JP2006231150A - 光触媒及びその製造方法とそれを用いた水処理方法及び装置 - Google Patents

光触媒及びその製造方法とそれを用いた水処理方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 光触媒材上に銀及び塩化銀を担持させることにより、光触媒反応速度を著しく向上させた光触媒とその製法、及び、水処理方法と装置を提供する。
【解決手段】 光触媒材1上に、銀及び塩化銀3を担持させた光触媒Aとしたものであり、前記光触媒は、塩化銀を、1上に銀を担持させ、それを電解酸化して生成させたものであり、前記光触媒は、銀が核(コア)、塩化銀が外殻(シェル)を構成しており、また、1は、導電性物質であるか、又は、導電性物質6に担持させることができ、その製法は、1上に、先ず銀を担持させ、次いで電解酸化により該銀から塩化銀を形成させることにより、1上への銀の担持は、電解還元析出で行うことができ、また、有害物質を含む水を前記の光触媒に接触させることにより、有害物質を除去する水の処理方法としたものであり、前記有害物質を含む水は、貧酸素状態であってもよい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、良好に光触媒活性が発揮される光触媒及びその製造方法とそれを用いた水処理方法及び装置に関する。
本発明の光触媒は、製薬、医薬、農薬、食品、半導体のような各種化学工程における産業廃水、都市下水、上水、バイオマス等の水処理に適用可能である。特に、有害物質が被酸化性汚染物、例えば有機性物質(有機物)、アンモニアを含む水の酸化処理、細菌や原生動物等有害生物を含む水の殺菌(不活化)、藻類の死滅化、脱色、脱臭を行う方法及び装置に関する。
表1に、本発明の用途並びに用途に対応した利用分野の例を示す。
Figure 2006231150
近年、環境汚染に対する認識が益々高まっている。中でも、水処理に対する認識は高く、一層効果的で良質な水質が得られる水処理方式の出現が期待されている。
従来の水処理方式として、水中の有機性物質(有機物)の処理について説明する。
従来から水中の有機物除去方法としては、活性炭法、オゾン法、電気分解法などが知られている。しかしながら、これらの処理法には次の如き問題点がある。
1)活性炭法
処理効率は比較的高いが、活性炭の再生が面倒でありコストが高い。
2)オゾン法
有機物処理として、脱色、脱臭、分解作用の効果は比較的よく、他に殺菌作用が存在するが、オゾンは製造するのにコスト高であり、また、未利用のオゾンが廃オゾンとして放出されるため、リーク廃オゾンの環境二次汚染対策が必要である。
3)電気分解法
有機物処理としての脱色の効率は比較的よいが、有機物分解には充分な効果が得られない。また、コスト高である。
これらに対し、本発明者らは、光触媒を用いた新規方式を提案した(例:特公平2−55117号公報、特許第3202863号公報)。
特公平2−55117号は、過酸化水素のような過酸化物の存在下に空気又は酸素を吹き込み、反応促進を図るものである。
特許第3202863号は、光触媒をファイバー状の様な線状物品となして光触媒面積を大きくすることで、反応促進を図るものである。
また、光触媒材に銀を含有させ、抗菌作用の促進を図る提案がある(特開平10−235346号公報)。
これらのこれまでの光触媒方式は、用途、要求性能によっては効果的であるが、例えば、光触媒を用いる方式は、貧酸素状態(水中の酸素濃度が低下した状態)になると原理的に性能が低下してしまうので、水処理効率が低下し、処理水質が悪化したりする現象が起こりうる。その様な中で、長時間性能の安定化(一定性能の維持)、維持管理の容易化等、用途や要求性能によっては一層実用上効果的な方式の出現が期待されていた。
特公平2−55117号公報 特許第3202863号公報 特開平10−235346号公報
本発明は、上記従来技術に鑑み、光触媒材上(表面)に銀及び塩化銀を担持させることにより、光触媒反応速度を著しく向上させることができる光触媒とその製造方法、及びそれを用いた水処理方法と装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明では、光触媒材上に、銀及び塩化銀を担持させたことを特徴とする光触媒としたものである。
前記光触媒において、塩化銀は光触媒材上に銀を担持し、その銀を電解酸化して生成させることができ、前記光触媒は、銀が核(コア)、塩化銀が外殻(シェル)を構成しており、また、前記光触媒は、光触媒材が導電性物質であるか、又は、光触媒材を導電性物質に担持させることができる。
また、本発明では、光触媒の製造方法においては、光触媒材上に、先ず銀を担持させ、次いで電解酸化により該銀から塩化銀を形成させて製造することとしたものである。
前記光触媒の製造方法において、光触媒材上への銀の担持は、電解還元析出で行うことができる。
さらに、本発明では、有害物質を含む水から有害物質を除去する水の処理方法において、該有害物質を含む水を、光が照射されている前記したいずれかの光触媒に接触させることとしたものであり、該処理方法において、前記有害物質を含む水が、貧酸素状態であってもよく、前記水処理方法は、前記光触媒を電解酸化により再生するための再生部を有することができる。
また、本発明では、有害物質を含む水から有害物質を除去する水の処理装置において、該有害物質を含む水の導入口及び排水口を有し、内部に前記したいずれかの光触媒と、該光触媒に光照射する光源とを有することとしたものである。
前記水処理装置において、光触媒の設置部には、該光触媒の再生を行う再生部を備えることができる。
本発明によれば、次のような効果を奏することができた。
(ア)光触媒材に銀及び塩化銀を担持させることにより、高活性な光触媒ができた。
(イ)前記光触媒は、光触媒材に銀を担持させた、次いで電解酸化を行うことにより形成できた〔Ag(コア)・Ag(シェル)/光触媒材料〕。
(ウ)前記光触媒は、水中酸素濃度が例えば1〜3mg/L以下のような貧酸素状態でも高活性を発揮する。
(エ)前記光触媒は、電解酸化により再生できた。
従って、本光触媒は、再生を併用することで長時間にわたり高活性を維持できた。
(オ)本光触媒は、水中酸素含有濃度が自然状態(通常状態)の濃度域から貧酸素状態の濃度域においても高活性な酸化力を発揮するので、酸化、殺菌(不活化)、脱色、脱臭等の広い用途、利用分野に適用できた。
上記より、光触媒技術の実用性が一層高まった。
本発明は、次の5つの知見に基づいて発明されたものである。
(1)光触媒に光照射すると、光励起により荷電子帯に正孔(h+)、伝導帯に電子(e)が生じ、この正孔は強力な酸化力を有するため、有機物やアンモニアのような被酸化性汚染物を分解、無害化できるので、環境汚染浄化材料として有用である。この酸化力は、例えば光触媒が酸化チタン(TiO)の場合、TiO表面に生じる正孔は、約+3.0V(v.s. NHE)であり、オゾンの酸化力に対し1.5倍である。(エバラ時報, No.180号、 P3〜14、1998)
(2)光触媒反応の高効率化には、正孔と電子の再結合を防止(電荷分離促進)することが重要である。従来、このために電子受容体(電子アクセプター)として光触媒周囲に存在する酸素がこの作用をなしていたが、酸素による電子移動は必ずしも十分でない(酸素による電子移動は遅い)。すなわち、電子受容体に対する酸素の利用は、これまでの光触媒反応活性の律速となり、光触媒反応全体の速度を低下させている。
(3)またこの様に、従来の光触媒は、酸素の共存が必須であるので、貧酸素状態では、光触媒は原理的に使用できないため、用途開発に限界がある。
(4)上記に対し、TiOのような光触媒材料上に、銀(Ag)及び塩化銀(AgCl)を担持(Ag・AgCl/TiO)させると、TiOへの光照射によりTiOに生じた電子は、Agを経てAgClが電子受容体として作用し、塩素イオン(Cl)を放出する。このAgによる作用は、上記酸素よりも迅速に起こるので、結果として、この光触媒(Ag・AgCl/TiO)は、高活性を示す。また、原理的に酸素が存在しない無酸素状態や酸素が少ない状態(貧酸素状態)でも高活性を発揮する。
(5)TiO上へのAg・AgClは、TiO上に担持したAg/TiOをKCl電解質溶液での電解酸化により、TiO表面上に、多数のAg(コア)・AgCl(シェル) が形成(Agを中心にしてAgClがその周囲に花びらのごとく形成)する。従って、Cl放出等により光触媒性能が低下しても、前記の電解酸化により簡便に再生できる。
本発明の光触媒は、光触媒材上にAg及びAgClを担持したものであり、該光触媒は、光吸収によってそのエネルギーを他の反応物(被処理物)に与えて酸化作用を及ぼし、種々の化学反応、例えば酸化反応、殺菌(不活化)、脱色反応、脱臭反応を誘起させ、水中の有害物質(汚染物)を除去するものである。
次に、本発明の光触媒の構造とその作用(原理)について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の光触媒Aの構造(構成と原理)を示す概念図である。
図1により、本発明の光触媒Aについて説明する。
図1(a)は、本発明の第1の光触媒Aの基本構造(断面図)を示す。本発明の光触媒Aは、光触媒材1、該光触媒材上(表面)に担持し2のAg及び3のAgClより構成される。
光触媒A(光触媒材1、Ag2、AgCl3)に光源(図示せず)から光照射すると、光触媒材1の価電子帯に正孔(h)4、及び伝導帯に電子(e)5が生じ、正孔4は強力な酸化力を有するので反応物に対して、種々の化学反応を誘起する。
ここで、伝導帯の電子5は、Ag2が迅速に電子5を受け取る電子受容体となるので、Ag2に移動し、光触媒A表面は、高活性が維持される。
ここで、電子5のAg2への移動によりAgCl3から塩素イオン(Cl)が放出される。該Clは、本発明の光触媒による水処理装置において通常は無害のため、特別な処理はしなくてもよい。用途等により除去する場合は、周知の方法、例えば隔膜電解法で除去できる。また、放出Clは、本発明の光触媒を用いる水処理の後方の物理化学的処理プロセスで適宜に処理可能である。
次に、光触媒材がTiOの場合の有害物質(反応物)の反応式を示す。
反応物+HO+Agm・AgCln/TiO →反応生成物(無害化あるいは低分子量化) + Agm・AgCln−x/TiO +XCl・・・・(1)
図1(b)は、本発明の第2の光触媒A’の基本構造(断面図)を示す。この光触媒A’は、光触媒材1を母材(支持物)6に担持させたものであり、図1(a)と同一符号は、同じ意味を示す。この形態は、光触媒1上へのAg2及びAgCl3の付加を電解法で行う場合に好適であり、母材6をSnOの様な導電性材料とすることで実施可能である。
この例としては、例えばSnO電極上にTiO薄膜を形成(TiO/SnO)し、Agを電解還元析出によりTiO上に担持させ(Ag・AgCl/TiO/SnO)、次いでKCL電解質溶液中での電解酸化により、TiO/SnO表面上に多数のAg(コア)・AgCl(シェル)ミクロ結晶微粒子を形成させ、光触媒A’(Ag・AgCl/TiO/SnO)が製造できる。
次に、前記の本発明の光触媒Aの構成材(あるいは構成要素)について夫々説明する。
1)光触媒材
光触媒材1は、前記〔図1(a)、(b)〕のごとく、光源からの光照射による励起により、正孔と電子が生成され、該表面上にAg及びAgClが担持できる材料(物質)であれば何れでもよく、周知の光触媒材料を、用いる光源の種類、要求性能、図1記載の母材の有無や種類によって、適宜予備検討等を行い、決めることができる。
この様な材料として半導体材料があり、容易に入手でき、加工性もよいことから好ましい。効果や経済性の面から、Se,Ge,Si,Ti,Zn,Cu,Al,Sn,Ga,In,P,As,Sb,Cd,S,Te,Ni,Fe,Co,Ag,Mo,Sr,W,Cr,Ba,Pbのいずれか、又はこれらの化合物、又は合金、又は酸化物が好ましく、これらは単独で、また2種類以上を複合して用いる。
例えば元素としてはSi,Ge,Se、化合物としてはAlP,AlAs,GaP,AlSb,GaAs,InP,GaSb,InAs,In Sb,CdS,CdSe,ZnS,MoS,WTe,CrTe,MoTe,CuS,WS、酸化物としてはTiO,Bi,CuO,CuO,ZnO,MoO,InO,AgO,PbO,SrTiO,BaTiO,Co,Fe,NiOなどがある。
この内、TiOは、性能の長時間の安定性、物理化学的安定性、コスト等から好ましい。
光源として太陽光を用いる場合は、周知の可視光応答型の光触媒材を適宜に用いることができる。
この様な材料として、光触媒材に窒素原子ドープ、硫黄原子ドープ、カーボンドープ、Ba,Bi,Cr,Nb, Vのドープ、あるいはこれらの組合せ、また、酸素欠陥型のもの、可視光増感型のものがある。例えば、NドープTiO、SドープTiO、CドープTiO、C及びSドープTiO、N及びCドープTiOがある。
また、上記Feは、可視光を吸収するので銀及び塩化銀担持により可視光応答型の光触媒として用いることができる。この光触媒は、Feが安価であることから、用途、装置種類、要求仕様によっては好ましい。
これらの光触媒材は、適宜の材料、例えば下記の母材上に膜状、層状、粒子状等の形態に担持(付加)して用いる。
2)母材
図1(b)記載の形態の場合に用いる。母材6は、前記光触媒材を担持できるものであれば何れでもよい。非導電性物質上、あるいは電導性物質上にゲル法等で光触媒材、例えば、二酸化チタンをコーティングし、電解還元によって銀を析出させることが可能である。
母材は通常、導電性物質(電極として使用可能)が、母材上に担持した該光触媒材上へのAgの担持及び該AgからAgClの形成を電解法により簡易かつ効果的に行えることから好適に用いることができる。
この材料は、SnO、Al、W、ステンレス、亜鉛、のような金属酸化物や金属、カーボンブラックのようなカーボン系のものがある。
母材への光触媒材の付加法は、ゾルゲル法、熱分解法、CVD法、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、金属酸化法などの周知方式を用い、薄膜状、層状、粒子状等、各種形態の担持を行なうことができる。
前記母材[図1(b)6]の形状、又は母材を用いない場合の光触媒材[図1(a)1]の形状は、板状、網状、シート状、チューブ上、柱状、ロッド状(棒状)、線状、ファイバー状、フィルター状、粒状、球状がある。
前記の光触媒材の種類、母材の有無やその材料種類、母材 への光触媒材の付加法や付加形態、形状は、本光触媒の適用先、光源種類、装置形状、規模、要求仕様等で適宜検討を行い決めることができる。
3)光源
光源は、光触媒材への照射により、光触媒材に正孔、電子を生成させるものであればよく、水銀ランプ、キセノンランプなどの放電ランプ、殺菌灯、ブラックライト、蛍光灯などの蛍光ランプ、白熱灯などのフィラメントランプ、発光ダイオード(LED)、レーザー光などの人工光源、太陽光などがあり、適用先、光触媒種類、要求仕様等で適宜選択し、使用できる。
例えば、殺菌用途では、殺菌灯あるいは低圧水銀ランプが好ましい。これは、光触媒作用に、殺菌灯の使用では殺菌灯からの殺菌線による殺菌作用が加わり、低圧水銀ランプの使用ではオゾンが発生するので、該オゾンによる殺菌作用が加わり、相乗効果が得られるので適宜選択し、使用できる。
4)Ag(コア)
Agは、光触媒材への担持により、光触媒材で生成する電子の受容体として作用するものであればよく、その担持法、担持形態は、担持Agから本発明の特徴であるAgClを形成できるものであれば何れでもよい。
この様なAgの担持法は、a)銀化合物を含む溶液に光触媒材を含浸し、加熱処理により付加する方法、b)前記母材 を用いる場合は、母材上に光触媒材を薄膜状に形成し、KCl電解質溶液における電解還元により、Ag担体結晶微粒子を光触媒材上に析出させ付加する方法がある。
担持形態は、担持AgからAgClを形成できるものであればよく、Ag粒径として、0.1μm〜500μm、好ましくは1μm〜50μmである。
前記担持法の内、b)の方法は、母材 に導電性材料を用いることで、電解法によりAg担持及びそれに続くAgClの形成を簡易に実施できることから好ましい。
5)AgCl(シェル)
AgClは、Ag(コア)を中心として、その周辺に花びらの様に形成され、光触媒材で生成した電子のAg(コア)への移動により塩素イオン(Cl)を放出することにより、光触媒が高活性を長時間にわたり発揮するものであり、本発明の大きな特徴である。
この様なAgClは、Ag(コア)を、Clを含む電解溶液中で電解酸化することで形成される。
この電解溶液としてはKClがあり、濃度は、0.01M〜10MのKCl、好ましくは0.1M〜1MのKClにおいて電解酸化を行うと、Ag(コア)からのAgCl(シェル)生成が効果的となり、Ag(コア)・AgCl(シェル)が光触媒材上に形成され、高活性な光触媒が製造される。
好適な濃度は、電解電流、形成時間等で適宜決めることができる。
一般に、処理水中には自然状態(通常状態)で酸素濃度8.8mg/L(20℃、大気圧)程度含有するが、前記のごとくAgが電子受容体として作用するため、本発明の光触媒は、水中酸素濃度が3mg/L以下の貧酸素状態でも同様に作用し、本発明の大きな特徴である。
なお、前記酸素濃度は20℃、大気圧での値であり、温度、圧力、水処理方式により変化する。
また、一般に好気性処理では、酸素濃度は、1〜3mg/L(20℃、大気下)必要であるが、本発明では、該濃度以下の通常好気性処理が原理的に不可能な状態でも発揮できる。
次に、本発明の光触媒を用いた処理方法について、図面を用いて説明する。
図2(a)、(b)は、水処理プロセス(処理フロー)に設置した本発明の光触媒を用いた水処理装置Bの構成図を示しており、光触媒の再生機構を備えない(一体化しない)型式が図2(a)、再生機構を備えた型式(一体化)が図2(b)である。
まず、図2(a)について、説明する。
図2(a)は、本発明の光触媒A(図1記載)を用いた水処理装置(光触媒反応装置) Bである。該装置Bは、主に光触媒A、及び、該光触媒に光照射するための光源9より構成される。
7は、本処理プロセスにおいて有害物質を含む処理水の入口、8は、処理水の出口である。
本水処理プロセスにおいて、水処理装置Bに導入された処理水中の有害物質としての有機物は、光源9からの光照射により活性化された光触媒Aによる酸化反応を受け、該光触媒Aの出口部分ではCO,HOにまで無害化処理される。
水処理装置Bにおける有害物質の処理は、有害物質を含む水を連続的に流しながら処理する方式、また、有害物質を含む水を回分的に導入して処理する方式バッチ式があり、用途、装置の仕様等で適宜に用いることができる。
例えば、殺菌、脱臭は、一般に反応は早いのでフロー式でよいが、有機塩素化合物の内、大きい分子量の物質の処理では、比較的時間がかかるので、バッチ式を用いる。
ここでは、処理量に対応して、前記反応式(1)等に示したごとく、Clが放出されることで、水中酸素濃度が3mg/L以下のような貧酸素状態でも高活性光触媒作用が発揮され、高効率処理される。
図2(b)は、光触媒の再生機構を備えた水処理装置(光触媒反応装置)B’の処理フローを示す。
水処理装置B’の構成部Cは、図3に示すように、本発明の光触媒A、該光触媒に光照射するための光源9、光触媒の再生を行うための電極10より構成される。
水処理プロセスにおける有害物質を含む処理水7は、本発明の光触媒による水処理部C(処理部)に導入され、図2(a)のごとく、有害物質は無害化処理される。8は、処理水の出口である。
ここでは、処理量に対応して、前記反応式(1)等に示したごとくClが放出されることで、貧酸素状態でも高活性光触媒作用が発揮され、高効率処理される。
一方、C(光触媒再生処理)では、装置内にKCl電解質溶液が導入され、電極10を用いる電解酸化(電解:1.5V,電流:0.2mA/cm)が所定時間行われることで、初期と同活性(同性状)の本発明の光触媒に再生される。
による有害物質の処理効率は、水処理装置B’出口の有機物濃度計測によりモニタ(図示せず)されており、水処理部Cにおける処理効率が初期の設定値に対して、80%以下に達すると処理水7はCへ導入され、Cが処理部、一方Cは再生部となる。
この様に、CとCを切り替えて用いることにより、長時間の高効率連続運転が実施される。
図4は、難生物分解性有機物を含む水の処理に、本発明の光触媒を用いる水処理を適用した例である。
図4は、本発明の光触媒を用いた水処理装置Bと生物処理工程Dの順より成る難生物分解性有機物を含む水の処理プロセスを示す。
水処理装置Bは、本発明の光触媒反応装置で、また、生物処理工程Dは、生物処理装置で実施される。
種々の有機物、例えばフミン系統のCOD、農薬、有機塩素化合物等の難生物分解性有機物を含む処理水7は、光触媒を用いる水処理装置Bに導入される。
該水処理装置Bは、図2に示した本発明の光触媒A、光源9より成り、該装置上方には撹拌羽根が取り付けられており、反応促進のため撹拌される。
ここでは、処理水中の被処理有機物は光源からの光照射によって活性化された光触媒による酸化作用を受け、易分解性有機物はCO、HOの無害ガスに変換され、大気放出11される。また、難分解性有機物は、易生物分解性有機物に変換され、水中に残る。
次に、易生物分解性有機物を含む水12は、生物処理装置Dに送られる。ここで、光触媒を用いた水処理装置Bにより低分子量化された易生物分解性有機物は、空気の吹き込み13により好気的条件下とされている該装置D内で生物により処理され、生物学的に低分子量の無害物質に変換される。
ここで使用できる生物処理は、生物ろ過、流動媒体生物処理、ハニカム接触材生物処理、活性汚泥処理があり、適宜仕様等により選択できる。本実施例は、生物膜処理の生物ろ過である。
処理対象の難分解性有機物が高濃度で含有する場合や、高効率の処理を行う場合には、前記生物処理水14をそのまま出口処理水8とするのではなく、前記光触媒を用いる水処理装置Bに循環15させることにより除去率を向上させることが好ましい。
これは、易生物分解性有機物を生物処理工程で分解した後の一部の残存未分解の難生物分解性有機物は、再度、くり返し光触媒による酸化反応を行うことにより、易生物分解性有機物に変換されるためである。
このようにして、難生物分解性有機物を含む水7は、前工程で本発明の光触媒を用いる水処理装置Bで、予備的な処理を行い、次いで後工程で生物処理Dを行うことにより、効果的な処理が行える。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
本発明の光触媒を次のように製法した。
(1)母材上への光触媒材の被覆
SnO(電極)上にTiOをゾルゲル法で被覆(TiO/SnO)
(2)TiO/SnO上へのAgの担持
TiO/SnOを0.2M−NaClOと0.2mM−AgClO溶液に浸漬し、Arを溶液下部から導入し、電解還元を行う(Ag/TiO/SnO)
(対極;PtとSnO間に、−1.0Vを60分印加)
(3)Ag/TiO/SnOのAgからAgClの形成
Ag/TiO/SnOを0.2M−KCl電解質溶液に浸漬し、Arを溶液下部から導入し、電解酸化を行う(Ag・AgCl/TiO/SnO)
(対極:PtとSnO間に、電界+1.5Vで0.2mA/cmの定電流を90分)
結果
光触媒(Ag・AgCl/TiO/SnO)のSEM写真及びX線分析
光触媒の各製造ステップにおいて、該表面をSEM及びX線分析(XRD)を行い、調べた。
図16の写真は、(a):Ag/TiO/SnO、(b):Ag・AgCl/TiO/SnO、(本発明の光触媒)であり、(c)はAg・AgCl部の拡大である。なお、写真の下地はTiOである。
図5は、XRDパターンを示す。図5中○、●は、上下図での位置(2θ度)を示し、同じであることを表している。図5は、(a):TiO/SnO、(b):Ag/TiO/SnO、(c):Ag・AgCl/TiO/SnOである。前記において、再生3回後、5回後の光触媒についてSEM写真及びX線分析したところ、結果は前記と同様であった。
これらの写真及び図5のXRDパターンから、電解還元によりTiO上に数μm〜10μmのAg粒子が担持され、次の電解酸化により、Agを中心にしてその周辺にAgCl〔Ag(コア)・AgCl(シェル)〕がTiO上に形成されていることが観察された。
実施例2
図4の処理プロセスに、し尿処理施設の凝集沈殿処理水(COD:92mg/L、色度140度)を導入し、COD及び色度について調べた。なお、光触媒は再生使用した。
1.処理水の処理量;10L/日
2.光触媒反応装置;図2(b)の型式
(1)大きさ;図2(b)の型式で1つの反応装置の大きさは3L
(2)光源;殺菌灯(強度2mW/cm)
(3) 光触媒の製造;実施例1による
(4)光触媒の再生
図2(b)の操作(処理と再生のくり返し)を1週間毎にくり返し実施
(5)生物処理装置
a)方式:好気性生物ろ過
b)生物ろ過速度:110m/日
結果
COD及び色の除去性能
図6に、CODについて、60日間運転の値を示す。
図6中○は、本発明(再生使用有り)の値、それ以外は比較例としての値であり、●は本発明の光触媒を再生しないで、初期のものをそのまま使用した場合、△は光源を切って、生物処理装置のみ使用した場合を示す。図5中↓は、1mg/L以下を示す。
図6から次のことがわかる。
(1)初期から生物処理を行うと、有機物除去性能は、変動が大きく、また低い。これは導入される被処理有機物の種類によっては、例えばより難生物分解性有機物(大きい分子量の有機物)が一時的に高濃度導入されると、除去性能は低下するためと考えられる。
(2)前記に対し、先ず、本発明の光触媒反応装置により、多種類含有する水中有機物を低分子化し、次いで生物処理すると、高度に清浄化された水が安定して得られ(到達清浄度が高い水)、信頼性の高い水が長時間連続的に得られる。
(3)Ag・AgCl/TiO/SnO光触媒は、再生しないと10日使用以降は性能低下するが、再生使用により前記のごとくして、高度清浄水が連続して得られる。
(4)光触媒を再生しない場合、除去率30〜40%が得られる。これは、Ag/TiO/SnOによる性能と考えられる。
表2に色度を示す。比較例の方式は前記の通りである。表2中、数値は色度(度)である。
Figure 2006231150
表2の結果により、本発明の光触媒は、脱色に効果的であることがわかる。
実施例3
図7は、クリプトスポリジウム、大腸菌のような有害生物を含む水の殺菌処理に、本発明の光触媒を用いる水処理を適用した例であり、浄水場における凝集沈殿における洗浄排水の殺菌処理(浄水場排水処理プロセス)である。
通常の沈殿を用いた浄水場では、河川又は井戸などから原水(被処理水)7を取り入れ、急速混和池16、緩速混和池17を経て、沈殿地18で凝集沈殿、ろ過池19で砂ろ過又は膜ろ過が行われ、排水池20へ続く後工程へと流れている。8は、処理水の出口である。
ろ過池19では、ろ材の目詰まりを解消するために、間欠的に逆方向水流により洗浄が行われ、その洗浄排水21は排水池22へ送水される。また、排水池22では、その沈殿物23は排泥池24へ送られ、排泥池24の上澄み液25は、排水池22へと送水される。
沈殿池18で発生した沈殿物は、排泥池24へ送られ、排泥池24の上澄み液25は、排水池22へと送水され、排水池22の一部26が原水7へと返送され、濁質成分を濃縮する。
ここで27は、洗浄排水21を原水7に返送する途中に設置された、本発明の光触媒を用いた水処理装置〔光触媒反応装置、図2(b)〕であり、光触媒を再生しながら実施している。また、排水池22には、本発明の光触媒を用いる水処理装置(図8)が設置されている。
このような一連の浄水過程では、凝集沈殿・ろ過の際に原水7に含まれる砂やプランクトンを含む濁質成分とともに、クリプトスポリジウム、大腸菌のような病原性微生物が捕捉される。このため、ろ過洗浄排水21には、これらの成分が含まれることになり、排水池22の一部26の返送を繰り返すたびに原水側に濃縮され、凝集沈殿・ろ過を行っても排水池20に混入してしまう恐れが起きる。大腸菌のような塩素耐性を持たない微生物の場合には、後工程である塩素注入による殺菌消毒により死滅するが、クリプトスポリジウムのような塩素耐性を持つ生物に対しては、飲料水が汚染される危険性が生じてしまい、重大な汚染を引き起こし、問題である。
これに対し、本発明は、図7に示した位置に光触媒装置(22、27)を配備することで、光触媒による酸化作用により有害生物の殺菌(不活化)を行うものである。
22には、図2で示した光触媒を用いる水処理装置が設置され、図8のごとく網状の光触媒A、紫外線ランプ9が複数設置され、また該装置には、撹拌ファンFによる被処理水の撹拌により、光触媒による殺菌効果の促進を図っている。
図7、8における(M)は、撹拌用モータである。
この様にして、洗浄排水21中のクリプトスポリジウム、大腸菌等の有害生物が殺菌され、安全性の高い飲料水が長時間安定して得られる(長時間安全性を確保)。
実施例4
図8に示すように、光触媒反応装置が設置された500Lのステンレス反応容器に、浄水場から発生する凝集沈殿洗浄排水にクリプトスポリジウムオーシストを添加した試験用のクリプトスポリジウム添加処理水を導入して、クリプトスポリジウムの不活化について調べた。
処理条件
1.光触媒反応装置;図8の構成
(1)光触媒の形状;網状(4個)
(2)光源;殺菌灯(照射強度;2mW/cm)
光触媒の間に1本(3本)
(3)光触媒の製造法;母材として網状ステンレスを用い、実施例1と同様の方法で作成した。
2.被処理水;
(1)クリプトスポリジウムの添加量:1×10個/L
(2)濁度;20度
通常、浄水場の洗浄排水の濁度は、5度から20度程度であり、20度は濁度が高い状態の水である。
3.撹拌;12回/min
4.不活化の評価法;
処理後の処理水は、濃縮後顕微鏡でクリプトスポリジウムオーシストの個数を調べ、免疫不全マウスに投与した。投与されたマウスの糞便中のクリプトスポリジウムの個数を計測することで、光触媒による不活化効果を調べた。
結果
不活化率を表3に示す。
Figure 2006231150
この結果から、光触媒処理により、洗浄排水中の病原性微生物の殺菌消毒に高い効果があることが認められた。
実施例5
図9は、有機質培地を用いた植物栽培システムであり、本システムにおける排培養液処理に本発明の光触媒による水処理を適用した例である。
本システムは、ビニルハウス34に有機培地28が備えられ、該培地により植物(図示なし)栽培が行われる。有機培地28では、使用後の培養液は貯留タンク29に送られ、次いで本発明の光触媒反応装置30が設置された処理装置31に送られ、ここで培養液中に有機培地28から排出(溶出)された有機物及び植物病原菌が処理される。有害物質としての有機物及び植物病原菌が除去された処理液は、給液タンク32に送られる。
この様に、有機培地28で植物栽培に使用される培養液は、循環使用され(図中矢印)、培養液は有効利用される。
光触媒反応装置は、主に太陽33からの光により光触媒作用を発揮する網状の光触媒と光触媒作用を促進する撹拌ファン(図示せず)から成り、処理装置31の水面近傍に設置されており、貯留タンク29から供給された水に含まれる有機物を低分子量の無害物に分解し、かつ、病原菌を殺菌する。
培地28に、培養液を流すことによる栽培システムでは、植物体及び培地から溶出される有機物の培養液中での蓄積及び植物病原菌が問題となるが、栽培システムに光触媒反応装置30を組み込むことにより、前記のごとくこれらの有害物質は、植物生育に関係ない形態に変換される。
本例における光触媒は、可視光応答型光触媒を適用できる。SnO(母材)に、NをドープしたTiOを被覆(光触媒材)し、その上にAg及びAgClを担持させたものである。このような用途に好適な材料として、例えば酸素欠陥型TiO、可視光増感型TiO、NドープTiO、SドープTiO、CドープTiO、C及びSドープTiO、N及びCドープTiO、Feがある。
硝酸、リン酸などの肥料成分を含む培地28における培養液は、該培地において、植物が吸収しない肥料分(培養液)は排液となり、汚染問題を生じるが、前記図9の様な栽培システムとすることにより、培養液が循環使用できる。
これにより、本培養システムは、環境保全の点で有益であり、また有害物質(植物生育の阻害物質)が除去されるので、植物の生産効率が高いことから、サラダ菜、レタス、イチゴ、トマトなどの野菜、果物、花やハーブ類などの生産方式として広く適用可能である。
実施例6
図10に示すように、光触媒Aと光源9から成るステンレス製の反応容器22に、アゾ色素として広く用いられている2−ナフトール溶液を導入し、光源の点灯による2−ナフトール濃度の変化を測定することにより、光触媒効果を調べた。また、貧酸素状態についても同様に調べた。
なお、符号35は、光源9からの光を光触媒Aに照射するためのガラス窓である。
処理条件
1.光触媒反応装置;
(1)光触媒形状;板状
(2)光源;高圧水銀灯
(3)光触媒の製造法;実施例1と同様の方法で製造した(Ag・AgCl/T
iO/SnO)。
2.被処理物;2−ナフトール、1×10−5M溶液
水中酸素濃度:自然状態及び1mg/L(以下)
3.2−ナフトールの濃度測定法;液体クロマトグラフにより測定
結果
(1)水中酸素濃度;自然状態(8.8mg/L)
図11に、水中酸素濃度:8.8mg/L状態における光触媒への紫外線照射
時間と2−ナフトール分解率(除去率)の関係を示す。
図11中(c)が、本発明の光触媒による分解率であり、(a):TiO/SnO
、(b):Ag/TiO/SnOは比較用の本発明の光触媒の製造ステップにおける各材料であり、実施例1に述べたものである。
(2)水中酸素濃度;1mg/L(以下)
脱気により水中酸素濃度を除去(貧酸素状態)し、同様に試験した。
図12に、水中酸素濃度:1mg/L(以下)の貧酸素状態における光触媒への紫外線照射時間と2−ナフトール分解率(除去率)の関係を示す。
図12中の記号(a)、(b)、(c)は、前記図11と同じである。
図11、12の結果は、下記を示している。
イ.本光触媒〔図中(c)〕は、従来の光触媒〔例:TiO、図中(a)に相当〕に比べて、高活性を発揮する。
ロ.従来の光触媒は、貧酸素状態になると光触媒性能を失うが、これに対し、本光触媒は貧酸素状態においても自然状態における酸素状態と同程度の高活性を発揮する。
ハ.2−ナフトールが分解・除去されたことから、光触媒では有機物の分解及び色素の脱色に効果的である。
実施例7
図10に示した光触媒Aと光源9から成るステンレス製の反応容器22に、メチレンブルーの青色溶液を導入し、光源の点灯による2−ナフトール濃度の変化を測定することにより光触媒効果を調べた。光触媒反応装置の構成は実施例6と同様である。被処理物は、メチレンブルー溶液の(1)低濃度と(2)高濃度とを用意した。濃度の測定は、分光光度計でメチレンブルーの吸光スペクトルのピークトップである664nmで検量線を作成して求めた。
結果
(1)低濃度メチレンブルー溶液;5×10−6
図13に、光触媒への紫外線照射時間とメチレンブルー濃度の関係を示す。
図13中(b)のAgClあり( Ag・AgCl/TiO/SnO)が,本発明の光触媒による分解率であり、(a):AgClなし(Ag/TiO/SnO)は、比較用の本発明の光触媒の製造ステップにおける材料であり、実施例1に述べたものである。また、(a)は、(b)の再生操作を行わないまま長時間運転し、AgClが全てClを放出し終わった後の状態に相当する。
(2)高濃度メチレンブルー溶液;1.5×10−5M(低濃度の3倍の濃度)
図14に、光触媒への紫外線照射時間とメチレンブルー濃度の関係を示す。
図14中の記号(a)、 (b)は、前記図13と同じである。
図13,14の結果により、実施例8に加えて下記の適用が可能である。
a)本発明の光触媒[図中(b)AgClあり]は、銀担持光触媒[図中(a)AgClなし]に比べて、高活性を発揮する。
b)銀担持光触媒[図中(a)AgClなし]においても、従来通り一定の分解能力は示し、処理対象物の濃度や処理条件(許容され得る処理時間)によっては、再生操作無しの継続的な運転が可能であり、再生操作にかかる手間やコスト(薬液の補給・費用・電解電気消費)を節約出来る。
c)一方で、処理対象の水質の変化により,処理負荷が従来より急激に高くなった場合においては、再生を行わない光触媒では対処しきれない。
d)上記に対する有効な対策として、通常は再生操作を行わずに運転し、処理前の対象水、あるいは処理水のモニタリングから高負荷な状況が生じた場合にのみ再生操作を行い,高活性な光触媒にて運転を行うことができる。
以下に運転例について図13、図14を用いて説明する:
(a)通常は、例えばメチレンブルー濃度換算で5.0×10−6Mレベルの処理対象水を、再生操作なしの光触媒により120分の処理時間で1.0×10−6Mレベルに分解しているとする〔図13(a)〕。
(b)これに対し、倍の濃度である1.0×10−5Mレベルの処理対象水が流入した場合、再生操作なしの光触媒では120分の処理時間では対処仕切れない〔図14(a)〕。
(c)この際、運転を再生した光触媒に切替えることにより、従来と同じ時間内で1.0×10−6Mレベルに分解することが可能となる〔図14(b)〕。
(d)速やかな運転切替えのためには、再生済みの光触媒を待機させていてもよいし、高濃度処理対象水の初期流出は発生するが高濃度が流入が確認された後、あるいは高濃度への推移が予測される場合(モニタリングによる漸増傾向からのプログラム予測、あるいは過去のモニタリングからの予測、処理対象となる水の発生源からの情報など) に再生操作を行い、高活性化することができる。
e)上記のモニタリング→再生操作による光触媒の高活性化→水処理のサイクルは、急激な高負荷に対応出来るだけでなく、例えば実施例6で述べた本発明の光触媒の特徴である処理対象水中の溶存酸素が急激に低下し、貧酸素状態になった場合にも対処が可能である。
実施例8
図10に示した光触媒Aと光源10から成るステンレス製の反応容器22に、アンモニア水溶液(NH−Nとして2mg/L)を導入し、容器下部からを行いながら、光源の点灯によるアンモニア酸化により生成した硝酸イオン濃度の変化を測定することにより、光触媒効果を調べた。光触媒反応装置の構成は、実施例8と同様である。イオンクロマト法により、硝酸イオン濃度を求めた。
結果
図15に、光触媒への紫外線照射時間と、硝酸イオン濃度の関係を示す。
図15中(b)のAgClあり(Ag・AgCl/TiO/SnO)が、本発明の光触媒による硝酸化率であり、(a)の:AgClなし(Ag/TiO/SnO)は、比較用の本発明の光触媒の製造ステップにおける材料であり、実施例1に述べたものである。
図15の結果により、下記の適用が可能である。
a)発明の光触媒[図中(b)AgClあり]は、銀担持光触媒〔図中(a)AgClなし〕に比べて、高活性を発揮する。これにより水中のアンモニアは、速やかに硝酸イオンへと酸化される。
b)水中のアンモニア成分は、例えば魚類などの生育に悪影響を及ぼし、高濃度においては死に至らしめる。
c)本法によって、水中のアンモニアを速やかに硝酸(魚類生育への悪影響はアンモニアと比較すると少ない)へと酸化することが出来る。更に嫌気条件下で脱窒細菌による硝酸の窒素化、あるいは電解反応による硝酸の電気分解による窒素化など、一般的な硝酸還元方法により、アンモニアや窒素含有物質の効果的な処理が可能となる。
(a)、(b)は本発明の光触媒の構造を示す概念図。 (a)、(b)は本発明の光触媒を用いた水処理装置の構成図。 再生機槽を備えた光触媒装置の構成図。 本発明の光触媒を用いた水処理装置のフロー構成図。 本発明の光触媒のXRD(X線回析)パターン図。 実施例2の結果を示す運転経過によるCODの変化を示すグラフ。 本発明の光触媒を用いた浄水場処理プロセスのフロー構成図。 実施例4に用いた光触媒反応装置の構成図。 光触媒を用いる植物栽培システムのフロー構成図。 実施例6に用いた光触媒反応装置の構成図。 実施例6の結果を示す酸素存在下での2−ナフトールの分解率を示すグラフ。 実施例6の結果を示す貧酸素下での2−ナフトールの分解率を示すグラフ。 実施例7の結果を示す低濃度のメチレンブルーの濃度変化を示すグラフ。 実施例7の結果を示す高濃度のメチレンブルーの濃度変化を示すグラフ。 実施例の結果を示す硝酸化率の変化を示すグラフ。 本発明の光触媒のSEM写真。
符号の説明
1:光触媒材、2:Ag、3:AgCl、4:正孔(h)、5:電子(e)、6:母材、7:処理水入口、8:処理水出口、9:光源、A、A’:光触媒、B、B’:水処理装置、C:水処理部、C再生部、10:電極

Claims (11)

  1. 光触媒材上に、銀及び塩化銀を担持させたことを特徴とする光触媒。
  2. 前記塩化銀は、光触媒材上に銀を担持し、その銀を電解酸化して生成させたものであることを特徴とする請求項1記載の光触媒。
  3. 前記光触媒は、銀が核(コア)、塩化銀が外殻(シェル)を構成していることを特徴とする請求項1又は2記載の光触媒。
  4. 前記光触媒は、光触媒材が導電性物質であるか、又は、光触媒材が導電性物質に担持されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光触媒。
  5. 光触媒材上に、先ず銀を担持させ、次いで電解酸化により該銀から塩化銀を形成させて製造することを特徴とする光触媒の製造方法。
  6. 前記光触媒材上への銀の担持は、電解還元析出で行うことを特徴とする請求項5の光触媒の製造方法。
  7. 有害物質を含む水から有害物質を除去する水の処理方法において、該有害物質を含む水を、光が照射されている請求項1〜4のいずれか1項記載の光触媒に接触させることを特徴とする水処理方法。
  8. 前記有害物質を含む水が、貧酸素状態であることを特徴とする請求項7記載の水処理方法。
  9. 前記水処理方法には、前記光触媒を、電解酸化により再生するための再生部を有することを特徴とする請求項7又は8記載の水処理方法。
  10. 有害物質を含む水から有害物質を除去する水の処理装置において、該有害物質を含む水の導入口及び排水口を有し、内部に請求項1〜4のいずれか1項記載の光触媒と、該光触媒に光照射する光源とを有することを特徴とする水処理装置。
  11. 前記水処理装置は、前記光触媒の再生を行う再生部を備えることを特徴とする請求項10記載の水処理装置。
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