JP7535154B2 - 偏心インクリーザー及び配管構造 - Google Patents

偏心インクリーザー及び配管構造 Download PDF

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Description

本発明は、偏心インクリーザー及び配管構造に関する。
一般に、建築物の屋上等には、雨水を受け止め、地上へと流し込むための凹部やルーフドレンが設けられている。凹部やルーフドレンには、集水器、複数の管(管部材)、互いに連結された管の下端に流下した雨水を横引きして集水マスに導く配管構造、及び各部材同士を連結する継手等の部材が設けられている。近年、凹部やルーフドレンでの排水能力を高めるために、管の内部を満水状態にすることによって、サイフォン現象を発生させ、排水量を飛躍的に増大させる排水構造が提案されている。
例えば、特許文献1には、3~13cmの開口面積を有するサイフォン管を備えるサイフォン式雨水排水装置が開示されている。
特開2004-308399号公報
大型マンションや工場等の大きな建築物では、排水構造に用いられる管が長くなり、サイフォン現象により満水状態で管を流下した雨水が勢いよく排水構造に流入する。雨水の勢いがそのまま保持されると、配管構造の管の周壁や集水マスの壁に雨水が当たった際の衝撃から管や集水マスが傷みやすくなる。
そこで、配管構造には、上流側から下流側に向かうにしたがって、拡径しつつ、中心軸に直交する断面において管の周壁の下側が下降する偏心インクリーザーが設けられる場合がある。具体的には、上流側に配置される小径の直管と下流側に配置される大径の直管との間に、偏心インクリーザーが配置される。小径の直管の下流側の端部と偏心インクリーザーの上流側の端部が連結され、偏心インクリーザーの下流側の端部と大径の直管の上流側の端部が連結される。
しかしながら、従来の配管構造では、断面で見たときの偏心インクリーザーの角度が排水構造の施工時の作業者によって異なり、偏心インクリーザーの下端が真下から周方向にずれる虞があった。偏心インクリーザーの下端が真下から周方向にずれると、拡径部で流下方向が変わった雨水がさらに下流側から流下する雨水の流れを堰き止めることになり、配管構造における排水能力が低下してしまう。
本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、拡径部の下端を真下に向けた状態で容易に設置可能な偏心インクリーザー及び偏心インクリーザーを備えた配管構造を提供する。
本発明の偏心インクリーザーは、水平方向に延びる第1直管部と、前記第1直管部の一方の端部に接続され、上端は前記第1直管部の上端から前記第1直管部の中心軸に沿って延び、且つ下端は前記中心軸に沿って前記第1直管部から離れるにしたがって下降するように拡径する拡径部と、一方の端部が前記拡径部の内径が大きい側の端部に接続され、前記第1直管部より大径の第2直管部と、を備え、前記拡径部の外周面に、前記拡径部の前記下端を示す位置合わせ部が設けられ、前記第1直管部及び前記第2直管部の各外周面に前記中心軸に沿って延びる第1線状部が設けられ、前記拡径部の周方向において前記位置合わせ部、前記第1線状部が重なることを特徴とする。
上述の偏心インクリーザーによれば、拡径部に位置合わせ部が設けられている。したがって、周方向において第1線状部が位置合わせ部に重なることで、拡径部の下端の位置及び向きが第1直管部及び第2直管部の各第1線状部に対応付けられる。このような偏心インクリーザーでは、第1直管部及び第2直管部の各第1線状部を基準線として、作業者が目視により瞬時に拡径部の下端を認識し、拡径部の下端を真下に向けた状態で設置することができる。
ところで施工時には、この偏心インクリーザーの両端に他の管部材が接続される。このとき、偏心インクリーザーの中央部を形成する拡径部ではなく、偏心インクリーザーの両端を形成する第1直管部及び第2直管部それぞれに第1線状部が設けられている。よって、各第1線状部の位置に他の管部材を合わせて接続できる。したがって、上述の偏心インクリーザーによれば、拡径部の下端を真下に向けて中心軸方向の両側に管部材を容易に設置できる。
本発明の偏心インクリーザーでは、前記位置合わせ部は前記中心軸に沿って線状に延びていてもよい。
上述の偏心インクリーザーでは、位置合わせ部が拡径部の中心軸に沿って線状に延びているので、目視による偏心インクリーザーの向きの視認性が高まると共に、第1直管部と第2直管部の向きが一致する度合いが向上し、管部材同士の間に、上述の偏心インクリーザーの下端を真下に向けて精度よく設置可能になる。
本発明の偏心インクリーザー部材では、前記位置合わせ部は、前記周方向において前記下端と重なる位置、前記中心軸に直交する断面において前記中心軸に対して前記下端から90°をなす位置、及び前記周方向において上端と重なる位置の少なくともいずれか1つに設けられていてもよい。
上述の偏心インクリーザーによれば、位置合わせ部が上述の位置の少なくともいずれか1つに設けられることによって、施工時に任意の方向から見ても位置合わせ部が容易に視認される。このことによって、施工時の環境によらず、管部材同士の間に、上述の偏心インクリーザーの下端を真下に向けて容易に設置可能になる。
本発明の配管構造は、上述の何れか一項に記載の偏心インクリーザーと、前記第1直管部の他方の端部に接続された上流側管部材と、前記第2直管部の他方の端部に接続された下流側管部材と、を備え、前記上流側管部材及び前記下流側管部材の各外周面に前記中心軸の沿って延びる第2線状部が設けられ、前記周方向において前記第1線状部、前記第2線状部が重なることを特徴とする。
上述の配管構造によれば、線状部を基準線として、目視により瞬時に拡径部の下端を真下に合わせた状態で、第1直管部に上流側管部材を所定の向きで容易に接続し、さらに第2直管部に下流側管部材を所定の向きで容易に接続可能になる。具体的には、第1直管部及び上流側管部材の各線状部、第2直管部及び下流側管部材の各線状部を互いに同一線上に重ねることによって、偏心インクリーザーの下端が真下に向いた状態で上流側管部材、下流側管部材の向きが容易に合わせられる。
本発明の配管構造では、前記第1直管部と前記上流側管部材は第1電気融着継手によって接続され、前記第2直管部と前記下流側管部材は第2電気融着継手によって接続され、前記第1線状部及び前記第2線状部は前記第1電気融着継手及び前記第2電気融着継手の外部に位置していてもよい。
上述の配管構造によれば、上流側管部材、第1直管部、下流側管部材、第2直管部の端部を第1電気融着継手や第2電気融着継手の受口に挿入しても、各受口の外部に第1線状部、第2線状部が露出するので、確実に拡径部の下端を視認できる。
本発明の偏心インクリーザー及び配管構造によれば、拡径部の下端を真下に向けた状態で容易に設置できる。
本発明の一実施形態の配管構造を備えた排水構造の一部を破断した側面図である。 図1に示す排水構造に設けられた偏心インクリーザーの側面図である。 図2に示すX-X線で矢視した偏心インクリーザーの断面図であり、線状部の位置が位置合わせ部に合っている状態を示す。 図2に示すX-X線で矢視した偏心インクリーザーの断面図であり、線状部の位置が位置合わせ部からずれている状態を示す。 図2に示す偏心インクリーザーの組み立てほうほうを説明する側面図である。 図1に示す配管構造の側面図である。
以下、本発明の偏心インクリーザー及び配管構造の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものである。
図1は、本発明の配管構造10を備えた排水構造100の一部を破断した側面図である。図1に示すように、排水構造100は、建築物300の屋上に形成された凹部102の底面に開口して接続されている。排水構造100は、凹部102、凹部102の下流側に接続されたエルボ104、エルボ104の上流側の端に接続されて凹部102の内側に配置されたサイフォン発生部106、エルボ104の下流側の端に接続された管部材108、管部材108の下流側の端に接続されたエルボ110、エルボ110の下流側の端に接続された管部材112、管部材112の下流側の端に接続されたエルボ114-1,114-2、エルボ114-2の下流側の端に接続された配管構造10、配管構造10の下流側の端に接続されたエルボ116を備える。
管部材112の下流側の端部は地面200を貫通し、エルボ114,116及び配管構造10は地中に埋まっている。配管構造10の下流側は地中の集水マス120に接続され、エルボ116は集水マス120の内部に配置されている。
凹部102に流入した雨水は、サイフォン発生部106によって、満水状態でエルボ104、管部材108、エルボ110、管部材112の中空間を流下し、エルボ114で横引きされ、配管構造10、エルボ116の中空間を流下する。集水マス120に排出及び集水された雨水5は、集水マス120に接続された排水管122から不図示の排水施設に排水される。
配管構造10は、エルボ114-2の下流側に接続された直管(上流側管部材)20、偏心インクリーザー40、集水マス120を貫通する直管(下流側管部材)30を備える。偏心インクリーザー40は、後述するように中心軸より下側に拡径する部分を有し、管部材112から勢いよく流下してエルボ114-1,114-2で横引きされる雨水の勢いを抑え、雨水を減速させるために設けられている。
図2に示すように、偏心インクリーザー40は、上流側から順に、水平方向に延びる第1直管部41と、第1直管部41の下流側の端部(一方の端部)42に接続された拡径部43と、拡径部43の下流側の端部(拡径部の内径が大きい側の端部)44に接続された第2直管部47とを備えている。
第1直管部41の外周面には、中心軸50に沿う方向(中心軸方向)に延びる4つの線状部(第1線状部)72-1,72-2,72-3,72-4が設けられている。図3に示すように、線状部72-1は、中心軸50に直交する第1直管部41の断面で見たときに、周方向において下端58と重なる位置に設けられている。線状部72-2は、上端(中心軸をはさんで下端と対称な位置)54と重なる位置に設けられている。また、線状部72-3,72-4は、中心軸50に対して下端58から45°をなす位置に設けられている。即ち、線状部72-1,72-2,72-3,72-4は、下端58を始点として周方向に90°間隔をあけて配置されている。以下、線状部72-1,72-2,72-3,72-4に共通する内容を説明する際には、これらの線状部をまとめて線状部72と記載する。
第1直管部41、拡径部43及び第2直管部47の素材は、例えばポリエチレンや、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル等の樹脂で形成されている。第1直管部41は、中心軸50に沿って均一な内径及び外径を有するので、例えば押出成形によって製造される。線状部72は、前述の押出成形時に印刷されてもよく、第1直管部41とは異なる色の樹脂で前述の押出成形時に第1直管部41の素材である樹脂と同時に押し出されて成形されてもよい。断面で見たときに、線状部72の径方向の外側の面は、第1直管部41の外周面と略面一になっている。
図2に示すように、拡径部43の上流側には、小径直管部(第1直管部)46が拡径部43と一体に設けられている。小径直管部46の内径及び外径は、第1直管部41の内径及び外径と略同一である。拡径部43の下流側には、小径直管部46より径の大きな大径直管部(第2直管部)48が拡径部43と一体に設けられている。大径直管部48の内径及び外径は、図1に示す第1直管部41より径の大きな第2直管部47の内径及び外径と略同一である。
図2及び図3に示すように、第1直管部41の中心軸50に直交する拡径部43の断面において、拡径部43の上端51、小径直管部46の上端52及び大径直管部48の上端53は、第1直管部41の上端54及び第2直管部47の上端55と重なっている。以下、中心軸50に直交する各部材の断面を、単に「断面」という場合がある。
一方、同じ断面即ち周方向において、拡径部43の下端56の上流側の端及び小径直管部46の下端57は、第1直管部41の下端58と重なっている。拡径部43は、下端56が中心軸50に沿って第1直管部41から離れるにしたがって下降するように、拡径している。拡径部43の下端56の下流側の端及び大径直管部48の下端59は、第2直管部47の下端60と重なっている。
拡径部43の外周面には、下端56を示す位置合わせ部45が設けられている。「下端56を示す」とは、下端56に対する位置合わせ部45の相対位置が予め正確にわかっていることを意味する。本実施形態では、位置合わせ部45は、断面で見たときに、即ち周方向において、下端56と重なる位置合わせ部45-1及び上端51と重なる位置合わせ部45-2で構成されている。周方向において重なるとは、周方向の位置が少なくとも一部重なることを意味する。位置合わせ部45-2は、上端51にあって、中心軸50をはさんで下端56と対称な位置を示している。位置合わせ部45-1,45-2は、中心軸50に沿って線状に延びている。
拡径部43は、上述のように拡径しているので、例えば射出成形によって製造される。位置合わせ部45-1,45-2は、射出成型時に金型の分割面に樹脂が侵入することにより発生するバリによって形成される。
第2直管部47の外周面には、中心軸50に沿う方向に延びる4つの線状部(第1線状部)74-1,74-2,74-3,74-4が設けられている。図3に示すように、線状部74-1は、中心軸50に直交する第1直管部41の断面で見たときに、周方向において下端60と重なる位置に設けられている。線状部74-2は、上端(中心軸をはさんで下端と対称な位置)55と重なる位置に設けられている。また、線状部74-3,74-4は、中心軸50に対して下端60から45°をなす位置に設けられている。即ち、線状部74-1,74-2,74-3,74-4は、下端58を始点として周方向に90°間隔をあけて配置されている。以下、線状部74-1,74-2,74-3,74-4に共通する内容を説明する際も、これらの線状部をまとめて線状部74と記載する。
線状部72,74が周方向においてある程度の幅を有する場合は、線状部72,74の位置は、線状部72,74の周方向の中心の位置を意味する。線状部72,74の周方向の幅は、例えば4mm以上50mm以下であることが好ましい。位置合わせの精度を高める観点から、線状部72,74の周方向の幅は小さい方が好ましい。なお、図2及び図3では、偏心インクリーザー40が線状部72,74を備えることの作用効果をわかりやすく説明するために、線状部72,74の周方向の幅が大きく示されている。
第2直管部47は、中心軸50に沿って均一な内径及び外径を有するので、第1直管部41と同様に、例えば押出成形によって製造される。線状部74は、前述の押出成形時に印刷されてもよく、第2直管部47とは異なる色の樹脂で前述の押出成形時に第2直管部47の素材である樹脂と同時に押し出されて成形されてもよい。断面で見たときに、線状部74の径方向の外側の面は、第2直管部47の外周面と略面一になっている。
偏心インクリーザー40では、上述のように第1直管部41及び第2直管部47が個別に押出成形によって製造され、小径直管部46及び大径直管部48を含む拡径部43が射出成型によって製造される。図4に示すように、端部42と小径直管部46の上流側の端部62、及び端部44と大径直管部48の上流側の端部64とは、バット接合されている。つまり、端部42,62同士及び端部44,64同士が中心軸50に沿って突き合わせて接合されている。
端部42,62同士及び端部44,64同士がバット接合される際に、中心軸50を中心とする周方向において、線状部72-1,74-1の位置は、位置合わせ部45-1に合わせられている。また、周方向において、線状部72-2,74-2の位置は、位置合わせ部45-2に合わせられている。即ち、線状部72-1,74-1と位置合わせ部45-1は、偏心インクリーザー40を径方向の外側から見た平面視において同一直線上に位置し、線状部72-2,74-2と位置合わせ部45-2は同一直線上に位置する。
図6に示すように、配管構造10は、上述の偏心インクリーザー40と、第1直管部41の上流側の端部(他方の端部)65に接続された直管20と、第2直管部47の下流側の端部(他方の端部)66に接続された直管30とを有する。直管20の下流側の端部22と端部65は、EF継手(第1電気融着継手)81によって接続されている。端部66と直管30の上流側の端部32は、EF継手(第2電気融着継手)82によって接続されている。
直管20の外周面には、中心軸50に沿う方向(中心軸方向)に延びる4つの線状部(第2線状部)76-1,76-2,76-3,76-4が設けられている。線状部76-1,76-2,76-3,76-4はそれぞれ、直管20及び第1直管部41の周方向において、線状部72-1,72-2,72-3,72-4のそれぞれと重なる位置に設けられている。即ち、線状部76-1,76-2,76-3,76-4は、周方向において互いに90°間隔をあけて配置されている。
直管30の外周面には、中心軸50に沿う方向(中心軸方向)に延びる4つの線状部(第2線状部)78-1,78-2,78-3,78-4が設けられている。線状部78-1,78-2,78-3,78-4はそれぞれ、直管30及び第2直管部47の周方向において、線状部74-1,74-2,74-3,74-4のそれぞれと重なる位置に設けられている。即ち、線状部78-1,78-2,78-3,78-4は、周方向において互いに90°間隔をあけて配置されている。
以下、線状部76-1,76-2,76-3,76-4に共通する内容を説明する際には、これらの線状部をまとめて線状部76と記載する。また、線状部78-1,78-2,78-3,78-4に共通する内容を説明する際には、これらの線状部をまとめて線状部78と記載する。
直管20,30の素材は、例えばポリエチレンや、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル等の樹脂で形成されている。直管20,30は、中心軸50に沿って均一な内径及び外径を有するので、第1直管部41や第2直管部47と同様に、例えば押出成形によって製造される。線状部76,78は、前述の押出成形時に印刷されてもよく、直管20,30とは異なる色の樹脂で前述の押出成形時に直管20,30の素材である樹脂と同時に押し出されて成形されてもよい。直管20の中心軸に直交する断面で見たときに、線状部76の径方向の外側の面は、直管20の外周面と略面一になっている。同様に、直管30の中心軸に直交する断面で見たときに、線状部78の径方向の外側の面は、直管30の外周面と略面一になっている。
以上説明した本実施形態の偏心インクリーザー40では、拡径部34に位置合わせ部45-1,45-2が設けられ、第1直管部41に線状部72が設けられ、第2直管部47に線状部74が設けられている。線状部72-1,72-2のそれぞれが位置合わせ部45-1,45-2のそれぞれに重なることで、下端56の周方向の位置及び向きが中心軸50に沿う方向において線状部72に対応付けられる。また、線状部74-1,74-2のそれぞれが位置合わせ部45-1,45-2のそれぞれに重なることで、下端56の周方向の位置及び向きが中心軸50に沿う方向において線状部74に対応付けられる。偏心インクリーザー40によれば、線状部72,74を基準線として、目視により瞬時に下端56を真下に向け、線状部72,74の位置に例えば線状部76,78を合わせて、中心軸50に沿う方向の両側に直管20,30を接続できる。
本実施形態では、図2に示すように、端部42,62同士、及び端部44,64同士がそれぞれバット接合されている。偏心インクリーザー40によれば、図3に示すように、線状部74-1,74-2のそれぞれを位置合わせ部45-1,45-2のそれぞれに重ねてバット接合することによって、下端56の周方向の位置及び向きを容易且つ正確に線状部72,74に対応付けることができる。仮に、中心軸50を拡径部43に延長した仮想軸50-2が断面視において中心軸50からずれると、図4に示すように、周方向において、線状部72-1,74-1のそれぞれが位置合わせ部45-1からずれる。即ち、位置合わせ部45-1と線状部72-1,74-1との相対位置の関係によって、下端56が真下に向いているか否かを作業者が容易に視認及び判断できる。
また、偏心インクリーザー40を側面視した場合は、下端56が真下を向いていれば、図2に示すように、線状部72-4,74-4の全体が見え、且つ、線状部72-2,74-2が周方向の全幅の半分の幅で偏心インクリーザー40の上端に見えると共に位置合わせ部45-2が同一線上に並び、同時に線状部72-1,74-1が周方向の全幅の半分の幅で偏心インクリーザー40の下端に見えると共に位置合わせ部45-1が同一線上に並ぶ。言い換えれば、作業者がこのような線状部72,74及び位置合わせ部45-1,45-2の相対配置をとるようにすれば、作業者によらず下端56を真下に向けられる。
また、偏心インクリーザー40によれば、位置合わせ部45-1,45-2が中心軸50に沿って線状に延びているので、例えば位置合わせ部45が点在している場合等に比べて目視による偏心インクリーザー40の向きの視認性を高めることができる。また、位置合わせ部45-1,45-2が中心軸50に沿って線状に延びているので、線状部72-1と位置合わせ部45-1と線状部74-1、及び、線状部72-2と位置合わせ部45-2と線状部74-2をそれぞれ同一線上に配置し、第1直管部41と第2直管部47の向きを一致させることができる。このことによって、下端56を真下に向けて偏心インクリーザー40を所定の位置、例えば直管20,30同士の間に、精度よく設置できる。
偏心インクリーザー40では、位置合わせ部45-1,45-2は、下端56と重なる位置、及び断面において中心軸50をはさんで下端56と対称な位置に設けられている。そのため、施工時に作業者が上方、下方、側方等の任意の方向から見ても位置合わせ部45-1,45-2の少なくとも何れかを容易に視認できる。このことによって、施工時の環境等によらず、例えば直管20,30同士の間に、下端56を真下に向けて偏心インクリーザー40を容易に設置できる。
また、偏心インクリーザー40では、位置合わせ部45-1,45-2に対応付けられた線状部72,74が周方向に90°間隔をあけて配置されているので、施工時に作業者が任意の方向から見ても線状部72,74のそれぞれの少なくとも2つを容易に視認できる。したがって、下端56を真下に向けて偏心インクリーザー40を容易に設置できる効果が高まる。
例えば、偏心インクリーザー40を側面視した場合は、下端56が真下を向いていれば、図2に示すように、線状部72-4,74-4の全体が見え、且つ、線状部72-2,74-2が周方向の全幅の半分の幅で偏心インクリーザー40の上端に見えると共に位置合わせ部45-2が同一線上に並び、同時に線状部72-1,74-1が周方向の全幅の半分の幅で偏心インクリーザー40の下端に見えると共に位置合わせ部45-1が同一線上に並ぶ。言い換えれば、このような線状部72,74及び位置合わせ部45-1,45-2の相対配置を視認できれば、下端56が真下を向いていることがわかる。
上述説明した本実施形態の配管構造10は、偏心インクリーザー40と、直管20,30とを備え、周方向において線状部72と線状部76が重なり、線状部74と線状部78が重なっている。配管構造10の施工時には、線状部72,74を基準線として、目視により瞬時に下端56を真下に合わせた状態で、線状部76を線状部72に合わせて第1直管部41に直管20を所定の向きで容易に接続し、線状部78を線状部74に合わせて第2直管部47に直管30を所定の向きで容易に接続できる。つまり、周方向における位置が対応する線状部72,76、及び線状部74,78を互いに同一線上に重ねることによって、下端56が真下に向いた状態の偏心インクリーザー40に対して直管20,30の向きを容易に合わせることができる。
配管構造10では、第1直管部41と直管20はEF継手81によって接続され、第2直管部47と直管30はEF継手82によって接続されている。図6に示すように、線状部76はEF継手81の外部に位置し、線状部72はEF継手81の外部に位置している。線状部74はEF継手82の受口85の外部に延び、線状部78はEF継手82の受口86の外部に延びている。そのため、端部22,65,66,32のそれぞれを受口83,84,85,86のそれぞれに挿入しても、受口83,84,85,86の外部に線状部76,72,74,78が露出するので、線状部76,72,74,78を介して確実に下端56を視認すると共に真下に向け、偏心インクリーザー40の向きを視認できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上述の実施形態では、位置合わせ部45が拡径部43の射出成型時のバリによって形成されることを説明したが、本発明の位置合わせ部は中心軸から最も拡径する下端56の位置を作業者に示すことができる形態を有すれば、どのように形成されても構わない。拡径部43及び小径直管部46及び大径直管部48は、射出成型以外の方法で形成されてもよい。その方法に応じて、位置合わせ部45の形成方法を適宜選択できる。
また、上述の実施形態では、位置合わせ部45が中心軸50に沿って線状に形成されていることを説明したが、本発明の位置合わせ部の形状は線状に限定されない。例えば、位置合わせ部45は、中心軸50に沿って点線状に形成されてもよい。また、拡径部43の上流側の端部及び下流側の端部の各外周面において、下端56を示す位置に印が付けられていてもよい。
また、上述の実施形態では、位置合わせ部45が下端56及び上端51の2カ所に形成されていることを説明したが、本発明の位置合わせ部は拡径部の下端のみ、又は上端のみに形成されていてもよい。即ち、位置合わせ部は、拡径部の下端を示す1つ以上の位置に設けられていればよい。
また、上述の実施形態では、線状部72,74が周方向において4カ所に形成されていることを説明したが、本発明の第1線状部が形成される周方向の位置は位置合わせ部が形成される位置に合うように適宜選択できる。本発明の第1線状部が周方向において拡径部の下端と重なる位置、断面で見たときに第1直管部の中心軸に対して下端から90°をなす位置、及び周方向において上端と重なる位置の少なくともいずれか1つに設けられていれば、施工時に任意の方向から見ても作業者が位置合わせ部を容易に視認できる。このことによって、施工時の環境や偏心インクリーザーの設置時の作業者の姿勢によらず、下端を真下に向けて偏心インクリーザーを容易に設置できる。
また、本発明の第1線状部及び第2線状部のそれぞれは、図2や図5に示すように1本の線状、あるいは周方向に所定の幅を有する1本の帯状である場合に限定されない。例えば、第1線状部及び第2線状部のそれぞれは、線状の位置合わせ部と同一線上に合わせるための中心線と、この中心線の周方向両側に僅かな所定の間隔をあけて配置された補助線とを組み合わせて構成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、拡径部43と一体に小径直管部46及び大径直管部48が設けられることを説明した。小径直管部46と第1直管部41及び大径直管部48と第2直管部47がそれぞれ互いに同じ径を有するため、これらの部材を容易且つ正確にバット接合できる。しかしながら、拡径部43を第1直管部41及び第2直管部47と良好に接続可能であれば、小径直管部46及び大径直管部48は省略できる。
また、上述の実施形態では、本発明の上流側管部材及び下流側管部材として直管20,30を例として説明したが、上流側管部材及び下流側管部材は例えば曲管であってもよく、分岐管であってもよい。上流側管部材及び下流側管部材の形状は、排水構造の全体形状や、施工環境に合わせて適宜変更可能である。
41…第1直管部
43…拡径部
45,45-1,45-2…位置合わせ部
47…第2直管部
50…中心軸
72,72-1,72-2,72-3,72-4,74,74-1,74-2,74-3,74-4…線状部(第1線状部)

Claims (6)

  1. 水平方向に延び、内径が小さい側の端部から内径が大きい側の端部に向かうにしたがって下端が下降するように拡径する拡径部を備える偏心インクリーザーであって、
    前記拡径部の外周面のうち、前記拡径部の周方向において上端と重なる位置および下端と重なる位置それぞれに、中心軸に沿って延びる位置合わせ部が設けられ、
    前記位置合わせ部は、バリによって形成されている、
    偏心インクリーザー。
  2. 前記位置合わせ部は、前記周方向に等間隔に複数設けられている、
    請求項1に記載の偏心インクリーザー。
  3. 前記拡径部の上流側に接続された第1直管部と、
    前記拡径部の下流側に接続された第2直管部と、
    を備え、
    前記第1直管部及び前記第2直管部の各外周面に前記中心軸に沿って延びる第1線状部が設けられ、
    前記周方向において前記位置合わせ部、前記第1線状部が重なる、
    請求項1または請求項2に記載の偏心インクリーザー。
  4. 請求項に記載の偏心インクリーザーと、
    前記第1直管部の上流側の端部に接続された上流側管部材と、
    前記第2直管部の下流側の端部に接続された下流側管部材と、
    を備え、
    前記上流側管部材及び前記下流側管部材の各外周面に前記中心軸に沿って延びる第2線状部が設けられ、
    前記周方向において前記第1線状部、前記第2線状部が重なる、
    配管構造。
  5. 前記第1直管部と前記上流側管部材は第1電気融着継手によって接続され、
    前記第2直管部と前記下流側管部材は第2電気融着継手によって接続され、
    前記第1線状部及び前記第2線状部は、前記第1電気融着継手及び前記第2電気融着継手の外部に位置している、
    請求項に記載の配管構造。
  6. 前記偏心インクリーザーの上流側にサイフォン発生部を備える、
    請求項または請求項に記載の配管構造。
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