JP7522044B2 - 帯電ローラ、および、画像形成装置 - Google Patents

帯電ローラ、および、画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、帯電ローラ、および、画像形成装置に関する。
本願は、2018年12月17日に、日本に出願された特願2018-235784号に基づく優先権を主張するものであり、その内容の全文をここに援用する。
従来、複写機やプリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成装置では、まず、感光体の表面を一様に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して、光の当たった部分の帯電を消去することによって潜像を形成する静電潜像プロセスにより静電潜像を得、次いで、トナーの付着によるトナー像の形成、紙等の記録媒体へのトナー像の転写により、プリントする方法が採られている。
ここで、感光体(感光ドラム)の表面の帯電には、一般に、帯電ローラが用いられており、具体的には、帯電ローラを感光体に当接させた際に形成される微小なギャップにおいて、電圧が印加された帯電ローラから感光体へ放電が起き、それにより感光体の表面が一様に帯電される。
日本国特開2013-120356号公報
しかし、従来の帯電ローラにおいては、感光体の表面に帯電ムラが生じることがあり、それにより紙等の記録媒体に印字した際に、マイクロジッター(横スジ)が発生していた。このようなマイクロジッターに対しては、従来、帯電ローラの表層内に含有させる粒子の粒径や形状、配合量などでの粗さを制御することで解決が図られていた(例えば特許文献1)。しかし、このような帯電ローラであっても、マイクロジッターの解消においては十分とは言えず、さらなる改善が求められていた。
そこで、本発明は、マイクロジッターを十分に低減することができる帯電ローラ、および、マイクロジッターを十分に低減することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の帯電ローラは、シャフト部材と、当該シャフト部材の径方向外側に位置する基層と、当該基層の径方向外側に位置し、表面を形成する表層とを備える、帯電ローラであって、
前記表層が粒子を含み、前記表層の表面の面積に対する、前記表層の前記表面から露出している前記粒子の、前記帯電ローラの径方向から観た平面視での総面積の割合が、60%超である。
本発明の画像形成装置は、上記の帯電ローラを備える。
本発明によれば、マイクロジッターを十分に低減することができる帯電ローラ、および、マイクロジッターを十分に低減することができる画像形成装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す、概略図である。 本発明の一実施形態に係る帯電ローラを、軸方向に沿う断面により示す、断面図である。
以下に、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について例示説明する。
本実施形態の帯電ローラは、図1に示すような画像形成装置(例えばレーザープリンター)において用いることができ、図2の軸方向断面図に示すように、帯電ローラ1は、シャフト部材2と、当該シャフト部材2の径方向外側に位置する基層3と、当該基層3の径方向外側に位置し、帯電ローラ1の表面を形成する表層4とを備えている。
なお、本実施形態の帯電ローラ1は、シャフト部材2上に形成する層として基層3および表層4に限定されることはなく、基層3と表層4との間やシャフト部材2と基層3との間には、任意に、単層または複数層の他の層を形成することができる。
また、本実施形態の帯電ローラ1の表層4は、粒子を含み、表層4の表面の面積に対する、表層4の表面から露出している粒子の、帯電ローラ1の径方向から観た平面視での総面積の割合(以下、「粒子露出面積比率」とも称す)が、60%超である。
このようにすることにより、感光体を帯電させるため、帯電ローラ1を感光体に接触させた際に、表層4の表面の多数の粒子が感光体の表面と当接して、帯電ローラ1と感光体の間に、多数の粒子で支持されて形成される微小なギャップ(隙間)を全体に亘って均一に存在させやすくすい。そして、均一に存在する微小なギャップ(隙間)で、電圧が印加された帯電ローラ1から感光体へ均一に放電が起きるので、感光体の表面が均一に帯電され、マイクロジッターを十分に低減することができる。
なお、粒子露出面積比率が60%以下である場合には、上記の微小なギャップが十分に均一になりにくいので、マイクロジッターを十分に低減することができない。
また、本実施形態において、粒子露出面積比率は、上記と同様な観点から70%以上であること好ましい。当該割合は大きければ大きいほど好ましいが、その上限値は、トナー汚染性の観点から、85%以下が好ましい。
本発明において、表層4の表面から露出している粒子の総面積は、レーザー顕微鏡により、表層4の軸方向中央、両側(表層4の両端より内側に30mm離れた位置)を、帯電ローラ1の径方向から撮影した3箇所の写真(1000倍)を用いて得る。具体的には、レーザー顕微鏡により撮影した写真(1000倍)を、画像処理ソフトを用いて、粒子として確認される部分が黒色となるように2値化処理し、当該黒色となった部分の総面積を算出し、3箇所の写真から得た総面積を算術平均することで表層4の表面から露出している粒子の総面積を得る。
また、表層4の表面の面積に対する、表層4の表面から露出している粒子の、帯電ローラ1の径方向から観た平面視での総面積の割合は、上記の方法で得た総面積を、写真(1000倍)の撮影面積で除することにより得る。
なお、レーザー顕微鏡により撮影した写真(1000倍)で粒子として確認される部分とは、当該写真において、表層4の表面が平坦である部分よりも、突出して確認される部分である。また、粒子の表面がコーティングされている場合には、本発明における粒子とは当該コーティング部分も含むものであり、粒子露出面積比率はコーティング部分も含んで算出される。
本実施形態において、表層4に含まれる粒子は、特に限定されないが、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂およびメラミン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種類の樹脂より形成されることが好ましい。これにより、マイクロジッターを十分に低減することができる。
また、粒子は、マイクロジッターの観点から、アクリル樹脂より形成されることがより好ましい。
本実施形態において、粒子の平均粒径は、3~20μmであることが好ましく、より好ましくは6~18μmであり、さらに好ましくは10~18μmである。粒子の平均粒径を3μm以上とすることにより、帯電ローラ1と感光体との間の微小なギャップの距離を適度にしつつ、微小なギャップを表層4上に十分均一に形成しやすくなる。また、粒子の平均粒径が大きすぎる場合には、粒径が大きい粒子において帯電ローラから感光体へ放電が起きず、白抜けと呼ばれる現象が生じ得、その結果、画像解像度が低下する虞がある。しかし、粒子の平均粒径を20μm以下とすることにより、帯電ローラ1から感光体への放電を適切に起こすことができるので、画像解像度を効果的に確保することができる。
なお、粒子の平均粒径は、表層4に含まれる粒子が複数種類の粒子の混合よりなる場合には、当該複数種類の粒子が混合された状態で測定された平均粒径である。また、粒子の平均粒径とは、レーザー回折・散乱法によって求められる体積平均粒径(Mv)を意味している。また、粒子の平均粒径は、表層4に含まれる粒子が複数種類の粒子の混合よりなる場合(表層に含まれる粒子の粒径分布曲線の形状が多峰性である場合)には、当該複数種類の粒子が混合された状態で測定された平均粒径である。
本実施形態においては、表層4に含まれる粒子は、1種類の粒子とすることもできるが、複数種類の粒子の混合物とすることもでき、本実施形態においては、粒子は、平均粒径が相互に異なる複数種類の粒子の混合よりなることが好ましい(換言すれば、表層4に含まれる粒子の粒径分布曲線の形状を多峰性とすることが好ましい)。このようにすることにより、例えば大径粒子の間に小径粒子が入り込んで、粒子を表層4の表面に適切に配置しやすくなり、粒子露出面積比率を所定の範囲にしやすくすることができる。
なお、表層4に含まれる粒子は、平均粒径が相互に異なる複数種類の粒子の混合物とする場合には、混合物中の複数種類の粒子のうち平均粒径が最も小さい粒子の平均粒子径は3~6μmであり、最も大きい粒子の平均粒子径は15~20μmの範囲であることが好ましい。
本実施形態において、表層4に含有される粒子の含有量は、表層4に含まれるバインダー樹脂100質量部に対して、80~160質量部であることが好ましく、より好ましくは100~160質量部であり、さらに好ましくは100~140質量部である。粒子の含有量を80質量部以上とすることにより、微小なギャップを帯電ローラ1の表層4全体に亘って均一に存在させやすくすることができ、当該含有量を160質量部以下とすることにより、帯電ローラ1を形成するための層形成用原料の保存安定性を確保しやすくなる。
ここで、本実施形態の帯電ローラ1において、表層4のうち上記粒子以外の部分を構成する層形成用原料としては、バインダー樹脂としてのウレタンアクリレートオリゴマーと、光重合開始剤と、導電剤とを含む紫外線硬化型樹脂組成物を用いることができる。この層形成用原料には、本発明の目的を害しない限り、種々の添加剤を配合することができる。
上記層形成用原料に用いるウレタンアクリレートオリゴマーとしては、ポリオールとして、下記式(I)、
(式中、xはポリオールの水酸基価(mgKOH/g)であり、yはポリオールの総不飽和度(meq/g)である)を満足する高純度ポリオールを、単独で、または、他のポリオールとともに用いて合成され、アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO-)を1つ以上有し、ウレタン結合(-NHCOO-)を複数有する化合物を用いることができる。
かかるウレタンアクリレートオリゴマーは、例えば、(i)高純度ポリオール単独または高純度ポリオールおよび他のポリオールの混合物と、ポリイソシアネートとから合成したウレタンプレポリマーに、水酸基を有するアクリレートを付加させたり、(ii)高純度ポリオール単独または高純度ポリオールおよび他のポリオールの混合物とポリイソシアネートとから合成したウレタンプレポリマーと、他のポリオールとポリイソシアネートとから合成したウレタンプレポリマーとの混合物に水酸基を有するアクリレートを付加させることで合成することができる。なお、ウレタンプレポリマーの合成に用いる高純度ポリオールは、例えば、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、複合金属シアン化物錯体、セシウム化合物等の触媒の存在下、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびこれらにアルキレンオキシドを反応させて得られる化合物等の多価アルコールに、プロピレンオキシドやエチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加させて合成することができ、不飽和末端等のモノオール副生物が少なく、従来のポリオールに比べて高純度である。
上記式(I)の関係を満たす高純度ポリオールを用いて合成したウレタンアクリレートオリゴマーを用いて紫外線照射により層を形成することで、圧縮残留歪を低減しつつ、帯電ローラ1の隣接部材に対する汚染性を低減することができる。かかる効果を得る観点から、上記高純度ポリオールの総不飽和度は、0.05meq/g以下であることが好ましく、0.025meq/g以下であることがより好ましく、0.01meq/g以下であることがさらに好ましい。
上記ウレタンアクリレートオリゴマーの合成に用いる高純度ポリオールは、重量平均分子量(Mw)が1,000~16,000であることが好ましい。高純度ポリオールの分子量を1,000以上とすることで、層の硬度を低く抑えて、良好な画像性を確保することができるものとなり、一方、16,000以下とすることで、圧縮残留歪の増大を抑えて、帯電ローラ1の変形に起因する画像不良の発生を抑制することができる。
また、上記ウレタンアクリレートオリゴマーの合成において、上記高純度ポリオールとともに用いることができる他のポリオールは、水酸基(OH基)を複数有する化合物であり、かかるポリオールとして、具体的には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、アルキレンオキサイド変性ポリブタジエンポリオールおよびポリイソプレンポリオール等が挙げられる。なお、上記ポリエーテルポリオールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールに、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキサイドを付加させて得られる。また、上記ポリエステルポリオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールと、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸等の多価カルボン酸とから得られる。これらポリオールは、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
上記ウレタンアクリレートオリゴマーの合成において、上記高純度ポリオール(a1)とともに他のポリオール(a2)を使用する場合、高純度ポリオール(a1)と他のポリオール(a2)との質量比(a1/a2)は、100/0~30/70の範囲にあることが好ましい。高純度ポリオール(a1)と他のポリオール(a2)との総量(a1+a2)に占める高純度ポリオール(a1)の割合を30質量%以上とすることで(すなわち、他のポリオール(a2)の割合を70質量%以下とすることで)、層の圧縮残留歪を低減しつつ、感光体等の隣接部材に対する汚染性を十分に低減することができる。
上記ウレタンアクリレートオリゴマーの合成に用いることができるポリイソシアネートは、イソシアネート基(NCO基)を複数有する化合物であって、具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(クルードMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)や、これらのイソシアヌレート変性物、カルボジイミド変性物、グリコール変性物等が挙げられる。これらポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
上記ウレタンアクリレートオリゴマーの合成においては、ウレタン化反応用の触媒を用いることが好ましい。かかるウレタン化反応用触媒としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズチオカルボキシレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズチオカルボキシレート、オクテン酸スズ、モノブチルスズオキシド等の有機スズ化合物;塩化第一スズ等の無機スズ化合物;オクテン酸鉛等の有機鉛化合物;トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類;テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類;ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン等のトリアミン類;トリエチレンジアミン、ジメチルピペラジン、メチルエチルピペラジン、メチルモルホリン、ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルイミダゾール、ピリジン等の環状アミン類;ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、メチルヒドロキシエチルピペラジン、ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類;ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類;p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロ硫酸等の有機スルホン酸;硫酸、リン酸、過塩素酸等の無機酸;ナトリウムアルコラート、水酸化リチウム、アルミニウムアルコラート、水酸化ナトリウム等の塩基類;テトラブチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のチタン化合物;ビスマス化合物;四級アンモニウム塩等が挙げられる。これら触媒の中でも、有機スズ化合物が好ましい。これら触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記触媒の使用量は、上記ポリオール100質量部に対して0.001~2.0質量部の範囲が好ましい。
また、上記ウレタンアクリレートオリゴマーの合成に用いることができる水酸基を有するアクリレートは、水酸基を1つ以上有し、アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO-)を1つ以上有する化合物である。かかる水酸基を有するアクリレートは、上記ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に付加することができる。水酸基を有するアクリレートとしては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。これら水酸基を有するアクリレートは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記層形成用原料に用いる光重合開始剤は、紫外線を照射されることによって、上述したウレタンアクリレートオリゴマー、さらには後述するアクリレートモノマーの重合を開始させる作用を有する。かかる光重合開始剤としては、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4,4-ジメトキシベンゾフェノンおよび4,4-ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4-ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジルおよびベンジルメチルケタール等のベンジル誘導体、ベンゾインおよびベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾインイソプロピルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、キサントン、チオキサントンおよびチオキサントン誘導体、フルオレン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1,2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(モルホリノフェニル)-ブタノン-1等が挙げられる。これら光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記層形成用原料として用いる導電剤は、弾性層に導電性を付与する作用を有する。かかる導電剤としては、紫外線を透過できるものが好ましく、イオン導電剤や透明な電子導電剤を用いることが好ましく、イオン導電剤を用いることが特に好ましい。イオン導電剤は、上記ウレタンアクリレートオリゴマーに溶解する上、透明性を有するため、導電剤としてイオン導電剤を用いた場合、シャフト部材上に層形成用原料を厚く塗布しても、紫外線が十分に塗膜内部まで到達し、層形成用原料を十分に硬化させることができる。ここで、イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩;リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。また、透明な電子導電剤としては、ITO、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物の微粒子;ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属の微粒子:導電性酸化チタンウィスカー、導電性チタン酸バリウムウィスカー等の導電性ウィスカー等が挙げられる。さらに、電子導電剤として、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボンブラック、酸化処理等を施したカラー用カーボンブラック、熱分解カーボンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト等を使用してもよい。これら導電剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記層形成用原料は、さらに、アクリレートモノマーを含むことが好ましい。アクリレートモノマーは、アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO-)を1つ以上有するモノマーであり、反応性希釈剤として作用し、すなわち、紫外線で硬化することに加え、層形成用原料の粘度を低下させることが可能である。アクリレートモノマーは、官能基数が1.0~10であることが好ましく、1.0~3.5であることがより好ましい。また、アクリレートモノマーは、分子量が100~2000であることが好ましく、100~1000であることがより好ましい。
上記アクリレートモノマーとしては、イソミリスチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、グリシジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。これらアクリレートモノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記層形成用原料において、ウレタンアクリレートオリゴマーとアクリレートモノマーとの質量比(ウレタンアクリレートオリゴマー/アクリレートモノマー)は、100/0~10/90の範囲にあることが好ましい。ウレタンアクリレートオリゴマーとアクリレートモノマーとの総量に占めるウレタンアクリレートオリゴマーの割合を10質量%以上とすることで(すなわち、アクリレートモノマーの割合を90質量%以下とすることで)、帯電ローラ1に適した低硬度で低圧縮残留歪の基層3を得ることが可能である。
また、上記層形成用原料における、光重合開始剤の配合量は、上記ウレタンアクリレートオリゴマーと上記アクリレートモノマーとの合計100質量部に対して、0.2~5.0質量部の範囲が好ましい。光重合開始剤の配合量が0.2質量部以上とすることで、層形成用原料の紫外線硬化を開始させる効果を確実に得ることができ、一方、5.0質量部以下とすることで、圧縮残留歪等の物性の低下を抑制して、層形成用原料のコスト性を高めることができる。
さらに、上記層形成用原料における、導電剤の配合量は、上記ウレタンアクリレートオリゴマーと上記アクリレートモノマーとの合計100質量部に対して、0.1~5.0質量部の範囲が好ましい。導電剤の配合量を0.1質量部以上とすることで、層の導電性を十分に確保して、帯電ローラ1に所望の導電性を付与することができ、一方、5.0質量部以下とすることで、層の導電性を適切に抑えて、圧縮残留歪等の物性の低下を抑制し、良好な画像を確保することができる。
また、上記層形成用原料には、さらに、重合禁止剤を、上記ウレタンアクリレートオリゴマーと上記アクリレートモノマーとの合計100質量部に対して0.001~0.2質量部で添加してもよい。重合禁止剤を添加することで、紫外線照射前の熱重合を防止することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ-テル、p-メトキシフェノール、2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチルヒドロキシアニソール、3-ヒドロキシチオフェノール、α-ニトロソ-β-ナフトール、p-ベンゾキノン、2,5-ジヒドロキシ-p-キノン等が挙げられる。
表層4は、厚さが5~10μmであることが好ましい。表層4の厚さが5μm以上であれば、粒子を十分に保持しやすくなり、一方、10μm以下であれば、表層4の表面から露出せず内部に内包される粒子を低減することができる。
次に、図2において、シャフト部材2は、金属シャフト2Aと、その径方向外側に配設された高剛性の樹脂基材2Bとからなるが、本実施形態の帯電ローラ1のシャフト部材2は、良好な導電性を有する限り特に制限はなく、金属シャフト2Aのみから構成されていてもよいし、高剛性の樹脂基材2Bのみから構成されていてもよいし、内部を中空にくりぬいた金属製または高剛性樹脂製の円筒体等であってもよい。
なお、シャフト部材2に高剛性の樹脂を使用する場合、高剛性樹脂に導電剤を添加・分散させて、十分に導電性を確保することが好ましい。ここで、高剛性樹脂に分散させる導電剤としては、カーボンブラック粉末やグラファイト粉末、カーボンファイバー、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属粉末、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物粉末、導電性ガラス粉末等の粉末状導電剤が好ましい。これら導電剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。導電剤の配合量は、特に制限されるものではないが、高剛性樹脂の全体に対して5~40質量%の範囲が好ましく、5~20質量%の範囲がより好ましい。
上記金属シャフト2Aや金属製円筒体の材質としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられる。また、上記高剛性の樹脂基材2Bの材質としては、ポリアセタール、ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド12、ポリアミド4・6、ポリアミド6・10、ポリアミド6・12、ポリアミド11、ポリアミドMXD6、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリアセタール、ポリアミド6・6、ポリアミドMXD6、ポリアミド6・12、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネートが好ましい。これら高剛性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記シャフト部材2が、金属シャフトまたはその外側に高剛性の樹脂基材を配設したシャフト部材である場合、金属シャフトの外径は、4.0~8.0mmの範囲が好ましい。また、上記シャフト部材2が、金属シャフトの外側に高剛性の樹脂基材を配設したシャフト部材である場合、樹脂基材の外径は、10~25mmの範囲が好ましい。なお、上記シャフト部材2に高剛性樹脂を使用することで、シャフト部材2の外径を大きくしても、シャフト部材2の質量の増加を抑制することができる。
本実施形態の帯電ローラ1は、シャフト部材2の径方向外側に位置する基層3を備える。基層3を構成する層形成用原料としては、上記の表層4が含有する粒子を必須の成分としないこと以外は、表層4を構成するのと同様の層形成用原料を用いることができる。
上記層形成用原料により形成される基層3は、アスカーC硬度が30度~70度であることが好ましい。ここで、アスカーC硬度は、高さ12.7mm、直径29mmの円柱状サンプルの平面部分を測定した際の値である。アスカーC硬度が30度以上であれば、帯電ローラ1として十分な硬度を確保することができ、一方、70度以下であれば、他のローラやブレードとの追従性が良好となる。
また、基層3は、圧縮残留歪(圧縮永久歪)が3.0%以下であることが好ましい。ここで、圧縮残留歪は、JIS K 6262(1997)に準拠して測定でき、具体的には、高さ12.7mm、直径29mmの円柱状サンプルに対し、規定の熱処理条件(70℃で22時間)の下、サンプルを高さ方向に25%圧縮して求めることができる。基層3の圧縮残留歪が3.0%以下であると、帯電ローラ1表面に他部材による圧接痕が発生し難くなり、形成した画像にスジ状の画像不良が発生し難くなる。
さらに、基層3は、厚さが1~3000μmであることが好ましい。基層3の厚さが1μm以上であれば、帯電ローラ1が十分な弾性を有するものとなり、一方、3000μm以下であれば、紫外線照射において基層3の深部まで紫外線が十分に到達し、層形成用原料を確実に紫外線硬化させることができ、高価格である紫外線硬化樹脂原料の使用量を少なくすることができる。
さらにまた、基層3は、特に限定されるものではないが、固有抵抗が10~10Ωであることが好ましい。ここで、抵抗値は、平板または円筒状の対極に、シャフト部材2上に基層3のみ形成したローラの外周面を所定圧力で押し当て、シャフト部材2と対極との間に300Vの電圧を印加し、その際の電流値から求めることができる。
上記層形成用原料により基層3を形成する場合、本実施形態の帯電ローラ1は、シャフト部材2の外表面に上記層形成用原料を塗布した後、紫外線照射することにより基層3を形成し、さらに、形成された基層3の表面に、上記複数の粒子を含む上記層形成用原料を塗布し、紫外線照射して表層4を形成することにより、容易に作製することができる。そのため、本実施形態の帯電ローラ1は、大量の熱エネルギーを必要とせず、短時間で製造することが可能である。また、製造にキュアー炉等が不要であるため、多額の設備費用を必要としない。なお、上記層形成用原料をシャフト部材2の外表面または基層3の表面に塗布する方法としては、スプレー法、ロールコーター法、ディッピング法、ダイコート法等が挙げられる。また、紫外線照射に用いる光源としては、水銀灯、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられる。紫外線照射の条件は、層形成用原料に含まれる成分、組成および塗布量等に応じて適宜選択され、照射強度や積算光量等を適宜調整すればよい。
また、本実施形態の帯電ローラ1においては、基層3を、ポリウレタンフォームにより形成することもできる。この場合、例えば、金属シャフト2Aの半径方向外側に、ポリウレタンフォームからなる基層3を直接担持させることができる。
基層3を構成するポリウレタンフォームに用いるポリウレタン樹脂としては、従来公知の材料を適宜選択して用いることができ、特に制限されるものではない。また、ポリウレタンフォームの発泡倍率としては、特に制限されるものではないが、1.2~50倍、特には1.5~10倍程度が好ましく、フォーム密度は、0.1~0.7g/cm程度が好ましい。
基層3を構成するポリウレタンフォームには、導電剤を添加することができ、これにより、導電性を付与し、または調整して、所定の抵抗値とすることができる。かかる導電剤としては、特に限定されず、上述した紫外線硬化型樹脂に配合できるのと同様の導電剤を単独で、または、2種以上を混合して、適宜使用することができる。また、これら導電剤の配合量は、組成物の種類に応じて適宜選定され、通常、基層3の固有抵抗が前述の範囲となるように調整される。
また、この基層3には、上記導電剤の他にも、必要に応じて、耐水化剤、湿潤剤、発泡剤、整泡剤、硬化剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤、ブロッキング防止剤、架橋剤、成膜助剤等の公知の添加剤を適量配合することができる。
この場合の基層3の厚さとしては、1.0~5.0mmであることが好ましく、1.0~3.0mmであることがより好ましい。基層3の厚さを上記範囲とすることで、スパーク放電を防止することができる。
ポリウレタンフォームにより基層3を形成する場合、本実施形態の帯電ローラ1は、シャフト部材2の外周に、円筒状モールドを用いた型成形等によりポリウレタンフォームを担持させた後、このポリウレタンフォームからなる基層3の表面に、上記の粒子を含む上記層形成用原料を塗布し、紫外線照射して表層4を形成することにより、作製することができる。この場合の、上記層形成用原料の塗布方法、紫外線照射用の光源および照射条件としては、前述と同様とすることができ、特に制限されない。
なお、本実施形態の帯電ローラ1において、基層33と表層4との間に中間層を設ける場合のその材料については特に制限はなく、湿気硬化タイプの樹脂を使用してもよいし、アクリレートを含むオリゴマーにアクリロイルモルフォリンモノマーなどのアミド含有モノマーを配合した紫外線硬化タイプの樹脂を使用してもよい。
また、本実施形態の帯電ローラ1は、固有抵抗が10~10Ωであることが好ましい。ここで、固有抵抗は、平板または円筒状の対極にローラの外周面を所定圧力で押し当て、シャフト部材2と対極との間に300Vの電圧を印加し、その際の電流値から求めることができる。
図1に、上述の実施形態の帯電ローラ1を備える、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の部分断面図を示す。図示する画像形成装置は、静電潜像を保持した感光体10と、感光体10の近傍(図では上方)に位置して感光体10を帯電させるための帯電ローラ1と、トナー11を供給するためのトナー供給ローラ12と、トナー供給ローラ12と感光体10との間に配置された現像ローラ13と、現像ローラ13の近傍(図では上方)に設けられた成層ブレード14と、感光体10の近傍(図では下方)に位置する転写ローラ15と、感光体10に隣接して配置されたクリーニングローラ16とを備えている。なお、図示する画像形成装置は、さらに、画像形成装置に通常用いられる公知の部品(図示せず)を備えることができる。
図示する画像形成装置においては、まず、感光体10に帯電ローラ1を当接させて、感光体10と帯電ローラ1との間に電圧を印加し、感光体10を一定電位に帯電させた後、露光機(図示せず)により静電潜像を感光体10上に形成する。次に、感光体10と、トナー供給ローラ12と、現像ローラ13とが、図中の矢印方向に回転することで、トナー供給ローラ12上のトナー11が現像ローラ13を経て感光体10に送られる。現像ローラ13上のトナー11は、成層ブレード14により、均一な薄層に整えられ、現像ローラ13と感光体10とが接触しながら回転することにより、トナーが現像ローラ13から感光体10の静電潜像に付着して、潜像が可視化される。潜像に付着したトナーは、転写ローラ15で紙等の記録媒体に転写され、転写後に感光体10上に残留するトナーは、クリーニングローラ16によって除去される。
そして、本実施形態の画像形成装置では、上記の本実施形態の帯電ローラ1を備えるので、マイクロジッターを十分に低減することができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明の帯電ローラおよび画像形成装置は、上記の例に限定されることは無く、本実施形態の帯電ローラおよび画像形成装置には、適宜変更を加えることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例になんら限定されるものではない。
まず、実施例・比較例の帯電ローラの製造のために用いた材料を説明する。
(ウレタンアクリレートオリゴマー)
2官能で分子量4,000の高純度ポリオール(プレミノールS-X4004、旭硝子(株)製、PO鎖からなるポリオール、水酸基価=27.9mgKOH/g、総不飽和度=0.007meq/g、式(I)の右辺(0.6/x+0.01)=0.03)100質量部、イソホロンジイソシアネート8.29質量部(イソシアネート基/ポリオールの水酸基=3/2=1.50(モル比))、およびジブチルスズジラウレート0.01質量部を加温撹拌混合しながら、70℃で2時間反応させて、分子鎖の両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成した。さらに、このウレタンプレポリマー100質量部に2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)2.88質量部を撹拌混合し、70℃で2時間反応させて、分子量が9,000のウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。得られたウレタンアクリレートオリゴマーは、B型粘度計で測定した25℃での粘度が80,000mPas/secであった。
(光重合開始剤)
IRGACURE 819(BASFジャパン(株)製)
(導電剤)
・導電剤(i):カリウム金属イオン
・導電剤(ii):アセチレンブラック(三菱化学(株)製)
(粒子)
・粒子(i) :アクリル粒子(総研化学社製、KMR-3TA)、平均粒径3μm
・粒子(ii) :アクリル粒子(根上工業株式化会社製、SE-006T)、平均粒径6μm
・粒子(iii) :アクリル粒子(根上工業株式会社製、SE-010T)、平均粒径10μm
・粒子(iv) :アクリル粒子(根上工業株式会社製、GR-400)、平均粒径15μm
・粒子(v) :アクリル粒子(根上工業株式会社製、SE-020T)、平均粒径20μm
・粒子(vi) :アクリル粒子(根上工業株式会社製、SE-030T)、平均粒径30μm
・粒子(vii) :ナイロン粒子(東レ社製、TR-2)、平均粒径15μm
・粒子(viii):メラミン粒子(日本触媒製、エポスターM30)、平均粒径3μm
(実施例および比較例)
外径6.0mmの金属シャフト上の外表面に、上記のウレタンアクリレートオリゴマー100質量部に対し、光重合開始剤3質量部と、導電剤(i)3質量部とを配合して得られた層形成用原料をダイコーターにより厚さ1500μmで塗布し、塗布しながらスポットUV照射により硬化して、基層を形成した。このようにして得られた基層形成済みローラに対し、さらに、窒素雰囲気下で回転させながら、UV照射強度700mW/cmで5秒間UV照射した。
次いで、得られた基層形成済みローラの表面に、上記のウレタンアクリレートオリゴマー100質量部に対し、光重合開始剤3質量部と、導電剤(ii)3質量部と、表1に示す種類・含有量の粒子と、を配合して得られた層形成用原料をロールコーターにて塗布し、UV照射して、厚さ6μmにて表層を形成し、各実施例および比較例の供試ローラを得た。各供試ローラについて、以下に従い評価を行った結果を、下記の表1に示す。
(マイクロジッター)
各供試ローラを帯電ローラとしてカートリッジに取付けて、温度30℃、湿度80%および温度10℃、湿度の雰囲気下に24時間放置した。その後、カートリッジを実機に組み込んで、5000枚の印刷を実施し、1、2、4999、5000枚目の4枚を40%ハーフトーン画像(スクリーン線150~200)の条件で印刷を実施し、下記の基準に従い、マイクロジッター(横すじ)について評価を行った。結果を表1に示す。
○:発生無もしくは、非常に軽微で視認できない
△:ハーフトーン画像中の一部に薄いマイクロジッターが発生
×:ハーフトーン画像の一部もしくは全面に濃いマイクロジッターが発生。
(画像解像度)
上記のマイクロジッターの評価と同様に、各供試ローラを帯電ローラとしてカートリッジに取付けて、温度23℃、湿度50%の雰囲気下に24時間放置した。その後、カートリッジを実機に組み込んで、ハーフトーン画像(スクリーン線150~200)を印刷し、以下の基準により画像解像度を評価した。結果を表1に示す。
○:微小なドット抜けがなく、良好。
×:微小なドット抜けが、画像全面に存在し、白い斑点が視認できる
表1より、粒子露出面積比率が60%超である実施例は、マイクロジッターが十分に低減されていることがわかる。また、粒子の平均粒径が3~20μmである実施例1~8は、画像解像度を確保しつつマイクロジッターが効果的に低減していることがわかる。
本発明によれば、マイクロジッターを十分に低減することができる帯電ローラ、および、マイクロジッターを十分に低減することができる画像形成装置を提供することができる。
1:帯電ローラ、 2:シャフト部材、 3:基層、 4:表層、
10:感光体、 11:トナー、 12:トナー供給ローラ、 13:現像ローラ、
14:成層ブレード、 15:転写ローラ、 16:クリーニングローラ

Claims (5)

  1. シャフト部材と、当該シャフト部材の径方向外側に位置する基層と、当該基層の径方向外側に位置し、表面を形成する表層とを備える、帯電ローラであって、
    前記表層が粒子を含み、
    前記表層の表面の面積に対する、前記表層の前記表面から露出している前記粒子の、前記帯電ローラの径方向から観た平面視での総面積の割合が、60%超であり、
    前記粒子の体積平均粒径は、3~20μmであり
    前記表層に含まれる前記粒子は、体積平均粒径3~6μmの粒子と、体積平均粒径15~20μmの粒子と、を含み、
    前記表層に含まれる前記粒子の粒径分布曲線が、少なくとも体積平均粒径3~6μmの粒子と、少なくとも体積平均粒径15~20μmの粒子と、による多峰性の形状を有する、帯電ローラ。
  2. 前記粒子は、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂およびメラミン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種類の樹脂より形成されている、請求項1に記載の帯電ローラ。
  3. 前記表層の膜厚は、5~10μmである、請求項1又は2に記載の帯電ローラ。
  4. 前記帯電ローラの固有抵抗が、10~10Ωである、請求項1~3のいずれかに記載の帯電ローラ。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の帯電ローラを備えることを特徴とする、画像形成装置。
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