JP5104708B2 - ハイブリッド車両の制御装置および制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも内燃機関を1つの動力源とするハイブリッド車両の制御に関し、特に、内燃機関の冷却水の温度制御に関する。
エンジンおよびモータの少なくともいずれかを動力源とするハイブリッド車両が実用化されている。このようなハイブリッド車両の制御技術が、たとえば特開2008−109840号公報(特許文献1)、特許第3915689号公報(特許文献2)に開示されている。
特開2008−109840号公報は、複数の蓄電装置を備えたハイブリッド車両において、複数の蓄電装置の充放電特性が異なる場合にも、システムの性能を最大限に引出すことが可能な電源システムを開示する。特開2008−109840号公報に開示された電源システムは、負荷装置と電力を授受可能な電源システムであって、充電可能な複数の蓄電装置と、電源システムと負荷装置との間で電力を授受するための電力線と、複数の蓄電装置に対応して設けられ、各々が対応の蓄電装置と電力線との間で電圧変換を行なう複数のコンバータと、複数のコンバータを制御する制御装置とを備える。制御装置は、複数の蓄電装置からの放電電力の分配率を算出する第1の演算、および、複数の蓄電装置への充電電力の分配率を算出する第2の演算の少なくとも一方を実行する分配率算出部と、電源システムから負荷装置への給電時に放電電力分配率に従って複数のコンバータを制御する第1の制御、および、負荷装置から電源システムへの給電時に充電電力分配率に従って複数のコンバータを制御する第2の制御の少なくとも一方を実行するコンバータ制御部とを含む。第1の演算では、許容放電電力が制限される充電状態までの残存電力量が複数の蓄電装置の各々について算出され、複数の蓄電装置間における残存電力量の比率に応じて放電電力分配率が算出される。第2の演算では、許容充電電力が制限される充電状態までの充電許容量が複数の蓄電装置の各々について算出され、複数の蓄電装置間における充電許容量の比率に応じて充電電力分配率が算出される。
特開2008−109840号公報に開示された電源システムによると、許容放電電力が制限される充電状態(SOC)までの残存電力量が各蓄電装置について算出され、その残存電力量の比率に応じて複数の蓄電装置からの放電電力の分配率が算出される。そして、電源システムから負荷装置への給電時、放電電力分配率に従って複数のコンバータが制御されるので、いずれかの蓄電装置において他の蓄電装置よりも早く放電限界に達してしまうケースが抑制される。また、許容充電電力が制限される充電状態(SOC)までの充電許容量が各蓄電装置について算出され、その充電許容量の比率に応じて複数の蓄電装置への充電電力の分配率が算出される。そして、負荷装置から電源システムへの給電時、充電電力分配率に従って複数のコンバータが制御されるので、いずれかの蓄電装置において他の蓄電装置よりも早く充電限界に達してしまうケースが抑制される。したがって、電源システム全体としての最大の充放電特性を得ることができる機会が最大となる。その結果、複数の蓄電装置の充放電特性が異なる場合にも、電源システムの性能を最大限に発揮することができる。
特許第3915689号公報は、燃料の燃焼によって作動するエンジンと蓄電器から電力の供給を受けて動作するモータとを動力源として備えたバイブリッド車両のエネルギ効率を向上させる制御装置を開示する。特許第3915689号公報に開示された制御装置は、エンジンに対する要求出力が停止閾値を下回った場合にエンジンの運転を停止させる処理を実行する停止制御部と、低負荷領域ではエンジンを冷却する冷却水の温度を高くする高温制御を実行し、高負荷領域では冷却水の温度を低くする低温制御を実行する水温制御部と、低温制御中は高温制御中と比較して停止閾値を高く設定する停止閾値制御部と、を備える。
特許第3915689号公報に開示された制御装置によると、低温制御中にエンジンに対する要求出力が低下して低負荷領域に移行すると、高温制御が実行されるが、冷却水の温度制御の応答遅れにより、実際に冷却水の温度が高温域に達するまでにはある程度の時間がかかるので、エンジン効率が悪い低負荷且つ低水温という状態が一時的に生じる。そこで、低温制御中は停止閾値を高温制御中と比較して高く設定する。これにより、低温制御中にエンジンの要求出力が低下したときに、エンジンが停止し易くなる。そのため、エンジン効率が悪い低負荷且つ低水温の状態でエンジンを運転する頻度を低減することが可能となる。
特開2008−109840号公報 特許第3915689号公報
ところで、ハイブリッド車両においてエンジンを運転させる場合、通常、エンジンの冷却水温がしきい値よりも低いときは、エンジンストールの防止などの理由でエンジンへの燃料供給量を通常よりも増量する暖機制御が行なわれる。ハイブリッド車両では、燃費向上を図るためにエンジンを停止させてモータの動力で車両を走行させる場合があるが、エンジンの停止時間が長くなりエンジンの冷却水温が上述のしきい値よりも低下した場合、その後のエンジンの再始動時に再び暖機制御を行なう必要がある。暖機制御はエンジンの暖機のために多量の燃料を消費するので、暖機制御の実行は燃費悪化の1つの要因となる。
しかしながら、特開2008−109840号公報および特許第3915689号公報のいずれにおいても、このような問題については何ら考慮されていない。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、内燃機関および回転電機の少なくともいずれかの動力で走行するハイブリッド車両において、内燃機関の暖機のために消費される燃料の量を低減することができる制御装置および制御方法を提供することである。
第1の発明に係る制御装置は、内燃機関および回転電機の少なくともいずれかの動力で走行するハイブリッド車両の制御装置である。ハイブリッド車両の走行中においては、内燃機関および回転電機の双方の動力でハイブリッド車両を走行させるハイブリッド走行制御、および内燃機関を停止させて回転電機の動力でハイブリッド車両を走行させる電気走行制御のいずれかの走行制御が実行されるとともに、ハイブリッド走行制御において内燃機関を運転する際、内燃機関の冷却水の温度が予め定められたしきい値よりも低いときに内燃機関への燃料供給量を増加させる暖機制御が行なわれる。制御装置は、内燃機関の冷却水の温度を調整する水温調整装置と、水温調整装置に接続された制御部とを含む。制御部は、電気走行制御の実行によって内燃機関が停止している停止時間を予測する予測部と、予測された停止時間が第1時間である場合、予測された停止時間が第1時間よりも短い第2時間である場合に比べて、冷却水の温度を高く維持するように、水温調整装置を制御する水温制御部とを含む。
第2の発明に係る制御装置においては、水温調整装置は、冷却水を冷却する冷却装置である。水温制御部は、冷却水の温度が予め定められた目標温度を超えた場合に冷却装置を作動させるとともに、予測された停止時間が第1時間である場合、予測された停止時間が第2時間である場合に比べて、目標温度を高い値に設定する。
第3の発明に係る制御装置においては、制御装置は、外気温を検出するセンサをさらに含む。水温制御部は、予測された停止時間に加えて、外気温が低いほど目標温度を高い値に設定する。
第4の発明に係る制御装置においては、ハイブリッド車両には、回転電機に電力を供給する蓄電装置が備えられる。予測部は、蓄電装置の充電状態を示す値を算出し、算出した充電状態を示す値が高いほど、停止時間が長いと予測する。
第5の発明に係る制御装置においては、ハイブリッド車両には、走行ルートの勾配情報を検出するナビゲーション装置が備えられる。予測部は、走行ルートの勾配情報のうち降坂路を示す情報の割合が多いほど、停止時間が長いと予測する。
第6の発明に係る制御装置においては、ハイブリッド車両には、電気走行制御を要求していることを示す電気走行要求を運転者が入力する入力部が備えられる。予測部は、電気走行要求がある場合、電気走行要求がない場合に比べて、停止時間が長いと予測する。
第7の発明に係る制御装置は、内燃機関および回転電機の少なくともいずれかの動力で走行するハイブリッド車両の制御装置である。ハイブリッド車両の走行中においては、内燃機関および回転電機の双方の動力でハイブリッド車両を走行させるハイブリッド走行制御、および内燃機関を停止させて回転電機の動力でハイブリッド車両を走行させる電気走行制御のいずれかの走行制御が実行されるとともに、ハイブリッド走行制御において内燃機関を運転する際、内燃機関の冷却水の温度が予め定められたしきい値よりも低いときに内燃機関への燃料供給量を増加させる暖機制御が行なわれる。制御装置は、内燃機関の冷却水を冷却する冷却装置と、冷却装置に接続された制御部とを含む。制御部は、電気走行制御の実行によって内燃機関が停止している停止時間を予測するためのパラメータ情報を取得し、取得したパラメータ情報に基づいて停止時間を予測し、予測された停止時間が長いほどおよび外気温が低いほど冷却水の目標温度を高い値に設定し、冷却水の温度が目標温度を超えた場合に冷却装置を作動させ、冷却水の温度が目標温度を超えない場合に冷却装置を停止させる。
第8の発明に係る制御装置は、内燃機関および回転電機の少なくともいずれかの動力で走行するハイブリッド車両の制御装置が行なう制御方法である。ハイブリッド車両の走行中においては、内燃機関および回転電機の双方の動力でハイブリッド車両を走行させるハイブリッド走行制御、および内燃機関を停止させて回転電機の動力でハイブリッド車両を走行させる電気走行制御のいずれかの走行制御が実行されるとともに、ハイブリッド走行制御において内燃機関を運転する際、内燃機関の冷却水の温度が予め定められたしきい値よりも低いときに内燃機関への燃料供給量を増加させる暖機制御が行なわれる。制御装置には、内燃機関の冷却水の温度を調整する水温調整装置が接続される。制御方法は、電気走行制御の実行によって内燃機関が停止している停止時間を予測するステップと、予測された停止時間が第1時間である場合、予測された停止時間が第1時間よりも短い第2時間である場合に比べて、冷却水の温度を高く維持するように、水温調整装置を制御するステップとを含む。
本発明によれば、電気走行制御の実行によって内燃機関が停止している停止時間を予測し、予測された停止時間が第1時間である場合、予測された停止時間が第1時間よりも短い第2時間である場合に比べて、冷却水の温度を高く維持するように、水温制御装置を制御する。これにより、電気走行制御を積極的に行なった場合においても、その後に内燃機関を再始動させる際に暖機制御が行なわれにくくなる。そのため、エンジンの暖機のために消費される燃料の量を低減することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
図1を参照して、本実施の形態に係る制御装置を備えたハイブリッド車両全体の制御ブロック図を説明する。なお、本発明に係る制御装置を適用できる車両は、少なくともエンジンを一時的に停止した状態での走行が可能な車両であれば、図1に示すハイブリッド車両に限定されない。
ハイブリッド車両は、エンジン120と、モータジェネレータ140A(MG(2)140A)と、モータジェネレータ140B(MG(1)140B)とを含む。なお、以下、MG(2)140AとMG(1)140Bとを区別することなく「モータジェネレータ140」とも記載する。
さらに、ハイブリッド車両は、エンジン120やモータジェネレータ140で発生した動力を駆動輪180に伝達したり、駆動輪180の駆動をエンジン120やモータジェネレータ140に伝達したりする減速機160と、入力軸210がエンジン120のクランクシャフトに接続され、エンジン120の発生する動力を出力軸220経由で駆動輪180に伝達される経路とMG(1)140Bに伝達される経路とに分配する動力分割機構200と、モータジェネレータ140を駆動するための電力を蓄電するバッテリ150と、バッテリ150の直流電力とMG(2)140AおよびMG(1)140Bの交流電力とを互いに変換しながら電流制御を行なうインバータ154と、ハイブリッド車両が最も効率よく運行できるようにハイブリッドシステム全体を制御するECU8000等を含む。
ハイブリッド車両は、エンジン120を停止させてモータジェネレータ140の動力を用いて走行する電気自動車走行(以下「EV走行」ともいう)と、エンジン120およびモータジェネレータ140の双方の動力を用いて走行するハイブリッド走行(以下「HV走行」ともいう)とが可能である。
エンジン120は、インジェクタ(図示せず)から噴射された燃料と空気との混合気を、シリンダの燃焼室内で燃焼させる内燃機関である。エンジン120の内部には、冷却水が流れるウォータジャケットが形成されている。この冷却水は、ECU8000によって制御される電動ポンプ132が作動することによって、エンジン120とラジエータ130との間を循環する。エンジン120の熱を吸収したエンジン冷却水は、ラジエータ130に入り、ラジエータ130で冷却された後、再びエンジン120に戻される。なお、電動ポンプ132は、少なくともエンジン120の運転中においては常時作動される。
さらに、ハイブリッド車両には、エンジン120の冷却水の温度を調整する他の装置として、切換弁133と冷却ファン131とが設けられる。
切換弁133は、内部を流れる冷却水の温度に応じて機械的に作動する弁(いわゆるサーモスタット)であり、エンジン120とラジエータ130との間の冷却水の循環路の一部に設けられる。切換弁133は、内部を流れる冷却水の温度が所定温度よりも高い場合、冷却水をラジエータ130を経由させて循環させるように作動する。これにより、冷却水がラジエータ130で冷却される。一方、切換弁133は、内部を流れる冷却水の温度が所定温度よりも低い場合、冷却水をバイパス路134を経由させて(ラジエータ130を経由させずに)循環させるように作動する。これにより、冷却水がラジエータ130で冷却されないため、冷却水の温度が速やかに上昇しエンジン120が速やかに暖機される。
冷却ファン131は、ラジエータ130の近傍に設けられる。冷却ファン131は、ECU8000によって制御される。冷却ファン131の作動によって、ラジエータ130が冷却され、ラジエータ130の放熱効率(ラジエータ130を流れる冷却水の熱を外気に放出させる効率)が向上する。
モータジェネレータ140は、ハイブリッド車両の走行状態に応じて、ジェネレータとして機能したりモータとして機能したりする。モータジェネレータ140の回転軸は、ドライブシャフト170を経由して、駆動輪180に駆動力を伝達する。車両は、モータジェネレータ140からの駆動力により走行する。モータジェネレータ140がジェネレータとして機能する場合に回生制動が行なわれる。モータジェネレータ140がジェネレータとして機能するときには、車両の運動エネルギが電気エネルギに変換されて、車両が減速される。
インバータ154は、モータジェネレータ140をモータとして機能させる場合、バッテリ150の直流電力を交流電力に変換し、モータジェネレータ140に供給する。インバータ154は、モータジェネレータ140に供給する電力を制御することにより、モータジェネレータ140がECU8000からの制御信号で要求される回転数および回転方向になるように制御する。
さらに、バッテリ150とインバータ154との間には、昇圧コンバータ152が設けられている。これは、バッテリ150の定格電圧が、MG(2)140AやMG(1)140Bの定格電圧よりも低いので、バッテリ150からMG(2)140AやMG(1)140Bに電力を供給するときには、昇圧コンバータ152で電力を昇圧する。なお、MG(2)140AやMG(1)140Bで発電した電力をバッテリ150に充電する場合には、昇圧コンバータで電力を降圧する。
ECU8000には、レゾルバ回路142A,142Bと、シフトポジションセンサ504と、アクセル開度センサ508と、エンジン回転数センサ510と、車速センサ512と、ブレーキ踏力センサ516と、エンジン水温センサ524と、外気温センサ522と、監視ユニット156とがハーネスなどを経由して接続されている。
レゾルバ回路142Aは、MG(2)140Aのロータの回転位置θ2を検出する。レゾルバ回路142Bは、MG(1)140Bのロータの回転位置θ1を検出する。シフトポジションセンサ504は、シフトゲート100に形成されたシフト通路に沿って移動可能に設けられるシフトレバー502の位置(シフトポジションSP)を検出する。アクセル開度センサ508は、アクセルペダル506の開度(アクセル開度ACC)を検出する。エンジン回転数センサ510は、エンジン120の出力軸であるクランクシャフトの回転数(エンジン回転数NE)を検出する。車速センサ512は、ドライブシャフト170の回転数を車速Vとして検出する。ブレーキ踏力センサ516は、運転者によるブレーキペダル514の踏み込み力(ブレーキ踏力Fb)を検出する。エンジン水温センサ524は、エンジン冷却水の温度(エンジン水温)TWを検出する。外気温センサ522は、外気温Toutを検出する。監視ユニット156は、バッテリ150の状態(バッテリ電圧値VB、バッテリ電流値IB、バッテリ温度TBなど)を検出する。各センサは、検出結果を表わす信号をECU8000に送信する。
さらに、ECU8000には、EVスイッチ518と、ナビゲーション装置520とが接続される。
EVスイッチ518は、上述のEV走行を運転者が要求するときに運転者によって操作されるスイッチである。運転者によってEVスイッチ518がオンされると、EVスイッチ518は、運転者がEV走行を要求していることを示すEV要求信号をECU8000に送信する。
ナビゲーション装置520は、ハイブリッド車両の走行位置をGPS(Global Positioning System)を用いて検出し、検出した走行位置と予め記憶された地図情報とに基づいて、ハイブリッド車両の目的地までの走行ルートや走行ルートの勾配情報を検出し、検出結果をECU8000に送信する。
ECU8000は、各センサ、EVスイッチ518、ナビゲーション装置520などから送られてきた信号、ROM(Read Only Memory)に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、車両が所望の走行状態となるように、機器類を制御する。
図2に、ECU8000がEV走行とHV走行との選択を行なう際に実行するプログラムの制御構造を示す。図2に示すように、ECU8000は、EV走行が可能か否かを判断する(ステップ(以下、ステップをSと略す)1)。この判断では、たとえば、バッテリ150の充電状態を示すSOC(State Of Charge)が十分に高い場合、EV要求信号が検出された場合、走行ルートの勾配情報が降坂路を示す場合などには、EV走行が可能と判断される頻度が多くなる。ECU8000は、燃費を向上させるために、EV走行が可能である場合(S1にてYES)にはエンジン120を停止してEV走行を行ない(S2)、そうでない場合(S1にてNO)にはエンジン120を運転させてHV走行を行なう(S3)。このEV走行とHV走行との間の切換によって、エンジン120の間欠運転(エンジン120を一時的に停止させる運転)が行なわれる。
図3に、ECU8000が暖機運転と通常運転との選択を行なう際に実行するプログラムの制御構造を示す。図3に示すように、ECU8000は、エンジン120が運転中である場合(S10にてYES)、エンジン水温TWがしきい値TWlow(たとえば80度)よりも低いか否かを判断し(S20)、TW<TWlowである場合(S20にてYES)、エンジンストールを防止するなどの理由でエンジン120への燃料供給量を通常制御時よりも増量する暖機制御を行ない(S30)、そうでない場合(S20にてNO)、通常制御を行なう(S40)。
これらの制御を実行することにより、たとえば、バッテリ150のSOCが十分に高い場合、EV要求信号が検出された場合、目的地までの走行ルートの勾配情報が降坂路が続くことを示す場合などには、以降の走行においてEV走行(S2)が行なわれる頻度が多くなることが予想される。EV走行が行なわれる頻度が多くなると、エンジン120の停止時間が長くなり、エンジン水温TWがしきい値TWlowよりも低下してしまう場合(S20にてYES)が考えられる。この場合、エンジン120の運転時(再始動時)に上述の暖機制御(S30)が行なわれて、燃費が悪化することが懸念される。
そこで、本実施の形態に係る制御装置は、バッテリ150のSOC、EV要求信号の有無、走行ルートの勾配情報などに基づいて以降の走行でEV走行が行なわれる頻度あるいはEV走行が継続する時間を予測し、EV走行の頻度が多いあるいはEV走行の継続時間が長いと予想される場合、以降の走行でエンジン水温TWが低下することを考慮して、エンジン水温TWを予め高めに保つように冷却ファン131を制御する。
図4に、本実施の形態に係る車両の制御装置の機能ブロック図を示す。以下の説明においては、本実施の形態に係る車両の制御装置の機能をECU8000で実現する場合について説明する。なお、制御装置の機能をECU8000以外の他の機器で実現するようにしてもよい。
ECU8000は、各センサなどからの情報を受信する入力インターフェイス8100と、各種情報、プログラム、しきい値、マップ等が記憶され、必要に応じて演算処理部8200からデータが読み出されたり格納されたりする記憶部8300と、入力インターフェイス8100および記憶部8300からの情報に基づいて演算処理を行なう演算処理部8200と、演算処理部8200の処理結果を各機器に出力する出力インターフェイス8400とを含む。
演算処理部8200は、予測部8210と、設定部8220と、制御部8230とを含む。
予測部8210は、バッテリ150のSOC、EV要求信号の有無、目的地までの走行ルートの勾配情報などをパラメータとして、以降の走行におけるEV走行の頻度あるいはEV走行の継続時間を予測する。予測部8210は、バッテリ電圧値VBおよびバッテリ電流値IBに基づいてバッテリ150のSOCを算出し、SOCが高いほど、EV走行の頻度が高い、あるいはEV走行の継続時間が長いと予測する。また、予測部8210は、EV要求信号が検出された場合は検出されない場合に比べて、EV走行頻度が高い、あるいはEV走行の継続時間が長いと予測する。また、予測部8210は、走行ルートの勾配情報のうち降坂路の割合が多いほどEV走行の頻度が高いと予測し、あるいは降坂路が連続して続く距離が長いほどEV走行の継続時間が長いと予測する。
図5に、EV走行の頻度の予測に用いられるマップを示す。図5に示すマップは、SOCおよび降坂路の割合をパラメータとしてエンジン停止予測時間を予め記憶したマップである。ここで、エンジン停止予測時間とは、所定時間(たとえば目的地到着までの時間)が経過するまでにエンジン120が停止されると予測される時間の合計を示すもので、EV走行の頻度に対応する値である。なお、エンジン停止予測時間を、エンジン120の停止が継続される時間を示すものとして、EV走行の継続時間に対応する値に設定してもよい。図5に示すように、エンジン停止予測時間は、SOCが高いほど、また降坂路の割合が多いほど、長い時間に設定される。このようなマップは、EV要求信号の有無などの走行パターンに応じて複数設けられて予め記憶部8300に記憶される。予測部8210は、EV要求信号の有無などに基づいて走行パターンに応じたマップを選択し、選択したマップ、SOC、勾配情報に基づいて、エンジン停止予測時間を算出する。なお、図5に示すマップは一例であってこれに限定されるものではない。
図4に戻って、設定部8220は、外気温Tout、および予測部8210で算出されたエンジン停止予測時間に基づいて、エンジン水温目標値TWtagを設定する。
図6に、エンジン水温目標値TWtagの設定に用いられるマップを示す。図6に示すマップは、外気温Toutおよびエンジン停止予測時間をパラメータとしてエンジン水温目標値TWtagを予め記憶したマップである。図6においては、エンジン停止予測時間が長いほど(すなわちEV走行の頻度が多いあるいはEV走行の継続時間が長いほど)、エンジン水温目標値TWtagが高い値に設定される。このようにエンジン停止予測時間が長いほどエンジン水温目標値TWtagが高い値に設定されるのは、以降の走行においてエンジン停止によってエンジン水温TWが低下した場合であっても、その後のエンジン再始動時のエンジン水温TWが上述のしきい値TWlowよりも低下することを防止するためである。また、エンジン停止予測時間が同じ場合であっても外気温Toutが低いほどエンジン水温TWが早期に低下することを考慮して、外気温Toutが低いほどエンジン水温目標値TWtagが高い値に設定される。図6に示すマップは、予め記憶部8300に記憶される。設定部8220は、外気温Tout、および予測部8210で算出されたエンジン停止予測時間に基づいて、エンジン水温目標値TWtagを設定する。なお、図6に示すマップは一例であってこれに限定されるものではない。
図4に戻って、制御部8230は、エンジン水温TWと設定部8220によって設定されたエンジン水温目標値TWtagとに基づいて、冷却ファン131を制御する。制御部8230は、TW>TWtagの場合に冷却ファン131を作動させて、ラジエータ130の放熱効率を向上させる。また、制御部8230は、TW<TWtagの場合に冷却ファン131を停止させる。
なお、上述した各機能は、ソフトウェアによって実現されるようにしてもよく、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。以下の説明では、上述した機能がソフトウェアによって実現される場合(具体的には、演算処理部8200であるCPUが記憶部8300に記憶されたプログラムを実行することによって上述した機能が実現される場合)について説明する。
以下、図7を参照して、ECU8000が実行するプログラムの制御構造について説明する。このプログラムは、予め定められたサイクルタイムで繰り返し実行される。
S100にて、ECU8000は、エンジン停止予測時間の算出に必要なパラメータ情報を取得する。パラメータ情報とは、EV要求信号の有無、バッテリ150のSOC、走行ルートの勾配情報のうちの降坂路の割合などである。すなわち、ECU8000は、EV要求信号の検出、バッテリ150のSOCの算出、走行ルートの勾配情報のうちの降坂路の割合の算出を行なう。
S102にて、ECU8000は、取得したパラメータ情報、上述の図5に示したマップなどに基づいて、エンジン停止予測時間を算出する。すなわち、ECU8000は、バッテリ150のSOCが高いほど、また走行ルートの勾配情報のうち降坂路の割合が多いほど、エンジン停止予測時間を長く算出する。また、ECU8000は、EV要求信号が検出された場合は検出されない場合に比べて、エンジン停止予測時間を長く算出する。
S104にて、ECU8000は、エンジン停止予測時間、外気温Tout、および上述の図6に示したマップとに基づいて、エンジン水温目標値TWtagを設定する。すなわち、ECU8000は、以降の走行において、エンジン停止によってエンジン水温TWが低下した場合であっても、その後のエンジン再始動時のエンジン水温TWが上述のしきい値TWlow(暖機制御が行なわれるしきい値)よりも低下することを防止するために、エンジン停止予測時間が長いほど、エンジン水温目標値TWtagを予め高い値に設定する。また、ECU8000は、外気温Toutが低いほどエンジン水温TWが早期に低下することを考慮して、外気温Toutが低いほどエンジン水温目標値TWtagを予め高い値に設定する。
S106にて、ECU8000は、エンジン水温TWがエンジン水温目標値TWtagよりも高いか否かを判断する。エンジン水温TWがエンジン水温目標値TWtagよりも高いと(S106にてYES)、処理はS108に移される。そうでないと(S106にてNO)、処理はS110に移される。
S108にて、ECU8000は、冷却ファン131を作動させる。S110にて、ECU8000は、冷却ファン131を停止させる。
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両の制御装置であるECU8000の動作について説明する。
バッテリ150のSOCが十分に高い場合、EV要求信号が検出された場合、走行ルートの勾配情報が降坂路を示す場合などには、EV走行可能との判断(S1にてYES)が行われやすくなる。これにより、エンジン120を停止してEV走行(S2)が行われる頻度が多くなり、またEV走行(S2)が継続して行なわれる時間も高くなる。この影響で、エンジン120の停止時間が長くなり、エンジン水温TWが低下する。その後のエンジン始動時のエンジン水温TWがしきい値TWlowよりも低下していると(S20にてYES)、上述の暖機制御(S30)が行なわれて燃費が悪化する。
そこで、ECU8000は、以降の走行でEV走行が行なわれる頻度あるいは継続時間を示す値としてエンジン停止予測時間を算出する(S100、S104)。そして、ECU8000は、図6のマップに示したように、エンジン停止予測時間が長いほど、エンジン水温目標値TWtagを予め高い値に設定し(S104)、エンジン水温TWがエンジン水温目標値TWtagを超えないように冷却ファン131を制御する(S106、108、S110)。
これにより、EV走行が可能な場合は極力EV走行を行ないつつ、EV走行によってエンジン水温TWが低下した場合であっても、その後のエンジン再始動時のエンジン水温TWが上述のしきい値TWlow(暖機制御が行なわれるしきい値)よりも低下することが防止されやすくなる。そのため、EV走行を積極的に行ないつつ、その後のHV走行(エンジン再始動)時の暖機制御の抑制あるいは暖機制御の継続時間の短縮化を図ることができ、燃費を向上させることができる。
以上のように、本実施の形態に係る制御装置によると、以降の走行でEV走行が行なわれる頻度あるいは継続時間を予測し、EV走行の頻度が多いあるいはEV走行の継続時間が多いと予想される場合に、通常よりもエンジン水温TWを予め高めに保つように冷却ファン131を制御する。そのため、EV走行を積極的に行ないつつ、その後のHV走行時の暖機制御の抑制あるいは暖機制御時間の短縮が可能となるため、燃費を向上させることができる。
なお、本実施の形態においては、切換弁133を機械的に作動するサーモスタットとして説明したが、この切換弁133を、サーモスタットに代えて、ECU8000の制御信号によって電気的に作動する弁にしてもよい。このように切換弁133を電気的に作動する弁にした場合には、冷却ファン131と同様に、エンジン停止予測時間に応じて通常よりもエンジン水温TWを予め高めに保つように切換弁133を制御するようにしてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態に係る制御装置が搭載される車両の構造を示す図である。 ECUの制御構造を示すフローチャート(その1)である。 ECUの制御構造を示すフローチャート(その2)である。 本発明の実施の形態に係る制御装置であるECUの機能ブロック図である。 EV走行の頻度の予測に用いられるマップを示す図である。 エンジン水温目標値TWtagの設定に用いられるマップを示す図である。 ECUの制御構造を示すフローチャート(その3)である。
符号の説明
100 シフトゲート、120 エンジン、130 ラジエータ、131 冷却ファン、132 電動ポンプ、133 切換弁、134 バイパス路、140,140A,140B モータジェネレータ、142A,142B レゾルバ回路、150 バッテリ、152 昇圧コンバータ、154 インバータ、156 監視ユニット、160 減速機、170 ドライブシャフト、180 駆動輪、200 動力分割機構、210 入力軸、220 出力軸、502 シフトレバー、504 シフトポジションセンサ、506 アクセルペダル、508 アクセル開度センサ、510 エンジン回転数センサ、512 車速センサ、514 ブレーキペダル、516 ブレーキ踏力センサ、518 EVスイッチ、520 ナビゲーション装置、522 外気温センサ、524 エンジン水温センサ、8000 ECU、8100 入力インターフェイス、8200 演算処理部、8210 予測部、8220 設定部、8230 制御部、8300 記憶部、8400 出力インターフェイス。

Claims (8)

  1. 内燃機関および回転電機の少なくともいずれかの動力で走行するハイブリッド車両の制御装置であって、前記ハイブリッド車両の走行中においては、前記内燃機関および前記回転電機の双方の動力で前記ハイブリッド車両を走行させるハイブリッド走行制御、および前記内燃機関を停止させて前記回転電機の動力で前記ハイブリッド車両を走行させる電気走行制御のいずれかの走行制御が実行されるとともに、前記ハイブリッド走行制御において前記内燃機関を運転する際、前記内燃機関の冷却水の温度が予め定められたしきい値よりも低いときに前記内燃機関への燃料供給量を増加させる暖機制御が行なわれ、
    前記制御装置は、
    前記内燃機関の冷却水の温度を調整する水温調整装置と、
    前記水温調整装置に接続された制御部とを含み、
    前記制御部は、
    前記電気走行制御の実行によって前記内燃機関が停止している停止時間を予測する予測部と、
    前記予測された停止時間が第1時間である場合、前記予測された停止時間が前記第1時間よりも短い第2時間である場合に比べて、前記冷却水の温度を高く維持するように、前記水温調整装置を制御する水温制御部とを含む、ハイブリッド車両の制御装置。
  2. 前記水温調整装置は、前記冷却水を冷却する冷却装置であり、
    前記水温制御部は、前記冷却水の温度が予め定められた目標温度を超えた場合に前記冷却装置を作動させるとともに、前記予測された停止時間が第1時間である場合、前記予測された停止時間が前記第2時間である場合に比べて、前記目標温度を高い値に設定する、請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  3. 前記制御装置は、外気温を検出するセンサをさらに含み、
    前記水温制御部は、前記予測された停止時間に加えて、前記外気温が低いほど前記目標温度を高い値に設定する、請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  4. 前記ハイブリッド車両には、前記回転電機に電力を供給する蓄電装置が備えられ、
    前記予測部は、前記蓄電装置の充電状態を示す値を算出し、算出した前記充電状態を示す値が高いほど、前記停止時間が長いと予測する、請求項1〜3のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置。
  5. 前記ハイブリッド車両には、走行ルートの勾配情報を検出するナビゲーション装置が備えられ、
    前記予測部は、前記走行ルートの勾配情報のうち降坂路を示す情報の割合が多いほど、前記停止時間が長いと予測する、請求項1〜4のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置。
  6. 前記ハイブリッド車両には、前記電気走行制御を要求していることを示す電気走行要求を運転者が入力する入力部が備えられ、
    前記予測部は、前記電気走行要求がある場合、前記電気走行要求がない場合に比べて、前記停止時間が長いと予測する、請求項1〜5のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置。
  7. 内燃機関および回転電機の少なくともいずれかの動力で走行するハイブリッド車両の制御装置であって、前記ハイブリッド車両の走行中においては、前記内燃機関および前記回転電機の双方の動力で前記ハイブリッド車両を走行させるハイブリッド走行制御、および前記内燃機関を停止させて前記回転電機の動力で前記ハイブリッド車両を走行させる電気走行制御のいずれかの走行制御が実行されるとともに、前記ハイブリッド走行制御において前記内燃機関を運転する際、前記内燃機関の冷却水の温度が予め定められたしきい値よりも低いときに前記内燃機関への燃料供給量を増加させる暖機制御が行なわれ、
    前記制御装置は、
    前記内燃機関の冷却水を冷却する冷却装置と、
    前記冷却装置に接続された制御部とを含み、
    前記制御部は、前記電気走行制御の実行によって前記内燃機関が停止している停止時間を予測するためのパラメータ情報を取得し、取得した前記パラメータ情報に基づいて前記停止時間を予測し、前記予測された停止時間が長いほどおよび外気温が低いほど前記冷却水の目標温度を高い値に設定し、前記冷却水の温度が前記目標温度を超えた場合に前記冷却装置を作動させ、前記冷却水の温度が前記目標温度を超えない場合に前記冷却装置を停止させる、ハイブリッド車両の制御装置。
  8. 内燃機関および回転電機の少なくともいずれかの動力で走行するハイブリッド車両の制御装置が行なう制御方法であって、前記ハイブリッド車両の走行中においては、前記内燃機関および前記回転電機の双方の動力で前記ハイブリッド車両を走行させるハイブリッド走行制御、および前記内燃機関を停止させて前記回転電機の動力で前記ハイブリッド車両を走行させる電気走行制御のいずれかの走行制御が実行されるとともに、前記ハイブリッド走行制御において前記内燃機関を運転する際、前記内燃機関の冷却水の温度が予め定められたしきい値よりも低いときに前記内燃機関への燃料供給量を増加させる暖機制御が行なわれ、前記制御装置には、前記内燃機関の冷却水の温度を調整する水温調整装置が接続され、
    前記制御方法は、
    前記電気走行制御の実行によって前記内燃機関が停止している停止時間を予測するステップと、
    前記予測された停止時間が第1時間である場合、前記予測された停止時間が前記第1時間よりも短い第2時間である場合に比べて、前記冷却水の温度を高く維持するように、前記水温調整装置を制御するステップとを含む、ハイブリッド車両の制御方法。
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