JP7514743B2 - エンジン始動制御方法及びエンジン始動制御装置 - Google Patents

エンジン始動制御方法及びエンジン始動制御装置 Download PDF

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本発明は、車両に搭載されたエンジンの始動制御方法及び始動制御装置に関する。
特許文献1には、エンジンの冷却水温や、クランキングモータに電力を供給するバッテリの出力可能電力に応じてエンジンの始動方法を切り替えるハイブリッド車両が提案されている。具体的には、特許文献1に係る車両では、エンジンの水温が低く、クランキングモータ用のバッテリが低出力である状態においては、低回転で摩擦の低減を待ってから、燃料を用いてエンジンを始動させる二段階始動を採用している。また、特許文献1に係る車両では、エンジンを上記の二段階始動で始動させるときに、クランキングモータ用のバッテリの出力パワーと、車両の共振周波数帯を考慮して、クランキング時のエンジンの回転数を設定する。
特開2011-047348号公報
ハイブリッド車両においては、クランキングで到達させるエンジンの回転数(クランキングによる目標到達回転数)は概ね任意に設定することができる。一方で、本発明者等は、クランキングの目標到達回転数によっては、エンジンの始動のための燃料その他のエネルギー消費の総量が変化することを見出した。しかし、特許文献1の制御では、クランキングの目標到達回転数によって燃料等の総消費量(エンジンの始動で消費される全エネルギー)が変化することが考慮されておらず、燃費や電費が悪くなることがある。
本発明は、エンジンの始動に必要な燃料や電力等を含め、エネルギー消費が低減された最適化されたエンジン始動制御方法及びエンジン始動制御装置を提供することを目的とする。
本発明のある態様は、バッテリから供給される電力によって駆動力を発生するモータと、バッテリに供給する電力を生成するジェネレータと、ジェネレータを駆動するエンジンと、を有する車両で実行され、エンジンを始動させるときに、ジェネレータを用いてエンジンをモータリングした後に、燃料を使用してエンジンを駆動することにより、エンジンの目標とする動作点である目標エンジン動作点に到達させるエンジン始動制御方法である。このエンジン始動制御方法では、モータリングによって到達させるエンジンの回転数であるモータリング回転数を低く設定する低回転始動と、モータリング回転数を高く設定する高回転始動と、のいずれかでエンジンを始動させる。このとき、車両の将来における走行パターンを予測し、車両の現在の走行パターンに係る分析、及び、将来における走行パターンの予測に基づいて、所定区間におけるバッテリの充電率が算出される。そして、所定区間におけるバッテリの充電率が予め定める所定値よりも増加すると予測されるときには、所定区間におけるエンジンの始動は高回転始動によって行われる。一方、所定区間におけるバッテリの充電率が所定値よりも減少すると予測されるときには、所定区間におけるエンジンの始動は低回転始動によって行われる。そして、所定区間におけるバッテリの充電率を、バッテリの電力消費を燃料の消費に等価変換する変換係数で表し、変換係数を用いて、電力消費と燃料の消費とを合わせたエネルギー消費を燃料の消費に換算した等価燃料消費を算出し、等価燃料消費を最小化する条件で、モータリング回転数を決定する。
本発明によれば、エンジンの始動に必要な燃料や電力等を含め、エネルギー消費が低減された最適化されたエンジン始動制御方法及びエンジン始動制御装置を提供することができる。
図1は、車両の概略構成を示す説明図である。 図2は、エンジンの始動に係るコントローラの構成を示すブロック図である。 図3は、バッテリの充電率に応じたエンジンの始動プロファイルの切り替えを示す説明図である。 図4は、バッテリの充電率に対する閾値の変動を示すグラフである。 図5は、変形例におけるエンジンの始動プロファイルの切り替えを示す説明図である。 図6は、始動プロファイルに応じたエンジン回転数、クランキングパワー、燃料消費、及び、等価燃料消費の推移の一例を示すグラフである。 図7は、始動時クランキング電力、目標到達までの燃料消費、及び、目標到達までの発電量の始動プロファイルに応じた大小を示す表である。 図8は、目標エンジン回転数に応じたモータリング回転数と等価燃料消費の関係を示すグラフである。 図9は、遷移し得るエンジンの動作点の候補を示す説明図である。 図10は、発電するとき燃費が最良となる動作点を決定するときに参照されるグラフである。 図11は、基本等価燃料消費の例を示す説明図である。 図12は、総合等価燃料消費の例を示す説明図である。 図13は、第1の方法による第2実施形態のエンジン始動方法を示すフローチャートである。 図14は、第2の方法による第2実施形態のエンジン始動方法を示すフローチャートである。 図15は、第1の方法で第2実施形態のエンジン始動方法を実行するときに、変換係数を変数としたエンジン始動方法を示すフローチャートである。 図16は、第2の方法で第2実施形態のエンジン始動方法を実行するとkに、変換係数を変数としたエンジン始動方法を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1は、車両100の概略構成を示す説明図である。図1に示すように、車両100は、いわゆるシリーズ方式のハイブリッド車両である。車両100は、モータ10、バッテリ11、ジェネレータ12、エンジン13、補機14、及び、コントローラ20を備える。
モータ10は、車両100の駆動力源として機能する電動機である。すなわち、モータ10はいわゆる駆動モータであり、バッテリ11から供給される電力によって駆動力を発生する。具体的には、モータ10の出力軸は減速機16を介してドライブシャフト17と接続する。このため、車両100では、モータ10の出力により、駆動輪18にトルクが発生する。
バッテリ11は、モータ10と電気的に接続しており、モータ10に電力を供給する。回生制御時には、バッテリ11に回生電力が回収される。また、バッテリ11は、ジェネレータ12と接続しており、ジェネレータ12が生成する電力によって充電される。
ジェネレータ12は、バッテリ11に供給する電力を生成する発電機(発電モータ)である。ジェネレータ12は減速機19を介して接続されたエンジン13に接続されている。電力を生成するときには、ジェネレータ12は、エンジン13によって駆動される。また、ジェネレータ12は、エンジン13を始動させるときに、バッテリ11の電力を使用してエンジン13を空回し(以下、モータリングという)することによりクランキングする。エンジン13を始動させるときに、モータリングによって到達させるエンジン回転数の目標(以下、モータリング回転数という。)は、概ね任意に設定(調節)可能である。
エンジン13は、ガソリンその他の燃料を燃焼させることによって駆動する内燃機関(ICE)である。前述のように、エンジン13は車両100における直接的な走行駆動力源として用いられることはなく、エンジン13はジェネレータ12を駆動することによって、バッテリ11に供給する電力の生成に用いられる。このため、エンジン13は常時駆動されるのではなく、車両の走行中その他のタイミングで、必要に応じて始動される。エンジン13を始動するタイミングや出力は、バッテリ11の残量等に応じた車両100の走行パターンの分析等に基づいて、コントローラ20によって制御される。
補機14は、車両100を構成するその他の具体的な機器類である。本実施形態においては、補機14は、特に、バッテリ11の電力を消費する負荷をいう。例えば、バッテリ11が出力する直流電圧を交流電圧に変換するインバータは、補機14に属する。
コントローラ20は、モータ10、バッテリ11、ジェネレータ12、及び、エンジン13等、車両100の各部を統括的に制御するコンピュータである。例えば、コントローラ20は、エンジン13を始動させるときに、ジェネレータ12を用いてエンジン13をモータリングした後に、燃料を使用してエンジン13を駆動することにより、エンジン13の目標とする動作点である目標エンジン動作点に到達させる。すなわち、コントローラ20は、車両100におけるエンジン始動装置を構成する。コントローラ20は、例えば、中央演算装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び、入出力インタフェース(I/Oインタフェース)等から構成される。また、コントローラ20は、各部の制御を予め定められた所定の制御周期で定期的に実行するようにプログラムされている。
また、コントローラ20は、車両100の各部から必要に応じて動作状態等に係る情報(以下、車両情報という)を取得することができる。例えば、コントローラ20は、車両100の操作情報、温度/環境情報、及び、走行パターンの分析や予測(走行予測)に必要な情報等のその他の情報を任意のタイミングで取得できる。操作情報は、例えば、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、及び、シフトレバー等の操作状態を表す情報である。温度/環境情報は、例えば、車両100を構成する各部の温度、排気ガス等の温度、その他の車両100を構成する各部の動作状態または動作環境を表す情報、及び、バッテリ11の充電率(以下、SOC(State Of Charge)という)等である。
なお、図1において、Pm_drivはドライブシャフト17における運動エネルギーの消費(以下、車軸端運動エネルギー消費という。)を表し、Pm_motはモータ10における運動エネルギーの消費(以下、駆動モータ端運動エネルギー消費という)を表す。Pm_genはジェネレータ12における運動エネルギーの消費(以下、発電モータ端運動エネルギー消費という。)を表し、Pm_ICEは、エンジン13における運動エネルギーの消費(以下、ICE端運動エネルギー消費という。)を表す。
また、Pe_motはモータ10における電気エネルギーの消費(以下、駆動モータ端電気エネルギー消費という)を表す。Pe_batはバッテリ11における電気エネルギーの消費(以下、バッテリ端電気エネルギー消費という。)を表し、Pe_genは、ジェネレータ12における電気エネルギーの消費(以下、発電モータ端電気エネルギー消費という。)を表す。Pe_otherは、補機14による電気エネルギーの消費(以下、補機消費電力という。)を表す。そして、FCICEは、エンジン13における燃料の消費(以下、燃料消費という)を表す。
図2は、エンジン13の始動に係るコントローラ20の構成を示すブロック図である。図2に示すように、コントローラ20は、エンジン13の始動を制御するために、走行パターン分析部21、SOC算出部22、及び、始動プロファイル切替部23を備える。
走行パターン分析部21は、車両100の走行パターンを分析する。車両100の走行パターンとは、車両100の走行等に伴って消費、発生、または、変換等されるエネルギーの量またはその変遷を特定し得る車両情報の組み合わせをいう。したがって、走行パターンの分析とは、車両100の走行等に伴うエネルギーの消費、発生、または、変換等を、車両情報を用いた演算等によって特定し、推定し、または予測することをいう。走行パターンの分析は、過去、現在(走行パターンの分析時点)、及び/または、将来におけるある時点またはある時間的範囲の制御に関する時間的区間(以下、所定区間という)に関して行われる。また、将来における走行パターンの分析(予測)は、例えば、過去及び/または現在の走行パターンに基づいて行うことができる。本実施形態では、走行パターン分析部21は、少なくとも現在の走行パターンを分析する。また、例えば、走行パターンに応じてSOCが変動するので、本実施形態においては走行パターンの分析によってSOCが特定等される。
より具体的には、走行パターン分析部21は、少なくとも分析時点(現時点)における車両100の総電力消費Pe_allを特定する。総電力消費Pe_allは、運転者の操作による駆動力の要求等(以下、ドライバ操作という)によって定まる。総電力消費Pe_allは、下記の式(1)に示すように、駆動モータ端電気エネルギー消費Pe_mot、補機消費電力Pe_other、発電モータ端電気エネルギー消費Pe_gen、及び、バッテリ端電気エネルギー消費Pe_batの和である。
下記の式(2)に示すように、車軸端運動エネルギー消費Pm_drivは、駆動モータ端運動エネルギー消費Pm_motと駆動系の伝達効率ηdrivによって定まる。また、下記の式(3)に示すように、駆動モータ端運動エネルギー消費Pm_motは、駆動モータ端電気エネルギー消費Pe_motとモータ10の効率ηmotによって定まる。なお、式(2)及び式(3)は力行時を表しており、回生時はこれら各式の効率(ηdriv及びηmot)は割り算となる。
車軸端運動エネルギー消費Pm_drivは、ドライバ操作による車両100への要求駆動力等に応じて定まる。その結果、式(2)及び式(3)によって、駆動モータ端電気エネルギー消費Pe_motが定まる。すなわち、走行パターン分析部21は、ドライバ操作を表す車両情報に基づいて、式(1)における駆動モータ端電気エネルギー消費Pe_motを特定することができる。また、補機消費電力Pe_otherも、ドライバ操作による車両100への要求駆動力等によって定まる。このため、走行パターン分析部21は、式(1)における補機消費電力Pe_otherを特定することができる。したがって、走行パターン分析部21は、下記の式(4)に示すように、発電モータ端電気エネルギー消費Pe_genとバッテリ端電気エネルギー消費Pe_batの和を特定することができる。これらのことから、走行パターンの分析の結果、発電モータ端電気エネルギー消費Pe_genとバッテリ端電気エネルギー消費Pe_batの配分には自由度がある。
ここで、下記の式(5)に示すように、発電モータ端電気エネルギー消費Pe_genは、発電モータ端運動エネルギー消費Pm_genとジェネレータ12の効率ηgenを用いて表される。そして、下記の式(6)に示すように、発電モータ端運動エネルギー消費Pm_genは、ICE端運動エネルギー消費Pm_ICEと、エンジン13とジェネレータ12間の伝達効率ηICE-genを用いて表される。さらに、下記の式(7)に示すように、ICE端運動エネルギー消費Pm_ICEは、エンジン13の回転数revICEとトルクtrqICEを引数とする所定の関数(あるいはマップ)f(revICE,trqICE)によって定まる。したがって、エンジン13の回転数revICEとトルクtrqICEが定まれば、発電モータ端電気エネルギー消費Pe_genが定まる。その結果、式(4)によって、バッテリ端電気エネルギー消費Pe_batも定まる。そして、エンジン13の回転数revICEとトルクtrqICEはドライバ操作に応じた車両情報である。このため、走行パターン分析部21は、車両情報に基づいた走行パターンの分析により、式(1)の左辺である総電力消費Pe_allと、式(1)の右辺の各項をそれぞれ特定することができる。
SOC算出部22は、車両100の走行パターンの分析に基づいて、SOCを算出する。SOCの算出とは、SOCの増加または減少の傾向、SOCの増加または減少の速度、及び/または、SOCの増加量または減少量等を、特定または推定することにより、走行パターンに応じて推移するSOCの値を特定または推定することをいう。本実施形態においては、走行パターン分析部21が車両100の現在の走行パターンを分析するので、SOC算出部22は、この現在の走行パターンの分析結果に基づいて、走行パターンの分析時点におけるSOCを算出する。
始動プロファイル切替部23は、算出されたSOCに基づいて、所定区間におけるエンジン13の始動プロファイルを切り替える。より具体的には、始動プロファイル切替部23は、SOCに基づいて、所定区間におけるSOCが、予め定める所定値(閾値SOC_t)を超えるか否かを判定する。そして、この判定結果に基づいて、所定区間におけるエンジン13の始動プロファイルを変更する。
始動プロファイルとは、エンジン13の始動させる際の態様(エンジン13の始動方法)を定める設定である。本実施形態においては、始動プロファイル切替部23は、低回転始動プロファイル24と、高回転始動プロファイル25と、を有する。そして、始動プロファイル切替部23は、所定区間におけるSOCに基づいて、その所定区間においてエンジン13を始動させるときに、低回転始動プロファイル24に基づくエンジン13の始動モード(以下、低回転始動という)と、高回転始動プロファイル25に基づくエンジン13の始動モード(以下、高回転始動という)と、のどちらを採用するのかを決定する。したがって、走行パターンが分析された所定区間内でエンジン13を始動させる必要があるときには、コントローラ20は、始動プロファイル切替部23が決定した低回転始動または高回転始動のいずれかの態様でエンジン13を始動させる。
低回転始動とは、モータリング回転数を低く設定するエンジン13の始動モードである。このため、低回転始動では、エンジン13が低回転の状態から燃料を使用して目標エンジン動作点に到達される。低回転始動では、モータリング回転数が低いため、エンジン13の始動のために消費されるバッテリ11の電力が低く抑えられる。その代わりに、エンジン13の始動のために消費される燃料は、高回転始動よりも多くなることがある。すなわち、低回転始動は、燃料を主なエネルギー源として、エンジン13を始動させる始動モーである。
高回転始動とは、低回転始動よりも、モータリング回転数を高く設定するエンジン13の始動モードである。このため、高回転始動では、エンジン13が高回転の状態から燃料を使用して目標エンジン動作点に到達される。高回転始動では、モータリング回転数が高く設定されるので、エンジン13の始動のために消費されるバッテリ11の電力は、低回転始動よりも多い。その代わりに、低回転始動よりも、エンジン13の始動のために消費される燃料が少なく抑えられる。すなわち、高回転始動は、バッテリ11の電力を主なエネルギー源として、エンジン13を始動させる始動モードである。
なお、「低回転」及び「高回転」の用語はモータリング回転数の絶対的な値を示すものではなく、相対的なものである。また、本実施形態においては、説明の便宜のため、始動プロファイル切替部23が低回転始動プロファイル24と高回転始動プロファイル25を有しているが、始動プロファイル切替部23は、3以上の始動プロファイルを予め有することができる。また、始動プロファイル切替部32は、SOCに合わせた始動プロファイルを適宜に設定することができる。
図3は、バッテリ11の充電率(SOC)に応じたエンジン13の始動プロファイルの切り替えを示す説明図である。図3に示すように、SOCに基づいて、所定区間におけるSOCが予め定める所定値(以下、閾値という)SOC_tよりも高くなる場合には、この所定区間におけるエンジン13の始動は高回転始動によって行われる。また、SOCに基づいて、所定区間におけるSOCが閾値SOC_tよりも低くなる場合には、この所定区間におけるエンジン13の始動は低回転始動によって行われる。所定区間のSOCが閾値SOC_tと同値となると見込まれるときには、エンジン13は、高回転始動または低回転始動のいずれか任意の態様で始動される。本実施形態では、所定区間のSOCが閾値SOC_tと同値となると見込まれるときには、エンジン13は、高回転始動によって始動される。
図4は、バッテリ11の充電率(SOC)に対する閾値の変動を示すグラフである。図4に示すように、低回転始動と高回転始動を切り替えるための閾値SOC_tは可変である。始動プロファイル切替部23は、例えば、目標エンジン動作点に応じて閾値SOC_tを調節(変更)する。また、始動プロファイル切替部23は、例えば、エンジン13の冷却水の温度(いわゆるエンジン水温)に応じて閾値SOC_tを切り替えることができる。なお、始動プロファイル切替部23は、閾値SOC_tは、目標エンジン動作点、エンジン水温、及び/または、その他の車両情報等の中から、1または複数のパラメータに応じて、閾値SOC_tを設定することができる。
以上のように、第1実施形態に係るエンジン始動方法は、バッテリ11から供給される電力によって駆動力を発生するモータ10と、バッテリ11に供給する電力を生成するジェネレータ12と、ジェネレータ12を駆動するエンジン13と、を有する車両100で実行される。また、第1実施形態に係るエンジン始動方法では、エンジン13を始動させるときに、ジェネレータ12を用いてエンジン13をモータリングした後に、燃料を使用してエンジン13を駆動することにより、エンジン13の目標とする動作点(目標エンジン動作点)に到達させる。そして、モータリングによって到達させるエンジン13の回転数であるモータリング回転数を低く設定する低回転始動と、モータリング回転数を高く設定する高回転始動と、のいずれかでエンジン13を始動させる。このとき、車両100の現在の走行パターンに係る分析に基づいて、制御に関する時間的な所定区間について、バッテリ11の充電率(SOC)が算出される。そして、所定区間におけるバッテリ11の充電率(SOC)が、予め定める所定値(閾値SOC_t)よりも高くなるときには、定区間におけるエンジン13の始動は高回転始動によって行われる。一方、所定区間におけるバッテリの充電率(SOC)が所定値(閾値SOC_t)よりも低くなる場合には、所定区間におけるエンジン13の始動は低回転始動によって行われる。
すなわち、第1実施形態に係るエンジンの始動方法では、ハイブリッド車両である車両100においてエンジン13を始動させるときに、走行パターンに基づいて算出するSOCに基づいて、エンジン13の始動方法を低回転始動と高回転始動とで切り替えられる。これは、バッテリ11が保有するバッテリ11の電力のエネルギー源としての価値(以下、バッテリ電力の価値という)及び燃料のエネルギー源としての価値(以下、燃料の価値という)によって、バッテリ11の電力を主なエネルギー源としてエンジン13を始動させるか、あるいは燃料を主なエネルギー源としてエンジン13を始動させるか、を切り替えるものである。
SOCが増加する状況は、車両100が各部の駆動等のために使用し得るエネルギーの総量の中で、バッテリ電力の価値が燃料の価値よりも低い状況である。したがって、SOCが増加するような、バッテリ電力の価値が燃料の価値よりも低い状況下では、高回転始動が採用されることにより、バッテリ11の電力を主なエネルギー源としてエンジン13が始動される。すなわち、SOCが増加するときには、相対的に価値が高い燃料の消費が抑えられ、エンジン13を始動させるために、相対的に価値が低いバッテリ11の電力が積極的に使用される。これにより、車両100が各部の駆動等に使用し得るエネルギーの総合的な消費を抑えることができ、結果として車両100の電費及び燃費(以下、エネルギー効率という)が向上する。
また、SOCが減少する状況は、バッテリ電力の価値が燃料の価値よりも高い状況である。したがって、SOCが減少するような、バッテリ電力の価値が燃料の価値よりも高い状況下では、低回転始動が採用されることにより、燃料を主なエネルギー源としてエンジン13が始動される。すなわち、SOCが減少するときには、相対的に価値が高いバッテリ11の電力が温存され、エンジン13を始動させるために、相対的に価値が低い燃料が積極的に使用される。これにより、車両100が各部の駆動等に使用し得るエネルギーの総合的な消費を抑えることができ、結果として車両100のエネルギー効率が向上する。
したがって、第1実施形態に係るエンジン始動方法によれば、エンジン13を適時に始動させる必要がある車両100のエネルギー効率を向上することができる。すなわち、第1実施形態に係るエンジンの始動方法によれば、エンジン13の始動に必要な燃料や電力等を含め、エネルギー消費が低減した状態に最適化される。
なお、第1実施形態においては、走行パターン分析部21は、現在の走行パターンを分析する。このため、SOC算出部22は、現在の走行パターンに基づいてSOCを算出する。その結果、始動プロファイル切替部23による始動プロファイルの切り替えも、現在の走行パターンの分析結果に基づいている。しかし、前述のように、走行パターン分析部21は、車両100の将来における走行パターンを予測することができる。このとき、SOC算出部22は、現在の走行パターンの分析に加えて、将来おける走行パターンの予測に基づいて、所定区間におけるバッテリ11の充電率(SOC)を算出することができる。その結果、始動プロファイル切替部23による始動プロファイルの切り替えも、将来における走行パターンを考慮して行うことができる。
図5は、当該変形例におけるエンジンの始動プロファイルの切り替えを示す説明図である。図5に示すように、始動プロファイル切替部23は、SOC算出部22が将来おける走行パターンの予測も含めて算出するSOCの予測値(以下、予測SOCという)を、予め定める所定値である閾値SOC_tと比較する。この閾値SOC_tは、例えば第1実施形態における閾値SOC_tと同じ値であり、目標エンジン動作点、エンジン水温、及び/または、その他の車両情報等の中から、1または複数のパラメータに応じて設定される。本変形例においては、予測SOCが閾値SOC_tよりも高くなるときには、高回転始動が採用され、予測SOCが閾値SOC_tよりも低くなるときには、低回転始動が採用される。
上記のように、第1実施形態に係るエンジン始動方法には、車両100の将来における走行パターンを予測し、所定区間におけるバッテリ11の充電率(SOC)が、現在の走行パターンの分析に加えて、将来における走行パターンの予測に基づいて算出される態様に変形することができる。この変形例では、所定区間におけるバッテリ11の充電率(SOC)が所定値(閾値SOC_t)よりも増加すると予測されるときには、この所定区間におけるエンジン13の始動は高回転始動によって行われる。一方、所定区間におけるバッテリ11の充電率(SOC)が所定値(閾値SOC_t)よりも減少すると予測されるときには、この所定区間におけるエンジン13の始動は低回転始動によって行われる。
上記変形例のエンジン始動方法においても、第1実施形態に係るエンジン始動方法と同じ理由により、エンジン13を適時に始動させる必要がある車両100のエネルギー効率を向上することができる。また、上記変形例のエンジン始動方法では、将来における走行パターンが考慮されるので、第1実施形態に係るエンジン始動方法よりも正確にバッテリ電力の価値を見積もることができる。その結果、上記の変形例に係るエンジン始動方法によれば、エンジン13を適時に始動させる必要がある車両100のエネルギー効率を特に向上することができる。
[第2実施形態]
第1実施形態及び変形例においては、バッテリ電力の価値を見積もるために、走行パターンの分析に基づいて、SOCを算出または予測しているが、これに限らない。例えば、SOCに相関があり、バッテリ電力の価値を見積もることができれば、SOCを直接的に算出または予測する代わりに、他のパラメータを使用することができる。したがって、本第2実施形態においては、SOCに相関があり、バッテリ電力の価値を表すパラメータとして、変換係数Kを用いる例を説明する。
変換係数Kは、バッテリ端電気エネルギー消費Pe_batを、仮想的に、これと等価な燃料の消費に変換するための係数である。すなわち、変換係数Kは、所定区間におけるバッテリ11の充電率(SOC)を、バッテリ11の電力消費(バッテリ端電気エネルギー消費Pe_bat)を燃料の消費に等価変換するパラメータである。したがって、変換係数Kによれば、バッテリ電力の価値と燃料の価値が統一的に評価される。なお、燃料をエネルギーとして評価するための化学的な変換係数は、車両100の走行パターン等には依らず、燃料の化学的組成によって一定である。しかし、ここで用いる変換係数Kは、このような一定の化学的な変換係数を表すものではなく、現実の走行等において生じるエネルギーの損失等を含めてバッテリ電力の価値あるいは燃料の価値を評価するためのパラメータである。したがって、変換係数Kは、現実の走行パターン、特に現実の走行パターンによって変化するSOCによって変動する。但し、変換係数Kは、走行パターンごとに概ね一定の値となり、例えば、実験等によって予め定めるられる。例えば、変換係数Kは、燃料の低位発熱量、代表点燃料消費率、及び発電効率等から求められる。また、変換係数Kは、車両100の走行パターンや位置情報、アクセルやブレーキの操作情報等を用いて機械学習により求められる。また、変換係数Kは、プローブデータから算出される配信値としてもよい。
バッテリ端電気エネルギー消費Pe_batを燃料消費相当に変換した値(以下、バッテリ端燃料消費という)FCbatは、変換係数Kを用いて、下記の式(8)で表される。
SOCが高い場合、これに対応して変換係数Kは小さくなる。逆に、SOCが低い場合、これに対応して変換係数Kは大きくなる。すなわち、SOCと変換係数Kの関係は、概ね反比例の関係にある。したがって、本第2実施形態においては、SOC算出部22は走行パターンの分析に基づいて、走行パターンに応じた変換係数Kを特定する。変換係数Kは、例えば、実験等によって走行パターンごとに予め定められる。
また、本第2実施形態においては、始動プロファイル切替部23は、SOC算出部22によって算出された変換係数Kに基づいて、エンジン13を始動させるときのモータリング回転数を変化させることにより、エンジン13の始動方法を調節する。これは、第1実施形態における低回転始動と高回転始動の切り替えを、より細かい段階に分けて滑らかに行うことに相当する。
より具体的には、始動プロファイル切替部23は、変換係数Kを用いて、等価燃料消費FCeqを算出し、この等価燃料消費FCeqを最小化する条件で、モータリング回転数を決定する。等価燃料消費FCeqは、バッテリ11の電力消費(バッテリ端電気エネルギー消費Pe_bat)と、エンジン13の燃料消費FCICEと、を合わせたエネルギー消費を、燃料の消費に換算したものである。すなわち、等価燃料消費FCeqは、下記の式(9)で表される。
図6は、始動プロファイルに応じたエンジン回転数、クランキングパワー、燃料消費、及び、等価燃料消費の推移の一例を示すグラフである。図6(A)~(D)は、時刻τ1までモータリングを実行する高回転始動時を示し、図6(E)~(F)は同条件で時刻τ2(τ2<τ1)までモータリングを実行する低回転始動時を示す。また、図6(B)及び(F)のクランキングパワーはモータリングのパワーを示すものであり、これらのグラフの面積はモータリングのために消費されるバッテリ端電気エネルギー消費Pe_batの総量を表す。図(A)及び(E)に示すように、高回転始動と低回転始動とで、最終的に到達させるエンジン回転数(目標エンジン動作点に相当するエンジン回転数)は同じである。しかし、図6(D)及び(H)に示すように、等価燃料消費FCeqは、低回転始動と高回転始動とで異なる場合がある。この例では、低回転始動をするときの等価燃料消費FCeqは、高回転始動をするときの等価燃料消費FCeqよりも大きくなっている。
図7は、始動時クランキング電力、目標到達までの燃料消費、及び、目標到達までの発電量の始動プロファイルに応じた大小を示す表である。図7に示すように、始動時クランキング電力、すなわちモータリングで消費される電力は、低回転始動で小さく、高回転始動で大きい。また、目標エンジン動作点に到達するまでのエンジン13における燃料消費は、低回転始動で大きく、高回転始動で小さい。さらに、目標エンジン動作点に到達するまでの発電量は、低回転始動で大きく、高回転始動で小さい。
また、図8は、目標エンジン回転数に応じたモータリング回転数と等価燃料消費FCeqの関係を示すグラフである。図8に示すように、ある変換係数Kが適用される走行パターンにおいて、エンジン13を始動させるときにモータリング回転数を変化させると、等価燃料消費FCeqも変化する。このとき、目標エンジン動作点におけるエンジン回転数(以下、目標回転数という)TrevがT1[rpm]であるかT2[rpm](T2>T1)によって等価燃料消費FCeqの具体的な推移は変化する。しかし、始動時クランキング電力等とモータリング回転数との間には図7に示す関係があり、かつ、モータリング回転数の変化と等価燃料消費FCeqについては図8に示すような関係性がある。このため、図8において黒点で示すように、いずれにしても等価燃料消費FCeqが最小または極小となるモータリング回転数がある。
したがって、始動プロファイル切替部23は、図8に示すようにモータリング回転数を変えて、複数の等価燃料消費FCeqを算出する。そして、算出された複数の等価燃料消費FCeqに基づいて、等価燃料消費FCeqが最小となるときのモータリング回転数である最適モータリング回転数(図8において黒点で示すモータリング回転数)を決定する。その後、コントローラ20は、エンジン13を始動させるときには、この最適モータリング回転数までエンジン13をモータリングする。
以上のように、第2実施形態に係るエンジン始動方法では、所定区間におけるバッテリ11の充電率(SOC)を、バッテリ11の電力消費(バッテリ端電気エネルギー消費Pe_bat)を燃料の消費に等価変換する変換係数Kで表す。また、変換係数Kを用いて、バッテリ11の電力消費と燃料の消費とを合わせたエネルギー消費を燃料の消費に換算した等価燃料消費FCeqを算出する。そして、この等価燃料消費を最小化する条件で、モータリング回転数を決定する。
これにより、第2実施形態に係るエンジン始動方法によれば、エンジンの始動に必要な燃料や電力等を含め、エネルギー消費が低減した状態に最適化される。特に、第2実施形態では、等価燃料消費FCeqに基づいてモータリング回転数を決定するので、エンジン13の始動方法がほぼ無段階に滑らかに調節される。このため、第2実施形態のエンジン始動方法によれば、第1実施形態のエンジン始動方法よりもさらに好適にエネルギー消費が低減した状態に最適化される。
また、第2実施形態に係るエンジン始動方法では、具体的に、モータリング回転数を変えて、複数の等価燃料消費FCeqを算出し、算出された複数の等価燃料消費FCeqに基づいて、等価燃料消費FCeqが最小となるときのモータリング回転数である最適モータリング回転数を決定する。そして、エンジンを始動させるときには、この最適モータリング回転数までエンジンがモータリングされる。
すなわち、第2実施形態のエンジン始動方法では、走行パターンに応じて目標エンジン動作点や変換係数Kが定まると、この特定の走行パターンにおいて最適なモータリング回転数が算出される。このため、第2実施形態のエンジン始動方法によれば、現実的な走行パターンの変化等に精度良く対応して、エネルギー消費が低減した状態に最適化できる。
以下、上記第2実施形態に係るエンジン始動方法において、最適モータリング回転数を決定し、エネルギー消費を最適化するためのより具体的な方法として、第1の方法と第2の方法の2種類を説明する。
図9は、遷移し得るエンジン13の動作点の候補を示す説明図である。図9では、所定の時間ステップsti(i=1~n)ごとにコントローラ20による制御のための演算が行われるものとする。図9においては、時間ステップst0が現在であり、時間ステップst1~nは将来である。そして、時間ステップst0から時間ステップstnの時間的区間が、第1実施形態でいう所定区間である。また、各時間ステップstiにおいて白丸で示す点は、遷移し得るエンジン13の動作点(i,j)(j=1~m)を表す。例えば、現在(st0)の動作点から次の時間ステップst1の時点において遷移し得る動作点は(1,1)から(1,m)である。また、遷移し得る動作点(i,j)には、エンジン13を使用するHEVモード(ハイブリッド電気自動車モード)に属する動作点と、エンジン13を使用しないEVモード(電気自動車モード)に属する動作点がある。図9では、j=1の動作点がEVモードの動作点であり、j=2~mの動作点がHEVモードの動作点である。このため、EVモードの動作点(i,1)からHEVモードの動作点(i+1,2)~(i+1,m)に遷移するときには、エンジン13が始動される。なお、HEVモードの動作点は、インデックス“j”の値が大きい動作点ほど、エンジン13の出力(ICEパワー)が大きい。
なお、図10は、発電するときの燃費が最良となる動作点を決定するときに参照されるグラフである。図10のP1,P2,P3は等パワー線を示す。図10に黒点で示すように、同一の出力条件下において発電時の燃費が最良となるエンジン13の動作点列(いわゆるα線)が定まる。このため、図9の動作点(i,j)は、図10のグラフを参照することにより、そのICEパワー(ICE端運動エネルギー消費Pm_ICE)が現実にエンジン13に出力させる回転数及びトルクに対応付けられる。
[第1の方法]
第2実施形態における始動プロファイル切替部23は、最適モータリング回転数を決定するときに、遷移し得るエンジン13の動作点(i,j)ごとに、遷移に必要な等価燃料消費FCeqである基本等価燃料消費FCeq-basicを算出する。基本等価燃料消費FCeq-basicは、ある時間ステップの動作点(i,j)から、次の時間ステップにおいて遷移し得るある動作点(i+1,j)(ここでの“j”は任意値である)に遷移させるときに必要なエネルギー消費を表す。但し、基本等価燃料消費FCeq-basicは、動作点の遷移に必要なエネルギー消費を表すものであり、ここにエンジン13の始動に必要なエネルギー消費は含まれない。したがって、基本等価燃料消費FCeq-basicは、エンジン13が始動された状態で、動作点を遷移させるときに消費するエネルギーを表す。
各動作点(i,j)におけるICE端運動エネルギー消費Pm_ICE(i,j)とバッテリ端電気エネルギー消費Pe_bat(i,j)は、車両情報及び/または車両情報の予測により求めることができる。そして、基本等価燃料消費FCeq-basicは、各動作点(i,j)におけるICE端運動エネルギー消費Pm_ICE(i,j)とバッテリ端電気エネルギー消費Pe_bat(i,j)に基づいて算出可能である。
図11は、基本等価燃料消費FCeq-basicの例を示す説明図である。ここでは、ある時間ステップsti-1のある動作点(i-1,j)から、次の時間ステップstiにおいて遷移し得る動作点(i,1)~(i,5)があるとする。図11に示すように、遷移し得る動作点(i,1)~(i,5)によって、遷移のための消費エネルギー、すなわち基本等価燃料消費FCeq-basicの量及び内訳が異なる。
例えば、EVモードの動作点(i,1)に遷移するためには、エンジン13の燃料消費FCICEはなく、バッテリ11の電力消費(バッテリ端燃料消費FCbat)のだけが必要である。このため、EVモードの動作点(i,1)に遷移するために必要な基本等価燃料消費FCeq-basicは、左矢印で示すように、バッテリ端燃料消費FCbatと同じである。
また、HEVモードの動作点(i,2)に遷移するときには、例えば、燃料消費FCICEとバッテリ端燃料消費FCbatの両方が必要である。このため、HEVモードの動作点(i,2)に遷移するときに必要な基本等価燃料消費FCeq-basicは、左矢印で示すように、燃料消費FCICEとバッテリ端燃料消費FCbatの合計である。
なお、動作点(i,4)や動作点(i,5)に遷移するときには、バッテリ端燃料消費FCbatは負値である。これは、発電によって、バッテリ端燃料消費FCbat相当の電力がバッテリ11に回収されることを表す。
基本等価燃料消費FCeq-basicを示す左矢印のラインを比較すれば分かるように、基本等価燃料消費FCeq-basicは、動作点の遷移のために必要な燃料消費FCICEとバッテリ端燃料消費FCbatのバランスによって変動する。図11の例では、動作点(i,3)への遷移するときの基本等価燃料消費FCeq-basicが最小である。
始動プロファイル切替部23は、上記の基本等価燃料消費FCeq-basicを、例えば図9における全ての遷移経路についてそれぞれ算出し、基本等価燃料消費FCeq-basicの総和が最小になるように、時系列に定まる動作点(i,j)の遷移パターンを決定する。例えば、図9では、太線で示す遷移パターンが、基本等価燃料消費FCeq-basicが最小になる遷移パターンである。
こうして遷移パターンが決定されると、始動プロファイル切替部23は、この遷移パターンにおいて、エンジン13の始動を伴う動作点への遷移が含まれるときに、そのエンジン13の始動を伴う動作点への遷移について、始動時等価燃料消費FCeq-start(図12参照)を算出する。始動時等価燃料消費FCeq-startは、エンジン13の始動に係る等価燃料消費FCeqである。例えば、図9においては、基本等価燃料消費FCeq-basicが最小となる遷移パターンの中で、時間ステップst1におけるEVモードの動作点(1,1)から時間ステップst2におけるHEVモードの動作点に遷移するときに、エンジン13の始動を伴う。このため、始動プロファイル切替部23は、この遷移経路について、始動時等価燃料消費FCeq-startを算出する。
また、始動プロファイル切替部23は、始動時等価燃料消費FCeq-startを、モータリング回転数を変えて複数算出する。これは、始動時等価燃料消費FCeq-startが、モータリング回転数に応じて変化するからである。そして、始動プロファイル切替部23は、最適モータリング回転数を、始動時等価燃料消費FCeq-startが最小となるときのモータリング回転数に決定する。基本等価燃料消費FCeq-basicが最小となる遷移パターンの中に、エンジン13の始動を伴う遷移経路が複数あるときには、上記と同様にして、それらの遷移経路についてそれぞれ最適モータリング回転数を決定する。
始動時等価燃料消費FCeq-startは、次のように表される。まず、モータリング回転数を“r”とすると、エンジン13の始動時にモータリングで消費する電気エネルギー(以下、始動時電力消費という)Pe_bat-statがモータリング回転数rを引数とする関数であるとする。このとき、モータリング後、エンジン13の回転数を目標回転数Trevまで引き上げるときに必要な燃料消費(以下、始動時燃料消費という)FCICE-statもモータリング回転数rを引数とする関数で表せる。また、燃料を消費して回転数を上昇させている間に、ジェネレータ12経由で発電される電気エネルギー(以下、始動時発電量という)Pe_bat-statgenも、モータリング回転数rを引数とする関数で表せる。
モータリング回転数“r”が大きいほど、始動時電力消費Pe_bat-startは大きくなり、始動時燃料消費FCICE-statと始動時発電量Pe_bat-statgenは小さくなる。このため、変換係数Kが定まっていれば、モータリング回転数をあるモータリング回転数“r”にするときに、エンジン13の始動から目標とするICE端運動エネルギー消費Pm_ICEに至るまでの動作で消費される始動時等価燃料消費fceq-startは、下記の式(10)で表される。
このため、ある動作点(i,j)にエンジン13の始動を伴って遷移するときに、モータリング回転数“r”によって最小となるように調整する場合、エンジン13を始動するために消費される始動時等価燃料消費FCeq-startは、下記の式(11)で表される。式(11)の最小関数の引数は、式(10)の始動時等価燃料消費fceq-startである。
上記のように始動時等価燃料消費FCeq-startを考慮すると、これを考慮しない場合(図11参照)と比較して、消費エネルギーを最小とするために遷移させる動作点が変わる場合がある。以下では、基本等価燃料消費FCeq-basicと始動時等価燃料消費FCeq-startの和を、総合等価燃料消費FCeq-allという。
図12は、総合等価燃料消費FCeq-allの例を示す説明図である。この図12は、図11と同じ状況で、始動時等価燃料消費FCeq-startを加えたものである。また、図12では左矢印によって総合等価燃料消費FCeq-allを示す。基本等価燃料消費FCeq-basicによれば動作点(i,3)に遷移すれば消費エネルギーが最小となるところ(図11参照)、始動時等価燃料消費FCeq-startまで考慮すると、消費エネルギーが真に最小になるのは、図12に示す通り、動作点(i,4)への遷移である。
但し、ここで説明する第1の方法では、動作点(i,3)への遷移の代わりに動作点(i,4)への遷移を選択するものではない。ここで説明する第1の方法は、基本等価燃料消費FCeq-basicにしたがって動作点(i,3)への遷移を選択しつつも、始動時等価燃料消費FCeq-startをモータリング回転数“r”を調節して最小化することにより、エネルギー消費が低減した状態に最適化するものである。なお、総合等価燃料消費FCeq-allが最小となるように、動作点の遷移パターンを決定する方法は、後述する第2の方法である。
図13は、第1の方法による第2実施形態のエンジン始動方法を示すフローチャートである。図13に示すように、ステップS201において、駆動モータ端電気エネルギー消費Pe_mot等、総合等価燃料消費FCeq-allの算出に必要なパラメータが取得される。また、ステップS202及びステップS203において、動作点(i,j)を特定するインデックスが初期化される。その後、ステップS204において、遷移し得る各動作点(i,j)におけるICEの出力候補、すなわちICE端運動エネルギー消費Pm_ICE(i,j)及びバッテリ端電気エネルギー消費Pe_bat(i,j)が設定される。そして、ステップS205において、それぞれのICE端運動エネルギー消費Pm_ICE(i,j)に対し、最良燃費動作点(回転数及びトルク)が設定される。
その後、ステップS206において、動作点(i,j)間のそれぞれの遷移経路について、基本等価燃料消費FCeq-basicが算出される。具体的には、ICE端運動エネルギー消費Pm_ICE(i,j)に対してそれぞれ燃料消費FCICE(i,j)が算出される。また、ICE端運動エネルギー消費Pm_ICE(i,j)に対応するバッテリ端電気エネルギー消費Pe_bat(i,j)が算出され、さらにバッテリ端電気エネルギー消費Pe_bat(i,j)に対応するバッテリ端燃料消費FCbat(i,j)が算出される。この結果、燃料消費FCICE(i,j)とバッテリ端燃料消費FCbat(i,j)の和である基本等価燃料消費FCeq-basicが算出される。
ステップS207においては、特定の時間ステップで遷移し得る全ての動作点について基本等価燃料消費FCeq-basicが算出されたかが確認される。基本等価燃料消費FCeq-basicが未算出の動作点がある場合には、ステップS208においてインデックス“j”がインクリメントされ、上記の基本等価燃料消費FCeq-basicの算出が繰り返される。その後、ステップS209において、所定区間における全ての時間ステップについて基本等価燃料消費FCeq-basicが算出されたかが確認される。基本等価燃料消費FCeq-basicが未算出の時間ステップがある場合には、ステップS210においてインデックス“i”がインクリメントされ、上記の基本等価燃料消費FCeq-basicの算出が繰り返される。これにより、所定区間に含まれる全ての時間ステップ及び動作点(i,j)間の遷移について、基本等価燃料消費FCeq-basicが算出される。
基本等価燃料消費FCeq-basicの算出が完了すると、ステップS211において、動作点間の遷移がエンジン13の始動を伴うか否かが確認される。そして、エンジン13の始動を伴う遷移経路については、ステップS212において、式(10)のモータリング回転数“r”を変化させながら始動時等価燃料消費FCeq-startが算出される。この結果、ステップS213においては、始動時等価燃料消費FCeq-startを最小化する最適モータリング回転数が決定される。
その後、ステップS214においては、総合等価燃料消費FCeq-allが算出される。その結果、ステップS215において総合等価燃料消費FCeq-allが最小になる動作点の遷移パターンが決定される。そして、ステップS216においては、決定された遷移パターンに基づく動作点の指示が車両100に出力される。これにより、決定された遷移パターンにエンジン13の始動を伴う動作点の遷移経路が含まれているときには、エンジン13が始動されるときに、最適モータリング回転数までモータリングされる。
以上のように、第1の方法による第2実施形態のエンジン始動方法では、所定区間において遷移し得るエンジン13の動作点(i,j)ごとに、遷移に必要な等価燃料消費FCeqである基本等価燃料消費FCeq-basicが算出され、基本等価燃料消費FCeq-basicの総和が最小になるように、時系列に定まる動作点(i,j)の遷移パターンが決定される。また、この遷移パターンにおいて、エンジン13の始動を伴う動作点への遷移が含まれるときに、エンジン13の始動を伴う動作点への遷移について、エンジン13の始動に係る等価燃料消費FCeqである始動時等価燃料消費FCeq-startが、モータリング回転数“r”を変えて複数算出される。そして、最適モータリング回転数は、始動時等価燃料消費FCeq-startが最小となるときのモータリング回転数に決定される。
この第1の方法によるエンジン始動方法は、動作点の遷移パターンの決定後、その遷移パターンが含むエンジン13の始動を伴う遷移経路について、始動時等価燃料消費FCeq-startを算出する。このため、始動時等価燃料消費FCeq-startが、必要な遷移経路についてだけ算出されるので、上記の等価燃料消費最小戦略のための計算負荷が軽量である。このため、迅速かつ容易に、準最適な遷移パターンでエンジン13を駆動できる。その結果、エンジン13の駆動がエネルギー消費を低減した状態に最適化される。
[第2の方法]
上記の第1の方法による第2実施形態のエンジン始動方法では、基本等価燃料消費FCeq-basicに基づいて遷移パターンを決定した後、必要に応じて始動時等価燃料消費FCeq-startを算出する。一方、ここで説明する第2の方法では、始動プロファイル切替部23は、総合等価燃料消費FCeq-allに基づいて遷移パターンを決定する。
図14は、第2の方法による第2実施形態のエンジン始動方法を示すフローチャートである。図14に示すように、第2の方法と第1の方法との違いは、始動時等価燃料消費FCeq-start及び総合等価燃料消費FCeq-allを算出するためのステップS211からステップS214が、ステップS206とステップS207の間(すなわち第1の方法で基本等価燃料消費FCeq-basicを算出するループ内)に設けられていることである。したがって、第2の方法では、遷移し得る動作点(i,j)の全ての遷移経路について、その遷移経路がエンジン13の始動を伴うものであるときには、始動時等価燃料消費FCeq-startが演算され、総合等価燃料消費FCeq-allが算出される。
すなわち、第2の方法による第2実施形態のエンジン始動方法では、所定区間において遷移し得るエンジン13の動作点(i,j)ごとに、遷移に必要な等価燃料消費FCeqである基本等価燃料消費FCeq-basicが算出される。また、動作点(i,j)の遷移がエンジン13の始動を伴うときに、エンジン13の始動を伴う動作点(i,j)への遷移について、エンジン13の始動に係る等価燃料消費FCeqである始動時等価燃料消費FCeq-startが、モータリング回転数“r”を変えて複数算出される。このとき、最適モータリング回転数は、エンジン13の始動を伴う動作点(i,j)への遷移ごとに、始動時等価燃料消費FCeq-startを最小とするモータリング回転数に決定される(図14のステップS213)。また、時系列に定まる動作点(i,j)の遷移パターンごとに、基本等価燃料消費FCeq-basicと、最適モータリング回転数でエンジン13を始動するときの始動時等価燃料消費FCeq-startと、を加算することにより、総合等価燃料消費FCeq-allが算出される。そして、この総合等価燃料消費FCeq-allが最小になるように、実行すべき遷移パターンが決定される。
上記のように、第2の方法による第2実施形態のエンジン始動方法では、総合等価燃料消費FCeq-allが最小となる遷移パターンが採用される。これは、図12の例において、動作点(i,4)に遷移する遷移パターンが選択されることに対応する。したがって、第2の方法によるエンジン始動方法によれば、エンジン13の駆動がエネルギー消費を特に低減した状態に最適化される。
なお、上記第2実施形態のエンジン始動方法では、第2実施形態のエンジン始動方法を具体的に実行する方法が第1の方法及び第2の方法のどちらの場合も、複数の時間ステップを考慮している。すなわち、第2実施形態のエンジン始動方法は、将来における走行パターンの予測に基づいたものである。しかし、第2実施形態のエンジン始動方法は、将来における走行パターンの予測を考慮せず、現在の走行パターンの分析に基づいて実行することができる。この場合、例えば図9の時間ステップst1における動作点(1、m)だけを考慮して、上記第2実施形態のエンジン始動方法を実施すればよい。このように、現在の走行パターンの分析に基づいて第2実施形態のエンジン始動方法を実行すると、演算周期ごとに、消費エネルギーが最小となる動作点が遷移先として選定される。このため、少なくとも準最適な遷移パターンが採用される。その結果、エンジン13の駆動がエネルギー消費を低減した状態に最適化される。
また、上記第2実施形態のエンジン始動方法では、変換係数Kが既知であることを前提としているが、変換係数Kが既知でないときにも、変換係数Kを変数とすれば、第2実施形態に係るエンジン始動方法を実施することができる。
図15は、第1の方法で第2実施形態のエンジン始動方法を実行するときに、変換係数Kを変数としたエンジン始動方法を示すフローチャートである。図15のフローチャートは、第1の方法に係るフローチャート(図13参照)に、ステップS301、ステップS302、及びステップS303を付加したものである。ステップS301は例えばステップS201とステップS202の間に挿入され、ステップS301では変換係数Kの初期値が設定される。ステップS302はステップS215とステップS216の間に挿入され、ステップS302では、初期設定した変換係数Kを用いて遷移パターンを決定した結果、SOCが制約(以下、SOC制約という)を満たすか否かを判定する。そして、初期設定の変換係数Kを用いて決定した遷移パターンがSOC制約を満たすときには、上記の第2実施形態と同様に、決定された遷移パターンに則った動作点の指示が出力される。一方、ステップS302において、SOC制約が満たされないと判定されたときには、ステップS303において変換係数KがSOC制約を満たす方向に調整された後、SOC制約を満たすまで総合等価燃料消費FCeq-allの算出や遷移パターンの決定が繰り返される。
SOC制約とは、例えばバッテリ11の特性や走行パターンの計画(走行計画)等によって、SOCに対して定められる制約である。例えば、所定区間の走行後、SOCを所定値以上に保つ必要がある場合、この所定値がSOC制約となる。また、ステップS303における変換係数Kの調整は、例えば、SOC制約を満たすように、変換係数Kの値を加算または減算等することによって行われる。SOC制約を満たす方向の判別(値を加算するか減算するかの判別)及びその調整量は、変換係数KとSOCの関係性に基づいて判断される。
なお、変換係数Kの初期値を第2実施形態のように車両情報等に基づいて設定した上で、上記のように、変換係数Kを調整してもよい。この場合、車両100の走行パターンの変化等に応じて変換係数Kが最適化されるので、エンジン13の駆動はエネルギー消費を特に低減した状態に最適化される。また、この場合、変換係数Kの調整量は小さいので、最適な変換係数Kに迅速に到達し得る。
また、上記変形例においては、第1の方法で第2実施形態のエンジン始動方法を実行するときに、変換係数Kを変数としているが、第2の方法で第2実施形態のエンジン始動方法を実行するときにも、変換係数Kを変数にすることができる。
図16は、第2の方法で第2実施形態のエンジン始動方法を実行するときに、変換係数を変数としたエンジン始動方法を示すフローチャートである。図16のフローチャートは、第2の方法に係るフローチャート(図14参照)に、ステップS301、ステップS302、及び、ステップS303を付加したものである。付加したこれらの各ステップの内容は、第1の方法で第2実施形態のエンジン始動方法を実行するときに変換係数Kを変数とする前述の場合と同様である。
上記の図15及び図16の変形例に係るエンジン始動方法では、変換係数Kを、現在の走行パターン及び/または将来における走行パターンに応じて可変とし、等価燃料消費FCeqを、モータリング回転数“r”と変換係数Kを変更する反復計算によって算出する。
このように、モータリング回転数だけでなく変換係数Kを可変にすると、変換係数Kが既知でないときにも、第2実施形態のエンジン始動方法を実行できる。また、変換係数Kが概ね既知であるときにも、より実態的な走行パターンに応じて、エンジン13の駆動がエネルギー消費を特に低減した状態に最適化される。
また、図15の変形例に係るエンジン始動方法では、現在の走行パターン及び/または将来における走行パターンに応じて、変換係数Kが所定の初期値に設定される。そして、この初期値の変換係数Kを用いて、遷移し得るエンジン13の動作点(i,j)ごとに、遷移に必要な等価燃料消費である基本等価燃料消費FCeq-basicが算出される。また、基本等価燃料消費FCeq-basicの総和が最小になるように、時系列に定まる動作点(i,j)の遷移パターンが決定される。そして、この遷移パターンにおいて、エンジン13の始動を伴う動作点(i,j)への遷移が含まれるときに、初期値の変換係数Kを用いて、エンジン13の始動を伴う動作点(i,j)への遷移について、エンジン13の始動に係る等価燃料消費FCeqである始動時等価燃料消費FCeq-startが、モータリング回転数“r”を変えて複数算出される。そして、最適モータリング回転数は、始動時等価燃料消費FCeq-startが最小となるときのモータリング回転数に決定される。その後、遷移パターンにしたがってエンジン13を動作させるときに、バッテリ11の充電率(SOC)に課される制約を満たすか否かが判別され、制約が満たされないと判別されたときに、変換係数Kを変更して、遷移パターンを再決定するように反復計算が行われる。
このように、第1の方法で第2実施形態のエンジン始動方法を実行するときに、変換係数Kを可変にすると、第1の方法による利点を享受し、かつ、SOCに対して課される制約を満たしつつ、エンジン13の駆動がエネルギー消費を低減した状態に最適化される。
また、図16の変形例に係るエンジン始動方法では、現在の走行パターン及び/または将来における走行パターンに応じて、変換係数Kが所定の初期値に設定される。そして、この初期値の変換係数Kを用いて、遷移し得るエンジン13の動作点(i,j)ごとに、遷移に必要な等価燃料消費FCeqである基本等価燃料消費FCeq-basicが算出される。また、動作点(i,j)の遷移がエンジン13の始動を伴うときに、初期値の変換係数Kを用いて、エンジン13の始動を伴う動作点(i,j)への遷移について、エンジン13の始動に係る等価燃料消費FCeqである始動時等価燃料消費FCeq-startが、モータリング回転数“r”を変えて複数算出される。このとき、最適モータリング回転数は、エンジン13の始動を伴う動作点(i,j)への遷移ごとに、始動時等価燃料消費FCeq-startを最小とするモータリング回転数に決定される。また、時系列に定まる動作点(i,j)の遷移パターンごとに、基本等価燃料消費FCeq-basicと、最適モータリング回転数でエンジン13を始動するときの始動時等価燃料消費FCeq-startと、を加算することにより、総合等価燃料消費FCeq-allが算出される。そして、総合等価燃料消費FCeq-allが最小になるように、実行すべき遷移パターンが決定される。また、遷移パターンにしたがってエンジン13を動作させるときに、バッテリ11の充電率(SOC)に課される制約を満たすか否かが判別される。制約が満たされないと判別されたときに、変換係数Kを変更して、遷移パターンを再決定するように反復計算が行われる。
このように、第2の方法で第2実施形態のエンジン始動方法を実行するときに、変換係数Kを可変にすると、第2の方法による利点を享受し、かつ、SOCに対して課される制約を満たしつつ、エンジン13の駆動がエネルギー消費を低減した状態に最適化される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態及び各変形例で説明した構成は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
10 :モータ
11 :バッテリ
12 :ジェネレータ
13 :エンジン
14 :補機
20 :コントローラ
21 :走行パターン分析部
22 :SOC算出部
23 :始動プロファイル切替部

Claims (8)

  1. バッテリから供給される電力によって駆動力を発生するモータと、前記バッテリに供給する電力を生成するジェネレータと、前記ジェネレータを駆動するエンジンと、を有する車両で実行され、前記エンジンを始動させるときに、前記ジェネレータを用いて前記エンジンをモータリングした後に、燃料を使用して前記エンジンを駆動することにより、前記エンジンの目標とする動作点に到達させるエンジン始動制御方法であって、
    前記モータリングによって到達させる前記エンジンの回転数であるモータリング回転数を低く設定する低回転始動と、前記モータリング回転数を高く設定する高回転始動と、のいずれかで前記エンジンを始動させ、
    前記車両の将来における走行パターンを予測し、
    前記車両の現在の走行パターンに係る分析、及び、前記将来における走行パターンの予測に基づいて、制御に関する時間的な所定区間について、前記バッテリの充電率を算出し、
    前記所定区間における前記バッテリの充電率が予め定める所定値よりも増加すると予測されるときには、前記所定区間における前記エンジンの始動は前記高回転始動によって行い、
    前記所定区間における前記バッテリの充電率が前記所定値よりも減少すると予測されるときには、前記所定区間における前記エンジンの始動は前記低回転始動によって行い、
    前記所定区間における前記バッテリの充電率を、前記バッテリの電力消費を前記燃料の消費に等価変換する変換係数で表し、
    前記変換係数を用いて、前記電力消費と前記燃料の消費とを合わせたエネルギー消費を前記燃料の消費に換算した等価燃料消費を算出し、
    前記等価燃料消費を最小化する条件で、前記モータリング回転数を決定する、
    エンジン始動制御方法。
  2. 請求項に記載のエンジン始動制御方法であって、
    前記モータリング回転数を変えて、複数の前記等価燃料消費を算出し、
    算出された複数の前記等価燃料消費に基づいて、前記等価燃料消費が最小となるときの前記モータリング回転数である最適モータリング回転数を決定し、
    前記エンジンを始動させるときには、前記最適モータリング回転数まで前記エンジンをモータリングする、
    エンジン始動制御方法。
  3. 請求項に記載のエンジン始動制御方法であって、
    前記所定区間において遷移し得る前記エンジンの動作点ごとに、前記遷移に必要な前記等価燃料消費である基本等価燃料消費を算出し、
    前記基本等価燃料消費の総和が最小になるように、時系列に定まる前記動作点の遷移パターンを決定し、
    前記遷移パターンにおいて、前記エンジンの始動を伴う前記動作点への遷移が含まれるときに、前記エンジンの始動を伴う前記動作点への遷移について、前記エンジンの始動に係る前記等価燃料消費である始動時等価燃料消費を、前記モータリング回転数を変えて複数算出し、
    前記最適モータリング回転数は、前記始動時等価燃料消費が最小となるときの前記モータリング回転数に決定される、
    エンジン始動制御方法。
  4. 請求項に記載のエンジン始動制御方法であって、
    前記所定区間において遷移し得る前記エンジンの動作点ごとに、前記遷移に必要な前記等価燃料消費である基本等価燃料消費を算出し、
    前記動作点の遷移が前記エンジンの始動を伴うときに、前記エンジンの始動を伴う前記動作点への遷移について、前記エンジンの始動に係る前記等価燃料消費である始動時等価燃料消費を、前記モータリング回転数を変えて複数算出し、
    前記最適モータリング回転数は、前記エンジンの始動を伴う前記動作点への遷移ごとに、前記始動時等価燃料消費を最小とする前記モータリング回転数に決定され、
    時系列に定まる前記動作点の遷移パターンごとに、前記基本等価燃料消費と、前記最適モータリング回転数で前記エンジンを始動するときの前記始動時等価燃料消費と、を加算することにより、総合等価燃料消費を算出し、
    前記総合等価燃料消費が最小になるように、実行すべき前記遷移パターンを決定する、
    エンジン始動制御方法。
  5. 請求項に記載のエンジン始動制御方法であって、
    前記変換係数を、前記現在の走行パターン及び/または前記将来における走行パターンに応じて可変とし、
    前記等価燃料消費を、前記モータリング回転数と前記変換係数を変更する反復計算によって算出する、
    エンジン始動制御方法。
  6. 請求項に記載のエンジン始動制御方法であって、
    前記現在の走行パターン及び/または前記将来における走行パターンに応じて、前記変換係数を所定の初期値に設定し、
    前記初期値の前記変換係数を用いて、遷移し得る前記エンジンの動作点ごとに、前記遷移に必要な前記等価燃料消費である基本等価燃料消費を算出し、
    前記基本等価燃料消費の総和が最小になるように、時系列に定まる前記動作点の遷移パターンを決定し、
    前記遷移パターンにおいて、前記エンジンの始動を伴う前記動作点への遷移が含まれるときに、前記初期値の前記変換係数を用いて、前記エンジンの始動を伴う前記動作点への遷移について、前記エンジンの始動に係る前記等価燃料消費である始動時等価燃料消費を、前記モータリング回転数を変えて複数算出し、
    前記最適モータリング回転数は、前記始動時等価燃料消費が最小となるときの前記モータリング回転数に決定され、
    前記遷移パターンにしたがって前記エンジンを動作させるときに、前記バッテリの充電率に課される制約を満たすか否かを判別し、
    前記制約が満たされないと判別されたときに、前記変換係数を変更して、前記遷移パターンを再決定するように前記反復計算を行う、
    エンジン始動制御方法。
  7. 請求項に記載のエンジン始動制御方法であって、
    前記現在の走行パターン及び/または前記将来における走行パターンに応じて、前記変換係数を所定の初期値に設定し、
    前記初期値の前記変換係数を用いて、遷移し得る前記エンジンの動作点ごとに、前記遷移に必要な前記等価燃料消費である基本等価燃料消費を算出し、
    前記動作点の遷移が前記エンジンの始動を伴うときに、前記初期値の前記変換係数を用いて、前記エンジンの始動を伴う前記動作点への遷移について、前記エンジンの始動に係る前記等価燃料消費である始動時等価燃料消費を、前記モータリング回転数を変えて複数算出し、
    前記最適モータリング回転数は、前記エンジンの始動を伴う前記動作点への遷移ごとに、前記始動時等価燃料消費を最小とする前記モータリング回転数に決定され、
    時系列に定まる前記動作点の遷移パターンごとに、前記基本等価燃料消費と、前記最適モータリング回転数で前記エンジンを始動するときの前記始動時等価燃料消費と、を加算することにより、総合等価燃料消費を算出し、
    前記総合等価燃料消費が最小になるように、実行すべき前記遷移パターンを決定し、
    前記遷移パターンにしたがって前記エンジンを動作させるときに、前記バッテリの充電率に課される制約を満たすか否かを判別し、
    前記制約が満たされないと判別されたときに、前記変換係数を変更して、前記遷移パターンを再決定するように前記反復計算を行う、
    エンジン始動制御方法。
  8. バッテリから供給される電力によって駆動力を発生するモータと、前記バッテリに供給する電力を生成するジェネレータと、前記ジェネレータを駆動するエンジンと、を有する車両に設けられ、前記エンジンを始動させるときに、前記ジェネレータを用いて前記エンジンをモータリングした後に、燃料を使用して前記エンジンを駆動することにより、前記エンジンの目標とする動作点に到達させるように制御するエンジン始動制御装置であって、
    前記モータリングによって到達させる前記エンジンの回転数であるモータリング回転数を低く設定する低回転始動と、前記モータリング回転数を高く設定する高回転始動と、のいずれかで前記エンジンを始動させ、
    前記車両の将来における走行パターンを予測し、
    前記車両の現在の走行パターンに係る分析、及び、前記将来における走行パターンの予測に基づいて、制御に関する時間的な所定区間について、前記バッテリの充電率を算出し、
    前記所定区間における前記バッテリの充電率が予め定める所定値よりも増加すると予測されるときには、前記所定区間における前記エンジンの始動は前記高回転始動によって行い、
    前記所定区間における前記バッテリの充電率が前記所定値よりも減少すると予測されるときには、前記所定区間における前記エンジンの始動は前記低回転始動によって行い、
    前記所定区間における前記バッテリの充電率を、前記バッテリの電力消費を前記燃料の消費に等価変換する変換係数で表し、
    前記変換係数を用いて、前記電力消費と前記燃料の消費とを合わせたエネルギー消費を前記燃料の消費に換算した等価燃料消費を算出し、
    前記等価燃料消費を最小化する条件で、前記モータリング回転数を決定する、
    エンジン始動制御装置。
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