JP7530010B2 - 巻鉄心の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、巻鉄心の製造方法及び製造装置に関する。本願は、2020年10月26日に、日本に出願された特願2020-178569号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
トランスの鉄心には積鉄心と巻鉄心とがある。そのうち、巻鉄心は、一般に、方向性電磁鋼板を層状に積み重ねて、ドーナツ状(巻回形状)に巻回し、その後、その巻回体を加圧してほぼ角型に成形することにより製造される(本明細書中では、このようにして製造される巻鉄心を、(歪取り焼鈍がなされる)代表的な巻鉄心の一形態であるいわゆるトランココア(以下トランココア)と称する場合がある)。この成形工程によって方向性電磁鋼板全体に機械的な加工歪(塑性変形歪)が入り、その加工歪が方向性電磁鋼板の鉄損を大きく劣化させる要因となるため、歪取り焼鈍を行なう必要がある。
一方、巻鉄心の別の製造方法として、巻鉄心のコーナー部となる鋼板の部分を曲率半径が3mm以下の比較的小さな屈曲領域が形成されるように予め曲げ加工し、当該曲げ加工された鋼板を積層して巻鉄心とする、特許文献1乃至3のような技術が開示されている(本明細書中では、このようにして製造される巻鉄心をユニコア(登録商標)と称する場合がある)。当該製造方法によれば、従来のような大掛かりなプレス工程が不要で、鋼板は精緻に折り曲げられて鉄心形状が保持され、加工歪も曲げ部(角部)のみに集中するため上記焼鈍工程による歪除去の省略も可能となり、工業的なメリットは大きく適用が進んでいる。
日本国特開2005-286169号公報 日本国特許第6224468号公報 日本国特開2018-148036号公報
ところで、ユニコアのコーナー部となる鋼板の部分を折り曲げ成形するに際して、具体的には、多角形状の鉄心を形成するために方向性電磁鋼板或いはそれを鋼板の圧延方向と平行にスリットしたストリップを鋼板の圧延方向に対して垂直な方向に沿う折り目(屈曲部)で複数個所折り曲げる際に、折り曲げ加工条件を厳しくすると、折り曲げ部に割れ・亀裂が生じる場合がある。また、割れ・亀裂が生じない場合であっても、方向性電磁鋼板表面の絶縁被膜が剥離・粉化して積層された鋼板の板間に堆積する、或いは、同一金型で折り曲げを繰り返すことで金型(パンチ)により鋼板の表面が疵付く虞がある。一方、折り曲げ加工条件を緩和すると、折り曲げ部においてスプリングバックが生じ、形状凍結性が不十分となって、鉄心とした場合に積層された鋼板の板間に大きな隙間が生じたり、コアとして組み立てるのに形状が不十分となったりする場合がある。
いずれの事象においても、鉄心の有効体積率が小さくなることが課題であり、副次的に鉄心の形状や表面の疵付きといった品質面でも課題が生じる。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、方向性電磁鋼板の折り曲げ加工に際して、鋼板折り曲げ部の割れ・亀裂を抑制でき、鋼板表面の疵付きや表面被膜の剥離・粉化も防止できるとともに、形状凍結性の改善を図ることができる巻鉄心の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、中心に矩形の中空部を有し、長手方向に平面部と屈曲部とが交互に連続する方向性電磁鋼板が板厚方向に積み重ねられた部分を含む巻回形状の巻鉄心であって、個別に折り曲げ加工された前記方向性電磁鋼板を層状に積み重ねて巻回形状に組み付けることにより形成され、一巻ごとに少なくとも1箇所の接合部を介して複数枚の方向性電磁鋼板が互いに接続される巻鉄心の製造方法において、積層される前記方向性電磁鋼板のうちのいずれか1枚以上の少なくとも1つの前記屈曲部は、前記方向性電磁鋼板の一方側をダイス上に載置して拘束するとともに、前記方向性電磁鋼板の他方の自由端側の屈曲されるべき部位に対してその厚さ方向でパンチを押し付けることによって形成され、前記ダイス及び前記パンチの外表面はそれぞれ、前記方向性電磁鋼板の厚さ方向に沿う断面において、所定の曲率を有する円弧部を有し、前記方向性電磁鋼板の厚さをT(mm)、前記屈曲部の曲げ角度をθ(°)、前記ダイスの前記円弧部の曲率半径をRd(mm)、前記パンチの前記円弧部の曲率半径をRp(mm)とすると、以下の(1)~(5)式の関係を満たし、
0.02≦T/(2Rd+T)≦0.15 ・・・(1)
0.5≦Rd≦3.0 ・・・(2)
0.15≦T≦0.30 ・・・(3)
2.5≦Rp/Rd≦10 ・・・(4)
10°≦θ≦90° ・・・(5)
前記方向性電磁鋼板の屈曲されるべき前記部位を前記パンチの前記円弧部によって加圧して前記ダイスの前記円弧部に沿って折り曲げることにより1枚の前記方向性電磁鋼板に関して前記屈曲部が4か所以上形成されることを特徴とする。
本発明者らは、ユニコアの形態を成す巻鉄心において、コーナー部となる鋼板の部分を折り曲げ成形する際には、折り曲げ加工条件を厳しくすると、折り曲げ部に割れ・亀裂が生じたり、鋼板表面の被膜が剥離・粉化して積層された鋼板の板間に堆積したり、或いは、金型により鋼板表面が疵付く虞があり、一方、折り曲げ加工条件を緩和すると、折り曲げ部においてスプリングバックが生じ、形状凍結性が不十分になるという実情を踏まえ、鋼板折り曲げ部の曲げ外側に引張方向で十分な塑性歪を付与することにより形状凍結性を改善でき、一方、鋼板折り曲げ部の曲げ外側の塑性歪を一定値以下にすることにより鋼板折り曲げ部の割れ・亀裂を抑制でき、また、鋼板折り曲げ部の曲げ内側の圧縮歪を小さくすることにより絶縁被膜の著しい剥離・粉化を抑制できることに着目した。本発明者らは、折り曲げ加工(屈曲)されるべき方向性電磁鋼板の板厚に応じた一定範囲の適正な塑性歪を付与するように制御された曲げ加工を行なうことにより、具体的には、ダイス上に一方側が載置された方向性電磁鋼板の他方側の自由端部をパンチにより加圧して折り曲げる片側自由曲げ工法を用いて、方向性電磁鋼板の屈曲されるべき部位をパンチの円弧部によって加圧してダイスの円弧部に沿って折り曲げるに際し、少なくともダイスの円弧部の曲率半径Rdに対するパンチの円弧部の曲率半径Rpの比率Rp/Rdを一定の範囲内に設定することにより前述した一連の問題を解決できるという知見を得た。また、この場合、Rp/Rdが小さすぎると、加工力が大きくなりすぎ、塑性歪を十分に付与できるもののパンチと鋼板表面との間の摩擦が大きくなって、鋼板表面に疵が付き易くなり、一方、Rp/Rdが一定範囲を超えると、加工力が小さくなり、十分な塑性歪を付与することが難しくなることも分かった。
より具体的には、そのような片側自由曲げ工法において、積層される方向性電磁鋼板のうちのいずれか1枚以上の少なくとも1つの前記屈曲部は、方向性電磁鋼板の一方側をダイス上に載置して拘束するとともに、方向性電磁鋼板の他方の自由端側の屈曲されるべき部位に対してその厚さ方向でパンチを押し付けることによって形成される。この場合、ダイス及びパンチの外表面はそれぞれ、方向性電磁鋼板の厚さ方向に沿う断面において、所定の曲率を有する円弧部を有し、方向性電磁鋼板の厚さをT(mm)、前記屈曲部の曲げ角度をθ(°)、前記ダイスの前記円弧部の曲率半径をRd(mm)、前記パンチの前記円弧部の曲率半径をRp(mm)とすると、以下の(1)~(5)式の関係を満たす。
0.02≦T/(2Rd+T)≦0.15 ・・・(1)
(T/(2Rd+T)は、計算上付与される歪)
0.5≦Rd≦3.0 ・・・(2)
0.15≦T≦0.30 ・・・(3)
2.5≦Rp/Rd≦10 ・・・(4)
10°≦θ≦90° ・・・(5)
これにより、積層される鋼板の形状をその幅方向で且つ鋼板折り曲げ部の形状を稜線方向全体で均一にして優れた形状品質を実現でき、鉄心の有効体積率を向上させることができる。また、鋼板折り曲げ部に導入される歪を小さくして、鉄心の鉄損を低減させることができる。したがって、方向性電磁鋼板の折り曲げ加工に際して、鋼板折り曲げ部の割れ・亀裂を抑制でき、鋼板表面の疵付きや表面被膜の剥離・粉化も防止できるとともに、形状凍結性の改善を図ることができる。
なお、本開示において、屈曲部の曲げ角度とは、方向性電磁鋼板屈曲部において、折り曲げ方向の後方側の直線部と前方側の直線部との間に生じた角度差を意味し、図6に示されるように、方向性電磁鋼板の外面において、屈曲部5を挟む両側の平面部4,4aの表面である直線部分を延長して得られる2つの仮想線Lb-elongation1、Lb-elongation2がなす角の補角の角度φとして表わされる。
また、本開示において、方向性電磁鋼板には、該鋼板をその圧延方向と平行にスリットしたストリップ又は鋼帯も含まれる。また、屈曲部の曲げ角度θ(°)が10°≦θ≦90°の関係を満たす場合において、1枚の方向性電磁鋼板(又は一片の鋼帯)に関して屈曲部を4か所以上形成することは、工業的に扱いやすい直方体形状の巻鉄心を形成できるという利点を伴う。また、上記構成では、方向性電磁鋼板の屈曲されるべき部位を30mm/分以上3000mm/分以下の加工速度で折り曲げることによって屈曲部を形成することが好ましい。これにより、30mm/分未満では生産性に乏しく且つ形状凍結性も得られにくく、3000mm/分を超えるとパンチが鋼板と接触する際のなじみが悪く、折り曲げ形状がばらつきやすいという欠点がある。すなわち、30mm/分以上3000mm/分以下の範囲であれば生産性も良好でかつ形状も整い易く且つ形状凍結性確保に好ましいという利点が得られる。また、上記構成では、方向性電磁鋼板の厚さ方向に沿う断面において、ダイスとパンチとの間に、パンチの押し付け方向に対して直交する方向で所定のクリアランスC(mm)が設けられることが好ましく、用いる方向性電磁鋼板の厚さをT(mm)とした場合0.5T≦C≦1.5Tの範囲にあること好ましい。これにより、0.5T未満の場合、パンチと鋼板の接触面圧が大きくなるため、折り曲げ加工部の形状凍結性は得られやすくなるものの、接触面圧が大きくなることからパンチと方向性電磁鋼板の摩擦力により鋼板表面が疵つき易くなる。1.5Tを超えると、パンチと鋼板の接触面圧が小さくなるため折り曲げ加工部の形状凍結性は得られにくくなり、鉄心の形状が悪くなる。すなわち、鉄心の形状凍結性と鉄心表面の品質(疵つきなど)をバランスよく確保できるという利点が得られる。
また、本発明は、ユニコアの形態を成す巻鉄心の製造装置も提供する。具体的に、そのような製造装置は、方向性電磁鋼板を個別に折り曲げ加工する折り曲げ加工部と、前記折り曲げ加工された前記方向性電磁鋼板を層状に積み重ねて巻回形状に組み付けることにより、長手方向に平面部と屈曲部とが交互に連続する方向性電磁鋼板が板厚方向に積み重ねられた部分を含む巻回形状の巻鉄心を形成する、組み付け部とを備え、前記折り曲げ加工部は、ダイスとパンチとを有するとともに、前記ダイス及び前記パンチの外表面にそれぞれ、前記方向性電磁鋼板の厚さ方向に沿う断面において、所定の曲率を有する円弧部が形成され、前記方向性電磁鋼板の一方側を前記ダイス上に載置して拘束するとともに、前記方向性電磁鋼板の他方の自由端側の屈曲されるべき部位をその厚さ方向で前記パンチの前記円弧部により加圧して前記ダイスの前記円弧部に沿って折り曲げることにより、積層される前記方向性電磁鋼板のうちのいずれか1枚以上の少なくとも1つの前記屈曲部を形成し、前記方向性電磁鋼板の厚さをT(mm)、前記屈曲部の曲げ角度をθ(°)、前記ダイスの前記円弧部の曲率半径をRd(mm)、前記パンチの前記円弧部の曲率半径をRp(mm)とすると、以下の(1)~(5)式の関係を満たすことを特徴とする。
0.02≦T/(2Rd+T)≦0.15 ・・・(1)
0.5≦Rd≦3.0 ・・・(2)
0.15≦T≦0.30 ・・・(3)
2.5≦Rp/Rd≦10 ・・・(4)
10°≦θ≦90° ・・・(5)。
上記構成の巻鉄心の製造装置によれば、積層される鋼板の形状をその幅方向で且つ鋼板折り曲げ部の形状を稜線方向全体で均一にして優れた形状品質を実現でき、鉄心の有効体積率を向上させることができる。また、鋼板折り曲げ部に導入される歪を小さくして、鉄心の鉄損を低減させることができる。したがって、方向性電磁鋼板の折り曲げ加工に際して、鋼板折り曲げ部の割れ・亀裂を抑制でき、鋼板表面の疵付きや表面被膜の剥離・粉化も防止できるとともに、形状凍結性の改善を図ることができる。
本発明によれば、方向性電磁鋼板の折り曲げ加工に際して、鋼板折り曲げ部の割れ・亀裂を抑制でき、鋼板表面の疵付きや表面被膜の剥離・粉化も防止できるとともに、形状凍結性の改善を図ることができる巻鉄心の製造方法及び製造装置を提供できる。
本発明の一実施の形態に係る巻鉄心を模式的に示す斜視図である。 図1の実施形態に示される巻鉄心の側面図である。 本発明の他の実施の形態に係る巻鉄心を模式的に示す側面図である。 巻鉄心を構成する1層の方向性電磁鋼板の一例を模式的に示す側面図である。 巻鉄心を構成する1層の方向性電磁鋼板の他の一例を模式的に示す側面図である。 本発明の巻鉄心を構成する方向性電磁鋼板の屈曲部の一例を模式的に示す側面図である。 本発明の片側自由曲げ工法により屈曲部を形成する態様を示す断面図である。 巻鉄心の製造装置の構成を概略的に示すブロック図である。 特性評価の際に製造した巻鉄心の寸法を示す模式図である。
以下、本発明の一実施の形態に係る巻鉄心について順に詳細に説明する。ただし、本発明は本実施形態に開示の構成のみに制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。なお、下記する数値限定範囲には、下限値及び上限値がその範囲に含まれる。「超」又は「未満」と示す数値は、その値が数値範囲に含まれない。また、化学組成に関する「%」は、特に断りがない限り「質量%」を意味する。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「垂直」、「同一」、「直角」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
また、本明細書において「方向性電磁鋼板」のことを単に「鋼板」又は「電磁鋼板」と記載し、「巻鉄心」のことを単に「鉄心」と記載する場合もある。
本実施形態に係る巻鉄心は、側面視において略矩形状の巻鉄心本体を備える巻鉄心であって、該巻鉄心本体は、長手方向に平面部と屈曲部とが交互に連続した方向性電磁鋼板が、板厚方向に積み重ねられた部分を含み、側面視において略多角形状の積層構造を有する。前記屈曲部の側面視における内面側曲率半径rは、例えば、1.0mm以上5.0mm以下である。前記方向性電磁鋼板は、一例として、質量%で、Si:2.0~7.0%、を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有し、Goss方位に配向する集合組織を有する。
次に、本発明の一実施の形態に係る巻鉄心及び方向性電磁鋼板の形状について具体的に説明する。ここで説明する巻鉄心及び方向性電磁鋼板の形状自体は、特に目新しいものではなく、公知の巻鉄心及び方向性電磁鋼板の形状に準じたものに過ぎない。
図1は、巻鉄心の本実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、図1の実施形態に示される巻鉄心の側面図である。また、図3は、巻鉄心の別の一実施形態を模式的に示す側面図である。
なお、本実施形態において側面視とは、巻鉄心を構成する長尺状の方向性電磁鋼板1の幅方向(図1におけるY軸方向)に視ることをいう。側面図とは側面視により視認される形状を表した図(図1のY軸方向の図)である。
本実施形態に係る巻鉄心は、側面視において略多角形状(略矩形状)の巻鉄心本体10を備える。当該巻鉄心本体10は、方向性電磁鋼板1が、板厚方向に積み重ねられ、側面視において略矩形状の積層構造2を有する。当該巻鉄心本体10を、そのまま巻鉄心として使用してもよいし、必要に応じて積み重ねられた複数の方向性電磁鋼板1を一体的に固定するために、結束バンド等、公知の締付具等を備えていてもよい。
本実施の形態において、巻鉄心本体10の鉄心長に特に制限はない。鉄心において鉄心長が変化しても、屈曲部5の体積は一定であるため屈曲部5で発生する鉄損は一定である。鉄心長が長いほうが巻鉄心本体10に対する屈曲部5の体積率は小さくなるため、鉄損劣化への影響も小さい。よって、巻鉄心本体10の鉄心長は長いほうが好ましい。巻鉄心本体10の鉄心長は、1.5m以上であることが好ましく、1.7m以上であるとより好ましい。なお、本実施形態において、巻鉄心本体10の鉄心長とは、側面視による巻鉄心本体10の積層方向の中心点における周長をいう。
このような巻鉄心は、従来公知のいずれの用途にも好適に用いることができる。
本実施の形態に係る鉄心は、側面視において略多角形状であることを特徴とする。以下の図を用いた説明においては、図示及び説明を単純にするため、一般的な形状でもある略矩形状(四角形)の鉄心で説明するが、屈曲部5の角度や数、平面部4の長さによって、様々な形状の鉄心が製造可能である。例えば、全ての屈曲部5の角度が45°で平面部4の長さが等しければ、側面視は八角形になる。また、角度が60°で6個の屈曲部5を有し、平面部4の長さが等しければ側面視は六角形となる。
図1及び図2に示されるように、巻鉄心本体10は、長手方向に平面部4,4aと屈曲部5とが交互に連続する方向性電磁鋼板1が、板厚方向に積み重ねられた部分を含み、側面視において中空部15を有する略矩形状の積層構造2を有する。屈曲部5を含むコーナー部3は、側面視において、曲線状の形状を有する屈曲部5を2つ以上有しており、1つのコーナー部3に存在する屈曲部5のそれぞれの曲げ角度の合計が例えば90°となっている。コーナー部3は、隣り合う屈曲部5,5間に、前記平面部4よりも短い平面部4aを有している。したがって、コーナー部3は、2以上の屈曲部5と、1つ以上の平面部4aとを有する形態となっている。なお、図2の実施形態は1つの屈曲部5が45°である。図3の実施形態は1つの屈曲部5が30°である。
これらの例に示されるように、本実施の形態の巻鉄心は、様々な角度を有する屈曲部により構成できるが、加工時の変形による歪み発生を抑制して鉄損を抑える点からは、屈曲部5の曲げ角度φ(φ1、φ2、φ3)は60°以下であることが好ましく、45°以下であることがより好ましい。1つの鉄心が有する屈曲部の曲げ角度φは任意に構成することが可能である。例えば、φ1=60°且つφ2=30°とすることができる。生産効率の点からは折り曲げ角度(曲げ角度)が等しいことが好ましく、ある一定以上の変形箇所を少なくすれば用いる鋼板の鉄損により作成する鉄心の鉄損を小さくできる場合は、異なる角度の組み合わせの加工としてもよい。設計は鉄心加工にて重視するポイントから任意に選択することができる。
図6を参照しながら、屈曲部5について更に詳細に説明する。図6は、方向性電磁鋼板1の屈曲部(曲線部分)5の一例を模式的に示す図である。屈曲部5の曲げ角度とは、方向性電磁鋼板1の屈曲部5において、折り曲げ方向の後方側の直線部と前方側の直線部との間に生じた角度差を意味し、方向性電磁鋼板1の外面において、屈曲部5を挟む両側の平面部4,4aの表面である直線部分を延長して得られる2つの仮想線Lb-elongation1、Lb-elongation2がなす角の補角の角度φとして表わされる。この際、延長する直線が鋼板表面から離脱する点が、鋼板外面側の表面における平面部と屈曲部の境界であり、図6においては、点F及び点Gである。
さらに、点F及び点Gのそれぞれから鋼板外表面に垂直な直線を延長し、鋼板内面側の表面との交点をそれぞれ点E及び点Dとする。この点E及び点Dが鋼板内面側の表面における平面部4と屈曲部5との境界である。
そして、本実施形態において屈曲部5とは、方向性電磁鋼板1の側面視において、上記点D、点E、点F、点Gにより囲まれる方向性電磁鋼板1の部位である。図6においては、点Dと点Eとの間の鋼板表面、すなわち、屈曲部5の内側表面をLa、点Fと点Gとの間の鋼板表面、すなわち、屈曲部5の外側表面をLbとして示している。
また、この図には、屈曲部5の側面視における内面側曲率半径rが表わされている。上記Laを点E及び点Dを通過する円弧で近似することで、屈曲部5の曲率半径rを得る。曲率半径rが小さいほど屈曲部5の曲線部分の曲がりは急であり、曲率半径rが大きいほど屈曲部5の曲線部分の曲がりは緩やかになる。
本実施形態の巻鉄心では、板厚方向に積層された各方向性電磁鋼板1の各屈曲部5における曲率半径rは、ある程度の変動を有するものであってもよい。この変動は、成形精度に起因する変動であることもあり、積層時の取り扱いなどで意図せぬ変動が発生することも考えられる。このような意図せぬ誤差は、現在の通常の工業的な製造であれば0.2mm程度以下に抑制することが可能である。このような変動が大きい場合は、十分に多数の鋼板について曲率半径rを測定し、平均することで代表的な値を得ることができる。また、何らかの理由で意図的に変化させることも考えられるが、本実施形態はそのような形態を除外するものではない。
なお、屈曲部5の曲率半径rの測定方法にも特に制限はないが、例えば、市販の顕微鏡(Nikon ECLIPSE LV150)を用いて200倍で観察することにより測定することができる。具体的には、観察結果から、曲率中心A点を求めるが、この求め方として、例えば、線分EFと線分DGを点Bとは反対側の内側に延長させた交点をAと規定すれば、曲率半径rの大きさは、線分ACの長さに該当する。
図4及び図5は巻鉄心本体10における1層分の方向性電磁鋼板1の一例を模式的に示す図である。図4及び図5の例で用いられる方向性電磁鋼板1は、ユニコア形態の巻鉄心を実現するべく、折り曲げ加工されたものであって、2つ以上の屈曲部5と、平面部4とを有し、1つ以上の方向性電磁鋼板1の長手方向の端面である接合部6(隙間)を介して側面視において略多角形の環を形成する。
本実施の形態においては、巻鉄心本体10が、全体として側面視が略多角形状の積層構造2を有していればよい。図4の例に示されるように、1つの接合部6を介して1枚の方向性電磁鋼板1が巻鉄心本体10の1層分を構成する(一巻ごとに1箇所の接合部6を介して1枚の方向性電磁鋼板1が接続される)ものであってもよく、図5の例に示されるように1枚の方向性電磁鋼板1が巻鉄心の約半周分を構成し、2つの接合部6を介して2枚の方向性電磁鋼板1が巻鉄心本体10の1層分を構成する(一巻ごとに2箇所の接合部6を介して2枚の方向性電磁鋼板1が互いに接続される)ものするものであってもよい。
本実施の形態において用いられる方向性電磁鋼板1の板厚は、特に限定されず、用途等に応じて適宜選択すればよいものであるが、通常0.15mm~0.30mmの範囲内であり、好ましくは0.18mm~0.27mmの範囲である。
また、方向性電磁鋼板1を製造する方法は、特に限定されず、従来公知の方向性電磁鋼板の製造方法を適宜選択することができる。製造方法の好ましい具体例としては、例えば、Cを0.04~0.1質量%とし、その他は上記方向性電磁鋼板1の化学組成を有するスラブを1000℃以上に加熱して熱間圧延を行った後、必要に応じて熱延板焼鈍を行ない、次いで、1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷延により冷延鋼板とし、当該冷延鋼板を、例えば湿水素-不活性ガス雰囲気中で700~900℃に加熱して脱炭焼鈍し、必要に応じて更に窒化焼鈍し、焼鈍分離剤を塗布した上で、1000℃程度で仕上げ焼鈍し、900℃程度で絶縁被膜を形成する方法が挙げられる。さらに、その後、動摩擦係数を調整するための塗装などを実施しても良い。
また、一般的に歪や溝等を用いた「磁区制御」と呼ばれる処理を鋼板の製造工程において公知の方法で施した鋼板であっても本実施形態の効果を享受できる。
また、本実施の形態において、以上のような形態を備える方向性電磁鋼板1から構成される巻鉄心10は、個別に折り曲げ加工された方向性電磁鋼板1を層状に積み重ねて巻回形状に組み付けることにより形成され、一巻ごとに少なくとも1箇所の接合部6(図4及び図5参照)を介して複数枚の方向性電磁鋼板1が互いに接続され、積層される方向性電磁鋼板1のうちのいずれか1枚以上の少なくとも1つの屈曲部5が以下のように製造される。すなわち、屈曲部5は、図7に示されるように、片側自由曲げ工法による折り曲げ加工によって形成される。具体的には、図示のように、一方側1bがダイス30上に載置された方向性電磁鋼板1の他方の自由端側の屈曲されるべき部位である片側自由端部1aに対してパンチ40を矢印で示されるように下向きに押し付けることにより、この片側自由端部1aをその厚さT方向で加圧して折り曲げ加工している。この場合、ダイス30上に載置される方向性電磁鋼板1の一方側1bは、この一方側1bに対して押え部材38を矢印で示されるように下向きに押し付けることにより、固定状態で拘束される。また、方向性電磁鋼板1の厚さT方向に沿う図示の断面(方向性電磁鋼板1の厚さT方向および長手方向の両方向に沿う断面)において、ダイス30は、パンチ40との間で方向性電磁鋼板1を挟持する挟持部位(コーナー部の外表面)に所定の曲率を有する円弧部30aを有している。この円弧部30aは、方向性電磁鋼板1が載置されて固定される直線状の載置部30bと、該載置部30bと略直交するように延びる直線状の直交延在部30cとを接続している。そして、このようなダイス30は、該ダイス30との間で方向性電磁鋼板1を挟持する挟持部位(外表面)に同様の円弧部40aを有して下方に押し込まれるパンチ40との協働により、具体的には方向性電磁鋼板1の片側自由端部1aをパンチ40の円弧部40aによって加圧してダイス30の円弧部30aに沿って折り曲げることにより、方向性電磁鋼板1の片側自由端部1aを所定の曲率を以って折り曲げるようになっている。この時の屈曲部5の曲げ角度をθ(°)とする。なお、方向性電磁鋼板1の片側自由端部1aを30mm/分以上3000mm/分以下の加工速度で折り曲げることによって屈曲部5を形成することが好ましい。ここで、加工速度とは、ダイス30に対するパンチ40の相対的な移動速度である。パンチ40は、ダイス30に対して直進移動する。また、このような折り曲げにより形成される屈曲部5は、1枚の方向性電磁鋼板1に関して4か所以上形成されることが好ましい。なお、積層される方向性電磁鋼板1のうちのいずれか1枚以上の少なくとも1つの屈曲部5が形成されてもよい。
ここで、方向性電磁鋼板1の厚さをT(mm)、屈曲部5の曲げ角度をθ(°)、ダイス30の円弧部30aの曲率半径をRd(mm)、パンチ40の円弧部40aの曲率半径をRp(mm)とすると、以下の(1)~(5)式の関係を満たす。
0.02≦T/(2Rd+T)≦0.15 ・・・(1)
(T/(2Rd+T)は計算上付与される歪)
0.5≦Rd≦3.0 ・・・(2)
0.15≦T≦0.30 ・・・(3)
2.5≦Rp/Rd≦10 ・・・(4)
10°≦θ≦90° ・・・(5)
また、方向性電磁鋼板1の厚さT方向に沿う図示の断面において、ダイス30とパンチ40との間には、パンチ40の押し付け方向(図7の上下方向)に対して直交する方向で所定のクリアランスCが設けられている。すなわち、パンチ40による加圧時に互いに対向するダイス30の直交延在部30cとパンチ40の対向面部40bとがパンチ押し付け方向に対して直交する方向で所定のクリアランスC(mm)を隔てて離間されている。この場合、クリアランスCは、0.5T≦C≦1.5Tの範囲に設定される。
また、以上のような片側自由曲げ工法を伴う巻鉄心の製造を可能にする装置が図8にブロック図で概略的に示されている。図8は、ユニコアの形態を成す巻鉄心の製造装置70を概略的に示している。この製造装置70は、方向性電磁鋼板1を個別に折り曲げ加工する折り曲げ加工部71を備えており、また、折り曲げ加工された方向性電磁鋼板1を層状に積み重ねて巻回形状に組み付けることにより、長手方向に平面部4,4aと屈曲部5とが交互に連続する方向性電磁鋼板1が板厚方向に積み重ねられた部分を含む巻回形状の巻鉄心を形成する、組み付け部72を備えてもよい。
折り曲げ加工部71には、方向性電磁鋼板1をロール状に巻き回して形成されたフープ材を保持する鋼板供給部50から方向性電磁鋼板1が所定の搬送速度で繰り出されることによって供給される。このようにして供給された方向性電磁鋼板1は、折り曲げ加工部71において、適宜適当なサイズに切断されるとともに、1枚ずつといったように、少数枚毎に個別に折り曲げられる、折り曲げ加工を受ける。こうして得られた方向性電磁鋼板1では、折り曲げ加工で生じる屈曲部5の曲率半径rが極めて小さくなるため、折り曲げ加工によって方向性電磁鋼板1に付与される加工歪は極めて小さいものとなる。このように、加工歪の密度が大きくなると想定される一方で、加工歪の影響がある体積を小さくすることができれば、焼鈍工程を省くことができる。
また、折り曲げ加工部71は、前述したようなダイス30とパンチ40とを有しており、方向性電磁鋼板1の一方側1bをダイス30上に載置して拘束するとともに、方向性電磁鋼板1の他方の自由端側の屈曲されるべき部位(片側自由端部1a)をその厚さT方向でパンチ40の円弧部40aにより加圧してダイス30の円弧部30aに沿って折り曲げることにより、積層される方向性電磁鋼板1のうちのいずれか1枚以上の少なくとも1つの屈曲部5を形成する。
(実施例)
以下、本発明の実施例を挙げながら、本発明の技術的内容について更に説明する。以下に示す実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した条件例であり、本発明は、この条件例に限定されるものではない。また本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
この実施例では、表1に示す方向性電磁鋼板(鋼板No.1~8)を用いて、表2に示す鉄心を作成し、鉄心特性を測定した。詳細な製造条件および特性を表3に示す。
具体的に、表1には方向性電磁鋼板の化学組成(質量%)及び磁気特性が示されている。方向性電磁鋼板の磁気特性は、JIS C 2556:2015に規定された単板磁気特性試験法(Single Sheet Tester:SST)に基づいて測定した。磁気特性として、800A/mで励磁したときの鋼板の圧延方向の磁束密度B8(T)、更に、交流周波数:50Hz、励磁磁束密度:1.7Tでの鉄損(W17/50(W/kg))を測定した。
また、表1には、各鋼板No.1~8に関して、鋼板板厚(mm)及びレーザ軸制御の有無も示されている。
Figure 0007530010000001
また、本発明者らは、各鋼板No.1~8を素材として、表2および図9に示す形状を有する鉄心コアNo.a~cを製造した。ここで、L1はX軸方向に平行で、中心CLを含む平断面での巻鉄心の最内周にある互いに平行な方向性電磁鋼板1間の距離(内面側平面部間距離)である。L2はZ軸方向に平行で、中心CLを含む縦断面での巻鉄心の最内周にある互いに平行な方向性電磁鋼板1間の距離(内面側平面部間距離)である。L3はX軸方向に平行で、中心CLを含む平断面での巻鉄心の積層厚さ(積層方向の厚さ)である。L4はX軸方向に平行で中心CLを含む平断面での巻鉄心の積層鋼板幅である。L5は巻鉄心の最内部の互いに隣り合って、かつ、合わせて直角をなすように配置された平面部間距離(屈曲部間の距離)である。言い換えると、L5は、最内周の方向性電磁鋼板の平面部4,4aのうち、最も長さが短い平面部4aの長手方向の長さである。rは巻鉄心の内面側の屈曲部5の曲率半径、φは巻鉄心の前述した屈曲部5の曲げ角度θ(°)である。表2の略矩形状の鉄心コアNo.a~cは、内面側平面部距離L1である平面部が距離L1のほぼ中央で分割されており、「略コの字」の形状を有する2つの鉄心を結合した構造となっている。
ここで、コアNo.cの鉄心は、従来から一般的な巻鉄心として利用されている、鋼板を筒状に巻き取った後、筒状積層体のままコーナー部を一定曲率になるようにプレスし、略矩形に形成する方法により製造された、いわゆるトランココア形態の巻鉄心である。このため、屈曲部5の曲率半径rは鋼板の積層位置により大きく変動する。一方、コアNo.aの鉄心は、1つのコーナー部3に2つの屈曲部5を有するユニコア形態の巻鉄心であり、コアNo.bの鉄心は、1つのコーナー部3に3つの屈曲部5を有するユニコア形態の巻鉄心である。また、表2中、曲率半径rに関しては、表3において詳細に示されている。
Figure 0007530010000002
そして、本発明者らは、表3に示されるように、各鋼板No.1~8を素材として製造した鉄心コアNo.a~cにおける38個の試験品に関し、曲げ加工法として片側自由曲げ工法を適用するとともに、方向性電磁鋼板1の厚さT、巻鉄心の屈曲部5の曲げ角度φ(°)、ダイス30の円弧部30aの曲率半径をRd(mm)及びパンチ40の円弧部40aの曲率半径をRp(mm)(したがって、Rp/Rd)、クリアランスC(mm)、並びに、加工速度を様々に変えて、各鋼板を素材とする鉄心について無負荷損失を求め、表1に示す素材鋼板の磁気特性との比を取ることでビルディングファクタ(BF)を求めた。なお、表3中、鉄心形状における〇は、巻線可能であるとともにBF測定可能である良好な形状を示し、△は、巻線可能であるとともにBF測定可能であるがやや不良な形状を示し、×は、巻線不可能であるとともにBF測定不可能である不良な形状を示す。また、表3中、鉄心表面における〇は、疵が少ない良好な表面を示し、△は、疵及び発粉があるものの巻線可能であるとともにBF測定可能である表面を示し、×は、疵及び被膜剥離があるとともに短絡によりBF測定不可能である不良な表面を示す。
前述した寸法要件、すなわち、0.02≦T/(2Rd+T)≦0.15((1)式)、0.5≦Rd≦3.0((2)式)、0.15≦T≦0.30((3)式)、2.5≦Rp/Rd≦10((4)式)、10°≦θ≦90°((5)式)の関係を満たす実施例と、前記関係を満たさない比較例とを見れば分かるように、実施例においてはビルディングファクタ(BF)が1.12以下に抑えられている(巻鉄心の鉄損が抑制されている)。このことは、巻鉄心の有効体積率及び鉄損が改善されて品質面が向上されていることを意味している。
Figure 0007530010000003
本発明によれば、方向性電磁鋼板の折り曲げ加工に際して、鋼板折り曲げ部の割れ・亀裂を抑制でき、鋼板表面の疵付きや表面被膜の剥離・粉化も防止できるとともに、形状凍結性の改善を図ることができる巻鉄心の製造方法及び製造装置を提供することができる。
1 方向性電磁鋼板
4 平面部
5 屈曲部
10 巻鉄心(巻鉄心本体)
30 ダイス
30a 円弧部
40 パンチ
40a 円弧部
71 折り曲げ加工部
72 組み付け部

Claims (6)

  1. 中心に矩形の中空部を有し、長手方向に平面部と屈曲部とが交互に連続する方向性電磁鋼板が板厚方向に積み重ねられた部分を含む巻回形状の巻鉄心であって、個別に折り曲げ加工された前記方向性電磁鋼板を層状に積み重ねて巻回形状に組み付けることにより形成され、一巻ごとに少なくとも1箇所の接合部を介して複数枚の方向性電磁鋼板が互いに接続される巻鉄心の製造方法において、
    積層される前記方向性電磁鋼板のうちのいずれか1枚以上の少なくとも1つの前記屈曲部は、前記方向性電磁鋼板の一方側をダイス上に載置して拘束するとともに、前記方向性電磁鋼板の他方の自由端側の屈曲されるべき部位に対してその厚さ方向でパンチを押し付けることによって形成され、
    前記ダイス及び前記パンチの外表面はそれぞれ、前記方向性電磁鋼板の厚さ方向に沿う断面において、所定の曲率を有する円弧部を有し、
    前記方向性電磁鋼板の厚さをT(mm)、前記屈曲部の曲げ角度をθ(°)、前記ダイスの前記円弧部の曲率半径をRd(mm)、前記パンチの前記円弧部の曲率半径をRp(mm)とすると、以下の(1)~(5)式の関係を満たし、
    0.02≦T/(2Rd+T)≦0.15 ・・・(1)
    0.5≦Rd≦3.0 ・・・(2)
    0.15≦T≦0.30 ・・・(3)
    2.5≦Rp/Rd≦10 ・・・(4)
    10°≦θ≦90° ・・・(5)
    前記方向性電磁鋼板の屈曲されるべき前記部位を前記パンチの前記円弧部によって加圧して前記ダイスの前記円弧部に沿って折り曲げることにより1枚の前記方向性電磁鋼板に関して前記屈曲部が4か所以上形成されることを特徴とする巻鉄心の製造方法。
  2. 前記方向性電磁鋼板の屈曲されるべき前記部位を30mm/分以上3000mm/分以下の加工速度で折り曲げることによって前記屈曲部を形成することを特徴とする請求項1に記載の巻鉄心の製造方法。
  3. 前記方向性電磁鋼板の厚さ方向に沿う断面において、前記ダイスと前記パンチとの間には、前記パンチの押し付け方向に対して直交する方向で所定のクリアランスC(mm)が0.5T≦C≦1.5Tの範囲で設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の巻鉄心の製造方法。
  4. 方向性電磁鋼板を個別に折り曲げ加工する折り曲げ加工部と、
    前記折り曲げ加工された前記方向性電磁鋼板を層状に積み重ねて巻回形状に組み付けることにより、長手方向に平面部と屈曲部とが交互に連続する方向性電磁鋼板が板厚方向に積み重ねられた部分を含む巻回形状の巻鉄心を形成する、組み付け部と、 を備え、
    前記折り曲げ加工部は、ダイスとパンチとを有するとともに、前記ダイス及び前記パンチの外表面にそれぞれ、前記方向性電磁鋼板の厚さ方向に沿う断面において、所定の曲率を有する円弧部が形成され、前記方向性電磁鋼板の一方側を前記ダイス上に載置して拘束するとともに、前記方向性電磁鋼板の他方の自由端側の屈曲されるべき部位をその厚さ方向で前記パンチの前記円弧部により加圧して前記ダイスの前記円弧部に沿って折り曲げることにより、積層される前記方向性電磁鋼板のうちのいずれか1枚以上の少なくとも1つの前記屈曲部を形成し、
    前記方向性電磁鋼板の厚さをT(mm)、前記屈曲部の曲げ角度をθ(°)、前記ダイスの前記円弧部の曲率半径をRd(mm)、前記パンチの前記円弧部の曲率半径をRp(mm)とすると、以下の(1)~(5)式の関係を満たすことを特徴とする巻鉄心の製造装置。
    0.02≦T/(2Rd+T)≦0.15 ・・・(1)
    0.5≦Rd≦3.0 ・・・(2)
    0.15≦T≦0.30 ・・・(3)
    2.5≦Rp/Rd≦10 ・・・(4)
    10°≦θ≦90° ・・・(5)
  5. 前記折り曲げ加工部は、前記方向性電磁鋼板の屈曲されるべき前記部位を30mm/分以上3000mm/分以下の加工速度で折り曲げることによって前記屈曲部を形成することを特徴とする請求項4に記載の巻鉄心の製造装置。
  6. 前記方向性電磁鋼板の厚さ方向に沿う断面において、前記ダイスと前記パンチとの間には、前記パンチの押し付け方向に対して直交する方向で所定のクリアランスC(mm)が0.5T≦C≦1.5Tの範囲で設けられることを特徴とする請求項4又は5に記載の巻鉄心の製造装置。
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