JP7654464B2 - 蓄電デバイス用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents

蓄電デバイス用セパレータ及びその製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、蓄電デバイス用セパレータ及びその製造方法に関する。
ポリオレフィン微多孔膜は、優れた電気絶縁性又はイオン透過性を示すことから、蓄電デバイス用セパレータ、例えば、電池用セパレータ、コンデンサー用セパレータ等に使用されている。近年、ポリオレフィン微多孔膜は、特にリチウムイオン二次電池用セパレータとして使用されており、携帯電話、ノート型パソコン等の小型電子機器だけでなく、電気自動車、小型電動バイク等の電動車両への応用も図られている。
特許文献1は、多孔性ポリマーシートの第1の表面又は第2の表面のうち少なくとも一つの表面及びポアの内部表面に原子層蒸着法(ALD)によって形成された耐熱性無機物層を含む二次電池用セパレータを記載している。特許文献2は、第一の部分中に、水、界面活性剤及び保護されたアルキルボラン錯体並びに第二の部分中に、アクリルモノマー及びトリアルキルボラン置換開始剤を含む二部分型接着配合物を記載しており、この配合物は、如何なる表面前処理の助けも無しに、低表面エネルギー基体に適用して、有効な接着を作ることができると記載している。
非特許文献1は、ポリプロピレン(PP)樹脂のセパレータを、ハイパーサーマルな水素誘起架橋(HHIC)によりポリエチレンオキサイド(PEO)で変性して、セパレータの濡れ性を改善することを記載している。非特許文献2及び3は、ポリプロピレン(PP)樹脂の変性に関し、PPが有する3級炭素がラジカルを発生しやすいことから、ボランを用いてPPを変性する技術を記載している。
特開2017-84779号公報 特表2007-523248号公報
Changzhen Man, et.al., 「Enhanced wetting properties of a polypropylene separator for a lithium-ion battery by hyperthermal hydrogen induced cross-linking of poly(ethylene oxide)」, J.Mater.Chem.A, 2014, 2, pp.11980-11986. Mark F. Sonnenschein, et.al., 「Physical and Chemical Probes of the Bond Strength between Trialkylboranes and Amines and Their Utility as Stabilized Free Radical Polymerization Catalysts」, Macromolecules, 2006, 39, pp.2507-2513. Mark F. Sonnenschein, et.al., 「Mechanism of Trialkylborane Promoted Adhesion to Low Surface Energy Plastics」, Macromolecules, 2004, 37, pp.7974-7978. Vincent J. McBrierty, 「NMR Solid Polymers (Cambridge Solid State Science Series)」, Cambridge University Press, Illustrated 版, 2008年8月21日 P.J. Hore, et.al., 「NMR入門: 必須ツール 基礎の基礎 (Chemistry Primer Series)」, 化学同人, 2017年3月22日 阿久津秀雄、嶋田一夫、鈴木榮一郎、及び西村善文著、「NMR分光法 (分光法シリーズ)」、講談社、2016年4月23日
本開示は、サイクル安定性に優れる蓄電デバイスを提供することができる蓄電デバイス用セパレータ、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、特定の膜厚、質量換算強度、透気度及び気孔率を有する、ポリエチレンを主成分として含む微多孔膜(単に「ポリエチレン微多孔膜」ともいう。)であって、ソリッドエコー法又はCPMG法を用いたパルスNMR測定の全プロトンのスピン-スピン緩和時間の観測において、信号強度の割合が特定の範囲であるポリエチレン微多孔膜により、上記課題を解決できることを見いだした。
本開示の実施形態の例を以下に列記する。
[1]
ポリエチレンを主成分として含む微多孔膜を有する蓄電デバイス用セパレータであって、上記蓄電デバイス用セパレータの膜厚が2~50μm、質量換算強度が3,000gf/g~150,000gf/g、透気度が10秒/100cc~500秒/100cc、気孔率が25%~90%であって、120℃でのソリッドエコー法を用いたパルスNMR測定の全プロトンのスピン-スピン緩和時間(T緩和時間)の観測において、観測開始後0.2msecにおける信号強度の割合が、観測開始時の信号強度を基準として0.2%~40%であり、かつ観測開始後に0.8msecにおける信号強度の割合が、観測開始時の信号強度を基準として0.05%~10%である、蓄電デバイス用セパレータ。
[2]
ポリエチレンを主成分として含む微多孔膜を有する蓄電デバイス用セパレータであって、上記蓄電デバイス用セパレータの膜厚が2~50μm、質量換算強度が3,000gf/g~150,000gf/g、透気度が10秒/100cc~500秒/100cc、気孔率が25%~90%であって、180℃でのCPMG法を用いたパルスNMR測定の全プロトンのスピン-スピン緩和時間(T緩和時間)の観測において、観測開始後40msecにおける信号強度の割合が、観測開始時の信号強度を基準として5%~30%であり、かつ観測開始後140msecにおける信号強度の割合が、観測開始時の信号強度を基準として1.5%~20%である、蓄電デバイス用セパレータ。
[3]
上記微多孔膜に存在する上記ポリエチレンが、一種以上のヘテロ原子含有官能基でグラフト化された、項目1又は2に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[4]
上記一種以上のヘテロ原子含有官能基は、以下:
自己縮合反応する一種のヘテロ原子含有官能基;
縮合反応する二種以上の異なるヘテロ原子含有官能基の組み合わせ;
金属イオンを介してキレート錯体構造を形成する一種類以上のヘテロ原子含有官能基;
上記微多孔膜の表面に接する蓄電デバイス内の他の部材に含まれる化合物と、配位結合、イオン結合、水素結合、及び共有結合のうちいずれかの結合を形成する、一種以上のヘテロ原子含有官能基;及び
一段階以上の安定な酸化もしくは還元において安定な構造を持つ一種以上のヘテロ原子含有官能基
からなる群から選択される、項目3に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[5]
上記一種以上のヘテロ原子含有官能基は、アルコキシシラン基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、カルボキシ基、エーテル基、及びアミンオキシド基からなる群から選択される少なくとも一つを有する、項目4に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[6]
蓄電デバイス用セパレータの製造方法であって、上記方法は、以下:
(1)ポリエチレン及び孔形成材を含む樹脂組成物を、押し出し機にてシート状に押出し、冷却固化させ、シート状成形体を成形する工程と;
(2)上記シート状成形体を延伸して、延伸シートを形成する工程と;
(3)上記延伸シートから孔形成材を抽出して多孔シートを形成する工程と;
(4)上記多孔シートを熱処理し、幅方向に延伸及び緩和を行う工程と
を含み、
上記方法は、工程(1)と(2)との間、工程(2)と(3)との間、工程(3)と(4)との間、又は工程(4)の後に、上記ポリエチレンを、上記ポリエチレンの分子鎖に結合するための官能基及びヘテロ原子含有官能基を有する一種以上のグラフト分子と反応させ、上記ポリエチレンをヘテロ原子含有官能基でグラフト化する工程を更に含む、方法。
[7]
上記ポリエチレンの分子鎖に結合するための官能基は、ビニル基を含む、項目6に記載の方法。
[8]
上記グラフト化する工程は、以下:
溶媒と、上記グラフト分子と、アルキルボラン又はアルキルボラン錯体とを含む溶液に、上記シート状成形体、上記延伸シート、又は上記多孔シートを浸漬させることと、
上記溶液中に酸素を提供して、上記グラフト分子を上記ポリエチレンと反応させ、上記ポリエチレンを上記ヘテロ原子含有官能基でグラフト化することと
を含む、項目6又は7に記載の方法。
[9]
上記グラフト化の後に、上記シート状成形体、上記延伸シート、又は上記多孔シートから、上記グラフト分子、並びに上記アルキルボラン又はアルキルボラン錯体を抽出して乾燥することを更に含む、項目8に記載の方法。
[10]
上記グラフト化する工程は、工程(4)の後に行う、項目6~9のいずれか一項に記載の方法。
[11]
上記グラフト化する工程は、工程(1)と(2)との間に行う、項目6~9のいずれか一項に記載の方法。
[12]
上記グラフト化する工程は、工程(2)と(3)との間に行う、項目6~9のいずれか一項に記載の方法。
[13]
正極と、負極と、上記正極及び負極の間に項目1~5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータとを含む、蓄電デバイス。
本開示によれば、サイクル安定性に優れる蓄電デバイスを提供することができる蓄電デバイス用セパレータ、及びその製造方法を提供することができる。なお、上述の記載は、全ての実施形態及び全ての利点を開示したものとみなしてはならない。更なる実施形態及びその利点は、以下の記載及び図面を参照することにより明らかとなる。
図1は、本開示による、自己縮合反応する一種のヘテロ原子含有官能基でグラフト化された微多孔膜の模式図である。 図2は、本開示による、縮合反応する二種のヘテロ原子含有官能基でグラフト化された微多孔膜の模式図である。 図3は、本開示による、キレート錯体構造を形成するヘテロ原子含有官能基でグラフト化された微多孔膜の模式図である。 図4は、本開示による、電極中の材料と結合を形成するヘテロ原子含有官能基でグラフト化された微多孔膜の模式図である。 図5は、本開示による、一段階以上の安定な酸化もしくは還元において、安定な構造を持つヘテロ原子含有官能基でグラフト化された微多孔膜の模式図である。 図6(a)は、実施例1の微多孔膜の、CPMG法によるパルスNMRの観測結果である。図6(b)は、実施例1の微多孔膜の、ソリッドエコー法によるパルスNMRの観測結果である。 図7(a)は、実施例2の微多孔膜の、CPMG法によるパルスNMRの観測結果である。図7(b)は、実施例2の微多孔膜の、ソリッドエコー法によるパルスNMRの観測結果である。 図8(a)は、実施例3の微多孔膜の、CPMG法によるパルスNMRの観測結果である。図8(b)は、実施例3の微多孔膜の、ソリッドエコー法によるパルスNMRの観測結果である。 図9(a)は、実施例4の微多孔膜の、CPMG法によるパルスNMRの観測結果である。図9(b)は、実施例4の微多孔膜の、ソリッドエコー法によるパルスNMRの観測結果である。
以下、本開示の実施形態を例示する目的で詳細に説明するが、本開示は本実施形態に限定されるものではない。本願明細書において、各数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
《蓄電デバイス用セパレータ》
〈グラフト構造〉
本開示の蓄電デバイス用セパレータは、ポリエチレンを主成分として含む微多孔膜を有する。微多孔膜に存在するポリエチレンは、一種以上のヘテロ原子含有官能基でグラフト化されていることが好ましい。「グラフト化されている」とは、ポリエチレンの分子鎖に対してヘテロ原子含有官能基がペンダント基として結合している構造をいう。ポリエチレンをヘテロ原子含有官能基でグラフト化することにより、熱的安定性、電気特性、及び電極との接着性等の様々な性質を有する微多孔膜を提供することができる。
ヘテロ原子は、炭素及び水素以外の原子である。ヘテロ原子としては、好ましくは典型非金属原子、例えばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、及びケイ素原子が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。ポリエチレンを主成分とするセパレータの高分子高次構造は静電的な極性が低く、分子内極性が高い電解液との親和性が低い。高分子高次構造の適切な構造にヘテロ原子を有する官能基を設けることで、高分子高次構造内に部分的な極性構造を付与でき、電解液の膨潤、保持がし易くなる傾向があることが分かった。これにより、セパレータが圧縮変形されても、電解液が膨潤し、圧縮方向への体積回復がよく、長期に渡って、セパレータの均一な孔径構造を保持できる。よって、均一にLiイオン伝導でき、デンドライト成長抑制へ繋がり、電池の安全性が確保できる。
ヘテロ原子含有官能基としては、好ましくは、自己縮合反応する一種のヘテロ原子含有官能基;縮合反応する二種以上の異なるヘテロ原子含有官能基の組み合わせ;金属イオンを介してキレート錯体構造を形成する一種類以上のヘテロ原子含有官能基;微多孔膜の表面に接する蓄電デバイス内の他の部材に含まれる化合物と、配位結合、イオン結合、水素結合、及び共有結合のうちいずれかの結合を形成する、一種以上のヘテロ原子含有官能基;及び一段階以上の安定な酸化もしくは還元において、安定な構造を持つ一種以上のヘテロ原子含有官能基が挙げられる。
自己縮合反応するヘテロ原子含有官能基(「自己縮合型官能基」ともいう。)とは、同種の官能基同士が反応して、その一部が離脱し、他の部分が新たな結合を形成することができる官能基をいう。自己縮合反応によって、ポリエチレンの分子鎖間に架橋構造が形成されることが好ましい。ポリエチレンの分子鎖間に架橋構造を形成することによって、微多孔膜の溶融粘度が増加し、電池の発熱時の安全性が向上する。架橋構造は、同じ微多孔膜の内部又は表面に存在するポリエチレンの分子鎖間に形成されてもよい。
自己縮合は、蓄電デバイス内の環境で自発的に起こってもよく、又は外部刺激によって引き起こされてもよい。外部刺激としては、熱、及び光、例えば紫外線等が挙げられる。
自己縮合型官能基としては、求電子剤と求核剤の両方の性質をもつ官能基、例えばα位に水素原子を有するカルボニル基、例えばアセチル基、及びアルデヒド基;並びにアルコキシシラン基等が挙げられる。自己縮合型官能基は、好ましくはアルコキシシラン基、例えばメトキシシラン基、及びエトキシシラン基であり、より好ましくはトリメトキシシラン基である。
図1は、本開示による、自己縮合反応する一種のヘテロ原子含有官能基(20)でグラフト化された微多孔膜のPE高分子高次構造(10)の模式図である。図1では、微多孔膜に存在するポリエチレンの分子鎖が、トリメトキシシラン基(-Si(OMe))を有する官能基でグラフト化されている。トリメトキシシラン基は、外部刺激としての加熱により脱水縮合反応して、ポリエチレンの分子鎖間に架橋構造(30)を形成する。図1において、n及びmはそれぞれ0~3の整数であり、n+mは3である。図1に示すように、微多孔膜内のPE高分子高次構造にグラフト変性されたトリメトキシシラン基は、電池内で、電解質及び/又は電解液の刺激により架橋構造を形成してもよい。また、図示されていないが、同じ微多孔膜の内部又は表面に存在するポリエチレンの分子鎖間に架橋構造が形成されてもよい。
縮合反応する二種以上の異なるヘテロ原子含有官能基(「縮合型官能基」ともいう。)の組み合わせは、二種以上の異なる官能基同士が反応して、その一部が離脱し、他の部分が新たな結合を形成することができる官能基をいう。自己縮合反応によって、ポリエチレンの分子鎖に架橋構造が形成されることが好ましい。ポリエチレンの分子鎖間に架橋構造を形成することによって、微多孔膜の溶融粘度が増加し、電池の発熱時の安全性が向上する。
自己縮合は、蓄電デバイス内の環境で自発的に起こってもよく、又は外部刺激によって引き起こされてもよい。外部刺激としては、熱、及び光、例えば紫外線等が挙げられる。
縮合型官能基の組み合わせとしては、求電子剤としての性質を持つ官能基と、求核剤の性質を持つ官能基との組み合わせが挙げられる。求電子剤の性質を持つ官能基として、カルボニル基、例えばカルボキシ基、エステル基、ケトン基、及びアルデヒド基等が挙げられる。求核剤の性質を持つ官能基として、ヒドロキシル基、アルコキシ基、及びアミン基等が挙げられる。縮合型官能基の組み合わせとしては、好ましくは、アルコキシ基又はヒドロキシル基と、カルボキシ基又はエステル基との組み合わせ、より好ましくはヒドロキシル基とエステル基との組み合わせ、更に好ましくはヒドロキシル基とメチルエステル基との組み合わせである。
図2は、本開示による、縮合反応する二種のヘテロ原子含有官能基(20)でグラフト化された微多孔膜のPE高分子高次構造(10)の模式図である。図2では、微多孔膜に存在するポリエチレンの分子鎖が、カルボキシ基を有する官能基と、メチルエステル基を有する官能基でグラフト化されている。カルボキシ基を有する官能基とメチルエステル基を有する官能基とは、外部刺激としての加熱によりメタノールを脱離して縮合反応し、ポリエチレンの分子鎖間に架橋構造(30)を形成する。
金属イオンを介してキレート錯体構造を形成するヘテロ原子含有官能基(「キレート錯体形成官能基」ともいう。)とは、すなわち、金属イオンに対して配位することのできる官能基である。キレート錯体構造を形成することができることにより、蓄電素子内に発生する金属イオンをトラップし、蓄電素子のサイクル特性が向上するため好ましい。
キレート錯体形成官能基は、金属イオンの配位座の数に応じて、一つの金属イオンに対して、一つのキレート錯体形成官能基が単独で、又は複数のキレート錯体形成官能基が共に配位することができる。一つの金属イオンに対して、複数のキレート錯体形成官能基が共に配位する場合、複数のキレート錯体形成官能基は、同一の微多孔膜に存在してもよい。
金属イオンとしては、一つ又は複数の配位座を有する金属イオン(Mn+、n=1~3)、例えばリチウムイオン(Li)、コバルトイオン(Co2+、Co3+)、ニッケルイオン(Ni2+)、鉄イオン(Fe3+)、及びマンガンイオン(Mn2+)等が挙げられる。金属イオンが、リチウムイオン(Li)である場合には、微多孔膜の界面のイオン抵抗を下げ、蓄電素子のサイクル特性及び出力特性が向上する傾向にある。
キレート錯体形成官能基としては、金属イオンに対して配位することのできる非共有電子対を提供することのできる官能基、例えばアミノ基、アミン基、エーテル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びチオール基等が挙げられる。キレート錯体形成官能基としては、好ましくはエーテル基を有する官能基、より好ましくはアルキレングリコール基、更に好ましくはメトキシエチレングリコール基が挙げられる。
図3は、本開示による、キレート錯体構造(40)を形成するヘテロ原子含有官能基(20)でグラフト化された微多孔膜のPE高分子高次構造(10)の模式図である。図3の上図では、微多孔膜に存在するポリエチレンの分子鎖が、メトキシエチレングリコール基を有する官能基(20)でグラフト化されている。図3では、一つのメトキシエチレングリコール基の2つのエーテル酸素が、金属イオン(Mn+)に対して2座で配位している。同一の微多孔膜に存在する他のメトキシエチレングリコール基もまた、2つのエーテル酸素が同じ金属イオン(Mn+)に対して2座で配位している。図3の下図に示すように、当該他のメトキシエチレングリコール基は、電池内で、電解質及び/又は電解液の刺激により架橋構造を形成するようにキレート錯体構造(40)を形成してもよい。また、図示されていないが、同じ微多孔膜の内部又は表面に存在するポリエチレンの分子鎖間に架橋構造が形成されてもよい。
微多孔膜の表面に接する蓄電デバイス内の他の部材に含まれる化合物と、配位結合、イオン結合、水素結合、及び共有結合のいずれかの結合を形成する、ヘテロ原子含有官能基(「結合形成官能基」ともいう。)は、電極との密着性を向上させ、蓄電素子の安定性の向上に寄与することができるため好ましい。結合は、好ましくはカルボキシル基によるイオン結合である。微多孔膜の表面に接する蓄電デバイス内の他の部材としては、正極、負極が挙げられる。
正極に含まれる化合物としては、正極活物質、及びバインダ等が挙げられる。正極活物質としては、金属イオンを吸蔵・放出可能な物質、炭素材料、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物等が挙げられる。金属酸化物、例えばリチウム遷移金属酸化物が挙げられる。
負極に含まれる化合物としては、負極活物質、及びバインダ等が挙げられる。負極活物質としては、金属イオンを吸蔵・放出可能な物質、例えば炭素材料、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物等が挙げられる。
結合形成官能基が結合する化合物としては、好ましくは正極及び/又は負極に含まれる化合物であり、より好ましくは、イオン結合や配位を介して、正極活物質及び/又は負極活物質、例えば金属酸化物(MO)との結合を形成する。結合形成官能基としては、好ましくはカルボキシル基などがある。
図4は、本開示による、電極中の材料と結合を形成するヘテロ原子含有官能基(20)でグラフト化された微多孔膜のPE高分子高次構造(10)の模式図である。図4では、微多孔膜に存在するポリエチレンの分子鎖が、メチルエステル基を有する官能基でグラフト化されている。メチルエステル基は、電解液中のわずかなフッ酸(HF)によってカルボキシ基に変化し、カルボキシ基は、電極中の金属酸化物(MO)(50)にイオン結合している(30)。
図5は、本開示による、一段階以上の安定な酸化もしくは還元において、安定な構造を持つヘテロ原子含有官能基(20)でグラフト化された微多孔膜のPE高分子高次構造(10)の模式図である。一段階以上の安定な酸化もしくは還元において、安定な構造を持つヘテロ原子含有官能基とは、蓄電デバイス内の電気化学的な酸化及び還元状態の環境において、化合物の酸化数が変化した構造で分解せず安定に存在できることを意味する。すなわち、電気化学的に酸化及び還元を繰り返してもヘテロ原子含有官能基の構造分解が起こらず、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定において、再現可能な可逆的な酸化・還元の波形を観測できる。酸化/還元が「一段階以上」であるとは、酸化及び還元状態が一つ以上存在することを意味する。例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル(TEMPO)基の場合、価数が-1の還元状態、+1の酸化状態という2つの酸化及び還元状態取るので、「二段階」の酸化/還元である。
一段階以上の安定な酸化もしくは還元において、安定な構造を持つヘテロ原子含有官能基としては、好ましくは、ニトロニルニトロキシド、4-ニトロフェニルニトロニルニトロキシド、フェノチアジン、ジヒドロフェナジン、及びカテコール等が挙げられる。
グラフト化の量は、ポリエチレンユニットの全モル量に対して、約10mol%以下が望ましく、2mol%以下がより望ましく、また、1.8mol%以下がさらに望ましい。10mol%を超えて過剰にグラフトされたセパレータは、電池内で種々の化学反応が進行することで、高分子高次構造を大きく変化させる傾向がある。グラフト化の量は、ポリエチレンユニットの全モル量に対して、0.01mol%以上が望ましく、0.03mol%以上がより望ましく、0.1mol%以上がさらに望ましい。グラフト化の量が0.01mol%以上であれば、高分子高次構造への影響による効果が得られやすい。後述するが、高分子高次構造の全体がほぐれにくい場合では、電解液の膨潤が阻害される。グラフト種によって、望ましい範囲が異なり、また、電解液中において、電池内圧による圧縮力の解放時に、セパレータが電解液によって膨潤し易く、圧縮方向に対して体積回復率が高いことが望ましいため、グラフト化によってセパレータの高分子構造全体の運動性を調整することがより重要である。結晶性高分子は結晶成分、非結晶成分、及びその中間成分として高分子高次構造が構築されている。その高次構造の中で、結晶成分は複数の分子鎖で作られるために、結晶成分が絡み合い点となり、さらに、非結晶成分もまた分子鎖が絡み合う構造を持つ絡み合い点となる。このような複雑な絡み合い構造をもつ高分子高次構造は、低分子(溶媒、可塑剤、電解液など)による浸漬膨潤を起こすことができる。その現象を支配するのは、高次構造全体が低分子によって膨張する際の熱力学的挙動である。例えば、高温領域では高分子高次構造が強く分子運動しているため、全体の絡み合いがほぐれ易く、膨潤現象が進行しやすい。一方、本開示では、とりわけ高温領域(粘弾性測定から計測されるポリエチレンのα結晶緩和温度領域:100~120℃前後)ではなく、電池作動温度領域でも、電解液によって膨潤し易い高分子高次構造の構築に着目した。セパレータの高分子構造が限定された範囲の運動性を有する場合、高分子構造へ電解液が浸漬しやすく、セパレータが圧縮されても高い体積回復率を示す高分子高次構造を持つセパレータを得ることができる。本開示において、その運動性の定量は、パルスNMR法を用いて行う。発明者らは、より適切な運動性構造を持つセパレータにより、長期サイクル時でもセパレータの全体の孔径均一性、電解液の均一性を有することで良いサイクル性能を示すと同時に、Liイオンの伝導ムラによって発生するデンドライトを抑制でき、長期使用時の電池安全性を確保できることを明らかにできた。
セパレータ中の全プロトンのスピン-スピン緩和時間(T緩和時間)を観測することで、セパレータ内のポリエチレンの運動性を定量化できることが知られている。ポリエチレンの運動性は、具体的には、低運動性成分、高運動性成分およびそれらの中間成分の3つに分けられる。本願発明者らは実験を重ね、ソリッドエコー(solid echo)法、及びCPMG(Carr-Purcell-Meiboom-Gill)法(JEOL製JNM-MU25AパルスNMR装置、DOS/V Windows版操作マニュアル参考、ページ:2-16~17)を用いて、観測開始後に特定の時間における信号強度の割合を、観測開始時の信号強度を基準として特定の範囲内に調整することにより、電解液中で圧縮された際の高い体積回復率を有するセパレータが得られることを見出した。一般的には、ポリエチレン製成形品の機械的強度や耐熱性などの物理的特性は、ポリエチレンの結晶部及び非結晶部で構成される結晶構造によって説明されてきた。これらは、ポリエチレンに外力を加えて、大きく変形させ、もしくは破壊する試験、または通常使用する温度領域より大幅に広い温度範囲で加熱した際の緩和現象を観察している。すなわち、成形品が実際に使用される状態及び温度における結晶構造が有する性能を直接に観察できず、原理的に正確な分析ができない。一方、X線構造解析によって、ポリエチレン製成形品の分析を行うこともできるが、しかしながら、X線構造解析は直接に結晶構造を観察できる代わりに、分子運動性の情報を得られない一面がある。これに対して、発明者らは、高分子構造全体の運動性を直接観察できるパルスNMR法を用いて、ポリエチレンの結晶構造と電解液との相互作用から生まれるセパレータの圧縮された際の膨潤による体積回復現象は、セパレータの形状を大きく変形させずに、高分子高次構造の全体がもつ熱力学的エネルギー情報を描写できることに着目し、適切なポリエチレンの高分子高次構造を実験的に見出した。
ソリッドエコー法の場合、観測開始後0.2msecにおける信号強度の割合が、観測開始時の信号強度を基準として、好ましくは0.2%~40%、より好ましくは0.5%~30%であり、さらに好ましくは2.0%~25%である。また、観測開始後に0.8msecにおける信号強度の割合が、観測開始時の信号強度を基準として、好ましくは0.05%~10%、より好ましくは0.1%~8.0%であり、さらに好ましくは0.2~4.0%である。CPMG法の場合、観測開始後40msecにおける信号強度の割合が、観測開始時の信号強度を基準として、好ましくは5%~30%、より好ましくは8%~28%であり、さらに好ましくは10~25%である。また、観測開始後140msecにおける信号強度の割合が、観測開始時の信号強度を基準として、好ましくは1.5%~20%、より好ましくは2.0%~18%であり、さらに好ましくは2.5~15%である。このような手法を用いることで、変性するグラフト化学種の種類を問わず、結果的に電池サイクル性向上の観点から、適切な変性量を定めることができる。本開示のセパレータは、電池内で種々な化学反応(架橋反応、金属錯生成反応、酸化還元反応)を起こすことができ、化学反応の前後でパルスNMRによって観測される高分子高次構造の全体の運動性へやや変化を与えるが、効果発現の視点から化学反応の前後では上記信号強度の割合を満たす。
〈ポリエチレン〉
本開示において、微多孔膜はポリエチレンを主成分として含む。本願明細書において、「主成分として含む」とは、微多孔膜を構成する樹脂成分の合計質量を基準として、対象の樹脂を50質量%以上含有することをいう。微多孔膜に含まれるポリエチレンは、微多孔膜を構成する樹脂成分の合計質量を基準として、例えば60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、99質量%以上、又は100質量%であってよい。
本開示において、微多孔膜はポリエチレンを主成分として含む限り、他の樹脂、例えば、ポリエチレン以外のポリオレフィン樹脂を含んでいてもよい。ポリオレフィン樹脂は、炭素原子数3~10個のモノマーを繰り返し構造として含むポリマーであってよい。炭素原子数3~10個のモノマーとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、及び1-オクテン等が挙げられる。ポリオレフィンは、ホモポリマー、コポリマー、又は多段重合ポリマー等であることができ、好ましくはホモポリマーである。ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、及びポリブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも一つが好ましい。ポリオレフィン樹脂は、一種を単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。微多孔膜の耐熱性を向上させる観点から、ポリエチレン以外のポリオレフィンとしては、ポリエチレン及びポリプロピレンの混合物であってもよい。
ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(密度0.925g/cm未満)、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン(密度0.925g/cm以上0.942g/cm未満)、高密度ポリエチレン(密度0.942g/cm以上0.970g/cm未満)、及び超高分子量ポリエチレン(密度0.970g/cm以上)等が挙げられる。ポリエチレンは、低融点かつ高強度のセパレータを提供することができる点で、超高分子量ポリエチレンであることが好ましい。なお、ポリエチレンの密度は、JIS K7112(1999)に記載の「D)密度勾配管法」に従って測定される。
速やかなヒューズ特性を示す観点から、微多孔膜に含まれるポリエチレンの量の下限値は、微多孔膜を構成する樹脂成分の合計質量を基準として、好ましくは50質量%以上、例えば60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、99質量%以上、又は100質量%であってよい。微多孔膜に含まれるポリエチレンの量の上限値は、微多孔膜を構成する樹脂成分の合計質量を基準として、好ましくは99質量%以下、例えば90質量%以下、80質量%以下、又は70質量%以下であってよい。
ポリプロピレンとしては、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、及びアタクティックポリプロピレン等が挙げられる。エチレンとプロピレンとの共重合体としては、エチレン-プロピレンランダム共重合体、及びエチレン-プロピレンラバー等が挙げられる。
微多孔膜の耐熱性を向上させる観点から、微多孔膜に含まれるポリプロピレンの量の下限値は、微多孔膜を構成する樹脂成分の合計質量を基準として、好ましくは1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、又は5質量%以上であってよい。微多孔膜に含まれるポリプロピレンの量の下限値は、微多孔膜を構成する樹脂成分の合計質量を基準として、好ましくは40質量%以下、例えば35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、又は10質量%以下であってよい。
〈添加剤〉
微多孔膜は、任意に添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えばポリオレフィン以外の重合体;無機フィラー;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;及び着色顔料等が挙げられる。これらの添加剤の量は、シャットダウン性能等の観点から、微多孔膜を構成する樹脂成分100質量部を基準として、好ましくは20質量部以下、例えば10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下であってよい。
〈機能層〉
蓄電デバイス用セパレータは、微多孔膜以外にも、微多孔膜の片面又は両面上に、一つ又は複数の機能層を有してもよい。機能層としては、例えば、無機粒子又は架橋性高分子などの耐熱樹脂を含む耐熱層、接着性高分子を含む接着層等が挙げられる。微多孔膜上に機能層を積層する方法としては、グラビアコーター又はダイコーター等のコーターにより、微多孔膜上に機能層をコーティングする方法、及び共押出により積層化する方法等が挙げられる。
〈微多孔膜の膜厚〉
微多孔膜の膜厚は、好ましくは0.1μm以上100μm以下、より好ましくは1μm以上50μm以下、更に好ましくは3μm以上25μm以下である。微多孔膜の膜厚は、機械的強度の観点から0.1μm以上が好ましく、蓄電デバイスの高容量化の観点から100μm以下が好ましい。微多孔膜の膜厚は、ダイリップ間隔、延伸工程における延伸倍率等を制御すること等によって調整することができる。
〈微多孔膜の気孔率〉
微多孔膜の気孔率は、好ましくは25%以上95%以下、より好ましく30%以上65%以下、さらに好ましくは35%以上60%以下である。気孔率は、イオン伝導性向上の観点から25%以上が好ましく、耐電圧特性の観点から95%以下が好ましい。微多孔膜の気孔率は、ポリエチレン樹脂組成物と可塑剤の混合比率、延伸温度、延伸倍率、熱固定温度、熱固定時の延伸倍率、熱固定時の緩和率を制御すること、又はこれらを組み合わせることによって調整することができる。
〈微多孔膜の透気度〉
微多孔膜の透気度は、好ましくは10秒/100cc以上、より好ましくは50秒/100cc以上であり、好ましくは1000秒/100cc以下、より好ましくは500秒/100cc以下、更に好ましくは300秒/100cc以下である。透気度が10秒/100cc以上であることは、蓄電デバイスの自己放電を抑制する観点から好ましい。透気度が1000秒/100cc以下であることは、良好な充放電特性を得る観点から好ましい。透気度は、延伸温度、延伸倍率の変更等により調節可能である。
《微多孔膜の製造方法》
本開示の蓄電デバイス用セパレータの製造方法は、以下:
(1)ポリエチレン及び孔形成材を含む樹脂組成物を、押し出し機にてシート状に押出し、冷却固化させ、シート状成形体を成形する工程と;
(2)上記シート状成形体を延伸して、延伸シートを形成する工程と;
(3)上記延伸シートから孔形成材を抽出して多孔シートを形成する工程と;
(4)上記多孔シートを熱処理し、幅方向に延伸及び緩和を行う工程と
を含む。
上記方法は、工程(1)と(2)との間、工程(2)と(3)との間、工程(3)と(4)との間、又は工程(4)の後に、上記ポリエチレンを、上記ポリエチレンの分子鎖に結合するための官能基及びヘテロ原子含有官能基を有する一種以上のグラフト分子と反応させ、上記ポリエチレンをヘテロ原子含有官能基でグラフト化する工程を更に含む。
〈グラフト化工程〉
本開示の蓄電デバイス用セパレータの製造方法は、ポリエチレンを、ポリエチレンの分子鎖に結合するための官能基、及びヘテロ原子含有官能基を有する一種以上の分子と反応させ、ポリエチレンをヘテロ原子含有官能基でグラフト化する工程を更に含む。グラフト化工程は、工程(1)と(2)との間、工程(2)と(3)との間、工程(3)と(4)との間、又は工程(4)の後に行うことができる。
本開示の蓄電デバイス用セパレータの製造方法は、当該グラフト化工程でポリエチレンを変性させることで、予めグラフト化させた変性ポリエチレンを原料として用いる方法に比べて、より高濃度のグラフト量(変性量)を得ることができる。また、一般に製造しにくい変性ポリエチレンでも、簡単に修飾することができる。したがって、製造方法としても簡便かつ低コストであり、生産効率にも優れている。
グラフト化工程では、ポリエチレンを、ポリエチレン分子鎖に結合するための官能基、及びヘテロ原子含有官能基を有する一種以上の分子(以下、「グラフト分子」ともいう。)と反応させる。グラフト分子におけるヘテロ原子含有官能基としては、上記の〈グラフト構造〉の欄で説明したヘテロ原子含有官能基を用いることができる。
ポリエチレンの分子鎖に結合するための官能基としては、好ましくは炭素-炭素不飽和二重結合を有する官能基、より好ましくはα-オレフィン(末端の炭素-炭素不飽和二重結合)である。ポリエチレンの分子鎖に結合するための官能基としては、より好ましくはビニル基である。ビニル基を有するグラフト分子は安価で簡単に使用できるため好ましい。
グラフト化工程は、溶媒と、グラフト分子と、アルキルボラン又はアルキルボラン錯体とを含む溶液に、工程(1)で得られるシート状成形体、工程(2)で得られる延伸シート、工程(3)で得られる多孔シート、又は工程(4)で得られる熱処理後の多孔シートを浸漬させることと;溶液中に酸素を提供して、グラフト分子をポリエチレンと反応させ、ポリエチレンをヘテロ原子含有官能基でグラフト化することを含んでもよい。
アルキルボラン又はアルキルボラン錯体としては、好ましくは、水素原子又は炭素原子数1~10個のアルキル基を有するボラン化合物、炭素原子数1~10個のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデシル基等が挙げられる。アルキルボラン又はアルキルボラン錯体としては、好ましくは、炭素原子数1~3個のアルキル基を有するトリアルキルボラン、より好ましくはトリエチルボランである。
グラフト化工程における溶媒としては、グラフト分子、及びアルキルボラン又はアルキルボラン錯体を溶解することができる溶媒を用いる。溶媒としては、エーテル類化合物、ハロゲン系化合物、複素環式化合物が良く、エーテル類化合物はジエチルエーテル、メチルブチルエーテルなどが挙げられる。ハロゲン系化合物はクロロメタン、ジクロロメタン、及びクロロホルム等のクロロメタン系溶媒が挙げられる。複素環式化合物はTHF、フラン、ピラン、ピロール、チオフェン、ピリジン、NMPなどが挙げられる。
溶液中に酸素を提供する方法としては、例えば、溶液中に気体酸素をバブリングする方法が挙げられる。溶液中の酸素濃度は、2%~100%が良く、10%~90%が望ましい。なお、空気バブリングも良い効率を示すことが実験的に明らかになった。溶液の温度は、-30~80℃が良く、0~70℃がより望ましい。
グラフト分子とアルキルボラン又はアルキルボラン錯体とを含む溶液中に酸素を提供することにより、以下の化学反応式で示すような反応を進行させることが好ましい。本開示は当該反応に限定されるものではない。
Figure 0007654464000001
上記化学反応式では、まず、トリエチルボランが溶媒(Sol)中に存在する酸素と反応して、ペルオキシルラジカルと、エチルラジカルとを生じる。次に、エチルラジカルがポリエチレンの水素原子を引き抜き、それによって発生したポリエチレンのラジカルが、グラフト分子のα-オレフィンを攻撃し、結合を形成する。
グラフト化させた後に、シート状成形体、延伸シート、又は多孔シートから、グラフト分子、並びにトリアルキルボラン又はトリアルキルボラン錯体を抽出して乾燥することを更に含んでもよい。
グラフト分子、並びにトリアルキルボラン又はトリアルキルボラン錯体の抽出に用いる溶剤としては、THF、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、酢酸エチル、アセトニトリル、DMSO、DMPなどの脱水溶媒が用いられる。
〈シート成形工程〉
シート成形工程では、ポリエチレン及び孔形成材を含む樹脂組成物を、押出機にてシート状に押出し、冷却固化させ、シート状成形体を成形する。ポリエチレンとしては、上記〈ポリエチレン〉の欄で説明した樹脂を使用することができる。孔形成材としては、可塑剤、無機材、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
可塑剤としては、ポリエチレンの融点以上で均一な溶液を形成し得る不揮発性溶媒を用いることが好ましい。このような不揮発性溶媒としては、例えば流動パラフィン、パラフィンワックス等の炭化水素類;フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル等のエステル類;並びにオレイルアルコール、及びステアリルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。可塑剤は、一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。可塑剤としては、好ましくは流動パラフィンである。流動パラフィンは、ポリエチレンとの相溶性が高く、シート状成形体を延伸しても樹脂と可塑剤との界面剥離が起こり難く、延伸がより均一になるため好ましい。
ポリエチレンと可塑剤との比率は、これらを均一に溶融混練して、シート状に成形できる範囲とする。例えば、樹脂組成物中の可塑剤の量は、樹脂組成物の合計質量を基準として、好ましくは20~90質量%、より好ましくは30~80質量%である。可塑剤の質量分率が90質量%以下であると、溶融物をシート状に成形する際の成形性が向上する。可塑剤の量が20質量%以上であると、樹脂組成物を高倍率で延伸した場合でもポリエチレン分子鎖の切断が起こりにくく、より均一かつ微細な孔構造を形成し易く、強度が高まる。
無機材としては、例えば、アルミナ、シリカ(珪素酸化物)、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、及び酸化鉄などの酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、及び窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレー、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、及びケイ砂等のセラミックス;並びにガラス繊維が挙げられる。無機材は、一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。無機材としては、電気化学的安定性の観点から、シリカ、アルミナ及びチタニアが好ましく、シート状成形体からの抽出が容易である点から、シリカがより好ましい。
樹脂組成物中の無機材の量は、樹脂組成物の合計質量を基準として、良好な隔離性を得る観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、高い強度を確保する観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
樹脂組成物は、ポリエチレン及び孔形成材以外の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、上記〈添加剤〉の欄に説明したものを使用することができる。樹脂組成物中の添加剤の量は、シャットダウン性能等の観点から、微多孔膜中の添加剤の量が、微多孔膜を構成する樹脂成分100質量部を基準として、好ましくは20質量部以下、例えば10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下になるような量である。
押出機としては、一軸押出機、二軸押出機等、任意の押出機を使用することができる。押出機によって溶融混練物をシート状に押出す。シート状に押出す方法としては、例えば、溶融混練物を、Tダイ等を介してシート状に押出す方法が挙げられる。Tダイのダイリップ間隔は、好ましくは200μm以上3,000μm以下、例えば500μm以上2,500μm以下であってよい。ダイリップ間隔が200μm以上であると、メヤニ等が低減され、スジ又は欠点などの膜品位への影響が少なく、その後の延伸工程において、膜破断などのリスクを低減することができる。一方、ダイリップ間隔が3,000μm以下であると、冷却速度が速く、冷却ムラを防げると共に、シートの厚み安定性を維持できる。
シート状に押出した溶融混練物を冷却固化して、シート状成形体を得る。冷却固化の方法としては、例えば、シート状の溶融混練物を熱伝導体に接触させて樹脂成分の結晶化温度より充分に低い温度まで冷却して固化する方法が挙げられる。熱伝導体としては、金属、水、及び空気等が挙げられる。熱伝導体としては、熱伝導効率が高いため金属が好ましく、製造効率等の観点から、金属製のロールを用いることがより好ましい。押出したシート状の溶融混練物を金属製のロールに接触させる際、少なくとも一対のロールで挟み込むことは、熱伝導効率がさらに高まると共に、シートが配向して膜強度が増し、シートの表面平滑性が向上する傾向にあるため更に好ましい。
シート状成形体を、任意に圧延してもよい。圧延は、例えば、ダブルベルトプレス機等を使用したプレス法により実施することができる。シート状成形体に圧延を施すことにより、特に表層部分の配向を増すことができる。圧延面倍率は1倍を超えて3倍以下であることが好ましく、1倍を超えて2倍以下であることがより好ましい。圧延倍率が1倍を超えると、面配向が増加し、最終的に得られる多孔膜の膜強度が増加する傾向にある。一方、圧延倍率が3倍以下であると、表層部分と中心内部の配向差が小さく、膜の厚さ方向に均一な多孔構造を形成することができる傾向にある。
〈延伸工程〉
延伸工程では、シート状成形体を延伸して、延伸シートを形成する。延伸は、一軸延伸、又は二軸延伸のいずれでもよい。得られる微多孔膜の強度を高める観点から、延伸は、二軸延伸であることが好ましい。シート状成形体を二軸方向に高倍率延伸すると、分子が面方向に配向し、得られる微多孔膜が裂け難くなり、高い突刺強度を有する微多孔膜が得られる。二軸延伸の方法としては、例えば同時二軸延伸、逐次二軸延伸、多段延伸、及び多数回延伸等の方法を挙げることができる。突刺強度の向上、延伸の均一性、シャットダウン性の観点から、同時二軸延伸が好ましい。面配向の制御容易性の観点からは遂次二軸延伸が好ましい。
同時二軸延伸とは、MD(微多孔膜連続成形の機械方向)の延伸とTD(微多孔膜のMDを90°の角度で横切る方向)の延伸が同時に施される延伸方法をいい、各方向の延伸倍率は異なってもよい。逐次二軸延伸とは、MD及びTDの延伸が独立して施される延伸方法をいい、MD又はTDに延伸がなされているときは、他方向は非拘束状態又は定長に固定されている。
二軸延伸の場合、面倍率は、好ましくは20倍以上250倍以下、より好ましくは20倍以上100倍以下、更に好ましくは25倍以上70倍以下である。面倍率が20倍以上であると、微多孔膜の強度の点で好ましい。面倍率が200倍以下であると、延伸工程における膜破断を低減し、生産性の点で好ましい。各方向の延伸倍率は、好ましくはMDに4倍以上10倍以下、かつTDに4倍以上10倍以下、より好ましくはMDに5倍以上8倍以下、かつTDに5倍以上8倍以下である。なお、延伸倍率は、延伸操作後の微多孔膜の寸法を延伸操作前の微多孔膜の寸法で除した値のことである。面倍率は、MDの延伸倍率とTDの延伸倍率を乗じた値のことである。
〈多孔化工程〉
多孔化工程では、延伸シートから孔形成材を抽出して多孔シートを形成する。抽出方法としては、例えば、抽出溶剤にシートを浸漬して孔形成材を抽出し、乾燥させる方法が挙げられる。抽出方法は、バッチ式と連続式のいずれであってもよい。シートの収縮を抑えるために、浸漬及び乾燥の一連の工程中に、シートの端部を拘束することが好ましい。また、得られる多孔シート中の孔形成材の残存量は、多孔シートの合計質量を基準として、1質量%未満に調整することが好ましい。
抽出溶剤としては、ポリエチレンに対して貧溶媒であり、かつ孔形成材に対して良溶媒であり、沸点がポリエチレンの融点より低い溶剤であることが好ましい。このような抽出溶剤としては、例えば、n-ヘキサン、及びシクロヘキサン等の炭化水素類;塩化メチレン、及び1,1,1-トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ハイドロフルオロエーテル、及びハイドロフルオロカーボン等の非塩素系ハロゲン化溶剤;エタノール、及びイソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、及びテトラヒドロフラン等のエーテル類;並びにアセトン、及びメチルエチルケトン等のケトン類が挙げられる。なお、これらの抽出溶剤は、蒸留等の操作により回収して再利用してよい。孔形成材として無機材を用いる場合には、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウム等のアルカリ性水溶液を抽出溶剤として用いることができる。
〈熱処理工程〉
熱処理工程では、多孔シートを熱処理し、幅方向に延伸及び緩和を行う。熱処理工程によって、多孔シートが熱固定され、シートの収縮を抑制することができる。熱処理は、物性の調整を目的とした延伸操作、及び延伸応力の低減を目的とした緩和操作を含む。延伸操作を行った後に緩和操作を行ってもよく、緩和操作を行った後に延伸操作を行ってもよい。熱処理は、テンター又はロール延伸機を用いて行うことができる。
延伸又は緩和操作などを含む熱処理の温度は、グラフト化学種が変性しやすい結晶構造の観点から、100℃~170℃の範囲内であることが好ましい。延伸、及び緩和操作の温度が上記範囲であると、熱収縮率の低減と気孔率とのバランスの観点から好ましい。熱処理温度の下限は、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは115℃以上であり、その上限は、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは150℃以下、より更に好ましくは140℃以下である。
延伸操作は、微多孔膜をMD及び/又はTDへ延伸する操作のことである。延伸操作は、MD及びTDの両方向で行ってもよいが、MD及びTDのうち片方だけ行ってもよい。延伸倍率は、延伸操作後の微多孔膜の寸法を延伸操作前の微多孔膜の寸法で除した値のことである。延伸倍率は、高強度かつ高気孔率な微多孔膜が得られる観点から、微多孔膜のMD及び/又はTDに、それぞれ、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上である。
緩和操作は、微多孔膜のMD及び/又はTDへの縮小操作のことである。緩和操作は、MD及びTDの両方向で行ってもよいが、MD及びTDのうち片方だけ行ってもよい。緩和率とは、緩和操作後の微多孔膜の寸法を緩和操作前の微多孔膜の寸法で除した値のことである。なお、MD及びTDの双方を緩和した場合は、MDの緩和率とTDの緩和率を乗じた値を意味する。緩和率は、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.97以下、更に好ましくは0.95以下である。
延伸及び緩和操作は、好ましくはTDに行う。延伸及び緩和操作における温度は、ポリエチレンの融点より低いことが好ましく、ポリエチレンの融点より1℃低い温度~25℃低い温度の範囲であることがより好ましい。延伸及び緩和操作における温度が上記範囲内であると、微多孔膜の熱収縮の低減と気孔率とのバランスの観点から好ましい。
〈後処理〉
微多孔膜に体して、界面活性剤等による親水化処理、電離性放射線等による架橋処理等の後処理を任意に行ってもよい。
《蓄電デバイス》
本開示の蓄電デバイス用セパレータは、蓄電デバイスのセパレータとして使用することができる。本開示の蓄電デバイスは、正極と、負極と、正極及び負極との間に本開示の蓄電デバイス用セパレータを含む。蓄電デバイスとしては、例えば電池、コンデンサー、好ましくはリチウムイオン二次電池等が挙げられる。
蓄電デバイスは電解液を含み、正極、負極及び蓄電デバイス用セパレータは、電解液に含浸されている。電解液は、水分を含んでよく、そして電池作製後の系内に含まれる水分は、電解液に含有される水分、又は電極若しくはセパレータ等の部材に含まれた持ち込み水分であってもよい。電解液は、非水系溶媒を含むことができる。本開示の非水系溶媒に含まれる溶媒として、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類;非プロトン性溶媒等が挙げられる。中でも、非水系溶媒としては、非プロトン性溶媒が好ましい。
非プロトン性溶媒としては、例えば、環状カーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ラクトン、硫黄原子を有する有機化合物、鎖状フッ素化カーボネート、環状エーテル、モノニトリル、アルコキシ基置換ニトリル、ジニトリル、環状ニトリル、短鎖脂肪酸エステル、鎖状エーテル、フッ素化エーテル、ケトン、上記非プロトン性溶媒のH原子の一部または全部をハロゲン原子で置換した化合物等が挙げられる。
環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、トランス-2,3-ブチレンカーボネート、シス-2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、トランス-2,3-ペンチレンカーボネート、シス-2,3-ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、4,5-ジメチルビニレンカーボネート、及びビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。
フルオロエチレンカーボネートとしては、例えば、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,4-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、シス-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、トランス-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,4,5-トリフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,4,5,5-テトラフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、及び4,4,5-トリフルオロ-5-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン等が挙げられる。
ラクトンとしては、例えば、γ-ブチロラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-カプロラクトン、及びε-カプロラクトン等が挙げられる。
硫黄原子を有する有機化合物としては、例えば、エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、ブチレンサルファイト、ペンテンサルファイト、スルホラン、3-スルホレン、3-メチルスルホラン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1-プロペン1,3-スルトン、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、及びエチレングリコールサルファイト等が挙げられる。
鎖状カーボネートとしては、例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート等が挙げられる。
環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、及び1,3-ジオキサン等が挙げられる。
モノニトリルとしては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、及びアクリロニトリル等が挙げられる。
アルコキシ基置換ニトリルとしては、例えば、メトキシアセトニトリル及び3-メトキシプロピオニトリル等が挙げられる。
ジニトリルとしては、例えば、マロノニトリル、スクシノニトリル、メチルスクシノニトリル、グルタロニトリル、2-メチルグルタロニトリル、アジポニトリル、1,4-ジシアノヘプタン、1,5-ジシアノペンタン、1,6-ジシアノヘキサン、1,7-ジシアノヘプタン、2,6-ジシアノヘプタン、1,8-ジシアノオクタン、2,7-ジシアノオクタン、1,9-ジシアノノナン、2,8-ジシアノノナン、1,10-ジシアノデカン、1,6-ジシアノデカン、及び2,4-ジメチルグルタロニトリル、エチレングリコールビス(プロピオニトリル)エーテル等が挙げられる。
環状ニトリルとしては、例えば、ベンゾニトリル等が挙げられる。
短鎖脂肪酸エステルとしては、例えば、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、イソ酪酸メチル、酪酸メチル、イソ吉草酸メチル、吉草酸メチル、ピバル酸メチル、ヒドロアンゲリカ酸メチル、カプロン酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、イソ酪酸エチル、酪酸エチル、イソ吉草酸エチル、吉草酸エチル、ピバル酸エチル、ヒドロアンゲリカ酸エチル、カプロン酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸プロピル、イソ酪酸プロピル、酪酸プロピル、イソ吉草酸プロピル、吉草酸プロピル、ピバル酸プロピル、ヒドロアンゲリカ酸プロピル、カプロン酸プロピル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸イソプロピル、イソ酪酸イソプロピル、酪酸イソプロピル、イソ吉草酸イソプロピル、吉草酸イソプロピル、ピバル酸イソプロピル、ヒドロアンゲリカ酸イソプロピル、カプロン酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、イソ酪酸ブチル、酪酸ブチル、イソ吉草酸ブチル、吉草酸ブチル、ピバル酸ブチル、ヒドロアンゲリカ酸ブチル、カプロン酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸イソブチル、イソ酪酸イソブチル、酪酸イソブチル、イソ吉草酸イソブチル、吉草酸イソブチル、ピバル酸イソブチル、ヒドロアンゲリカ酸イソブチル、カプロン酸イソブチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、イソ酪酸tert-ブチル、酪酸tert-ブチル、イソ吉草酸tert-ブチル、吉草酸tert-ブチル、ピバル酸tert-ブチル、ヒドロアンゲリカ酸tert-ブチル、及びカプロン酸tert-ブチル等が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、例えば、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3-ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、及びテトラグライム等が挙げられる。フッ素化エーテルとしては、例えば、一般式Rfaa-ORbb(式中、Rfaaは、フッ素原子を含有するアルキル基であり、かつRbbは、フッ素原子を含有してよい有機基である)で表される化合物等が挙げられる。ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等が挙げられる。
上記非プロトン性溶媒のH原子の一部または全部をハロゲン原子で置換した化合物としては、例えば、ハロゲン原子がフッ素である化合物等を挙げることができる。
ここで、鎖状カーボネートのフッ素化物としては、例えば、メチルトリフルオロエチルカーボネート、トリフルオロジメチルカーボネート、トリフルオロジエチルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、メチル2,2-ジフルオロエチルカーボネート、メチル2,2,2-トリフルオロエチルカーボネート、メチル2,2,3,3-テトラフルオロプロピルカーボネートが挙げられる。上記のフッ素化鎖状カーボネートは、下記の一般式:
cc-O-C(O)O-Rdd
{式中、Rcc及びRddは、CH、CHCH、CHCHCH、CH(CH、及び式CHRfee(式中、Rfeeは、少なくとも1つのフッ素原子で水素原子が置換された炭素数1~3のアルキル基である)で表される基から成る群より選択される少なくとも一つであり、そしてRcc及び/又はRddは、少なくとも1つのフッ素原子を含有する。}
で表すことができる。
また、短鎖脂肪酸エステルのフッ素化物としては、例えば、酢酸2,2-ジフルオロエチル、酢酸2,2,2-トリフルオロエチル、酢酸2,2,3,3-テトラフルオロプロピルに代表されるフッ素化短鎖脂肪酸エステルが挙げられる。フッ素化短鎖脂肪酸エステルは、下記の一般式:
ff-C(O)O-Rgg
{式中、Rffは、CH、CHCH、CHCHCH、CH(CH、CFCFH、CFH、CFH、CFRfhh、CFHRfhh、及びCHRfiiから成る群より選択される少なくとも一つであり、Rggは、CH、CHCH、CHCHCH、CH(CH、及びCHRfiiから成る群より選択される少なくとも一つであり、Rfhhは、少なくとも1つのフッ素原子で水素原子が置換されてよい炭素数1~3のアルキル基であり、Rfiiは、少なくとも1つのフッ素原子で水素原子が置換された炭素数1~3のアルキル基であり、そしてRff及び/又はRggは、少なくとも1つのフッ素原子を含有し、RffがCFHである場合、RggはCHではない}で表すことができる。
以下、実施例及び比較例により本開示の実施形態を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
《測定及び評価方法》
〈微多孔膜の膜厚(μm)〉
微多孔膜から10cm×10cm角の試料を切り取り、格子状に9箇所(3点×3点)を選んで、微小測厚器(株式会社東洋精機製作所 タイプKBM)を用いて、室温23±2℃で微多孔膜の膜厚を測定した。得られた9箇所の測定値の平均値を、微多孔膜の膜厚(μm)として算出した。
〈質量換算強度(gf/g)〉
微多孔膜から10cm×10cm角の試料を切り取り、その重さ(g)を計測した後、中心部での突刺強度(gf)を計測し、下記式から質量換算強度(gf/g)を算出した。
質量換算強度(gf/g)=突刺強度(gf)/重さ(g)
なお、突刺強度は、ハンディー圧縮試験器「KES-G5」(カトーテック製、商標)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secの条件で試料膜の突刺試験を行うことにより求めた。
〈微多孔膜の気孔率(%)〉
微多孔膜から10cm×10cm角のサンプルを切り取り、その体積(cm)及び質量(g)を求めた。これらの値を用い、微多孔膜の密度を0.95(g/cm)として、気孔率を下記数式により計算した。
気孔率(%)=(1-質量/体積/0.95)×100
〈微多孔膜の透気度(秒/100cc)〉
透気度は、JIS P-8117に準拠して、株式会社東洋精機製作所製ガーレー式透気度計G-B2(商標、内筒質量:567g)を用いて、645mmの面積(直径28.6mmの円)を有する微多孔膜について、空気100ccが通過する時間(秒)を透気度(秒/100cc)として測定した。
〈電解液中での圧縮前後の体積回復率(%)〉
微多孔膜から10cm×10cm角のサンプルを切り取り、下記〈評価用電池の作製〉、項目cに記載の非水電解液を含侵させた状態で、60℃に加熱させたホットプレス機で3分間、10MPaで圧縮させた後、圧力を解除し、10分間放置後、エタノール、アセトンの順に電解液を洗浄し、風乾した。以上の操作で得られた微多孔膜を、上記〈微多孔膜の膜厚(μm)〉に記載の方法に従って、その厚みを測定した。なお、サンプル内で任意の25点を計測した平均値を用いた。
電解液中での圧縮前後の体積回復率(%)=100×(電解液膨潤状態での圧縮操作後の厚み/電解液膨潤状態での圧縮操作前の厚み)
〈パルスNMR〉
パルスNMR測定装置(ブルカージャパン社製 Мinispec МQ20)を用い、以下の条件で微多孔膜の全プロトンのスピン-スピン緩和時間(T緩和時間)を観測した。
(1)ソリッドエコー法の条件
核種:1H
測定:T
測定温度:120℃(設定温度に達してから5分後に測定)
積算回数:256回
繰り返し時間:5.0sec
測定開始時(パルスを切った直後、数μsec)における最大の観測強度を基準(100%)として、各実施例及び比較例の測定開始から0.2msec、及び0.8msecにおける信号強度の割合を観測した。なお、検出信号強度が2.0%以下の場合は、前後±0.1msecの平均値を採用した。
(2)CPMG法の条件
核種:1H
測定:T2
測定温度:180℃(設定温度に達してから5分後に測定)
積算回数:256回
パルス感覚:0.1 msec
エコー数:800回
繰り返し時間:5.0sec
CPMG法においても、上記ソリッドエコー法と同様にして、各実施例及び比較例の測定開始から40msec、及び140msecにおける信号強度の割合を観測した。パルスNMRは、電池に組み込む前のセパレータ、及び電池組み込んだ後のセパレータで測定することができる。電池に組み込んだ後のセパレータは、グラフトの化学反応が進行した後の状態である場合がある。なお、電池に組み込んだ後のセパレータを測定する場合、電池から取り出したセパレータを、エタノール、アセトンで複数回洗浄し、電解液、電解質を十分に洗い取り、真空乾燥を行った後に測定を行う。また、無機物含有塗工層、樹脂バインダー含有塗工層、樹脂組成物含有塗工層等が複合化されたセパレータの場合、溶剤による洗浄を行い、層構造からPEを主成分とする微多孔膜を分離した後に測定を行う。なお、パルスNMRの測定に関しては、非特許文献4~6を参考にすることができる。
〈重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)〉
Waters社製 ALC/GPC 150C型(商標)を用い、標準ポリスチレンを以下の条件で測定して較正曲線を作成した。また、下記各ポリマーについて同様の条件でクロマトグラムを測定し、較正曲線に基づいて、下記方法により各ポリマーの重量平均分子量と数平均分子量を算出した。
カラム :東ソー製 GMH6-HT(商標)2本+GMH6-HTL(商標)2本
移動相 :o-ジクロロベンゼン
検出器 :示差屈折計
流速 :1.0ml/min
カラム温度:140℃
試料濃度 :0.1wt%
(ポリエチレン及びポリプロピレンの重量平均分子量と数平均分子量)
得られた較正曲線における各分子量成分に、0.43(ポリエチレンのQファクター/ポリスチレンのQファクター=17.7/41.3)又は0.64(ポリプロピレンのQファクター/ポリスチレンのQファクター=26.4/41.3)を乗じることにより、ポリエチレン換算又はポリプロピレン換算の分子量分布曲線を得て、重量平均分子量と数平均分子量を算出した
〈粘度平均分子量(Mv)〉
ASTM-D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η]を求めた。
ポリエチレンのMvを次式により算出した。
[η]=6.77×10-4Mv0.67
ポリプロピレンのMvを次式により算出した。
[η]=1.10×10-4Mv0.80
〈評価用電池の作製〉
a.正極の作製
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoOを92.2質量%、導電材としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3質量%、及びバインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2質量%をN-メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗布し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、正極の活物質塗布量は250g/m、活物質嵩密度は3.00g/cmになるように調整した。
b.負極の作製
負極活物質として人造グラファイト81.9質量%、エルケム製シリコン粒子15質量%(Silgrain e-Si408)及びバインダとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%とスチレン-ブタジエン共重合体ラテックス1.7質量%を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。このとき、負極の活物質塗布量は106g/m、活物質嵩密度は1.35g/cmになるように調整した。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0mol/Lとなるように溶解させて調製した。
d.電池組立
実施例及び比較例で得られたセパレータを直径18mm、正極及び負極を直径16mmの円形に切り出し、正極と負極の活物質面が対向するように、28対向の正極、セパレータ、負極のセットに重ね、蓋付きステンレス金属製容器に収納した。容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミニウム箔と接していた。この容器内に、上記c.で得られた非水電解液を注入して密閉した。室温にて1日放置した後、25℃雰囲気下、3mA(0.5C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を3mAから絞り始めるという方法で、合計6時間、電池作製後の最初の充電を行った。続いて、3mA(0.5C)の電流値で電池電圧3.0Vまで放電した。
〈電池の1000回目サイクル特性維持率(%)〉
上記a~dに従って組み立てた電池を用いて、サイクル特性の評価を行った。得られた電池の充放電は、40℃雰囲気下で1000サイクル実施した。充電は6.0mA(1.0C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を6.0mAから絞り始めるという方法で、合計3時間充電した。放電は6.0mA(1.0C)の電流値で電池電圧3.0Vまで放電した。1000サイクル目の放電容量と1サイクル目の放電容量から、容量維持率を算出した。容量維持率が高い場合、良好なサイクル特性を有するものと評価した。
〈1000回目サイクル特性後釘刺し試験合格率(%)〉
上記1000サイクルの充放電を実施した電池を、温調可能な防爆ブース内の鉄板上に静置した。電池の中央部に、防爆ブース内の温度を40℃に設定し、直径3.0mmの鉄製釘を、2mm/secの速度で貫通させ、釘は貫通した状態で維持した。釘内部に、釘が貫通した後電池内部の温度が測定できるように設置した熱電対の温度を測定し、発火の有無を評価した。
同様の手法により新たに作製した電池を用いて評価を繰り返し、発火に至らなかった(発火なし)サンプル数を、下記式により%値で算出した。評価では、各セパレータを用いて、100個の電池を作成して実施した。
評価結果(%)=(100×発火に至らなかったサンプル数/総サンプル数)
《実施例1》
[製膜例]
(シート成型工程)
原料のポリエチレンとして、重量平均分子量1,900,000、粘度平均分子量2,300,000のホモポリマーのポリエチレン(超高分子量ポリエチレン)を用いた。当該ポリエチレンに、酸化防止剤としてペンタエリスリチル-テトラキス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量%添加し、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。得られた混合物を、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-5/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。押出機内で混合物と流動パラフィンを溶融混練し、押し出されるポリエチレン組成物中に占める流動パラフィン量比が70質量%となるように(即ち、ポリマー濃度が26質量%となるように)、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度230℃、スクリュー回転数240rpm、及び吐出量18kg/hであった。続いて、溶融混練物を、T-ダイを経て表面温度20℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、原反膜厚1750μmのゲルシート(シート状成型体)を得た。
(延伸工程)
次に、ゲルシートを同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行い、延伸物(延伸シート)を得た。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率7.14倍(即ち、7×7.14倍=49.98倍≒50倍)、二軸延伸温度115℃とした。
(多孔体形成工程)
次に、延伸後のゲルシートをジクロロメタン槽に導き、ジクロロメタン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後ジクロロメタンを乾燥除去し、多孔体(多孔シート)を得た。
(熱処理工程)
次に、熱固定(HS)を行なうべく多孔体をTDテンターに導き、熱固定温度129℃でTD方向に延伸倍率2.0倍でHSを行い、その後、TD方向に0.9倍の緩和操作を行った(すなわち、熱処理工程前を基準として、TD方向へ2.0倍延伸した後に、1.8倍まで緩和操作をした)。
(グラフト化する工程)
上記熱処理工程で得られた膜を、トリメトキシビニルシラン(10Wt%)、トリエチルボラン(1mol/l)含有THF溶液槽に導き、槽の下部から空気をバブリングしながら、グラフト化反応を行った。続いて、THFで未反応のトリメトキシビニルシランや触媒のトリエチルボランを洗浄し、その後、THFを乾燥除去し、ヘテロ原子含有官能基グラフト化膜を得た。その後、得られた微多孔膜について、端部を裁断し、幅1,100mm、長さ5,000mのマザーロールとして巻き取った。
《実施例2~14》
表1及び2に示すように条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、蓄電デバイス用セパレータを得た。
《比較例1~4》
表3に示すように条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、蓄電デバイス用セパレータを得た。なお、比較例1及び2は、それぞれ酸素濃度が「0%」、ボランが「なし」であるため、蓄電デバイス用セパレータの表面にヘテロ原子含有官能基がグラフトされなかった。
Figure 0007654464000002
Figure 0007654464000003
Figure 0007654464000004
《実施例15》
[製膜例]
(シート成型工程)
原料のポリエチレンとして、重量平均分子量2,100,000、粘度平均分子量2,370,000のホモポリマーのポリエチレン(超高分子量ポリエチレン)を用いた。当該ポリエチレンに、酸化防止剤としてペンタエリスリチル-テトラキス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量%添加し、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。得られた混合物を、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10-5/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。押出機内で混合物と流動パラフィンを溶融混練し、押し出されるポリエチレン組成物中に占める流動パラフィン量比が70質量%となるように(即ち、ポリマー濃度が25質量%となるように)、フィーダー及びポンプを調整した。溶融混練条件は、設定温度230℃、スクリュー回転数240rpm、及び吐出量18kg/hであった。続いて、溶融混練物を、T-ダイを経て表面温度20℃に制御された冷却ロール上に押出しキャストすることにより、原反膜厚1800μmのゲルシート(シート状成型体)を得た。
(延伸工程)
次に、ゲルシートを同時二軸テンター延伸機に導き、二軸延伸を行い、延伸物(延伸シート)を得た。設定延伸条件は、MD倍率7.0倍、TD倍率6.9倍(即ち、7×6.9倍=48.3倍)、二軸延伸温度115℃とした。
(多孔体形成工程)
次に、延伸後のゲルシートをジクロロメタン槽に導き、ジクロロメタン中に充分に浸漬して流動パラフィンを抽出除去し、その後ジクロロメタンを乾燥除去し、多孔体(多孔シート)を得た。
(熱処理工程)
次に、熱固定(HS)を行なうべく多孔体をTDテンターに導き、熱固定温度129℃でTD方向に延伸倍率2.0倍でHSを行い、その後、TD方向に0.9倍の緩和操作を行った(すなわち、熱処理工程前を基準として、TD方向へ2.0倍延伸した後に、1.8倍まで緩和操作をした)。
(グラフト化する工程)
上記熱処理工程で得られた膜を、トリメトキシシラン(8Wt%)、トリエチルボラン(1mol/l)含有THF溶液槽に導き、槽の下部から空気をバブリングしながら、グラフト化反応を行った。続いて、THFで未反応のトリメトキシビニルシランや触媒のトリエチルボランを洗浄し、その後、THFを乾燥除去し、ヘテロ原子含有官能基グラフト化膜を得た。その後、得られた微多孔膜について、端部を裁断し、幅1,100mm、長さ5,000mのマザーロールとして巻き取った。
《実施例16~36》
表4~6に示すように条件を変更したこと以外は、実施例15と同様にして、蓄電デバイス用セパレータを得た。
《比較例5及び6》
表6に示すように条件を変更したこと以外は、実施例15と同様にして、蓄電デバイス用セパレータを得た。
Figure 0007654464000005
Figure 0007654464000006
Figure 0007654464000007
本開示の蓄電デバイス用セパレータは、例えば、蓄電デバイスのセパレータとして利用することができる。蓄電デバイスとしては、例えば電池、コンデンサー、好ましくはリチウムイオン二次電池等が挙げられる。
10 微多孔膜のPE高分子高次構造
20 ヘテロ原子含有官能基
30 架橋構造
40 キレート錯体構造
50 電極

Claims (5)

  1. ポリエチレンを50質量%以上含有する微多孔膜を有する蓄電デバイス用セパレータであって、前記蓄電デバイス用セパレータの膜厚が2~50μm、質量換算強度が3,000gf/g~150,000gf/g、透気度が10秒/100cc~500秒/100cc、気孔率が25%~90%であって、120℃でのソリッドエコー法を用いたパルスNMR測定の全プロトンのスピン-スピン緩和時間(T緩和時間)の観測において、観測開始後0.2msecにおける信号強度の割合が、観測開始時の信号強度を基準として0.2%~40%であり、かつ観測開始後に0.8msecにおける信号強度の割合が、観測開始時の信号強度を基準として0.05%~10%であり、
    前記微多孔膜に存在する前記ポリエチレンが、一種以上のヘテロ原子含有官能基でグラフト化された、蓄電デバイス用セパレータ。
  2. ポリエチレンを50質量%以上含有する微多孔膜を有する蓄電デバイス用セパレータであって、前記蓄電デバイス用セパレータの膜厚が2~50μm、質量換算強度が3,000gf/g~150,000gf/g、透気度が10秒/100cc~500秒/100cc、気孔率が25%~90%であって、180℃でのCPMG法を用いたパルスNMR測定の全プロトンのスピン-スピン緩和時間(T緩和時間)の観測において、観測開始後40msecにおける信号強度の割合が、観測開始時の信号強度を基準として5%~30%であり、かつ観測開始後140msecにおける信号強度の割合が、観測開始時の信号強度を基準として1.5%~20%であり、
    前記微多孔膜に存在する前記ポリエチレンが、一種以上のヘテロ原子含有官能基でグラフト化された、蓄電デバイス用セパレータ。
  3. 前記一種以上のヘテロ原子含有官能基は、以下:
    自己縮合反応する一種のヘテロ原子含有官能基;
    縮合反応する二種以上の異なるヘテロ原子含有官能基の組み合わせ;
    金属イオンを介してキレート錯体構造を形成する一種類以上のヘテロ原子含有官能基;
    前記微多孔膜の表面に接する蓄電デバイス内の他の部材に含まれる化合物と、配位結合、イオン結合、水素結合、及び共有結合のうちいずれかの結合を形成する、一種以上のヘテロ原子含有官能基;及び
    一段階以上の安定な酸化もしくは還元において安定な構造を持つ一種以上のヘテロ原子含有官能基
    からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  4. 前記一種以上のヘテロ原子含有官能基は、アルコキシシラン基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、カルボキシ基、エーテル基、及びアミンオキシド基からなる群から選択される少なくとも一つを有する、請求項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  5. 正極と、負極と、前記正極及び負極の間に請求項1~のいずれか一項に記載の蓄電デバイス用セパレータとを含む、蓄電デバイス。
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