JP7656941B2 - 光硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、紫外線発光ダイオードからのUV-A又はUV-B領域の紫外線の照射でも、アニオン重合で迅速に硬化する光硬化性樹脂組成物に関する。
近年、電子部品の製造に、メチレンマロネート等の2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物を含む硬化性樹脂組成物を接着剤等として用いることが検討されつつある。このような硬化性樹脂組成物は、室温のような低温でも短時間で硬化するため、硬化のための熱による悪影響の回避や、製造効率の向上において有用である。
メチレンマロネート等の2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物は、典型的には、開始剤としての塩基性物質の存在下で、マイケル付加により重合する。この重合は、一種のアニオン重合である。この2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物を光塩基発生剤と組み合わせることにより得られ、電磁波、例えば紫外線の照射によって光塩基発生剤から発生する塩基性物質の作用により硬化する、光硬化性樹脂組成物が検討されつつある。一般的に、光により生じるラジカルやカチオンが起因となって硬化する樹脂組成物は、その硬化を起こさせる領域、タイミング等を容易に制御することができるため極めて有用であり、様々な産業領域で接着、コーティング等に利用されている。
国際出願公開第WO2019/116931号公報 特開2015-512460 国際出願公開第WO2019/014528号公報 特開2017-036361
プラスチックスエージ 2018年10月 69頁 和光純薬時報 2017年7月 Vol.85 No.3 16~17頁
光塩基発生剤から塩基性物質を発生させるための電磁波としては通常、紫外線が用いられる。従来は、紫外線の光源として水銀ランプを用いることが一般的であったが、最近は、有毒な水銀を含まず、かつ、省エネルギー、省スペース、長寿命等の産業上のメリットが大きい、紫外線発光ダイオード(UV-LED)が普及しつつある。
従来の光硬化性樹脂組成物は通常、水銀ランプが発する約254nmの波長の深紫外線の使用を前提としている。例えば特許文献1には、反応性の高いアニオン重合性化合物及び光塩基発生剤を含む樹脂組成物の、波長254nmの紫外線の照射によるアニオン重合が例示されている。しかし、現在広く用いられているUV-LEDは、ピーク波長が280nm以上のものであり、特に窒化ガリウム系のものでは、原理的に、発する紫外線はピーク波長が約365nm以上のものに限られる(非特許文献1を参照)。このため、特許文献1に記載されているような従来の光塩基発生剤から、これらのUV-LEDからの紫外線、特にUV-A又はUV-B領域の紫外線の照射を用いて塩基性物質を効率的に発生させることはできない。
UV-LEDからの紫外線の照射でラジカルを効率的に発生させることができる、汎用的に使用しうる重合開始剤は知られている(特許文献2、非特許文献1)。しかし、硬化性樹脂組成物のラジカル重合による硬化には、酸素阻害のために、空気に触れている領域での硬化が不十分になるという問題がある。
電磁波の照射によって硬化性樹脂組成物を硬化させる他の手段としては、光酸発生剤を用いる光カチオン重合が知られている。しかし、光照射によって発生する酸性物質は強酸であることが多く、その酸性物質によって金属が腐食する恐れがあるので、光カチオン重合は、金属製の部品を多く含む電子部品の製造には適していない。
一方、光塩基発生剤を用いる光アニオン重合では、酸素阻害や、酸性物質による腐食の問題は生じない。非特許文献2には、UV-LEDで使用できる光塩基発生剤と、それを用いる硬化反応が開示されている。しかしこの反応は、エポキシ樹脂とチオール又はカルボン酸の混合物を、硬化促進剤としての塩基性物質の存在下に硬化させる反応であって、オレフィンの重合反応ではない。またこの反応では、露光後に加熱(80~120℃又は150℃)が必須とされている。そのためこの反応は、硬化のための熱による悪影響が懸念される用途には適していない。
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するため、紫外線発光ダイオードからの紫外線、特にUV-A又はUV-B領域の紫外線の照射でも、アニオン重合で迅速に硬化し、電子部品の製造に好適な光硬化性樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下に限定されるものではないが、次の発明を包含する。
1.UV-A又はUV-B領域の紫外線の照射によって硬化させることができる光硬化性樹脂組成物であって、下記成分(a)~(c):
(a)2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物
(b)イオン型光塩基発生剤
(c)光増感剤
を含み、
前記2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物が、下記式(I):
Figure 0007656941000001

で表される構造単位を少なくとも一つ含む化合物であり、
前記イオン型光塩基発生剤が、下記アニオン(i)及びカチオン(ii):
(i)式(BAr4-n(式中、Arは、各々独立に、非置換又は置換のC-C10芳香族炭化水素基であり、Xは、各々独立に、非置換又は置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状C-C脂肪族炭化水素基であり、nは0~2の整数であり、n=0のとき、少なくとも1つのArは置換C-C10芳香族炭化水素基である)で表されるアニオン
(ii)アミジン構造、グアニジン構造又はビグアニド構造を有するカチオン
を含む塩である、光硬化性樹脂組成物。
2.アニオン(i)における少なくとも1つのArが置換フェニル基である、前項1記載の光硬化性樹脂組成物。
3.置換フェニル基がフッ素を含む置換基を有する、前項2記載の光硬化性樹脂組成物。
4.フッ素を含む置換基が、置換フェニル基のホウ素原子に直接結合した炭素原子に対してメタ位にある炭素原子に結合している、前項3記載の光硬化性樹脂組成物。
5.フッ素を含む置換基がフッ素原子である、前項3または4記載の光硬化性樹脂組成物。
6.アニオン(i)におけるArがいずれも3-フルオロフェニル基である、前項5記載の光硬化性樹脂組成物。
7.アニオン(i)におけるnが0又は1である、前項1記載の光硬化性樹脂組成物。
8.nが0である、前項7記載の光硬化性樹脂組成物。
9.成分(b)のモル数に対する成分(c)のモル数の比が0.1~6である、前項1~8のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、UV-A又はUV-B領域の紫外線の吸収によって励起されうる光増感剤と共に、特定の構造を有する光塩基発生剤を含む。このことにより、本発明の光硬化性樹脂組成物は、紫外線発光ダイオードからのUV-A又はUV-B領域の紫外線の照射でも、アニオン重合で迅速に硬化するので、電子部品の製造に適している。さらに、本発明の樹脂組成物は、優れた保存安定性を有する。
カメラモジュールの断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、UV-A又はUV-B領域の紫外線の照射によって硬化させることができ、下記成分(a)~(c)を含む。
(a)2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物
(b)イオン型光塩基発生剤
(c)光増感剤
ここで、成分(a)の前記2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物は、下記式(I):
Figure 0007656941000002

で表される構造単位を少なくとも1つ含む化合物である。
また、成分(b)の前記イオン型光塩基発生剤は、下記アニオン(i)及びカチオン(ii):
(i)式(BAr4-n(式中、Arは、各々独立に、非置換又は置換のC-C10芳香族炭化水素基であり、Xは、各々独立に、非置換又は置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状C-C脂肪族炭化水素基であり、nは0~2の整数であり、n=0のとき、少なくとも1つのArは置換C-C10芳香族炭化水素基である)で表されるアニオン
(ii)アミジン構造、グアニジン構造又はビグアニド構造を有するカチオン
を含む塩である。
以下、前記成分(a)~(c)について説明する。
[2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物(成分(a))]
本発明で用いる2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物(成分(a))は、下記式(I):
Figure 0007656941000003

で表される構造単位を少なくとも1つ有する化合物である。成分(a)は、前記式(I)の構造単位を1つ又は2つ以上含む。ある態様においては、成分(a)は、前記式(I)の構造単位を2つから6つ、好ましくは2つ含む。
2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物は、前記式(I)の構造単位を含むことから、開始剤、典型的には塩基性物質(例えば、後述のイオン型光塩基発生剤(成分(b))から発生する塩基性物質)の存在下で、上記構造単位同士の重合が起こるため、本発明において成分(a)として使用可能である。上記の2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物が、上記式(I)の構造単位を2つ以上有するもの(多官能成分)を含む場合、硬化時に架橋が生じ、硬化物の高温での機械特性が向上する等の、物性の改善が見込まれる。
成分(a)は、2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物を1種以上含む。成分(a)に含まれる2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物は、好ましくは、分子量が180~10000であり、より好ましくは180~5000、さらに好ましくは180~2000、さらに好ましくは220~2000、さらに好ましくは200~1500、さらに好ましくは240~1500、さらに好ましくは250~1500、特に好ましくは250~1000、最も好ましくは260~1000である。成分(a)に含まれる2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物の分子量、及び光硬化性樹脂組成物全体(又は光硬化性樹脂組成物中の2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物全体)を1としたときの2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物の重量含有率は、例えば、逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)の手法で、カラムとしてODSカラム、検出器として質量分析器(MS)及びPDA(検出波長:190~800nm)あるいはELSDを用いて検量することにより明らかとなる。成分(a)の分子量が180未満の場合は、25℃における蒸気圧が高すぎて、揮発物に起因する種々の問題が生じるおそれがある。特に、揮発物は、周辺部材へ付着すると表面の塩基によって硬化してしまうため、周辺部材の汚染につながる。一方、成分(a)の分子量が10000を超えると、光硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、作業性が低下するほか、充填剤の添加量が制限されるなどの弊害を生じる。
成分(a)は、多官能成分を含んでいてもよい。多官能とは、2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物が、前記式(I)の構造単位を2つ以上含むことを指す。2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物に含まれる前記式(I)の構造単位の数を、当該2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物の「官能基数」とよぶ。2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物のうち、官能基数が1のものを「単官能」、官能基数が2のものを「2官能」、官能基数が3のものを「3官能」と呼ぶ。多官能成分を含む成分(a)を用いて得られる硬化物は架橋されているので、硬化物の物性、例えば耐熱性や高温での機械的特性が向上する。多官能成分を用いる場合、本発明の光硬化性樹脂組成物全体を1としたときの、多官能成分の重量割合が0.01以上であることが好ましい。ある態様においては、本発明の光硬化性樹脂組成物全体を1としたとき、前記式(I)で表される構造単位を2つ以上含む成分(a)の重量割合は、好ましくは0.01~1.00、より好ましくは0.05~0.95、さらに好ましくは0.05~0.90、特に好ましくは0.10~0.90、最も好ましくは0.20~0.80である。
成分(a)が多官能成分を含む場合、その硬化物は網目状の架橋構造を形成するため、高温時、特にガラス転移温度以上の温度においても流動することがなく、一定の貯蔵弾性率を保持する。硬化物の高温時における貯蔵弾性率は、例えば動的粘弾性測定(DMA)によって評価できる。一般に架橋構造を形成した硬化物をDMAによって評価した場合、ガラス転移温度以上の温度域にプラトーと呼ばれる貯蔵弾性率の温度変化が比較的小さい領域が広範囲にわたって観察される。このプラトー域の貯蔵弾性率は架橋密度、すなわち成分(a)における多官能成分の含有率に関係した量として評価される。
ある態様においては、本発明の光硬化性樹脂組成物全体を1としたとき、成分(a)の重量割合は、好ましくは0.10~0.999、より好ましくは0.20~0.995、特に好ましくは、0.50~0.99である。
ある態様において、2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物は、下記式(II):
Figure 0007656941000004

(式中、
及びXは、各々独立に、単結合、O又はNR(式中、Rは、水素又は1価の炭化水素基を表す)を表し、
及びRは、各々独立に、水素、1価の炭化水素基又は下記式(III):
Figure 0007656941000005

(式中、
及びXは、各々独立に、単結合、O又はNR(式中、Rは、水素又は1価の炭化水素基を表す)を表し、
Wは、スペーサーを表し、
は、水素又は1価の炭化水素基を表す)を表す)
で表される。
ある態様において、2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物は、下記式(IV):
Figure 0007656941000006

(式中、
及びRは、各々独立に、水素、1価の炭化水素基又は下記式(V):
Figure 0007656941000007

(式中、
Wは、スペーサーを表し、
は、水素又は1価の炭化水素基を表す)を表す)
で表される。
別の態様において、2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物は、下記式(VI):
Figure 0007656941000008

(式中、
11は、下記式(VII):
Figure 0007656941000009

で表される1,1-ジカルボニルエチレン単位を表し、
それぞれのR12は、各々独立に、スペーサーを表し、
13及びR14は、各々独立に、水素又は1価の炭化水素基を表し、
11並びにそれぞれのX12及びX13は、各々独立に、単結合、O又はNR15(式中、R15は、水素又は1価の炭化水素基を表す)を表し、
それぞれのmは、各々独立に、0又は1を表し、
nは、1以上20以下の整数を表す)
で表されるジカルボニルエチレン誘導体である。
本明細書において、1価の炭化水素基とは、炭化水素の炭素原子から水素原子を1つ除去することにより生じる基を指す。該1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基が挙げられ、これらの一部にN、O、S、P及びSi等のヘテロ原子が含まれていても良い。
前記1価の炭化水素基は、それぞれ、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アリル、アルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシル、ニトロ、アミド、アジド、シアノ、アシロキシ、カルボキシ、スルホキシ、アクリロキシ、シロキシ、エポキシ、またはエステルで置換されていても良い。
前記1価の炭化水素基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はシクロアルキル基で置換されているアルキル基であり、さらに好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、又はシクロアルキル基で置換されているアルキル基である。
前記アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基(以下、「アルキル基等」と総称する。)の炭素数には特に限定はない。前記アルキル基の炭素数は、通常1~18、好ましくは1~16、更に好ましくは2~12、より好ましくは3~10、特に好ましくは4~8である。また、前記アルケニル基及びアルキニル基の炭素数は、通常2~12、好ましくは2~10、更に好ましくは3~8、より好ましくは3~7、特に好ましくは3~6である。前記アルキル基等が環状構造の場合、前記アルキル基等の炭素数は、通常5~16、好ましくは5~14、更に好ましくは6~12、より好ましくは6~10である。前記アルキル基等の炭素数は、例えば前記の逆相HPLCや核磁気共鳴法(NMR法)によって特定できる。
前記アルキル基等の構造には特に限定はない。前記アルキル基等は、直鎖状でもよく、側鎖を有していてもよい。前記アルキル基等は、鎖状構造でもよく、環状構造(シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及びシクロアルキニル基)でもよい。前記アルキル基等は、他の置換基を1種又は2種以上有していてもよい。例えば、前記アルキル基等は、置換基として、炭素原子及び水素原子以外の原子を含む置換基を有していてもよい。また、前記アルキル基等は、鎖状構造中又は環状構造中に炭素原子及び水素原子以外の原子を1つ又は2つ以上含んでいてもよい。前記炭素原子及び水素原子以外の原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、及び珪素原子の1種又は2種以上が挙げられる。
前記アルキル基として具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、及び2-エチルヘキシル基が挙げられる。前記シクロアルキル基として具体的には、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及び2-メチルシクロヘキシル基が挙げられる。前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、及びイソプロペニル基が挙げられる。前記シクロアルケニル基として具体的には、例えば、シクロヘキセニル基が挙げられる。
2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物が前記式(II)又は(IV)で表され、R及びRがいずれも1価の炭化水素基である場合、R及びRはいずれも炭素数2~8のアルキル基、シクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルカリル基であることが特に好ましい。
本明細書において、スペーサーとは、2価の炭化水素基を指し、より具体的には、環状、直鎖又は分岐の置換又は非置換のアルキレン基である。前記アルキレン基の炭素数には特に限定はない。前記アルキレン基の炭素数は、通常1~12、好ましくは2~10、より好ましくは3~8、さらに好ましくは4~8である。ここで、前記アルキレン基は、所望に応じて、N、O、S、P、およびSiから選択されるヘテロ原子を含有する基を途中に含んでいてよい。また、前記アルキレン基は、不飽和結合を有していても良い。ある態様においては、スペーサーは炭素数4~8の非置換アルキレン基である。好ましくは、スペーサーは、直鎖の置換又は非置換アルキレン基、より好ましくは、式-(CH-(式中、nは2~10、好ましくは4~8の整数である)で表される構造を有するアルキレン基であって、その両末端の炭素原子が、2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物の残りの部分と結合する。
上記スペーサーとしての2価の炭化水素基の具体的な例としては、1,4-n-ブチレン基及び1,4-シクロヘキシレンジメチレン基が挙げられるが、これらに限定されない。
2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物がスペーサーを有する場合、末端の一価の炭化水素基の炭素数は6以下であることが好ましい。すなわち、2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物が前記式(II)又は(IV)で表される場合、前記式(III)又は(V)におけるRは炭素数1~6のアルキル基であることが好ましく、ただし、R及びRの一方が前記式(III)又は式(V)で表される場合は、R及びRの他方は炭素数1~6のアルキル基であることが好ましい。この場合、前記式(II)又は(IV)において、R及びRの両方が前記式(III)又は式(V)で表されてもよいが、好ましくは、R及びRの一方だけが前記式(III)又は式(V)で表される。好ましくは、2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物は、前記式(IV)で表される。
スペーサーを有する特に好ましい化合物としては、前記式(IV)におけるR又はRの一方が、エチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基のいずれかであり、他方が前記式(V)で表され、Wが1,4-n-ブチレン基又は1,4-シクロヘキシレンジメチレン基のいずれかであり、Rがエチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基のいずれかである化合物が挙げられる。また、他の特に好ましい化合物としては、前記式(IV)におけるR及びRが前記式(V)で表され、Wは1,4-n-ブチレン基又は1,4-シクロヘキシレンジメチレン基のいずれかであり、Rはエチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基のいずれかである化合物が挙げられる。
種々の2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物を、米国オハイオ州SIRRUS Inc.から入手可能であり、その合成方法は、WO2012/054616、WO2012/054633及びWO2016/040261等の公開特許公報に公開されている。2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物に含まれる前記式(I)で表される構造単位の両端が酸素原子に結合している場合は、特表2015-518503に開示されているジオール又はポリオールとのエステル交換等の公知の方法を用いることによって、前記式(I)で表される構造単位がエステル結合及び前記スペーサーを介して複数結合している、より大きな分子量の2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物を製造することができる。このようにして製造された2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物は、前記式(II)又は前記式(IV)中のR及びR、前記式(III)又は前記式(V)中のR、並びに前記式(VI)中のR14及びR13が、ヒドロキシ基を含み得る。これらの2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物を適宜配合することにより、2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物を含む成分(a)を得ることができる。
成分(a)として好ましい2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物の具体的な例としては、ジブチルメチレンマロネート、ジペンチルメチレンマロネート、ジヘキシルメチレンマロネート、ジシクロヘキシルメチレンマロネート、エチルオクチルメチレンマロネート、プロピルヘキシルメチレンマロネート、2-エチルヘキシル-エチルメチレンマロネート、エチルフェニル-エチルメチレンマロネート等が挙げられる。これらは揮発性が低く、反応性が高いために好ましい。取り扱い性の観点からは、ジヘキシルメチレンマロネート、ジシクロヘキシルメチレンマロネートが特に好ましい。
[イオン型光塩基発生剤(成分(b))]
本発明の光硬化性樹脂組成物は、イオン型光塩基発生剤(成分(b))を含む。光塩基発生剤は、光エネルギーが直接的又は間接的に関与する化学反応によって、塩基性物質を発生させることができる化合物である。本発明における成分(b)は、UV-A又はUV-B領域の紫外線を吸収したことによって励起された光増感剤(後述する成分(c))から伝達されたエネルギーによって化学反応を起こし、塩基性物質を発生させる。光塩基発生剤はイオン型のものと非イオン型のものに大別されるが、本発明においてはイオン型の光塩基発生剤を用いる。
成分(b)は、潜在化された開始剤の一種である。すなわち、成分(b)から発生する塩基性物質は、開始剤として、光硬化性樹脂組成物中の前記成分(a)がマイケル付加反応によって硬化する際の重合開始反応に寄与することが期待される。本発明において成分(b)として用いる化合物は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
成分(b)は、下記アニオン(i)及びカチオン(ii):
(i)式(BAr4-n(式中、Arは、各々独立に、非置換又は置換のC-C10芳香族炭化水素基であり、Xは、各々独立に、非置換又は置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状C-C脂肪族炭化水素基であり、nは0~2の整数であり、n=0のとき、少なくとも1つのArは置換C-C10芳香族炭化水素基である)で表されるアニオン
(ii)アミジン構造、グアニジン構造又はビグアニド構造を有するカチオン
を含む塩である。
アニオン(i)におけるArの例としては、非置換又は置換フェニル基、非置換又は置換ナフチル基、非置換又は置換アズレン基等を挙げることができる。
アニオン(i)におけるXの例としては、非置換又は置換C-Cアルキル基、非置換又は置換C-Cシクロアルキル基、非置換又は置換C-Cアルケニル基、非置換又は置換C-Cアルキニル基等を挙げることができる。
ある態様においては、アニオン(i)における少なくとも1つのArは置換フェニル基である。好ましくは、この置換フェニル基はフッ素を含む置換基を有する。好ましくは、このフッ素を含む置換基が、置換フェニル基のホウ素原子に直接結合した炭素原子に対してメタ位にある炭素原子に結合している。このように、フッ素を含む置換基が、メタ位に存在すると、光硬化性樹脂組成物が常温での保存安定性に優れる。ある態様においては、前記フッ素を含む置換基はフッ素原子である。
好ましくは、アニオン(i)におけるArはいずれも3-フルオロフェニル基である。
アニオン(i)におけるnは、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。なお前記のとおり、n=0のときには、アニオン(i)中の4つのArのうち少なくとも1つが置換基を有していなければならない。
一実施態様において、アニオン(i)は、テトラキス(モノハロフェニル)ボレートアニオン、例えばテトラキス(3-フルオロフェニル)ボレートアニオンである。
他の一実施態様において、アニオン(i)は、モノアルキルトリフェニルボレートアニオン、例えばn-ブチルトリフェニルボレートアニオンである。
一方、カチオン(ii)は、前記のとおりアミジン構造、グアニジン構造又はビグアニド構造を有する。本明細書において、「アミジン構造」、「グアニジン構造」又は「ビグアニド構造」とは、それぞれの中性の構造における窒素原子の一つ以上が、例えばプロトン化、アルキル化などを受けて、形成されたカチオンの構造を指す。すなわち、カチオン(ii)は、アミジン化合物に由来するカチオン、グアニジン化合物に由来するカチオン又はビグアニド化合物に由来するカチオンを含む。
前記アミジン化合物は、好ましくは、下記式:

(式中、
、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、非置換又は置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状C-C脂肪族炭化水素基、或いは非置換又は置換のC-C10芳香族炭化水素基であり、
は、R、R又はRと一緒になって、それらが結合している炭素原子及び窒素原子と共に、環を形成していてもよく、
は、R又はRと一緒になって、それらが結合している窒素原子及び前記窒素原子が結合している炭素原子と共に、環を形成していてもよく、
は、Rと一緒になって、それらが結合している窒素原子と共に、環を形成していてもよい)
で表される化合物である。R、R、R及びRは各々、好ましくは非置換の直鎖状C-C脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは非置換の直鎖状C-C脂肪族炭化水素基であり、特に好ましくは非置換の直鎖状C-C脂肪族炭化水素基である。RとR、及び、RとRとがそれぞれ一緒になって環を形成していることが、耐加水分解性の観点からより好ましい。即硬化性の観点から、アミジン化合物の分子量は、好ましくは100~600であり、より好ましくは100~200である。
前記グアニジン化合物は、好ましくは、下記式:

(式中、
、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、非置換又は置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状C-C脂肪族炭化水素基、或いは非置換又は置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状C-C10芳香族炭化水素基であり、
は、R、R、R又はRと一緒になって、それらが結合している窒素原子及び前記窒素原子が結合している炭素原子と共に、環を形成していてもよく、
及びRは、各々独立に、R又はRと一緒になって、それらが結合している窒素原子及び前記窒素原子が結合している炭素原子と共に、環を形成していてもよく、
は、Rと一緒になって、それらが結合している窒素原子と共に、環を形成していてもよく、
は、Rと一緒になって、それらが結合している窒素原子と共に、環を形成していてもよい)
で表される化合物である。R、R、R、R及びRは各々、好ましくは非置換の直鎖状C-C脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは非置換の直鎖状C-C脂肪族炭化水素基であり、特に好ましくは非置換の直鎖状C-C脂肪族炭化水素基である。R、R、R、R及びRのうち2つ以上が環を形成する場合は、RとR、及び、RとRとがそれぞれ一緒になって環を形成していることが好ましい。即硬化性の観点から、グアニジン化合物の分子量は、好ましくは100~600であり、より好ましくは100~300である。
ビグアニド化合物は、好ましくは、下記式:

(式中、
、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、非置換又は置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状C-C脂肪族炭化水素基、或いは非置換又は置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状C-C10芳香族炭化水素基である)
で表される化合物である。R、R、R、R、R、R及びRは各々、好ましくは非置換の直鎖状又は環状C-C脂肪族炭化水素基である。即硬化性の観点から、ビグアニド化合物の分子量は、好ましくは100~500であり、より好ましくは110~400であり、特に好ましくは150~350である。同じ理由で、ビグアニド化合物におけるR、R、R、R、R、R及びRのうち炭素数6以上であるものの数は、好ましくは4個以下であり、より好ましくは3個以下であり、特に好ましくは2個以下である。
前記アミジン化合物、グアニジン化合物及びビグアニド化合物はいずれも、荷電していない中性分子であり、したがってカチオン(ii)自体の構造ではない。しかし、これらの中性分子は、プロトン化及びアルキル化等の当業者にとって明らかな構造的修飾を受け、カチオンを形成し得る。本明細書において、「アミジン構造を有するカチオン」、「グアニジン構造を有するカチオン」及び「ビグアニド構造を有するカチオン」とは、それぞれ、前記アミジン化合物、グアニジン化合物及びビグアニド化合物が、このような構造的修飾を受けることによって生じるカチオンを意味する。
一実施態様において、カチオン(ii)は、アミジン構造を有するカチオン、例えば1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン(DBU)、あるいは、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン(DBN)に由来するカチオンである。
別の一実施態様において、カチオン(ii)は、グアニジン構造を有するカチオン、例えば1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)、あるいは、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)に由来するカチオンである。 他の一実施態様において、カチオン(ii)は、ビグアニド構造(特に、Rが水素原子であり、R、R、R、R、R及びRがいずれもアルキル基であるもの)を有するカチオン、例えば1,2-ジシクロヘキシル-4,4,5,5-テトラメチルビグアニド、あるいは(Z)-{[ビス(ジメチルアミノ)メチリデン]アミノ}-N-シクロヘキシル(シクロヘキシルアミノ)メタンイミンに由来するカチオンである。
ある態様においては、このようなカチオン(ii)は、pKが12以上である強塩基を発生させるので、即硬化性の観点から有利である。
本発明において用いる成分(b)は、上記のアニオン(i)及びカチオン(ii)を含む塩である。
成分(b)の具体的な例としては、プロトン化されたDBU及びテトラキス(3-フルオロフェニル)ボレートアニオンを含む塩、ベンジル化されたDBU及びテトラキス(3-フルオロフェニル)ボレートアニオンを含む塩、WPBG-300(富士フィルム和光純薬株式会社製)、WPBG-345(富士フィルム和光純薬株式会社製)、テトラメチルグアニジウム テトラキス(3-フルオロフェニル)ボレート、テトラメチルグアニジウム テトラキス(4-フルオロフェニル)ボレート等を挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明において、成分(b)の含有量は、光硬化性樹脂組成物中の2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物(成分(a))の全量(100mol%)に対して、好ましくは0.01mol%~30mol%、より好ましくは、0.01mol%~10mol%である。成分(b)の含有量が0.01mol%未満であると、硬化が不安定になる。逆に、成分(b)の含有量が30mol%よりも多いときは、硬化物中に樹脂マトリックスと化学結合を形成していない塩基性物質(成分(b)から発生したもの)が大量に残留し、硬化物の機械強度等が低下するおそれがある。
[光増感剤(成分(c))]
本発明の光硬化性樹脂組成物は、光増感剤(成分(c))を含む。一般に、光増感剤とは、光の吸収によって励起され、その後自身が化学反応を起こさずに、励起エネルギーを他の物質に伝達し、その物質に化学反応を起こさせることができる化合物を指す。本発明においては、UV-A又はUV-B領域の紫外線の吸収によって励起されて上記反応を起こさせることができる光増感剤を用いる。本明細書において、用語「UV-A」及び「UV-B」は、国際照明委員会の定義に従って使用される。すなわち、「UV-A」とは、波長が315~400nmである紫外線を指す。「UV-B」とは、波長が280~315nmである紫外線を指す。また、本明細書においては、「UV-A」及び「UV-B」を、慣習に従い、それぞれ、UV-A領域の紫外線及びUV-B領域の紫外線と称することもある。
ある態様において、光増感剤は波長365nmの紫外線で励起される。
本発明において、成分(c)は、成分(b)とは異なる。また、成分(c)の光増感剤は、成分(b)のイオン型光塩基発生剤とは共有結合していない。このため、配合設計の自由度が高まり、成分(c)の量を適宜選択できる。光増感剤は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
成分(c)は、UV-A又はUV-B領域の紫外線の吸収によって励起され、その励起エネルギーの一部又は全部を成分(b)に伝達することで成分(b)が塩基性物質を発生するよう誘導できる光増感剤である限り、特に限定されない。成分(c)は、好ましくは、UV-A領域の紫外線の吸収によって励起され、上記反応を誘導できる光増感剤である。成分(c)の例としては、アントラキノン、ナフトキノン、キノン、チオキサントン、アクリドン、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1,2-ジケトン、フェノチアジン、ケトクマリン、フルオレン、ナフチアゾリン、ビアセチル、ベンジル及びこれらの誘導体、ペリレン並びに置換アントラセン等が挙げられる。成分(c)のより具体的な例としては、2-エチルアントラキノン、2-イソプロピルチオキサントン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド等を挙げることができる。成分(c)は、好ましくはアントラキノン、ナフトキノン、キノン、チオキサントン、又はこれらの誘導体であり、即時硬化性の観点から、より好ましくは、アントラキノン又はその誘導体である。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、光硬化性樹脂組成物の総重量に対して、好ましくは0.01~10重量%、より好ましくは0.05~5重量%、更に好ましくは0.1~3重量%の成分(c)を含む。
また好ましくは、成分(b)のモル数に対する成分(c)のモル数の比は0.1~6である。成分(c)が少なすぎると、硬化が十分に起こらないおそれがある。一方、成分(c)が多すぎると、照射された紫外線が光硬化性樹脂組成物の表面でほとんど吸収されてしまい、光硬化性樹脂組成物の内部で硬化が十分に起こらないおそれがある。成分(b)のモル数に対する成分(c)のモル数の比は、より好ましくは0.1~4であり、さらに好ましくは0.1~2であり、特に好ましくは0.1~1、最も好ましくは0.1~0.99である。
なお、本発明においては、例えば特許文献4に開示されている光塩基発生剤とは異なり、光硬化性樹脂組成物中の成分(b)及び(c)の配合比率を適宜調節することで、所望の硬化速度や硬化物の物性を得ることができる。特に、本発明のある態様においては、光硬化性樹脂組成物は、成分(b)のモル数に対する成分(c)のモル数の比が1より大きくても十分な即時硬化性を示す。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、常温において、十分な積算光量のUV-A又はUV-B領域の紫外線を受光させることによって短時間で硬化され得る。本発明のある態様において、照射強度は100~10000mW/cmであることが好ましく、1000~9000mW/cmであることがより好ましい。本発明のある態様において、光硬化性樹脂組成物は、常温において、315~400nm(UV-A)、好ましくは340~400nm、より好ましくは350~380nmである紫外線を受光させることによって硬化され得る。本発明の別の態様においては、光硬化性樹脂組成物は、常温において、窒化ガリウム系のUV-LEDからの紫外線を受光させることによって硬化され得る。本発明のある態様において、光硬化性樹脂組成物が受光する紫外線の積算光量は、好ましくは200mJ/cm以上であり、より好ましくは1000mJ/cm以上であり、さらに好ましくは2000mJ/cm以上であり、特に好ましくは3000mJ/cm以上である。積算光量の上限に特に制限はなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で自由に設定することができる。UV-A又はUV-B領域の紫外線の積算光量は、紫外線積算光量計および受光器等の当該分野で通常用いられる測定機器を用いて測定することができる。例えば、中心波長を365nmとした紫外線の波長領域(310~390nm)における積算光量は紫外線積算光量計(ウシオ電機株式会社製、UIT-250)および受光器(ウシオ電機株式会社製、UVD-S365)を用いて測定することができる。
本発明のある態様において、光硬化性樹脂組成物は、保存安定性に優れる。本発明の光硬化性樹脂組成物は、保存状態において、好ましくは24時間以上、より好ましくは1週間以上、更に好ましくは1ヶ月以上安定である。ここで、「保存状態」とは、室温、湿度が50%±10%で、紫外線がカットされた環境を指す。また、「安定」とは、硬化が進行し、事実上流動性を失うまでの状態のことである。
本発明のある態様においては、光硬化性樹脂組成物は、成分(a)が反応性の高いもの(例:ジエチルメチレンマロネート)である場合のみならず、立体障害等により反応しにくいもの(例:ジヘキシルメチレンマロネート等の分子量の大きなモノマー)である場合でも、迅速かつ確実に硬化する。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、前記成分(a)~(c)以外に、安定化剤、絶縁性あるいは導電性充填剤、カップリング剤等の界面処理剤、顔料、可塑剤、難燃剤、イオントラップ剤、消泡剤、レベリング剤、破泡剤等を必要に応じて含有していてもよい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、前記成分(a)~(c)、及び必要に応じて上記安定化剤等の成分を含有する。本発明の光硬化性樹脂組成物は、これらの成分を混合して調製することができる。混合には、公知の装置を用いることができる。例えば、ヘンシェルミキサーやロールミルなどの公知の装置によって混合することができる。これらの成分は、同時に混合してもよく、一部を先に混合し、残りを後から混合してもよい。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、一液型接着剤、特に電子部品用の一液型接着剤として使用することができる。具体的には、本発明の光硬化性樹脂組成物は、電子部品の接着及び封止、あるいは電子部品間の隙間に充填することで電子部品を構造的に補強するのに好適である。より具体的には、本発明の光硬化性樹脂組成物は、カメラモジュール用部品の接着及び封止、あるいは補強に用いることができ、特に、イメージセンサモジュールの接着に好適である。本発明においては、本発明の光硬化性樹脂組成物を用いて接着された電子部品も提供される。加えて、本発明の光硬化性樹脂組成物を用いて封止された電子部品も提供される。さらには、本発明の光硬化樹脂組成物を用いて補強された電子部品も提供される。また本発明の光硬化性樹脂組成物は、絶縁性組成物としても導電性組成物としても利用することができる。本発明の光硬化性樹脂組成物は、恒久的な接着および封止、あるいは補強に用いられても良く、また一時的な接着および封止、あるいは補強に用いられても良い。
例えば、図1に示すように、本発明の光硬化性樹脂組成物は、IRカットフィルタ20とプリント配線基板24との接着に用いることができる。本発明の光硬化性樹脂組成物は、撮像素子22とプリント配線基板24との接着に用いることができる。本発明の光硬化性樹脂組成物は、支持体18とプリント配線基板24との接着に用いることができる。光硬化性樹脂組成物の被接着面への供給には、ジェットディスペンサー、エアーディスペンサー等を使用することができる。本発明の光硬化性樹脂組成物は、室温で、UV-A又はUV-Bを照射することで硬化させることができる。照射時間は、例えば、0.01秒~1分である。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、カメラモジュール以外のイメージセンサモジュールに使用することもできる。例えば、指紋認証装置、顔認証装置、スキャナ、医療機器等に組み込まれることのあるイメージセンサモジュールの部品の接着及び封止、あるいは補強に用いることができる。
また、本発明の光硬化性樹脂組成物は、フィルムの構成材料として使用することもできる。特に、本発明の光硬化性樹脂組成物は、配線パターンを保護するカバーレイ用フィルムや、多層配線基板の層間接着フィルムの構成材料に好適である。これは、本発明の光硬化性樹脂組成物は、アニオン重合により硬化するため、酸素阻害が発生しにくいことによる。また、本発明の光硬化性樹脂組成物を含んだフィルムは、好ましくは、電子部品用に使用することができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物を含むフィルムは、本発明の光硬化性樹脂組成物から公知の方法により得ることができる。例えば、本発明の光硬化性樹脂組成物を支持体の少なくとも片面に塗布し、支持体付のフィルム、または、支持体から剥離したフィルムとして提供することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例について説明する。本発明は、以下の実施例及び比較例に限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、光硬化性樹脂組成物に含まれる成分の割合は、重量部で示している。
[光硬化性樹脂組成物の調製]
以下の実施例及び比較例において使用した光硬化性樹脂組成物の原料は、以下のとおりである。
2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物(成分(a)):
(a-1)DHMM (SIRRUS社製、ChemilianTM L3000 XP)
(a-2)DCHMM (SIRRUS社製、ChemilianTM H4000 XP)
上記2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物の具体的な構造は、下記表1中の化学式のとおりである。
Figure 0007656941000013
光塩基発生剤(成分(b)):
(b-1)(Z)-{[ビス(ジメチルアミノ)メチリデン]アミノ}-N-シクロヘキシル(シクロヘキシルアミノ)メタンイミニウム テトラキス(3-フルオロフェニル)ボラート (WPBG-345、富士フィルム和光純薬株式会社製)
(b-2)1,2-ジシクロヘキシル-4,4,5,5-テトラメチルビグアニジウム n-ブチルトリフェニルボラート(WPBG-300、富士フィルム和光純薬株式会社製)
(b-3)ベンジル-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウム テトラキス(3-フルオロフェニル)ボレート
下記前駆体-1(282mg、0.681mmol)を純水に溶解し、得られた水溶液に、撹拌しながら、下記前駆体-2(200mg、0.619mmol)のクロロホルム溶液を室温で滴加し、2時間撹拌した。得られた反応混合物をクロロホルム層と水層に分離し、水層をクロロホルムで抽出し、得られた抽出物を前記クロロホルム層と合わせた。得られたクロロホルム溶液を飽和食塩水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、減圧下で濃縮することにより、360mgの目的物を淡褐色油状物質として得た。
1H-NMR (CDCl3): δ7.40-7.33 (m, 3H), 7.16-7.09 (m, 4H), δ7.07-6.92 (m, 10H), 6.65-6.56 (m, 4H), 4.30 (s, 2H), 3.19-3.13 (m, 2H), 3.07-3.00 (m, 4H), 2.60-2.52 (m, 2H), 1.79-1.33 (m, 8H)
(b-4)1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウム テトラキス(3-フルオロフェニル)ボレート
DBU(サンアプロ社製、83.6mg、0.549mmol)をアセトン(2mL)に溶解し、得られた溶液を、0.5N塩酸(1.10mL、0.549mmol)にて中和した。得られた混合物に、撹拌しながら、下記前駆体-1(250mg、0.604mmol)の水溶液を室温にて滴加した。得られた混合物中に生じた油状物質を分離してクロロホルムに溶解し、得られた溶液を室温にて2時間撹拌した。得られた反応混合物をクロロホルムで希釈した。得られたクロロホルム溶液を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、減圧下で濃縮することにより、221mgの目的物を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3): δ7.20-7.14 (m, 4H), 7.10-6.98 (m, 8H), 6.67-6.58 (m, 4H), 4.95 (s, 1H), 3.19-3.13 (m, 2H), 3.07-3.00 (m, 2H), 2.60-2.52 (m, 2H), 1.89-1.83 (m, 2H), 1.64-1.37 (m, 8H)
(b-5)テトラメチルグアニジウム テトラキス(3-フルオロフェニル)ボレート
テトラメチルグアニジン(75.8mg、0.658mmol)をアセトンに溶解し、得られた溶液を、0.5N塩酸(1.32mL、0.658mmol)で中和した。得られた混合物に、下記前駆体-1(300mg、0.724mmol)の水溶液を滴加した。得られた混合物中に生じた油状物質を分離してクロロホルムに溶解し、得られた溶液を室温にて4時間撹拌した。得られた反応混合物をクロロホルムで希釈した。得られたクロロホルム溶液を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、減圧下で濃縮することにより、274.8mgの目的物を白色固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6): δ7.76 (s, 2H), 7.10-6.88 (m, 8H), 6.86-6.58 (m, 8H), 2.87 (s, 12H)
(b-6)テトラメチルグアニジウム テトラキス(4-フルオロフェニル)ボレート
テトラメチルグアニジン(79.5mg、0.690mmol)をアセトンに溶解し、得られた溶液を、0.5N塩酸(1.38mL、0.690mmol)で中和した。得られた混合物に、テトラキス(4-フルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム塩二水和物(富士フィルム和光純薬製)(300mg、0.724mmol)の水溶液を滴加した。得られた混合物中に生じた油状物質を分離してクロロホルムに溶解し、得られた溶液を室温にて4時間撹拌した。得られた反応混合物をクロロホルムで希釈した。得られたクロロホルム溶液を水で洗浄し、次いで飽和食塩水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、減圧下で濃縮することにより、283.7mgの目的物を白色固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6): δ7.75 (s, 2H), 7.11-7.00 (m, 8H), 6.80-6.68 (m, 8H), 2.87 (s, 12H)
光塩基発生剤(成分(b’)):
(b-1’)1,2-ジイソプロピル-3-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]グアニジウム 2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオナート(WPBG-266、富士フィルム和光純薬株式会社製)
(b-2’)8-(9-オキソ-9H-チオキサンテン-2-イル)メチル-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウム テトラフェニルボレート
特開2017-36361記載の方法に従い合成した。
(b-3’)8-(9-オキソ-9H-チオキサンテン-2-イル)メチル-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウム テトラキス(3-フルオロフェニル)ボレート
下記前駆体-1(190mg、0.459mmol)を純水に溶解し、得られた水溶液に、撹拌しながら、下記前駆体-3(200mg、0.437mmol)のクロロホルム溶液を室温にて滴加し、2終夜撹拌した。得られた反応混合物をクロロホルム層と水層に分離し、水層をクロロホルムで抽出し、得られた抽出物を前記クロロホルム層と合わせた。得られたクロロホルム溶液を飽和食塩水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、減圧下で濃縮することにより、270mgの目的物を薄黄色固体として得た。
1H-NMR(CDCl3): δ8.58 (d, 8.4 Hz, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.70-7.48 (m, 4H), 7.20-6.94 (m, 13H), 6.66-6.56 (m, 4H), 4.30 (s, 2H), 3.36-3.26 (m, 2H), 3.21-3.03 (m, 4H), 2.48-2.37 (m, 2H), 1.91-1.79 (m, 2H), 1.72-1.39 (m, 6H)
(b-4’)8-ベンジル-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウム テトラフェニルボレート(U-CAT 5002、サンアプロ社製)
(b-5’)ジベンゾイルフェロセン(富士フィルム和光純薬株式会社製)
(b-6’)トリブチルアンモニウム テトラフェニルボレート
トリブチルアミン(487mg、2.63mmol)をアセトン(6mL)に溶解し、得られた溶液を、0.5N塩酸(5.26mL、2.63mmol)にて中和した。得られた混合物に、テトラフェニルホウ酸ナトリウム(1.00g、2.92mmol)の水溶液を滴加した。得られた混合物を室温にて1時間撹拌し、得られた反応混合物中に生じた結晶を濾取して、純水で洗浄し、乾燥させることにより、1.18gの目的物を白色結晶として得た。
1H-NMR (DMSO-d6): δ8.85 (s, 1H), 7.23-7.13 (m, 8H), 6.98-6.88 (m, 8H), 6.83-6.74 (m, 4H), 3.09-2.95 (m, 6H), 1.63-1.50 (m, 6H), 1.38-1.24 (m, 6H), 0.91 (t 7.2 Hz, 9H)
(b-7’)2-(ピペリジン-1-カルボニル)ベンズアルデヒド(ENAMINE Ltd.製 カタログ番号 EN300-6736678)
なお、2-(ピペリジン-1-カルボニル)ベンズアルデヒドは、特許文献1の製造例1のPBG1、すなわち「2-(1-ピペリジニルカルボニル)ベンズアルデヒド」と同一の化合物である。
(b-8’)テトラメチルグアニジウム テトラフェニルボレート
テトラメチルグアニジン(160mg、1.39mmol)をアセトンに溶解し、得られた溶液を、0.5N塩酸(2.78mL、1.39mmol)で中和した。得られた混合物に、テトラフェニルホウ酸ナトリウム(500mg、1.46mmol)の水溶液を滴加した。得られた混合物を室温にて4時間撹拌し、得られた反応混合物中に生じた結晶を濾取して、純水で洗浄し、乾燥させることにより、544mgの目的物を白色結晶として得た。
1H-NMR (DMSO-d6): δ7.75 (s, 2H), 7.22-7.13 (m, 8H), 6.96-6.87 (m, 8H), 6.83-6.74 (m, 4H), 2.87 (s, 12H)
光ラジカル発生剤(成分(b”)):
(b-1”)2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン(Omnirad 907、富士フィルム和光純薬株式会社製)
(b-2”)2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Omnirad TPO、IGM Resins B.V.製)
前駆体-1、前駆体-2及び前駆体-3は各々以下の方法にて合成した。
前駆体-1(テトラキス(3-フルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム)
下記文献に記載の方法にて合成した。
Journal of the American Chemical Society, (2010), 132(38), 13168-13169
前駆体-2(ベンジル-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウム ブロマイド)
特開2014-97930に記載の方法にて合成した。
前駆体-3(8-(9-オキソ-9H-チオキサンテン-2-イル)メチル-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセニウム ブロマイド)
特開2017-36361記載の方法にて合成した。
光増感剤(成分(c)):
(c-1)2-エチルアントラキノン(富士フィルム和光純薬株式会社製)
(c-2)2-イソプロピルチオキサントン(東京化成工業株式会社製)
(c-3)4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド(東京化成工業株式会社製)
[実施例1~9及び比較例1~12]
光硬化性樹脂組成物の調製は、温度22℃、湿度50%±10%の、500nm以下の波長の光(紫外線を含む)をカットした室内にて行った。
ホウ珪酸ガラス製のスクリュー管瓶(遮光用茶瓶)中、成分(a)2gに、成分(a)に対する重量比が表2~4に示す値となるように、成分(b)、(b’)または(b”)及び成分(c)を添加し、最大で3時間、超音波による分散を行いながら、混合物を得た。
以上の操作により、目視にて均一な溶液が得られたと判断された場合、得られた溶液を光硬化性樹脂組成物として用いた。
以上の操作で、目視にて均一な溶液が得られなかったと判断された場合、遠心分離操作を行い、上清部分を光硬化性樹脂組成物として用いた。
実施例及び比較例においては、光硬化性樹脂組成物の特性を以下のようにして測定した。
(光硬化性樹脂組成物の保存安定性)
ホウ珪酸ガラス製のスクリュー管瓶(遮光用茶瓶)中の、製造された光硬化性樹脂組成物が、温度22℃±5℃、湿度50%±10%の、500nm以下の波長の光(紫外線を含む)をカットした室内にて、事実上流動性を失うまでの時間(保存安定性(時))を測定した。結果を表2~4に示す。保存安定性は、24時間以上であることが好ましく、1週間以上であることがより好ましく、1箇月以上であることがさらに好ましい。
本明細書において、「事実上流動性を失う」とは、前記ホウ珪酸ガラス製のスクリュー管瓶(遮光用茶瓶)にその容積の半分程度充填された前記光硬化性樹脂組成物が、前記ホウ珪酸ガラス製のスクリュー管瓶(遮光用茶瓶)を直立させた状態から瞬時に水平に傾けた場合に、重力下10秒間にわたり、その形状に明らかな変化が観察されない状態となることを指す。
(光硬化性樹脂組成物の即時硬化性)
温度22℃±5℃、湿度50%±10%の、500nm以下の波長の光(紫外線を含む)をカットした室内にて、光硬化性樹脂組成物を、スライドガラス上に1滴(0.02g程度)滴下し、単波長型UV LED光源(OmniCure(登録商標) AC475、エクセリタス・テクノロジーズ製)を用いて、波長365nmの紫外線で、積算光量が4000mJ/cm(紫外線積算光量計UIT-250、受光器UVD-S365(ウシオ電機株式会社製)にて測定)となるまで、スライドガラス上面から光源までの高さ4cm、光源移動速度9mm/sで継続的に照射し、照射完了から、光硬化性樹脂組成物が硬化するまでの時間(遅延時間)を測定した。結果(遅延時間)を表2~4に示す。
この試験においては、スライドガラスを垂直に立てた状態で、重力下10秒間にわたり、スライドガラス上の光硬化性樹脂組成物の形状に明らかな変化が観察されなくなったときに、光硬化性樹脂組成物が硬化したとみなした。
光硬化性樹脂組成物が照射完了の直後の上記観察で硬化していると判断された場合には、遅延時間を「なし」とした。
光硬化性樹脂組成物が照射完了から2時間以内に硬化した場合には、照射完了から硬化までに要した時間を記載した。
光硬化性樹脂組成物が照射完了から2時間以内に硬化しなかった場合には、その後断続的に最長48時間後まで適宜観察を行い、照射完了から、光硬化性樹脂組成物が硬化したことが確認されるまでに要した時間を記載した。
光硬化性樹脂組成物が照射完了から48時間以内に硬化しなかった場合には、遅延時間を「硬化せず」とした。
上記遅延時間は、1時間以内であることが好ましく、30分以内であることがより好ましく、10分以内であることがさらに好ましく、数秒以内であることが最も好ましい。
Figure 0007656941000014

Figure 0007656941000015

Figure 0007656941000016
(結果の考察)
実施例1~12より、上記成分(b)及び(c)を含む光硬化性樹脂組成物は、上記成分(a)が、DHMM等のような相対的に硬化させにくい2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物(2種以上の組み合わせであってもよい)であっても、波長365nmの低エネルギーの紫外線で、即時硬化を達成しうることがわかる。これは部分的には、上記成分(b)から発生する塩基性物質が、pKが12以上である強塩基であることに起因している。加えて、上記成分(b)及び(c)を含む光硬化性樹脂組成物は、優れた安定性を示す。このことは、本発明の光硬化性樹脂組成物の硬化は、遮光下では実質的に進行しないことを示している。
実施例2より、成分(b)のアニオン(i)に関し、式(BAr4-n中のnが0でなくとも、光硬化性樹脂組成物の十分な即時硬化性及び安定性が得られることがわかる。
一方、比較例1~12より、上記成分(b)に該当しない光塩基発生剤(成分(b’))や光ラジカル発生剤(成分(b”))を用いると、光硬化性樹脂組成物の即時硬化性又は安定性が得られないことがわかる。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、UV-LEDからの紫外線、特にUV-A又はUV-Bの照射でも、アニオン重合で迅速に硬化するので、電子部品の製造に適している。さらに、本発明の樹脂組成物は、優れた保存安定性を有する。
10 カメラモジュール
12 レンズ
14 ボイスコイルモータ
16 レンズユニット
18 支持体
20 カットフィルタ
22 撮像素子
24 プリント配線基板
30、32、34 接着剤
日本国特許出願2020-048080(出願日:2020年3月18日)の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。

Claims (9)

  1. UV-A又はUV-B領域の紫外線の照射によって硬化させることができる光硬化性樹脂組成物であって、下記成分(a)~(c):
    (a)2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物
    (b)イオン型光塩基発生剤
    (c)光増感剤
    を含み、
    前記2-メチレン-1,3-ジカルボニル化合物が、下記式(I):
    Figure 0007656941000017

    で表される構造単位を少なくとも一つ含む化合物であり、
    前記イオン型光塩基発生剤が、下記アニオン(i)及びカチオン(ii):
    (i)式(BAr4-n(式中、Arは、各々独立に、非置換又は置換のC-C10芳香族炭化水素基であり、Xは、各々独立に、非置換又は置換の直鎖状、分岐鎖状又は環状C-C脂肪族炭化水素基であり、nは0~2の整数であり、n=0のとき、少なくとも1つのArは置換C-C10芳香族炭化水素基である)で表されるアニオン
    (ii)アミジン構造、グアニジン構造又はビグアニド構造を有するカチオン
    を含む塩であり、
    前記光増感剤が、前記イオン型光塩基発生剤とは異なる、光硬化性樹脂組成物。
  2. アニオン(i)における少なくとも1つのArが置換フェニル基である、請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. 置換フェニル基がフッ素を含む置換基を有する、請求項2記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. フッ素を含む置換基が、置換フェニル基のホウ素原子に直接結合した炭素原子に対してメタ位にある炭素原子に結合している、請求項3記載の光硬化性樹脂組成物。
  5. フッ素を含む置換基がフッ素原子である、請求項3または4記載の光硬化性樹脂組成物。
  6. アニオン(i)におけるArがいずれも3-フルオロフェニル基である、請求項5記載の光硬化性樹脂組成物。
  7. アニオン(i)におけるnが0又は1である、請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
  8. nが0である、請求項7記載の光硬化性樹脂組成物。
  9. 成分(b)のモル数に対する成分(c)のモル数の比が0.1~6である、請求項1~8のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物。
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