JP4925676B2 - 導電性弾性ローラ及びそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性弾性ローラ及び該導電性弾性ローラを備えた画像形成装置に関し、特に現像ローラ及び帯電ローラ等として好適で、体積固有抵抗の環境依存性が小さい弾性層を有する導電性弾性ローラに関するものである。
一般に、複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンタ(LBP)等の電子写真方式の画像形成装置においては、現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラ、給紙ローラ、クリーニングローラ、定着用の加圧ローラ等として、ロール形状の導電性弾性部材、即ち、導電性弾性ローラが多用されており、該導電性弾性ローラは、通常、長さ方向両端部を軸支されて取り付けられるシャフト部材と、該シャフト部材の半径方向外側に配設された一層以上の弾性層とを備えている。
上記導電性弾性ローラのシャフト部材には、鉄やステンレス等の金属の他、エンジニアリングプラスチック等の種々の樹脂が用いられる。一方、上記導電性弾性ローラの弾性層には、熱硬化性ウレタン樹脂等の種々の熱硬化性樹脂が用いられており、樹脂原料を所望のキャビティー形状を有するモールドに注入し加熱して、樹脂原料を加熱硬化させる等して、製造されている(下記特許文献1参照)。
特開2004−150610号公報
しかしながら、熱硬化性ウレタン樹脂等を弾性層に用いて、導電性弾性ローラを製造する場合、樹脂原料を加熱硬化させる必要があるため、大量の熱エネルギーを必要とし、また、硬化にも相当の時間を要していた。更に、加熱硬化させるために、キュアー炉等の多額の設備費用がかかるという問題もあった。
これに対して、本発明者らは、弾性層に熱硬化型樹脂ではなく、紫外線硬化型樹脂を用いた導電性弾性ローラについて検討したが、一般的なイオン導電剤を分散させた紫外線硬化型樹脂は、体積固有抵抗の環境依存性が大きいことが分った。ここで、弾性層の体積固有抵抗が環境に大きく依存するローラを画像形成装置の現像ローラ等として使用した場合、使用環境によってローラ抵抗が大きく変化し、画像不良が発生し易くなる。従って、導電性弾性ローラの弾性層は、体積固有抵抗の環境依存性が十分に小さい必要がある。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、大量の熱エネルギーを必要とせず、短時間で製造することが可能で、多額の設備費用を要せず、更には、体積固有抵抗の環境依存性が小さい弾性層を備えた導電性弾性ローラを提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる導電性弾性ローラを用いた、良好な画像を安定して形成することが可能な画像形成装置を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ウレタンアクリレートオリゴマー及び光重合開始剤と共に、イオン導電剤としてリチウム塩を含む原料組成物を紫外線照射で硬化させて弾性層を形成することで、大量の熱エネルギーを必要とせず、短時間で製造することが可能で、多額の設備費用を要せず、体積固有抵抗の環境依存性が小さい弾性層を備えた導電性弾性ローラが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の導電性弾性ローラは、シャフト部材と、該シャフト部材の半径方向外側に配設された一層以上の弾性層とを備え、
前記弾性層の少なくとも一層が、ウレタンアクリレートオリゴマー(A)、光重合開始剤(B)及びリチウム塩(C)を含む弾性層用原料を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂からなることを特徴とする。
本発明の導電性弾性ローラの好適例においては、前記弾性層用原料における前記リチウム塩(C)の含有量が0.1〜5.0質量%である。
本発明の導電性弾性ローラの他の好適例においては、前記弾性層用原料が更にアクリレートモノマー(D)を含む。ここで、該アクリレートモノマー(D)は、官能基数が1.0〜10で且つ分子量が100〜2000であることが好ましい。
本発明の導電性弾性ローラにおいて、前記紫外線硬化型樹脂に用いられる弾性層用原料は、
前記ウレタンアクリレートオリゴマー(A)と前記アクリレートモノマー(D)との質量比(A/D)が100/0〜10/90の範囲にあり、
前記ウレタンアクリレートオリゴマー(A)と前記アクリレートモノマー(D)との合計100質量部に対して、前記光重合開始剤(B)を0.2〜5.0質量部含有することが好ましい。
本発明の導電性弾性ローラの他の好適例においては、前記シャフト部材が、金属シャフト又は該金属シャフトの外側に高剛性の樹脂基材を配設したシャフトであり、
前記金属シャフトの外径が4.0〜8.0mmで、前記樹脂基材の外径が10〜25mmである。
本発明の導電性弾性ローラにおいて、前記弾性層は、体積固有抵抗が104〜1010Ωcmであることが好ましく、また、厚さが1〜3000μmであることが好ましい
本発明の導電性弾性ローラは、現像ローラ及び帯電ローラとして好適である。
また、本発明の画像形成装置は、上記の導電性弾性ローラを用いたことを特徴とする。
本発明によれば、ウレタンアクリレートオリゴマー(A)及び光重合開始剤(B)を含み、更にイオン導電剤としてリチウム塩(C)を含む弾性層用原料を紫外線照射で硬化させて、弾性層の少なくとも一層を形成することで、大量の熱エネルギーを必要とせず、短時間で製造することが可能で、多額の設備費用を要せず、体積固有抵抗の環境依存性が小さい弾性層を備えた導電性弾性ローラを提供することができる。また、かかる導電性弾性ローラを備え、良好な画像を安定して形成することが可能な画像形成装置を提供することができる。
<導電性弾性ローラ>
以下に、本発明の導電性弾性ローラを、図1を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の導電性弾性ローラの一例の断面図である。図示例の導電性弾性ローラ1は、長さ方向両端部を軸支されて取り付けられるシャフト部材2と、該シャフト部材2の半径方向外側に配設された弾性層3とを備える。なお、図1に示す導電性弾性ローラ1は、弾性層3を一層のみ有するが、本発明の導電性弾性ローラは、弾性層を二層以上有していてもよい。また、図示しないが、本発明の導電性弾性ローラは、弾性層3の半径方向外側に塗膜層を備えていてもよい。
図1において、シャフト部材2は、金属シャフト2Aと、該金属シャフト2Aの半径方向外側に配設された高剛性の樹脂基材2Bとからなるが、本発明の導電性弾性ローラのシャフト部材は、良好な導電性を有する限り特に制限はなく、金属シャフト2Aのみから構成されていてもよいし、高剛性の樹脂基材のみから構成されていてもよいし、内部を中空にくりぬいた金属製又は高剛性樹脂製の円筒体等であってもよい。なお、シャフト部材2に高剛性の樹脂を使用する場合、高剛性樹脂に導電剤を添加・分散させて、十分に導電性を確保することが好ましい。ここで、高剛性樹脂に分散させる導電剤としては、カーボンブラック粉末、グラファイト粉末、カーボンファイバー、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属粉末、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物粉末、導電性ガラス粉末等の粉末状導電剤が好ましい。これら導電剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。該導電剤の配合量は、特に制限されるものではないが、高剛性樹脂の全体に対して5〜40質量%の範囲が好ましく、5〜20質量%の範囲が更に好ましい。
上記金属シャフト2Aや金属製円筒体の材質としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられる。また、上記高剛性の樹脂基材2Bの材質としては、ポリアセタール、ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド12、ポリアミド4・6、ポリアミド6・10、ポリアミド6・12、ポリアミド11、ポリアミドMXD6、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリアセタール、ポリアミド6・6、ポリアミドMXD6、ポリアミド6・12、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネートが好ましい。これら高剛性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記シャフト部材が、金属シャフト又は該金属シャフトの外側に高剛性の樹脂基材を配設したシャフトである場合、該金属シャフトの外径は、4.0〜8.0mmの範囲が好ましい。また、上記シャフト部材が、金属シャフトの外側に高剛性の樹脂基材を配設したシャフトである場合、該樹脂基材の外径は、10〜25mmの範囲が好ましい。なお、上記シャフト部材に高剛性樹脂を使用することで、シャフト部材の外径を大きくしても、シャフト部材の質量の増加を抑制することができる。
本発明の導電性弾性ローラは、弾性層の少なくとも一層が、ウレタンアクリレートオリゴマー(A)、光重合開始剤(B)及びリチウム塩(C)を含む弾性層用原料を紫外線照射で硬化させて得られる紫外線硬化型樹脂からなる。なお、該弾性層用原料には、本発明の目的を害しない限り、種々の添加剤を配合することができる。
上記弾性層用原料に用いるウレタンアクリレートオリゴマー(A)は、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−)を1つ以上有し、ウレタン結合(−NHCOO−)を複数有する化合物である。該ウレタンアクリレートオリゴマー(A)の官能基数及び分子量等は特に制限されるものではない。該ウレタンアクリレートオリゴマー(A)は、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとからウレタンプレポリマーを合成し、該ウレタンプレポリマーに水酸基を有するアクリレートを付加させることによって製造することができる。
上記ウレタンプレポリマーの合成に用いるポリオールは、水酸基(OH基)を複数有する化合物であり、該ポリオールとして、具体的には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブタジエンポリオール、アルキレンオキサイド変性ポリブタジエンポリオール及びポリイソプレンポリオール等が挙げられる。なお、上記ポリエーテルポリオールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールに、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキサイドを付加させて得られ、また、上記ポリエステルポリオールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールと、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸等の多価カルボン酸とから得られる。これらポリオールは、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
上記ポリイソシアネートは、イソシアネート基(NCO基)を複数有する化合物であって、該ポリイソシアネートとして、具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(クルードMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)や、これらのイソシアヌレート変性物、カルボジイミド変性物、グリコール変性物等が挙げられる。これらポリイソシアネートは、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
上記ウレタンプレポリマーの合成においては、ウレタン化反応用の触媒を用いることが好ましい。該ウレタン化反応用触媒としては、ジブチルスズジラウレート,ジブチルスズジアセテート,ジブチルスズチオカルボキシレート,ジブチルスズジマレエート,ジオクチルスズチオカルボキシレート,オクテン酸スズ,モノブチルスズオキシド等の有機スズ化合物;塩化第一スズ等の無機スズ化合物;オクテン酸鉛等の有機鉛化合物;トリエチルアミン,ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類;テトラメチルエチレンジアミン,テトラメチルプロパンジアミン,テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類;ペンタメチルジエチレントリアミン,ペンタメチルジプロピレントリアミン,テトラメチルグアニジン等のトリアミン類;トリエチレンジアミン,ジメチルピペラジン,メチルエチルピペラジン,メチルモルホリン,ジメチルアミノエチルモルホリン,ジメチルイミダゾール,ピリジン等の環状アミン類;ジメチルアミノエタノール,ジメチルアミノエトキシエタノール,トリメチルアミノエチルエタノールアミン,メチルヒドロキシエチルピペラジン,ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類;ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル,エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類;p-トルエンスルホン酸,メタンスルホン酸,フルオロ硫酸等の有機スルホン酸;硫酸,リン酸,過塩素酸等の無機酸;ナトリウムアルコラート,水酸化リチウム,アルミニウムアルコラート,水酸化ナトリウム等の塩基類;テトラブチルチタネート,テトラエチルチタネート,テトライソプロピルチタネート等のチタン化合物;ビスマス化合物;四級アンモニウム塩等が挙げられる。これら触媒の中でも、有機スズ化合物が好ましい。これら触媒は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記触媒の使用量は、上記ポリオール100質量部に対して0.001〜2.0質量部の範囲が好ましい。
また、上記ウレタンプレポリマーに付加させる水酸基を有するアクリレートは、水酸基を1つ以上有し、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−)を1つ以上有する化合物である。該水酸基を有するアクリレートは、上記ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に付加することができる。該水酸基を有するアクリレートとしては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。これら水酸基を有するアクリレートは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記弾性層用原料に用いる光重合開始剤(B)は、紫外線を照射されることによって、上述したウレタンアクリレートオリゴマー(A)、更には後述するアクリレートモノマー(D)の重合を開始させる作用を有する。該光重合開始剤(B)としては、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン及び3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4,4-ジメトキシベンゾフェノン、4,4-ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4-ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジル及びベンジルメチルケタール等のベンジル誘導体、ベンゾイン及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾインイソプロピルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、キサントン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、フルオレン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1,2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(モルホリノフェニル)-ブタノン-1等が挙げられる。これら光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記弾性層用原料として用いるリチウム塩(C)は、イオン導電剤の一種であり、弾性層に導電性を付与する作用を有する。該リチウム塩は、導電性付与効果の環境依存性が小さいため、弾性層の体積固有抵抗の環境依存性を低減することができる。また、該リチウム塩は、上記ウレタンアクリレートオリゴマー(A)に溶解する上、透明性を有するため、シャフト部材上に弾性層用原料を厚く塗布しても、紫外線が十分に塗膜内部まで到達し、弾性層用原料を十分に硬化させることができる。該リチウム塩は、スルホン酸やトリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸の塩であってもよいし、過塩素酸やテトラフルオロホウ酸等の無機酸の塩であってもよい。ここで、該リチウム塩としては、Li(CF3SO2)2N、Li(C25SO2)2N、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiAsF6、LiC49SO3等が挙げられ、これらの中でも、Li(CF3SO2)2Nが好ましい。これらリチウム塩は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。上記リチウム塩は、種々の溶媒に溶解させて上記弾性層用原料に混合してもよい。ここで、該リチウム塩を溶解させる溶媒としては、本発明の目的を害しないものを使用することが好ましく、例えば、上述したウレタンアクリレートオリゴマー(A)の合成に使用されるポリオールや後述するアクリレートモノマー(D)等を使用することが好ましい。
上記弾性層用原料は、更にアクリレートモノマー(D)を含むことが好ましい。該アクリレートモノマー(D)は、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−)を1つ以上有するモノマーであり、反応性希釈剤として作用し、即ち、紫外線で硬化する上、弾性層用原料の粘度を低下させることが可能である。該アクリレートモノマー(D)は、官能基数が1.0〜10であることが好ましく、1.0〜3.5であることが更に好ましい。ここで、官能基とは、アクリロイルオキシ基をさす。アクリレートモノマー(D)の官能基数が1.0以上であれば、未反応のアクリレートモノマーが弾性層中に残留し難く、一方、10以下であれば、弾性層の硬度が高くなり過ぎることがない。
また、上記アクリレートモノマー(D)は、分子量が100〜2000であることが好ましく、100〜1000であることが更に好ましい。アクリレートモノマー(D)の分子量が100以上であれば、良好な樹脂特性を維持しながら硬度の調整や配合液の粘度調整が可能であり、
一方、2000以下であれば、圧縮残留歪が良好で粘度調整も可能である。
上記アクリレートモノマー(D)としては、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、グリシジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。これらアクリレートモノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記弾性層用原料において、ウレタンアクリレートオリゴマー(A)とアクリレートモノマー(D)との質量比(A/D)は、100/0〜10/90の範囲にあることが好ましい。ウレタンアクリレートオリゴマー(A)とアクリレートモノマー(D)との総量に占めるウレタンアクリレートオリゴマー(A)の割合を10質量%以上とすることで(即ち、アクリレートモノマー(D)の割合を90質量%以下とすることで)、導電性弾性ローラに適した低硬度で低圧縮残留歪の弾性層を得ることが可能である。
また、上記弾性層用原料における、光重合開始剤(B)の配合量は、上記ウレタンアクリレートオリゴマー(A)と上記アクリレートモノマー(D)との合計100質量部に対して、0.2〜5.0質量部の範囲が好ましい。光重合開始剤(B)の配合量が0.2質量部以下では、弾性層用原料の紫外線硬化を開始させる効果が小さく、一方、5.0質量部を超えると、紫外線硬化を開始させる効果が飽和する一方、圧縮残留歪等の物性が低下し、弾性層用原料のコストが高くなる。
更に、上記弾性層用原料における上記リチウム塩(C)の含有量は、0.1〜5.0質量%の範囲が好ましい。リチウム塩の含有量が0.1質量%未満では、弾性層の導電性が低く、導電性弾性ローラに所望の導電性を付与できないことがあり、一方、5.0質量%を超えると、弾性層の導電性が高くならず、圧縮残留歪等の物性が低下し、良好な画像が得られなくなることがある。
また、上記弾性層用原料には、更に重合禁止剤を上記ウレタンアクリレートオリゴマー(A)と上記アクリレートモノマー(D)との合計100質量部に対して0.001〜0.2質量部添加してもよい。重合禁止剤を添加することで、紫外線照射前の熱重合を防止することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ−テル、p-メトキシフェノール、2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチルヒドロキシアニソール、3-ヒドロキシチオフェノール、α-ニトロソ-β-ナフトール、p-ベンゾキノン、2,5-ジヒドロキシ-p-キノン等が挙げられる。
上記弾性層は、体積固有抵抗が104〜1010Ωcmであることが好ましい。弾性層の体積固有抵抗が104Ωcm未満であると、現像ローラとして使用した場合に、電荷が感光ドラム等にリークしたり、電圧によってローラ自身が破壊するおそれがあり、一方、1010Ωcmを超えると、地かぶりが発生しやすくなる。
上記弾性層は、厚さが1〜3000μmであることが好ましい。弾性層の厚さが1μm以上であれば、導電性弾性ローラが十分な弾性を有し、トナーへのダメージが十分に小さく、一方、3000μm以下であれば、紫外線照射において弾性層の深部まで紫外線が十分に到達し、弾性層用原料を確実に紫外線硬化させることができ、高価格の紫外線硬化樹脂原料の使用量を少なくできる。
上記弾性層は、特に限定されるものではないが、アスカーC硬度が30度〜70度であることが好ましい。ここで、該アスカーC硬度は、高さ12.7mm、直径29mmの円柱状サンプルの平面部分を測定した際の値である。また、上記弾性層は、圧縮残留歪(圧縮永久歪)が5%以下であることが好ましい。ここで、該圧縮残留歪は、JIS K 6262(1997)に準拠して測定でき、具体的には、高さ12.7mm、直径29mmの円柱状サンプルに対し、規定の熱処理条件(70℃で22時間)の下、サンプルを高さ方向に25%圧縮して求めることができる。更に、本発明の導電性弾性ローラは、印加電圧100Vでのローラ抵抗が104〜1010Ωであることが好ましい。ここで、該抵抗値は、平板又は円筒状の対極に導電性弾性ローラの外周面を所定圧力で押し当て、シャフトと対極との間に100Vの電圧を印加し、その際の電流値から求めることができる。
本発明の導電性弾性ローラは、シャフト部材の外表面に上記弾性層用原料を塗布した後、紫外線照射することで作製できる。そのため、本発明の導電性弾性ローラは、弾性層の作製に大量の熱エネルギーを必要とせず、短時間で弾性層を作製することが可能である。また、弾性層の形成に、キュアー炉等が不要であるため、多額の設備費用を必要としない。なお、弾性層用原料をシャフト部材の外表面に塗布する方法としては、スプレー法、ロールコーター法、ディッピング法、ダイコート法等が挙げられる。また、紫外線照射に用いる光源としては、水銀灯、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられる。紫外線照射の条件は、弾性層用原料に含まれる成分、組成及び塗布量等に応じて適宜選択され、照射強度や積算光量等を適宜調整すればよい。
上述したの本発明の導電性弾性ローラは、画像形成装置の現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラ、給紙ローラ、クリーニングローラ、定着用の加圧ローラ等として用いることができるが、現像ローラ及び帯電ローラとして特に好適である。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、上述した導電性弾性ローラを備えることを特徴とし、現像ローラ及び帯電ローラの少なくとも一方として備えることが好ましい。本発明の画像形成装置は、上記導電性弾性ローラを用いる以外、特に制限はなく、公知の方法で製造することができる。
以下に、図2を参照して本発明の画像形成装置を詳細に説明する。図2は、本発明の画像形成装置の一例の部分断面図である。図示例の画像形成装置は、静電潜像を保持した感光ドラム4と、感光ドラム4の近傍(図では上方)に位置し感光ドラム4を帯電させるための帯電ローラ5と、トナー6を供給するためのトナー供給ローラ7と、トナー供給ローラ7と感光ドラム4との間に配置された現像ローラ8と、現像ローラ8の近傍(図では上方)に設けられた成層ブレード9と、感光ドラム4の近傍(図では下方)に位置する転写ローラ10と、感光ドラム4に隣接して配置されたクリーニングローラ11とを備える。なお、本発明の画像形成装置は、更に画層形成装置に通常用いられる公知の部品(図示せず)を備えることができる。
図示例の画像形成装置においては、感光ドラム4に帯電ローラ5を当接させて、感光ドラム4と帯電ローラ5との間に電圧を印加して、感光ドラム4を一定電位に帯電させた後、露光機(図示せず)により静電潜像を感光ドラム4上に形成する。次に、感光ドラム4と、トナー供給ローラ7と、現像ローラ8とが、図中の矢印方向に回転することで、トナー供給ローラ7上のトナー6が現像ローラ8を経て感光ドラム4に送られる。現像ローラ8上のトナー6は、成層ブレード9により、均一な薄層に整えられ、現像ローラ8と感光ドラム4とが接触しながら回転することにより、トナー6が現像ローラ8から感光ドラム4の静電潜像に付着し、該潜像が可視化する。潜像に付着したトナー6は、転写ローラ10で紙等の記録媒体に転写され、また、転写後に感光ドラム4上に残留するトナー6は、クリーニングローラ11によって除去される。ここで、本発明の画像形成装置においては、帯電ローラ5、トナー供給ローラ7、現像ローラ8、転写ローラ10及びクリーニングローラ11の少なくともいずれかに、好ましくは、帯電ローラ5及び現像ローラ8の少なくとも一方に、上述した本発明の導電性弾性ローラを用いることで、優れた画像を安定的に形成することが可能となる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
ウレタンアクリレートオリゴマー“UA−340P[新中村化学工業(株)製]”80.0質量部、共栄社化学(株)製のアクリレートモノマー“ライトアクリレートMTG−A”20.0質量部、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の光重合開始剤“イルガキュアー184D”0.5質量部、三光化学工業(株)製のイオン導電剤“サンコノール(登録商標)PEO−20R(ポリアルキレンオキシドポリオール80質量%とLi(CF3SO2)2N 20質量%との混合物)”2.0質量部を撹拌機にて、液温70℃、60回転/分で1時間撹拌混合し、混合液を濾過して、UV硬化樹脂原料を得た。
上記UV硬化樹脂原料を2.0mmのスペーサーを配置した2枚の石英ガラス板の間に挟み2.0mmのシートサンプルを作製した。必要あればUV照射面と反対側の石英ガラスがUV硬化樹脂と接する部分にPTFEシートを挟むことにより、シートサンプルを容易に剥がすことができる。このようにして得たサンプルを20℃、50%RH(NN条件)で2日間放置後、JISのBOX型抵抗測定箱にセットし、アドバンテスト製抵抗測定器にて印加電圧100Vで抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は1.31×107Ωcm(107.12Ωcm)であった。同様に12℃、10%RH(LL条件)で2日間放置後、抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は3.99×107Ωcm(107.60Ωcm)であった。さらに32.5℃、85%RH(HH条件)で2日間放置後、同様に抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は3.27×106Ωcm(106.51Ωcm)であった。LL条件とHH条件の体積固有抵抗の差は対数値から1.09乗であった。
次に、外径6.0mmの金属シャフトを挿入した外径17.0mmのポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂製導電性ローラ基材に上記UV硬化樹脂原料をダイコーターにより厚さ1500μmで塗布し、塗布しながらスポットUV照射により樹脂原料を硬化させた。このようにして形成したUV硬化樹脂製弾性層付ローラを、さらに窒素雰囲気下で回転させながらUV照射強度700mW/cm2で5秒間UV照射した。
このようにして得たUV硬化樹脂製弾性層付ローラの表面に、弾性層より高硬度の微粒子を含むUV硬化樹脂原料をロールコーターにて塗布し、UV照射して、表面にUV塗膜を有するローラ外径20.0mmで低硬度のUV樹脂製ローラを得た。このローラを現像ローラとして電子写真装置に組み込み、NN条件、LL条件、HH条件でそれぞれ2日間放置後、グレー色の画像を印刷したところ各条件で良好な画像を得ることができた。
(実施例2)
ウレタンアクリレートオリゴマー“UA−340P[新中村化学工業(株)製]”80.0質量部、共栄社化学(株)製のアクリレートモノマー“ライトアクリレートMTG−A”20.0質量部、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の光重合開始剤“イルガキュアー184D”0.5質量部、三光化学工業(株)製のイオン導電剤“サンコノール(登録商標)PETA−20R(ペンタエリスリトールトリアクリレート80質量%とLi(CF3SO2)2N 20質量%との混合物)”2.0質量部を撹拌機にて、液温70℃、60回転/分で1時間撹拌混合し、混合液を濾過して、UV硬化樹脂原料を得た。
上記UV硬化樹脂原料を2.0mmのスペーサーを配置した2枚の石英ガラス板の間に挟み2.0mmのシートサンプルを作製した。必要あればUV照射面と反対側の石英ガラスがUV硬化樹脂と接する部分にPTFEシートを挟むことにより、シートサンプルを容易に剥がすことができる。このようにして得たサンプルを20℃、50%RH(NN条件)で2日間放置後、JISのBOX型抵抗測定箱にセットし、アドバンテスト製抵抗測定器にて印加電圧100Vで抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は1.34×107Ωcm(107.13Ωcm)であった。同様に12℃、10%RH(LL条件)で2日間放置後、抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は4.03×107Ωcm(107.61Ωcm)であった。さらに32.5℃、85%RH(HH条件)で2日間放置後、同様に抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は3.58×106Ωcm(106.55Ωcm)であった。LL条件とHH条件の体積固有抵抗の差は対数値から1.06乗であった。
次に、外径6.0mmの金属シャフトを挿入した外径17.0mmのPBT樹脂製導電性ローラ基材に上記UV硬化樹脂原料をダイコーターにより厚さ1500μmで塗布し、塗布しながらスポットUV照射により樹脂原料を硬化させた。このようにして形成したUV硬化樹脂製弾性層付ローラを、さらに窒素雰囲気下で回転させながらUV照射強度700mW/cm2で5秒間UV照射した。
このようにして得たUV硬化樹脂製弾性層付ローラの表面に、弾性層より高硬度の微粒子を含むUV硬化樹脂原料をロールコーターにて塗布し、UV照射して、表面にUV塗膜を有するローラ外径20.0mmで低硬度のUV樹脂製ローラを得た。このローラを現像ローラとして電子写真装置に組み込み、NN条件、LL条件、HH条件でそれぞれ2日間放置後、白ベタ、黒ベタ、グレースケールの画像を印刷したところ各条件で良好な画像を得ることができた。
(比較例1)
ウレタンアクリレートオリゴマー“UA−340P[新中村化学工業(株)製]”80.0質量部、共栄社化学(株)製のアクリレートモノマー“ライトアクリレートMTG−A”20.0質量部、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の光重合開始剤“イルガキュアー184D”0.5質量部、昭島化学工業(株)製のイオン導電剤“MP−100(過塩素酸ナトリウムポリオール錯塩60〜80%とポリオール20〜40%との混合物)”2.6質量部を撹拌機にて、液温70℃、60回転/分で1時間撹拌混合し、混合液を濾過して、UV硬化樹脂原料を得た。
上記UV硬化樹脂原料を2.0mmのスペーサーを配置した2枚の石英ガラス板の間に挟み2.0mmのシートサンプルを作製した。必要あればUV照射面と反対側の石英ガラスがUV硬化樹脂と接する部分にPTFEシートを挟むことにより、シートサンプルを容易に剥がすことができる。このようにして得たサンプルを20℃、50%RH(NN条件)で2日間放置後、JISのBOX型抵抗測定箱にセットし、アドバンテスト製抵抗測定器にて印加電圧100Vで抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は2.96×106Ωcm(106.47Ωcm)であった。同様に12℃、10%RH(LL条件)で2日間放置後、抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は3.14×107Ωcm(107.50Ωcm)であった。さらに32.5℃、85%RH(HH条件)で2日間放置後、同様に抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は7.25×105Ωcm(105.86Ωcm)であった。LL条件とHH条件の体積固有抵抗の差は対数値から1.64乗であった。
次に、外径6.0mmの金属シャフトを挿入した外径17.0mmのPBT樹脂製導電性ローラ基材に上記UV硬化樹脂原料をダイコーターにより厚さ1500μmで塗布し、塗布しながらスポットUV照射により樹脂原料を硬化させた。このようにして形成したUV硬化樹脂製弾性層付ローラを、さらに窒素雰囲気下で回転させながらUV照射強度700mW/cm2で5秒間UV照射した。
このようにして得たUV硬化樹脂製弾性層付ローラの表面に、弾性層より高硬度の徹粒子を含むUV硬化樹脂原料をロールコーターにて塗布し、UV照射して、表面にUV塗膜を有するローラ外径20.0mmで低硬度のUV樹脂製ローラを得た。このローラを現像ローラとして電子写真装置に組み込み、NN条件、LL条件、HH条件でそれぞれ2日間放置後、グレー色の画像を印刷したところNN条件、LL条件は良好な画像が得られたが、HH条件では画像濃度が低く、色むらが発生した。
(比較例2)
ウレタンアクリレートオリゴマー“UA−340P[新中村化学工業(株)製]”80.0質量部、共栄社化学(株)製のアクリレートモノマー“ライトアクリレートMTG−A”20.0質量部、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の光重合開始剤“イルガキュアー184D”0.5質量部、花王(株)製のイオン導電剤“KS555(第4級アンモニウム塩・過塩素酸塩、RNCH3(CH2CH2OH)2・ClO4)”2.6質量部を撹拌機にて、液温70℃、60回転/分で1時間撹拌混合し、混合液を濾過して、UV硬化樹脂原料を得た。
上記UV硬化樹脂原料を2.0mmのスペーサーを配置した2枚の石英ガラス板の間に挟み2.0mmのシートサンプルを作製した。必要あればUV照射面と反対側の石英ガラスがUV硬化樹脂と接する部分にPTFEシートを挟むことにより、シートサンプルを容易に剥がすことができる。このようにして得たサンプルを20℃、50%RH(NN条件)で2日間放置後、JISのBOX型抵抗測定箱にセットし、アドバンテスト製抵抗測定器にて印加電圧100Vで抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は2.14×107Ωcm(107.33Ωcm)であった。同様に12℃、10%RH(LL条件)で2日間放置後、抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は1.87×108Ωcm(108.27Ωcm)であった。さらに32.5℃、85%RH(HH条件)で2日間放置後、同様に抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は2.00×106Ωcm(106.30Ωcm)であった。LL条件とHH条件の体積固有抵抗の差は対数値から1.97乗であった。
次に、外径6.0mmの金属シャフトを挿入した外径17.0mmのPBT樹脂製導電性ローラ基材に上記UV硬化樹脂原料をダイコーターにより厚さ1500μmで塗布し、塗布しながらスポットUV照射により樹脂原料を硬化させた。このようにして形成したUV硬化樹脂製弾性層付ローラを、さらに窒素雰囲気下で回転させながらUV照射強度700mW/cm2で5秒間UV照射した。
このようにして得たUV硬化樹脂製弾性層付ローラの表面に、弾性層より高硬度の徹粒子を含むUV硬化樹脂原料をロールコーターにて塗布し、UV照射して、表面にUV塗膜を有するローラ外径20.0mmで低硬度のUV樹脂製ローラを得た。このローラを現像ローラとして電子写真装置に組み込み、NN条件、LL条件、HH条件でそれぞれ2日間放置後、グレー色の画像を印刷したところNN条件、HH条件は良好な画像が得られたが、LL条件では画像濃度が低く、色むらが発生した。
(比較例3)
ポリエーテルポリオール“エクセノール851[旭硝子(株)製]”100.0質量部、ジブチルスズジラウレート0.002質量部、及びイオン導電剤“MP−100[昭島化学工業(株)製]”2.8質量部を撹拌機にて液温25℃、60回転/分で10分間撹拌混合し、得られた混合液をA液とした。また、イソシアネート“スミジュールPF[住化バイエルウレタン(株)]”をB液とした。上記A液102.802質量部と上記B液8.5質量部を撹拌混合しウレタン樹脂原料を得た。
上記ウレタン樹脂原料を撹拌混合した直後に2.0×100×100mmのキャビティーを有する蓋付きのアルミニウム製モールドに注入して、100℃で1時間加熱硬化させ、厚さ2.0mmのシートサンプルを作製した。このサンプルを20℃、50%RH(NN条件)で2日間放置後、JISのBOX型抵抗測定箱にセットし、アドバンテスト製抵抗測定器にて印加電圧100Vで抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は2.82×107Ωcm(107.45Ωcm)であった。同様に12℃、10%RH(LL条件)で2日間放置後、抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は2.89×108Ωcm(108.46Ωcm)であった。さらに32.5℃、85%RH(HH条件)で2日間放置後、同様に抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は5.01×106Ωcm(106.70Ωcm)であった。LL条件とHH条件の体積固有抵抗の差は対数値から1.76乗であった。
次に、外径6.0mmの金属シャフトを挿入した外径17.0mmのPBT樹脂製導電性ローラ基材を、内径20.0mmのパイプ状金型に金属シャフト固定用キャップを介してセットし、上記ウレタン樹脂原料を加圧注入し、100℃で1時間加熱硬化させた後、金型より取り出した。
このようにして得たウレタン樹脂製弾性層付ローラの表面に弾性層より高硬度の微粒子を含むUV硬化樹脂原料をロールコーターにて塗布し、UV照射して、表面にUV塗膜を有するローラ外径20.0mmの低硬度ローラを得た。このローラを現像ローラとして電子写真装置に組み込み、NN条件、LL条件、HH条件でそれぞれ2日間放置後、グレー色の画像を印刷したところ、NN条件、HH条件では良好な画像が得られたが、LL条件では画像濃度が低く、色むらが発生した。
(比較例4)
ポリエーテルポリオール“エクセノール851[旭硝子(株)製]”100.0質量部、ジブチルスズジラウレート0.002質量部、及びイオン導電剤“KS555[花王(株)製]”2.8質量部を撹拌機にて液温25℃、60回転/分で10分間撹拌混合し、得られた混合液をA液とした。また、イソシアネート“スミジュールPF[住化バイエルウレタン(株)]”をB液とした。上記A液102.802質量部と上記B液8.5質量部を撹拌混合しウレタン樹脂原料を得た。
上記ウレタン樹脂原料を撹拌混合した直後に2.0×100×100mmのキャビティーを有する蓋付きのアルミニウム製モールドに注入して、100℃で1時間加熱硬化させ、厚さ2.0mmのシートサンプルを作製した。このサンプルを20℃、50%RH(NN条件)で2日間放置後、JISのBOX型抵抗測定箱にセットし、アドバンテスト製抵抗測定器にて印加電圧100Vで抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は2.04×108Ωcm(108.31Ωcm)であった。同様に12℃、10%RH(LL条件)で2日間放置後、抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は1.81×109Ωcm(109.26Ωcm)であった。さらに32.5℃、85%RH(HH条件)で2日間放置後、同様に抵抗を測定したところ、体積固有抵抗は1.87×107Ωcm(107.27Ωcm)であった。LL条件とHH条件の体積固有抵抗の差は対数値から1.99乗であった。
次に、外径6.0mmの金属シャフトを挿入した外径17.0mmのPBT樹脂製導電性ローラ基材を、内径20.0mmのパイプ状金型に金属シャフト固定用キャップを介してセットし、上記ウレタン樹脂原料を加圧注入し、100℃で1時間加熱硬化させた後、金型より取り出した。
このようにして得たウレタン樹脂製弾性層付ローラの表面に弾性層より高硬度の微粒子を含むUV硬化樹脂原料をロールコーターにて塗布し、UV照射して、表面にUV塗膜を有するローラ外径20.0mmの低硬度ローラを得た。このローラを現像ローラとして電子写真装置に組み込み、NN条件、LL条件、HH条件でそれぞれ2日間放置後、グレー色の画像を印刷したところ、HH条件では良好な画像が得られたが、NN条件、LL条件では画像濃度が低く、色むらが発生した。
Figure 0004925676
Figure 0004925676
実施例1及び2から、ウレタンアクリレートオリゴマー(A)と光重合開始剤(B)とを含み、更にイオン導電剤としてリチウム塩(C)を含む弾性層用原料を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂からなる弾性層を備えた導電性弾性ローラは、弾性層の体積固有抵抗の環境依存性が小さいことがわかる。
一方、比較例1〜4の結果から、リチウム塩(C)の以外のイオン導電剤を用いると、弾性層の体積固有抵抗の環境依存性が著し高くなることが分る。
本発明の導電性弾性ローラの一例の断面図である。 本発明の画像形成装置の一例の部分断面図である。
符号の説明
1 導電性弾性ローラ
2 シャフト部材
2A 金属シャフト
2B 高剛性樹脂基材
3 弾性層
4 感光ドラム
5 帯電ローラ
6 トナー
7 トナー供給ローラ
8 現像ローラ
9 成層ブレード
10 転写ローラ
11 クリーニングローラ

Claims (10)

  1. シャフト部材と、該シャフト部材の半径方向外側に配設された一層以上の弾性層とを備える導電性弾性ローラにおいて、
    前記弾性層の少なくとも一層が、ウレタンアクリレートオリゴマー(A)、光重合開始剤(B)及びリチウム塩(C)を含む弾性層用原料を紫外線照射で硬化させた紫外線硬化型樹脂からなることを特徴とする導電性弾性ローラ。
  2. 前記弾性層用原料における前記リチウム塩の含有量が0.1〜5.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の導電性弾性ローラ。
  3. 前記弾性層用原料が更にアクリレートモノマー(D)を含むことを特徴とする請求項1に記載の導電性弾性ローラ。
  4. 前記アクリレートモノマー(D)は、官能基数が1.0〜10で且つ分子量が100〜2,000であることを特徴とする請求項3に記載の導電性弾性ローラ。
  5. 前記紫外線硬化型樹脂に用いられる弾性層用原料は、
    前記ウレタンアクリレートオリゴマー(A)と前記アクリレートモノマー(D)との質量比(A/D)が100/0〜10/90の範囲にあり、
    前記ウレタンアクリレートオリゴマー(A)と前記アクリレートモノマー(D)との合計100質量部に対して、前記光重合開始剤(B)を0.2〜5.0質量部含有することを特徴とする請求項1又は3に記載の導電性弾性ローラ。
  6. 前記弾性層は、体積固有抵抗が104〜1010Ωcmであることを特徴とする請求項1に記載の導電性弾性ローラ。
  7. 前記シャフト部材が、金属シャフト又は該金属シャフトの外側に高剛性の樹脂基材を配設したシャフトであり、
    前記金属シャフトの外径が4.0〜8.0mmで、前記樹脂基材の外径が10〜25mmであることを特徴とする請求項1に記載の導電性弾性ローラ。
  8. 前記弾性層の厚さが1〜3000μmであることを特徴とする請求項1に記載の導電性弾性ローラ。
  9. 現像ローラ又は帯電ローラであることを特徴とする請求項1に記載の導電性弾性ローラ。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の導電性弾性ローラを用いた画像形成装置。
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