JP7518713B2 - ベントピース - Google Patents
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Description
本開示は、タイヤ加硫金型に装着されるベントピースに関する。
空気入りタイヤの加硫に用いる金型には、エアを逃がすために、タイヤに接する成形面にベントホールが形成される。ベントホールへのゴムの流入を阻止するために、ベントホールには、ベントホールを開閉するためのベントピースが取り付けられる。ベントピースは、ハウジングと、ハウジング内に配置される弁体としてのステムと、ステムを押し出すコイルバネと、を有する(特許文献1,2参照)。
ところが、ステムとハウジングの間に侵入したゴムの残渣によって、ステムが閉じたまま動かず、ベントホールが閉じた状態になる場合がある。ステムの固着を解消するために、超音波振動器をステムに接触させてステムを振動させて詰まりを除去することが行われている。
本開示は、ステムの固着が解消されやすくなるベントピースを提供する。
本開示のベントピースは、排気路を内部に有する筒状のハウジングと、前記ハウジングの前記排気路に挿入され、前記排気路を開閉するステムと、前記排気路を開放する方向に前記ステムを付勢するコイルバネと、を備え、前記ステムが、前記コイルバネに挿入される柱状の胴体と、前記排気路を開閉するヘッドと、を有し、前記ヘッドは、ヘッド軸に直交する断面形状が円形であり、前記胴体は、少なくとも2つの偏心部を有する。
<第1実施形態>
図1に示すように、タイヤ加硫用金型1は、タイヤに接する成形面10と、成形面10に形成されたベントホール11と、を有する。ベントホール11は、金型1の内部から外部に向かう貫通孔である。タイヤ加硫成型時に、金型1の成形面10とタイヤとの間に溜まった空気が、ベントホール11を介して金型1の外部に排出される。ベントホール11は、ベントピース2が装着可能であればその形状は限定されない。
図1に示すように、タイヤ加硫用金型1は、タイヤに接する成形面10と、成形面10に形成されたベントホール11と、を有する。ベントホール11は、金型1の内部から外部に向かう貫通孔である。タイヤ加硫成型時に、金型1の成形面10とタイヤとの間に溜まった空気が、ベントホール11を介して金型1の外部に排出される。ベントホール11は、ベントピース2が装着可能であればその形状は限定されない。
図1に示すように、ベントホール11には、ベントホール11を開閉するためのベントピース2が装着される。ベントピース2は、ハウジング3と、ステム4と、コイルバネ5と、を有する。ハウジング3は、ベントホール11に装着され且つ排気路30を内部に有する。ステム4は、ハウジング3の排気路30に挿入され且つ排気路30を開閉する弁体となる。コイルバネ5は、排気路30を開放する方向にステム4を付勢する付勢部材である。ステム4は、コイルバネ5が挿入される柱状の胴体40と、ハウジング3の内面に接触して排気路30を開閉するヘッド41と、を有する。ヘッド41は、胴体40よりも外径が大きい。ヘッド41は、ハウジング3に対するステム4の回転を許容するために、ヘッド軸CLに直交する断面形状が円形である。ヘッド41は、ヘッド軸CLを対称軸とする線対称に形成されている。ヘッド41のヘッド軸CLに直交する断面形状は、ヘッド軸CLを中心とする点対称の形状である。
本明細書において、ヘッド軸CLに平行な方向であるヘッド軸方向ADに沿って、金型内側(ステム4のヘッド41側)を第1側AD1とし、金型外側(ステム4のヘッド41から遠い側)を第2側AD2と表記する。ハウジング3の第2側AD2の端部には、筒部の内径が狭く変化する第1バネ止め部31が形成されている。第1バネ止め部31の内径は、コイルバネ5の外径よりも小さく、そのため、コイルバネ5の引っかかりとなる。胴体40は、抜け止め部40aと、第2バネ止め部40bと、を有する。抜け止め部40aは、ハウジング3の第2側AD2の端の内径よりも大きい外径を有し、ステム4がハウジング3から抜けることを抑制する。第2バネ止め部40bは、抜け止め部40aとヘッド41との間に位置しており、コイルバネ5の内径よりも大きい外径を有し、コイルバネ5の引っかかりとなる。図示しないが、ハウジング3の第2側AD2の端から第1側AD1に向けて、ヘッド軸CLに平行なスリットが設けられている。このスリットによって、ステム4をハウジング3に装着する際に、ハウジング3の第2側AD2の端部が変形することが許容され、ステム4の抜け止め部40aが第1バネ止め部31を超えて、抜け止め部40aと第1バネ止め部31とが嵌り合い関係になる。
ステムの固着を解消するために、振動器をステムに当ててステムを振動させることが考えられる。その際、はじめは、振動器の周波数を低く設定することが考えられるが、ステムの固着が解消されない場合には、振動器の周波数を高くする必要がある。振動器の周波数が高くなるほど、操作が難しく、金型を傷つけるおそれがあり、作業が難しくなる。そこで、次の構成を採用している。
図2は、ステム4を示す側面図である。図3は、図2におけるA1-A1部位を示す断面図である。図4は、図2におけるA2-A2部位を示す断面図である。図5は、図2におけるA3-A3部位を示す断面図である。図6は、図2におけるA4-A4部位を示す断面図である。図2に示すように、胴体40は、少なくとも2つの偏心部43a,43b,43cを有する。図2に示すように、胴体40が、少なくとも1つの同心部42a,42b,42cを有してもよい。図3に示すように、各同心部42c,42cは、それぞれ共通のヘッド軸CLを中心に線対称に形成され、ヘッド軸CLに直交する断面における重心がヘッド軸CL上に位置する。
図2の例では、胴体40に3つの偏心部43a,43b,43cが設けられているが、胴体40に2つ以上の偏心部があれば、偏心部の数を適宜変更可能である。偏心部43a,43b,43cは、図4~6に示すように、同心部42cの外周面40c(円形)と同じ径の外周面40cを有し、円形の外周面40cよりも凹む凹部44を有する。凹部44によってヘッド軸CLに直交する断面形状がヘッド軸CLを中心とする線対称形状ではなく、それゆえ、ヘッド軸CLと異なる位置に重心g1,g2,g3が位置する。凹部44の径方向の寸法D1は、胴体40における抜け止め部40aと第2バネ止め部40bとの間の円柱部位(同心部42c)の外径R1の25%以下であることが好ましい。D1>R1×25%であると、胴体40の耐久性が損なわれるためである。円柱部位(同心部42c)の外径R1は、コイルバネ5の内径よりも小さい。
このように、偏心部43a,43b,43cそれぞれの重心g1,g2,g3が、ヘッド軸CLから異なる位置にずれているので、ヘッド41に振動器で振動を与えた場合に、偏心部よってステム4に回転モーメントが発生しやすくなる。
図2に示すように、少なくとも2つの偏心部43a,43b,43cは、互いにヘッド軸方向ADに重なっていない。または、各偏心部43a,43b,43cのヘッド軸CLに直交する断面形状は、ヘッド軸方向ADの所定長さ(L2)分連続して同一である。これは、ステム4の胴体40に螺旋状凹部又は螺旋状突起が形成され重心の変動が緩やかである構成を除くためであり、各偏心部による重心の変動を急激に変えるためである。
図2に示す例では、各偏心部43a,43b,43cが、互いにヘッド軸方向ADに離れており、偏心部43a,43b,43cの間に同心部42cが配置されている。同心部42cの重心がヘッド軸CL上にある。これにより、重心がヘッド軸CLから偏心していることによるステム4の揺れを大きくすることが可能となる。勿論、これに限定されない。例えば、図8に示す変形例のように、偏心部43a,43b,43cが、互いにヘッド軸方向ADに重ならないが、ステム4の剛性が確保できれば、偏心部43a,43b,43cが互いにヘッド軸方向ADに隣接していてもよい。すなわち各偏心部43a,43b,43cの間に同心部42cが存在しないようにしてもよい。
図2に示すように、偏心部43a,43b,43cのヘッド軸方向ADの寸法L2は、ヘッド軸方向ADの寸法L1の20%以上であることが好ましい。偏心による回転モーメントを発生させる効果を適切に発揮させるためである。
図2に示すように、各々の偏心部43a,43b,43cの間に同心部42cが存在する場合には、当該同心部42cのヘッド軸方向ADの寸法L3は、ヘッド軸方向ADの寸法L1の10%以上であることが好ましい。ステムの剛性を確保するためである。また、L3<L2であることが好ましい。偏心部43a,43b,43cが離れすぎると回転モーメントが伝わりにくくなるからである。
図2に示す実施例は、各々の偏心部43a,43b,43cの重心g1,g2,g3を、ヘッド軸CLに直交する投影面に向けてヘッド軸CLに平行に投影した場合に、図7に示すように、投影面において各重心g1,g2,g3を結ぶ線がヘッド軸CLを通らない。これにより、投影面において各重心g1,g2,g3を結ぶ線がヘッド軸CLを通る構成(図10参照)に比べて、回転モーメントを発生させやすくなる。また、3つの偏心部43a,43b,43cの重心g1,g2,g3は、互いに120度ずつずれている。勿論、各重心の投影面における角度は、ランダムな角度でもよいし、一定角度でもよい。
<変形例>
(1)図2に示す例では、偏心部43a,43b,43cの間に同心部42cが配置されているが、これに限定されない。例えば、図8に示す第1変形例のように、偏心部43a,43b,43cが、互いにヘッド軸方向ADに重ならないが、偏心部43a,43b,43cが互いにヘッド軸方向ADに隣接していてもよい。すなわち各偏心部43a,43b,43cの間に同心部42cが存在しない、としてもよい。なお、図8における断面部位A1、A2,A3は、同一符号部分は第1実施形態と同じ符号を付して図示を省略する。
(1)図2に示す例では、偏心部43a,43b,43cの間に同心部42cが配置されているが、これに限定されない。例えば、図8に示す第1変形例のように、偏心部43a,43b,43cが、互いにヘッド軸方向ADに重ならないが、偏心部43a,43b,43cが互いにヘッド軸方向ADに隣接していてもよい。すなわち各偏心部43a,43b,43cの間に同心部42cが存在しない、としてもよい。なお、図8における断面部位A1、A2,A3は、同一符号部分は第1実施形態と同じ符号を付して図示を省略する。
(2)図9及び図10に示す第2変形例のように、胴体40が2つの偏心部43a,43dを有するようにしてもよい。図9は、ステム4の側面図である。図10は、図9におけるA5-A5部位を示す断面図であり、第1偏心部43aの重心g1を投影して示す。図10に示すように第1偏心部43aの重心g1と、第2偏心部43dの重心g4とをヘッド軸CLに直交する投影面に投影した場合に、投影面において重心g1と重心g4を結ぶ線が、ヘッド軸CLを通っている。
(3)図1~図10の例では、偏心部を形成するために凹部を設けているが、凹部ではなく、突部を設けてもよい。突部を設ける場合には、突部の外径は、コイルバネ5の内径よりも小さいことが好ましい。
(4)偏心部を形成するために凹部と突部の両方を設けるとしてもよい。凹部と突部の両方を設けると、投影面において偏心部の重心をヘッド軸CLからより離すことができ、回転モーメントの発生しやすさを向上させることが可能となる。
(4)偏心部を形成するために凹部と突部の両方を設けるとしてもよい。凹部と突部の両方を設けると、投影面において偏心部の重心をヘッド軸CLからより離すことができ、回転モーメントの発生しやすさを向上させることが可能となる。
以上、本実施形態のベントピースのように、排気路30を内部に有する筒状のハウジング3と、ハウジング3に挿入されるステム4と、排気路30を開放する方向にステム4を付勢するコイルバネ5(付勢部材)と、を備え、ステム4が、柱状の胴体40と、排気路30を開閉するヘッド41と、を有し、ヘッド41は、ヘッド軸CLに直交する断面形状が円形であり、胴体40は、少なくとも2つの偏心部(43a,43b,43c;43a,43d)を有し、偏心部それぞれは、凹部44及び突部の少なくともいずれかを有する。
ヘッド41が、ヘッド軸CLに直交する断面形状が円形に形成されているので、ステム4が回転可能になる。ステム4の胴体40に少なくとも2つの偏心部(43a,43b,43c;43a,43d)が設けられ、偏心部の重心(g1,g2,g3,g4)はヘッド軸CLから偏心しているので、振動器でステム4に振動を加えたときに、ステム4に回転モーメントが発生し、ステム4の固着が解消されやすくなる。
特に限定されないが、本実施形態のように、ヘッド軸CLに直交する断面形状における重心(g1,g2,g3,g4)がヘッド軸CLと異なる位置に位置し、ヘッド軸CLに直交する断面において少なくとも2つの偏心部(43a,43b,43c;43a,43d)の各重心(g1,g2,g3,g4)は互いに位置が異なる、としてもよい。
特に限定されないが、本実施形態のように、偏心部(43a,43b,43c;43a,43d)それぞれのヘッド軸CLに直交する断面形状は、ヘッド軸方向ADの所定長さ分連続して同一である、としてもよい。このように、偏心部(43a,43b,43c;43a,43d)それぞれのヘッド軸CLに直交する断面形状が、ヘッド軸方向ADの所定長さ分連続して同一であるので、ステム4のヘッド41から胴体40の先端に向かって、重心の位置が所定長さ継続した後で、重心が急激に変わることになり、回転モーメントを効果的に発生させやすくなり、ステム4の固着が解消されやすくなる。
特に限定されないが、図2及び図9のいずれかに示す実施形態のように、少なくとも2つの偏心部(43a,43b,43c;43a,43d)は、互いにヘッド軸方向ADに離れている、としてもよい。
この構成によれば、偏心部が互いにヘッド軸方向ADに隣接している場合に比べて、重心の偏りによるステム4の振れが大きくなるので、より大きな回転モーメントを発生させ、ステム4の固着が解消されやすくなる。
特に限定されないが、図2に示す実施形態のように、前記少なくとも2つの偏心部(43a,43b,43c)のヘッド軸方向ADの離間距離L3は、凹部44及び突部の少なくともいずれかのヘッド軸方向ADの寸法L2よりも小さい、としてもよい。
少なくとも2つの偏心部が、ヘッド軸方向ADに離れすぎると、回転モーメントが伝わりにくくなる。よって、上記構成によれば、少なくとも2つの偏心部をヘッド軸方向ADの適度な距離に配置して、適切に回転モーメントを発生させ、より一層ステム4の固着が解消されやすくなる。
特に限定されないが、図7に示す実施形態のように、少なくとも2つの偏心部(43a,43b,43c)の重心(g1,g2,g3)は、ヘッド軸CLに直交する投影面に投影した場合に、投影面において各重心(重心g1,g2,g3)を結ぶ線がヘッド軸CLを通らない、としてもよい。
図10に示すように、投影面において重心g1,g4を結ぶ線がヘッド軸CLを通る状態であると、重心g1,g4が軸CLを挟んで反対側にあり、回転モーメントが伝わりにくい。これに対して、各重心(g1,g2,g3)を結ぶ線がヘッド軸CLを通らなければ、各重心を結ぶ線がヘッド軸CLを通る構成に比べて、回転モーメントを伝えやすくなり、より一層ステム4の固着が解消されやすくなる。
特に限定されないが、図2~図7に示す実施形態のように、偏心部は、3つあり、3つの偏心部(43a,43b,43c)は、それぞれ凹部及び突部のうち前記凹部44のみを有し、3つの偏心部(43a,43b,43c)の重心(g1,g2,g3)は、ヘッド軸CLに直交する投影面において互いに120度ずつずれている、としてもよい。
偏心部を凹部のみで形成すると、小さな部品であるステムを製造しやすく、また、偏心部が突起で構成される場合に比べて、コイルバネ5が突起に引っ掛かることを抑制できる。また、ステム4の一般的なサイズにおいて、偏心部が3つであることが、耐久性および回転モーメントを発生させる好ましい数である。
以上、本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
(1)例えば、本実施形態では、付勢部材はコイルバネ5であるが、これに限定されない。例えば、板バネでもよく形状は限定されない。また、コイルバネ5は金属製であるが、他の材料で形成されていてもよい。
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
3…ハウジング、30…排気路、4…ステム、40…胴体、41…ヘッド、43a,43b,43c,43d…偏心部、44…凹部、5…コイルバネ(付勢部材)、CL…ヘッド軸、g1,g2,g3,g4…重心。
Claims (2)
- 排気路を内部に有する筒状のハウジングと、
前記ハウジングの前記排気路に挿入されるステムと、
前記排気路を開放する方向に前記ステムを付勢する付勢部材と、を備え、
前記ステムが、柱状の胴体と、前記排気路を開閉するヘッドと、を有し、
前記ヘッドは、ヘッド軸に直交する断面形状が円形であり、
前記胴体は、少なくとも2つの偏心部を有し、
前記偏心部それぞれは、凹部及び突部の少なくともいずれかを有し、
前記偏心部それぞれの前記ヘッド軸に直交する断面形状は、ヘッド軸方向の所定長さ分連続して同じである、ベントピース。 - 排気路を内部に有する筒状のハウジングと、
前記ハウジングの前記排気路に挿入されるステムと、
前記排気路を開放する方向に前記ステムを付勢する付勢部材と、を備え、
前記ステムが、柱状の胴体と、前記排気路を開閉するヘッドと、を有し、
前記ヘッドは、ヘッド軸に直交する断面形状が円形であり、
前記胴体は、少なくとも2つの偏心部を有し、
前記偏心部それぞれは、凹部及び突部の少なくともいずれかを有し、
前記偏心部は、3つあり、3つの前記偏心部は、それぞれ前記凹部及び前記突部のうち前記凹部のみを有し、前記3つの偏心部の重心は、前記ヘッド軸に直交する投影面において互いに120度ずつずれている、ベントピース。
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