタンパク質ラダー(BioRad,1610374)を、MESランニングバッファー(B0002)中の4~12%SDS-PAGEゲル(Thermo,NW04127BOX)で泳動した。Transblot Turbo(BioRad)を使用して、ゲルをPVDFメンブレン(BioRad,1704156)に転写した。PVDFメンブレンを5%スキムミルクパウダー(Marvel)を含むPBS-tween溶液で10分間ブロックした。次いで、メンブレンを、5%BSAを含むPBS-tween中の一次抗体とともに4℃で一晩インキュベートした。次いで、メンブレンを、PBS-tweenで5回洗浄し、5%スキムミルクパウダーを含むPBS-tween中の二次HRPタグ付き抗体とともに室温で1時間インキュベートした。次いで、メンブレンをPBS-tweenで5回洗浄した後、ECL(BioRad,1705062)を添加し、Licor C-digitを可視化した。
ウェスタンブロット実験を実施して、EGFRシグナル伝達複合体のどの要素がoxIL-33(酸化IL33-01)に応答して活性化されるかを更に調査した。NHBEを培養し、上記のセクション5で説明したように6ウェルディッシュにプレーティングした。血清飢餓の後、細胞をoxIL-33(30ng/mL)で5~240分間刺激した。次いで培地をアスピレーションし、細胞を氷冷PBSで洗浄した後、150μLの溶解バッファー[1×LDSサンプルバッファー(Thermo,NP0008)、10mMのMgCl2(VWR,7786-30-3)、2.5%のβ-メルカプトエタノール(Sigma,M6250)、及び0.4μg/mLのベンゾナーゼ(Millipore,70746)]を添加した。細胞を氷上に10分間置いた後、溶解物を1.5mLチューブに移し、90℃に5分間加熱した。溶液を新しい1.5mLチューブに移し、10μLのサンプルと5μLのタンパク質ラダー(BioRad,1610374)を、MESランニングバッファー(B0002)中の4~12%SDS-PAGEゲル(Thermo,NW04127BOX)で泳動した。Transblot Turbo(BioRad)を使用して、ゲルをPVDFメンブレン(BioRad,1704156)に転写した。PVDFメンブレンを5%スキムミルクパウダー(Marvel)を含むPBS-tween溶液で10分間ブロックした。次いで、メンブレンを、5%BSAを含むPBS-tween中の一次抗体とともに4℃で一晩インキュベートした。次いで、メンブレンを、PBS-tweenで5回洗浄し、5%スキムミルクパウダーを含むPBS-tween中の二次HRPタグ付き抗体とともに室温で1時間インキュベートした。次いで、メンブレンをPBS-tweenで5回洗浄した後、ECL(BioRad,1705062)を添加し、Licor C-digitを可視化した。
結果は、oxIL-33-01がいくつかのEGFRシグナル伝達成分を活性化したことを示している(図4)。
8.ox-IL-33はSTAT-5リン酸化を誘導し、これはEGFR中和Abによってブロックされる
次に、EGFRへの結合を妨げることによってoxIL33媒介STAT5活性化を阻害できるかどうかを確認することが求められた。要約すると、A549細胞を、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%FBSを補充したRPMI GlutaMax培地で培養した。細胞をアキュターゼで回収し、5×105/100μLで96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。次いで、ウェルを100μLのPBSで2回洗浄した後、100μLの飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI GlutaMax培地)を添加し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。抗EGFR抗体(クローンLA1(05-101,Millipore)又はアイソタイプコントロール(MAB002,R&D Systems)を用量依存的にウェルに添加し、プレートを30分間インキュベータに戻した。次いで、プレートを酸化IL-33(30ng/mL)で30分間刺激した後、phosho-STAT5 ELISAキット溶解バッファー(85-86112-11,ThermoFischer Scientific)を使用して溶解し、製造元の指示に従って展開して、450nMでの吸光度を読み取った。図5で示すように、oxIL-33-01で活性化された細胞は、STAT5のリン酸化を示し、これは、抗EGFR抗体の存在下で減少する(図5)。
次に、EGFRへの結合を妨げることによってoxIL33媒介STAT5活性化を阻害できるかどうかを確認することが求められた。要約すると、A549細胞を、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%FBSを補充したRPMI GlutaMax培地で培養した。細胞をアキュターゼで回収し、5×105/100μLで96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。次いで、ウェルを100μLのPBSで2回洗浄した後、100μLの飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI GlutaMax培地)を添加し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。抗EGFR抗体(クローンLA1(05-101,Millipore)又はアイソタイプコントロール(MAB002,R&D Systems)を用量依存的にウェルに添加し、プレートを30分間インキュベータに戻した。次いで、プレートを酸化IL-33(30ng/mL)で30分間刺激した後、phosho-STAT5 ELISAキット溶解バッファー(85-86112-11,ThermoFischer Scientific)を使用して溶解し、製造元の指示に従って展開して、450nMでの吸光度を読み取った。図5で示すように、oxIL-33-01で活性化された細胞は、STAT5のリン酸化を示し、これは、抗EGFR抗体の存在下で減少する(図5)。
実施例2-酸化IL-33は、EGFRとRAGEの間の複合体形成を誘導する
9.oxIL-33は、EGFRとRAGEの間の複合体形成を誘導する
RAGE及びEGFRがoxIL-33のシグナル伝達の促進にどのように関与しているかを理解するために、免疫沈降実験を行ってシグナル伝達複合体を調べた。まず、抗EGFR抗体は、Dynabeadsに共有結合した。抗EGFR抗体(R&D systems,AF231)の2つの100μgバイアルを、40mgのDynabeads(Thermo,14311D)とインキュベートし、製造元の指示に従って共有結合させた。カップリングが成功した後、ビーズを30mg/mLのPBSに再懸濁させ、4℃に維持した。
9.oxIL-33は、EGFRとRAGEの間の複合体形成を誘導する
RAGE及びEGFRがoxIL-33のシグナル伝達の促進にどのように関与しているかを理解するために、免疫沈降実験を行ってシグナル伝達複合体を調べた。まず、抗EGFR抗体は、Dynabeadsに共有結合した。抗EGFR抗体(R&D systems,AF231)の2つの100μgバイアルを、40mgのDynabeads(Thermo,14311D)とインキュベートし、製造元の指示に従って共有結合させた。カップリングが成功した後、ビーズを30mg/mLのPBSに再懸濁させ、4℃に維持した。
NHBEをLonzaから入手し(CC-2540)、冷凍バイアルを15cmのディッシュ(Thermo,157150)に1ディッシュ当たり1×106の細胞で直接播種した。NHBEは、製造元のプロトコルに従って完全BEGM培地(Lonza)で1か月間維持され、細胞がコンフルエントに達するまで3日ごとに培地を交換した。この時間の間、プレートを37℃、5%CO2でインキュベートした。刺激の前日、プレートを20mLのPBSで2回洗浄した後、15mLの飢餓培地(補充キットなしのBEGM(Lonza CC-3171)を添加した。次いで、プレートを37℃、5%CO2で更に18~24時間インキュベートした後、培地のみ(非刺激対照)、30ng/mLの還元IL-33-01、30ng/mLの酸化IL-33-01、又は30ng/mLのEGFで刺激し、37℃、5%CO2に10分間戻した。培地をアスピレーションし、プレートを氷冷PBSで2回洗浄した後、15cmの1ディッシュ当たり、ホスファターゼ及びプロテアーゼ阻害剤(Thermo,78440)を含有する1mLの溶解バッファー(Abcam,ab152163)を添加した。細胞を溶解バッファーにこすり落とした後、2mLのProtein LoBindチューブ(Eppendorf,Z666513)に移し、4℃にて14,000rpmで回転させて清澄化した。タンパク質濃度はBCAキット(Thermo,23225)を使用して決定し、全てのタンパク質抽出物を、溶解バッファーで3mg/mLに正規化した。6mgの総タンパク質抽出物を、100μLの抗EGFR Dynabeads(上記)と透明な2mLのLoBindチューブでインキュベートした。次いで、チューブを、4℃にて5時間、転倒式ミキサーに配置した。磁石(BioRad,1614916)を使用して、Dynabeadsを固定化し、タンパク質抽出物をアスピレーションし、2mLの洗浄バッファー1(50mM Tris-HCl pH7.5(Thermo,15567027)、0.5%TritonX 100(Sigma,X100)、0.3MのNaClで置換した。これを4回以上繰り返した。次いで、ビーズを同じ方法で洗浄バッファー2(50mMのTris-HCl pH7.5)で更に10回洗浄した。最後の洗浄ステップの後、50mMのTris-HCl pH8.0中の1%Rapigest(w/v)(Waters,186001861)50μLをビーズに添加し、60℃で10分間加熱した。次いで、上清を新しいLoBind 2mLチューブに移した。更に50mMのTris-HCl pH8.0 100μLを樹脂に添加し、混合した後、最初の溶出液と合わせた。次いで、TCEP(Sigma,646547)を最終濃度が5mMになるように添加し、サンプルを60℃で10分間加熱した。次いで、溶出液を、ヨードアセトアミド(Sigma,16125)を暗所、室温で20分間10mMまで添加することによりアルキル化した。アルキル化は、10mMまでDTT(Sigma,D5545)を添加することによってクエンチした。次いで、Tris-HClバッファー50mM pH8.0を添加して、最終サンプル量を500μLにした。チューブ当たり0.5μgのトリプシン(Promega,V5111)を添加し、サンプルを400rpmの振盪プラットフォームで30℃で一晩消化した。次いで、サンプルをトリフルオロ酢酸(Sigma,302031)で最終濃度2.0%(v/v)に酸性化し、37℃で1時間インキュベートした。次いで、サンプルを14,000rpmで30分間遠心分離し、上清を新しい2mLのLoBindチューブに移した。次いで、製造元の指示に従って、サンプルをC18カラム(Thermo,87784)で処理した。次いで、サンプルをspeed-vacを使用して乾燥させた後、-20℃で保存した。次いで、ペプチドマスフィンガープリンティング質量分析(PMF-LC-MS)によってサンプルを分析した。Scaffoldソフトウェアを使用して結果を分析した。
EGFRは、4つの条件全てで同様に検出され、免疫沈降が全てのサンプルでうまく機能したことを示唆していた。RAGE及びIL-33は、IL33-01(IL-33)又はEGFで処理されたサンプルとは対照的に、oxIL-33で処理されたサンプルで検出され、これはoxIL-33とRAGEがシグナル伝達中にEGFRと関連していたことを示唆していた。oxIL-33及びEGFによるこれらの細胞におけるEGFR活性化の以前の観察と一致して、EGFRシグナル伝達及びエンドサイトーシスに関与すると以前に報告されたタンパク質は、これらのリガンドによる刺激後に検出されたが、還元IL33-01では検出されなかった(表4)。
表4は、還元IL-33-01(IL-33)、oxIL-33(酸化IL-33-01)、又はEGFで刺激されたNHBEのLCMS分析を示している。IL-33及びRAGEは、oxIL-33による刺激後、EGFRと複合体を形成して検出されるが、還元IL33-01(IL-33)又はEGFによる刺激後は検出されない。括弧は、各タンパク質について同定された固有のペプチドの数を示す。
これらの観察結果を確認するために、上記のプロトコルに従って調製した細胞溶解物に対して免疫沈降及びウェスタンブロットも実施した。NHBEタンパク質抽出物濃度の測定後、3mgの総タンパク質を6μgの抗EGFR抗体(R&D systems,AF231)とともに1.5mLチューブ内でインキュベートし、4℃で2.5時間、転倒式ミキサーに配置した。次いで、1.5mgのプロテインA/G磁気ビーズ(Thermo,88802)を各チューブに添加し、次いでチューブを混合しながら更に1時間4℃に戻した。次いで、ビーズを磁石(BioRad,1614916)で回収し、500μLの(50mM Tris(pH7.5)、1%TritonX及び0.25M NaCl)で3回、500μLの10mM Tris(pH 7.5)で1回洗浄した。次いで、還元剤(Thermo,NP0004)を含む35μLのLDSサンプルバッファー(Thermo,NP0008)を使用し、95℃で5分間加熱して、タンパク質を磁気ビーズから放出した。溶液を新しい1.5mLチューブに移し、10μLのサンプルと5μLのタンパク質ラダー(BioRad,1610374)を、MESランニングバッファー(B0002)中の4~12%SDS-PAGEゲル(Thermo,NW04127BOX)で泳動した。Transblot Turbo(BioRad)を使用して、ゲルをPVDFメンブレン(BioRad,1704156)に転写した。PVDFメンブレンを5%スキムミルクパウダー(Marvel)を含むPBS-tween溶液で10分間ブロックした。次いで、メンブレンを一次抗体(抗EGFR(Cell Signaling Technology,2232)、抗RAGE(Cell Signaling Technology,6996)、又は抗IL-33(R&D Systems,AF3625)と、5%BSAを含むPBS-tweenで4℃にて一晩インキュベートした。次いで、メンブレンをPBS-tweenで5回洗浄し、次いで5%のスキムミルクパウダーを含むPBS-tweenで抗ウサギ二次HRPタグ付き抗体(Cell Signaling Technology,7074)又は抗ヤギ二次HRPタグ付き抗体(R&D systems,HAF109)と、室温で1時間インキュベートした。次いで、メンブレンをPBS-tweenで5回洗浄した後、ECL(BioRad,1705062)を添加し、Licor C-digitを可視化した。ウェスタンブロットにより、RAGEはoxIL-33の存在下でEGFRと共沈することが確認されたが、EGF刺激ではRAGEは検出されなかった(図6)。これらの発見は、RAGE及びEGFRが酸化IL-33シグナル伝達複合体の機能的部分であることを明らかにしている。
10.oxIL-33がEGFRと複合体を形成するにはRAGEが必要である
上記の実験は、oxIL-33がEGF受容体(EGFR)の複合体のリガンドであり、下流のシグナル伝達をもたらすことを示している。このセクションの実験は、oxIL-33がRAGE又はEGFRのいずれかの直接結合リガンドであるかどうかを判断するために設計されている。シグナル伝達複合体の形成について更に理解し、oxIL-33がEGFRと直接相互作用するかどうかを評価するために、ELISA形式を使用してoxIL-33のRAGE、ST2-Fc、及びEGFRへの結合を調べた。
上記の実験は、oxIL-33がEGF受容体(EGFR)の複合体のリガンドであり、下流のシグナル伝達をもたらすことを示している。このセクションの実験は、oxIL-33がRAGE又はEGFRのいずれかの直接結合リガンドであるかどうかを判断するために設計されている。シグナル伝達複合体の形成について更に理解し、oxIL-33がEGFRと直接相互作用するかどうかを評価するために、ELISA形式を使用してoxIL-33のRAGE、ST2-Fc、及びEGFRへの結合を調べた。
タンパク質及び修飾:ビオチンリガーゼ(BirA)酵素(Avidty,Bulk BirA)を製造者のプロトコルに従い使用して、Avitag配列モチーフ(GLNDIFEAQKIEWHE 配列番号46)を含有するタンパク質をビオチン化した。本明細書で使用されるAvitagを有しない全ての修飾タンパク質は、EZ linkスルホ-NHS-LC-ビオチン(Thermo/Pierce,21335)を使用して製造元のプロトコルに従って遊離アミンを介してビオチン化した。表5は、使用したビオチン化タンパク質のリストである。
ストレプトアビジンプレート(Thermo Scientific,AB-1226)を、室温で1時間、100μL/ウェルのビオチン化抗原(PBS中10μg/mL)でコーティングした。プレートを200μLのPBS-T(PBS+1%(v/v)Tween-20)で3回洗浄し、300μL/ウェルのブロッキングバッファー(1%BSA含有PBS(Sigma,A9576))で1時間ブロックした。プレートをPBS-Tで3回洗浄した。RAGE-Fc(R&D Systems #1145-RG)又はST2-Fc(R&D Systems #523-ST)をブロッキングバッファー中のPBSで10μg/mLに希釈し、関連するウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。あるいは、PBS中10μg/mLの非タグ化RAGE(Sino Biological,11629-HCCH)の存在下又は非存在下で、PBS中10μg/mLのEGFR-Fc(R&D Systems #344-ER-050)100μLを1時間添加した。プレートを200μLのPBS-Tで3回洗浄した。次いで、ブロッキングバッファー中1:10000希釈した抗ヒトIgG HRP(Sigma AO170,5.1mg/mL)100μL/ウェルでRAGE-Fc、ST2-Fc、及びEGFR-Fcを室温で1時間検出した。プレートをPBS-Tで3回洗浄し、TMB、100μL/ウェル(Sigma,T0440)で発色させた。反応物を50μL/ウェルの0.1M H2SO4でクエンチした。CytationGen5又は同様の装置で450nmの吸光度を読み取った。結果は、oxIL-33がRAGEとの明確な相互作用を示したのに対し(図7A)、oxIL-33のEGFRへの直接結合はごくわずかであることを示した(図7B)。oxIL-33へのEGFR結合は、このアッセイにsRAGEを添加することによってのみ観察された(図7B)。oxIL-33が真正RAGEアゴニストであるHMGB1の代わりに使用された場合、これを再現することはできなかった(図7B)。
oxIL-33によって惹起されるEGFRシグナル伝達におけるRAGEの必要性は、RAGE欠損細胞株を利用して更に確認した。RAGEノックアウトA549細胞株は次のように生成した。
赤色蛍光タンパク質(RFP)の発現ベクター、AGERのエクソン3を標的とするガイドRNA(TGAGGGGATTTTCCGGTGC配列番号47)及びCas9エンドヌクレアーゼを含む哺乳動物プラスミドを作成した。A549条件培地は、T-175フラスコ内でF12K nut mix(Gibco,10%FBS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充)で2日間A549細胞を成長させることにより作成した。使用済み培地をA549から取り出し、濾過し、新鮮なGibco F12K nut mix(20%FBS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充)で5倍希釈した。A549を3つのT-75フラスコに2×105細胞/mLで合計15mLで播種し、37℃、5%CO2インキュベータに一晩配置した。トランスフェクション混合物は、8μgのAGERガイドRNAプラスミド及び22.5μgのPEI(Polysciences,23966-2)が入った1.6mLのF12K nut mix(1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充)を使用して調製した。次いで、混合物を10秒間ボルテックスし、室温で15分間放置した。次いで、0.75mLのトランスフェクション混合物を各T-75フラスコに添加した。フラスコをインキュベータに2日間戻した。次いで、アキュターゼを使用してA549細胞を剥離し、1%FBSを含むPBSに移し、RFPの発現に基づいてAriaセルソーター(BD)で96ウェルディッシュに単一細胞を選別した。細胞には、3~5日ごとに条件培地を供給した。細胞が50%以上コンフルエントになったら、24ウェルプレートに移して増殖させた。このアップスケーリングのプロセスは、成功した各クローンがT15フラスコに分割されるまで続けた。次いで、細胞を12ウェルプレートに分割し、50%超のコンフルエントになるまで成長させた後、ノックアウトを成功させるためのゲノムPCRを分析した。細胞をウェルあたり100μLのDNA溶解バッファー(Viagen Bitoech,301-C,0.3μg/mLプロテイナーゼKを補充)で溶解した。これらのサンプルを55℃で4時間インキュベートした後、85℃で15分間インキュベートした。RAGEのPCRは、以下の配列を有するフォワード及びリバースプライマーを使用して実行した:フォワード-gttgcagcctcccaacttc(配列番号48)、リバース-aatgaggccagtggaagtca(配列番号49)。反応及びサイクルは次のように設定した;50μLの反応容量[25μLのQ5ポリメラーゼミックス、2.5μLのフォワードプライマー(10μMストック)、2.5μLのリバースプライマー(10μMストック)、2μLの鋳型DNAライセート、18μLのヌクレアーゼフリーの水]。PCR反応は、98℃で30秒間の初期変性、続いて98℃で5秒間、57℃で10秒間、72℃で20秒間の35サイクルを行った後、72℃で2分間の最終ステップで実行した。4μLのPCR産物を6μLのヌクレアーゼフリーの水及び2μLの6×DNAローディングバッファー(Thermo Scientific,R0611)と混合した。サンプルを1%アガロースゲル(1:10000 SYBRセーフ)で90Vで1時間泳動した後、Versadoc Imagerで可視化した。次いで、PCR産物の残部を、QIAquick PCR精製キット(Qiagen,28104)を使用して、製造元のプロトコルに従ってクリーンアップした。DNA-50濃度はnanodropを使用して測定した。いくつかのクローン(結果から選択される)を社内シーケンスに送信した。結果は、クローンRAGE09及びRAGE10に終止コドンの挿入が成功したことを示した。
oxIL-33媒介EGFRシグナル伝達に対するRAGEの必須性を確認するために、次いで、A549細胞及びRAGE欠損A549細胞で免疫沈降及びウェスタンブロットを実施した。要約すると、細胞株は、oxIL-33-01を使用して様々な時点(0~15分)で活性化された。その後のEGFR又はRAGEの免疫沈降に続いて、セクション9に詳述されている関連する実験プロトコルに従って、抗RAGE、抗EGFR、及び抗IL-33を用いたウェスタンブロットを実施した。結果は、oxIL-33及びEGFRとの複合体の形成におけるRAGEの重要な役割を示している(図8)。
11.酸化IL-33はSTAT5リン酸化を誘導し、これはRAGEによってブロックされるが、ST2中和抗体ではブロックされない
oxIL-33シグナル伝達においてST2よりもRAGEの重要性を確認するために、ブロッキング抗体を試験した。要約すると、A549を、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%FBSを補充したRPMI GlutaMax培地で培養した。細胞をアキュターゼで回収し、5×105/100μLで96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。次いで、ウェルを100μLのPBSで2回洗浄した後、100μLの飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI GlutaMax培地)を添加し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。抗RAGE(M4F4;国際公開第2008137552号パンフレット);抗ST2(AF532;RnD Systems)、又は アイソタイプコントロール(MAB002,R&D Systems)を用量依存的にウェルに添加し、プレートを30分間インキュベータに戻した。次いで、プレートを酸化IL-33(30ng/mL)で30分間刺激した後、phosho-STAT5 ELISAキット溶解バッファー(85-86112-11,ThermoFischer Scientific)を使用して溶解し、メーカーの指示に従って展開し、450nMでの吸光度を読み取った。図9で示すように、oxIL-33-01で活性化された細胞は、STAT5のリン酸化を示し、これは、抗RAGE抗体の存在下では減少したが、抗ST2抗体の存在下では減少しなかった(図9)。
oxIL-33シグナル伝達においてST2よりもRAGEの重要性を確認するために、ブロッキング抗体を試験した。要約すると、A549を、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%FBSを補充したRPMI GlutaMax培地で培養した。細胞をアキュターゼで回収し、5×105/100μLで96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。次いで、ウェルを100μLのPBSで2回洗浄した後、100μLの飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI GlutaMax培地)を添加し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。抗RAGE(M4F4;国際公開第2008137552号パンフレット);抗ST2(AF532;RnD Systems)、又は アイソタイプコントロール(MAB002,R&D Systems)を用量依存的にウェルに添加し、プレートを30分間インキュベータに戻した。次いで、プレートを酸化IL-33(30ng/mL)で30分間刺激した後、phosho-STAT5 ELISAキット溶解バッファー(85-86112-11,ThermoFischer Scientific)を使用して溶解し、メーカーの指示に従って展開し、450nMでの吸光度を読み取った。図9で示すように、oxIL-33-01で活性化された細胞は、STAT5のリン酸化を示し、これは、抗RAGE抗体の存在下では減少したが、抗ST2抗体の存在下では減少しなかった(図9)。
実施例3-oxIL-33は上皮細胞におけるEGFRのインターナリゼーションを惹起する
次に、oxIL-33がEGFと比較してEGFRの動態の変化を誘発するかどうかを調べた。
次に、oxIL-33がEGFと比較してEGFRの動態の変化を誘発するかどうかを調べた。
12.EGFインターナリゼーションの共焦点実験
この実験は、共焦点イメージングを利用して、EGF、還元型又は酸化型のIL-33で刺激した後の上皮細胞におけるEGFRの動態を調査することを目的としている。EGFR-GFP A549上皮細胞株(Sigma,CLL1141-1VL)を、20000細胞/mL(RPMI培地+10%FCS+ペニシリン/ストレプトマイシン)の濃度で、24ウェルガラス底プレート(Greiner,662892)当たり1mLプレーティングした。緑色蛍光タンパク質(GFP)に連結したEGF受容体により、EGFR膜の動態及びインターナリゼーションを追跡することができる。細胞をPBSで1回洗浄し、RPMI培地(FCS無し)でインキュベートした。飢餓状態の24時間後、細胞をRPMIで洗浄し、1:5000希釈で、CellMask(Invitrogen C10046)ディープレッドを含む0.5mLのRPMI培地とインキュベートした。細胞は、膜マーキングの処理前にCellMaskで簡単に染色し、共焦点での処理の直後に1フレーム/分でライブ画像化し、EGFR-GFPの動態を記録した。細胞を37℃で5分間染色し、PBSで1回洗浄し、0.5mLの無血清RPMI/ウェル中の200ng/mLの濃度でoxIL-33(酸化IL-33-01)又はIL-33-16により刺激した。共焦点画像をすぐに撮影した。40倍のオイル対物レンズ、1分/フレーム、5スタック間隔2μmで25分間(タンパク質を添加してから約30分後)。GFPシグナルの乱れた(点線の)パターンは、膜上の受容体のクラスター化及びインターナリゼーションを示している。膜領域(CellMaskでマスク)及び細胞内領域(逆CellMaskでマスク、図示せず)のピクセル強度ヒストグラムは、ライブ画像化とは異なる時点で作成され、非クラスター領域でのEGFRの枯渇を示しており(ヒストグラムのベル形状ピークの左シフト)、クラスター化によって引き起こされる飽和ピクセルの数は増加した(強度255)。oxIL-33は、EGF受容体のクラスター化及びインターナリゼーションを誘導したが、EGF刺激は最も明白なEGFRクラスター化をもたらした。対照的に、還元型のIL-33(IL-33-16)は、EGFR細胞分布に大きな変化を示さなかった(図10)。
この実験は、共焦点イメージングを利用して、EGF、還元型又は酸化型のIL-33で刺激した後の上皮細胞におけるEGFRの動態を調査することを目的としている。EGFR-GFP A549上皮細胞株(Sigma,CLL1141-1VL)を、20000細胞/mL(RPMI培地+10%FCS+ペニシリン/ストレプトマイシン)の濃度で、24ウェルガラス底プレート(Greiner,662892)当たり1mLプレーティングした。緑色蛍光タンパク質(GFP)に連結したEGF受容体により、EGFR膜の動態及びインターナリゼーションを追跡することができる。細胞をPBSで1回洗浄し、RPMI培地(FCS無し)でインキュベートした。飢餓状態の24時間後、細胞をRPMIで洗浄し、1:5000希釈で、CellMask(Invitrogen C10046)ディープレッドを含む0.5mLのRPMI培地とインキュベートした。細胞は、膜マーキングの処理前にCellMaskで簡単に染色し、共焦点での処理の直後に1フレーム/分でライブ画像化し、EGFR-GFPの動態を記録した。細胞を37℃で5分間染色し、PBSで1回洗浄し、0.5mLの無血清RPMI/ウェル中の200ng/mLの濃度でoxIL-33(酸化IL-33-01)又はIL-33-16により刺激した。共焦点画像をすぐに撮影した。40倍のオイル対物レンズ、1分/フレーム、5スタック間隔2μmで25分間(タンパク質を添加してから約30分後)。GFPシグナルの乱れた(点線の)パターンは、膜上の受容体のクラスター化及びインターナリゼーションを示している。膜領域(CellMaskでマスク)及び細胞内領域(逆CellMaskでマスク、図示せず)のピクセル強度ヒストグラムは、ライブ画像化とは異なる時点で作成され、非クラスター領域でのEGFRの枯渇を示しており(ヒストグラムのベル形状ピークの左シフト)、クラスター化によって引き起こされる飽和ピクセルの数は増加した(強度255)。oxIL-33は、EGF受容体のクラスター化及びインターナリゼーションを誘導したが、EGF刺激は最も明白なEGFRクラスター化をもたらした。対照的に、還元型のIL-33(IL-33-16)は、EGFR細胞分布に大きな変化を示さなかった(図10)。
実施例4-oxIL-33は、EGFと同様に、上皮細胞によってIL-8の分泌を誘導する
13.oxIL-33によるIL-8の選択的分泌
健康な対象からのヒト気管支上皮細胞(NHBE;Lonza CC-2540)及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)からのヒト気管支上皮細胞(DHBE;Lonza 00195275)は、製造元のプロトコルに従って完全BEGM培地(Lonza)で1か月間維持され、細胞がコンフルエントに達するまで3日ごとに培地を交換した。細胞をアキュターゼで回収し、培養培地中の96ウェルプレート(Corning 3596)に5×105/100μLで播種した。プレートを37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。この時間経過後、培地をアスピレーションし、細胞を100μLのPBSで2回洗浄した後、飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充した補充キットなしのBEGM(Lonza CC-3171)を添加した。次いで、プレートを37℃、5%CO2で更に18~24時間インキュベートした後、培地のみ(非刺激対照)、30ng/mLの還元IL-33-01、30ng/mLのIL-33-16、30ng/mLの酸化IL-33-01、又は30ng/mLのEGFで刺激し、37℃、5%CO2に戻した。刺激の24時間後、上清を回収し、多重アッセイ(Mesoscale Discovery K15047D-2)を使用してケモカイン産生を評価した。図11にて示すように、NHBE及びDHBEは、非刺激細胞(培地のみ)と比較して、oxIL-33で活性化するとIL-8の分泌が4倍増加を示す。他のケモカイン(TARC、MIP-1a、MIP1b、MCP4、MCP1、IP10、エオタキシン、エオタキシン-3、MDC-データは示さず)では大きな違いは観察されなかった。
13.oxIL-33によるIL-8の選択的分泌
健康な対象からのヒト気管支上皮細胞(NHBE;Lonza CC-2540)及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)からのヒト気管支上皮細胞(DHBE;Lonza 00195275)は、製造元のプロトコルに従って完全BEGM培地(Lonza)で1か月間維持され、細胞がコンフルエントに達するまで3日ごとに培地を交換した。細胞をアキュターゼで回収し、培養培地中の96ウェルプレート(Corning 3596)に5×105/100μLで播種した。プレートを37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。この時間経過後、培地をアスピレーションし、細胞を100μLのPBSで2回洗浄した後、飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充した補充キットなしのBEGM(Lonza CC-3171)を添加した。次いで、プレートを37℃、5%CO2で更に18~24時間インキュベートした後、培地のみ(非刺激対照)、30ng/mLの還元IL-33-01、30ng/mLのIL-33-16、30ng/mLの酸化IL-33-01、又は30ng/mLのEGFで刺激し、37℃、5%CO2に戻した。刺激の24時間後、上清を回収し、多重アッセイ(Mesoscale Discovery K15047D-2)を使用してケモカイン産生を評価した。図11にて示すように、NHBE及びDHBEは、非刺激細胞(培地のみ)と比較して、oxIL-33で活性化するとIL-8の分泌が4倍増加を示す。他のケモカイン(TARC、MIP-1a、MIP1b、MCP4、MCP1、IP10、エオタキシン、エオタキシン-3、MDC-データは示さず)では大きな違いは観察されなかった。
実施例5-oxIL-33は、深部単層上皮培養におけるスクラッチ創傷の修復反応を損なう
14.oxIL-33は、EGFとは対照的に、A549及びNHBE細胞のスクラッチ創傷の閉鎖を損なう
A549をATCCから入手し、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%FBSを補充したRPMI GlutaMax培地で培養した。細胞をアキュターゼ(PAA,#L1 1-007)で回収し、5×105/100μLで96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。次いで、ウェルを100μLのPBSで2回洗浄した後、100μLの飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI GlutaMax培地)を添加し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。WoundMaker(商標)(Essen Bioscience)を使用して、細胞をスクラッチし、次いでウェルを200μLのPBSで2回洗浄した後、示された刺激;培地のみ(非刺激対照)、30ng/mLの還元IL-33-01、30ng/mLの酸化IL-33-01、又は30ng/mL EGFを含有する、0.1%FBS(v/v)及び1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI GlutaMax培地を添加し、37℃、5%CO2に戻した。プレートを創傷治癒のイメージング及び分析のためのIncucyteZoomに48時間入れた。相対的な創傷密度は、IncucyteZoomソフトウェア内の創傷治癒アルゴリズムを介して計算した。
14.oxIL-33は、EGFとは対照的に、A549及びNHBE細胞のスクラッチ創傷の閉鎖を損なう
A549をATCCから入手し、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%FBSを補充したRPMI GlutaMax培地で培養した。細胞をアキュターゼ(PAA,#L1 1-007)で回収し、5×105/100μLで96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。次いで、ウェルを100μLのPBSで2回洗浄した後、100μLの飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI GlutaMax培地)を添加し、37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。WoundMaker(商標)(Essen Bioscience)を使用して、細胞をスクラッチし、次いでウェルを200μLのPBSで2回洗浄した後、示された刺激;培地のみ(非刺激対照)、30ng/mLの還元IL-33-01、30ng/mLの酸化IL-33-01、又は30ng/mL EGFを含有する、0.1%FBS(v/v)及び1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI GlutaMax培地を添加し、37℃、5%CO2に戻した。プレートを創傷治癒のイメージング及び分析のためのIncucyteZoomに48時間入れた。相対的な創傷密度は、IncucyteZoomソフトウェア内の創傷治癒アルゴリズムを介して計算した。
NHBE(CC-2540)はLonzaから入手し、製造元のプロトコルに従って完全BEGM培地[BEGM(Lonza CC-3171)及び補充キット(Lonza CC-4175)]に維持した。細胞をアキュターゼで回収し、培養培地中の96ウェルImageLockプレート(Sartorius,4379)に5×105/100μLで播種した。プレートを37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。この時間経過後、培地をアスピレーションし、細胞を100μLのPBSで2回洗浄した後、飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシン(Steptomycin)を補充した補充キットなしのBEGM(Lonza CC-3171)を添加した。次いで、スクラッチ創傷の前に、プレートを37℃、5%CO2で更に18~24時間インキュベートした。WoundMaker(商標)(Essen Bioscience)を使用して、細胞をスクラッチし、次いでウェルを200μLのPBSで2回洗浄した後、示された刺激;培地のみ(非刺激対照)、30ng/mLの還元IL-33-01、30ng/mLの酸化IL-33-01、又は30ng/mL EGFを含有する、0.1%FBS(v/v)及び1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したBEBM培地(Lonza)を添加し、37℃、5%CO2に戻した。プレートを創傷治癒のイメージング及び分析のためのIncucyteZoomに48時間入れた。相対的な創傷密度は、IncucyteZoomソフトウェア内の創傷治癒アルゴリズムを介して計算した。図12に示すように、oxIL-33は、A549細胞(図12A)及びNHBE細胞(図12B)の深部培養で創傷治癒を阻害し、創傷細胞密度の増加が観察されるEGFとは逆の効果があった。
15.酸化IL-33によるスクラッチ創傷閉鎖の障害は、RAGE又はEGFRを中和する抗体によって妨げられ得るが、ST2では妨げられない
oxIL-33のこれらの機能的効果がRAGE/EGFRを介して媒介されるかどうかを理解するために、セクション14で説明したように、ただし異なる受容体成分を中和する抗体の存在下で、NHBE細胞でスクラッチアッセイを実施した。NHBE細胞は、10μg/mLの抗ST2(AF532,R&D Systems)、抗RAGE(M4F4、国際公開第2008137552号パンフレット)又は抗EGFR(クローンLA1、05-101 Millipore)の存在下で、培地のみ(非刺激対照)、還元IL-33、又は酸化型IL-33で処理した。oxIL-33はスクラッチ閉鎖を阻害するが、還元IL-33は阻害しなかった。oxIL-33のこの効果は、抗RAGE及び抗EGFRによって逆転するが、抗ST2によっては逆転せず、これも、RAGE及びEGFRが酸化IL-33シグナル伝達経路に関与する必須受容体であることを示している(図13)。
oxIL-33のこれらの機能的効果がRAGE/EGFRを介して媒介されるかどうかを理解するために、セクション14で説明したように、ただし異なる受容体成分を中和する抗体の存在下で、NHBE細胞でスクラッチアッセイを実施した。NHBE細胞は、10μg/mLの抗ST2(AF532,R&D Systems)、抗RAGE(M4F4、国際公開第2008137552号パンフレット)又は抗EGFR(クローンLA1、05-101 Millipore)の存在下で、培地のみ(非刺激対照)、還元IL-33、又は酸化型IL-33で処理した。oxIL-33はスクラッチ閉鎖を阻害するが、還元IL-33は阻害しなかった。oxIL-33のこの効果は、抗RAGE及び抗EGFRによって逆転するが、抗ST2によっては逆転せず、これも、RAGE及びEGFRが酸化IL-33シグナル伝達経路に関与する必須受容体であることを示している(図13)。
実施例6-抗IL-33は、深部培養におけるCOPD細胞の表現型を改善する
16.oxIL-33は、スクラッチ創傷閉鎖アッセイにおいて、健康なNHBEでCOPDのような反応を引き起こし得る
次に、健康な人、喫煙者、及びCOPD気管支上皮細胞における酸化IL-33の影響を調べた。NHBE(CC-2540)、喫煙者からのNHBE(CC-2540)、及びDHBE(COPD、00195275)をLonzaから入手し、製造元のプロトコルに従い完全BEGM培地(Lonza)に維持した。スクラッチアッセイは、セクション14に記載したように実施した。細胞を、培地のみ(非刺激対照)、又は30ng/mLの酸化IL-33で処理した。喫煙者又はCOPD由来の気管支上皮細胞は、健康な対象由来の細胞と比較して、oxIL-33で健康な細胞を処理した後に観察された障害と同様のスクラッチ閉鎖能力の障害を示した(図14)。健康な細胞とは対照的に、喫煙者及びCOPD HBE細胞では、oxIL-33によってスクラッチ創傷の閉鎖反応が更に損なわれることはなかった(図14)。
16.oxIL-33は、スクラッチ創傷閉鎖アッセイにおいて、健康なNHBEでCOPDのような反応を引き起こし得る
次に、健康な人、喫煙者、及びCOPD気管支上皮細胞における酸化IL-33の影響を調べた。NHBE(CC-2540)、喫煙者からのNHBE(CC-2540)、及びDHBE(COPD、00195275)をLonzaから入手し、製造元のプロトコルに従い完全BEGM培地(Lonza)に維持した。スクラッチアッセイは、セクション14に記載したように実施した。細胞を、培地のみ(非刺激対照)、又は30ng/mLの酸化IL-33で処理した。喫煙者又はCOPD由来の気管支上皮細胞は、健康な対象由来の細胞と比較して、oxIL-33で健康な細胞を処理した後に観察された障害と同様のスクラッチ閉鎖能力の障害を示した(図14)。健康な細胞とは対照的に、喫煙者及びCOPD HBE細胞では、oxIL-33によってスクラッチ創傷の閉鎖反応が更に損なわれることはなかった(図14)。
17.RAGE/EGFR経路を介した内因性IL-33の遮断は、COPD基底細胞のスクラッチ創傷修復表現型の障害を改善し得る
上皮細胞はIL-33を産生することが知られているため、オートクリンIL-33分泌が、COPD細胞で観察されるスクラッチ創傷修復表現型の障害の原因となる可能性がある。調査するために、IL-33中和の存在下でCOPD由来の気管支上皮細胞でスクラッチ閉鎖アッセイを実施した。NHBE(Lonza CC-2540)及びDHBE(Lonza,COPD 00195275)は、製造元のプロトコルに従って完全BEGM培地(Lonza)に維持した。細胞をアキュターゼで回収し、培養培地中の96ウェルImageLockプレート(Sartorius,4379)に5×105/100μLで播種した。プレートを37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。この時間経過後、培地をアスピレーションし、細胞を100μLのPBSで2回洗浄した後、飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシン(Steptomycin)を補充した補充キットなしのBEGM(Lonza CC-3171)を添加した。次いで、スクラッチ創傷の前に、プレートを37℃、5%CO2で更に18~24時間インキュベートした。WoundMaker(商標)(Essen Bioscience)を使用して、細胞をスクラッチし、次いでウェルを200μLのPBSで2回洗浄した後、10μg/mLの抗IL-33(33_640087-7B、国際公開第2016/156440号パンフレットに記載されている)、抗ST2(AF532,R&D Systems)、抗RAGE(M4F4、国際公開第2008137552号パンフレット)、又はNIP228(IgG1アイソタイプコントロール)を含有する、0.1%FBS(v/v)及び1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したBEBM培地(Lonza)を添加し、37℃、5%CO2に戻した。プレートを創傷治癒のイメージング及び分析のためのIncucyteZoomに48時間入れた。相対的な創傷密度は、IncucyteZoomソフトウェア内の創傷治癒アルゴリズムを介して計算した。以前に観察されたように、COPD細胞は、健康な対象に由来する細胞と比較して、スクラッチ閉鎖反応が損なわれていた。抗IL-33及び抗RAGEは、COPD細胞のスクラッチ閉鎖反応を健康な細胞と同様のレベルに改善することができ(図15)、上皮細胞がRAGE/EGFR経路を介してシグナル伝達するオートクリンIL-33を産生することを示している(図15)が、抗ST2は、そうではなかった。
上皮細胞はIL-33を産生することが知られているため、オートクリンIL-33分泌が、COPD細胞で観察されるスクラッチ創傷修復表現型の障害の原因となる可能性がある。調査するために、IL-33中和の存在下でCOPD由来の気管支上皮細胞でスクラッチ閉鎖アッセイを実施した。NHBE(Lonza CC-2540)及びDHBE(Lonza,COPD 00195275)は、製造元のプロトコルに従って完全BEGM培地(Lonza)に維持した。細胞をアキュターゼで回収し、培養培地中の96ウェルImageLockプレート(Sartorius,4379)に5×105/100μLで播種した。プレートを37℃、5%CO2で18~24時間インキュベートした。この時間経過後、培地をアスピレーションし、細胞を100μLのPBSで2回洗浄した後、飢餓培地(1%のペニシリン/ストレプトマイシン(Steptomycin)を補充した補充キットなしのBEGM(Lonza CC-3171)を添加した。次いで、スクラッチ創傷の前に、プレートを37℃、5%CO2で更に18~24時間インキュベートした。WoundMaker(商標)(Essen Bioscience)を使用して、細胞をスクラッチし、次いでウェルを200μLのPBSで2回洗浄した後、10μg/mLの抗IL-33(33_640087-7B、国際公開第2016/156440号パンフレットに記載されている)、抗ST2(AF532,R&D Systems)、抗RAGE(M4F4、国際公開第2008137552号パンフレット)、又はNIP228(IgG1アイソタイプコントロール)を含有する、0.1%FBS(v/v)及び1%(v/v)ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したBEBM培地(Lonza)を添加し、37℃、5%CO2に戻した。プレートを創傷治癒のイメージング及び分析のためのIncucyteZoomに48時間入れた。相対的な創傷密度は、IncucyteZoomソフトウェア内の創傷治癒アルゴリズムを介して計算した。以前に観察されたように、COPD細胞は、健康な対象に由来する細胞と比較して、スクラッチ閉鎖反応が損なわれていた。抗IL-33及び抗RAGEは、COPD細胞のスクラッチ閉鎖反応を健康な細胞と同様のレベルに改善することができ(図15)、上皮細胞がRAGE/EGFR経路を介してシグナル伝達するオートクリンIL-33を産生することを示している(図15)が、抗ST2は、そうではなかった。
実施例7-抗IL-33は3D上皮培養の杯細胞を減少させる
18.気道基底細胞の気液界面(ALI)培養
次に、本発明者らは、気液界面細胞培養(「ALI培養」)におけるIL-33シグナル伝達の関連性を判断しようとした。ALI培養は、基底細胞を、培地と接触させた基底表面と空気にさらされた上部(頂端)細胞層で成長させる方法である。ALI培養により、気管上皮と同様に、偽重層上皮の粘膜毛様体表現型を用いたin vitroでの3次元細胞構造の発達が可能になる。したがって、ALI培養は、細胞間シグナル伝達、疾患モデリング、及び呼吸再生など、呼吸上皮の基本的な側面を研究するために使用することができる。
18.気道基底細胞の気液界面(ALI)培養
次に、本発明者らは、気液界面細胞培養(「ALI培養」)におけるIL-33シグナル伝達の関連性を判断しようとした。ALI培養は、基底細胞を、培地と接触させた基底表面と空気にさらされた上部(頂端)細胞層で成長させる方法である。ALI培養により、気管上皮と同様に、偽重層上皮の粘膜毛様体表現型を用いたin vitroでの3次元細胞構造の発達が可能になる。したがって、ALI培養は、細胞間シグナル伝達、疾患モデリング、及び呼吸再生など、呼吸上皮の基本的な側面を研究するために使用することができる。
健康な対照からの又はCOPD患者からの凍結肺基底細胞のクライオバイアルは、ノースカロライナ大学及びピッツバーグ大学から受け取った。細胞を解凍し、1×PBS(Gibco,Waltham,MA)で1:70に希釈したPurecol Type Iウシコラーゲン(Advanced BioMatrix,San Diego,CA)でコーティングしたT-75フラスコにプレーティングし、Epix培地(276-201,Propagenix,Rockville,MD)で増殖させた。コンフルエントに達した後、これらの細胞を適切な数のT-75フラスコに一度分割した後、ALI培養用に回収した。12mm、0.4μMのポリエステルメンブレンインサート(Costar,Corning,NY)を入れたALI培養用のトランスウェルは、インサートを1:70 Purecol溶液でコーティングし、37℃で1~16時間インキュベートすることによって調製した。Purecol溶液を除去し、トランスウェルをUV光下に30分間置いた後、PBSで洗浄した。T-75フラスコの基底細胞を4mLのトリプシン溶液(ThermoFisher,15400054)を使用して剥離した。細胞懸濁液を5mLのFBSが入った50mLチューブに添加し、次いでViCellカウンター(Beckman Coulter,Brea,CA)でカウントし、1,000RPMで5分間スピンダウンした。次に、細胞をPneumacult ALI培地(Stemcell Tech,Vancouver,BC)に3.57×105/mLの密度で再懸濁し、700μLを各トランスウェルに分注した。インサートの下のスペースに1mLのALI培地を添加した。コンフルエントでタイトジャンクションが形成されるまで(典型的には7日間)、細胞をALI培地に浸したままにし、その時点で培地を頂端側から取り除き、細胞を2週間分化させ、基底側で1日おきに培地を交換した。完全に分化した培養物を、培養物の基底側に供給される培地で、処理剤を用いることによって、抗体なし、1μg/mLの抗IL-33(33_640087-7B)、又は1μg/mLのNIP228(IgG1アイソタイプコントロール)で7日間処理した。1日おきに培地交換を実施した(関連する処理を含む)。
19.IHC三重染色(基底、杯、及び繊毛)及び定量化
COPDドナーからのALI培養物は、セクション18で説明されているように作成及び処理した。ALI上皮培養物を10%中性緩衝ホルマリンで24時間固定し、パラフィン包埋した。パラフィン切片(4um)を正に帯電したスライド上にマウントし、Ventana Discovery Ultraで連続3プレックス発色アッセイで染色した。抗原の回収はセルコンディショナー1(CC1)(カタログ番号5424569001,Roche)で行い、内因性ペルオキシダーゼはDiscovery Inhibitor(カタログ番号7017944001,Roche)で12分間ブロックした。抗p63(クローン4A4)(カタログ番号790-4509,Roche,Basel,Switzerland)を36℃で24分間適用し、マウス抗HQ(12分)(カタログ番号7017782001,Roche)及び抗HQ HRP(12分)(カタログ番号7017936001,Roche)で可視化し、Teal substrate(カタログ番号8254338001,Roche)で12分間インキュベートした。スライドを、セルコンディショナー2(CC2)(カタログ番号5424542001,Roche)を用いた抗体変性ステップ(100℃で24分間)で処理し、次いで抗チューブリン(カタログ番号ab24610,Abcam,Cambridge,UK)を、Dako抗体希釈液(カタログ番号S3022)で16分間0.01μg/mLに希釈し、マウスOmniMap-HRP(8分)(カタログ番号5269652001,Roche)で検出し、Discovery Purple基質(カタログ番号7053983001,Roche)で16分間可視化した。スライドをCC2で追加の抗体変性にかけ、次いでウサギ抗ムチン5AC1.1μg/mLとウサギ抗ムチン5B7μg/mL(それぞれカタログ番号ab198294とカタログ番号ab87376,Abcam)のカクテルを、20分間適用し、抗ウサギNP(4分)(カタログ番号7425317001,Roche)、抗NP-AP(8分)(カタログ番号7425325001,Roche)で、次いでDiscovery Yellow(カタログ番号7698445001,Roche)で20分間可視化した。染色されたスライドをDawn洗剤ですすぎ、ヘマトキシリン(カタログ番号5277965001,Roche)で対比染色し、すすぎ、段階的な一連のエタノールとキシレンで脱水し、永久マウント培地でマウントした。HALOソフトウェアを使用した定量化では、抗IL-33で処理された健康なドナーに由来するALI培養物の杯細胞の減少が示された(図16)。
COPDドナーからのALI培養物は、セクション18で説明されているように作成及び処理した。ALI上皮培養物を10%中性緩衝ホルマリンで24時間固定し、パラフィン包埋した。パラフィン切片(4um)を正に帯電したスライド上にマウントし、Ventana Discovery Ultraで連続3プレックス発色アッセイで染色した。抗原の回収はセルコンディショナー1(CC1)(カタログ番号5424569001,Roche)で行い、内因性ペルオキシダーゼはDiscovery Inhibitor(カタログ番号7017944001,Roche)で12分間ブロックした。抗p63(クローン4A4)(カタログ番号790-4509,Roche,Basel,Switzerland)を36℃で24分間適用し、マウス抗HQ(12分)(カタログ番号7017782001,Roche)及び抗HQ HRP(12分)(カタログ番号7017936001,Roche)で可視化し、Teal substrate(カタログ番号8254338001,Roche)で12分間インキュベートした。スライドを、セルコンディショナー2(CC2)(カタログ番号5424542001,Roche)を用いた抗体変性ステップ(100℃で24分間)で処理し、次いで抗チューブリン(カタログ番号ab24610,Abcam,Cambridge,UK)を、Dako抗体希釈液(カタログ番号S3022)で16分間0.01μg/mLに希釈し、マウスOmniMap-HRP(8分)(カタログ番号5269652001,Roche)で検出し、Discovery Purple基質(カタログ番号7053983001,Roche)で16分間可視化した。スライドをCC2で追加の抗体変性にかけ、次いでウサギ抗ムチン5AC1.1μg/mLとウサギ抗ムチン5B7μg/mL(それぞれカタログ番号ab198294とカタログ番号ab87376,Abcam)のカクテルを、20分間適用し、抗ウサギNP(4分)(カタログ番号7425317001,Roche)、抗NP-AP(8分)(カタログ番号7425325001,Roche)で、次いでDiscovery Yellow(カタログ番号7698445001,Roche)で20分間可視化した。染色されたスライドをDawn洗剤ですすぎ、ヘマトキシリン(カタログ番号5277965001,Roche)で対比染色し、すすぎ、段階的な一連のエタノールとキシレンで脱水し、永久マウント培地でマウントした。HALOソフトウェアを使用した定量化では、抗IL-33で処理された健康なドナーに由来するALI培養物の杯細胞の減少が示された(図16)。
実施例8-抗IL-33は、COPDからの3D上皮培養におけるムチンを調節し、粘液の動きを改善する
20.IHC二重IF染色(ムチン5B+ムチン5AC)
COPDドナーからのALI培養物は、セクション18で説明されているように作成及び処理した。ALI上皮培養物を10%中性緩衝ホルマリンで24時間固定し、パラフィン包埋した。パラフィン切片(4um)を正に帯電したスライド上にマウントし、Ventana Discovery Ultraで連続二重免疫蛍光アッセイで染色した。抗原の回収はセルコンディショナー1(Ultra CC1)で行い、内因性ペルオキシダーゼはDiscovery Inhibitorで12分間ブロックし、そのブロックの8分間は、S Block(RUO)Roche Diagnostics(カタログ番号760-4212)でブロックし、Dako Ab Diluent,S3022で希釈した7μg/mLで使用した抗ムチン5Bで、36Cで24分間インキュベートし、抗ウサギHQ(Roche Diagnosticsカタログ番号760-4815)で4分間、及び抗HQ-HRP(Roche Diagnosticsカタログ番号760-4820)で8分間検出した。次いで、サンプルをチラミドコンジュゲートであるDiscovery FITC(Roche Diagnostics カタログ番号760-232)と8分間インキュベートした。Discovery Ultraプログラムでデュアルシーケンスが選択され、サンプルをセルコンディショナー2(CC2)を使用して抗体変性ステップ(100℃で24分間)で処理し、次いでDiscovery Inhibitor(40C、24分)で中和した後、抗ムチン5AC、1.1μg/mLを20分間36℃で添加した。ムチン5ACは、抗ウサギHQ(Roche Diagnosticsカタログ番号760-4815)で4分間、抗HQ-HRP(Roche Diagnosticsカタログ番号760-4820)で8分間検出し、チラミドコンジュゲートであるDiscovery Red610で8分間可視化した。このステップの完了後、染色したスライドをDiscovery Ultra Autostainerから取り出し、Dawn洗剤、次いで脱イオン水ですすいだ。サンプルを、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール、ジヒドロクロリド(DAPI核酸染色)、Thermo Fisherカタログ番号D1306でインキュベートし、脱イオン水で1μg/mLに2分間希釈した。サンプルを脱イオン水ですすぎ、ProLong Gold Antifadeマウント培地(Thermo Fisher,カタログ番号P36930)でカバースリップをのせ、遮光スライドボックスに保存した。染色したスライドは、Zeiss LSM 880共焦点顕微鏡(Carl Zeiss Microscopy,LLC,White Plains,NY)で画像化された。図17は、ALI培養物の抗IL-33処理が、COPD培養物中の様々なムチンの下方制御につながる可能性があることを示している。
20.IHC二重IF染色(ムチン5B+ムチン5AC)
COPDドナーからのALI培養物は、セクション18で説明されているように作成及び処理した。ALI上皮培養物を10%中性緩衝ホルマリンで24時間固定し、パラフィン包埋した。パラフィン切片(4um)を正に帯電したスライド上にマウントし、Ventana Discovery Ultraで連続二重免疫蛍光アッセイで染色した。抗原の回収はセルコンディショナー1(Ultra CC1)で行い、内因性ペルオキシダーゼはDiscovery Inhibitorで12分間ブロックし、そのブロックの8分間は、S Block(RUO)Roche Diagnostics(カタログ番号760-4212)でブロックし、Dako Ab Diluent,S3022で希釈した7μg/mLで使用した抗ムチン5Bで、36Cで24分間インキュベートし、抗ウサギHQ(Roche Diagnosticsカタログ番号760-4815)で4分間、及び抗HQ-HRP(Roche Diagnosticsカタログ番号760-4820)で8分間検出した。次いで、サンプルをチラミドコンジュゲートであるDiscovery FITC(Roche Diagnostics カタログ番号760-232)と8分間インキュベートした。Discovery Ultraプログラムでデュアルシーケンスが選択され、サンプルをセルコンディショナー2(CC2)を使用して抗体変性ステップ(100℃で24分間)で処理し、次いでDiscovery Inhibitor(40C、24分)で中和した後、抗ムチン5AC、1.1μg/mLを20分間36℃で添加した。ムチン5ACは、抗ウサギHQ(Roche Diagnosticsカタログ番号760-4815)で4分間、抗HQ-HRP(Roche Diagnosticsカタログ番号760-4820)で8分間検出し、チラミドコンジュゲートであるDiscovery Red610で8分間可視化した。このステップの完了後、染色したスライドをDiscovery Ultra Autostainerから取り出し、Dawn洗剤、次いで脱イオン水ですすいだ。サンプルを、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール、ジヒドロクロリド(DAPI核酸染色)、Thermo Fisherカタログ番号D1306でインキュベートし、脱イオン水で1μg/mLに2分間希釈した。サンプルを脱イオン水ですすぎ、ProLong Gold Antifadeマウント培地(Thermo Fisher,カタログ番号P36930)でカバースリップをのせ、遮光スライドボックスに保存した。染色したスライドは、Zeiss LSM 880共焦点顕微鏡(Carl Zeiss Microscopy,LLC,White Plains,NY)で画像化された。図17は、ALI培養物の抗IL-33処理が、COPD培養物中の様々なムチンの下方制御につながる可能性があることを示している。
21.抗IL-33は、COPD ALI培養物で観察された粘液毛様体クリアランスの障害を逆転させる
COPDドナーからのALI培養物は、セクション18で説明されているように作成及び処理した。次いで、PBSで1:33に希釈した0.2μM FluoSpheres(ThermoFisher,F8811)30μLを頂端表面に添加し、Zeiss LSM800顕微鏡を使用して、FluoSphereの動きの短いビデオがキャプチャされ、抗IL-33(33_640087-7B)での処理後に粘液毛様体運動が増加するが、対照抗体では増加しないことが示された。
COPDドナーからのALI培養物は、セクション18で説明されているように作成及び処理した。次いで、PBSで1:33に希釈した0.2μM FluoSpheres(ThermoFisher,F8811)30μLを頂端表面に添加し、Zeiss LSM800顕微鏡を使用して、FluoSphereの動きの短いビデオがキャプチャされ、抗IL-33(33_640087-7B)での処理後に粘液毛様体運動が増加するが、対照抗体では増加しないことが示された。
実施例9-ALI培養物の単一細胞RNA分析は、抗IL-33で処理した後の杯細胞の変化を示している
COPDドナーからのALI培養物は、セクション18で説明されているように作成及び処理した。単一細胞懸濁液を得るために、フィルタインサートを0.25%トリプシンと37℃で5分間インキュベートした。上皮細胞を、PBSピペッティングで上下に洗浄することによりフィルターから穏やかに剥離し、次いで15mLのファルコンチューブに移した。細胞を1000RPMで5分間4℃で遠心分離にかけた。上清を除去した後、細胞をPBS中の0.4%BSAに再懸濁し、細胞濃度をシーケンス用に1000細胞/μLに調整した。Chromiumシングルセル3’キットの標準プロトコルに従って細胞懸濁液をロードし、5000~10.000細胞/チャネルを捕捉した。バージョン2の化学的性質を使用した。Illuminaシーケンス用のシングルセル3’ライブラリは、製造元のプロトコル(Chromium(商標)シングルセル3’試薬キット、v2 Chemistry)に従って取得した。ライブラリの品質を評価し(TapeStation 4200,Agilent)、次いでNextSeq500又はNovaSeq6000機器(Illumina)で配列決定した。最初のデータ処理は、Cell Rangerバージョン2.0パイプライン(10x Genomics)を使用して実行した。後処理は、低セル品質の排除及び正規化するためにSeuratパッケージを使用して実行した。各サンプルは、サンプル内の不均一性(セルのサブタイピング)を捕捉するために独立したデータとして分析された。クラスター化及び可視化は、t分布型確率的近傍埋め込み法(tSNE)で実現された。COPDの細胞クラスターの同定は、マーカー遺伝子によって導いた。他のサンプルでは、最初のクラスターを手動で検査してから、サブタイプの同定にSeuratのラベル転送アルゴリズムを適用した。MUC5AC及びMUC5B遺伝子発現分析は、セクション18で述べたように、抗IL-33処理の有無にかかわらずCOPD ALI培養からの細胞間の各クラスターに対して実施した。ヒートマップ及びtSNEプロットは、Seuratを使用して作成した。図18は、非処理と比較した抗IL-33(33_640087-7B)で処理されたALI培養物で見られる細胞サブタイプの異なる比率を示すtSNEプロットを示している。図18にて示すように、抗IL-33処理後、MUC5B高細胞の減少が認められた。
COPDドナーからのALI培養物は、セクション18で説明されているように作成及び処理した。単一細胞懸濁液を得るために、フィルタインサートを0.25%トリプシンと37℃で5分間インキュベートした。上皮細胞を、PBSピペッティングで上下に洗浄することによりフィルターから穏やかに剥離し、次いで15mLのファルコンチューブに移した。細胞を1000RPMで5分間4℃で遠心分離にかけた。上清を除去した後、細胞をPBS中の0.4%BSAに再懸濁し、細胞濃度をシーケンス用に1000細胞/μLに調整した。Chromiumシングルセル3’キットの標準プロトコルに従って細胞懸濁液をロードし、5000~10.000細胞/チャネルを捕捉した。バージョン2の化学的性質を使用した。Illuminaシーケンス用のシングルセル3’ライブラリは、製造元のプロトコル(Chromium(商標)シングルセル3’試薬キット、v2 Chemistry)に従って取得した。ライブラリの品質を評価し(TapeStation 4200,Agilent)、次いでNextSeq500又はNovaSeq6000機器(Illumina)で配列決定した。最初のデータ処理は、Cell Rangerバージョン2.0パイプライン(10x Genomics)を使用して実行した。後処理は、低セル品質の排除及び正規化するためにSeuratパッケージを使用して実行した。各サンプルは、サンプル内の不均一性(セルのサブタイピング)を捕捉するために独立したデータとして分析された。クラスター化及び可視化は、t分布型確率的近傍埋め込み法(tSNE)で実現された。COPDの細胞クラスターの同定は、マーカー遺伝子によって導いた。他のサンプルでは、最初のクラスターを手動で検査してから、サブタイプの同定にSeuratのラベル転送アルゴリズムを適用した。MUC5AC及びMUC5B遺伝子発現分析は、セクション18で述べたように、抗IL-33処理の有無にかかわらずCOPD ALI培養からの細胞間の各クラスターに対して実施した。ヒートマップ及びtSNEプロットは、Seuratを使用して作成した。図18は、非処理と比較した抗IL-33(33_640087-7B)で処理されたALI培養物で見られる細胞サブタイプの異なる比率を示すtSNEプロットを示している。図18にて示すように、抗IL-33処理後、MUC5B高細胞の減少が認められた。
実施例10-抗IL-33はCOPD 3D上皮培養において杯細胞を減少させる
22.気道基底細胞の気液界面(ALI)培養
生理学的に関連する気液界面(ALI)培養システムにおけるoxIL-33の効果を定量化及び調査するために、杯細胞型(MUC5ac対MUC5b)と残りの上皮個体数(ムチン陰性)とを区別することを目的としたフローサイトメトリーアッセイを展開した。
22.気道基底細胞の気液界面(ALI)培養
生理学的に関連する気液界面(ALI)培養システムにおけるoxIL-33の効果を定量化及び調査するために、杯細胞型(MUC5ac対MUC5b)と残りの上皮個体数(ムチン陰性)とを区別することを目的としたフローサイトメトリーアッセイを展開した。
健康な(CC-2540)対照又はCOPD(195275)患者からの凍結肺基底細胞のクライオバイアルをLonzaから受け取った。ドナーごとに1つのバイアルを解凍し、Epix培地(276-201,Propagenix,Rockville,MD)の4xT-175フラスコにプレーティングした。コンフルエントに達した後、これらの細胞をP2で1バイアルあたり1e6細胞で凍結した。P2の細胞をEpix培地の2xT-75フラスコに入れ、80%コンフルエントになるまで成長させた。12mm又は6.5mm、0.4μMのポリエステルメンブレンインサート(Costar,Corning,NY)を入れたALI培養用のトランスウェルは、インサートを1×コラーゲンI溶液(Celladhere(商標)Collagen I-Stemcell #07001、dH2Oで調製)でコーティングし、37℃で1~16時間インキュベートすることによって調製した。コラーゲンI溶液を除去して、トランスウェルをPBSで洗浄した。T-75フラスコの基底細胞をPBSで洗浄し、6mLのトリプシン溶液(Lonza トリプシン継代培養パック-#CC-5034)を使用して剥離した。トリプシンを6mLのトリプシン中和溶液(Lonza トリプシン継代培養パック-#CC-5034)で中和し、細胞懸濁液を15mLチューブに添加し、カウントし、チューブを1,200RPMで5分間スピンダウンした。次いで、細胞をPneumacult ALI培地(Stemcell Tech,Vancouver,BC)に8×105/mLの密度で再懸濁し、0.5mLを各12mmのトランスウェルに、0.25mLを各6.5mmのトランスウェルに分注した。12mLインサートの下のスペース、及び6.5mmインサートの下の0.5mLに1mLのALI培地を添加した。コンフルエントでタイトジャンクションが形成されるまで(典型的には7日間)、細胞をALI培地に浸したままにし、その時点で培地を頂端側から取り除き、細胞を3週間分化させ、基底側で毎週月曜日、水曜日、及び金曜日に培地を交換した。完全に分化した正常培養物を、非処理のままにするか、又は培養物の基底側に供給される培地で、処理剤を用いることによって、還元又は酸化された非タグ化IL33-01(30ng/mL)、非タグ化IL33-16(30ng/mL)、IL-13(10ng/mL)、EGF(30ng/mL)、又はHMGB1(30ng/mL)で7日間処理した(7日間処理)。完全に分化したCOPD培養物を、非処理のままにするか、又は培養物の基底側に供給される培地で、処理剤を用いることによって、抗体なし、1μg/mLの抗IL-33(33_640087-7B)、1μg/mLのNIP228(IgG1アイソタイプコントロール)、10μg/mLのmNIP228、10μg/mLの抗ST2、1μg/mLの抗RAGE、又は1μg/mLの抗EGFRで7日間処理した。毎週月曜日、水曜日、及び金曜日に培地交換を実施した(関連する処理を含む)。
23.ALI培養における杯細胞のFACS分析
7日間の処理(表6)に続いて、6.5mmインサートでの4週齢の正常対照又はCOPD ALI培養物をフローサイトメトリーで分析した。200μLの37℃PBSを各トランスウェルの頂端表面(トランスウェル表面)に添加し、30分間インキュベータ内に置いた。ムチン分析のために、頂端洗浄液を-80℃で保存した。150μLのトリプシン(Lonza トリプシン継代培養パック-#CC-5034)を、頂端と基底外側(トランスウェルの下)の両方の区画に添加した。トランスウェルを30分間インキュベータに戻した。トリプシンを上下に静かにピペッティングすることにより、ALIを分離させた。150μLのトリプシン中和溶液(Lonzaトリプシン継代培養パック-#CC-5034)を、各頂端チャンバに添加し、混合した。細胞懸濁液をU字型の90ウェルプレートに移し、細胞をカウントし、1200RPM、4℃で5分間遠心分離した。トリプシン/TNSを除去し、200μLの生死(live dead)染料(eBioscience(商標)Fixable Viability Dye eFluor(商標)780 Thermo 65-0865-14、PBS中で1:2000の希釈)を各ウェルに添加した。細胞を再懸濁させ、暗所の氷上にて10分間インキュベートした。プレートを1200RPM、4℃で5分間遠心分離し、生死染料を除去し、200μLのPBSを各ウェルに添加した。プレートを1200RPM、4℃で5分間遠心分離し、PBSを除去し、200μLの固定/透過処理溶液(Thermo 00-5123及び00-5223)に置き換えた。プレートを暗所の氷上にて40分間インキュベートした。プレートを1200RPM、4℃で5分間遠心分離し、溶液を除去した。細胞を、300μLの1×透過処理溶液(Thermo 00-8333)中に再懸濁させた。各ウェルの5e4細胞を新しい96ウェルU底プレートに添加し、1200RPM、4℃で5分間遠心分離し、細胞を50μLの1×透過処理溶液に再懸濁させた。50μLの抗体染色カクテル(1:400の抗Muc5AC及び1:800の抗Muc5B)又は同じ希釈のアイソタイプ染色カクテル。プレートを暗所の氷上にて30分間インキュベートした。プレートを1200RPM、4℃で5分間遠心分離し、溶液を除去した。細胞をPBSで洗浄し、遠心分離して、次いで150μLのPBSに再懸濁させた。次いでBD FACSymphony(商標)でデータを取得し、FlowJoソフトウェアを使用して分析した。
7日間の処理(表6)に続いて、6.5mmインサートでの4週齢の正常対照又はCOPD ALI培養物をフローサイトメトリーで分析した。200μLの37℃PBSを各トランスウェルの頂端表面(トランスウェル表面)に添加し、30分間インキュベータ内に置いた。ムチン分析のために、頂端洗浄液を-80℃で保存した。150μLのトリプシン(Lonza トリプシン継代培養パック-#CC-5034)を、頂端と基底外側(トランスウェルの下)の両方の区画に添加した。トランスウェルを30分間インキュベータに戻した。トリプシンを上下に静かにピペッティングすることにより、ALIを分離させた。150μLのトリプシン中和溶液(Lonzaトリプシン継代培養パック-#CC-5034)を、各頂端チャンバに添加し、混合した。細胞懸濁液をU字型の90ウェルプレートに移し、細胞をカウントし、1200RPM、4℃で5分間遠心分離した。トリプシン/TNSを除去し、200μLの生死(live dead)染料(eBioscience(商標)Fixable Viability Dye eFluor(商標)780 Thermo 65-0865-14、PBS中で1:2000の希釈)を各ウェルに添加した。細胞を再懸濁させ、暗所の氷上にて10分間インキュベートした。プレートを1200RPM、4℃で5分間遠心分離し、生死染料を除去し、200μLのPBSを各ウェルに添加した。プレートを1200RPM、4℃で5分間遠心分離し、PBSを除去し、200μLの固定/透過処理溶液(Thermo 00-5123及び00-5223)に置き換えた。プレートを暗所の氷上にて40分間インキュベートした。プレートを1200RPM、4℃で5分間遠心分離し、溶液を除去した。細胞を、300μLの1×透過処理溶液(Thermo 00-8333)中に再懸濁させた。各ウェルの5e4細胞を新しい96ウェルU底プレートに添加し、1200RPM、4℃で5分間遠心分離し、細胞を50μLの1×透過処理溶液に再懸濁させた。50μLの抗体染色カクテル(1:400の抗Muc5AC及び1:800の抗Muc5B)又は同じ希釈のアイソタイプ染色カクテル。プレートを暗所の氷上にて30分間インキュベートした。プレートを1200RPM、4℃で5分間遠心分離し、溶液を除去した。細胞をPBSで洗浄し、遠心分離して、次いで150μLのPBSに再懸濁させた。次いでBD FACSymphony(商標)でデータを取得し、FlowJoソフトウェアを使用して分析した。
24.ALI培養物のqPCR/バルクRNAシーケンス分析
7日間の処理(表6)に続いて、6.5mmインサートでの4週齢の正常対照又はCOPD ALI培養物をRNA分析用に溶解させた。最初に200μLの37℃PBSを各ALIの頂端表面に添加し、プレートを30分間インキュベータ内に戻した。ムチン分析のために、頂端洗浄液を-80℃で保存した。MagMAX(商標)-96全RNA単離キット(Thermo,AM1830)を使用して、ALI培養物を溶解し、RNAを抽出した。次いで、RNAを使用して、High-Capacity RNA-to-cDNA(商標)キット(Thermo,4388950)を使用してcDNAを合成した。これにより、9μLの各RNAサンプルを10μLの2XRTバッファーミックス及び1μLの20XRT酵素ミックスとPCRチューブ(Thermo,AM12230)でインキュベートし、サーモサイクラーに置き、37℃で60分間インキュベートした。95℃に5分間加熱し、4℃に保持することにより反応を停止させた。60μLのヌクレアーゼフリーの水(Thermo,750024)を、20μLのcDNAが入った各チューブに添加した。RT-qPCRの場合、4μLのcDNAを、バーコードがついたMicroAmp(商標)EnduraPlate(商標)オプティカル384ウェルクリアリアクションプレート(Thermo.4483273)に、5μLのTaqMan Fast Advanced Master Mix(Thermo,4444557)、並びに0.5μLのMuc5AC FAMプローブ(Thermo,Hs01365616_m1)、及び0.5μLのGAPDH VICプローブ(Thermo,Hs02786624_g1)とともに添加した。プレートを密封し、簡単に遠心分離した後、QuantStudio(商標)7FlexリアルタイムPCRシステム(Thermo)を使用して分析した。次いで、データを非処理の正常な対照に正規化することにより、デルタ-デルタ-ctを計算した。
7日間の処理(表6)に続いて、6.5mmインサートでの4週齢の正常対照又はCOPD ALI培養物をRNA分析用に溶解させた。最初に200μLの37℃PBSを各ALIの頂端表面に添加し、プレートを30分間インキュベータ内に戻した。ムチン分析のために、頂端洗浄液を-80℃で保存した。MagMAX(商標)-96全RNA単離キット(Thermo,AM1830)を使用して、ALI培養物を溶解し、RNAを抽出した。次いで、RNAを使用して、High-Capacity RNA-to-cDNA(商標)キット(Thermo,4388950)を使用してcDNAを合成した。これにより、9μLの各RNAサンプルを10μLの2XRTバッファーミックス及び1μLの20XRT酵素ミックスとPCRチューブ(Thermo,AM12230)でインキュベートし、サーモサイクラーに置き、37℃で60分間インキュベートした。95℃に5分間加熱し、4℃に保持することにより反応を停止させた。60μLのヌクレアーゼフリーの水(Thermo,750024)を、20μLのcDNAが入った各チューブに添加した。RT-qPCRの場合、4μLのcDNAを、バーコードがついたMicroAmp(商標)EnduraPlate(商標)オプティカル384ウェルクリアリアクションプレート(Thermo.4483273)に、5μLのTaqMan Fast Advanced Master Mix(Thermo,4444557)、並びに0.5μLのMuc5AC FAMプローブ(Thermo,Hs01365616_m1)、及び0.5μLのGAPDH VICプローブ(Thermo,Hs02786624_g1)とともに添加した。プレートを密封し、簡単に遠心分離した後、QuantStudio(商標)7FlexリアルタイムPCRシステム(Thermo)を使用して分析した。次いで、データを非処理の正常な対照に正規化することにより、デルタ-デルタ-ctを計算した。
oxIL-33は、杯細胞数、特にMUC5AC+杯細胞のサブセットの増加につながるが、還元IL-33は、それにはつながらなかった(図19A~C)。したがって、MUC5AC mRNAのコピーは、qPCRによって判断されるように、oxIL-33での処理時に増加した(図19D)。
25.IHC三重染色(基底、杯、及び繊毛)及び定量化
次に、ALI免疫組織化学からの定量的画像分析を評価した。COPDドナーからのALI培養物は、セクション22;気道基底細胞の気液界面(ALI)培養で説明されているように作成及び処理した:ALI上皮培養物を10%中性緩衝ホルマリンで24時間固定し、パラフィン包埋した。パラフィン切片(4um)を正に帯電したスライド上にマウントし、Ventana Discovery Ultraで連続三重発色アッセイで染色した。抗原の回収はセルコンディショナー1(Ultra CC1)(カタログ番号5424569001,Roche)で行い、内因性ペルオキシダーゼはDiscovery Inhibitor(カタログ番号7017944001,Roche)で12分間ブロックした。抗p63(クローン4A4)(カタログ番号790-4509,Roche,Basel,Switzerland)を24分間適用し、抗マウスHQ(12分)(カタログ番号7017782001,Roche)及び抗HQ HRP(12分)(カタログ番号7017936001,Roche)で可視化し、Discovery Purple kit(カタログ番号07053983001,Roche)で12分間インキュベートした。スライドを、セルコンディショナー2(Ultra CC2)(カタログ番号5424542001,Roche)を用いた抗体変性ステップ(92℃で24分間)で処理し、次いで抗チューブリン(カタログ番号ab24610,Abcam,Cambridge,UK)を、Dako抗体希釈液(カタログ番号S3022)で16分間希釈し(スライド上の濃度0.003μg/mL)、マウスOmniMap-HRP(8分)(カタログ番号5269652001,Roche)で検出し、Discovery Teal HRP kit(カタログ番号82544338001,Roche)で可視化した。スライドをCC2で追加の抗体変性にかけ、次いでウサギ抗ムチン5AC1.1μg/mL(ディスペンサ濃度)とウサギ抗ムチン5B7μg/mL(ディスペンサ濃度)(それぞれカタログ番号ab198294とカタログ番号ab87376,Abcam)のカクテルを、20分間適用し、抗ウサギNP(4分)(カタログ番号7425317001,Roche)、抗NP-AP(8分)(カタログ番号7425325001,Roche)で、次いでDiscovery Yellow(カタログ番号7698445001,Roche)で20分間可視化した。染色されたスライドを、ヘマトキシリンII(8分)(カタログ番号5277965001,Roche)及びBluing試薬(4分)(カタログ番号5266769001,Roche)で対比染色し、食器洗剤ですすぎ、段階的な一連のエタノールとキシレンで脱水し、永久マウント培地でマウントした。
次に、ALI免疫組織化学からの定量的画像分析を評価した。COPDドナーからのALI培養物は、セクション22;気道基底細胞の気液界面(ALI)培養で説明されているように作成及び処理した:ALI上皮培養物を10%中性緩衝ホルマリンで24時間固定し、パラフィン包埋した。パラフィン切片(4um)を正に帯電したスライド上にマウントし、Ventana Discovery Ultraで連続三重発色アッセイで染色した。抗原の回収はセルコンディショナー1(Ultra CC1)(カタログ番号5424569001,Roche)で行い、内因性ペルオキシダーゼはDiscovery Inhibitor(カタログ番号7017944001,Roche)で12分間ブロックした。抗p63(クローン4A4)(カタログ番号790-4509,Roche,Basel,Switzerland)を24分間適用し、抗マウスHQ(12分)(カタログ番号7017782001,Roche)及び抗HQ HRP(12分)(カタログ番号7017936001,Roche)で可視化し、Discovery Purple kit(カタログ番号07053983001,Roche)で12分間インキュベートした。スライドを、セルコンディショナー2(Ultra CC2)(カタログ番号5424542001,Roche)を用いた抗体変性ステップ(92℃で24分間)で処理し、次いで抗チューブリン(カタログ番号ab24610,Abcam,Cambridge,UK)を、Dako抗体希釈液(カタログ番号S3022)で16分間希釈し(スライド上の濃度0.003μg/mL)、マウスOmniMap-HRP(8分)(カタログ番号5269652001,Roche)で検出し、Discovery Teal HRP kit(カタログ番号82544338001,Roche)で可視化した。スライドをCC2で追加の抗体変性にかけ、次いでウサギ抗ムチン5AC1.1μg/mL(ディスペンサ濃度)とウサギ抗ムチン5B7μg/mL(ディスペンサ濃度)(それぞれカタログ番号ab198294とカタログ番号ab87376,Abcam)のカクテルを、20分間適用し、抗ウサギNP(4分)(カタログ番号7425317001,Roche)、抗NP-AP(8分)(カタログ番号7425325001,Roche)で、次いでDiscovery Yellow(カタログ番号7698445001,Roche)で20分間可視化した。染色されたスライドを、ヘマトキシリンII(8分)(カタログ番号5277965001,Roche)及びBluing試薬(4分)(カタログ番号5266769001,Roche)で対比染色し、食器洗剤ですすぎ、段階的な一連のエタノールとキシレンで脱水し、永久マウント培地でマウントした。
IHC画像はHALO v3.1(Indica Labs)で分析し、焦点が合っていない領域及び組織の損傷領域を除外するために、最初に手動で注釈を付けた。ランダムフォレスト分類子は、上皮を認識し、膜貫通及びスライドガラスの背景から上皮を分離するようにトレーニングした。繊毛面積の定量化のために、チューブリン染色の粗い検出、それに続くアルゴリズムArea Quantification v2.1.7を使用した細かい検出のために、別のランダムフォレスト分類子をトレーニングした。ムチン面積の定量化では、Area Quantification v2.1.7を直接使用して染色を検出した。基底(p63+)細胞のカウントでは、アルゴリズムCytoNuclear 2.0.9を使用して核染色に基づいて細胞をセグメント化し、p63陽性核をカウントすることで基底細胞を更に検出した。全ての定量法は、人間の認識に対して検証されており、90%以上の精度を有した。
以前の発見と一致して、oxIL-33は杯細胞(MUC5ac+b)の数に大きく影響した(図20A及び20B)。
一緒に、これらの研究は、肺上皮内の杯細胞の分化を促進することにおけるoxIL-33の役割を示した。これは、ox-IL33に慢性的に曝露された上皮が、肺機能に悪影響を与える杯細胞過形成表現型に向かって進化することを示唆している。
26.ブロック剤によるCOPD杯細胞表現型の逆転
COPDの重要な特徴は、杯細胞及び粘液分泌の増加による過剰な粘液である(Gohy et al 2019 Sci Rep 9:17963)。酸化IL-33が杯細胞COPD表現型に直接的な役割を果たすことができるかどうかを調査するために、セクション22~25で説明されているように、COPDドナーからのALI培養物を読み取った情報で確立した。
COPDの重要な特徴は、杯細胞及び粘液分泌の増加による過剰な粘液である(Gohy et al 2019 Sci Rep 9:17963)。酸化IL-33が杯細胞COPD表現型に直接的な役割を果たすことができるかどうかを調査するために、セクション22~25で説明されているように、COPDドナーからのALI培養物を読み取った情報で確立した。
COPD ALIは、抗IL-33(33-640087_7B)、抗RAGE、又は抗EGFR中和抗体の存在下で培養した。3つの処理すべてで、MUC5AC+杯細胞数が減少した(図21A~D)。ALI培養の生存率に影響を与える処理はなく(図21E)、処理現象が人工物又は抗体毒性の結果ではないことを確認した。以前の結果と一致して、抗ST2処理は杯細胞数の減少をもたらさず、これが、oxIL-33-RAGE-EGFR経路を介してIL-33、主にox-IL-33によって直接媒介される疾患表現型であるというさらなる証拠を提供する。COPD ALI培養物に対する抗IL-33抗体(33-640087_7B)の効果が免疫組織化学分析で更に確認され、IL-33の遮断により、ペアワイズ分析で杯細胞数の減少がもたらされた(図22A及び22B)。抗IL-33抗体(33-640087_7B)で処理した後、COPD ALI培養物の上皮は、図20Aに示されるように健康な上皮に類似していた。
最後に、健康な培養物とCOPD ALI培養物の両方から頂端粘液に放出されたMUC5ACとMUC5Bを、ELISAを使用して測定した。ALI培養物から放出されたムチンを定量化するために、製造元のプロトコルに従って、イムノアッセイ(Novus NBP2-76703)によってMUC5ACのレベルについて頂端上清を分析した。サンプルをサンプル希釈液で1:2000に希釈し、組換えMUC5ACタンパク質標準曲線から濃度を推定した。図23にて示すように、COPD患者からのALI培養物は、健康なドナーからのALIと比較してMUC5ACの放出レベルが増加した(図23A)。外因性oxIL-33による処理は、健康なALI培養物からのムチン分泌の増加をもたらした(図23B)。COPD ALIドナーでは、ムチンのレベルの上昇は、ALI培養物から放出されるMUC5ACタンパク質レベルを阻害する抗IL-33(33_640087_7B)による遮断によって減少したが、抗ST2又はアイソタイプmAbコントロールでは減少しなかった(図23C)。
全体として、この実施例は、肺の上皮細胞分化の調節不全における酸化IL-33の役割を強調する。結果は、制御されていない場合、酸化IL-33が杯細胞過形成及びCOPDのいくつかの表現型で見られる過剰な粘液産生の原因である可能性があることを意味する。したがって、抗IL-33、抗RAGE、又は抗EGFR結合分子などのoxIL-33シグナル伝達軸アンタゴニストによる処理は、例えば、杯細胞数を減少させる及び過剰な粘液産生を減少させるなどによって正常な上皮生理機能を回復させることにより、COPD患者に大きな治療効果をもたらす可能性がある。
追加の配列
表1にリストされている配列に加えて、次の追加のCDR配列を提供する:
配列番号37:SYAMS
配列番号38:GISAIDQSTYYADSVKG
配列番号39:QKFMQLWGGGLRYPFGY
配列番号40:SGEGMGDKYAA
配列番号41:RDTKRPS
配列番号42:GVIQDNTGV
N末端His10/Avitag/第Xa因子プロテアーゼ切断部位
配列番号43:MHHHHHHHHHHAAGLNDIFEAQKIEWHEAAIEGR
IL-33-01
配列番号44:
IL-33-16
配列番号45:
Avitag配列モチーフ
配列番号46:GLNDIFEAQKIEWHE
RAGEエクソン3を標的とするgRNAベクター
配列番号47:TGAGGGGATTTTCCGGTGC
RAGEフォワードプライマー
配列番号48:gttgcagcctcccaacttc
RAGEリバースプライマー
配列番号49:aatgaggccagtggaagtca
ヒトST2S(シグナルペプチドは下線が引かれている)
配列番号50:
ヒトST2S-huIgG1 Fc-His6(シグナルペプチドは下線が引かれている)
配列番号51:
配列番号52:
His10/AvitagヒトASGPR ECD(シグナルペプチドは下線が引かれており、タグは二重下線が引かれている)
表1にリストされている配列に加えて、次の追加のCDR配列を提供する:
配列番号37:SYAMS
配列番号38:GISAIDQSTYYADSVKG
配列番号39:QKFMQLWGGGLRYPFGY
配列番号40:SGEGMGDKYAA
配列番号41:RDTKRPS
配列番号42:GVIQDNTGV
N末端His10/Avitag/第Xa因子プロテアーゼ切断部位
配列番号43:MHHHHHHHHHHAAGLNDIFEAQKIEWHEAAIEGR
IL-33-01
配列番号44:
配列番号45:
配列番号46:GLNDIFEAQKIEWHE
RAGEエクソン3を標的とするgRNAベクター
配列番号47:TGAGGGGATTTTCCGGTGC
RAGEフォワードプライマー
配列番号48:gttgcagcctcccaacttc
RAGEリバースプライマー
配列番号49:aatgaggccagtggaagtca
ヒトST2S(シグナルペプチドは下線が引かれている)
配列番号50:
配列番号51:
His10/AvitagヒトASGPR ECD(シグナルペプチドは下線が引かれており、タグは二重下線が引かれている)
Claims (89)
- RAGE-EGFR媒介効果を調節又は阻害することによる異常な上皮生理機能の予防又は治療で使用するための、IL-33アンタゴニスト。
- 前記異常な上皮生理機能が、異常な粘膜毛様体生理機能、好ましくは、呼吸上皮の異常な粘膜毛様体生理機能である、請求項1に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
- 異常な粘膜毛様体生理機能が:異常な粘液産生;異常な杯細胞分化;異常な杯細胞増殖;異常な上皮厚さ;異常な粘液クリアランス;及び/又は異常な粘液組成から選択される、請求項2に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 異常な粘液産生が、異常なMUC5AC産生を含み;及び/又は異常な杯細胞分化が、異常なMUC5AC+杯細胞分化を含み;及び/又は異常な杯細胞増殖が、異常なMUC5AC+杯細胞増殖を含み;及び/又は異常な前記上皮厚さが、前記上皮の全組織領域で異常な量のMUC5AC+杯細胞を含む、請求項3の記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 異常な粘膜毛様体生理機能が:粘液産生の増加;杯細胞分化の増加;杯細胞増殖の増加;前記上皮の厚さの増加;及び/又は粘液クリアランスの減少を含む、請求項2、3、又は4の記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 粘液産生の増加が、MUC5AC産生の増加を含み;及び/又は杯細胞分化の増加が、MUC5AC+杯細胞分化の増加を含み;及び/又は杯細胞増殖の増加が、MUC5AC+杯細胞増殖の増加を含み;及び/又は前記上皮の厚さの増加が、前記上皮の全組織領域で増加した量のMUC5AC+杯細胞を含む、請求項5の記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 異常な粘液組成が、粘液に含有される様々な粘液化合物の比率の増加若しくは減少;1つ以上の粘液化合物の増加若しくは減少;及び/又は粘液の濃度若しくは濃さの増加若しくは減少を含む、請求項3の記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 異常な粘液組成が、MUC5AC:MUC5Bの比率の増加を含み;及び/又は異常な粘液組成が、粘液に含有されるMUC5ACの増加を含み;及び/又は異常な粘液組成が、粘液の濃さの増加を含む、請求項7の記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記異常な上皮生理機能が、異常な上皮リモデリングである、請求項1に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
- 前記異常な上皮生理機能が、気道、好ましくは、前記気道の異常な粘膜毛様体生理機能である、請求項1~9のいずれか一項に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
- 前記気道が、下気道、好ましくは、気管支である、請求項10に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
- EGFR媒介疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記EGFR媒介疾患が、RAGE-EGFR媒介疾患である、請求項12に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
- 前記EGFR媒介疾患が、異常なEGFR活性を特徴とする、請求項12又は13に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
- 前記EGFR媒介疾患が、異常な上皮生理機能を特徴とする、請求項12~14のいずれか一項に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
- 上皮生理機能を改善することによる疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- EGFR媒介効果を阻害することによる疾患の予防又は治療で使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記EGFR媒介効果が、EGFRシグナル伝達である、請求項17に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
- 前記EGFR媒介効果が、RAGE-EGFR媒介効果である、請求項17又は18に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
- 前記EGFR媒介効果が、RAGE-EGFR媒介シグナル伝達である、請求項17~19のいずれか一項に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
- 前記疾患が呼吸器疾患である、請求項16~20のいずれか一項に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
- 前記呼吸器疾患が、異常な上皮生理機能及び/又は異常EGFR活性を特徴とする、請求項21に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
- 前記呼吸器疾患が、下呼吸器疾患、好ましくは、気管支の呼吸器疾患である、請求項21又は22に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
- 前記呼吸器疾患が:COPD、気管支炎、肺気腫、CF-気管支拡張症若しくは-CF-気管支拡張症などの気管支拡張症、喘息、又は喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)から選択される、請求項21~23のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記呼吸器疾患が、COPD、好ましくは、気管支炎性COPDである、請求項21~24のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記呼吸器疾患が、喘息、好ましくは、気管支喘息である、請求項21~24のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記予防又は治療が、粘液クリアランスを改善する、請求項16~26のいずれか一項に記載の使用のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記予防又は治療が、異常な粘液産生を阻害又は低減する、請求項16~27のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記予防又は治療が、MUC5AC産生を阻害又は低減する、請求項28に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記予防又は治療が、異常な粘液組成を阻害する、請求項16~29のいずれか一項に記載の使用のためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記予防若しくは治療が、MUC5AC:MUC5Bの比率を阻害又は低減する;及び/又は前記予防若しくは治療が、粘液中のMUC5ACを阻害又は低減する;及び/又は前記予防若しくは治療が、粘液の濃さを低減する、請求項30に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記予防又は治療が、異常な上皮リモデリングを阻害する、請求項16~31のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記予防又は治療が、異常な杯細胞分化又は増殖を阻害する、請求項16~32のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記異常な杯細胞分化又は増殖が、異常なMUC5AC+杯細胞分化又は増殖である、請求項33に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記予防又は治療が、呼吸器上皮の厚さを低減する、請求項16~34のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記予防若しくは治療が、前記上皮の全組織領域でMUC5AC+杯細胞の量を低減する、請求項35に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記IL-33アンタゴニストが、酸化IL-33の活性を阻害する、請求項1~36のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記IL-33アンタゴニストが、酸化IL-33のRAGEとの結合を妨げ、それによりRAGE-EGFRシグナル伝達を阻害する、請求項1~37のいずれか一項に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
- 前記IL-33アンタゴニストが、RAGE-EGFR依存シグナル伝達及び/又はRAGE-EGFR媒介効果を下方制御又は阻害する、請求項1~38のいずれか一項に記載のとおり使用するための、IL-33アンタゴニスト。
- 前記IL-33アンタゴニストが、IL-33、好ましくは、還元IL-33又は酸化IL-33、好ましくは、還元IL-33に結合する、結合分子又はその断片である、請求項1~39のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記IL-33アンタゴニストが、抗体又はその抗原結合断片、好ましくは、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片、好ましくは、抗還元IL-33抗体又はその抗原結合断片である、請求項1~40のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記IL-33アンタゴニストが、表1から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)のペアの相補性決定領域(CDR)を含む、結合分子である、請求項1~41のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記IL-33アンタゴニストが、表1から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)のペアを含む、結合分子である、請求項1~42のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
- 前記IL-33アンタゴニストが、配列番号37の配列を有するVHCDR1、配列番号38の配列を有するVHCDR2、配列番号39の配列を有するVHCDR3、配列番号40の配列を有するVLCDR1、配列番号41の配列を有するVLCDR2、及び配列番号42の配列を有するVLCDR3を含む結合分子である、請求項1~43のいずれか一項に記載のIL-33アンタゴニスト。
- 治療有効量のIL-33アンタゴニストを投与して、RAGE-EGFR媒介効果を調節又は阻害することによる、対象における異常な上皮生理機能の予防又は治療のための方法。
- 前記異常な上皮生理機能が、異常な粘膜毛様体生理機能、好ましくは、呼吸上皮の異常な粘膜毛様体生理機能である、請求項45に記載の方法。
- 異常な粘膜毛様体生理機能が:異常な粘液産生;異常な杯細胞分化;異常な杯細胞増殖;異常な上皮厚さ;異常な粘液クリアランス;及び/又は異常な粘液組成から選択される、請求項46に記載の方法。
- 異常な粘液産生が、異常なMUC5AC産生を含み;及び/又は異常な杯細胞分化が、異常なMUC5AC+杯細胞分化を含み;及び/又は異常な杯細胞増殖が、異常なMUC5AC+杯細胞増殖を含み;及び/又は異常な前記上皮厚さが、前記上皮の全組織領域で異常な量のMUC5AC+杯細胞を含む、請求項47に記載の方法。
- 異常な粘膜毛様体生理機能が:粘液産生の増加;杯細胞分化の増加;杯細胞増殖の増加;前記上皮の厚さの増加;及び/又は粘液クリアランスの減少を含む、請求項47又は48に記載の方法。
- 粘液産生の増加が、MUC5AC産生の増加を含み;及び/又は杯細胞分化の増加が、MUC5AC+杯細胞分化の増加を含み;及び/又は杯細胞増殖の増加が、MUC5AC+杯細胞増殖の増加を含み;及び/又は前記上皮の厚さの増加が、前記上皮の全組織領域で増加した量のMUC5AC+杯細胞を含む、請求項49に記載の方法。
- 異常な粘液組成が、粘液に含有される様々な粘液化合物の比率の増加若しくは減少;1つ以上の粘液化合物の増加若しくは減少;及び/又は粘液の濃度若しくは濃さの増加若しくは減少を含む、請求項47に記載の方法。
- 異常な粘液組成が、MUC5AC:MUC5Bの比率の増加を含み;及び/又は異常な粘液組成が、粘液に含有されるMUC5ACの増加を含み;及び/又は異常な粘液組成が、粘液の濃さの増加を含む、請求項51に記載の方法。
- 前記異常な上皮生理機能が、異常な上皮リモデリングである、請求項45に記載の方法。
- 前記異常な上皮生理機能が、気道、好ましくは、前記気道の異常な粘膜毛様体生理機能である、請求項45~53のいずれか一項に記載の方法。
- 前記気道が、下気道、好ましくは、気管支である、請求項54に記載の方法。
- 治療有効量のIL-33アンタゴニストを投与することによる、EGFR媒介疾患の予防又は治療のための方法。
- 前記EGFR媒介疾患が、RAGE-EGFR媒介疾患である、請求項56に記載の方法。
- 前記EGFR媒介疾患が、異常なEGFR活性を特徴とする、請求項56又は57に記載の方法。
- 前記EGFR媒介疾患が、異常な上皮生理機能を特徴とする、請求項56~58のいずれか一項に記載の方法。
- 治療有効量のIL-33アンタゴニストを投与して、上皮生理機能を改善することによる、疾患の予防又は治療のための方法。
- 治療有効量のIL-33アンタゴニストを投与して、EGFR媒介効果を阻害することによる、疾患の予防又は治療のための方法。
- 前記EGFR媒介効果が、EGFRシグナル伝達である、請求項61に記載の方法。
- 前記EGFR媒介効果が、RAGE-EGFR媒介効果である、請求項61又は62に記載の方法。
- 前記EGFR媒介効果が、RAGE-EGFR媒介シグナル伝達である、請求項61~63のいずれか一項に記載の方法。
- 前記疾患が呼吸器疾患である、請求項60~64のいずれか一項に記載の方法。
- 前記呼吸器疾患が、異常な上皮生理機能及び/又は異常EGFR活性を特徴とする、請求項65に記載の方法。
- 前記呼吸器疾患が、下呼吸器疾患、好ましくは、気管支の呼吸器疾患である、請求項65又は66に記載の方法。
- 前記呼吸器疾患が:COPD、気管支炎、肺気腫、CF-気管支拡張症又は-CF-気管支拡張症などの気管支拡張症、喘息、又は喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)から選択される、請求項65~67のいずれか一項に記載の方法。
- 前記呼吸器疾患が、COPD、好ましくは、気管支炎性COPDである、請求項65~68のいずれか一項に記載の方法。
- 前記呼吸器疾患が、喘息、好ましくは、気管支喘息である、請求項65~69のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法が、粘液クリアランスを改善する、請求項45~70のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法が、異常な粘液産生を阻害又は低減する、請求項45~71のいずれか一項に記載の方法。
- 前記異常な粘液産生が、MUC5AC産生の増加である、請求項72に記載の方法。
- 前記方法が、異常な粘液組成を阻害する、請求項45~73のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法が、MUC5AC:MUC5Bの比率を阻害若しくは低減し;及び/又は前記方法が、粘液中のMUC5ACを阻害若しくは低減し;及び/又は前記方法が、粘液の濃さを阻害若しくは低減する、請求項74に記載の方法。
- 前記方法が、異常な上皮リモデリングを阻害する、請求項45~75のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法が、異常な杯細胞分化又は増殖を阻害又は低減する、請求項45~76のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法が、異常なMUC5AC+杯細胞分化又は増殖を阻害又は低減する、請求項77に記載の方法。
- 前記方法が、呼吸器上皮の厚さを低減する、請求項45~78のいずれか一項に記載の方法。
- 前記方法が、前記呼吸器上皮の全組織領域でMUC5AC+杯細胞の量を低減する、請求項79に記載の方法。
- 前記IL-33アンタゴニストが、酸化IL-33の活性を阻害する、請求項45~80のいずれか一項に記載の方法。
- 前記IL-33アンタゴニストが、酸化IL-33のRAGEとの結合を妨げ、それによりRAGE-EGFRシグナル伝達を阻害する、請求項45~81のいずれか一項に記載の方法。
- 前記IL-33アンタゴニストが、RAGE-EGFR依存シグナル伝達及び/又はRAGE-EGFR媒介効果を下方制御又は阻害する、請求項45~82のいずれか一項に記載の方法。
- 前記IL-33アンタゴニストが、IL-33、好ましくは、還元IL-33又は酸化IL-33、好ましくは、還元IL-33に結合する、結合分子又はその断片である、請求項45~83のいずれか一項に記載の方法。
- 前記IL-33アンタゴニストが、抗体又はその抗原結合断片、好ましくは、抗IL-33抗体又はその抗原結合断片、好ましくは、抗還元IL-33抗体又はその抗原結合断片である、請求項45~84のいずれか一項に記載の方法。
- 前記IL-33アンタゴニストが、表1から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)のペアの相補性決定領域(CDR)を含む、結合分子である、請求項45~85のいずれか一項に記載の方法。
- 前記IL-33アンタゴニストが、表1から選択される可変重鎖ドメイン(VH)と可変軽鎖ドメイン(VL)のペアを含む、結合分子である、請求項45~86のいずれか一項に記載の方法。
- 前記IL-33アンタゴニストが、配列番号37の配列を有するVHCDR1、配列番号38の配列を有するVHCDR2、配列番号39の配列を有するVHCDR3、配列番号40の配列を有するVLCDR1、配列番号41の配列を有するVLCDR2、及び配列番号42の配列を有するVLCDR3を含む結合分子である、請求項45~87のいずれか一項に記載の方法。
- 前記IL-33アンタゴニストが、配列番号1の配列のVHドメインと、配列番号19の配列のVLドメインとを含む、抗IL33抗体又はその抗原結合断片である、請求項45~88のいずれか一項の記載の方法、又は請求項1~44のいずれか一項に記載のとおり使用するためのIL-33アンタゴニスト。
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