JP7842495B1 - 水生生物または植物の育成方法およびその飼育水の浄化に好適な光触媒 - Google Patents

水生生物または植物の育成方法およびその飼育水の浄化に好適な光触媒

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Abstract

【課題】白金の触媒効果を長期間維持することによって、飼育水中のアンモニアの分解や水質浄化の機能を持続できる光触媒を提供する。
【解決手段】光触媒により活性化された活性化処理水に酸化チタン、酸化チタンゾル、酸化触媒、セラミック粉末及び水性バインダーを配合して分散させた光触媒原液に、液体中に白金ナノ粒子を分散させた白金ゾルを混ぜ合わせて光触媒分散液を生成し、光触媒分散液を多孔質の濾材に含浸させ、光触媒分散液に含まれる触媒活性成分である酸化チタン、酸化触媒、セラミック粉末および白金ナノ粒子を濾材に担持させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、魚介類や甲殻類などの水生生物の飼育水を浄化しながら循環させる循環式の陸上養殖において、光触媒による飼育水中のアンモニアの分解や飼育水の浄化に関するものである。
魚介類や甲殻類などの水生生物の養殖を行う場合、水槽に海水などの飼育水を入れるが、残餌や排泄物によって水質汚染が生じるので、飼育水を交換する必要が生じる。内陸部などの陸上で養殖している場合、飼育水の入れ替えが困難である。そこで、飼育水を浄化しながら循環させることにより、飼育水の交換が不要となる。
このような飼育水には、残餌や排泄物により汚染物質としてアンモニアが発生するので、循環式の陸上養殖では、飼育水中のアンモニアを分解して除去する必要がある。例えば、特許文献1の段落0126には、水中のアンモニアをPt/TiO(白金めっきしたチタニア)といった光触媒で分解することが記載されている。また、特許文献2には、表面に貴金属を蒸着した二酸化チタンの光触媒がアンモニアを分解する浄水処理に用いられることが記載されている。
ところで、Pt/TiO触媒は耐久性に問題があるので、長期にわたり高いアンモニア分解活性を維持することができるアンモニア含有水処理触媒が特許文献3に記載されている。この触媒は、アンモニア含有水を酸素含有ガスで接触酸化処理するときに用いられる触媒であって、チタニア担体に白金と白金以外の他の貴金属とを担持させたものであり、白金の化合物と、他の貴金属の化合物との両方を含む溶液にチタニアを含浸して、この触媒が製造される。
特表2013-503036公報 特許第3751147号公報 特開2001-300313公報
光触媒によるアンモニアの分解において、酸化チタンの光触媒では、直接的な分解が難しいので、上記のように白金などの助触媒を添加することにより、活性酸素の生成が促進され、効率よくアンモニアを分解することができる。
ところで、循環式養殖における飼育水の浄化処理は長期間連続して行う。長期間にわたって白金の添加効果を維持するには、酸化チタンの担体に白金を添加するだけでは難しい。そこで、本発明は、このような白金の触媒効果を長期間維持することによって、循環させて使用する飼育水中のアンモニアの分解や水質浄化の機能を持続できる光触媒を提供することを目的とする。
本発明の光触媒を製造するための光触媒分散液は、光触媒により活性化された活性化処理水に酸化チタン、酸化チタンゾル、酸化触媒、セラミック粉末及び水性バインダーを配合して分散させた光触媒原液と、液体中に白金ナノ粒子を分散させた白金ゾルとを混ぜ合わせたものである。
白金ナノ粒子の粒径は6~10nmが好適である。そして、分解処理するアンモニアの濃度が高いほど白金ナノ粒子の分量が多くなるように、アンモニアの濃度に応じて白金ナノ粒子の分量が調整される。
光触媒は、光触媒分散液に含まれる触媒活性成分である酸化チタン、酸化触媒、セラミック粉末および白金ナノ粒子が多孔質の濾材に担持されたものである。この光触媒の製造方法として、光触媒により活性化された活性化処理水に酸化チタン、酸化チタンゾル、酸化触媒、セラミック粉末及び水性バインダーを配合して分散させた光触媒原液に、液体中に白金ナノ粒子を分散させた白金ゾルを混ぜ合わせて光触媒分散液を生成し、前記光触媒分散液を多孔質の濾材に含浸させ、前記光触媒分散液に含まれる触媒活性成分である酸化チタン、酸化触媒、セラミック粉末および白金ナノ粒子を前記濾材に担持させる。
水生生物の飼育水を浄化しながら循環経路を循環させる循環式の陸上養殖において、飼育水に含まれるアンモニアを分解するために、透光性を有する筒状の容器に、酸化チタン、酸化触媒、セラミック粉末および白金ナノ粒子を含む触媒活性成分を多孔質の濾材に担持させた光触媒を収容し、複数の前記容器を前記循環経路中に配置し、飼育水が流れる前記容器に光を照射して、飼育水中のアンモニアを分解しながら飼育水を浄化する。
前記容器において、飼育水は上下方向に流れ、隣り合う前記容器は、飼育水の流れ方向が互いに逆方向になるように接続され、上流側の前記容器では、飼育水は上側に向かって流れ、下流側の前記容器では、飼育水は下側に向かって流れる。
前記光触媒を用いた水生生物または植物の育成方法として、流水経路中に、酸化チタン、酸化触媒、セラミック粉末および白金ナノ粒子を含む触媒活性成分を多孔質の濾材に担持させた光触媒と水生生物または植物とをそれぞれ離れた位置に配置し、前記光触媒に光を照射しながら前記光触媒と水を接触させて、水を活性化させ、活性化させた水を前記水生生物または植物に接触させる。
本発明によると、白金ナノ粒子を分散させた白金ゾルを用いることにより、白金ナノ粒子は凝集することなく、酸化チタンや濾材に均一に高分散化するので、白金ナノ粒子を広範囲に担持することができる。これにより、光触媒における白金の助触媒としての機能を十分に発揮させることができ、しかも光触媒によるアンモニアの分解や水質浄化を持続的に行うことができる。
本発明の実施形態の循環式養殖装置の概略図 水処理装置内の光触媒を収容した容器を示す図 (a)~(c)光触媒により人工海水中のアンモニアを分解するときのアンモニア濃度の変化を示す図 光触媒により人工海水中の高濃度のアンモニアを分解するときのアンモニア濃度の変化を示す図 (a)~(c)光触媒により水道水中のアンモニアを分解するときのアンモニア濃度の変化を示す図
以下、本発明の飼育水の浄化処理に用いる光触媒の実施形態を説明する。図1に本実施形態の循環式養殖装置の概略図を示す。循環式養殖装置は、浄化した飼育水を循環させる閉鎖循環式の陸上養殖を行うものであり、飼育槽1、沈殿槽2、泡沫分離装置3、水処理装置4、循環ポンプ5、殺菌装置6の各設備を備え、飼育槽1からの飼育水が再び飼育槽1に戻る循環経路7が形成されている。循環経路7には、上流側から沈殿槽2、泡沫分離装置3、水処理装置4、循環ポンプ5、殺菌装置6が順に配置され、それぞれの設備がパイプなどの配管によって接続されている。
魚介類や甲殻類などの水生生物を飼育するための飼育槽1には、水生生物を飼育するのに適した海水、人工海水、淡水、好適環境水などの飼育水が入れられる。飼育槽1の底部から飼育水が排出される。
沈殿槽2は、飼育槽1から排出された飼育水を溜めて、飼育水中にある水生生物の排泄物や残餌などの比重の重い固形物を沈殿させる。沈殿槽2の底にたまった固形物は開閉バルブを開くことによって排出される。
泡沫分離装置3には、沈殿槽2から固形物が除去された飼育水が流入する。泡沫分離装置3は、バブル発生器により気泡を発生させて、気泡に飼育水中のたんぱく質、脂質等の懸濁物を吸着および濃縮させる。懸濁物が浮上分離する。上部に集まった気泡を含んだ懸濁物は排出され、飼育水から懸濁物が除去される。
水処理装置4には、泡沫分離装置3から懸濁物が除去された飼育水が流入する。水処理装置4は、本発明に係る光触媒を収容している。水処理装置4において、飼育水に含まれるアンモニアを除去したり、有機物を分解して、水質を浄化する。すなわち、光を照射された光触媒により、飼育水中のアンモニアが常温で窒素と水素に分解され、発生した活性酸素により有機物を酸化分解するとともに細菌・ウイルスを不活化する。このように、飼育水を浄化することによって、水生生物の生育に適した水質を維持できる。
循環ポンプ5は、水処理装置4と殺菌装置6との間に介装され、循環経路7に水流を発生させて、各設備に対して飼育水の排出、供給を行う。殺菌装置6は、紫外線照射により飼育水を殺菌する。
次に、循環式養殖装置で使用するアンモニアを分解するのに適した光触媒について説明する。この光触媒は、触媒活性成分である酸化チタン、酸化触媒、セラミック粉末および白金ナノ粒子が多孔質の濾材に担持されたものである。
この光触媒の製造方法として、活性化処理水に酸化チタン、酸化チタンゾル、酸化触媒、セラミック粉末及び水性バインダーを配合して分散させた光触媒原液と、液体中に白金ナノ粒子を分散させた白金ゾルとを混ぜ合わせて、光触媒分散液を生成する。そして、光触媒分散液を多孔質の濾材に含浸させ、光触媒分散液に含まれる触媒活性成分である酸化チタン、酸化触媒、セラミック粉末および白金ナノ粒子を濾材に担持させる。
なお、光触媒原液に関しては、特許第5082034号公報に記載されている複合機能光触媒分散液と同一のものである。まず、活性化処理水を製造し、この活性化処理水を用いて複合機能光触媒分散液(上記の光触媒原液)を製造する。
活性化処理水を製造するために、純水100重量部に、酸化チタン微粉末(テイカ(株)製 光触媒用酸化チタンTKP-101(アナタース形結晶、結晶子径6nm))2.5重量部と、酸化チタンゾル(テイカ株)製光触媒用酸化チタン TKS-203(アナタース形結晶の水系ゾル、結晶子径6nm))2.5重量部と、水性のバインダーとして(アクリル樹脂エマルジョン系接着剤:(株)日本触媒製 ユーブルE-11)3.0重量部とを投入し、室温下、微粉末が均一分散状態になるまで、充分攪拌して光触媒分散液を調製する。
次に、このように調製した光触媒分散液に、連続気泡を有する無機多孔質体(人工ゼオライト:粒径が3~10mm程度の顆粒状に造粒したもの)を浸漬、分散液中の微粉末が沈降してきたら適宜攪拌する。浸漬時間は3~24時間ぐらいが適当であり、その後液中より無機多孔質体を取り出し、付着した水滴を乾燥除去すると、活性化処理水製造用光触媒が得られる。無機多孔質体としては、連続気泡を有するものが好ましく、例えば、ガラス粉末を融着させたガラス粉末発泡体(市販品としては例えばアトマ株)製)、天然ゼオライト又は人工ゼオライト(中部電力(株)や九州電力(株)等が火力発電所の燃焼炉から出る廃棄物から製造しているもの)が好適に使用できる。
さらに、活性化処理水製造用光触媒を、常温の水(純水)に浸漬し、水銀ランプ、紫外線ランプ、ブラックライト等で紫外線を、好ましくは約3時間以上照射すると、活性化処理水が得られる。なお、太陽光照射の場合は、このような活性化処理水を得るためには、約3時間以上の光照射を行うのが好ましい。なお、活性化処理水を製造するための光触媒として、酸化亜鉛や酸化タングステンなどの光触媒を用いてもよい。
このようにして生成された活性化処理水を用いて光触媒原液を製造する。活性化処理水100重量部に、酸化チタン微粉末(テイカ株)製光触媒用酸化チタン TKP-101(アナタース形結晶、結晶子径6nm))2.5重量部、酸化チタンゾル(テイカ(株)製光触媒用酸化チタンTKS-203(アナタース形結晶の水系ゾル、結晶子径6nm))2.5重量部、酸化第二鉄微粉末(株)高純度化学研究所製FEO10PB(α-Fe微粉末、粒径約1μm))2.5重量部、セラミック微粉末(東ソー(株)製のジルコニア微粉末TZ-6YS(粒径90nm))3.0重量部、及び水性バインダーとして(アクリル樹脂エマルジョン系接着剤:(株)日本触媒製ユータブルE-11)3.0重量部を投入し、室温下、各微粉末が均一分散状態になるまで、充分攪拌して光触媒原液を調製する。
光触媒分散液において、酸化チタン微粉末の好ましい配合量は3~15重量部であり、酸化チタンゾル(固形分)の好ましい配合量は0.3~5重量部であり、酸化触媒の好ましい配合量は1~8重量部であり、セラミック粉末の好ましい配合量は1~8重量部であり、水性バインダー(固形分)の好ましい配合量は0.3~5重量部であり、残りは水とするのが好ましい。
なお、酸化触媒としては特に限定されないが、酸化第二鉄を用いるのが好ましく、この酸化第二鉄の形態としても、粉末のものを用いるのが好ましく、特に微粉末のものを用いるのが更に好ましい。セラミック微粉末としては、特に限定されないが、ジルコニア(酸化ジルコニウム)を用いるのが好ましく、特にイットリアを均一に分散固溶させたジルコニア微粉末を用いるのが好ましい。水性バインダーとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂エマルジョン系接着剤が好適に用いられる。
次に、白金ゾルについて、白金ナノ粒子の粒径は6~10nmである。白金ナノ粒子を純水あるいは活性化処理水に所定量の白金ナノ粒子を投入し、室温下、充分攪拌して白金ナノ粒子を水中に分散させて、白金ゾルを製造する。白金ナノ粒子は、白金ゾル中に15~50%の濃度で存在する。ここで、分解処理するアンモニアの濃度に応じて白金ナノ粒子の分量が調整される。アンモニアの濃度が高いほど白金ナノ粒子の分量が多くなるように調整され、白金ゾルの濃度が高くなる。
そして、光触媒分散液を製造する。光触媒原液と白金ゾルを混ぜ合わせて、光触媒分散液を生成する。光触媒分散液に活性化処理水を加えて希釈する。光触媒分散液と活性化処理水は1:1とする。
光触媒の製造において活性化処理水を用いるのは、活性化処理水を用いることにより光触媒分散液および光触媒の機能が向上するからである。活性化処理水を用いると、水を予め活性化していない場合に比べ、洗浄、浄化、殺菌、消臭等の汚染除去効果や植物等の育成効果を高めることができる。
そして、光触媒分散液に含まれる触媒活性成分である酸化チタン、酸化触媒、セラミック粉末および白金ナノ粒子を多孔質の濾材に担持させ、光触媒を製造する。まず、濾材を浅いトレー上に並べ、希釈した光触媒分散液を濾材の表面に噴霧し、分散液が濾材に吸収されなくなるまで繰返し噴霧する。あるいは、濾材を光触媒分散液中に浸漬して、分散液を吸収させてもよい。このようにして光触媒分散液を含浸させた濾材を乾燥する。例えば、80~100℃に設定した熱風乾燥機中に30分程度放置すれば、光触媒を製造できる。
ここで、濾材として、飼育水が通過可能な多孔質の天然ゼオライト又は人工ゼオライトを用いる。ゼオライトは、アンモニアを吸着する能力が高いので、濾材として好適である。なお、使用するゼオライトには、Na型、Ca型、Fe型などがある。例えば、洗浄の目的にはNa型が好ましく、浄化・育成にはCa型やFe型が好ましい。また、人工ゼオライトは天然ゼオライトに比し、比表面積がはるかに大きく、単位重量あたりの触媒吸着量が多くなるので、効率の良い触媒が得られる。いずれのゼオライトの場合も、ゼオライト1000重量部に対し、50~200重量部の光触媒分散液が吸収される。
図2に示すように、製造された光触媒は、透光性を有する長筒状の容器に収容される。目の細かいネットに光触媒を入れ、ネットを容器内に詰め込むことにより、光触媒は容器に充填される。なお、ネットに、光触媒とともに活性炭などの他の多孔質物質を入れてもよい。
光触媒Pが充填された容器10,11が循環経路7に設けられた水処理装置4内に設置される。これにより、光触媒は循環経路7中に配置される。水処理装置4の密閉された空間の内部に、2つの容器10,11と紫外線ランプ12が設けられる。2つの容器10,11は、紫外線ランプ12の光が当たるように縦置きされ、容器10,11内を通過する飼育水は上下方向に流れる。飼育水の流れ方向が互いに逆方向になるように、隣り合う容器10,11の上部同士が配管により接続され、上流側の容器10の下部が泡沫分離装置3からの配管に接続され、下流側の容器11の下部が循環ポンプ5への配管に接続される。上流側の容器10では、飼育水は下から上に向かって流れ、下流側の容器11では、飼育水は上から下に向かって流れる。なお、2つの容器10,11を1セットとして、養殖の規模に応じて複数のセットを直列あるいは並列に接続して、水処理装置4に設置してもよい。
沈殿槽2および泡沫分離装置3により固形物や懸濁物を除去された飼育水が水処理装置4に流入すると、飼育水は上流側の容器10および下流側の容器11を通過する。紫外線ランプ12から光が光触媒に照射されると、酸化チタンの表面で電子と正孔が生成して、正孔がアンモニア分子と反応し、アンモニアを酸化する。このようにして、光触媒により、飼育水中のアンモニアの分解が促進される。
白金ナノ粒子は、電子の移動を助ける助触媒として働き、電子と正孔の分離効率を高めて、正孔の反応速度を向上させる。また、アンモニアの分解反応において反応に直接関係する部位となる活性点として機能し、分解の反応速度を向上させる。しかも、ゾル中の白金ナノ粒子は凝集せずに濾材表面および酸化チタン表面に均一に高分散化されるので、活性点が多くなり、効率よく分解反応が行われ、光触媒の高活性化を図ることができる。また、白金ナノ粒子が広く分散して担持されることになり、アンモニア分解活性を長期間維持でき、アンモニアの分解を長く持続できる光触媒を実現できる。
飼育水は上流側の容器10内を下から上に向かって流れるので、重力の影響で飼育水は濾材全体に広がり、水中の有機物や不純物が濾材に吸着され除去される。しかも、飼育水と光触媒との接触時間が長くなるので、光触媒が作用する機会が増え、より効果的にアンモニアや吸着した有機物や不純物を分解し除去することができる。そして、飼育水は下流側の容器11内を上から下に向かって流れ、この間においてもアンモニアが分解され、さらに水質が浄化される。なおかつ、浄化された飼育水が光触媒に接触することにより、水分子が分解されて水素と酸素が生成され、生成された水素と酸素が水分子と相互作用し、飼育水が活性化される。
飼育水が水処理装置4を通過した後、アンモニアが除去されて浄化された飼育水が飼育槽1に戻る。飼育水を循環させることにより、時間の経過とともに飼育水のアンモニア濃度が徐々に低下していき、飼育槽1の水質が浄化される。また、活性化された飼育水が供給されることになり、水生生物の生育を促進できる。
ここで、本発明の光触媒によるアンモニア分解の効果を確かめるために、循環水におけるアンモニアの分解に関する実験を行った。300Lの水槽に人工海水と適量のアンモニア水を入れ、水槽に光触媒を収容した2つの容器を上記のように接続する。なお、人工海水は、水道水に人工海水の素(株式会社カイスイマレン製のドクターアクアワンダーザルツ)を入れたものであり、塩分濃度は3~3.5%である。そして、ポンプにより水槽の循環水を一定の流量、例えば36L/分で循環させて、光触媒によるアンモニア分解能を確認した。
所定のアンモニア濃度にされた循環水が2つの容器内を流れる。連続的に紫外線ランプから紫外線の照射を受けた光触媒により、循環水が活性化されつつアンモニアが分解される。このように浄化された循環水が水槽に戻り、水槽内のアンモニア濃度は徐々に低下していく。
ポータブル吸光光度計によって水槽のアンモニア濃度を測定して、経時的な濃度変化を調べた。図3(a)~(c)に示すように、水槽のアンモニア濃度が2.3mg/L以下において、時間の経過とともにアンモニア濃度が低下していった。図4に示すように、アンモニア濃度が23mg/Lと高い場合、アンモニアの分解が進みにくく、アンモニア濃度のわずかな低下がみられる。通常、陸上養殖におけるアンモニア濃度の管理目標値は、0.2~2mg/Lとされている。したがって、陸上養殖において、この光触媒を使用することにより、アンモニアなどの有害物を除去でき、アンモニア濃度を適切に保つ水質管理を行うことができる。
また、海水以外の水道水や井戸水などを使用する陸上養殖に対して、水道水を用いた循環水についても同様の実験を行った。図5(a)~(c)に示すように、水槽のアンモニア濃度が2.6mg/L以下において、時間の経過とともにアンモニア濃度が低下していった。通常、陸上養殖におけるアンモニア濃度の管理目標値は、0.2~2mg/Lとされている。したがって、陸上養殖において、この光触媒を使用することにより、飼育水中のアンモニアなどの有害物を除去でき、アンモニア濃度を適切に保つ水質管理を行うことができる。
ところで、この光触媒は、酸化チタン、酸化触媒、セラミック粉末といった触媒活性成分を含んでいる。特許第5082034号公報に記載されている複合機能光触媒と同じ触媒活性成分であるため、複合機能光触媒としても使用可能である。したがって、本発明の光触媒は、陸上養殖におけるアンモニア分解や水質浄化以外の他の用途に用いてもよい。
光触媒を閉鎖型水耕栽培における野菜などの植物の育成に用いる場合、光触媒と植物とはそれぞれ離れた位置に配置され、液体肥料を溶かした水が両者の間を循環するように循環経路としての流水経路が形成される。流水経路には、上記したものと同じ水処理装置4が配置される。水処理装置4は、光触媒Pを収容した2つの容器10,11と紫外線ランプ12を備えている。紫外線等の光を照射された光触媒に水が接触すると、水は浄化されるとともに活性化される。活性化された水が植物に供給されて、植物に接触する。これにより、植物の生育が促進される。
光触媒を魚介類などの水生生物の育成に用いる場合も同様に、光触媒と水生生物とはそれぞれ離れた位置に配置され、水が両者の間を循環するように上記の水処理装置4が配置された循環経路としての流水経路が形成される。紫外線等の光を照射された光触媒に水が接触すると、水は浄化されるとともに活性化される。活性化された水が水生生物に供給されて、水生生物に接触する。これにより、水生生物の生育が促進される。
なお、常に水を循環させる代わりに、間欠的に循環させてもよい。水が光触媒に接触しながら停留している間に、光が照射された光触媒により、水が活性化される。長い時間接触することにより、活性化処理水が生成される。この活性化処理水が水生生物や植物に供給されると、より一層植物の生育を促進させることができる。
また、水耕栽培と陸上養殖を組み合わせたアクアポニックスに本光触媒を用いてもよい。水中のアンモニアが分解されて生じた硝酸塩は植物の栄養となり、植物が栄養を吸収して生育される。浄化された水は養殖に供され、水生生物の生育が促進される。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。半閉鎖循環式の陸上養殖あるいはかけ流し式の陸上養殖において、飼育水のアンモニア分解および水質浄化に上記光触媒を使用してもよい。
1 飼育槽
2 沈殿槽
3 泡沫分離装置
4 水処理装置
5 循環ポンプ
6 殺菌装置
7 循環経路
10 上流側の容器
11 下流側の容器
12 紫外線ランプ
P 光触媒

Claims (8)

  1. 活性化処理水製造用光触媒により活性化された活性化処理水に微粉末の酸化チタン、酸化チタンゾル、酸化触媒、セラミック粉末及び水性バインダーを配合して分散させた光触媒原液と、液体中に白金ナノ粒子を分散させた白金ゾルとからなり、前記光触媒原液と前記白金ゾルとが混ぜ合わせられて生成されたことを特徴とする光触媒分散液。
  2. 白金ナノ粒子の粒径が6~10nmであることを特徴とする請求項1記載の光触媒分散液。
  3. 分解処理するアンモニアの濃度が高いほど白金ナノ粒子の分量が多くなるように、アンモニアの濃度に応じて白金ナノ粒子の分量が調整されたことを特徴とする請求項1記載の光触媒分散液。
  4. 請求項1~3のいずれか1つに記載の光触媒分散液に含まれる触媒活性成分である酸化チタン、酸化触媒、セラミック粉末および白金ナノ粒子が多孔質の濾材に担持されたことを特徴とする光触媒。
  5. 活性化処理水製造用光触媒により活性化された活性化処理水に微粉末の酸化チタン、酸化チタンゾル、酸化触媒、セラミック粉末及び水性バインダーを配合して分散させた光触媒原液に、液体中に白金ナノ粒子を分散させた白金ゾルを混ぜ合わせて光触媒分散液を生成し、前記光触媒分散液を多孔質の濾材に含浸させ、前記光触媒分散液に含まれる触媒活性成分である酸化チタン、酸化触媒、セラミック粉末および白金ナノ粒子を前記濾材に担持させることを特徴とする光触媒の製造方法。
  6. 水生生物の飼育水を浄化しながら循環経路を循環させる循環式の陸上養殖において、飼育水に含まれるアンモニアを分解するためのアンモニア分解方法であって、透光性を有する筒状の容器に、請求項4記載の光触媒を収容し、複数の前記容器を前記循環経路中に配置し、飼育水が流れる前記容器に光を照射して、飼育水中のアンモニアを分解しながら飼育水を浄化することを特徴とするアンモニア分解方法。
  7. 前記容器において、飼育水は上下方向に流れ、隣り合う前記容器は、飼育水の流れ方向が互いに逆方向になるように接続され、上流側の前記容器では、飼育水は上側に向かって流れ、下流側の前記容器では、飼育水は下側に向かって流れることを特徴とする請求項6記載のアンモニア分解方法。
  8. 流水経路中に、請求項4記載の光触媒と水生生物または植物とをそれぞれ離れた位置に配置し、前記光触媒に光を照射しながら前記光触媒と水を接触させて、水を活性化させ、活性化させた水を前記水生生物または植物に接触させることを特徴とする水生生物または植物の育成方法。
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