この出願は、日本国で2023年3月24日に出願された特願2023-048548号に基づいており、その内容は本出願の内容としてその一部を形成する。
また、本開示は以下の詳細な説明によりさらに完全に理解できるであろう。本願のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明により明らかとなろう。しかしながら、詳細な説明及び特定の実例は、本開示の望ましい実施の形態であり、説明の目的のためにのみ記載されているものである。この詳細な説明から、種々の変更、改変が、本開示の精神と範囲内で、当業者にとって明らかであるからである。
出願人は、記載された実施の形態のいずれをも公衆に献上する意図はなく、開示された改変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文言上含まれないかもしれないものも、均等論下での発明の一部とする。
様々な図面における同様の参照番号及び名称は、同様の要素を示す。
以下、図面を参照して本開示を実施するための各実施の形態について説明する。なお、以下では本開示の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本開示の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。また、図中の互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。さらに、一の図面中に互いに同一又は相当する部材が複数個含まれている場合には、図を見易くするために、そのうちのいくつかにのみ符号を付している場合がある。
<第1の実施の形態>
本開示に係るモータコアの製造装置及びモータコアの製造方法の一例を、以下に第1の実施形態として説明する。本実施の形態に係るモータコアの製造装置では、モータコアとして、インナーロータ型のロータコアを採用している。そして、このモータコアの製造装置は、ロータコアに形成されたスロット部に永久磁石を固定する際に用いられる装置を例示する。ここで、本開示におけるモータコアとは、電磁鋼板を積層してなる積層体だけでなく、当該積層体に何らかの部品が取り付けられた(モータの)半製品の状態をも含むものとする。なお、本実施の形態に係るモータコアの製造装置を、以下に示す実施形態のもののように完全に閉じたスロットではなく、スロットの一部が外部に開口したオープンスロットを有するモータコアの磁石固定に利用してもよい。あるいは、本実施の形態に係るモータコアの製造装置を、ステータコアのコイルが巻き回された部分等を樹脂モールドするため、またはかしめのない積層コアの軸方向に設けられた貫通孔等に樹脂を充填して積層コアを一体に固定するために利用することもできる。
(モータコアの製造装置)
図1は、本開示の第1の実施の形態に係るモータコアの製造装置の一例を示した概略説明図である。本実施の形態に係るモータコアの製造装置1は、図1に示すように、インナーロータ型のロータコア2の永久磁石3が挿入されたスロット部4内に樹脂を注入して硬化させることで永久磁石3を固定することが可能な装置である。なお、以下の説明においては、その理解を容易にするために、図1中に示したX方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を高さ方向(あるいは上下方向)として説明を行うことがある。
図2A及び図2Bは、図1に示すモータコアの製造装置に使用されるロータコア及び環状の樹脂材の一例を示した概略斜視図である。ロータコア2は、図2Aに示すように、その肉厚が0.10~10.00mm、より好ましくは0.20~0.65mm程度の薄い電磁鋼板が複数枚積層されて構成された略円筒状の磁性体で構成することができる。ロータコア2の軸心部分には、モータとして組み立てられた際に回転軸を構成するシャフトが挿入される貫通穴5が設けられていてよい。また、ロータコア2には、この貫通穴5を包囲するように、ロータコア2の軸心方向に沿って延びる複数(図2Aにおいては16個)のスロット部4が環状に配設されていてよい。このスロット部4は、樹脂充填部の一例であって、永久磁石3(図1参照)が挿入可能な形状、例えばロータコア2の肉厚方向に貫通する直方体状あるいは円弧状の貫通穴で構成することができるが、その具体的形状は特に限定されない。同様に、スロット部4の数や配置についても任意で変更可能である。
ロータコア2のスロット部4は、その内部に永久磁石3が挿入され固定されるものである。永久磁石3は、例えばスロット部4よりも僅かに小さな直方体あるいは平面視円弧状のブロック体で構成することができる。この永久磁石3は、スロット部4に挿入される時点で着磁されているか否かを問わない。さらに、この永久磁石3は、積層方向、又は積層方向に直交する方向に分割されているかどうかは問わない。スロット部4に永久磁石3を挿入すると、永久磁石3の外周面とスロット部4の内周面との間に、少なくとも部分的にギャップが形成される。このスロット部4に形成されるギャップが、樹脂が充填される充填空間6として機能し得る。
本実施の形態に係るモータコアの製造装置1で用いられる環状の樹脂材Pは、主に熱硬化性の樹脂材料で構成することができる。詳しくは、環状の樹脂材Pには、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂あるいはシアネート樹脂といった熱硬化性樹脂材料を主に含むものを用いることができる。また、この環状の樹脂材Pには、熱硬化性の樹脂材料に加えて、硬化剤や充填剤等が添加されていてよい。
環状の樹脂材Pは、図2Bに示すように、所定の肉厚を有する環状、好ましくは円環状に成形された樹脂成形体で構成することができる。言い換えれば、本実施の形態に係る環状の樹脂材Pは、その中央部に貫通穴Hを有するドーナツ状に成形された樹脂成形体であるといえる。この環状の樹脂材Pの詳細な寸法等は、後述するチャンバ30及び樹脂充填路25の形状や、充填空間6の容量等に合わせて調整されていてよい。
本実施の形態に係るモータコアの製造装置1は、図1に示すように、少なくとも、ロータコア2を保持可能な金型20と、環状の樹脂材Pを収容可能な環状のチャンバ30と、チャンバ30内を移動可能な環状プランジャ35と、を含む。また、上述した各構成要素は、製造装置本体10内に収容され、あるいは製造装置本体10の適所に取り付けられ得る。
製造装置本体10は、基台11と、基台11の表面に複数本(例えば4本)立設された支柱12と、この支柱12の先端部分に支持された天板13とを含むものであってよい。天板13は、その下側の面に後述する金型20のうち、第2の金型の一例である上型21が固定されていてよく、図示しないアクチュエータを用いて、支柱12及びこの上型21と共に上下方向に昇降可能であってよい。天板13の昇降動作は、主に金型20にロータコア2を保持する、あるいは金型20からロータコア2を取り外して搬出する際に実施され得る。
金型20は、ロータコア2を保持するための部材である。具体的には、この金型20は、ロータコア2の軸方向における一方の端部、例えば下端側に位置する第1の金型の一例としての下型22と、ロータコア2の軸方向における他方の端部、例えば上端側に位置する第2の金型の一例としての上型21とを含むものとすることができる。
上型21は、所定の肉厚を有する板状の部材で構成することができ、その上面側が天板13に取り付けられ、下面側がロータコア2の上面に当接可能なものであってよい。
図3は、図1に示す下型の一例を示したものであって、図3Aは斜視図、図3Bは図3AのA-A線で切断した断面図である。下型22は、図3Aに示すように、所定の肉厚を有する板状の部材で構成することができ、その下面22L側の少なくとも一部が後述する環状のチャンバ30の一部として機能し、上面22U側がロータコア2の下面に当接可能なものであってよい。この下型22の下面22L側の中央部には、後述するチャンバ30の内側の壁面を画定する柱状の突出部23が設けられていてよい。また、この下型22は、図1に示すように、チャンバ30内への環状の樹脂材Pの投入や樹脂充填路25等のクリーニングを行うために、下型22を昇降させることが可能なリフタ24をさらに含んでいてよい。
また、下型22の下面22Lにおける突出部23近傍の領域には、下型22の上面22Uに載置されたロータコア2の複数の充填空間6とチャンバ30との間をつなぐための樹脂充填路25が複数配設されていてよい。この樹脂充填路25は、図3Bに示すように、一端が下型22の上面22Uに開口し、他端が下面22L、より詳しくは、下面22Lの突出部23の側面よりも外側に形成された円環状の樹脂流入溝26の底面に開口した複数個の通路で構成することができる。
樹脂流入溝26は、後述するチャンバ30の上面として機能し得る。そして、このチャンバ30の上面として機能し得る樹脂流入溝26は、金型20に保持されたロータコア2のスロット部4と平面視で重なる位置に形成されていると好ましい。この場合、樹脂充填路25は、チャンバ30の上面とスロット部4とを短い距離で連通させることができ、樹脂充填路25内及びチャンバ30内で硬化する樹脂の量、すなわちカルP3(図10参照)の量を、従来に比して削減することができる。なお、樹脂流入溝26には後述する凸部60の一例としての第1の凸部61が形成されているが、第1の凸部61の構成については後述する。
複数個の通路で構成された樹脂充填路25は、チャンバ30の上面の一部を構成する樹脂流入溝26から、スロット部4内の充填空間6に向かって上下方向に延びている。また、樹脂充填路25の側壁27は、上方に向かうにしたがってその径が小さくなるように傾斜したテーパ面となっていてよい。
また、上型21は、上述した通り天板13と共に上下方向に移動可能であってよい。そして、この上型21が下型22上にロータコア2が載置された際に下降し、所定の押圧力でロータコア2の上面を押圧することで、ロータコア2を上型21と下型22の間に挟むように保持することができる。上型21及び下型22のロータコア2に当接する面は、充填空間6への樹脂の充填時に、充填された樹脂がロータコア2外に漏れ出すことがないよう、その形状や素材等が調整され得る。具体的には、上型21及び下型22にてロータコア2を挟んだ際に、その接触面が実質的に密閉状態となるように調整され得る。
本実施の形態においては、上述の通り上型21を天板13と共に上下に移動させる構造を採用しているが、上型21と下型22の上下方向位置を相対的に変更可能な構造であれば、他の構造を採用することができる。具体的には、例えば上型21を上下方向に移動させることに代えて、下型22を上下方向に移動させる、あるいは上型21と下型22の両方を上下方向に移動させる構造を採用してもよい。
また、本実施の形態においては、ロータコア2のスロット部4として、上下方向に開口し且つ前後及び左右方向に実質的に隙間を有しない直方体形状のものを例示している。これに関連して、上型21及び下型22は、略平坦な当接面を有するものを採用しているが、上型21及び下型22のロータコア2との当接面の形状は、保持するロータコア2の形状に合わせて適宜変更することができる。例えば、本実施の形態に係るモータコアの製造装置1をインナーロータ型のステータコアの樹脂モールドに用いる場合には、上型21及び下型22として、ステータコアの中央に形成される空間に挿入される突起を含むものを採用するとよい。
チャンバ30は、充填空間6に充填される環状の樹脂材Pが投入され得る環状の空間を形成している。換言すると、チャンバ30は、基台11上に設けられた円環状の支持台31の内部に形成された、上下方向に延在する筒状の空間から構成されている。そして、このチャンバ30は、下型22に形成された樹脂充填路25に連通している。なお、本実施の形態では、チャンバ30の形状として、平面視円環状の空間で形成されたものを例示しているが、投入される環状の樹脂材Pの形状等に合わせて適宜変更することができる。
本実施の形態に係るチャンバ30は、支持台31と、下型22と、環状プランジャ35とによって画定された空間であってよい。より詳細には、チャンバ30は、その外周面を支持台31により、その内周面を下型22の突出部23により、その底面を環状プランジャ35の押圧面37により、そしてその上面を下型22の下面22Lに形成された樹脂流入溝26により、それぞれ画定され得る。
また、上述したチャンバ30内の、樹脂充填路25に連通する部分を除く内面のいずれかには、チャンバ30の内側に向かって突出する1乃至複数の凸部60が形成される。この凸部60は、その先端とチャンバ30の凸部60が形成された面に対向する面との間に、環状プランジャ35の位置に関わらず所定の隙間が形成されるものであってよい。本実施の形態においては、上述した凸部60として、環状プランジャ35と対向する面を構成する、下型22の樹脂流入溝26の底面に形成された第1の凸部61が例示されている。
第1の凸部61は、図3に示すように、下型22の下面22Lに形成され、チャンバ33の一部を画定する面として機能する樹脂流入溝26の底面のうち、樹脂充填路25に連通する領域を除く位置に形成されていてよい。また、この第1の凸部61は、下型22の下面22Lとは交差する方向、例えば下方向に延び、その先端が当該下面22Lと実質的に同一平面上に位置するようにその高さが調整されていてよい。
環状プランジャ35は、環状の空間からなるチャンバ30内の樹脂を、樹脂充填路25に向けて搬送するための部材であってよい。したがって、この環状プランジャ35は、少なくともその上部に位置する押圧面37を含むチャンバ30内に入り込む部分が環状であればよい。そして、この押圧面37は、チャンバ30を封鎖するように配設され得る。これにより、押圧面37はチャンバ30の下面としても機能する。また、環状プランジャ35の押圧面37とは反対側の面には、図示しないアクチュエータに連結された昇降アーム36が取り付けられていてよい。アクチュエータの動作が昇降アーム36を介して環状プランジャ35に伝達されることにより、押圧面37がチャンバ30内を昇降する。環状プランジャ35の先端の内外周にシール部材(好ましくはメタルシール)を設ければ、より一層樹脂漏れ対策を施した構成とすることができる。
ここで、環状プランジャ35の押圧面37を、環状プランジャ35に設定された可動領域内の金型20に最も近接させた位置としての上限位置UP(図9B等参照)まで移動させた場合であっても、押圧面37と第1の凸部61の先端は当接せず、両者の間に隙間が確保されることは、特に留意すべき事項である。これは、環状プランジャ35を上限位置UPまで移動させた際に、第1の凸部61に当接することによって充填空間6に注入された樹脂に上方向への圧力(保圧と呼ばれることもある)が作用しなくなることを避けるためである。なお、本実施の形態では、環状プランジャ35を上限位置UPまで移動させて樹脂充填部としてのスロット部4への樹脂の充填を完了する場合を例示しているが、樹脂の充填の完了のタイミングを環状プランジャ35に生じる圧力に基づいて決定してもよい。この場合には、スロット部4への樹脂の充填が完了した際の環状プランジャ35の押圧面37の高さ位置は変化し得る。
ところで、樹脂に保圧を作用させるためには、環状プランジャ35とチャンバ30の上面との間に3~5mm程度の隙間を確保する必要がある。本実施の形態においては、第1の凸部61が環状の樹脂流入溝26の底面に、所定の間隔を空けて複数個配設された構造が採用されている。そのため、上述した3~5mm程度の隙間は、第1の凸部61が形成されていない領域、例えば樹脂充填路25が形成された領域で確保されていれば必要な保圧を確保することができる。したがって、上限位置UPにある押圧面37と第1の凸部61の先端との間の隙間G1(図9参照)は、同じく上限位置UPにある押圧面37と樹脂流入溝26の底面との間の隙間G2(図9参照)よりも十分に小さく(例えば、隙間G1を隙間G2の半分以下に)することができる。これにより、第1の凸部61を設けない場合に比べて、樹脂流入溝26内で硬化する樹脂の量を削減することができる。なお、本実施の形態では、上述の通り、樹脂に保圧を作用させるための隙間を3~5mmとして説明するが、隙間はこの値に限定されるものでない。当該隙間の値は、コアや磁石の形状、充填する樹脂の種類等で変わってくるもののため、適宜最適な距離を選択するとよい。
なお、スロット部4に樹脂が充填されるロータコア2は、しばしば他の形状のものに変更され得る。そのため、下型22は、異なるサイズ又は形状の樹脂充填路25及び樹脂流入溝26を有するものを予め複数個準備しておき、金型20内に保持されるロータコア2に合わせて適宜交換して使用することもできる。
また、本実施の形態に係るモータコアの製造装置1は、上述した構成に加えて、チャンバ30内及び金型20内の樹脂を加熱することが可能な加熱機40をさらに含むことができる。この加熱機40は、赤外線ヒータやシーズヒータ等に代表される周知のヒータで構成することができ、製造装置本体10内の適所に設けられていてよい。本実施の形態に係る加熱機40は、金型20内に配設された第1の加熱機としての金型ヒータ41と、環状のチャンバ30の外側周囲に配設された第2の加熱機としてのチャンバ外周ヒータ42とを少なくとも含むことができる。
金型ヒータ41は、上型21内及び下型22内の少なくとも一方に配設されているとよい。また、チャンバ外周ヒータ42は、環状のチャンバ30の外側の壁面、例えば支持台31内に、チャンバ30の周囲を包囲するように配設されているとよい。
チャンバ30内に環状の樹脂材Pを投入した後、チャンバ外周ヒータ42を動作させると、チャンバ30内の環状の樹脂材Pを加熱することができる。ここで、環状の樹脂材Pには貫通穴Hが形成されているため、樹脂材全体がチャンバ外周ヒータ42から比較的近い距離に配設される。これにより、チャンバ30内で環状の樹脂材Pを加熱して軟化させる際に、熱源(例えばチャンバ外周ヒータ42)に対する距離の違いによって生じ得る部分的な温度差を小さく抑えることができる。
また、加熱機40は、上述した金型ヒータ41及びチャンバ外周ヒータ42に加えて、環状のチャンバ30の内側周囲に配設された第3の加熱機としてのチャンバ内周ヒータ43を含むこともできる。本実施の形態に係るチャンバ内周ヒータ43は、下型22の突出部23内に設けられているものを例示している。突出部23に設けられるチャンバ内周ヒータ43は、環状のチャンバ30の中心部分に、チャンバ30の内側の壁面に沿って配設されているとよい。このチャンバ内周ヒータ43を設けることで、チャンバ外周ヒータ42から比較的離れた位置にある環状の樹脂材Pの内側部分の加熱を補助することができる。したがって、樹脂材の均一な加熱をより確実に実行することができるようになる。なお、本実施の形態に係る加熱機40は、上述した各種のヒータに限定されない。例えば、環状プランジャ35の押圧面37に隣接する位置に別途ヒータを設けることも可能である。
本実施の形態に係るモータコアの製造装置1は、さらに、上述した各構成要素を制御するための制御装置50を含んでいてよい。この制御装置50は、上述した各構成要素に電気的に接続されてその動作を制御することで、任意の製造工程を実現することが可能な装置であってよい。この制御装置50は、例えば図1中に点線で示すように、各構成要素に有線又は無線通信を介して通信可能に接続されていてよい。この制御装置50は、シーケンサ(Programmable Logic Controller、PLC)や周知のコンピュータを用いて実現することができる。また、制御装置50は、上述したコンピュータ等のうちの1つのみから又は複数を組み合わせて構成され得る。
この制御装置50は、上述した各構成要素を動作させることにより、後述する本実施の形態に係るモータコアの製造方法を実現することができる。これに関連して、本実施の形態に係るモータコアの製造方法は、制御装置50を構成するコンピュータに、所定の動作を実行させるための指令を含むソフトウェア等のプログラムの形態で、このプログラムが格納された非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体の形態で、あるいはネットワーク等を介して提供されるアプリケーションプログラムの形態で、提供され得るものである。本実施の形態に係るモータコアの製造方法の詳細については後述する。
上述した構成を備えるモータコアの製造装置1において、樹脂を充填するロータコア2の複数の充填空間6が環状に配置され、チャンバ30及びチャンバ30に投入される樹脂材がいずれも環状であることは、特に留意すべき事項である。このように充填空間6の配置とチャンバ30及び樹脂の形状が概ね一致していると、チャンバ30と充填空間6との間をつなぐ樹脂充填路25の長さを、例えば上述したポットが金型中央に位置している従来の装置に比べて短くできる。したがって、本実施の形態に係るモータコアの製造装置1によれば、従来のものに比して、樹脂が樹脂充填路25を通過するのに要する時間を短縮でき、樹脂充填路25内で意図せず樹脂の硬化反応が進行することを抑制できる。
上記に関連して、チャンバ30の外径及び内径は、充填空間6の配置を考慮して設定するとよい。好ましくは、チャンバ30は、金型20に保持されるロータコア2のスロット部4と平面視で重なる位置に形成されると、樹脂充填路25を短くでき、スロット部4外で硬化する樹脂の量が抑制できる。
次に、本実施の形態に係るモータコアの製造方法について説明する。以下のモータコアの製造方法の説明に際しては、上述したモータコアの製造装置1を用いて、ロータコア2を製造する場合を例示的に説明するが、モータコアの製造装置1以外の装置を用いて実現することもできる。なお、以下のモータコアの製造方法において説明する効果の少なくとも一部は、上述したモータコアの製造装置1が奏する効果の説明を兼ねている。
(モータコアの製造方法)
図4は、図1に示すモータコアの製造装置で実施される製造プロセスの一例を示したフローチャートである。また、図5乃至図8は、図1に示すモータコアの製造装置の動作状態の一例を示した動作説明図である。さらに、図9Aは図6のB部拡大図であり、図9Bは図7のC部拡大図である。以下には、主に図4乃至図9を参照して本実施の形態に係るモータコアの製造方法の説明を行う。なお、図5乃至図8では、図を見やすくするために、一連の動作に関連の低い部材やそれらの符号を一部省略あるいは簡略化して示している。
本実施の形態に係るモータコアの製造方法は、少なくとも、環状のチャンバ内に所定の肉厚を有する環状の樹脂材を投入する工程であって、環状のチャンバ内の樹脂充填路に連通する部分を除く内面には、環状のチャンバの内側に向かって突出するように形成された1乃至複数の凸部が形成されている、工程(後述する工程S01に対応)と、環状のチャンバに連通した樹脂充填路が形成された金型内に、所定の間隔を空けて環状に配設された複数の樹脂充填部を含むモータコアを、樹脂充填路の端部が複数の樹脂充填部に連通するように保持する工程(後述する工程S04に対応)と、環状のチャンバ内の環状の樹脂材を加熱して軟化させる工程(後述する工程S05に対応)と、環状プランジャを金型に近接する方向に動作させて、環状のチャンバ内において軟化された環状の樹脂材からなる軟化樹脂を前記複数の樹脂充填部内へ充填する工程(後述する工程S06に対応)と、複数の樹脂充填部内に充填された軟化樹脂を硬化させる工程(後述する工程S07に対応)と、を含む。以下、図面を参酌して詳細に説明する。
本実施の形態に係るモータコアの製造方法は、図4に示すように、先ずリフタ24を動作させて下型22を上昇させ、これにより露出したチャンバ30内に環状の樹脂材Pを投入する(工程S01)。チャンバ30内に投入された環状の樹脂材Pは、図5に示すように、チャンバ30の下面として機能する環状プランジャ35の押圧面37上に載置される。チャンバ30に投入される環状の樹脂材Pのサイズ(特にその肉厚)は、後に保持されるロータコア2の充填空間6及び樹脂充填路25等のサイズを考慮して調整されているとよい。
なお、チャンバ30内に環状の樹脂材Pを投入する前に、チャンバ30の予熱を行っておくと好ましい。チャンバ30の予熱は、例えばチャンバ外周ヒータ42及びチャンバ内周ヒータ43の少なくとも一方を動作させることで実現できる。
また、チャンバ30内に環状の樹脂材Pが投入される前又は後に、もしくは環状の樹脂材Pの投入と並行して、永久磁石3とこの永久磁石3を取り付けるロータコア2を準備し、ロータコア2のスロット部4内に永久磁石3を挿入する(工程S02)。そして、金型20及びロータコア2の予熱を行う(工程S03)。金型20の予熱は、例えば金型ヒータ41を用いて行うことができる。ロータコア2の予熱は、図示しない公知の加熱手段等を用いて金型20の予熱とは別個に行われてもよいが、下型22上に載置された状態で金型ヒータ41を動作させれば、金型20の予熱とロータコア2の予熱とを同時に行うことができ一連のプロセスを簡素化できる。なお、金型20とロータコア2を同時に予熱する際は、工程S03の前に後述する工程S04を実施するとよい。金型20及びロータコア2の予熱温度は、例えば100~180℃程度とすることができる。また、当該予熱は金型20及びロータコア2のいずれか一方のみに対して行うこともできる。
さらに、工程S02と工程S03の順序は変更することができる。その場合は、ロータコア2と金型20の予熱の後にロータコア2のスロット部4内に(別途予熱された、あるいは予熱されていない)永久磁石3を挿入することとなる。
金型20及びロータコア2の予熱が完了すると、図6に示すように、リフタ24を動作させて下型22を下降させた後、下型22上にロータコア2を載置し、次いで上型21を下方向に移動させることで、金型20内にロータコア2を保持する(工程S04)。このとき、上型21は所定の圧力でロータコア2の上面を押圧するように調整されており、それによって上型21とロータコア2の上面、及び下型22とロータコア2の下面をそれぞれ密着させることができる。なお、この工程S04において、下型22上に載置されるロータコア2は、複数のスロット部4の充填空間6が下型22の上面22Uに開口した樹脂充填路25に連なるように位置決めされるとよい。
図6に示す状態のモータコアの製造装置1では、下型22が下降することで密閉されたチャンバ30の上面が、樹脂流入溝26によって画定されことになる。そして、この図6に示す状態のときには、樹脂流入溝26内は、図9Aに示すように、内部に樹脂が存在しない空間となっている。
上述した工程S01の後の適切なタイミングで、チャンバ外周ヒータ42及びチャンバ内周ヒータ43を動作させることにより、環状の樹脂材Pを加熱する(工程S05)。チャンバ30内での加熱は、環状の樹脂材Pの粘度を低下させ、軟化した樹脂(以下、「軟化樹脂」という)P1とするためのものである。この加熱に用いられるチャンバ外周ヒータ42及びチャンバ内周ヒータ43は、環状の樹脂材Pに部分的な温度差が発生しないように制御されると好ましい。当該加熱により、環状の樹脂材Pは溶融してその粘度が低下し、流動性の高い軟化樹脂P1に変化させることができる。
環状の樹脂材Pが軟化樹脂P1に変化すると、次に、図7に示すように、環状プランジャ35を矢印A1方向に上昇させて軟化樹脂P1を押し上げることで、各スロット部4内の充填空間6へ軟化樹脂P1の充填を行う(工程S06)。環状プランジャ35の押圧面37に押し上げられた軟化樹脂P1は、チャンバ30の上面を画定する樹脂流入溝26に流入した後、樹脂充填路25を通過して、各充填空間6に流入する。なお、工程S06における充填空間6への軟化樹脂P1の充填を円滑に実行するために、例えば上型21の適所に充填空間6内の空気を抜くための空気穴(図示省略)を設けてもよい。
上記工程S06において軟化樹脂P1を押し上げた環状プランジャ35の押圧面37は、第1の凸部61の先端の高さ位置よりも僅かに下方に設定された上限位置UPに到達すると、所定の保圧を維持した状態でその上昇が停止される。上限位置UPに到達した押圧面37と第1の凸部61の先端との間の隙間G1は、図9Bに示すように、当該押圧面37と樹脂流入溝26の底面との間の隙間G2よりも十分に小さい。これにより、後述するカルP3の量が抑えられている。一方で、押圧面37と樹脂流入溝26の底面との間の隙間G2が比較的大きい(例えば3~5mm)ことにより、後述する工程S07における軟化樹脂P1の硬化の際に、樹脂に対する保圧が十分に確保されている。
充填空間6への軟化樹脂P1の充填が完了すると、次に、金型ヒータ41を動作させて充填空間6内の軟化樹脂P1を工程S05での加熱よりも高温で加熱することにより、軟化樹脂P1を硬化させる(工程S07)。軟化樹脂P1を硬化する際は、金型ヒータ41により軟化樹脂P1の温度をその粘度が大きく上昇する温度範囲で数分程度加熱するとよい。軟化樹脂P1が当該加熱によって硬化樹脂P2に変化することで、永久磁石3はロータコア2のスロット部4内に樹脂モールドで固定される。なお、この工程S07における加熱時間は、環状の樹脂材Pに用いられている樹脂の種類等に合わせて適宜調整され得る。
工程S07においては、上述した通り、押圧面37が上限位置UPまで移動させた状態で加熱が行われる。そのため、充填空間6内や樹脂充填路25内の軟化樹脂P1は、上方向に作用する保圧が付与された状態で硬化反応が進行する。したがって、軟化樹脂P1の充填ムラをなくすことができると共に、軟化樹脂P1の充填空間6内への充填密度の低下を抑制することができる。
上述した一連の樹脂モールドプロセスが完了すると、上型21を上昇させ、樹脂モールドされたロータコア2をロボットアーム等の図示しない搬送手段を用いて装置外へ搬出する(工程S08)。搬出されたロータコア2は、例えばシャフトの取り付け等のために別の装置へ移送され得る。そして、このロータコア2の搬出が完了すると、製造装置1のクリーニングを行う(工程S09)。製造装置1のクリーニングは、図7に示すように、リフタ24を動作させてスロット部4外で硬化した樹脂、すなわちカルP3を除去することを含む。加えて、ブラシ等のクリーニング用の部材を用いて、金型20表面やチャンバ30内等をクリーニングすることを含み得る。
図10は、図8に示すカルの一例を示した斜視図である。上述した一連の工程の結果生成されたカルP3は、図10に示すように、第1の凸部61が形成されていた部分Xが、第1の凸部61が形成されていない部分に比べて薄肉となっている。したがって、第1の凸部61が形成されていない下型を用いて樹脂モールドを行った場合に比して、カルP3の量が削減できる。
以上説明した通り、本実施の形態に係るモータコアの製造装置1及びモータコアの製造方法によれば、チャンバ30の上面に第1の凸部61が形成されていることにより、樹脂充填の際にスロット部4外で硬化する樹脂の量を削減することができる。したがって、スロット部4内に永久磁石3を少ない樹脂量で固定することができる。
また、本実施の形態に係るモータコアの製造装置1及びモータコアの製造方法によれば、チャンバ30及びチャンバ30に投入した環状の樹脂材Pがいずれも環状であるため、チャンバ30内における樹脂の加熱時に温度差が生じにくく、均一に加熱することができる。また、チャンバ30の形状が充填空間6の配置に合致しているため、両者をつなぐ樹脂充填路25の長さを短くすることができ、樹脂充填路25内で樹脂の硬化反応が意図せず進んでしまうことを抑制し、スロット部内への樹脂の充填を安定して実施できる。
なお、上述した本実施の形態では、下型22に樹脂充填路25を設け、下方から軟化樹脂P1を充填空間6へ充填する態様を例示したが、充填方向はこれに限定されるものではない。例えば、下型22に代えて上型21に樹脂充填路や樹脂流入溝、第1の凸部等を設け、上方から軟化した樹脂を充填する態様としてもよいし、下型22と上型21の両方に樹脂充填路や樹脂流入溝、第1の凸部等をそれぞれ設け、下方と上方の両方から樹脂を充填する態様としてもよい。
(変形例)
上述した本実施の形態においては、凸部60の一例として、環状プランジャ30と対向する面としての樹脂流入溝26の底面からその壁面が当該底面に対して実質的に垂直に延びる第1の凸部61を採用したものを例示した。しかし、凸部60の形状や配置は上述のものに限定されない。そこで、以下には凸部60の変形例をいくつか説明する。なお、以下に示す変形例では凸部60に関連する説明のみを行い、モータコアの製造装置1と同様の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略するものとする。また、以下に説示する図11~図14は、いずれも環状プランジャ35の押圧面37が上限位置UPにある状態の、図9Bに対応する拡大断面図である。加えて、図11~図14では樹脂及びロータコアの図示を省略している。
図11は、凸部の第1の変形例を示した拡大図である。第1の変形例に係る凸部60は、図11に示すように、上述した第1の凸部61に加えて、環状プランジャ35の下型22と対向する面、すなわち押圧面37の第1の凸部61に対向する領域を除く位置の一部に形成された第2の凸部62をさらに含んでいてよい。また、第2の凸部62は、環状プランジャ35の押圧面37とは交差する方向、例えば上方向に延びていてよい。より具体的には、本変形例に示す第2の凸部62は、押圧面37の樹脂充填路25に対向する位置に複数個立設されたものを例示している。
第2の凸部62は、第1の凸部61に対向する領域を除く位置の一部にのみ配設される。換言すると、チャンバ30の周方向の少なくとも一部が、第1の凸部61及び第2の凸部62のいずれも形成されていない領域となるように配設されるとよい。図11に示す例においては、第2の凸部62は、樹脂充填路25に対向する位置に配設され、且つその周方向の両側面が、隣接する第1の凸部61の側面と所定距離離れて配置するようにその周方向長さが調整されているものを例示している。このように、チャンバ30の周方向における少なくとも一部に、第1の凸部61及び第2の凸部62のいずれも形成されていない領域を確保しておくことにより、環状プランジャ35の押圧面37を上限位置UPに押し上げた際、比較的大きな隙間G2を確保できる。
第2の凸部62の先端と樹脂流入溝26の底面との間の隙間G3は、上述した隙間G1と同様に、上限位置UPにある押圧面37と樹脂流入溝26の底面との間の隙間G2よりも小さくすることができる。したがって、チャンバ30内に第3の凸部63を設けない場合に比べて、スロット部4外で硬化するカルの量をさらに削減することができる。また、上述した3つの隙間G1~G3が確保されることで、軟化樹脂P1に保圧を作用させることができる。
図12は、凸部の第2の変形例を示した拡大図である。第2の変形例に係る凸部60としての第3の凸部63は、図12に示すように、環状プランジャ35の下型22と対向する面、すなわち押圧面37の樹脂充填路25に対向する領域を除く位置に形成されていてよい。また、この第3の凸部63は、環状プランジャ35の押圧面37とは交差する方向、例えば上方向に延びていてよい。本変形例に示す第3の凸部63は、円環状の押圧面37の円周方向に沿って間隔を空けて複数個立設されたものを例示している。
第3の凸部63は、押圧面37が上限位置UPにあるとき、第3の凸部63の先端と樹脂流入溝26の底面との間に所定の隙間G4が形成されるようにその高さが調整されていてよい。この隙間G4は、上述した隙間G1及びG3と同様に、上限位置UPにある押圧面37と樹脂流入溝26の底面との間の隙間G2よりも小さくすることができる。したがって、チャンバ30内に第3の凸部63を設けない場合に比べて、樹脂流入溝26内で硬化する樹脂の量を削減することができる。
図13は、凸部の第3の変形例を示した拡大図である。第3の変形例に係る凸部60としての第4の凸部64は、図13に示すように、樹脂流入溝26の底面に形成されている点では第1の凸部61と同様である。一方、第4の凸部64は、その周方向に位置する両側壁64Aが、第4の凸部64の先端に向かうにしたがって第4の凸部64の面積、より詳しくは周方向長さが小さくなるように傾斜したテーパ面で構成されている点で、第1の凸部61とは異なっている。
ここで、第4の凸部64の側壁64Aの、樹脂充填路25の延在方向に対する傾斜角(第2の角度に相当)θ2は、樹脂充填路25の側壁27の、樹脂充填路25の延在方向に対する傾斜角(第1の角度に相当)θ1よりも小さく設定されているとよい。このように、傾斜角θ2を傾斜角θ1よりも小さくすることで、カルP3のうち、樹脂充填路25内で硬化した部分の型離れが樹脂流入溝26内で硬化した部分に比べて良好となる。これにより、下型22からカルP3を離型する際、樹脂充填路25内にカルP3の一部が残ってしまうことを抑制できる。
図14は、凸部の第4の変形例を示した拡大図である。本変形例に係る凸部60は、上述した第4の凸部64に加えて、環状プランジャ35の押圧面37の第1の凸部61に対向する領域を除く位置の一部に形成された第5の凸部65をさらに含んでいてよい。この第5の凸部65は、その配置は上述した第2の凸部62と同様である。一方、第5の凸部65は、その周方向に位置する両側壁65Aが、第5の凸部65の先端に向かうにしたがって第5の凸部65の面積、より詳しくは周方向長さが小さくなるように傾斜したテーパ面で構成されている点で、第2の凸部62とは異なっている。
第5の凸部65の側壁65Aの、樹脂充填路25の延在方向に対する傾斜角(第3の角度に相当)θ3は、上述した傾斜角θ2よりも小さく設定されているとよい。このように、傾斜角θ3を上述した傾斜角θ1及びθ2よりも小さくしたことで、カルP3の下型22に対する型離れを、環状プランジャ35の押圧面37に対する型離れよりも良好とすることができる。したがって、下型22を上方に移動させた際に、カルP3が下型22と共に持ち上げられることがなく、クリーニング作業が容易となる。
また、詳細な説明は省略するが、上述した第2の変形例の凸部60としての第3の凸部63の側壁を、上述した第4及び第5の凸部64、65の側壁64A、65Aと同様に所定の角度(例えば傾斜角θ2)だけ傾斜したテーパ面とすることもできる。この場合は、当該第3の凸部63の側壁の樹脂充填路25の延在方向に対する傾斜角を、上述した傾斜角θ1よりも小さくすることで、第4の変形例で説明した効果と同様の効果が得られることは、当業者にとって明らかであろう。
<第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態に係るモータコアの製造装置1においては、樹脂充填路25の長さを考慮して、チャンバ30が金型20に保持されたロータコア2のスロット部4と平面視で重なる位置に形成されたものを例示したが、本開示はこれに限定されない。そこで、以下には本開示の第2の実施の形態に係るモータコアの製造装置1Aとして、上述したロータコア2に比べて外径の大きなロータコア2Aに樹脂モールドを実施することが可能なものを例示する。なお、本実施の形態に係るモータコアの製造装置1Aは、ロータコア2A及びこのロータコア2Aを保持する金型20Aを除き、第1の実施の形態に係るモータコアの製造装置1と同様の構成を採用することができる。そこで、以下には、本実施の形態に係るモータコアの製造装置1Bのうち、上述したモータコアの製造装置1と異なる構成を中心に説明を行い、モータコアの製造装置1と同様の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略するものとする。
図15は、本開示の第2の実施の形態に係るモータコアの製造装置の一例を示した概略説明図である。本実施の形態に係るモータコアの製造装置1Aは、図15に示すように、上述したロータコア2に比べてその外径が大きく、それに関連してスロット部4Aの位置もスロット部4に比べて外周側に位置しているロータコア2Aに、樹脂モールドを実施することができるものである。したがって、本実施の形態に係るモータコアの製造装置1の金型20Aは、その外径が上述した金型20に比べて大きくなっている。
金型20Aは、ロータコア2Aの上面に当接する上型21Aと、ロータコア2Aの下面に位置する下型22Aとを含む。そして、下型22Aの下面22ALには、チャンバ30の上面として機能する樹脂流入溝26Aが設けられている。さらに、下型22Aには、樹脂流入溝26Aと下型22の上面22AUに載置されたロータコア2Aのスロット部4A内の充填空間6Aとを連通する樹脂充填路25Aが設けられている。そして、樹脂充填路25Aは、図13に示すように、その一部が放射方向に延在する断面略L字状の通路で形成されている。
本実施の形態に係るモータコアの製造装置1Aにおいても、チャンバ30の内面の一部に1乃至複数の凸部60を形成することができる。具体的には、環状プランジャ35と対向する面を構成する樹脂流入溝26Aの底面に下方向に延びるように形成された第6の凸部66を形成することができる。この第6の凸部66は、当該第6の凸部66によって樹脂充填路25Aが塞がれないよう、樹脂充填路25Aが形成された部分においては、図15に示すように、樹脂流入溝26Aの内側部分にのみ設けられているとよい。第6の凸部66を設けたことにより、本実施の形態に係るモータコアの製造装置1Aにおいても、スロット部4Aに樹脂を充填する際にスロット部4A外で硬化する樹脂の量を、凸部60を設けない場合に比して削減することができる。したがって、スロット部4A内に永久磁石3を少ない樹脂量で固定することができる。
また、本実施の形態に係るモータコアの製造装置1Aにおいても、チャンバ30及びチャンバ30に投入した環状の樹脂材Pがいずれも環状であるため、従来のようにタブレット状の樹脂を用いる場合に比べてチャンバ30内における樹脂の加熱時に温度差が生じにくく、均一に加熱することができる。また、径方向の寸法は異なるものの、チャンバ30の外形形状は充填空間6Aの配置に合致しているため、両者をつなぐ樹脂充填路25Aの長さを従来に比べて短くすることができる。したがって、軟化樹脂P1を充填空間6Aに送る際、樹脂充填路25A内で樹脂の硬化反応が意図せず進んでしまうことを抑制し、スロット部4A内への樹脂の充填を安定して実施できる。
上述した各実施の形態においては、凸部60として、樹脂流入溝26、26Aの底面、あるいは押圧面から突設するように形成されたものを例示したが、本開示はこれに限定されない。具体的には、チャンバの側面に凸部60が形成されていてもよい。
図16は、図1に示すモータコア製造装置の下型の一変形例を示した図であって、図16Aは斜視図であり、図16Bは下面図である。一変形例に係る下型22Bは、図16に示すように、その外形形状は第1の実施の形態の下型22と概ね同一である。すなわち、下型22Bは、所定の肉厚を有する板状の部材で構成され、その下面22BLの中央部にチャンバ30の内面の一部を画定する柱状の突出部23が設けられ、この突出部23の周囲には、下型22Bの上面22BUに繋がる樹脂充填路25が連通する樹脂流入溝26Bが形成されていてよい。
下型22Bの樹脂流入溝26Bは、チャンバ30の上方の一部を兼ねる。そして、この樹脂流入溝26Bの上下方向に延びる外周壁面と内周壁面には、図16に示すように、樹脂充填路25が形成されている領域を除く部分に、第7の凸部67A、67Bがそれぞれ形成されていてよい。なお、樹脂流入溝26Bの外周壁面及び内周壁面は、チャンバ30の内面の一部を画定するものである。
樹脂流入溝26Bの外周壁面に形成された第7の凸部67Aは、当該外周壁面から樹脂流入溝26Bの内周壁面に向かって延びるように形成されていてよい。また、樹脂流入溝26Bの内周壁面に形成された第7の凸部67Bは、当該内周壁面から樹脂流入溝26Bの外周壁面に向かって延びるように形成されていてよい。また、第7の凸部67A、67Bは、その上方の壁面が樹脂流入溝26Bの底面に連結されていてよく、その下方の壁面は、プランジャ35の押圧面37が上限位置UPに位置した際に、所定の隙間が形成される位置に調整されていてよい。なお、本実施の形態の場合においても、図11に示す実施の形態のように、環状プランジャ35の下型22Bと対向する面、すなわち押圧面37の凸部67A及び67Bに対向する領域を除く位置の一部に形成された凸部をさらに含んでいてよい。
上述した第7の凸部67A、67Bを設けることによっても、上述した各実施の形態において述べた効果と同様の効果を奏することが期待できる。すなわち、樹脂充填の際にスロット部4外で硬化する樹脂の量を削減することができる。したがって、スロット部4内に永久磁石3を少ない樹脂量で固定することができる。
<第3の実施の形態>
上述した第1及び第2の実施の形態に係るモータコアの製造装置1、1Aにおいては、下型22に突出部23を設けたものを例示したが、本開示はこれに限定されない。そこで、以下には本開示の第3の実施の形態に係るモータコアの製造装置1Cとして、上述した突出部23を有しない下型22Cを含むものを例示する。なお、本実施の形態に係るモータコアの製造装置1Cは、金型20Cの構成及び後述するブロック体70に関連する構成を除き、第1の実施の形態に係るモータコアの製造装置1と同様の構成を採用することができる。そこで、以下には、本実施の形態に係るモータコアの製造装置1Cのうち、上述したモータコアの製造装置1と異なる構成を中心に説明を行い、モータコアの製造装置1と同様の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略するものとする。
図17は、本開示の第3の実施の形態に係るモータコアの製造装置の一例を示した概略説明図である。本実施の形態に係るモータコアの製造装置1Cに含まれる金型20Cは、ロータコア2の軸方向における下端側に位置する第1の金型の一例としての下型22Cと、ロータコア2の軸方向における上端側に位置する第2の金型の一例としての上型21Cとを含む。このうち、上型21Cは、第1の実施の形態に係るモータコアの製造装置1の上型21と同様のものであってよい。
図18は、図17に示す下型の一例を示した斜視図である。下型22Cは、図17及び図18に示すように、その下面22Lが、樹脂充填路25が形成された部分を除き、実質的に平坦面で構成されている点で、上述した下型22とは相違している。この構成により、下型22Dは、チャンバ30の上面を画定するものの、チャンバ30の内周面は画定しない。
本実施の形態の下型22Cは、上述した通り、第1の実施の形態の下型22が備える突出部23を含まない。これに関連して、本実施の形態に係るモータコアの製造装置1Cでは、チャンバ30を構成する略円環状の支持台31の中央部分に、チャンバ30の内周面を画定するブロック体70が配設されている。
ブロック体70は、例えば略円柱状のブロック体で構成することができ、その直径は、環状プランジャ35の内径よりも僅かに小さい径に調整されていてよい。また、このブロック体70は、その基端部が基台11に設置された所定長さを有する複数本の支持ロッド71によって任意の高さ位置に設置されていてよい。そして、ブロック体70の内部には、加熱機40の一部を構成するチャンバ内周ヒータ43Aが配設されていてよい。
上述した構成を備える本実施の形態に係るモータコアの製造装置1Cによれば、第1及び第2の実施の形態において述べた効果と同様の効果を得ることができる。それに加えて、本実施の形態に係るモータコアの製造装置1Cによれば、ブロック体70を設けたことにより、例えばチャンバ30内に環状の樹脂材Pを投入する際、チャンバ30の外周面に加えて内周面をも画定された空間に環状の樹脂材Pを投入できるため、その作業性が向上する。また、ブロック体70は基台11に固定されて動作しないため、ブロック体70内に配設されたチャンバ内周ヒータ43Aへの配線作業が容易である。さらに、ブロック体70が基台11に固定されているため、環状プランジャ35の側面との間のクリアランスを狭くすることができる。これにより、ブロック体70と環状プランジャ35との間の隙間から軟化樹脂P1が漏れ出すことを防ぐことができる。
本実施の形態に係るモータコアの製造装置1Cを用いてモータコアを製造する工程は、第1の実施の形態に係るモータコアの製造方法の工程と同様であってよい。したがって、ここではその詳細な説明を省略する
図19は、図17に示すモータコア製造装置の下型の一変形例を示した斜視図である。上述した第3の実施の形態においても、図16に示した例と同様に、凸部60をチャンバの側面に形成することができる。具体的には、本変形例に係る下型22Dは、図19に示すように、所定の肉厚を有する板状の部材で構成され、その下面22BLから上面22BUに繋がる樹脂充填路25が連通する樹脂流入溝26Bが形成されたものであってよい。
そして、チャンバ30の上方の一部を兼ねる樹脂流入溝26Bの上下方向に延びる外周壁面と内周壁面には、図19に示すように、樹脂充填路25が形成されている領域を除く部分に、第7の凸部67A、67Bがそれぞれ形成されていてよい。この第7の凸部67A、67Bを設けることによっても、上述した各実施の形態において述べた効果と同様の効果を奏することが期待できる。すなわち、樹脂充填の際にスロット部4外で硬化する樹脂の量を削減することができる。
本開示は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本開示の技術思想に含まれるものである。また、本開示において、各構成要素は、矛盾が生じない限りは1つのみ存在しても2つ以上存在してもよい。
本明細書中で引用する刊行物、特許出願及び特許を含むすべての文献を、各文献を個々に具体的に示し、参照して組み込むのと、また、その内容のすべてをここで述べるのと同じ限度で、ここで参照して組み込む。
本開示の説明に関連して(特に以下の請求項に関連して)用いられる名詞及び同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数及び複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」及び「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち「~を含むが限らない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明されるすべての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例又は例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本開示をよりよく説明することだけを意図し、本開示の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中のいかなる言い回しも、請求項に記載されていない要素を、本開示の実施に不可欠であるものとして示すものとは解釈されないものとする。
本明細書中では、本開示を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本開示の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読めば、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを期待しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で本開示が実施されることを予定している。したがって本開示は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の修正及び均等物をすべて含む。さらに、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、すべての変形における上記要素のいずれの組合せも本開示に包含される。