JP2015031092A - 光分解トイレ - Google Patents

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正夫 金子
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寛仁 上野
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Junichi Nemoto
純一 根本
洋司 依田
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洋司 依田
将嗣 柳澤
Masatsugu Yanagisawa
将嗣 柳澤
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Tomonori Shibuya
友紀 渋谷
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Abstract

【課題】排泄物の臭いを抑制でき、また便器等の清潔さを維持し、かつ臭いを残らないようにできる光分解トイレを提供する。【解決手段】便器14と、排泄された糞尿のうち少なくとも尿を貯留する浄化槽12と、浄化槽12内に貯留された尿を薄めるため浄化槽12内に水を供給する水供給部16と、浄化層12内の液体を循環して便器14に流して便器14を洗浄する洗浄部30と、浄化槽12に備えられ、透明支持体17に支持されて浄化槽12内の液体に接触し、液体中の有機物を分解する、多孔質n型半導体薄膜18と、多孔質n型半導体膜18に光を照射する光源20と、浄化層12内に空気または酸素を吹き込む流体供給部21とを具備することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、人の排泄物を光で分解浄化するための新規トイレに関する。
人のトイレにおける排泄物の処理には、そのまま放流できる下水があれば水洗式で快適に使用できるが、その際に多量の水を必要とする。これに加えて、最終的下水処理場に於いては、膨大なエネルギー・物質材料負荷がかかる。放流できる下水が無い場合には、水道等の水があれば活性汚泥を用いた浄化槽を設置することにより水洗型にできるので、臭いも少なく,清潔である。しかしこの場合も、多量の水を必要とし、さらに、定期的な活性汚泥処理に膨大なエネルギー・物質材料負荷がかかる。
水道等の上水も無い場合には、排泄物を分解できる微生物を担持したバイオチップスを利用するバイオトイレなどが、公衆トイレなどによく使われている。この場合はスラリー状のバイオチップスを撹拌する必要があり、また、微生物の活性を維持するために加熱して出来るだけ水分を蒸発させる必要もあり、多量の電気エネルギーが必要である。さらに、定期的なバイオチップス処理が必要である。原理的に水洗型にするのは難しく、また一日の排泄回数がかなり制限されるなどの問題がある。
これらの問題を背景にして、特に、放流可能な下水や水道水が無い場所に設置するトイレとして、清潔かつ臭いが少ない水洗型の、また他の材料や物質・試薬などをあまり用いないでも済むトイレが求められていたが、これまでは難しかった。下水が完備した先進国のトイレなどに於いても、個別のトイレで主たる分解処理ができれば、下水の最終処理場におけるエネルギー・物質材料負荷が大幅に低減できる。
本発明者らは、透明基板上に作成した多孔質n型半導体薄膜を、バイオマス系廃棄物あるいは畜産排泄物の溶液や懸濁液に接触させて、透明基板側から半導体薄膜上に光照射すると、廃棄物や排泄物が高い効率で光分解して廃棄物や排泄物が二酸化炭素(CO2)や窒素(N2)に迄分解して無機化し、完全に浄化されることを明らかにしてきた。
その基本的特許は、“光物理化学電池”として特許文献1において提案した。また、“バイオ光化学セルとその利用方法”に関しては、特許文献2において、さらに、“バイオ光化学セル及びモジュール及び分析計及び教材とそれらの利用方法”について、特許文献3において開示した。続いて、“バイオマス、有機・無機化合物または廃棄物・廃液を高効率で光分解浄化し同時に電力を発生するバイオ光化学電池”と、“該バイオ光化学電池を用いて該化合物や液体を光分解浄化すると同時に電力を発生する方法”として特許文献4において提案した。非特許文献1においては、それらの光化学分解浄化の原理や特徴について開示した。
WO 2006/95916国際公報 特許第4803554号 特開2006−119111公報 特願2009−43414公報
金子正夫、根本純一著、「バイオ光化学電池」、工業調査会(2008)
しかしながら、トイレにとってさらに重要なのは、臭いが無いこと、便器等が常に清潔な状態を保つことなどにより、使用する人が不快感を感じないこと、などが重要なので、以上の既知の技術を応用するだけでは、トイレとして不十分である。即ち、既知の光分解浄化技術をそのまま人のトイレに適用しても、清潔かつ快適な光トイレを実用化することは出来ない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、排泄物の臭いを抑制でき、また便器等の清潔さを維持し、かつ臭いを残らないようにできる光分解トイレを提供することにある。
本発明に係る光分解トイレは、便器と、排泄された糞尿のうち少なくとも尿を貯留する浄化槽と、該浄化槽内に貯留された尿を薄めるため前記浄化槽内に水を供給する水供給部と、前記浄化層内の液体を循環して前記便器に流して該便器を洗浄する洗浄部と、前記浄化槽に備えられ、透明支持体に支持されて前記浄化槽内の液体に接触し、該液体中の有機物を分解する、多孔質n型半導体薄膜と、該多孔質n型半導体膜に光を照射する光源と、前記浄化層内に空気または酸素を吹き込む流体供給部とを具備することを特徴とする。
排泄物容量、例えば1日当たりの設計受容容量より10倍から200倍程度の水を予め光分解槽に入れておいて、そこに受容した排泄物を大幅に薄めて臭いが問題にならないようにするとよい。
また、光分解用半導体膜と光源としての光源ランプは、例えば一日の内決められた時間運転し、受容した排泄物を毎日光分解する。分解槽中の水は定期的に、例えば1年に1回程度入れ替えて、浄化槽の清潔度を保つようにするとよい。
前記多孔質n型半導体膜を透明かつ水密性の箱体状をなす前記支持体に支持し、前記箱体内に前記光源を配置した光分解ユニットを前記浄化槽内に1個あるいは複数個設置するようにすることができる。このようにすることで、多孔質n型半導体膜や光源(ランプ)が劣化した場合などに、光分解ユニットを浄化槽から引き出し、容易に交換することができ、メンテナンスが容易となる。
排泄された糞尿の糞と尿を分離する分離部を設け、分離された糞をバイオチップスにより分解浄化するバイオトイレを併設するようにすると好適である。尿の光分解と糞の微生物による分解とを並行して行えるので効率のよい処理が行える。
また、前記浄化槽内の水分の一部を蒸発させるため、前記浄化槽内の液体を加熱する加熱装置を設けるようにするとよい。この場合、前記加熱装置に、前記光源(ランプ)を冷却する冷却装置を加熱装置として兼用することができる。すなわち、前記光源(ランプ)を冷却して加熱された空気を前記浄化槽内に供給するようにする。
浄化槽内液量は毎日の受容排泄量に対応して増えるので、その増加分は光源ランプの排熱を導いて加温して、水分の一部を蒸発させ、さらなる加熱が必要な場合は予め設置した液加熱用ヒーターにより、液を加熱して水分の一部を蒸発させ、浄化槽内液量は一定に保つ工夫をするのである。あるいは、送風器を用いて空気を吹き付けて、水の蒸発を促進することも有効である。
また、前記浄化槽内の空気を排出する排気装置を設け、該排気装置にオゾンガスを供給するオゾンガス供給部を設けるようにすることができる。これにより、排気ガスの消臭が効果的に行える。
また、前記洗浄部にオゾンガスを供給するオゾンガス供給部を設けるようにすると、洗浄水の殺菌、消臭も行えて好適である。この場合のオゾンガス供給部を、前記排気ガスへのオゾンガス供給部と兼用することができる。
前記浄化槽に該浄化槽内の液体のpHを調整するpH調整部を設けると好適である。浄化槽内の液体のpHを10以上に設定することによって、尿中の有機物の分解を効率よく行える。
また、前記支持体に支持された前記多孔質n型半導体膜を前記浄化槽の液面に浮かべ、前記支持体の上方に前記光源を配設するようにすることができる。これにより、浄化槽中の液面の変化に追従して多孔質n型半導体膜が上下するので、光分解を好適に行える。
あるいは、前記浄化槽の壁面に、前記支持体に支持された前記多孔質n型半導体膜を設置するようにすることもできる。
本発明に係る光分解トイレによれば、上水、下水ともに無い所でも、始めに排泄物を薄めるための少量の水さえあれば、循環水による水洗式の、無臭で清潔なトイレを設置することができ、快適に使用できる。ここで利用する光分解浄化は、単に糞尿のみに適用できるばかりでなく、極めて広範なバイオマス、有機物やアオコ等も分解できるので、用いる水は水道水に限られず、湖沼や河川の水、さらには生活排水でも問題無く使用できる。
さらには、人工光源の代わりに太陽光を用いれば、省エネ型の太陽光分解トイレとして使用できる。
また、ペット類などのための光分解トイレとしても提供できる。
光分解トイレの第1の実施の形態を示す説明断面図である。 光分解トイレの第2の実施の形態を示す説明断面図である。 光分解ユニットを壁面および底面に設けた例を示す浄化槽の説明断面図である。 光源として太陽光を用いた例を示す浄化槽の説明断面図である。 光分解ユニットを液面に浮かべた例を示す浄化槽の説明断面図である。 光分解ユニットを液面に浮かべるとともに光源に太陽光を用いた例を示す浄化槽の説明断面図である。 光分解ユニットを液中に挿入した例を示す浄化槽の説明断面図である。 実施例1の光分解用セルの説明図である。 図8の光分解用セルを用いて糞尿の光分解を行った結果を示すグラフである。 実施例2の光分解用セルを示す説明図である。 図10の光分解用セルを用いて尿の光分解を行った結果(総有機炭素濃度)を示すグラフである。 図10の光分解用セルを用いて尿の光分解を行った結果(アンモニア性窒素濃度)を示すグラフである。 図10の光分解用セルを用い、液温を変えて尿の光分解を行った結果(総有機炭素濃度)を示すグラフである。
以下、本発明に係る光分解トイレの実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、光分解トイレ10の第1の実施の形態を示す説明断面図である。
図において、12は浄化槽である。
浄化槽12の上部には便器14が据え付けられ、排泄された糞尿が浄化槽12に流下するようになっている。
また浄化槽12には、水供給部たる注水口16が設けられている。注水口16から水道水等の水が供給され、浄化槽12内に常に一定の、糞尿を含む水(液体)が貯留されるようになっている。
注水口16からは、排泄物容量、例えば1日当たりの設計受容容量より10倍から200倍程度の水を予め浄化槽12に入れておいて、そこに受容した排泄物を大幅に薄めるようにする。これにより臭いが軽減される。また、排泄物の濃度を薄めることによって、後記する排泄物の光分解を容易に行えるようになる。なお、薄める水は水道水に限定されることはなく、トイレの設置箇所によって、河川水や湖沼水、家庭から排出される雑排水などを用いることができ、これら水の浄化も同時に行うことができる。
浄化槽12の壁面の全部もしくは一部が、透明支持体17の表面に多孔質n型半導体膜18が形成された光分解基板15により形成されている。透明支持体17が浄化槽12の外側に、多孔質n型半導体膜18が浄化槽12の内側に向くように光分解基板15が浄化槽12に組み付けられ、多孔質n型半導体膜18が浄化槽12内の液体に接触している。
透明支持体17の外側に位置して設けられた部屋19内に、紫外線ランプ等からなる光源20が配設され、光源20から発した光が多孔質n型半導体膜18に照射されるようになっている。これにより、後記するように光化学反応が生起され、排泄物が光分解される。
透明支持体17および多孔質n型半導体膜18からなる光分解基板15の詳細については後記する。
なお、光源20としては、人工光源及び太陽光などが挙げられる。人工光源使用には電力が必要ではあるが、安定した光照射条件により安定した光分解特性が得られる。二酸化チタンのような紫外域半導体を用いる場合は、紫外光源として、ブラックライト(BL)、高圧又は低圧水銀灯、あるいは紫外域LEDなどの色々な紫外域光源が、あるいは、白色光源でもキセノンランプなどのように紫外光も放射光の中に含まれる光源などが有効に用いられる。可視域半導体を用いる場合は、キセノンランプ、白熱電球、可視部LEDなどが用いられる。要するに光源としては有効な波長域の光を放射できるものなら何でもよい。
浄化槽12内下部には、流体供給部たる給気管21が配設され、図示しない供給源から、浄化槽12内に空気または酸素が噴出される。これにより、浄化槽12内の液体が撹拌され、また空気または酸素が供給されることにより、多孔質n型半導体膜18による排泄物の光分解反応が生起される。
本実施の形態においては、糞尿の光分解に酸素の共存が重要なので、空気または酸素を細かい泡状態にして、糞尿混合水中に吹き込むとよい。送気速度は分解槽容量にもよるが、0.1L/min〜1000L/min程度で、好ましくは数10L/min〜数100L/min程度である。この送風をトイレ内上部に導き、トイレ内臭いの緩和に役立てることができる。さらには、浄化槽内の混合水を機械的に撹拌すると、分解速度が向上する。
次に、22は排気装置である。排気装置22は、浄化槽12内に連通する排気管23を有する。排気管23内には排気ファン24が配設され、この排気ファン24が駆動されることによって、排気管23を通じて浄化槽12内の気体が外部に排出される。なお、排気管23内には、後記するようにオゾンガス供給部からオゾンガスが供給され、これにより、排気ガスは殺菌、脱臭がなされ、外部に排出される。なお、25は螺旋状等をなす撹拌羽根であり、排気ガスとオゾンガスとを混合する。
次に、26は加熱空気供給管であり、一端側が光源20が配設された部屋19に開口し、他端側が浄化槽12内上部に開口している。加熱空気供給管26内には冷却ファン27が配設されている。光源20が紫外線ランプのときは、継続して点灯すると次第に温度が上昇してくる。冷却ファン27が駆動されることによって、外部空気が部屋19内に導入され、紫外線ランプを冷却する。これによって、ランプ寿命が伸びる。
一方、紫外線ランプを冷却することによって温度上昇した空気は、加熱空気供給管26を通じて浄化槽12内に導入される。
浄化槽12内の液量は毎日の受容排泄量に対応して増える。この増加分を、上記のように光源ランプの排熱を導いて加温して、水分の一部を蒸発させ、浄化槽12内の液量が常に一定なるように調節する。なお、さらなる加熱が必要な場合は予め設置した液加熱用ヒーター28により、液を加熱して水分の一部を蒸発させるようにしてもよい。あるいは、送風器(図示せず)を用いて空気を吹き付けて、水の蒸発を促進することも有効である。発生した水蒸気は排気管23を通じて外部に排出される。
次に、30は洗浄水供給部であり、浄化槽12内の水の一部を洗浄水として便器14に循環して供給するようになっている。
すなわち、浄化槽12の近傍には貯留タンク32が配設され、浄化槽12内の水が配管33を通じて給水ポンプ34により所要量吸引して送り込まれる。なお、35は濾過器であり、浄化槽12内の水を濾過する。貯留タンク32内の水は、給水ポンプ37により配管38を通じて便器14に洗浄水として供給されるのである。給水ポンプ37は使用者により図示しないスイッチが投入されることにより、所要時間駆動され、これにより一定量の洗浄水が便器14に供給される。また、貯留タンク32内には、フロート式スイッチなどを具備する公知の定量機構により、一定量の水が補充されるようになっている。
また、貯留タンク32内には、図示しないオゾンガス発生機からオゾンガスが供給され、貯留タンク内の水(洗浄水)の殺菌、脱臭がされる。さらに貯留タンク32内に供給されたオゾンガスは配管40を通じて排気管23内に導入され、排気ガスの殺菌、脱臭がされる。すなわち、洗浄水の殺菌、脱臭用のオゾンガス発生機と、排気ガスの殺菌、脱臭用のオゾンガス発生機とが供用されている。
なお、図1において、41は濾過器35の近傍に配置された、孔明き板等からなる分離板で、固形分と液体分とをできるだけ分離するようにしている。
本実施の形態に係る光分解トイレ10は上記のように構成されている。
上記の構成を説明する記述で各部の動作、作用も併せて説明したが、全体の動作の概略について以下説明する。
前記のように、浄化槽12内には、注入口16を通じて、排泄物容量、例えば1日当たりの設計受容容量より10倍から200倍程度の水が予め入れられている。これにより、臭いが軽減されるとともに、排泄物が希釈されていることから排泄物の光分解がより容易となる。浄化槽12内の液量は、液面センサ(図示せず)により検知して、あらかじめ設定された量となるようにすると好適である。
排泄された糞尿は浄化槽12内に流下し、光分解されることになる。すなわち、紫外線ランプ等からなる光源20が点灯され、浄化槽12内に空気または酸素が供給されて撹拌されることにより、後記する作用により排泄物が光分解される。
また、多孔質n型半導体膜18と光源20としての光源ランプは、例えば一日の内決められた時間運転し、受容した排泄物を毎日光分解する。浄化槽12中の水は定期的に、例えば1年に1回程度入れ替えて、浄化槽の清潔度を保つようにするとよい。
浄化槽12内の液量は毎日の受容排泄量に対応して増える。この増加分は、前記のように光源ランプを冷却することにより加熱された空気、あるいはヒーター28により加熱された空気を導いて加温して、水分の一部を蒸発させ、浄化槽12内の液量が常に一定になるように調節される。
浄化槽12内の気体は排気管23を通じて、またオゾンガスにより殺菌、脱臭されて外部に排出される。
また、洗浄水供給部30により、浄化槽12内の水が、オゾンガスにより殺菌、脱臭されて洗浄水として便器14に供給される。これにより、便器等の清潔さが維持され、かつ臭いが残らないため、快適なトイレを提供できる。
本実施の形態に係る光分解トイレ10では、人工光源を設置するか太陽光を利用するなどして、多孔質n型半導体膜18に光照射するのみで排泄物が分解処理されるので、排泄物が放流できる下水を原則として必要としない。下水に放流できる場合でも、最終の下水処理場において用いられる、活性汚泥等の負荷が大幅に低減できる。また、放流用の下水が無い時にトイレの処理によく使われる活性汚泥,試薬等が不要で、エネルギー・物質材料の負荷が極めて少ない。下水が無くてもトイレの維持管理等が著しく簡単である。また、太陽光の利用により、電力などのエネルギーを必要としない省エネ型、かつ自立型のトイレとして使用できる。これらに加えて、浄化した排泄物の循環により水洗型のトイレとして使用できるので、臭いがしない、快適なトイレとして使用できる。
次に、図2は、光分解トイレの第2の実施の形態を示す説明断面図である。第1の実施の形態と同一の部材は同一の符号を付し、その説明は省略する。なお、図2では図示を省略しているが、加熱空気供給管26は浄化槽12内まで伸びている。また、43は三方弁である。
本実施の形態では、浄化槽12にバイオトイレ45を併設し、排泄された糞尿を分離部44により糞と尿とに分離し、分離された尿を浄化槽12により光分解し、分離された糞をバイオトイレ45においてバイオチップスにより分解浄化するようにしている。
バイオトイレ45は公知の機構(例えば特開2010−57537)を採用しうる。
すなわち、分解槽46内に木質のバイオチップ(微生物生息母材)47を収容し、このバイオチップ47を撹拌する撹拌羽根48を設け、撹拌羽根48を駆動するモータ49を設け、さらに分解槽46内を加温するヒーター50を設けている。
このバイオトイレ45では、バイオチップ47として杉等の木質チップを使用し、分解槽46中で排泄物とともにバイオチップ47を撹拌することにより、微生物の作用によって排泄物を分解消化するようにしている。このバイオトイレ45は、微生物の作用によって排泄物が炭酸ガスと水とに完全に分解されることから、定期的にバイオチップ47を交換してメンテナンスするだけで維持することができる利点がある。
このバイオトイレ45では、微生物による分解消化作用が有効に発揮されるようにするために、バイオチップ47の含水率を適正に制御することが必要となる。そのために、ヒーター50、ヒーター28、あるいは光源ランプ20の排熱等により、バイオチップ47を加熱し、水分を蒸発させて含水率を調整する。なお、水分が不足するときは、図示しない注水口から水分を補給するようにする。
本第2の実施の形態では、分離部44により糞と尿を分離し、主として尿からなる排泄物(糞と尿は完全には分離できない)をパイプ52を通じて浄化槽12に流下させ、主として糞からなる排泄物を分解槽46に流下させて、それぞれ別々に分解処理するのである。このように、第2の実施の形態では、糞と尿の分解処理をそれぞれ別々に、かつ並行して行うので処理効率を向上させることができる。
なお、浄化槽12内での光分解の場合には、排泄物のpHが10以上の場合により良好に排泄物の光分解が行えることが判明した。
糞と尿とが混合した排泄物のpHは調節が困難(10以上に上げることが困難)であるが、尿のみの場合、アルカリを添加することによってpHを10以上に上げることができる。この第2の実施の形態の場合には、主として尿のみが浄化槽12に流入されるので、浄化槽12に、アルカリを添加しうるpH調整部(図示せず)を設けて液のpHを10以上に調整することによって、尿の処理効率を上げることができる。
次に、図3は浄化槽12における光分解ユニット(光源20、光分解基板:透明支持体17、多孔性n型半導体膜18)56を、浄化槽12の壁面と底面の側に設けた実施の形態を示す説明断面図である。このように、浄化槽12の壁面(底面を含む)を利用して複数の光分解ユニット56を配設することで効率よく排泄物の光分解を行える。
図4は、光源20として太陽光を用いた例を示す説明断面図である。
太陽光を集光器57で集光し、光ファイバーケーブル等の送光パイプ58を通じて、多孔質n型半導体膜18に照射するようにする。本実施の形態では自然光を有効利用でき、省エネが図れる。
図5は、浄化槽12のさらに他の実施の形態を示す説明断面図である。本実施の形態では、光分解ユニット56をボート59に載せて、浄化槽12の液面上に浮かせるようにしている。これにより、浄化槽12中の液面の変化に追従して多孔質n型半導体膜18が上下するので、光分解を好適に行える。
なお、この場合、前記のように酸素や空気を液中に供給するために、酸素や空気を微細な気泡上にして液中に吹き込むので、液に接した半導体薄膜下側に気泡が溜まらないように、基板/多孔質半導体薄膜を液面より少し傾けて設置すると、気泡を溜めないで気相に逃がすことができるので好適である。
図6は、図5のものにおいて、光源に太陽光を用いた浄化槽12の例を示している。
なお、図5、図6のものいずれにおいても、光分解ユニット56を浄化槽12の液面に浮かべるようにしているので、便器14からの排泄物を浄化槽12の壁面等に設けた開口部からパイプ(図示せず)を通じて浄化槽12内に導入する必要がある。
図7は、浄化槽12のまたさらに他の実施の形態を示し、同図(A)はその平面図、同図(B)はその説明断面図である。本実施の形態では、多孔質n型半導体膜18を透明かつ水密性の箱体状をなす支持体17に支持し、箱体内に光源20を配置した光分解ユニット56を浄化槽12内に1個あるいは複数個設置するようにしている。このようにすることで、多孔質n型半導体膜18や光源(ランプ)20が劣化した場合などに、光分解ユニット56を浄化槽12から引き出し、容易に交換することができ、メンテナンスが容易となる。なお、上記箱体を円筒状に形成し、この円筒の外壁面に多孔質n型半導体膜18を固定するようにしてもよい。
次に、以下では、多孔質n型半導体膜や透明基板(透明支持体)等についてさらに詳細に説明する。
(光分解用多孔質n型半導体薄膜)
本実施の形態においては、前記のように透明基板(透明支持体)に被覆した多孔質n型半導体薄膜を糞尿の光分解に使用する。
まず、透明基板としては、例えばガラス、石英ガラス、或いはITO(InSnO2被覆電導性ガラス)やFTO(フッ素ドープSnO2被覆電導性ガラス)等の電導性ガラス基板など、或いは任意のものが可能である。半導体薄膜の基板への接着性・安定性・耐久性が重要であるが、この観点から、FTOなどの電導性ガラスは好ましい結果を与える。光照射は基板側から行う。
半導体としては主にn型半導体が用いられる。例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、硫化カドミウムなど、紫外光が有効な半導体や可視光が有効な半導体など、色々なバンドギャップを持つ半導体が有効に用いられる。特に限定するものではない。半導体薄膜は、当該半導体がナノ構造の多孔質体である多孔質膜(多孔質半導体薄膜)から成るものであることが好ましい。ここでナノ構造とは、細孔径が0.1nm〜数千nm、好ましくは2nm〜数百nm、さらに好ましくは10nm〜500nm程度のものであり、また、比表面積が1〜10,000m/g程度のものである。(なお、当該多孔質膜の実効表面積は、見かけ表面積の2倍から数千倍、通常は数百倍〜2000倍程度に達する。)
(多孔質半導体薄膜の作製)
透明基板上に半導体の多孔質膜を作製する方法としては、特に限定するものでなく、例えば、次のような半導体微粒子を出発物質とする方法(塗布、焼成法など)が採用される。すなわち、まず、平均粒径が1nm〜1mm、好ましくは10nm〜1000nm、さらに好ましくは10nm〜500nm程度の半導体微粒子(例えば二酸化チタン微粒子の場合はアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型またはこれらの二者又は三者の混合型)を準備し、これに分散を促進するための界面活性剤と有機媒体および水などを少量加え、乳鉢またはボールミル等でよく練り混ぜて混合し、半導体ペーストを作製する。半導体ペーストとしては、市販のペーストを選択使用することも可能である。
この作製した、または、選択した市販の半導体ペーストを、基板、例えばフッ素をドープして耐熱性を付与した、電導性酸化スズ薄膜を被覆した電導性ガラス(FTO)からなる透明基板上に、スクリーン印刷法、スクイーズ法、ドクターブレード法,スピンコーテイング法,塗布法,などにより塗布する。
このペースト塗布膜を、先ず例えば100℃で30分程度加熱乾燥し、さらに必要に応じてこのペースト塗布と乾燥を何回か繰り返して所望の厚みとする。最後に例えば450℃で30分程度焼結して、基板上に多孔質半導体薄膜層を被覆する。ペーストは粘性を調整すれば.1回の塗布でも所定の厚みの薄膜が得られるので,工程が簡略化される。
多孔質半導体薄膜の厚みは基本的には、10nm〜1mm程度が用いられるが、好ましくは5μm〜100μm程度、さらに好ましくは5μm〜50μm程度である。膜厚は、基本的に厚い方が活性が高く、たとえば、膜厚10μmよりは20μmの方が好ましいが、一方、膜厚が大きすぎると基板に対する密着性が低下するなどして特性が低下するので、上記範囲内で、適当な膜厚を選択することが好ましい。一例として、二酸化チタン微粒子(平均粒径が13nm)のペーストを用いて、上記した塗布、焼成法により、膜厚が20μmの薄膜を作製すると、多孔質薄膜の実効表面積は見かけ面積の2000倍にも達するため、その活性が高くなる。
また、色素増感太陽電池の二酸化チタン薄膜で良く知られているように、照射光を散乱して膜内に閉じ込める効果を有する、大きな二酸化チタン粒子などを膜内に共存させると、半導体の活性を高めることができる。
(水による糞尿の希釈)
本実施の形態に係るトイレでは、糞と尿を一緒に光浄化槽で分解浄化する。本発明を実施する浄化槽中の液相について、糞尿の悪臭を極力抑えるために、分解槽中に適当量の水を予め入れておき、糞尿の濃度を薄くしておく。そのための糞尿の希釈度は、5倍から1000倍、好ましくは10倍から400倍、さらに好ましくは20倍から100倍程度がよい。希釈度の大きさと、一定期間内例えば1日の受容糞尿容量により、分解槽の大きさが決まる。
糞は分解槽中でできるだけ微細な状況で水に懸濁しているのが好ましい。ちなみに、本実施の形態では、アオコのような懸濁物でも容易に光分解して消失し、また、典型的な畜産排泄物である豚の尿汚水でも固体懸濁物(SS)が容易に光分解して消失することを本発明者らは明らかにしている。
(光分解速度と処理容量に及ぼす因子)
光分解速度は基質(糞尿成分)濃度の1次に比例する(非特許文献1)。即ち、縦軸に基質濃度の対数を取り、横軸に分解時間を取ると、濃度と分解時間は直線関係を示す。これにより、基質の濃度範囲に依存せず、濃度を1桁減少させるための分解時間は同じである。このために、後に実施例で示す設計条件の算出には、どの濃度のデータでも利用できるので、簡単に設計ができる。
本実施の形態による光化学分解速度は主に、半導体膜面積(cm2)/試料液体容量(cm3)の比=φ(cm-1)にほぼ比例し、このφが大きいほど分解速度が速い。後に実施例1で示す図3において、この比は0.10cm-1なので、仮に液体容量はそのままで半導体面積を10倍にすれば、15時間で到達した分解量は1.5時間で到達できる。
これとは別に、本実施の形態による光分解においては、基質(糞尿成分)の部分分解が半導体上で起こった後に、これにより活性化された基質が液相に共存する酸素により、連鎖的酸素酸化分解を受けて分解が進む機構を持つ。従って、同じ半導体膜面積でも、液相容量が増えればそれに比例して分解量が増加するという、特異的な分解促進が起こる。その機構によって無制限に分解が進む訳ではないが、(分解総量/半導体面積)分解比が液体容量に比例する領域が存在する。即ち、該分解比が飽和する迄は同濃度の処理容量を増やせることになる。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこれに限定されるものではない。またMとあるのはモル濃度(moldm−3)である。
〔実施例1〕
(1)透明基板上の多孔質二酸化チタン薄膜の調製:
二酸化チタン多孔質半導体膜を透明基板上に形成するため、Ti-ナノキサイド半導体ペースト(ソーラロニクス社製、T/SP(商標)、平均粒径13nm、n型二酸化チタンTiO2のアナターゼ型含量>90%、残りはルチル型)を準備した。また、透明基板として、6cm x6cmのフッ素ドープSnO2被覆電導性ガラス基板(10Ω/cm2)(FTO)を使用した。当該電導性ガラス透明基板(FTO)の電導性膜被覆面上の4辺の端で、幅0.5cmのスペース(額縁状)の位置に、厚さ70μmの粘着テープ3枚を重ねてスペーサー(厚さ計210μm)として用い、残り5cmx5cmの面積に、上記半導体ペーストを、スクイーズ法で塗布し、室温で乾燥した後に450℃で30分焼結し、FTO上に5cmx5cm(=25cm2)のTiO2多孔質半導体薄膜を形成させた。
(2)セルの作製:
かくして形成した、FTO上のTiO2多孔質半導体薄膜の厚さは10μmで、実効表面積を表すラフネス因子(見かけの表面積に対する多孔質体TiO2の表面積割合)は約1000であった。このFTO/TiO2を用いて、透明アクリル板(厚さ3mm)により、図8に示したような容量250mLのセルを作製した。セル中で、TiO2多孔質半導体薄膜は内側で糞尿混合水と直接接触する構造で、FTOは外側になるように設置した。
(3)糞尿混合水の光分解方法:
ここでは、φ=25cm2/250cm3=0.1cm-1である。人の排泄物試料として、糞(水分含んだ重量で30%)を含む尿(合わせて250mL)を上記セル中に入れ、化学実験室のドラフト内において、撹拌子で電磁撹拌を行いながら、TiO2膜上に3.5mWcm-2強度(いわば太陽紫外光の平均強度に相当)の紫外光を含む白色光を500Wキセノンランプ光源からFTO上に照射してTiO2を紫外光励起して、糞尿の光分解を行った。上部から小型扇風機により送風速度28L/minで送風しながら光分解した。光照射による加温と送風の効果で水分が蒸発するので、1日当り約40mLの水を補充して、液量が250mLを保つようにして、下記と図9に示したような成分の分析を行った。
(4)光分解の結果:
固体懸濁物(SS)は1日(24時間)で8070ppmから5900ppmに27%低下した。それ以外の主要成分について、光分解結果を図9に示す。15日間で、汚れの指標となる総有機炭素は、始めの11600ppmから4000ppm迄、66%減少した。この減少幅がそれほど高くないのは、固形分(糞)の光分解による可溶化によって、可溶性汚れ部分が時間とともに増えるためである。アンモニア性窒素(NH3-N)は、尿中の主成分である尿素が、自然界に存在するウレアーゼにより先ずアンモニアに変換し、これが糞尿の強い刺激臭の原因である。従ってアンモニアは512ppmから途中で1560ppm迄増加し、以下34ppm迄減少した。最大値から比べると、98%減少したことになる。富栄養化剤として環境基準が厳しい硝酸性窒素(NO3-N)は、48ppmから61ppmまで27%増加した。単純な活性汚泥法ではアンモニアがほぼ全て硝酸に変化するので、本来は最低でも硝酸性窒素は1608ppm迄増大してもよい筈だが、これがあまり増えなかったのは、本光分解法ではアンモニアが硝酸にではなく、主として安全な窒素分子(N2)に変換することによる(非特許文献(1))。亜硝酸性窒素(NO2-N)は、8.0ppmから0.9ppm迄、89%減少した。総窒素(Total-N)は8840ppmから961ppm迄、89%減少した。即ち、活性汚泥法等では窒素分は硝酸、亜硝酸などの富栄養化化合物に変化してしまうので、その処理を更に行う必要があるが、本方法では主に2次汚染をもたらさない安全な窒素分子(N2)に代わるので、分解処理方法として優れている。
図9において、φ=0.10cm-1なので、仮に液体容量はそのままで半導体面積を10倍にすれば、15日で到達した分解程度は1.5日で到達できる計算になる。
(5)糞尿の光浄化評価とトイレの設計指針:
水質汚濁防止法に基づく硝酸性窒素等の排水基準に関してはまだ本格的に施行されてないが、アンモニア性Nx0.4+硝酸性N+亜硝酸性N=100ppm以下である。上記に示した15日後のこの値は76ppmなので、本格的基準値をクリヤしている。全般的に、固形分の光分解はそれほど速くなく、ゆっくり分解可溶化するので、そこが律速である。但し、時間がかかるのは固形分の処理で、可溶化した成分の光分解は速い。
従って、固形分(糞)は予め細かいステンレスの金網などで分離してから、固形分のみを別に処理する方式にすると、トイレ光分解槽にかかる負荷が大きく低減する。この場合の固形分の処理方法としては、バイオチップスの利用などが挙げられる。
〔実施例2〕
(連鎖的酸素酸化分解の確認)
実施例1に於いて、透明基板として20cmx20cm(=400cm2)のFTOを1枚用い、後は実施例1と同様にして、この電導面側全面積に、多孔質TiO2薄膜を被覆した。
この20cm角のFTO/多孔質TiO2薄膜を4枚用いて、図10に示すようなセルを作成した。このセルは容器底面にFTO/多孔質TiO2薄膜があり、液量によらず接液面積を一定に保つことができる。なお、実施例1と同様に、TiO2多孔質半導体薄膜は内側で処理対象物と直接接触する構造で、FTOは外側になるように設置した。なお、60は浄化槽、61は多孔質n型半導体膜、62は光源ランプ、63は空気吹き込み装置、64は送風機である。
ここでは、FTO/多孔質TiO2薄膜面積を一定にし、尿の液量を変化させて実験を行った。φ=0.4cm-1(=1600cm2/4000cm3)、φ=0.64cm-1(=1600cm2/2500cm3)、φ=1.1cm-1(=1600cm2/1500cm3)であった。液量1L当たり空気供給流量が0.7L/minとなるようにポンプで空気を供給しながら、TiO2膜上に7.6mWcm-2強度の紫外光をブラックライトからFTO上に照射してTiO2を紫外光励起して、尿の光分解を行った。水分が蒸発するので、水を適宜補充し、液量を一定に保つようにして、総有機炭素濃度の分析を行った。
結果を図11に示す。液量によらず総有機炭素は7日後にはほぼ半減していた。この結果は同じ半導体膜面積でも、液量が増えればそれに比例して分解量が増加することを示している。これは前に述べた連鎖的酸素酸化分解が起こっているためである。
〔実施例3〕
(pHと分解性)
実施例1に於いて、透明基板として20cmx20cm(=400cm2)のFTOを1枚用い、後は実施例1と同様にして、この電導面側全面積に、多孔質TiO2薄膜を被覆した。
この20cm角のFTO/多孔質TiO2薄膜を1枚用いて、図10に示すようなセルを作成した。なお、このセルの構造は実施例2と同様である。
ここでは、採取時期の異なる尿を対象に実験を行った。φ=0.4cm-1(=400cm2/1000cm3)であった。空気供給流量が0.7L/minとなるようにポンプで空気を供給しながら、TiO2膜上に6.5mWcm-2強度の紫外光をブラックライトからFTO上に照射してTiO2を紫外光励起して、尿の光分解を行った。水分が蒸発するので、水を適宜補充し、液量を一定に保つようにして、アンモニア性窒素濃度の分析を行った。
結果を図12に示す。採取後1ヶ月以内の尿と比べて、採取後6ヶ月経った尿中のアンモニア性窒素はより早く減少していた。採取後1ヶ月以内の尿のpHは7に対して採取後6ヶ月経った尿のpHは10であった。アンモニアはpHによりその形態が異なることが知られており、pHを高くすることでアンモニウムイオンは遊離アンモニアへと変化する。多孔質n型半導体薄膜は遊離アンモニアを分解するので、アンモニアの分解性を高めるためにはpHを高くする必要がある。そのためのpHは9以上が好ましい。例えば、ウレアーゼを添加すれば、尿中の尿素がアンモニアに分解され、pHを高くすることができる。
〔実施例4〕
(水温と分解性)
実施例1に於いて、透明基板として20cmx20cm(=400cm2)のFTOを1枚用い、後は実施例1と同様にして、この電導面側全面積に、多孔質TiO2薄膜を被覆した。
この20cm角のFTO/多孔質TiO2薄膜を4枚用いて、図10に示すようなセルを作成した。なお、このセルの構造は実施例2と同様である。
ここでは、異なる水温帯で尿を対象に実験を行った。φ=0.4cm-1(=1600cm2/4000cm3)であった。空気供給流量が2.8L/min程度になるようにポンプで空気を供給しながら、TiO2膜上に7.6mWcm-2強度の紫外光をブラックライトからFTO上に照射してTiO2を紫外光励起して、尿の光分解を行った。水分が蒸発するので、水を適宜補充し、液量を一定に保つようにして、総有機炭素濃度の分析を行った。
結果を図13に示す。高水温帯の平均水温は26℃に対して低水温帯の平均水温は19℃であったが、全有機炭素の分解は水温の影響をほとんど受けていなかった。一般的な化学反応では、温度が10℃高くなると反応の活性は2倍高くなると言われているが、この結果はそれに当てはまらない。これは連鎖的酸素酸化分解がこの反応の主反応であることを表しており、分解性は水温に依存しない特異な反応と言える。
[実施例5]
(実験データと、それに基づく、循環水洗浄型光トイレ設計例)
光トイレの許容量/日は現行商品バイオトイレと同じ、70回/日(約20L/日)とする。
はじめに、一日分の排泄物濃度を50倍に希釈するために,1.4m3 の分解槽(=1.5mx1.5mx高さ0.6m)に水を1m3入れておく.受容し希釈された排泄物を光分解しながら循環して洗浄水に使用する。排泄物は固液分離せずに、撹拌を適時行なって固形物の分散を図る。実際には少量ずつの排泄物を受容して光分解しながら、次々に排泄物を受容するので、定常的に2%の排泄物が残存する訳ではなく、臭いはそれほど問題にならない。
光分解槽中の排泄物は1日で濃度を1/4(排泄物濃度で0.5%)にする。そのためには次のような設計になる。
実験データとして、TiO2膜20cmx20cm=400cm2x4枚,液量4000cm3、φ =1600/4000=0.4cm-1の時に、TOC分析値は7日でほぼ1/2に低下した。今、光分解中のTOC値の増加分(固形分の糞が分解して可溶化したことによる)を初期濃度に加えて補正すると、実質的には5日で1/2に低下する計算になる。従って、スケール効果による分解容量の増加を考慮しない単純計算でも、400cm2TiO2膜を40枚用いれば、70回/日の場合、1日で排泄物濃度は1/4(排泄物で0.5%濃度)に低下する。この時、φ =16000/4000 cm3=4cm-1である。
これにより,仮に毎日フルに許容量一杯の排泄物があったとしても,排泄物の定常的残存量は、約半日分(1m3中の0.5%)程度になる。
浮型のTiO2膜(20cmx20cm)を40枚以上水面上に浮かべるために、該TiO2膜を42枚使用する。その総面積は16800cm2で、140cmx120cmの大きさになる(分解槽サイズに収まる)。分解槽の水面面積から考えると、TiO2膜9枚分(40+9枚)の余裕がある。
分解槽容量を一定に保つために、光源ランプ(ブラックライト)の冷却用ファンの排気を混合水表面に吹き付け、加温と風により水分を蒸発させる。蒸発が間に合わない場合に備えて、送風器、及び/又は、加熱器を設置する。
前記の実施例に於いて、分解槽内に定常的に残存する糞尿は0.5%である。糞尿の臭いは濃度が1%ならあまり問題にならないので、1日の糞尿許容量は、2倍にしても臭いはそれほど問題ではない。従って、同じ分解槽で、許容使用回数は140回/日、即ち約40L/日にすることができる。
10 光分解トイレ、12 浄化槽、14 便器、15 光分解基板、16 注水口、17 透明支持体、18 多孔質n型半導体膜、19 部屋、20 光源、21 給気管、22 排気装置、23 排気管、24 排気ファン、25 撹拌羽根、26 加熱空気供給管、27 冷却ファン、28 液加熱用ヒーター、30 洗浄水供給部、32 貯留タンク、33 配管、34 給水ポンプ、35 濾過器、37 給水ポンプ、38 配管、40 配管、41 分離板、43 三方弁、44 分離部、45 バイオトイレ、46 分解槽、47 バイオチップ、48 撹拌羽根、49 モータ、50 ヒーター、52 パイプ、56 光分解ユニット、57 集光器、58 送光パイプ、59 ボート、60 浄化槽、61 多孔質n型半導体膜、62 光源ランプ、63 空気吹き込み装置、64 送風機

Claims (10)

  1. 便器と、
    排泄された糞尿のうち少なくとも尿を貯留する浄化槽と、
    該浄化槽内に貯留された尿を薄めるため前記浄化槽内に水を供給する水供給部と、
    前記浄化層内の液体を循環して前記便器に流して該便器を洗浄する洗浄部と、
    前記浄化槽に備えられ、透明支持体に支持されて前記浄化槽内の液体に接触し、該液体中の有機物を分解する、多孔質n型半導体薄膜と、
    該多孔質n型半導体膜に光を照射する光源と、
    前記浄化層内に空気または酸素を吹き込む流体供給部とを具備することを特徴とする光分解トイレ。
  2. 前記多孔質n型半導体膜が透明かつ水密性の箱体状をなす前記支持体に支持され、前記箱体内に前記光源が配置された光分解ユニットが前記浄化槽内に1個あるいは複数個設置されたことを特徴とする請求項1記載の光分解トイレ。
  3. 排泄された糞尿の糞と尿を分離する分離部を有し、分離された糞をバイオチップスにより分解浄化するバイオトイレを有することを特徴とする請求項1または2記載の光分解トイレ。
  4. 前記浄化槽内の水分の一部を蒸発させるため、前記浄化槽内の液体を加熱する加熱装置を有することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の光分解トイレ。
  5. 前記浄化槽内の空気を排出する排気装置を備え、該排気装置にオゾンガスを供給するオゾンガス供給部を備えることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の光分解トイレ。
  6. 前記洗浄部にオゾンガスを供給するオゾンガス供給部を備えることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の光分解トイレ。
  7. 前記浄化槽に該浄化槽内の液体のpHを調整するpH調整部を備えることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の光分解トイレ。
  8. 前記加熱装置は、前記光源を冷却する冷却装置を兼用し、前記光源を冷却して加熱された空気を前記浄化槽内に供給することを特徴とする請求項4記載の光分解トイレ。
  9. 前記支持体に支持された前記多孔質n型半導体膜を前記浄化槽の液面に浮かべ、前記支持体の上方に前記光源を配設したことを特徴とする請求項1記載の光トイレ。
  10. 前記浄化槽の壁面に、前記支持体に支持された前記多孔質n型半導体膜が設置されたことを特徴とする請求項1記載の光トイレ。
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