<電子機器(第1構成例及び第2構成例)>
図1及び図2は、それぞれ、交流電圧V0の供給を受けて動作する電子機器の第1構成例(通常整流方式)及び第2構成例(倍電圧整流方式)を示す図である。各構成例の電子機器10は、それぞれ、フィルタ11と、整流部12と、AC/DCコンバータ13と、DC/DCコンバータ14と、マイコン15と、ドライバ16と、モータ17と、ゼロクロス検出回路18と、を有する。
フィルタ11は、L(ライブ)端子とN(ニュートラル)端子との間に入力される交流電圧V0(例えばAC80V~264V)からノイズやサージを除去して、L1端子とN1端子との間に出力する。なお、フィルタ11の前段には、フューズなどの保護素子を設けてもよい。
整流部12は、フィルタ11を介して入力されるフィルタリング処理済みの交流電圧V0を通常整流または倍電圧整流して整流電圧V1(例えばDC100V~450V)を生成し、これをAC/DCコンバータ13、モータ17、及び、ゼロクロス検出回路18に供給する回路ブロックであり、ダイオード12a~12dと、キャパシタ12e(通常整流方式)またはキャパシタ12f及び12g(倍電圧整流方式)と、を含む。
なお、通常整流方式(図1)は、商用交流電源が200V系であることの多い海外で主流の整流方式である。一方、倍電圧整流方式(図2)は、商用交流電源が100V系である日本国内で主流の整流方式である。
ダイオード12aのカソードとダイオード12cのアノードは、いずれもL1端子に接続されている。ダイオード12bのカソードとダイオード12dのアノードは、いずれもN1端子に接続されている。ダイオード12c及び12dそれぞれのカソードは互いに接続されており、その接続ノードは、整流電圧V1の出力端に相当する。ダイオード12a及び12bそれぞれのアノードは互いに接続されており、その接続ノードは、マイコン15やゼロクロス検出回路18と共通の接地端GNDに接続されている。このように、ダイオード12a~12dは、ダイオードブリッジを形成するように接続されており、フィルタリング処理済みの交流電圧V0を全波整流して整流電圧V1を生成する。
また、整流部12で通常整流方式が採用される場合には、図1で示したように、整流電圧V1の出力端と接地端GNDとの間に、単一のキャパシタ12eが接続される。一方、整流部12で倍電圧整流方式が採用される場合には、図2で示したように、整流電圧V1の出力端と接地端GNDとの間に、キャパシタ12f及び12gが直列に接続される。なお、キャパシタ12f及び12g相互間の接続ノードは、L1端子に接続される。
AC/DCコンバータ13は、交流電圧V0を整流して得られた整流電圧V1から所望の第1直流電圧V3(例えばDC13.0V~18.0V)を生成し、これをDC/DCコンバータ14、ドライバ16、及び、ゼロクロス検出回路18に出力する。
DC/DCコンバータ14は、第1直流電圧V3から所望の第2直流電圧V4(例えばDC5.0V)を生成し、これをマイコン15などに出力する。
マイコン15は、第2直流電圧V4の供給を受けて動作し、ゼロクロス検出回路18の検出結果(=ACOUT信号S1とDCOUT信号S2)に応じてモータ17の駆動制御を行うように、モータ制御信号S3を生成する。
ドライバ16は、第1直流電圧V3の供給を受けて動作し、モータ制御信号S3に応じてモータ駆動信号S4を生成する。
モータ17は、整流電圧V1の供給を受けて動作し、モータ駆動信号S4に応じて回転駆動する負荷の一種である。
ゼロクロス検出回路18は、交流電圧V0のゼロクロス(=交流電圧V0と接地電位との交差点)を検出する回路ブロックであり、半導体集積回路装置100と、これに外付けされるダイオードD1及びキャパシタC1と、を有する。
半導体集積回路装置100は、ゼロクロス検出回路18を形成する回路要素の少なくとも一部(詳細は後述)を集積化して成るICないしLSIであり、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、7本の外部端子(1ピン~7ピン)を有する。
1ピン(ACOUTピン)は、ACOUT信号S1の出力端子であり、マイコン15に接続されている。2ピン(DCOUTピン)は、DCOUT信号S2の出力端子であり、マイコン15に接続されている。3ピン(GNDピン)は、接地端子であり、マイコン15と共通の接地端GNDに接続されている。すなわち、半導体集積回路装置100(延いてはこれを用いたゼロクロス検出回路18)は、マイコン15と共通の接地電圧を基準として動作する。4ピン(VCCピン)は、電源端子であり、AC/DCコンバータ13の出力端(=第1直流電圧V3の出力端)に接続されている。なお、キャパシタC1は、4ピンと3ピンとの間に接続されている。
5ピン(VHDCピン)は、DC入力端子であり、整流部12の出力端(=整流電圧V1の印加端)に接続されている。6ピン(N.C.[non-connection]ピン)は、不使用端子であり、半導体集積回路装置100の外部において、どこにも接続されていない。7ピン(VHACピン)は、AC入力端子であり、ダイオードD1のカソード(=監視対象電圧V2の印加端に相当)に接続されている。なお、ダイオードD1のアノードは、N1端子(またはL1端子でも可)に接続されている。
このように、本構成例のゼロクロス検出回路18は、先の従来例(図38)と異なり、僅か3点の実装部品(半導体集積回路装置100、ダイオードD1、及び、キャパシタC1)だけで、交流電圧V0のゼロクロスを検出するものである。従って、待機電力の削減(1W→十数mW)、プリント基板の縮小(数百mm2→数十mm2)、ないしは、負荷駆動制御の精度向上といった効果を享受することができるので、市場動向や顧客ニーズに即した電子機器10を提供することが可能となる。
ただし、本構成例のゼロクロス検出回路18を実現するためには、(1)フォトカプラを使用できない、(2)L-N端子間以外の監視ではゼロクロスが変動する、(3)通常整流方式と倍電圧整流方式ではゼロクロスの検出ポイントが異なる、といった技術課題を解決する必要がある。
特に、上記の技術課題(2)及び(3)について、図面を参照しながら詳述する。図3は、整流方式と各部電圧との関係を示す図であり、上から順に、交流電圧V0、整流電圧V1、及び、監視対象電圧V2の波形が示されている。
例えば、交流電圧V0が+1.41ACと-1.41ACとの間で変動する正弦波形である場合において、整流部12で通常整流方式(図1)が採用されているときには、本図の左側で示したように、整流電圧V1が+1.41AC近傍で脈動するDC波形となり、監視対象電圧V2が+1.41ACと0Vとの間で変動する半波整流波形となる。一方、整流部12で倍電圧整流方式(図2)が採用されているときには、本図の右側で示したように、整流電圧V1が+1.41AC×2近傍で脈動するDC波形となり、監視対象電圧V2が+1.41AC×2と0Vとの間で変動する正弦波形となる。
このように、監視対象電圧V2は、交流電圧V0と異なる波形となり、負荷状態によっては、その波形に歪みを生じることもあり得る。すなわち、監視対象電圧V2のゼロクロスが交流電圧V0のゼロクロスから変動していることも想定される。そのため、監視対象電圧V2のゼロクロスを検出する構成では、交流電圧V0のゼロクロスを正しく検出することができないおそれがある。
また、監視対象電圧V2のゼロクロスを検出しようとする場合、その検出ポイントは、通常整流方式なら0Vとの交差点となり、倍電圧整流方式なら+1.41ACとの交差点となる。そのため、監視対象電圧V2のゼロクロスを検出する構成では、整流方式に応じて検出ポイントを切り替えなければならず、双方の整流方式に対応することが難しい。
以下では、半導体集積回路装置100の実施形態を例に挙げながら、これらの技術課題(1)~(3)がいずれも解決されていることを説明する。
<半導体集積回路装置(第1実施形態)>
図4は、半導体集積回路装置100の第1実施形態を示す図である。本実施形態の半導体集積回路装置100は、AC監視部110と、ピーク検出部120と、ゼロクロス検出部130と、第1出力部140と、DC監視部150と、第2出力部160と、減電圧保護部170と、を集積化して成る。
AC監視部110は、7ピン(VHACピン)に入力される監視対象電圧V2(=交流電圧V0が印加されるN1端子からダイオードD1を介して入力される監視対象信号に相当)から、ピーク検出部120への入力に適合したACモニタ信号Saを生成する高耐圧(例えば650V耐圧)の回路部である。
ピーク検出部120は、ACモニタ信号Sa(延いては監視対象電圧V2)のピークを検出してピーク検出信号Sbを生成する。
ゼロクロス検出部130は、ピーク検出信号Sbから交流電圧V0のゼロクロスを推定してゼロクロス検出信号Scを生成するロジック回路である。
第1出力部140は、ゼロクロス検出信号Scの入力を受け付けてACOUT信号S1を生成し、これを1ピン(ACOUTピン)に出力する。
DC監視部150は、5ピン(VHDCピン)に入力される整流電圧V1からDCモニタ信号Sxを生成する高耐圧(例えば650V耐圧)の回路ブロックである。
第2出力部160は、DCモニタ信号Sxの入力を受け付けてDCOUT信号S2を生成し、これを2ピン(DCOUTピン)に出力する。
なお、DCモニタ信号SxをDCOUT信号S2としてスルー出力する場合には、第2出力部160を割愛しても構わない。また、DCモニタ機能自体が必要ないのであれば、DC監視部150、第2出力部160、2ピン(DCOUTピン)、及び、5ピン(VHDCピン)を全て割愛することも可能である。
減電圧保護部170は、4ピン(VCC)に入力される第1直流電圧V3が下限値を下回っているときに、半導体集積回路装置100の動作を禁止する保護機能部(いわゆるUVLO[under voltage lock-out]保護部)である。
<AC監視部>
図5はAC監視部110の一構成例を示す図である。本構成例のAC監視部110は、抵抗111~115と、NMOSFET[N-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor]116と、PMOSFET[P-channel type MOSFET]117と、ダイオード118と、を含む。
抵抗111~115は、7ピン(VHACピン)と3ピン(GNDピン)との間に、図示の順序で直列に接続されている。なお、抵抗113と抵抗114との接続ノードは、ACモニタ信号Saの出力端に相当する。すなわち、抵抗111~115は、7ピンに入力される監視対象電圧V2を分圧してACモニタ信号Saを生成する分圧回路として機能する。例えば、抵抗111~113の合成抵抗値をRx(例えば10MΩ)とし、抵抗114及び115の合成抵抗値をRy(例えば0.1MΩ)とすると、Sa={Ry/(Rx+Ry)}×V2(≒0.01×V2)となる。
また、本図の例では、抵抗111~115のうち、抵抗112及び抵抗115の各抵抗値をトリミング等により調整することができる。従って、上記の分圧比{Ry/(Rx+Ry)}を任意に設定することが可能となる。
なお、抵抗111~115としては、100V以上の耐圧(例えば650V耐圧)を持つポリシリコン抵抗を用いることが望ましい。特に、抵抗111~115の集積化に際しては、抵抗111~115を介する経路(横方向)の高耐圧化だけでなく、抵抗111~115と半導体基板との間(縦方向)の高耐圧化も必要となる。そこで、AC監視部110が集積化される半導体基板には、その他の領域よりも基板厚さ方向(縦方向)の耐圧が高い高耐圧領域を形成し、その高耐圧領域上に抵抗111~115を形成することが望ましい。上記の高耐圧領域としては、高耐圧化の実績が豊富なLDMOSFET[lateral double-diffused MOSFET]領域を流用することができる。
NMOSFET116のドレインは、7ピンに接続されている。NMOSFET116のソース、ゲート、及び、バックゲートは、全て3ピンに接続されている。PMOSFET117のドレインは、3ピンに接続されている。PMOSFET117のソース、ゲート、及び、バックゲートは、全てACモニタ信号Saの出力端に接続されている。ダイオード118のカソードは、PMOSFET117のバックゲートに接続されている。PMOSFET117のドレインとダイオード118のアノードは、いずれも3ピンに接続されている。このように接続されたNMOSFET116、PMOSFET117、及び、ダイオード118は、いずれも静電保護素子として機能する。
なお、AC監視部110は、分圧回路を用いた本構成例に限定されるものではなく、例えば、監視対象電圧V2を所定のサンプリングレートでサンプリングし、そのサンプリング値をACモニタ信号Saとしてピーク検出部120に出力する構成としても構わない。
また、DC監視部150は、基本的に、AC監視部110と同様の構成とすればよい。すなわち、上記した説明文のうち、「7ピン(VHACピン)」を「5ピン(VHDCピン)」と読み替え、「ACモニタ信号Sa」を「DCモニタ信号Sx」と読み替えれば、DC監視部150の構成及び動作を理解することができる。
<ピーク検出部>
図6は、ピーク検出部120の一構成例を示す図である。本図に示したように、本構成例のピーク検出部120は、抵抗121及び122と、キャパシタ123及び124と、コンパレータ125と、を含む。
抵抗121の第1端は、ACモニタ信号Saの入力端に接続されている。抵抗121の第2端は、抵抗122の第1端、キャパシタ123の第1端、及び、コンパレータ125の非反転入力端(+)に接続されている。抵抗122の第2端は、キャパシタ124の第1端とコンパレータ125の反転入力端(-)に接続されている。キャパシタ123及び124それぞれの第2端は、いずれも3ピン(GNDピン)に接続されている。コンパレータ125の出力端は、ピーク検出信号Sbの出力端に相当する。
なお、抵抗121(例えば2MΩ)とキャパシタ123(例えば10pF)は、ACモニタ信号Saに重畳するノイズ成分を除去することにより、第1ACモニタ信号Sa1を生成するRCフィルタとして機能する。
一方、抵抗122(例えば4.7MΩ)とキャパシタ124(例えば20pF)は、第1ACモニタ信号Sa1に所定の遅延を与えることにより、第2ACモニタ信号Sa2を生成する遅延部として機能する。
コンパレータ125は、第1ACモニタ信号Sa1(遅延なし)と第2ACモニタ信号Sa2(遅延あり)とを比較することにより、ピーク検出信号Sbを生成する。ピーク検出信号Sbは、第1ACモニタ信号Sa1が第2ACモニタ信号Sa2よりも高いときにハイレベルとなり、第1ACモニタ信号Sa1が第2ACモニタ信号Sa2よりも低いときにローレベルとなる。このようにして生成されるピーク検出信号Sbは、監視対象電圧V2にピークが生じてから若干遅れてローレベルに立ち下がる。この点については、後ほど具体例を挙げて詳述する。
なお、本図の回路構成は、あくまで一例であり、監視対象電圧V2(ないしはACモニタ信号Sa)のピークを適切に検出することができる限り、いかなる回路構成を採用しても構わない。
<第1出力部>
図7は第1出力部140の一構成例を示す図である。本構成例の第1出力部140は、インバータ141及び142と、NMOSFET143と、抵抗144と、を含む。インバータ141の入力端は、ゼロクロス検出信号Scの入力端に接続されている。インバータ141の出力端は、インバータ142の入力端に接続されている。インバータ142の出力端は、NMOSFET143のゲートに接続されている。抵抗144の第1端は、電源端(例えばDC5V)に接続されている。抵抗144の第2端とNMOSFET143のドレインは、いずれも1ピン(ACOUTピン)に接続されている。NMOSFET143のソースとバックゲートは、いずれも3ピン(GNDピン)に接続されている。
本構成例の第1出力部140において、ゼロクロス検出信号Scがハイレベルであるときには、NMOSFET143がオンするので、1ピンから出力されるACOUT信号S1がローレベルとなる。一方、ゼロクロス検出信号Scがローレベルであるときには、NMOSFET143がオフするので、ACOUT信号S1がハイレベルとなる。
このように、オープンドレイン形式の第1出力部140で生成されるACOUT信号S1は、基本的に、ゼロクロス検出信号Scの論理反転信号となる。
<ゼロクロス検出処理>
図8は、ゼロクロス検出部130におけるゼロクロス検出処理の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、交流電圧V0、整流電圧V1、監視対象電圧V2(またはACモニタ信号Saと考えてもよい)、第1ACモニタ信号Sa1及び第2ACモニタ信号Sa2、ピーク検出信号Sb、並びに、ゼロクロス検出信号Scが描写されている。以下では、整流部12で通常整流方式(図1)が採用されている場合の挙動を例に挙げて、詳細な説明を行う。
交流電圧V0の波形は、所定の周期で正負が切り替わる正弦波形である。なお、本図の例では、時刻t1、t5、t9のそれぞれにおいて、交流電圧V0に負から正へのゼロクロスが生じている一方、時刻t3、t7、t11のそれぞれにおいて、交流電圧V0に正から負へのゼロクロスが生じている。また、本図の例では、時刻t2、t6、t10のそれぞれにおいて、交流電圧V0に正側のピークが生じている一方、時刻t4、t8、t12のそれぞれにおいて、交流電圧V0に負側のピークが生じている。
整流電圧V1の波形は、交流電圧V0の全波整流波形(細い破線を参照)のピーク近傍で脈動するDC波形となる。
監視対象電圧V2(ないしACモニタ信号Sa)の波形は、整流部12で通常整流方式(図1)が採用されている場合には、基本的に、交流電圧V0の半波整流波形となる。すなわち、交流電圧V0が正値であるときには、監視対象電圧V2も正値となる一方、交流電圧V0が負値となっても、監視対象電圧V2が0Vを下回ることはない。
なお、監視対象電圧V2の波形は、細い破線(理想)と太い実線(現実)を重ねて示したように、負荷状態などに応じて歪みを生じることがある。そのため、監視対象電圧V2のゼロクロスを検出しても、交流電圧V0のゼロクロスを正しく検出することは難しい。
一方、本願の発明者らは、鋭意研究の末、監視対象電圧V2のピークタイミングは、負荷状態などに依らず、交流電圧V0のピークタイミングとほぼ一致する、言い換えれば、交流電圧V0と監視対象電圧V2との間で、両者の位相を一致することができるタイミングは、それぞれのピークタイミングのみである、という知見を得るに至り、当該知見に基づいて、監視対象電圧V2のピークタイミングから交流電圧V0のゼロクロスを推定することのできる新規な演算アルゴリズムを創作するに至った。以下では、図8の説明を続けながら、上記の演算アルゴリズムについて具体的に述べる。
第1ACモニタ信号Sa1(太い実線)と、これを遅延させた第2ACモニタ信号Sa2(太い破線)は、監視対象電圧V2のピークタイミング(例えば時刻t2)から、所定の遅延時間Δが経過した時点(例えば時刻tx)で互いに交差する。本図に即して具体的に述べると、第1ACモニタ信号Sa1と第2ACモニタ信号Sa2との高低関係は、時刻txの前後で、Sa1>Sa2からSa1<Sa2に切り替わる。その結果、ピーク検出信号Sbは、時刻txにおいて、ハイレベルからローレベルに立ち下がる。
すなわち、ピーク検出信号Sbの立下りエッジは、監視対象電圧V2のピークタイミング(延いては、交流電圧V0の正側ピークタイミング)を示していると言える。そこで、ゼロクロス検出部130は、ピーク検出信号Sbの立下りエッジを順次検出することにより、ピーク検出信号Sbの周期T(例えば、本図の時刻txから時刻tyまで)をカウントし、そのカウント値を用いて交流電圧V0のゼロクロスを推定する。
より具体的に述べると、ゼロクロス検出部130は、交流電圧V0の周期と位相が一定であるという前提の下、ピーク検出信号Sbの周期Tを参考にして、ゼロクロス検出信号Scの立上りタイミング及び立下りタイミングを決定する。
例えば、ゼロクロス検出部130は、ピーク検出信号Sbがローレベルに立ち下がった時点(例えば時刻ty)から、それ以前に取得済みの周期Tに応じた待機時間T1(例えば、T1=(1/4)×T-Δ)のカウントを開始し、待機時間T1が経過した時点で、ゼロクロス検出信号Scをローレベルからハイレベルに立ち上げる。このゼロクロス検出信号Scの立上りタイミングは、交流電圧V0が正から負に切り替わるタイミング(すなわち正から負へのゼロクロス)とほぼ一致する。
また、ゼロクロス検出部130は、ピーク検出信号Sbがローレベルに立ち下がった時点(例えば時刻ty)から、待機時間T1よりも長い待機時間T2(例えば、T2=(3/4)×T-Δ)が経過した時点で、ゼロクロス検出信号Scをハイレベルからローレベルに立ち下げる。このゼロクロス検出信号Scの立下りタイミングは、交流電圧V0が負から正に切り替わるタイミング(すなわち負から正へのゼロクロス)とほぼ一致する。
なお、待機時間T1及びT2の決定に用いられる周期Tのカウント値としては、一周期前のカウント値を用いてもよいし、数周期分の平均カウント値を用いてもよい。また、待機時間T1及びT2の決定に用いられる遅延時間Δ(=真のピークタイミングとピーク検出信号Sbのパルスエッジタイミングとのずれ)は、遅延部(抵抗122及びキャパシタ124)の回路特性から既知である。ただし、上記の遅延時間Δを無視して、その補正を行うことなくゼロクロス検出信号Scの立上りタイミング及び立下りタイミングを決定することも可能である。
また、本図では、通常整流時(図1)におけるゼロクロス検出処理を例示したが、倍電圧整流時(図2)におけるゼロクロス検出処理についても、監視対象電圧V2(ないしACモニタ信号Sa)の波形が異なる以外、上記と全く同様のゼロクロス検出処理を行うことができる。すなわち、上記で説明した新規な演算アルゴリズムであれば、通常整流方式(図1)と倍電圧整流方式(図2)の双方に対応することが可能となる。
ただし、本図のゼロクロス検出処理は、あくまで一例であり、ピーク検出信号Sbからゼロクロス検出信号Scのパルスエッジを適切に生成することができる限り、いかなる演算アルゴリズムを採用しても構わない。
<ノイズ除去処理>
次に、実際のアプリケーション上において、ピーク検出信号Sbへの重畳が想定されるノイズを除去するための手法について、図面を参照しながら詳細に説明する。図9は、ゼロクロス検出部130におけるノイズ除去処理の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、ACモニタ信号Sa、ピーク検出信号Sb、及び、ゼロクロス検出信号Scが描写されている。なお、以下では、説明の便宜上、遅延時間Δを無視して考える。
本図の例では、時刻t22及びt25において、ACモニタ信号Saがピークとなっており、これに伴いピーク検出信号Sbがハイレベルからローレベルに立ち下がっている。従って、ピーク検出信号Sbの立下りエッジを基準として、ゼロクロス検出信号Scの立上りタイミング及び立下りタイミングを決定することにより、交流電圧V0のゼロクロスを正しく推定することが可能となる。この点については、先にも説明した通りである。
ただし、電子機器10では、モータ17の逆起電圧などに起因して、ACモニタ信号Saに意図しないノイズ(本図ではノイズN1~N3)が重畳する。なお、ノイズN1は、ACモニタ信号Saがゼロ値からピーク値まで上昇している間(=時刻t21~t22)に重畳している。一方、ノイズN2は、ACモニタ信号Saがゼロ値に維持されている間(=時刻t23~t24)に重畳している。また、ノイズN3は、ACモニタ信号Saがピーク値からゼロ値まで低下している間(=時刻t25~t26)に重畳している。
このようなノイズN1~N3が重畳すると、ピーク検出信号Sbが意図しない論理レベルに切り替わってしまうので、ACモニタ信号Saのピークを正しく検出することができなくなる。そこで、ゼロクロス検出部130は、ピーク検出信号Sbの論理レベルが切り替わった後、所定のマスク期間(例えば1600μs)に亘って、切替後の論理レベルが維持されなければ、その論理レベルの切り替わりを無視する。
例えば、時刻t21~t22では、ノイズN1に起因してピーク検出信号Sbがローレベルに立ち下がっているが、すぐにハイレベルに立ち上がっていることから、この立下りエッジは無視される。すなわち、ゼロクロス検出部130は、時刻t21~t22において、ピーク検出信号Sbがハイレベルに維持されているものとして取り扱う。
同様に、時刻t23~t24では、ノイズN2に起因してピーク検出信号Sbがローレベルに立ち下がっているが、これもすぐにハイレベルに立ち上がっていることから、この立下りエッジも無視されている。すなわち、ゼロクロス検出部130は、時刻t23~t24において、ピーク検出信号Sbがハイレベルに維持されているものとして取り扱う。
一方、時刻t25~t26では、ノイズN3に起因してピーク検出信号Sbがハイレベルに立ち上がっているが、これもすぐにローレベルに立ち下がっていることから、この立上りエッジは無視されている。すなわち、ゼロクロス検出部130は、時刻t25~t26において、ピーク検出信号Sbがローレベルに維持されているものとして取り扱う。
なお、上記のノイズ除去処理を行う主体は、必ずしもゼロクロス検出部130に限定されるものではなく、ピーク検出信号Sbの入力を受け付けて何らかの信号処理を行う前には、当該ノイズ除去処理を済ませておくことが有用である。
また、ピーク検出部120とゼロクロス検出部130との間には、アナログノイズフィルタやデジタルノイズフィルタ(FIR[finite impulse response]フィルタなど)を設けても構わない。
<半導体集積回路装置(第2実施形態)>
図10は、半導体集積回路装置100の第2実施形態を示す図である。本実施形態の半導体集積回路装置100は、第1実施形態(図4)をベースとしつつ、比較部180と、AC波形判定部190と、をさらに有している(本図では、AC監視部110、第1出力部140、DC監視部150、第2出力部160、及び、減電圧保護部170の描写を割愛)。そこで、第1実施形態と同様の構成要素については、図4と同一の符号を付すことで重複した説明を省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について重点的に説明する。
比較部180は、4つのコンパレータ181~184を含み、ACモニタ信号Saと複数の閾値Vth1~Vth4(ただし、Vth1<Vth2<Vth3<Vth4)とをそれぞれ比較して複数の比較信号Sd1~Sd4を生成する。
より具体的に述べると、コンパレータ181は、非反転入力端(+)に入力されるACモニタ信号Saと、反転入力端(-)に入力される閾値Vth1を比較して比較信号Sd1を生成する。従って、比較信号Sd1は、ACモニタ信号Saが閾値Vth1よりも高いときにハイレベルとなり、ACモニタ信号Saが閾値Vth1よりも低いときにローレベルとなる。
コンパレータ182は、非反転入力端(+)に入力されるACモニタ信号Saと、反転入力端(-)に入力される閾値Vth2を比較して比較信号Sd2を生成する。従って、比較信号Sd2は、ACモニタ信号Saが閾値Vth2よりも高いときにハイレベルとなり、ACモニタ信号Saが閾値Vth2よりも低いときにローレベルとなる。
コンパレータ183は、非反転入力端(+)に入力されるACモニタ信号Saと、反転入力端(-)に入力される閾値Vth3を比較して比較信号Sd3を生成する。従って、比較信号Sd3は、ACモニタ信号Saが閾値Vth3よりも高いときにハイレベルとなり、ACモニタ信号Saが閾値Vth3よりも低いときにローレベルとなる。
コンパレータ184は、非反転入力端(+)に入力されるACモニタ信号Saと、反転入力端(-)に入力される閾値Vth4を比較して比較信号Sd4を生成する。従って、比較信号Sd4は、ACモニタ信号Saが閾値Vth4よりも高いときにハイレベルとなり、ACモニタ信号Saが閾値Vth4よりも低いときにローレベルとなる。
なお、比較部180は、4チャネルに限定されるものではなく、チャネル数は任意(2以上)である。
AC波形判定部190は、比較信号Sd1~Sd4それぞれの立上りエッジ及び立下りエッジについて、それぞれが発生したか否かを記憶しており、ゼロクロス検出信号Scの一周期中に少なくとも一つの比較信号Sd1~Sd4で立上りエッジと立下りエッジの双方が生じたか否かを検出して波形判定信号Seを生成する。波形判定信号Seは、ACモニタ信号Saの波形が正常であるときに正常判定時の論理レベル(例えばローレベル)となり、ACモニタ信号Saの波形が異常であるときに異常判定時の論理レベル(例えばハイレベル)となる。
なお、AC波形判定部190は、比較信号Sd1~Sd4それぞれの論理レベルが所定期間(例えば40μs)に亘って維持されたときに初めて、当該論理レベルを有効なものと認識する。このような構成であれば、比較信号Sd1~Sd4のノイズやチャタリングを無視することができるので、正しいAC波形判定処理を実施することが可能となる。
ゼロクロス検出部130は、波形判定信号Seが異常判定時の論理レベル(例えばハイレベル)であるときに、ゼロクロス検出信号Scの生成または出力を停止する。例えば、交流電源の瞬停時において、ACモニタ信号Saの波形が異常となったときには、ゼロクロス検出信号Scの生成または出力が停止される。従って、マイコン15は、交流電圧V0の異常発生を速やかに認識して、モータ17の駆動を遅滞なく停止することができるので、電子機器10の安全性や信頼性を高めることが可能となる。
<AC波形判定処理>
図11は、AC波形判定部190におけるAC波形判定処理の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、ACモニタ信号Sa、ピーク検出信号Sb、ゼロクロス検出信号Sc、比較信号Sd1~Sd4、及び、波形判定信号Seが描写されている。
時刻t31~t32において、ACモニタ信号Saは、正常に入力されており、所定の検出期間Tdet(=ゼロクロス検出信号Scの一周期に相当)において、ゼロ値(<Vth1)からピーク値(>Vth4)まで上昇した後、再びゼロ値まで低下している。その結果、比較信号Sd1~Sd4の全てにおいて、立上りエッジと立下りエッジの双方が生じている。従って、ACモニタ信号Saの波形が正常であると判定され、波形判定信号Seがローレベル(=正常判定時の論理レベル)とされる。
一方、時刻t32~t33では、ACモニタ信号Saがゼロ値からピーク値まで上昇して再び低下に転じた直後に交流電源の瞬停が生じた結果、ACモニタ信号Saが閾値Vth4よりも高い電圧値に維持されている。なお、消費電力の大きいフォトカプラを用いる従来構成(図20)では、交流電源の瞬停が生じると、負荷への電力供給も遅滞なく停止していたので、特段の問題は生じなかったが、フォトカプラを用いない本構成では、監視対象電圧V2が放電されないので、図示のような状態となり得る。
このとき、何らかの要因により監視対象電圧V2(延いてはACモニタ信号Sa)が周期的に変動すると、交流電源からの電力供給が遮断されているにも関わらず、ACモニタ信号Saのピークが誤検出されてしまい、ゼロクロス検出信号Scが出力され続ける。その結果、マイコン15は、交流電源から電力が供給されていると誤判定してしまうので、残存する電力でモータ17が回り続ける、といった不具合を生じるおそれがある。
これに対して、比較部180とAC波形判定部190を有する構成では、ACモニタ信号Saが閾値Vth4よりも高い電圧値に維持されていると、比較信号Sd1~Sd4の全てがハイレベルに張り付くので、ACモニタ信号Saの波形が異常であると判定され、波形判定信号Seがハイレベル(=異常判定時の論理レベル)に立ち上げられる。その結果、時刻t33以降、ゼロクロス検出信号Scの生成及び出力が停止されるので、マイコン15は、交流電源の瞬停を速やかに認識して、モータ17の駆動を遅滞なく停止することが可能となる。
なお、監視対象電圧V2の放電が緩やかに進んだ結果、上記の検出期間Tdetよりも長い周期で、ACモニタ信号Saの立上りエッジ及び立下りエッジを生じる場合がある。しかし、上記の検出期間Tdetをゼロクロス検出信号Scの一周期に設定しておけば、このようなパルスエッジをもって、ACモニタ信号Saの波形が正常であると誤判定されるおそれはなくなる。
図12は、ACモニタ信号Saの正常判定例を示す図であり、上から順に、ACモニタ信号Saと比較信号Sd1~Sd4が描写されている。
本図の左側には、図11の時刻t31~t32と同様、ACモニタ信号Saが閾値Vth1~Vth4の全てを跨ぐように変動する様子が示されている。この場合には、比較信号Sd1~Sd4の全てで周期的なパルスエッジが生じるので、ACモニタ信号Saが正常であると判定される。
一方、本図の中央には、ACモニタ信号Saが閾値Vth1及びVth2だけを跨ぐように変動する様子(ここでは、半波整流波形のピーク値が閾値Vth3を下回っている様子)が示されている。この場合には、比較信号Sd3及びSd4がローレベルに張り付くものの、比較信号Sd1及びSd2の双方に周期的なパルスエッジが生じるので、ACモニタ信号Saが正常であると判定される。
また、本図の右側には、ACモニタ信号Saが閾値Vth2~Vth4を跨ぐように変動する様子(ここでは、交流波形の下側ピーク値が閾値Vth1を上回っている様子)が示されている。この場合には、比較信号Sd1がハイレベルに張り付くものの、比較信号Sd2~Sd4のそれぞれに周期的なパルスエッジが生じるので、ACモニタ信号Saが正常であると判定される。
このように、比較部180を複数チャネルとしておくことにより、様々な正常波形を持つACモニタ信号Saについて、適切なAC波形判定処理を実施することが可能となる。
また、上記のAC波形判定処理については、必ずしも、ピーク検出検出処理やゼロクロス検出処理と組み合わせて実施する必要はなく、それ単独で実施することも可能である。
<半導体集積回路装置(第3実施形態)>
図13は、半導体集積回路装置100の第3実施形態を示す図である。本実施形態の半導体集積回路装置100は、第1実施形態(図4)をベースとしつつ、AC/DCコンバータ13をさらに集積化して成る点に特徴を有する。そこで、第1実施形態と同様の構成要素については、図4と同一の符号を付すことにより重複した説明を割愛し、以下では、本実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
半導体集積回路装置100は、AC/DCコンバータ13を構成する回路要素のうち、抵抗13a及び13bと、エラーアンプ13cと、コンパレータ13dと、RSフリップフロップ13eと、レベルシフタ13fと、NMOSFET13gとを集積化して成る。
また、半導体集積回路装置100には、AC/DCコンバータ13の集積化に伴い、外部端子(Xピン)が追加されている。なお、Xピンには、AC/DCコンバータ13を構成する回路要素のうち、コイル13hとダイオード13iが外付けされている。具体的に述べると、コイル13hの第1端とダイオード13iのカソードは、Xピンに接続されている。コイル13hの第2端は、第1直流電圧V3の出力端に接続されている。ダイオード13iのアノードは、3ピン(GNDピン)に接続されている。
半導体集積回路装置100の内部において、抵抗13a及び13bは、4ピン(VCCピン)と3ピン(GNDピン)との間に直列接続されており、互いの接続ノードから帰還信号FB(=第1直流電圧V3の分圧電圧)を出力する分圧回路として機能する。
エラーアンプ13cは、非反転入力端(+)に入力される帰還信号FBと、反転入力端(-)に入力される所定の基準信号REFとの差分に応じて誤差信号ERRを生成する。誤差信号ERRは、帰還信号FBと基準信号REFとの差分が大きいほど高くなり、帰還信号FBと基準信号REFとの差分が小さいほど低くなる。
コンパレータ13dは、非反転入力端(+)に入力される鋸波状(または三角波状)のスロープ信号SLPと、反転入力端(-)に入力される誤差信号ERRとを比較してリセット信号RSTを生成する。リセット信号RSTは、スロープ信号SLPが誤差信号ERRよりも高いときにハイレベルとなり、スロープ信号SLPが誤差信号ERRよりも低いときにローレベルとなる。
RSフリップフロップ13eは、セット端(S)に入力されるセット信号SET(=所定のスイッチング周波数で発振する矩形波状のクロック信号)と、リセット端(R)に入力されるリセット信号RSTの双方に応じてパルス幅変調信号PWMの論理レベルを決定し、これを出力端(Q)から出力する。例えば、パルス幅変調信号PWMは、セット信号SETがハイレベルに立ち上がったときにハイレベルにセットされ、リセット信号RSTがハイレベルに立ち上がったときにローレベルにリセットされる。
レベルシフタ13fは、パルス幅変調信号PWM(H=V3、L=GND)をレベルシフトして駆動信号DRV(H=Vs+α、L=Vs、ただしVsはXピンに現れるNMOSFET13gのソース電圧)を生成する。
NMOSFET13gは、5ピン(VHDCピン)とXピンとの間に接続されており、駆動信号DRVに応じてオン/オフされる出力スイッチ素子である。
このように、半導体集積回路装置100にAC/DCコンバータ13をワンパッケージ化することにより、部品点数の削減を図ることが可能となる。
なお、本実施形態では、第1実施形態(図4)をベースとする例を挙げたが、第2実施形態(図10)をベースとしても構わない。
<半導体集積回路装置(第4実施形態)>
図14は、半導体集積回路装置100の第4実施形態を示す図である。本実施形態の半導体集積回路装置100は、第3実施形態(図13)をベースとしつつ、DC/DCコンバータ14をさらに集積化して成る点に特徴を有する。なお、本実施形態の半導体集積回路装置100には、DC/DCコンバータ14の集積化に伴い、第2直流電圧V4を出力するための外部端子(Yピン)が追加されている。このように、AC/DCコンバータ13だけでなく、DC/DCコンバータ14をワンパッケージ化することにより、部品点数の更なる削減を図ることが可能となる。
<パッケージ>
図15は、半導体集積回路装置100のパッケージを示す外観図である。本図では、パッケージの長辺から2方向に外部端子が導出されたSOP[small outline package]が例示されている。
1ピン(ACOUTピン)、2ピン(DCOUTピン)、3ピン(GNDピン)、4ピン(VCCピン)は、いずれも、整流電圧V1や監視対象電圧V2が印加されない低耐圧端子(1ピンと2ピンは5V耐圧、3ピンと4ピンは30V耐圧)であり、パッケージの第1辺に並べられている。
一方、5ピン(VHDCピン)と7ピン(VHACピン)は、それぞれ、整流電圧V1と監視対象電圧V2が印加される高耐圧端子(700V耐圧)であり、パッケージの第2辺に並べられている。このようなピン配置を行うことにより、1ピン~4ピンと、5ピン及び7ピンとの沿面距離を稼ぐことができるので、両ピン間の絶縁性確保が容易となる。
なお、7ピン(VHACピン)と6ピン(N.C.ピン)との間では、本来設けられるべき外部端子が間引かれている。従って、7ピンとこれに隣接する6ピンとの端子間距離は、1ピン~4ピン相互間の端子間距離よりも大きい。また、不使用の6ピンを無視して考えると、当然のことながら、5ピンと7ピンとの端子間距離は、1ピン~4ピン相互間の端子間距離よりも大きい。このようなピン配置を行うことにより、第2辺に並べられたピン同士の絶縁性についても十分に確保することが可能となる。
<パッケージレイアウト(第1例)>
図16は、パッケージレイアウトの第1例を示す図(XZ平面図)である。本図の半導体集積回路装置100では、第1チップ100aと第2チップ100bがアイランド100c上に実装されている。
まず、第1チップ100a及び第2チップ100bそれぞれの内部構成について、図面を参照しながら詳細に説明する。図17は、第1チップ100a及び第2チップ100bそれぞれの内部構成を示す図であり、ここでは、第1実施形態(図4)をベースとした一例が示されている。
第1チップ100aには、AC監視部110とDC監視部150が集積化されている。また、第1チップ100aには、チップ外部との電気的な接続を確立するための手段として、パッドP1~P5が設けられている。第1チップ100aの内部において、パッドP1は、DC監視部150の入力端に接続されている。パッドP2は、AC監視部110の入力端に接続されている。パッドP3は、DC監視部150の出力端に接続されている。パッドP4は、AC監視部110の出力端に接続されている。パッドP5は、接地ラインに接続されている。
一方、第2チップ100bには、ピーク検出部120と、ゼロクロス検出部130と、第1出力部140と、第2出力部160と、減電圧保護部170とが集積化されている。また、第2チップ100bには、チップ外部との電気的な接続を確立するための手段として、パッドP6~P12が設けられている。第2チップ100bの内部において、パッドP6は、第2出力部160の入力端に接続されている。パッドP7は、ピーク検出部120の入力端に接続されている。パッドP8は、接地ラインに接続されている。パッドP9は、減電圧保護部170の入力端(=電源ライン)に接続されている。パッドP10は、接地ラインに接続されている。パッドP11は、第2出力部160の出力端に接続されている。パッドP12は、第1出力部140の出力端に接続されている。
なお、第2実施形態(図10)をベースとする場合には、比較部180やAC波形判定部190も第2チップ100bに集積化すればよい。
図16に戻って、パッケージレイアウトの説明を続ける。パッドP1は、ワイヤW1を介して5ピン(VHDCピン)に接続されている。パッドP2は、ワイヤW2を介して7ピン(VHACピン)に接続されている。パッドP3は、ワイヤW3を介してパッドP6に接続されている。パッドP4は、ワイヤW4を介してパッドP7に接続されている。パッドP5は、ワイヤW5を介してパッドP8に接続されている。パッドP9は、ワイヤW6を介して4ピン(VCCピン)に接続されている。パッドP10は、ワイヤW7を介して3ピン(GNDピン)に接続されている。パッドP11は、ワイヤW8を介して2ピン(DCOUTピン)に接続されている。パッドP12は、ワイヤW9を介して1ピン(ACOUTピン)に接続されている。
なお、パッケージ内部のフレーム面積に着目すると、1ピン(ACOUTピン)、4ピン(VCCピン)、5ピン(VHDCピン)、及び、7ピン(VHACピン)は、いずれも、2ピン(DCOUTピン)、3ピン(GNDピン)、及び、6ピン(N.C.ピン)よりも大きい。
すなわち、X方向(=紙面左右方向)に着目すると、1ピン(ACOUTピン)及び4ピン(VCCピン)は、2ピン(DCOUTピン)及び3ピン(GNDピン)よりも突出する部分を有する。同様に、5ピン(VHDCピン)及び7ピン(VHACピン)は、6ピン(N.C.ピン)よりも突出する部分を有する。
また、Z方向(=紙面上下方向)に着目すると、1ピン(ACOUTピン)及び4ピン(VCCピン)は、その一部がアイランド100cと重なる。同様に、5ピン(VHDCピン)及び7ピン(VHACピン)は、その一部がアイランド100cと重なる。
さらに、1ピン(ACOUTピン)と7ピン(VHACピン)との間、並びに、4ピン(VCCピン)と5ピン(VHDCピン)との間には、それぞれ、アイランド100cを支える支持フレーム100e及び100fが形成されている。
なお、本図のパッケージレイアウトでは、アイランド100c上において、第1チップ100aが第2辺寄り(=5ピン~7ピンに近い側)に配置されており、第2チップ100bが第1辺寄り(=1ピン~4ピンに近い側)に配置されている。このようなパッケージレイアウトを採用することにより、ワイヤW1~W9をできるだけ短く敷設することが可能となる。
次に、半導体集積回路装置100を1チップ構成ではなく、2チップ構成とする理由について説明する。高電圧を取り扱うAC監視部110及びDC監視部150と、低電圧を取り扱う上記以外の回路部(120~140、160、170)を仮に1チップ構成とした場合には、高耐圧プロセス領域と低耐圧プロセス領域との間に緩衝領域を設ける必要がある。そのため、チップサイズが非常に大きくなるので大幅なコストアップが招かれる。
一方、半導体集積回路装置100を2チップ構成とすれば、第1チップ100aと第2チップ100bそれぞれに緩衝領域を設ける必要がなくなるので、チップサイズの縮小が可能となり、結果的に低コスト化を図ることができる。また、第1チップ100aと第2チップ100bが分離されているので、耐圧的にも非常に有利となる。
次に、第1チップ100aの接地ルートについて説明する。3ピン(GNDピン)は、4ピン(VCCピン)から2ピン(DCOUTピン)ないし1ピン(ACOUTピン)へのノイズ伝播を遮るシールド部材として、2ピン(DCOUTピン)と4ピン(VCCピン)との間に配置されている。そのため、第1チップ100aのパッドP5(=接地パッド)から3ピン(GNDピン)へ直接的にワイヤボンディングを行おうとすると、第2チップ100bのパッドP11から2ピン(DCOUTピン)へのワイヤW8、または、第パッドP12から1ピン(ACOUTピン)へのワイヤW9と必ず干渉してしまう。
そこで、第1チップ100aのパッドP5(=接地パッド)は、3ピン(GNDピン)に直接ボンディングされておらず、ワイヤW5を介して第2チップ100bのパッドP8にボンディングされている。先出の図17で示したように、パッドP8は、第2チップ100bの内部に敷設されたGNDラインを経由して、第2チップ100bのパッドP10(=接地パッド)に接続されており、更には、ワイヤW7を介して3ピン(GNDピン)に接続されている。従って、第1チップ100aの接地ラインは、パッドP5、ワイヤW5、パッドP8、第2チップ100bの内部に敷設された接地ライン、パッドP10、及び、ワイヤW7を介して、3ピン(GND)に接続されることになる。このような接地ルートであれば、ワイヤW8またはW9との干渉を生じずに済む。
図18は、図16のα-α’断面を模式的に示す図である。半導体集積回路装置100をα-α’線に沿って切断すると、本図で示したように、7ピン(VHACピン)から、ワイヤW2、第1チップ100aのパッドP2及びP4、ワイヤW4、第2チップ100bのパッドP7及びP12、並びに、ワイヤW9を介して、1ピン(ACOUTピン)に至る信号経路が形成されていることが分かる。
また、本図から、第1チップ100aと第2チップ100bは、いずれも共通のアイランド100c上に配置されており、モールド樹脂100dで封止されていることも明確に理解することができる。
さらに、本図から、半導体集積回路装置100の外部端子がプリント基板200の銅配線210に半田220で実装されている様子も明らかとなっている。
<パッケージレイアウト(第2例)>
図19は、パッケージレイアウトの第2例を示す図である。本図で示すように、第1チップ100aと第2チップ100bのZ軸方向に沿った位置関係については、先出の第1例(図16)と逆にしても構わない。
より具体的に述べると、第1例(図16)では、アイランド100c上において、第1チップ100aが紙面上寄りに配置され、第2チップ100bが紙面下寄りに配置されているが、第2例(図19)では、同アイランド100c上において、第1チップ100aが紙面下寄りに配置され、第2チップ100bが紙面上寄りに配置されている。
なお、上記したチップ配置の変更を行う場合には、ピンとパッドとのワイヤボンディング処理に支障が生じないように、図示のように、ピンの機能やパッドの配置を適宜変更することが望ましい。
また、パッケージ内部におけるフレーム面積に着目すると、1ピン(VCCピン)、4ピン(ACOUTピン)、5ピン(VHACピン)、及び、7ピン(VHDCピン)は、いずれも、2ピン(GNDピン)、3ピン(DCOUTピン)、及び、6ピン(N.C.ピン)よりも大きい。
すなわち、X方向(=紙面左右方向)に着目すると、1ピン(VCCピン)及び4ピン(ACOUTピン)は、2ピン(GNDピン)及び3ピン(DCOUTピン)よりも突出する部分を有する。同様に、5ピン(VHACピン)及び7ピン(VHDCピン)は、6ピン(N.C.ピン)よりも突出する部分を有する。
また、Z方向(=紙面上下方向)に着目すると、1ピン(VCCピン)及び4ピン(ACOUTピン)は、その一部がアイランド100cと重なる。同様に、5ピン(VHACピン)及び7ピン(VHDCピン)は、その一部がアイランド100cと重なる。
さらに、1ピン(VCCピン)と7ピン(VHDCピン)との間、並びに、4ピン(ACOUTピン)と5ピン(VHACピン)との間には、それぞれ、アイランド100cを支える支持フレーム100e及び100fが形成されている。
<電子機器(第3構成例及び第4構成例)>
図20及び図21は、それぞれ、電子機器10の第3構成例(通常整流方式)及び第4構成例(倍電圧整流方式)を示す図である。各構成例の電子機器10は、それぞれ、先の第1構成例(図1)及び第2構成例(図2)をベースとしつつ、ゼロクロス検出回路18の構成に変更が加えられている点と、入力リアクトル19を有する点で相違している。
そこで、第1構成例及び第2構成例と同様の構成要素については、図1及び図2と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第3構成例及び第4構成例の特徴部分について重点的に説明する。
ゼロクロス検出回路18は、先にも述べたように、交流電圧V0のゼロクロスを検出する回路ブロックであり、半導体集積回路装置300と、これに外付けされるダイオードD11及びD12と、キャパシタC11と、を有する。
半導体集積回路装置300は、ゼロクロス検出回路18を形成する回路要素の少なくとも一部(詳細は後述)を集積化して成るICないしLSIであり、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、7本の外部端子(1ピン~7ピン)を有する。
1ピン(ACOUTピン)は、ACOUT信号S1の出力端子であり、マイコン15に接続されている。2ピン(N.C.ピン)は、不使用端子であり、半導体集積回路装置300の外部において、どこにも接続されていない。3ピン(GNDピン)は、接地端子であり、マイコン15と共通の接地端GNDに接続されている。すなわち、半導体集積回路装置300(延いてはこれを用いたゼロクロス検出回路18)は、マイコン15と共通の接地電圧を基準として動作する。4ピン(VCCピン)は、電源端子であり、AC/DCコンバータ13の出力端(=第1直流電圧V3の出力端)に接続されている。なお、キャパシタC11は、4ピンと3ピンとの間に接続されている。
5ピン(N.C.ピン)は、不使用端子であり、半導体集積回路装置300の外部において、どこにも接続されていない。6ピン(VHAC2ピン)は、第2AC入力端子であり、ダイオードD12のカソード(=監視対象電圧V12の印加端に相当)に接続されている。ダイオードD12のアノードは、L1端子(=第2ノードに相当)に接続されている。7ピン(VHAC1ピン)は、第1AC入力端子であり、ダイオードD11のカソード(=監視対象電圧V11の印加端に相当)に接続されている。ダイオードD11のアノードは、N1端子(=第1ノードに相当)に接続されている。
なお、整流部12が通常整流方式(図20)を採用している場合には、L1端子及びN1端子それぞれに現れる端子電圧が等価となる。従って、ダイオードD11及びD12それぞれのアノード接続先を互いに入れ替えても何ら支障はない。
また、ダイオードD11及びD12それぞれのアノード接続先は、必ずしもL1端子及びN1端子に限定されるものではなく、入力リアクトル19の前段または後段を問わず、その両端間に交流電圧V0が印加される任意のノードから監視対象電圧V11及びV12を引き出すことが可能である。
入力リアクトル19は、入力力率の改善や高調波の低減、ないしは、モータ騒音の低減などを目的として設けられている。なお、本図では、フィルタ11の前段(L端子側)に入力リアクトル19を設けた例を挙げたが、その位置はこれに限定されるものではなく、N端子側に設けてもよいし、或いは、フィルタ11の後段に設けてもよい。
<半導体集積回路装置(第5実施形態)>
図22は、半導体集積回路装置300の第5実施形態を示す図である。本図で示したように、本実施形態の半導体集積回路装置300は、AC監視部310と、ゼロクロス検出部320と、ロジック部330と、第1出力部340と、比較部350と、減電圧保護部360と、を集積化して成る。
AC監視部310は、7ピン(VHAC1ピン)に入力される監視対象電圧V11と6ピン(VHAC2ピン)に入力される監視対象電圧V12から、それぞれ、ゼロクロス検出部320への入力に適合したACモニタ信号SA1及びSA2を生成する高耐圧(例えば650V耐圧)の回路部である。なお、監視対象電圧V11及びV12は、それぞれ、相互間に交流電圧V0が印加されるN1端子及びL1端子からダイオードD11及びD12を介して入力される第1監視対象信号及び第2監視対象信号に相当する。
ゼロクロス検出部320は、ACモニタ信号SA1及びSA2を互いに比較して比較信号SBを生成する。
ロジック部330は、比較信号SBから交流電圧V0のゼロクロスを推定してゼロクロス検出信号SCを生成する。また、ロジック部330は、比較信号SDの検出結果に応じてゼロクロス検出信号SCの生成または出力を停止する機能(=AC波形判定機能)も備えている。このAC波形判定機能は、先に説明したAC波形判定部190の機能と基本的に同様であるので、ここでの重複した説明は割愛する。
第1出力部340は、ゼロクロス検出信号SCの入力を受け付けてACOUT信号S1を生成し、これを1ピン(ACOUTピン)に出力する。なお、第1出力部340は、基本的に、図7の第1出力部140と同様の構成とすればよい。すなわち、図7の「ゼロクロス検出信号Sc」を「ゼロクロス検出信号SC」と読み替えれば、第1出力部340の構成及び動作を理解することができる。
比較部350は、ACモニタ信号SA1と複数の閾値とをそれぞれ比較して複数の比較信号SDを生成する。なお、比較部350は、基本的に、図10の比較部180と同様の構成とすればよい。すなわち、図10の「ACモニタ信号Sa」を「ACモニタ信号SA1」と読み替え、「比較信号Sd1~Sd4」を「比較信号SD」と読み替えれば、比較部350の構成及び動作を理解することができる。ACモニタ信号SA1と比較される複数の閾値については、瞬間停止検出用の閾値だけでなく、例えば、UVLO検出用の閾値を設けることも可能である。
減電圧保護部360は、4ピン(VCC)に入力される第1直流電圧V3が下限値を下回っているときに、半導体集積回路装置300の動作を禁止する保護機能部(いわゆるUVLO保護部)である。
<ゼロクロス検出部(第1実施例)>
図23は、ゼロクロス検出部320の第1実施例を示す図である。本実施例のゼロクロス検出部320は、非反転入力端(+)に入力されるACモニタ信号SA1と、反転入力端(-)に入力されるACモニタ信号SA2とを比較して比較信号SBを生成するコンパレータ321を含む。比較信号SBは、SA1>SA2であるときにハイレベルとなり、SA1<SA2であるときにローレベルとなる。
ゼロクロス検出部320の前段に設けられるAC監視部310は、抵抗311~314を含む。抵抗311及び312は、7ピン(VHAC1)と3ピン(GND)との間に直列接続されており、相互間の接続ノードからACモニタ信号SA1(=監視対象電圧V11の分圧電圧に相当)を出力する。抵抗313及び134は、6ピン(VHAC2)と3ピン(GND)との間に直列接続されており、相互間の接続ノードからACモニタ信号SA2(=監視対象電圧V12の分圧電圧に相当)を出力する。
なお、本図では、説明を簡単とするために、AC監視部310の構成要素として、抵抗311~314のみを挙げたが、実際には、図5のAC監視部110と同じく、各種の静電保護素子を含むとよい。
<ゼロクロス検出処理(第1例~第3例)>
続いて、半導体集積回路装置300のゼロクロス検出処理について述べる。図24は、ゼロクロス検出処理の第1例を示すタイミングチャートであり、上から順番に、交流電圧V0、監視対象電圧V11及びV12、並びに、ACOUT信号S1が描写されている。特に、本図では、交流電圧V0のゼロクロスで監視対象電圧V11及びV12が互いに交差する理想状態が描写されている。
半導体集積回路装置300は、交流電圧V0の両端電圧(=N1端子及びL1端子の端子電圧)をそれぞれ監視対象電圧V11及びV12として疑似的に監視し、それらの比較結果に応じてACOUT信号S1の論理レベルを切り替える。本図に即して述べると、ACOUT信号S1は、V11>V12であるときにハイレベルとなり、V11<V12であるときにローレベルとなる。
この場合、ACOUT信号S1の立上りタイミングは、交流電圧V0が負から正に切り替わるタイミング(すなわち負から正へのゼロクロス)とほぼ一致する(時刻t41、t43、t45を参照)。一方、ACOUT信号S1の立下りタイミングは、交流電圧V0が正から負に切り替わるタイミング(すなわち正から負へのゼロクロス)とほぼ一致する(時刻t42、t44、t46を参照)。
図25は、ゼロクロス検出処理の第2例を示すタイミングチャートであり、上から順番に、交流電圧V0、ACモニタ信号SA1(実線)及びSA2(破線)、並びに、比較信号SBが描写されている。なお、本図では、整流部12で倍電圧整流方式(図21)が採用されている場合の挙動を示している。
本図で示したように、実際の電子機器10では、入力リアクトル19の影響により、ACモニタ信号SA1及びSA2の波形が大きく歪む。特に、ACモニタ信号SA1の上昇速度は、負荷Zに応じて変動しやすいので、比較信号SBの立上りタイミングは、大きくばらつくことがある。一方、ACモニタ信号SA1の低下速度は、負荷Zに依らず変動しにくいので、比較信号SBの立下りタイミングは、ばらつきが比較的小さい。
これを鑑みると、ロジック部330では、比較信号SBの立下りタイミング(=ACモニタ信号SA1の低下に伴い、SA1>SA2からSA1<SA2に切り替わるタイミング)を検知し、これを基準として交流電圧V0のゼロクロスを推定することが望ましい。
図26は、ゼロクロス検出処理の第3例を示すタイミングチャートであり、上から順番に、交流電圧V0、ACモニタ信号SA1(実線)及びSA2(破線)、比較信号SB、エッジ検出信号EDGE(=ロジック部330の内部信号)、並びに、ゼロクロス検出信号SCが描写されている。なお、本図では、整流部12で倍電圧整流方式(図21)が採用されている場合の挙動を示している。
時刻t51~t55のそれぞれで示したように、ロジック部330の内部では、比較信号SBの立下りタイミング毎に、エッジ検出信号EDGEのパルス生成が行われる。そして、ロジック部330は、エッジ検出信号EDGEのパルス間隔(=比較信号SBの周期T)をカウントし、そのカウント値を用いて交流電圧V0のゼロクロスを推定する。
より具体的に述べると、ロジック部330は、交流電圧V0の周期と位相が一定であるという前提の下、比較信号SBの周期Tを参考にして、ゼロクロス検出信号SCの立上りタイミング及び立下りタイミングを決定する。
例えば、ロジック部330は、比較信号SBがローレベルに立ち下がった時点(例えば時刻t53)で、ゼロクロス検出信号SCをハイレベルからローレベルに立ち下げる。このゼロクロス検出信号SCの立下りタイミングは、交流電圧V0が負から正に切り替わるタイミング(すなわち負から正へのゼロクロス)とほぼ一致する。
また、ロジック部330は、比較信号SBがローレベルに立ち下がった時点から、それ以前に取得済みの周期Tに応じた待機時間T3(例えばT3=T/2)のカウントを開始し、待機時間T3が経過した時点で、ゼロクロス検出信号SCをローレベルからハイレベルに立ち上げる。このゼロクロス検出信号SCの立上りタイミングは、交流電圧V0が正から負に切り替わるタイミング(すなわち正から負へのゼロクロス)とほぼ一致する。
<ゼロクロス検出部(第2実施例)>
図27は、ゼロクロス検出部320の第2実施例を示す図である。本実施例のゼロクロス検出部320は、先の第1実施例(図23)をベースとしつつ、コンパレータ322をさらに含む。コンパレータ322は、非反転入力端(+)に入力されるACモニタ信号SA1と、反転入力端(-)に入力される所定の閾値VTH(例えばVTH=20mV)とを比較して比較信号SB2を生成する。比較信号SB2は、SA1>VTHであるときにハイレベルとなり、SA1<VTHであるときにローレベルとなる。
以下では、コンパレータ322の導入意義について、半導体集積回路装置300のゼロクロス検出処理を参照しながら説明する。
<ゼロクロス検出処理(第4例~第6例)>
図28は、ゼロクロス検出処理の第4例を示すタイミングチャートであり、上から順に交流電圧V0、ACモニタ信号SA1(実線)及びSA2(破線)、比較信号SB及びSB2、エッジ検出信号EDGE、並びに、ゼロクロス検出信号SCが描写されている。なお、本図では、整流部12で倍電圧整流方式(図21)が採用されている場合の挙動を示している。
本図で示したように、ACモニタ信号SA1及びSA2が共に0V近傍まで低下したときには、比較信号SBの論理レベルが不定となり、チャタリングを生じるおそれがある。
そこで、ロジック部330は、ACモニタ信号SA1が所定の閾値VTHを下回ったときには、比較信号SBに代えて比較信号SB2の周期Tをカウントし、そのカウント値を用いて交流電圧V0のゼロクロスを推定する。
具体的に述べると、時刻t61~t65のそれぞれで示すように、ロジック部330の内部では、比較信号SB2の立下りタイミング毎に、エッジ検出信号EDGEのパルス生成が行われる。そして、ロジック部330は、エッジ検出信号EDGEのパルス間隔(=比較信号SB2の周期T)をカウントし、そのカウント値を用いて交流電圧V0のゼロクロスを推定する。
例えば、ロジック部330は、比較信号SB2がローレベルに立ち下がった時点(例えば時刻t63)で、ゼロクロス検出信号SCをハイレベルからローレベルに立ち下げる。このゼロクロス検出信号SCの立下りタイミングは、交流電圧V0が負から正に切り替わるタイミング(すなわち負から正へのゼロクロス)とほぼ一致する。
また、ロジック部330は、比較信号SB2がローレベルに立ち下がった時点から、それ以前に取得済みの周期Tに応じた待機時間T3(例えばT3=T/2)のカウントを開始し、待機時間T3が経過した時点で、ゼロクロス検出信号SCをローレベルからハイレベルに立ち上げる。このゼロクロス検出信号SCの立上りタイミングは、交流電圧V0が正から負に切り替わるタイミング(すなわち正から負へのゼロクロス)とほぼ一致する。
図29及び図30は、それぞれ、ゼロクロス検出処理の第5例及び第6例を示すタイミングチャートであり、上から順番に、交流電圧V0、ACモニタ信号SA1(実線)及びSA2(破線)、比較信号SB及びSB2、エッジ検出信号EDGE、並びに、ゼロクロス検出信号SCが描写されている。なお、各図では、整流部12で倍電圧整流方式(図21)が採用されている場合の挙動を示している。
両図で示したように、ロジック部330には、比較信号SB2のチャタリング対策としてマスク機能が設けられている。具体的に述べると、ロジック部330は、比較信号SB2がハイレベルからローレベルに立ち下がった後、所定のマスク期間Tmに亘って比較信号SBがローレベルに維持されなければ、比較信号SB2の立下りエッジを無視する。
このようなマスク機能を設けたことにより、比較信号SB2のチャタリングが生じた場合であっても、エッジ検出信号EDGEに不必要なパルスが生成されないので、交流電圧V0のゼロクロス検出処理に支障を来さずに済む。
なお、マスク期間Tmの長さは、ロジック部330の内部で適切に調整するとよい。また、待機時間T3のカウント開始タイミングについては、比較信号SB2の立下りタイミングに代えて、エッジ検出信号EDGEのパルス生成タイミングとしてもよい。その場合には、待機時間T3を(T/2-Tm)に設定することにより、ゼロクロス検出信号SCの立上りタイミングを交流電圧V0のゼロクロスに合わせ込むことができる。
<電子機器(第5構成例)>
図31は、電子機器10の第5構成例(通常整流方式、片側リレー)を示す図である。本構成例の電子機器10は、先の第3構成例(図20)をベースとしつつ、N端子側にリレースイッチ20を有する点で相違している。そこで、第3構成例と同様の構成要素については、図20と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第5構成例の特徴部分について重点的に説明する。
本図で示したように、本構成例の電子機器10では、電源遮断時にリレースイッチ20がオフされてN端子が開放される。このとき、L1端子とN1端子との間が完全に絶縁されていれば、L1端子に交流電圧V0が印加され続けても、N1端子がハイインピーダンス状態に維持されるので、監視対象電圧V11及びV12が同電位となることはない。
しかしながら、実際には、L1端子とN1端子との間に何らかのリーク経路(=抵抗成分R)が存在する。そのため、リレースイッチ20がオフされた後には、監視対象電圧V11及びV12が同電位(同位相)となってしまうので、比較信号SBにチャタリングが生じて、ACOUT信号S1に意図しないパルス出力を生じるおそれがある。
なお、本図では、整流部12が通常整流方式を採用している場合を例に挙げたが、整流部12が倍電圧整流方式を採用している場合であっても、上記同様の不具合を生じ得る。
<半導体集積回路装置(第6実施形態)>
図32は、半導体集積回路装置300の第6実施形態を示す図である。本実施形態の半導体集積回路装置300は、先出の第5実施形態(図22)をベースとしつつ、入力停止検出部370をさらに有している。そこで、第5実施形態と同様の構成要素については、図22と同一の符号を付すことで重複した説明を省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について重点的に説明する。
入力停止検出部370は、オフセット電源371とコンパレータ372を含む。
オフセット電源371は、ACモニタ信号SA1を所定のオフセット電圧Vofs(例えばVofs=20V~40V)だけ引き上げてコンパレータ372に出力する。
コンパレータ372は、非反転入力端(+)に入力されるオフセット済みのACモニタ信号(SA1+Vofs)と、反転入力端(-)に入力されるACモニタ信号SA2とを比較して入力停止検出信号SEを生成する。従って、入力停止検出信号SEは、(SA1+Vofs)>SA2であるときにハイレベルとなり、(SA1+Vofs)<SA2であるときにローレベルとなる。
すなわち、リレースイッチ20がオフされた後、ACモニタ信号SA1及びSA2が同位相(ないしは同電位)になると、常に(SA1+Vofs)>SA2となるので、入力停止検出信号SEがローレベルに立ち下がらなくなる。
ロジック部330は、入力停止検出信号SEがハイレベルに維持されていることを検出してゼロクロス検出信号SCをハイレベルに固定する。その結果、比較信号SBに意図しないチャタリングが生じたとしても、ACOUT信号S1をローレベルに固定することができる。従って、リレースイッチ20がオフされた後、ACOUT信号S1のパルス出力を確実に停止させることが可能となる。
なお、ロジック部330は、入力停止検出信号SEがハイレベルに立ち上がった後も、所定のマスク期間Tmask(>T)に亘って、入力停止検出信号SEがハイレベルに維持されなければ、その立上りを無視する構成とされている。
このような構成とすることにより、ACモニタ信号SA1及びSA2の高低関係が周期的に反転している限り、ゼロクロス検出信号SCがハイレベルに固定されることはないので、ACOUT信号S1の通常出力動作に支障を来すことはない。
<出力パルス停止処理>
図33は、電源遮断時における出力パルス停止処理の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、ACモニタ信号SA1(実線)及びSA2(破線)、ゼロクロス検出信号SC、並びに、入力停止検出信号SEが描写されている。
時刻t91以前には、リレースイッチ20がオンされている。従って、ACモニタ信号SA1及びSA2の高低関係が周期的に反転しており、ゼロクロス検出信号SC及び入力停止検出信号SEには、それぞれ、周期的なパルスが生成されている。なお、先にも述べたように、入力停止検出信号SEがマスク期間Tmask(>T)に亘ってハイレベルに維持されない限り、ゼロクロス検出信号SCがハイレベルに固定されることはない。
時刻t91において、リレースイッチ20がオフされると、ACモニタ信号SA1及びSA2が同位相になるので、入力停止検出信号SEがローレベルに立ち下がらなくなる。ただし、この時点ではマスク期間Tmaskが経過していないので、ゼロクロス検出信号SCがハイレベルに固定されることはない。
その後、入力停止検出信号SEがハイレベルに維持されたまま、時刻t92において、マスク期間Tmaskが経過すると、ACモニタ信号SA1及びSA2が同位相であるという判断の下、ゼロクロス検出信号SCがハイレベルに固定される。従って、ACOUT信号S1のパルス出力を確実に停止させることが可能となる。
なお、本実施形態の半導体集積回路装置300は、第5実施形態(図22)をベースとしているが、入力停止検出部370を導入するに際して、ゼロクロス検出手法は、一切不問である。例えば、図32のゼロクロス検出部320及びロジック部330については、これらを図4のピーク検出部120及びゼロクロス検出部130に置き換えることも可能である。なお、このような置換を行う場合には、ピーク検出部120にACモニタ信号SA1及びSA2の一方のみ(例えばACモニタ信号SA1)を入力すればよい。
<パッケージレイアウト(第3例)>
図34は、半導体集積回路装置300におけるパッケージレイアウトの第3例を示す図(XZ平面図)である。本図の半導体集積回路装置300では、第1チップ300aと第2チップ300bがアイランド300c上に実装されている。
まず、第1チップ300a及び第2チップ300bそれぞれの内部構成について、図面を参照しながら詳細に説明する。図35は、第1チップ300a及び第2チップ300bそれぞれの内部構成を示す図であり、ここでは、第5実施形態(図22)をベースとした一例が示されている。
第1チップ300aには、AC監視部310が集積化されている。また、第1チップ300aには、チップ外部との電気的な接続を確立するための手段として、パッドP21~P25が設けられている。第1チップ300aの内部において、パッドP21は、AC監視部310の第1入力端(=監視対象電圧V11の入力端に相当)に接続されている。パッドP22は、AC監視部310の第2入力端(=監視対象電圧V12の入力端に相当)に接続されている。パッドP23は、AC監視部310の第1出力端(=ACモニタ信号SA1の出力端に相当)に接続されている。パッドP24は、AC監視部310の第2出力端(=ACモニタ信号SA2の出力端に相当)に接続されている。パッドP25は、接地ラインに接続されている。
一方、第2チップ300bには、ゼロクロス検出部320と、ロジック部330と、第1出力部340と、比較部350と、減電圧保護部360とが集積化されている。また、第2チップ300bには、チップ外部との電気的な接続を確立するための手段として、パッドP26~P31が設けられている。第2チップ300bの内部において、パッドP26は、ゼロクロス検出部320の第1入力端(=ACモニタ信号SA1の入力端に相当)に接続されている。パッドP27は、ゼロクロス検出部320の第2入力端(=ACモニタ信号SA2の入力端に相当)に接続されている。パッドP28は、接地ラインに接続されている。パッドP29は、減電圧保護部360の入力端(=電源ライン)に接続されている。パッドP30は、接地ラインに接続されている。パッドP31は、第1出力部340の出力端に接続されている。
なお、第6実施形態(図32)をベースとする場合には、入力停止検出部370も第2チップ300bに集積化すればよい。
図34に戻り、パッケージレイアウトの説明を続ける。パッドP21は、ワイヤW21を介して7ピン(VHAC1ピン)に接続されている。パッドP22は、ワイヤW22を介して6ピン(VHAC2ピン)に接続されている。パッドP23は、ワイヤW23を介してパッドP26に接続されている。パッドP24は、ワイヤW24を介してパッドP27に接続されている。パッドP25は、ワイヤW25を介してパッドP28に接続されている。パッドP29は、ワイヤW26を介して4ピン(VCCピン)に接続されている。パッドP30は、ワイヤW27を介して3ピン(GNDピン)に接続されている。パッドP31は、ワイヤW28を介して1ピン(ACOUTピン)に接続されている。
なお、パッケージ内部のフレーム面積に着目すると、1ピン(ACOUTピン)、4ピン(VCCピン)、5ピン(N.C.ピン)、及び、7ピン(VHAC1ピン)は、いずれも2ピン(N.C.ピン)、3ピン(GNDピン)、及び、6ピン(VHAC2ピン)よりも大きい。
すなわち、X方向(=紙面左右方向)に着目すると、1ピン(ACOUTピン)及び4ピン(VCCピン)は、2ピン(N.C.ピン)及び3ピン(GNDピン)よりも突出する部分を有する。同様に、5ピン(N.C.ピン)及び7ピン(VHAC1ピン)は、6ピン(VHAC2ピン)よりも突出する部分を有する。
また、Z方向(=紙面上下方向)に着目すると、1ピン(ACOUTピン)及び4ピン(VCCピン)は、その一部がアイランド300cと重なる。同様に、5ピン(N.C.ピン)及び7ピン(VHAC1ピン)は、その一部がアイランド300cと重なる。
さらに、1ピン(ACOUTピン)と7ピン(VHAC1ピン)との間、並びに、4ピン(VCCピン)と5ピン(N.C.ピン)との間には、それぞれ、アイランド300cを支える支持フレーム300e及び300fが形成されている。
なお、各チップの相対位置、2チップ構成の利点、及び、第1チップ300aの接地ルートについては、先出の第1例(図16)や第2例(図19)で述べた通りであるので、重複した説明は割愛する。
<パッケージレイアウト(第4例)>
図36は、半導体集積回路装置300におけるパッケージレイアウトの第4例を示す図(XZ平面図)である。本図の半導体集積回路装置300では、先の第3例(図34)と同じく、第1チップ300aと第2チップ300bがアイランド300c上に実装されている。また、本図の半導体集積回路装置300では、DC監視部(詳細は後述)の内蔵に伴い、パッケージのピン数が「7」から「11」に増設されている。
まず、第1チップ300a及び第2チップ300bそれぞれの内部構成について、図面を参照しながら詳細に説明する。図37は、第1チップ300a及び第2チップ300bそれぞれの内部構成を示す図であり、ここでは、第5実施形態(図22)をベースとしつつ、DC監視部380と第2出力部390を追加した構成が示されている。
なお、第1チップ300a及び第2チップ300bそれぞれの内部構成は、基本的に、先の図35と同様である。そこで、以下では、図35からの変更点を中心に説明する。
第1チップ300aには、DC監視部380が新たに集積化されている。DC監視部380は、9ピン(VHDCピン)に入力される整流電圧V1からDCモニタ信号Sxを生成する高耐圧(例えば650V耐圧)の回路ブロックであり、第1~第4実施形態のDC監視部150に相当する。
また、第1チップ300aには、DC監視部380の集積化に伴い、パッドP32及びP33が増設されている。第1チップ300aの内部において、パッドP32は、DC監視部380の入力端に接続されている。パッドP33は、DC監視部380の出力端に接続されている。
一方、第2チップ300bには、第2出力部390が新たに集積化されている。第2出力部390は、DCモニタ信号Sxの入力を受け付けてDCOUT信号S2を生成し、これを4ピン(DCOUTピン)に出力する回路ブロックであり、第1~第4実施形態の第2出力部160に相当する。
また、第2チップ300bには、第2出力部390の集積化に伴い、パッドP34及びP35が増設されている。第2チップ300bの内部において、パッドP34は、第2出力部390の入力端に接続されている。パッドP35は、第2出力部390の出力端に接続されている。
図36に戻り、パッケージレイアウトの説明を続ける。パッドP21は、ワイヤW21を介して11ピン(VHAC1ピン)に接続されている。パッドP22は、ワイヤW22を介して10ピン(VHAC2ピン)に接続されている。パッドP23は、ワイヤW23を介してパッドP26に接続されている。パッドP24は、ワイヤW24を介してパッドP27に接続されている。パッドP25は、ワイヤW25を介してパッドP28に接続されている。パッドP29は、ワイヤW26を介して7ピン(VCCピン)に接続されている。パッドP30は、ワイヤW27を介して5ピン(GNDピン)に接続されている。パッドP31は、ワイヤW28を介して3ピン(ACOUTピン)に接続されている。パッドP32は、ワイヤW29を介して9ピン(VHDCピン)に接続されている。パッドP33は、ワイヤW30を介してパッドP34に接続されている。パッドP35は、ワイヤW31を介して4ピン(DCOUTピン)に接続されている。
なお、パッケージ内部のフレーム面積に着目すると、2ピン(N.C.ピン)と6ピン(N.C.ピン)は、いずれも、3ピン(ACOUTピン)、4ピン(DCOUTピン)及び5ピン(GNDピン)よりも大きい。
すなわち、X方向(=紙面左右方向)に着目すると、2ピン(N.C.ピン)及び6ピン(N.C.ピン)は、3ピン(ACOUTピン)、4ピン(DCOUTピン)、及び、5ピン(GNDピン)よりも突出する部分を有する。
また、Z方向(=紙面上下方向)に着目すると、2ピン(N.C.ピン)並びに6ピン(N.C.ピン)は、アイランド100cと重なる部分を持たない。これと同様に、1ピン(N.C.ピン)、7ピン(VCCピン)、8ピン(N.C.ピン)、及び、11ピン(VHAC1ピン)も、アイランド100cと重なる部分を持たない。
さらに、1ピン(N.C.ピン)と11ピン(VHAC1ピン)との間、並びに、7ピン(VCCピン)と8ピン(N.C.ピン)との間には、それぞれ、アイランド300cを支える支持フレーム300e及び300fが形成されている。
<AC監視部及びDC監視部>
図38は、先出の図37におけるAC監視部310及びDC監視部380の一構成例を示す図である。本構成例のAC監視部310は、抵抗311a~315a及び311b~315bと、NMOSFET316a及び316bと、PMOSFET317a及び317bと、フューズ318a及び318bと、を含む。
抵抗311a~315aは、パッドP21(VHAC1パッド)とパッドP25(GNDパッド)との間に、図示の順序で直列に接続されている。なお、抵抗313aと抵抗314aとの接続ノードは、パッドP23(ACIN1パッド)に接続されている。すなわち、抵抗311a~315aは、パッドP21に入力される監視対象電圧V11(=第1監視対象信号)を分圧してACモニタ信号SA1を生成する分圧回路として機能する。
一方、抵抗311b~315bは、パッドP22(VHAC2パッド)とパッドP25(GNDパッド)との間に、図示の順序で直列に接続されている。抵抗313bと抵抗314bとの接続ノードは、パッドP24(ACIN2パッド)に接続されている。すなわち、抵抗311b~315bは、パッドP22に入力される監視対象電圧V12(=第2監視対象信号)を分圧してACモニタ信号SA2を生成する分圧回路として機能する。
なお、抵抗311a~315a及び抵抗311b~315bのうち、抵抗311a及び抵抗311bは、第1帰還抵抗に相当する。また、抵抗312a~315a及び抵抗312b~315bは、第2帰還抵抗に相当する。特に、第2帰還抵抗のうち、抵抗312a及び315a、並びに、抵抗312b及び315bそれぞれの抵抗値は、フューズ318a及び318bを用いたトリミングにより任意に調整することが可能である。
NMOSFET316aのドレインは、パッドP21に接続されている。NMOSFET316aのソース、ゲート、及び、バックゲートは、パッドP25に接続されている。PMOSFET317aのドレインは、パッドP25に接続されている。PMOSFET317aのソース、ゲート、及び、バックゲートは、パッドP23に接続されている。
NMOSFET316bのドレインは、パッドP22に接続されている。NMOSFET316bのソース、ゲート、及び、バックゲートは、パッドP25に接続されている。PMOSFET317bのドレインは、パッドP25に接続されている。PMOSFET317bのソース、ゲート、及び、バックゲートは、パッドP22に接続されている。
このように接続されたNMOSFET316a及び316b、並びに、PMOSFET317a及び317bは、いずれも静電保護素子として機能する。
一方、本構成例のDC監視部380は、抵抗381~385と、NMOSFET386と、PMOSFET387と、フューズ388と、を含む。
抵抗381~385は、パッドP32(VHDCパッド)とパッドP25(GNDパッド)との間に、図示の順序で直列に接続されている。なお、抵抗383と抵抗384との接続ノードは、パッドP33(DCINパッド)に接続されている。すなわち、抵抗381~385は、パッドP32に入力される整流電圧V1(=第3監視対象信号)を分圧してDCモニタ信号Sxを生成する分圧回路として機能する。
なお、抵抗381~385のうち、抵抗381が第1帰還抵抗に相当し、抵抗382~385が第2帰還抵抗に相当する。特に、第2帰還抵抗のうち、抵抗382及び385の各抵抗値は、フューズ388を用いたトリミングにより任意に調整することができる。
NMOSFET386のドレインは、パッドP32に接続されている。NMOSFET386のソース、ゲート、及び、バックゲートは、パッドP25に接続されている。PMOSFET387のドレインは、パッドP25に接続されている。PMOSFET387のソース、ゲート、及び、バックゲートは、パッドP33に接続されている。
このように接続されたNMOSFET386とPMOSFET387(及びこれらに付随するボディダイオード)は、静電保護素子として機能する。
<チップレイアウト(第1チップ)>
図39は、第1チップ300aのレイアウトを示す図である。なお、第1チップ300aに敷設される配線については、煩雑を避けるためにその図示を省略している。また、以下では、便宜上、紙面の上下左右方向を、第1チップ300aの平面視における上下左右方向として定義することにより、パッドや素子の位置関係を説明する。
第1チップ300aは、その平面視において、短辺(右辺及び左辺)と長辺(上辺及び下辺)との比がほぼ等しい矩形状(厳密には、やや横長の矩形状)に切り出されている。
第1チップ300aの平面視において、領域A1(=第1チップ300aのほぼ左半分に相当する領域)には、3つの高耐圧領域400X~400Z(詳細は後述)が第1チップ300aの上下方向に並べて形成されている。高耐圧領域400X~400Zには、それぞれ、抵抗311aとパッドP21(VHAC1)のペア、抵抗311bとパッドP22(VHAC2)のペア、及び、抵抗381とパッドP32(VHDC)のペアが形成されている。
一方、第1チップ300aの平面視において、領域A2(=第1チップ300aのほぼ右半分に相当する領域)には、パッドP23~P25及びP33、抵抗312a~315a、312b~315b及び382~385、NMOSFET316a、316b及び386、PMOSFET317a、317b及び387、並びに、フューズ318a、318b及び388が形成されている。
パッドP23~P25及びP33は、第1チップ300aの平面視において、第1チップ300aの上下方向中央よりもやや上辺寄り(=高耐圧領域400Y及び400Zの境界線を右方向に伸ばした延長線上)で、第1チップ300aの左右方向に並べて形成されている。なお、各パッドの配列順序については、例えば、紙面の左側から順に、パッドP33(DCIN)、P24(ACIN2)、P23(ACIN1)及びP25(GND)と並ぶように配列すればよい。また、パッドP23及びP25のパッド間距離は、パッドP23及びP24のパッド間距離、並びに、パッドP24及びP33のパッド間距離よりも広げておくとよい。
抵抗312a~315aは、第1チップ300aの平面視において、パッドP23~P25及びP33よりも第1チップ300aの下辺寄りとなる位置であって、かつ、高耐圧領域400Xの右辺に隣接する位置(より詳細には、高耐圧領域400Xの上下方向中央よりもやや上辺寄りとなる位置)に形成されている。また、紙面左右方向に着目すると、抵抗312a~315aは、第1チップ300aの平面視において、パッドP33(DCIN)の左辺とほぼ面一になる位置から、パッドP23(ACIN1)の左辺とほぼ面一になる位置まで形成されている。
抵抗312b~315bは、第1チップ300aの平面視において、パッドP23~P25及びP33よりも第1チップ300aの下辺寄りとなる位置(より詳細には、パッドP23~P25及びP33と抵抗312a~315aに挟まれる位置)であって、かつ、高耐圧領域400Yの右辺に隣接する位置(より詳細には、高耐圧領域400Yの下辺寄りとなる位置)に形成されている。また、紙面左右方向に着目すると、抵抗312b~315bは、第1チップ300aの平面視において、抵抗312a~315aと同じく、パッドP33(DCIN)の左辺とほぼ面一になる位置から、パッドP23(ACIN1)の左辺とほぼ面一になる位置まで形成されている。
抵抗382~385は、第1チップ300aの平面視において、パッドP23~P25及びP33よりも第1チップ300aの上辺寄りとなる位置であって、かつ、高耐圧領域400Zの右辺に隣接する位置(より詳細には、高耐圧領域400Zの上辺寄りとなる位置)に形成されている。また、紙面左右方向に着目すると、抵抗382~385は、第1チップ300aの平面視において、抵抗312a~315a及び312b~315bと同じく、パッドP33(DCIN)の左辺とほぼ面一になる位置から、パッドP23(ACIN1)の左辺とほぼ面一になる位置まで形成されている。
なお、抵抗312a及び315a、抵抗312b及び315b、並びに、抵抗382及び385は、それぞれ複数の単位抵抗を含み、フューズ318a、318b及び388を用いることにより、その接続状態(直列数や並列数)を任意に切り替えることができる。
NMOSFET316a、316b及び386は、第1チップ300aの平面視において、第1チップ300aの上下方向に並べて形成されている。本図に即して述べると、NMOSFET316aは、パッドP25の下側に設けられており、NMOSFET316bは、パッドP25の上側に設けられている。また、NMOSFET386は、NMOSFET316bのさらに上側(=第1チップ300aの右上隅)に設けられている。
PMOSFET317aは、第1チップ300aの平面視において、パッドP23と第1チップ300aの下辺とのほぼ中間となる位置に設けられている。一方、PMOSFET317bは、第1チップ300aの平面視において、パッドP33と高耐圧領域400Yにより挟まれる位置に設けられている。また、PMOSFET387は、第1チップ300aの平面視において、パッドP33と高耐圧領域400Zにより挟まれる位置に設けられている。なお、PMOSFET317b及び387は、第1チップ300aの上下方向に並べて形成されている。
フューズ318a、318b及び388は、第1チップ300aの平面視において、第1チップ300aの上下方向に並べて形成されている。本図に即して述べると、フューズ318aは、PMOSFET317aと第1チップ300aの下辺との間に設けられており、フューズ318bは、パッドP23とPMOSFET317aとの間に設けられている。また、フューズ388は、パッドP23と第1チップ300aの上辺との間に設けられている。なお、フューズ318a、318b及び388は、それぞれ、複数のフューズ素子を含むフューズ素子群として理解することができる。
なお、高電圧が印加される抵抗311a、311b及び381としては、100V以上の耐圧(例えば650V耐圧)を持つポリシリコン抵抗を用いることが望ましい。特に、上記各抵抗の集積化に際しては、各抵抗を介する経路(横方向)の高耐圧化だけでなく、各抵抗と半導体基板との間(縦方向)の高耐圧化も必要となる。
そこで、AC監視部310及びDC監視部380がそれぞれ集積化される第1チップ300aには、その他の領域よりも基板厚さ方向(縦方向)の耐圧が高い3つの高耐圧領域400X~400Zを形成し、それぞれの高耐圧領域400X~400Z上に、抵抗311a及び311b、並びに、抵抗381を形成することが望ましい。
なお、上記3つの高耐圧領域400X~400Zとしては、高耐圧化の実績が豊富なLDMOSFET[lateral double-diffused MOSFET]領域を流用することができる。以下では、LDMOSFET領域の構造について、具体的に説明する。
<高耐圧領域(LDMOSFET領域)>
図40及び図41は、それぞれ、第1チップ300a(特に、高耐圧領域400X~400Zそれぞれの中央部に位置する帰還抵抗の形成領域周辺)の一構造例を示す縦断面図及び上面図である。なお、図40の縦断面図は、図41のα1-α2断面を模式的に示したものである。
本図の第1チップ300aは、p型半導体基板410を有し、これに高耐圧領域400(=先出の高耐圧領域400X~400Zに相当)として用いられるLDMOSFET領域が形成されている。より具体的に述べると、p型半導体基板410には、高耐圧領域400の中央部において、低濃度n型半導体領域411とこれを取り囲む高濃度p型半導体領域412が形成されている。なお、高耐圧領域400における基板厚み方向の耐圧は、低濃度n型半導体領域411の不純物濃度を下げたり厚みを増すほど高くなる。
低濃度n型半導体領域411には、高濃度n型半導体領域413が形成されており、高濃度p型半導体領域412には、高濃度n型半導体領域414が形成されている。これらの高濃度n型半導体領域413及び414は、それぞれ、LDMOSFETのドレイン領域(D)及びソース領域(S)に相当する。なお、図41で示したように、高耐圧領域400には、その平面視において同心環状のドレイン領域(D)とソース領域(S)が交互に複数形成されている。
また、低濃度n型半導体領域411の外縁表層には、高濃度n型半導体領域413を取り囲むように、フィールド酸化膜415が形成されている。また、p型半導体基板410の表層には、高濃度n型半導体領域414とフィールド酸化膜415との間に亘り、ゲート酸化膜416が形成されている。なお、ゲート酸化膜416上には、ポリシリコンを素材とするゲート領域417が形成されている。
また、フィールド酸化膜415上には、電界分布(=等電位線の間隔)を均等化して耐圧破壊を防止するための手段として、ポリシリコンを素材とするフィールドプレート418が形成されている。
また、フィールド酸化膜415の直下には、フィールド酸化膜415と低濃度n型半導体領域411との間に寄生容量を形成するための手段として、低濃度p型半導体領域419が形成されている。このような構成とすることにより、寄生容量の保持電圧分だけ、基板厚み方向の耐圧を高めることができる。
さらに、高濃度n型半導体領域413(=最内周のドレイン領域(D)に相当)に囲まれた低濃度n型半導体領域411の中央部表層には、フィールド酸化膜402が形成されており、帰還抵抗401(=抵抗311aまたは311b、若しくは、抵抗381)は、このフィールド酸化膜402上に形成されている。なお、帰還抵抗401は、ゲート領域417やフィールドプレート418と同一のポリシリコン層を用いて形成すればよい。
また、本図の例では、帰還抵抗401の両端部がそれぞれビアを介して第1メタル層1Mに接続されており、さらには、第1メタル層1Mがビアを介して第2メタル層2Mに接続されている。例えば、パッド403(=パッドP21またはP22、若しくは、パッドP32)は、上記の第2メタル層2Mに形成すればよい。ただし、メタル層の積層数については、何らこれに限定されるものではなく、1層のみであってもよいし3層以上であってもよい。
また、帰還抵抗401は、図41で示したように、複数本の単位抵抗401(1)~401(m)(ただしm≧2)を組み合わせて形成するとよい。例えば、単位抵抗1本当たりの抵抗値が1MΩである場合において、帰還抵抗401の合成抵抗を10MΩとしたければ、10本の単位抵抗を直列に接続すればよい。
このように、高耐圧領域400としてLDMOSFET領域(例えば600V耐圧)を流用を流用することにより、帰還抵抗401とp型半導体基板410との間の高耐圧化を実現することができる。
<チップレイアウト(第2チップ)>
図42は、第2チップ300bのレイアウトを示す図である。以下では、便宜上、紙面の上下左右方向を、第2チップ300bの平面視における上下左右方向として定義することにより、パッドや回路ブロックの位置関係を説明する。
なお、本図では、図37で説明済みのパッドP26~P31及びP34~P35に加えて、新たに、チップテスト用のパッドP41~P49が描写されている。パッドP41~P49について簡単に説明する。パッドP41(SCANIN)、パッドP42(SCANMODE)、パッドP43(SCANCLK)、パッドP44(SCANRST)、パッドP45(SCANEN)、及び、パッドP49(SCANOUT)は、スキャンパステスト用のパッド群(テスト信号入力パッド、モード切替信号入力パッド、クロック信号入力パッド、リセット信号入力パッド、イネーブル信号入力パッド、及び、テスト信号出力パッド)である。パッドP46(TSD)は、温度保護信号出力パッドである。パッドP47(VCLA)は、アナログ回路のテスト電圧印加パッドである。パッドP48(VCLD)は、デジタル回路のテスト電圧印加パッドである。
第2チップ300bは、その平面視において、右辺及び左辺が上辺及び下辺よりも長い縦長の矩形状に切り出されている。
第2チップ300bの平面視において、第2チップ300bの左辺近傍には、紙面上側から順に、パッドP34(DCIN)、パッドP27(ACIN2)、パッドP26(ACIN1)、パッドP28(GND)、パッドP31(ACOUT)、及び、パッドP49(SCANOUT)が上下方向に並べて形成されている。
一方、第2チップ300bの平面視において、第2チップ300bの右辺近傍には、紙面上側から順に、パッドP41(SCANIN)、パッドP42(SCANMODE)、パッドP43(SCANCLK)、パッドP44(SCANRST)、パッドP45(SCANEN)、パッドP46(TSD)、パッドP47(VCLA)、及び、パッドP48(VCLD)が上下方向に並べて形成されている。
また、第2チップ300bの平面視において、第2チップ300bの下辺近傍には、紙面左側から順に、パッドP35(DCOUT)、パッドP30(GND)、及び、パッドP29(VCC)が左右方向に並べて形成されている。
パッドP26及びP27は、互いに隣接して設けるとよい。パッドP27及びP34のパッド間距離は、パッドP26及びP27のパッド間距離よりも広げるとよい。パッドP26(ACIN1)とパッドP31(ACOUT)との間には、パッドP28(GND)を設けるとよい。パッドP29(VCC)とパッドP35(DCOUT)との間には、パッドP30(GND)を設けるとよい。パッドP26~P28、P31及びP34~P35の直下には、それぞれ、静電保護素子(28VPDまたはEBZ)が形成されている。パッドP41とパッドP42との間、及び、パッドP43とパッドP44との間には、それぞれ、TESTブロック(テスト回路)が形成されている。
第2チップ300bの平面視において、パッドP26~P28、P31及びP34の近傍領域(=パッド形成領域を除き、第2チップ300bの左側1/4程度、上側3/4程度を占める領域)には、ACDETブロック(=比較部350に相当)、ACMONブロック(=ZERODETブロックの前段に設けられたRCフィルタであり、図37では明示されず)、ZERODETブロック(=ゼロクロス検出部320に相当)、ZERODET02Vブロック(=入力停止検出部370に相当)、及び、ACOUTブロック(=第1出力部340に相当)が形成されている。
ACMONブロック、ZERODETブロック、及び、ZERODET02Vブロックは、いずれもパッドP26に隣接する位置からパッドP31に隣接する位置まで縦長の領域に形成されている。また、ACMONブロック、ZERODETブロック、及び、ZERODET02Vブロックは、第2チップ300bの左右方向に並べて形成されている。
ACDETブロックは、ACMONブロック、ZERODETブロック、及び、ZERODET02Vブロックそれぞれの上辺と、第2チップ300bの上辺との間に挟まれた領域に形成されている。なお、ACDETブロックの面積は、ACMONブロック、ZERODETブロック、ZERODET02Vブロックそれぞれの面積よりも大きい。
ACOUTブロックは、ACMONブロック、ZERODETブロック、及び、ZERODET02Vブロックそれぞれの下辺から、第2チップ300bの左辺に至る屈曲形状の領域に形成されている。すなわち、ACOUTブロックの一部は、パッドP31とパッドP49に挟まれた領域に形成されている。
DCOUTブロックは、パッドP35(DCOUT)の近傍領域(=パッドP35、パッドP30、及び、パッドP49に囲まれた横長の領域)に形成されている。DCOUTブロックの面積は、ACOUTブロックの面積よりも大きい。
LOGICブロック(=先出のロジック部330に相当)は、第2チップ300bの右上領域(=パッド形成領域を除き、第2チップ300bの右側3/4程度、上側4/7程度を占める領域)に形成されている。LOGICブロックの面積は、その他いずれのブロックの面積よりも大きい。
第2チップ300bの平面視において、上記の各ブロック(ACDET、ACMON、ZERODET、ZERODET02V、ACOUT、DCOUT,及び、LOGIC)が形成されていない領域(=第2チップ300bの右側3/4程度、下側3/7程度を占める領域)には、バンドギャップ基準電圧を生成するBGRブロック、バンドギャップ基準電圧から内部基準電圧を生成するVREFAMPブロック、内部基準電圧を監視するVREFDETブロック(=減電圧保護部360に相当)、内部基準電流を生成するIREFブロック、LOGICブロックにクロック信号を供給するOSCブロック、及び、LOGICブロックの動作設定を行うFUSEブロックが形成されている。
<パッケージレイアウト(第5例)>
図43は、半導体集積回路装置300におけるパッケージレイアウトの第5例を示す図(XZ平面図)である。本図の半導体集積回路装置300では、図34のパッケージレイアウト(第3例)をベースとしつつ、図39の第1チップ300aと、図42の第2チップ300bがアイランド300c上に実装されている。
具体的に述べると、本図では、図39の第1チップ300aが時計回り(または反時計回り)に180°回転された状態で、アイランド300cの右上領域に実装されている。また、本図では、図42の第2チップ300bが時計回りに90°回転された状態で、アイランド300cの左下領域に実装されている。
パッドP21(VHAC1)は、ワイヤW21を介して7ピン(VHAC1)の先端側に接続されている。パッドP22(VHAC2)は、ワイヤW22を介して6ピン(VHAC2)に接続されている。パッドP23(ACIN1)は、ワイヤW23を介してパッドP26(ACIN1)に接続されている。パッドP24(ACIN2)は、ワイヤW24を介してパッドP27(ACIN2)に接続されている。パッドP25(GND)は、ワイヤW25を介してパッドP28(GND)に接続されている。パッドP33(DCIN)は、ワイヤW30を介してパッドP34(DCIN)に接続されている。パッドP29(VCC)は、ワイヤW26を介して4ピン(VCC)の先端側に接続されている。パッドP30(GND)は、ワイヤW27を介して3ピン(GND)に接続されている。パッドP31(ACOUT)は、ワイヤW28を介して1ピン(ACOUT)の先端側に接続されている。
なお、本図の半導体集積回路装置300では、DC電圧モニタ機能が用いられていないので、パッドP32(VHDC)及びP35(DCOUT)は、いずれのピンにも接続されていない。一方、パッドP33(DCIN)とパッドP34(DCIN)との間は、ワイヤW30を介して接続されている。従って、例えば、先出の図37に倣い、パッドP32(VHDC)と未使用の5ピンとの間をワイヤW29で接続し、パッドP35(DCOUT)と未使用の2ピンとの間をワイヤW30で接続しさえすれば、DC電圧モニタ機能を利用することができるようになる。
また、第1チップ300aのパッドP23~P25及びP33と、第2チップ300bのパッドP26~P28及びP34は、それぞれ対応する順序で、紙面左右方向(X軸方向)に並べられている。従って、各パッド間のワイヤW23~W25及びW30を交差せずに最短距離で敷設することができる。
また、第1チップ300aのパッドP21~P22及びP32は、7ピン(VHAC1ピン)、6ピン(VHAC2ピン)、及び、5ピン(DC電圧モニタ機能を用いる場合にはVHDCピンとなるピン)にそれぞれ対応する順序で、紙面上下方向(Z軸方向)に並べられている。従って、ピン-パッド間のワイヤW21~W22(及びDC電圧モニタ機能を用いる場合にはワイヤW29)を交差させずに最短距離で敷設することができる。
同様に、第2チップ300bのパッドP29~P30及びP35は、4ピン(VCCピン)、3ピン(GNDピン)、及び、2ピン(DC電圧モニタ機能を用いる場合にはDCOUTピンとなるピン)にそれぞれ対応する順序で、紙面上下方向(Z軸方向)に並べられている。従って、ピン-パッド間のワイヤW26~W27(及びDC電圧モニタ機能を用いる場合にはワイヤW29)を交差させずに最短距離で敷設することができる。
なお、チップテスト用のパッドP41~P49は、半導体集積回路装置300へのパッケージング後に用いられることがないので、いずれのピンにも接続されていない。
また、パッケージ内部のフレーム面積に着目すると、1ピン(ACOUTピン)、4ピン(VCCピン)、5ピン(N.C.ピン)、及び、7ピン(VHAC1ピン)は、いずれも2ピン(N.C.ピン)、3ピン(GNDピン)、及び、6ピン(VHAC2ピン)よりも大きい。
すなわち、X方向(=紙面左右方向)に着目すると、1ピン(ACOUTピン)及び4ピン(VCCピン)は、2ピン(N.C.ピン)及び3ピン(GNDピン)よりも突出する部分を有する。同様に、5ピン(N.C.ピン)及び7ピン(VHAC1ピン)は、6ピン(VHAC2ピン)よりも突出する部分を有する。
また、Z方向(=紙面上下方向)に着目すると、1ピン(ACOUTピン)及び4ピン(VCCピン)は、その一部がアイランド300cと重なる。同様に、5ピン(N.C.ピン)及び7ピン(VHAC1ピン)は、その一部がアイランド300cと重なる。
さらに、1ピン(ACOUTピン)と7ピン(VHAC1ピン)との間、並びに、4ピン(VCCピン)と5ピン(N.C.ピン)との間には、それぞれ、アイランド300cを支える支持フレーム300e及び300fが形成されている。
<パッケージレイアウト(第6例)>
図44は、半導体集積回路装置300におけるパッケージレイアウトの第6例を示す図(XZ平面図)である。本図の半導体集積回路装置300では、図36のパッケージレイアウト(第4例)をベースとしつつ、先の第5例(図43)と同じく、図39の第1チップ300aと、図42第2チップ300bがアイランド300c上に実装されている。
具体的に述べると、本図では、図39の第1チップ300aが時計回り(または反時計回り)に180°回転された状態で、アイランド300cの左右中央上側領域(=図43と比べてアイランド300cの左右中央寄りにスライドされた位置)に実装されている。また、本図では、図42の第2チップ300bが時計回りに90°回転された状態で、アイランド300cの左下領域(=図43と比べてアイランド300cの上下中央寄りにスライドされた位置)に実装されている。
パッドP21(VHAC1)は、ワイヤW21を介して11ピン(VHAC1)に接続されている。パッドP22(VHAC2)は、ワイヤW22を介して10ピン(VHAC2)に接続されている。パッドP32(VHDC)は、ワイヤW29を介して9ピン(VHDC)に接続されている。パッドP23(ACIN1)は、ワイヤW23を介してパッドP26(ACIN1)に接続されている。パッドP24(ACIN2)は、ワイヤW24を介してパッドP27(ACIN2)に接続されている。パッドP25(GND)は、ワイヤW25を介してパッドP28(GND)に接続されている。パッドP33(DCIN)は、ワイヤW30を介してパッドP34(DCIN)に接続されている。パッドP29(VCC)は、ワイヤW26を介して7ピン(VCC)の先端側に接続されている。パッドP30(GND)は、ワイヤW27を介して5ピン(GND)に接続されている。パッドP35(DCOUT)は、ワイヤW31を介して4ピン(DCOUT)に接続されている。パッドP31(ACOUT)は、ワイヤW28を介して3ピン(ACOUT)の先端側に接続されている。
なお、第1チップ300aのパッドP23~P25及びP33と、第2チップ300bのパッドP26~P28及びP34は、それぞれ対応する順序で、紙面左右方向(X軸方向)に並べられている。従って、各パッド間のワイヤW23~W25及びW30を交差せずに最短距離で敷設することができる。この点については、先の図43と同様である。
また、第1チップ300aのパッドP21~P22及びP32は、11ピン(VHAC1ピン)、10ピン(VHAC2ピン)、及び、9ピン(VHDCピン)にそれぞれ対応する順序で、紙面上下方向(Z軸方向)に並べられている。従って、ピン-パッド間のワイヤW21~W22及びW29を交差させずに最短距離で敷設することができる。
同様に、第2チップ300bのパッドP29~P30及びP35は、7ピン(VCCピン)、5ピン(GNDピン)、及び、4ピン(DCOUTピン)にそれぞれ対応する順序で、紙面上下方向(Z軸方向)に並べられている。従って、ピン-パッド間のワイヤW26~W27及びW31を交差させずに最短距離で敷設することができる。
なお、チップテスト用のパッドP41~P49は、半導体集積回路装置300へのパッケージング後に用いられることがないので、いずれのピンにも接続されていない。この点についても、先の図43と同様である。
また、パッケージ内部のフレーム面積に着目すると、2ピン(N.C.ピン)と6ピン(N.C.ピン)は、いずれも、3ピン(ACOUTピン)、4ピン(DCOUTピン)及び5ピン(GNDピン)よりも大きい。
すなわち、X方向(=紙面左右方向)に着目すると、2ピン(N.C.ピン)及び6ピン(N.C.ピン)は、3ピン(ACOUTピン)、4ピン(DCOUTピン)、及び、5ピン(GNDピン)よりも突出する部分を有する。
また、Z方向(=紙面上下方向)に着目すると、2ピン(N.C.ピン)並びに6ピン(N.C.ピン)は、アイランド100cと重なる部分を持たない。これと同様に、1ピン(N.C.ピン)、7ピン(VCCピン)、8ピン(N.C.ピン)、及び、11ピン(VHAC1ピン)も、アイランド100cと重なる部分を持たない。
さらに、1ピン(N.C.ピン)と11ピン(VHAC1ピン)との間、並びに、7ピン(VCCピン)と8ピン(N.C.ピン)との間には、それぞれ、アイランド300cを支える支持フレーム300e及び300fが形成されている。
<ピン配置>
図45は、7ピンパッケージ(図43)を採用した半導体集積回路装置300のピン配置を示す平面図である。パッケージの左辺には、紙面の上側から順に、1ピン(ACOUT)、2ピン(N.C.)、3ピン(GND)、及び、4ピン(VCC)がそれぞれ導出されている。一方、パッケージの右辺には、紙面の下側から順に、5ピン(N.C.)、6ピン(VHAC2)、及び、7ピン(VHAC1)がそれぞれ導出されている。
なお、それぞれ高電圧が印加される7ピン(VHAC1)と6ピン(VHAC2)との端子間距離w11は、1ピン~4ピン相互間の端子間距離w12、及び、5ピンと6ピンとの端子間距離w13よりも広げておくことが望ましい。例えば、本図の例では、6ピンと7ピンとの間に本来設けられるべき外部端子(=2ピンと対向するピン)を間引くことにより、6ピンと7ピンとの端子間距離w11が広げられている。
また、パッケージの左辺から導出される1ピン~4ピンの長さと、パッケージの右辺から導出される5ピン~7ピンの長さは、必ずしも同一である必要はなく、例えば、本図で示したように、5ピン~7ピンを1ピン~4ピンよりも長く導出してもよい。
図46は、11ピンパッケージ(図44)を採用した半導体集積回路装置300のピン配置を示す平面図である。本図の例において、パッケージの左辺には、紙面の上側から順に、1ピン(N.C.)、2ピン(N.C.)、3ピン(ACOUT)、4ピン(DCOUT)、5ピン(GND)、6ピン(N.C.)、及び、7ピン(VCC)がそれぞれ導出されている。一方、パッケージの右辺には、紙面の下側から順に、8ピン(N.C.ピン)、9ピン(VHDC)、10ピン(VHAC2)、及び、11ピン(VHAC1)がそれぞれ導出されている。
なお、それぞれ高電圧が印加される11ピン(VHAC1)と10ピン(VHAC2)との端子間距離w21、10ピン(VHAC2)と9ピン(VHDC)との端子間距離w22、及び、9ピン(VHDC)と8ピン(N.C.)との端子間距離w23は、1ピン~7ピン相互間の端子間距離w24よりも広げておくことが望ましい。例えば、本図の例では、8ピンと9ピンとの間、9ピンと10ピンとの間、並びに、10ピンと11ピンとの間に本来設けられるべき外部端子(=2ピン、4ピン、及び、6ピンとそれぞれ対向するピン)を間引くことにより、8ピンと9ピンとの端子間距離w23、9ピンと10ピンとの端子間距離w22、及び、10ピンと11ピンとの端子間距離w21がそれぞれ広げられている。
また、パッケージの左辺から導出される1ピン~7ピンの長さと、パッケージの右辺から導出される8ピン~11ピンの長さは、必ずしも同一である必要はなく、例えば、本図で示したように、8ピン~11ピンを1ピン~7ピンよりも短く導出してもよい。
また、1ピン~11ピンは、それぞれの根元が細くなるように形成するとよい。
<入力オフセットと信号遅延>
次に、ゼロクロス検出部320の入力オフセットと信号遅延について、図47~図49を参照しつつ検討する。図47~図49は、それぞれ、ゼロクロス検出部320における比較信号SBの生成動作を示す図であり、紙面上側から順に、ACモニタ信号SA1(実線)及びSA2(破線)と比較信号SBが描写されている。
なお、図47~図49は、それぞれ、第1条件(入力オフセットなし、信号歪みなし)での挙動、第2条件(入力オフセットなし、信号歪みあり)での挙動、並びに、第3条件(入力オフセットあり、信号歪みあり)での挙動を示している。
図47で示すように、ACモニタ信号SA1及びSA2に歪みを生じにくいアプリケーション(=モータを小電流で駆動するドライヤなど)では、ゼロクロス検出部320に入力オフセットを付けなくても、比較信号SBのチャタリングを生じにくい。そのため、ゼロクロス検出部320には信号遅延がなく、ACモニタ信号SA1及びSA2が交差する毎に、比較信号SBの論理レベルが遅滞なく切り替わる。
一方、図48で示すように、ACモニタ信号SA1及びSA2に歪みを生じやすいアプリケーション(=モータを大電流で駆動する洗濯機など)では、ゼロクロス検出部320に入力オフセットを付けていないと、ゼロクロスタイミングの近傍で比較信号SBにチャタリングを生じるおそれがある。
なお、図49で示すように、ゼロクロス検出部320に入力オフセット(例えばACモニタ信号SA1を正側にシフトさせる入力オフセットSA1_ofs)を付けておけば、ACモニタ信号SA1及びSA2に歪みが生じても、比較信号SBのチャタリングを回避することができる。ただし、ゼロクロス検出部320に入力オフセットを付けると、比較信号SBの論理切替タイミング(延いてはゼロクロスタイミングの検出結果)が遅延時間Tdだけ遅れてしまう。
特に、遅延時間Tdは、VHAC1ピンに印加される監視対象電圧V11(延いては交流電圧V0)に対する依存性を持つことが知られており、アプリケーションの動作に支障を来すおそれもある。以下では、このような不具合を解決するための新規な実施形態について提案する。
<半導体集積回路装置(第7実施形態)>
図50は、半導体集積回路装置300の第7実施形態を示す図である。本実施形態の半導体集積回路装置300は、先出の図37(=第5実施形態(図22)+DCモニタ機能+11ピンパッケージ)をベースとしつつ、遅延調整部510と制御部520をさらに有している。そこで、既出の構成要素については、図37と同一の符号を付すことで重複した説明を省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について重点的に説明する。
遅延調整部510は、ロジック部330の後段に設けられており、制御部520から指示される遅延調整量Td_adjに応じて、ゼロクロス検出信号SCの遅延時間Td(以下では、ゼロクロス遅延時間Tdと呼ぶ)を調整する。
制御部520は、比較部350から出力される複数の比較信号SD(=監視対象電圧V11の波高値、延いては、交流電圧V0の波高値を反映した論理信号)に基づいて遅延調整量Td_adjを設定する。また、制御部520は、複数の比較信号SDに基づいてゼロクロス検出部320の入力オフセットSA1_ofsを切り替える機能も備えている。
図51は、遅延調整部510及び制御部520によるゼロクロス遅延時間Tdの変動抑制処理を示す図であり、紙面上側から順に、ゼロクロス遅延時間Td、遅延調整量Td_adj、及び、入力オフセットSA1_ofsが描写されている。
なお、本図の横軸は、端子電圧VHAC1の波高値(=VHAC1ピンに印加される監視対象電圧V11の波高値、延いては、交流電圧V0の波高値に相当)を示しており、これと比較される閾値電圧VthH、VthM、VthLについては、VthH>VthM>VthLが成立しているものとする。
また、ゼロクロス遅延時間Tdについて、実線L1は、遅延調整量Td_adj及び入力オフセットSA1_ofsの切替制御を実施する場合の挙動を示している。一方、破線L2は、遅延調整量Td_adj及び入力オフセットSA1_ofsの切替制御を実施しない場合(常にTd_adj=0、かつ、SA1_ofs=+OFSである場合)の挙動を示している。また、一点鎖線L3は、入力オフセットSA1_ofsを付与しない場合(常にTd_adj=0、かつ、SA1_ofs=0である場合)の挙動を示している。
遅延調整量Td_adj及び入力オフセットSA1_ofsの切替制御を実施しない場合、ゼロクロス遅延時間Tdは、破線L2で示すように、端子電圧VHAC1が低下するほど増大し、所定の目標ゼロクロス遅延時間Td_targetから乖離していく。
これに対して、遅延調整量Td_adj及び入力オフセットSA1_ofsの切替制御を実施する場合には、実線L1で示すように、ゼロクロス遅延時間Tdが所定の目標ゼロクロス遅延時間Td_target(ないしはその近傍値)に維持される。
本図に即して具体的に述べると、例えば、VthH<VHAC1となる電圧範囲(I)では、Td_adj=0(遅延調整なし)、かつ、SA1_ofs=+OFS(入力オフセットあり)に設定される。この電圧範囲(I)では、ゼロクロス遅延時間Tdが調整されないので、実線L1が破線L2と同じ挙動を示す。すなわち、ゼロクロス遅延時間Tdは、端子電圧VHAC1が低下するほど増大し、目標ゼロクロス遅延時間Td_targetから乖離していく。ただし、電圧範囲(I)では、目標ゼロクロス遅延時間Td_targetからの乖離度がさほど大きくないので、特段の支障は生じない。
一方、VthM<VHAC1<VthHとなる電圧範囲(II)では、Td_adj=-ADJ1(遅延調整小)、かつ、SA1_ofs=+OFS(入力オフセットあり)に設定される。すなわち、遅延調整済みのゼロクロス遅延時間Td(実線L1)は、Td=Td0-ADJ1(ただし、Td0は遅延未調整時のゼロクロス遅延時間(破線L2))として表される。
また、VthL<VHAC1<VthMとなる電圧範囲(III)では、Td_adj=-ADJ2(遅延調整大)、かつ、SA1_ofs=+OFS(入力オフセットあり)に設定される。すなわち、遅延調整済みのゼロクロス遅延時間Td(実線L1)は、Td=Td0-ADJ2(ただしADJ2>ADJ1)として表される。
もちろん、遅延調整済みのゼロクロス遅延時間Td(実線L1)も、遅延未調整時のゼロクロス遅延時間Td0(破線L2)と同じく、端子電圧VHAC1に依存して変動するが、遅延調整量Td_adjだけ負側にシフトされているので、目標ゼロクロス遅延時間Td_targetからの乖離度が小さく抑えられる。
さらに、VHAC1<VthLとなる電圧範囲(IV)では、Td_adj=0(遅延調整なし)、かつ、SA1_ofs=0(入力オフセットなし)に設定される。このように、遅延調整を行っても目標ゼロクロス遅延時間Td_targetからの乖離を所望の範囲内に抑え切れない電圧範囲(IV)では、入力オフセットSA1_ofsの付与自体が停止される。その結果、ゼロクロス検出部320での信号遅延がなくなり、ゼロクロス遅延時間Tdが目標ゼロクロス遅延時間Td_targetから乖離しなくなる。
なお、ACモニタ信号SA1及びSA2に歪みを生じにくいアプリケーションでは、端子電圧VHAC1の波高値に依ることなく、遅延調整量Td_adjと入力オフセットSA1_ofsをいずれもゼロ値に固定し、一点鎖線L3で示すように、ゼロクロス遅延時間Tdを目標ゼロクロス遅延時間Td_targetに維持すればよい。
<半導体集積回路装置(第8実施形態)>
図52は、半導体集積回路装置300の第8実施形態を示す図である。本実施形態の半導体集積回路装置300は、先出の第7実施形態(図50)をベースとしつつ、6ピンが遅延設定端子DSETとして用いられている。そこで、既出の構成要素については、図50と同一の符号を付すことで重複した説明を省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について重点的に説明する。
半導体集積回路装置300の内部において、内部基準電圧VREFの印加端と遅延設定端子DSETとの間には、内部抵抗531(抵抗値:R1)が接続されている。また、半導体集積回路装置300の外部において、遅延設定端子DSETと接地端との間には、外部抵抗532(抵抗値:R2)が接続されている。従って、遅延設定端子DSETには、内部基準電圧VREFを所定の分圧比α(=R2/(R1+R2))で分圧した端子電圧VDSET(=α×VREF)が現れる。
制御部520は、端子電圧VDSET(=遅延設定信号に相当)に応じて目標ゼロクロス遅延時間Td_targetを任意に設定する機能を備えている。
図53は、目標ゼロクロス遅延時間Td_targetの任意設定例を示す図である。なお、本図の横軸は端子電圧VDSETを示しており、これと比較される閾値電圧VH、VM、VLについては、VREF>VH>VM>VL(例えば、VREF=3.0V、VH=2.5V、VM=1.0V、VL=0.3V)が成立しているものとする。
本図に即して具体的に述べると、VH<VDSETとなる電圧範囲(i)では、Td_target=0に設定される。なお、端子電圧VDSETが電圧範囲(i)に収まるようにするためには、例えば、遅延設定端子DSETをオープンとすればよい(VDSET≒3.0V)。
また、VM<VDSET<VHとなる電圧範囲(ii)では、Td_target=-2X(例えばX=200[μs])に設定される。なお、端子電圧VDSETが電圧範囲(ii)に収まるようにするためには、例えば、280kΩの内部抵抗531に対して、330kΩの外部抵抗532を接続すればよい(VDSET≒1.6V)。
また、VL<VDSET<VMとなる電圧範囲(iii)では、Td_target=-1Xに設定される。なお、端子電圧VDSETが電圧範囲(iii)に収まるようにするためには、例えば、280kΩの内部抵抗531に対して、68kΩの外部抵抗532を接続すればよい(VDSET≒0.6V)。
また、VDSET<VLとなる電圧範囲(iv)では、Td_target=+1Xに設定される。なお、端子電圧VDSETが電圧範囲(iv)に収まるようにするためには例えば、遅延設定端子DSETをGNDショートすればよい(VDSET≒0V)。
ところで、ロジック部330では、先にも述べたように、前周期におけるACモニタ信号SA1及びSA2の交差タイミングを検出して、次周期におけるゼロクロス検出信号SCのタイミング制御が行われる(図26などを参照)。従って、上記のように目標ゼロクロス遅延時間Td_targetを負値(<0)に設定することも可能である。
なお、目標ゼロクロス遅延時間Td_targetの任意設定機能(第8実施形態)については、必ずしもゼロクロス遅延時間Tdの変動抑制機能(第7実施形態)と組み合わせて導入する必要はなく、それぞれを独立に導入することも可能である。
また、本実施形態では、端子電圧VDSETに応じて目標ゼロクロス遅延時間Td_targetを4段階に切り替える例を挙げたが、その切替段数については任意である。
<ACOUT出力波形>
次に、ACOUT信号S1の出力波形について考察する。ACOUT信号S1の出力形式は、交流電圧V0のゼロクロスタイミング毎に論理レベルが交互に切り替わる矩形波型(図54)であってもよいし、或いは、交流電圧V0のゼロクロスタイミング毎に所定のパルス幅twを持つトリガパルスが生成されるエッジ型(図55)であってもよい。
<半導体集積回路装置(第9実施形態)>
図56は、半導体集積回路装置300の第9実施形態を示す図である。本実施形態の半導体集積回路装置300は、先出の図37(=第5実施形態(図22)+DCモニタ機能+11ピンパッケージ)をベースとしつつ、2ピンが出力モード設定端子MODEとして用いられている。そこで、既出の構成要素については、図37と同一の符号を付すことで重複した説明を省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について重点的に説明する。
ロジック部330は、出力モード設定端子MODEへの入力信号に応じて、ACOUT信号S1の出力形式を矩形波型(図54)とエッジ型(図55)の一方に切り替える機能を備えている。なお、出力モード設定端子MODEへの入力信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。
また、上記の第7実施形態(図50)、第8実施形態(図52)、及び、第9実施形態(図56)では、いずれも図37をベースとした例を挙げたが、その他の実施形態をベースとしても構わない。例えば、第7~第9実施形態を採用するに際して、DCモニタ機能の有無やパッケージのピン数などは一切不問である。
<総括>
以下では、本明細書中に開示されている種々の実施形態について、総括的に述べる。
例えば、本明細書中に開示されているゼロクロス検出回路は、交流信号の印加端からダイオードを介して入力される監視対象信号のピークを検出してピーク検出信号を生成するピーク検出部と、前記ピーク検出信号から前記交流信号のゼロクロスを推定してゼロクロス検出信号を生成するゼロクロス検出部と、を有する。
なお、上記構成から成るゼロクロス検出回路は、前記監視対象信号を前記ピーク検出部への入力に適合させる監視部をさらに有するとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路において、前記ゼロクロス検出部は、前記ピーク検出信号の周期をカウントし、そのカウント値を用いて前記交流信号のゼロクロスを推定するとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路は、前記監視対象信号と複数の閾値とを比較して複数の比較信号を生成する比較部と、前記ゼロクロス検出信号の一周期中に少なくとも一つの比較信号で立上りエッジと立下りエッジの双方が生じたか否かを検出して波形判定信号を生成する波形判定部と、をさらに有するとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路において、前記ゼロクロス検出部は、前記波形判定信号が異常判定時の論理レベルであるときに、前記ゼロクロス検出信号の生成または出力を停止するとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路において、前記ゼロクロス検出部は、前記ピーク検出信号の論理レベルが切り替わった後、所定期間に亘って切替後の論理レベルが維持されなければ、その論理レベルの切り替わりを無視するとよい。
また、例えば、本明細書中に開示されているゼロクロス検出回路は、相互間に交流信号が印加される第1ノード及び第2ノードからそれぞれダイオードを介して入力される第1監視対象信号及び第2監視対象信号を比較して第1比較信号を生成するゼロクロス検出部と、前記第1比較信号から前記交流信号のゼロクロスを推定してゼロクロス検出信号を生成するロジック部と、を有する。
なお、上記構成から成るゼロクロス検出回路は、前記第1監視対象信号及び前記第2監視対象信号を前記ゼロクロス検出部への入力に適合させる監視部をさらに有するとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路において、前記ロジック部は、前記第1比較信号の周期をカウントし、そのカウント値を用いて前記交流信号のゼロクロスを推定するとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路において、前記ゼロクロス検出部は、前記第1監視対象信号と所定の閾値とを比較して第2比較信号をさらに生成し、前記ロジック部は、前記第1監視対象信号が前記閾値を下回ったときには、前記第1比較信号に代えて前記第2比較信号の周期をカウントし、そのカウント値を用いて前記交流信号のゼロクロスを推定するとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路において、前記ロジック部は、前記第2比較信号の論理レベルが切り替わった後、所定期間に亘って切替後の論理レベルが維持されなければ、その論理レベルの切り替わりを無視するとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路は、前記交流信号の波高値に基づいて遅延調整量を設定する制御部と、前記遅延調整量に応じて前記ゼロクロス検出信号の遅延時間を調整する遅延調整部と、をさらに有するとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路において、前記制御部は、前記交流信号の波高値が低いほど前記遅延調整量を増大するとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路において、前記制御部は、前記交流信号の波高値に基づいて前記ゼロクロス検出部の入力オフセットを切り替えるとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路において、前記制御部は、前記交流信号の波高値が所定の閾値よりも低いときに前記遅延調整量及び前記入力オフセットをいずれもゼロ値に設定するとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路は、前記第1監視対象信号またはその分圧信号と複数の閾値とをそれぞれ比較して複数の比較信号を生成する比較部をさらに有し、前記制御部は、前記交流信号の波高値を反映した論理値を持つ前記複数の比較信号の入力を受け付けるとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路において、前記制御部は、前記交流信号の波高値に依ることなく前記遅延補正量と前記入力オフセットをいずれもゼロ値に固定する機能を備えるとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路は、遅延設定信号に応じて前記ゼロクロス検出信号の遅延時間を設定する制御部をさらに有するとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路において、前記遅延設定信号は、外付け抵抗の抵抗値に応じた電圧値を持つアナログ信号であり、前記制御部は、前記アナログ信号と閾値との比較結果に応じて前記遅延時間を段階的に切り替えるとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路において、前記ゼロクロス検出信号は、前記交流信号のゼロクロスタイミング毎に論理レベルが交互に切り替わる矩形波型、若しくは、前記交流信号のゼロクロスタイミング毎に所定のパルス幅を持つトリガパルスが生成されるエッジ型であるとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路において、前記ロジック部は、出力モード設定信号に応じて、前記ゼロクロス検出信号の出力形式を前記矩形波型と前記エッジ型の一方に切り替えるとよい。
また、例えば、本明細書中に開示されているゼロクロス検出回路は、相互間に交流信号が印加される第1ノード及び第2ノードからそれぞれダイオードを介して入力される第1監視対象信号及び第2監視対象信号の少なくとも一方に応じて前記交流信号のゼロクロスを推定することによりゼロクロス検出信号を生成するロジック部と、前記第1監視対象信号及び前記第2監視対象信号の一方にオフセットを付けてそれぞれを互いに比較することにより入力停止検出信号を生成する入力停止検出部と、を有し、前記ロジック部は、前記入力停止検出信号に応じて前記ゼロクロス検出信号の論理レベルを固定する。
なお、上記構成から成るゼロクロス検出回路において、前記ロジック部は、前記入力停止検出信号の論理レベルが切り替わった後、所定期間に亘って切替後の論理レベルが維持されなければ、その論理レベルの切り替わりを無視するとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路は、前記第1監視対象信号及び前記第2監視対象信号を比較して比較信号を生成するゼロクロス検出部をさらに有し、前記ロジック部は、前記比較信号から前記交流信号のゼロクロスを推定するとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路は、前記第1監視対象信号及び前記第2監視対象信号を前記ゼロクロス検出部への入力に適合させる監視部をさらに有するとよい。
また、上記構成から成るゼロクロス検出回路において、前記ロジック部は、前記比較信号の周期をカウントし、そのカウント値を用いて前記交流信号のゼロクロスを推定するとよい。
また、例えば、本明細書中に開示されている半導体集積回路装置は、上記構成から成るゼロクロス検出回路を形成する回路要素の少なくとも一部を集積化して成る。
なお、上記構成から成る半導体集積回路装置において、前記監視対象信号の入力を受け付けるための第1外部端子とこれに隣接する第2外部端子との端子間距離は、他の外部端子同士の端子間距離よりも大きいことが望ましい。
また、上記構成から成る半導体集積回路装置は、前記交流信号として入力される交流電圧から第1直流電圧を生成するAC/DCコンバータをさらに集積化して成るとよい。
また、上記構成から成る半導体集積回路装置は、前記第1直流電圧から第2直流電圧を生成するDC/DCコンバータをさらに集積化して成るとよい。
また、上記構成から成る半導体集積回路装置は、前記監視対象信号を前記ピーク検出部への入力に適合させる監視部が集積化された第1チップと、前記ピーク検出部及び前記ゼロクロス検出部が集積化された第2チップと、をモールド樹脂で封止して成るとよい。
また、本明細書中に開示されている電子機器は、交流電圧を通常整流または倍電圧整流して整流電圧を生成する整流部と、前記交流電圧のゼロクロスを検出するゼロクロス検出回路と、前記ゼロクロス検出回路の検出結果に応じて負荷の駆動制御を行うマイコンと、を有し、前記ゼロクロス検出回路は、上記構成から成るゼロクロス検出回路、または、上記構成から成る半導体集積回路装置を用いて形成されたゼロクロス検出回路である。
なお、上記構成から成る電子機器において、前記整流部は、前記整流電圧の出力端と接地端との間に直列接続された第1キャパシタ及び第2キャパシタを含み、相互間の接続ノードは、前記第2監視対象信号が引き出される前記第2ノードに接続されているとよい。
なお、上記構成から成る電子機器において、前記ゼロクロス検出回路は、前記マイコンと共通の接地電圧を基準として動作するとよい。
また、上記構成から成る電子機器において、前記負荷は、モータまたはトライアックであるとよい。
<付記A>
先出の図39~図42について付記する。第1監視対象信号及び第2監視対象信号をゼロクロス検出部への入力に適合させる監視部が集積化された第1チップは、その平面視において、短辺と長辺との比がほぼ等しい矩形状に切り出すとよい。
なお、第1チップには、その他の領域よりも基板厚さ方向(縦方向)の耐圧が高い高耐圧領域を形成し、高耐圧領域の上部には、第1監視対象信号及び第2監視対象信号が入力される第1パッドとこれに接続される第1帰還抵抗を形成するとよい。
また、上記の高耐圧領域は、第1チップの平面視において、第1チップの第1辺に沿うように複数形成するとよい。また、これら複数の高耐圧領域(例えば、第1高耐圧領域、第2高耐圧領域、及び、第3高耐圧領域)は、第1チップの平面視において、第1チップの第1領域(例えば第1チップの半面)に集約して形成するとよい。
一方、第1チップの平面視において、第1チップの第2領域(例えば第1チップの残り半面)には、監視部からゼロクロス検出部に信号を出力するための第2パッドとこれに接続される第2帰還抵抗、接地端に接続される第3パッド、各パッドを保護するための静電保護素子、及び、第2帰還抵抗の抵抗値を調整するためのフューズを形成するとよい。
なお、第2パッド及び第3パッドは、第1チップの平面視において、第1チップの第1辺と直交する第2辺に沿うように複数形成するとよい。特に、第2パッド及び第3パッドは、第1チップの平面視において、第1辺中央よりも第2辺寄りで、第2辺に沿うように並べて形成するとよい。また、第2パッドと第3パッドとのパッド間距離は、複数の第2パッド同士のパッド間距離よりも広げておくとよい。
また、第2帰還抵抗は、第1チップの平面視において、高耐圧領域に隣接する位置に形成するとよい。
また、高電圧が印加される第1帰還抵抗としては、100V以上の耐圧(例えば650V耐圧)を持つポリシリコン抵抗を用いることが望ましい。
また、高耐圧領域は、LDMOSFET領域であることが望ましい。
また、LDMOSFET領域には、第1チップの平面視において、同心環状のドレイン領域とソース領域を交互に複数形成し、前記第1帰還抵抗は、最内周のドレイン領域に囲まれたフィールド酸化膜上に形成するとよい。
また、第1帰還抵抗及び第2帰還抵抗は、それぞれ、複数の単位抵抗を組み合わせて成るとよい。
一方、ゼロクロス検出部が集積化された第2チップは、その平面視において、長矩形状に切り出すとよい。
なお、第1チップと接続される複数のパッドは、第2チップの平面視において、第2チップの第1辺近傍に並べて形成するとよい。
一方、第1チップと接続されない複数のパッドは、第2チップの平面視において、第2チップの第1辺と対向する第2辺近傍に並べて形成するとよい。
また、第1監視対象信号の分圧信号が入力される第1パッドと、第2監視対象信号の分圧信号が入力される第2パッドは、互いに隣接して設けるとよい。
また、第3監視対象信号の分圧信号が入力される第3パッドと第2パッドとのパッド間距離は、第1パッドと第2パッドとのパッド間距離よりも広げるとよい。
また、第1パッドとACOUT信号を出力する第4パッドとの間には、接地電位に接続される第5パッドを設けるとよい。
また、DCOUT信号を出力する第6パッドと電源電位に接続される第7パッドとの間には、接地電位に接続される第8パッドを設けるとよい。
また、第1~第6パッドの直下には、それぞれ静電保護素子を形成するとよい。
また、テスト回路は、第1テストパッドと第2テストパッドとの間に形成するとよい。
また、比較部、RCフィルタ、ゼロクロス検出部、入力停止検出部、及び、第1出力部は、第2チップの平面視において、第1~第5パッドの近傍領域に形成するとよい。
また、第2出力部は、第2チップの平面視において、第6パッドの近傍領域に形成するとよい。
<付記B>
次に、先出の図43及び図44について付記する。第1チップ及び第2チップそれぞれのパッドは、対応するピンとワイヤを介して接続するとよい。
なお、DC電圧モニタ機能の使用/不使用に関わらず、第1チップのDCINピンと第2チップのDCINピンは、接続しておくとよい。
また、第1チップの複数の出力パッド及び接地パッドと、これらにそれぞれ接続される第2チップの複数の入力パッド及び接地パッドは、互いに対応する順序で並べるとよい。
<付記C>
次に、先出の図45及び図46について付記する。半導体集積回路装置のパッケージとしては、例えば、7ピンパッケージまたは11ピンパッケージを採用するとよい。
なお、高電圧が印加されないピンをパッケージの第1辺から導出し、高電圧が印加されるピンをパッケージの第2辺から導出するとよい。
また、高電圧が印加されるピン同士の端子間距離は、高電圧が印加されないピン同士の端子間距離よりも広げておくことが望ましい。
また、パッケージの第1辺から導出されるピンの長さと、パッケージの第2辺から導出されるピンの長さは、必ずしも同一である必要はない。例えば、第2辺のピンを第1辺のピンよりも長く導出してもよい。また、これとは逆に、第2辺のピンを第1辺のピンよりも短く導出してもよい。
また、各ピンは、それぞれの根元が細くなるように形成してもよい。
<その他の変形例>
なお、上記の実施形態では、ゼロクロス検出回路の検出結果に応じてモータの駆動制御を行う例を挙げたが、ゼロクロス検出回路の適用対象は、何らこれに限定されるものではなく、交流電圧のゼロクロスを検出してトライアックの駆動制御を行う電源装置などにも好適に用いることができる。
このように、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
例えば、バイポーラトランジスタとMOS電界効果トランジスタとの相互置換や、各種信号の論理レベル反転は任意である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。