JP7513645B2 - 銅超微粒子含有繊維又は不織布、及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銅超微粒子含有繊維又は不織布、及びその製造方法に関するものであり、より詳細には、金属銅超微粒子に由来する抗菌性能を備えた繊維又は不織布、及び金属銅超微粒子を効率よく熱可塑性樹脂中で生成可能な銅超微粒子含有繊維又は不織布の製造方法に関する。
金属超微粒子は、優れた抗菌性能や吸着性能を有することから、樹脂等に含有させてシートや繊維等の形状に成形して使用することが望まれているが、金属超微粒子は表面活性が高いことから、樹脂が分解されてしまい、成形性が著しく阻害されてしまうという問題がある。更に、ハンドリング性の点から分散液が必要であり、樹脂に配合するには十分満足するものではなかった。
このような問題を解決するために、本発明者等は、金属超微粒子表面に有機酸成分を存在させることにより、金属表面と樹脂との直接接触を低減させ、樹脂の分解を有効に抑制して、樹脂の分子量の低下等を低減することができ、成形性を阻害することがない、吸着性金属超微粒子を提案した(特許文献1)。
上記特許文献1においては、金属超微粒子の出発物質となる脂肪酸銀等の有機酸金属塩を熱可塑性樹脂に配合し、加熱混練することによって、熱可塑性樹脂中に金属超微粒子を均一分散させている。しかしながら、有機酸銅等の銅化合物の熱分解温度は銀化合物等に比して高いことから、銀超微粒子を有機酸銀等から熱可塑性樹脂中で生成することはできても、熱可塑性樹脂の劣化を生じることなく、銅超微粒子を熱可塑性樹脂中で生成することは容易でなかった。
また金属超微粒子を熱可塑性樹脂中で均一分散するために、出発物質である有機酸金属塩を高濃度で含有するマスターバッチを予め作成し、これを樹脂に配合することが一般的であり、これにより金属超微粒子の樹脂中での分散性を向上し、成形品の加工を容易にすることが可能になる。しかしながら、金属超微粒子はマスターバッチに含有された状態でも吸着性能及び抗菌性能等を発揮してしまうことから、マスターバッチを樹脂に配合して成形した成形物の吸着性能等が低下してしまうおそれがある。
このような問題を解決するために、本発明者等は、ポリオレフィン樹脂中に銀、銅、金等の有機酸金属塩を配合して成るマスターバッチを提案した(特許文献2)。このマスターバッチを樹脂に配合し、有機酸金属塩が熱分解可能な温度で加熱混練することにより、金属超微粒子が樹脂中で均一分散して成る樹脂成形体を形成可能になる。
特許第4448551号公報 特許第4948556号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載されたように、マスターバッチの状態で抗菌性能等が発揮されることを防止するため、熱可塑性樹脂に銅超微粒子の出発物質となる銅化合物をそのまま配合して成るマスターバッチでは、熱可塑性樹脂に配合して加熱混練しても、前述した場合と同様に、熱可塑性樹脂中に銅超微粒子を生成することは困難である。すなわち、上述したとおり、有機酸銅等の銅化合物は熱分解に要する熱量が高いことから、例えば300℃付近で、ポリオレフィン中で脂肪酸銅を加熱混練した場合には、樹脂の劣化が激しく、著しく成形性が低下して、金属銅を得られたとしても工業的に樹脂成形品を成形することができない。
その一方、融点がポリオレフィンに比して高いポリアミド樹脂に脂肪酸銅を配合して、樹脂の劣化を生じない温度で長時間混練することにより金属銅へ還元できたとしても、凝集してしまい、樹脂中で銅超微粒子を成形することはできない。
従って本発明の目的は、マトリックスとなる熱可塑性樹脂の劣化がなく、金属銅超微粒子が均一分散されて成る繊維又は不織布及びその製造方法を提供することである。
本発明によれば、ポリアミド樹脂又はポリエステル樹脂中に、平均粒径100nm以下の金属銅超微粒子及び炭素数3~30の脂肪酸を含有し、前記金属銅超微粒子が0.001~1重量%の量で含有され、前記脂肪酸が金属銅1モルに対して0.5~0.02モルの量で含有され、前記脂肪酸が前記金属銅超微粒子から脱離して存在し、抗菌活性値が2以上であることを特徴とする繊維が提供される提供される。
本発明によればまた、上記繊維を含有することを特徴とする不織布が提供される。
本発明によればまた、上記繊維の製造方法であって、前記ポリアミド樹脂又はポリエステル樹脂に炭素数3~30の脂肪酸銅を混合し、これを脂肪酸銅が還元される温度で加熱することにより一価脂肪酸銅を0.1~5重量%の量で含有するマスターバッチを調製し次いで該マスターバッチに使用したポリアミド樹脂又はポリエステル樹脂と同種の熱可塑性樹脂に前記マスターバッチを配合し、これらを前記マスターバッチ中の一価脂肪酸が金属銅に還元される温度であると共に、前記熱可塑性樹脂の融点以上且つ熱劣化が生じない範囲の加熱温度で混練することにより、金属銅超微粒子から脂肪酸が脱離して存在し、金属銅超微粒子が分散する樹脂組成物を調製し、該樹脂組成物をノズルから押出し、エアエジェクターで延伸して繊維を作製することを特徴とする繊維の製造方法が提供される。
本発明の繊維又は不織布においては、金属銅超微粒子と共に有機酸を含有していることから、金属銅超微粒子が凝集することなく均一に熱可塑性樹脂中に分散されている。しかも酸素バリア性に優れた熱可塑性樹脂をマトリックスとして用いていることから、透過酸素により銅超微粒子が酸化することなく安定して抗菌性能等の性能を発揮することが可能になる。また銅超微粒子の酸化が有効に防止されていることから、本発明の樹脂組成物から成る成形品においては変色も抑制されている。更に金属銅超微粒子は熱可塑性樹脂中にしっかりと固定されていることから、成形品から脱落することもなく、長期にわたって抗菌性能等の性能を発現できる。
また本発明の繊維又は不織布の製造方法においては、1価銅化合物を含有するマスターバッチを用いることにより、熱可塑性樹脂の劣化を生じることなく、金属銅超微粒子を熱可塑性樹脂中で生成すると共に均一に分散可能であり、効率よく銅超微粒子を含有する繊維又は不織布を製造することができる。
実施例1で作製したナイロン繊維中に形成された銅超微粒子のTEM写真である。
(樹脂組成物)
本発明の金属銅超微粒子含有樹脂組成物は、酸素透過係数が2×10-3cc・m/m・day・atm以下の熱可塑性樹脂中に、100nm以下、特に10~50nmの範囲の平均粒径を有する金属銅の超微粒子及び有機酸を含有して成ることを特徴とする。
本発明の樹脂組成物中に存在する銅超微粒子は、後述するように銅超微粒子の生成に要する加熱温度が高いことから、樹脂組成物の調製の際に出発物質である有機酸銅から有機酸が脱離した金属銅から成る。このため、前述した先行技術のように、有機酸により表面が修飾された金属超微粒子と異なり、酸化されやすく、酸化により銅超微粒子が本来有する抗菌性能等の性能が低下するおそれがあるが、本発明においては、銅超微粒子を含有するマトリックスとして、酸素透過係数が上記値以下の酸素バリア性を有する熱可塑性樹脂を使用することにより、外部からの透過酸素による金属銅から成る超微粒子の酸化が防止されている。また樹脂組成物中に、有機酸銅から脱離した有機酸が存在することによって、凝集しやすい金属銅超微粒子の凝集を有効に防止することができ、熱可塑性樹脂中に銅超微粒子が均一に分散した樹脂組成物とすることができる。
本発明の樹脂組成物においては、金属銅超微粒子は樹脂組成物中に0.001~1重量%、特に0.01~0.5重量%の量で含有されていることが好適である。上記範囲よりも金属銅超微粒子の量が少ない場合には、上記範囲にある場合に比して樹脂組成物が抗菌性能等を充分に発揮することができず、その一方上記範囲よりも金属銅超微粒子の量が多い場合には、上記範囲にある場合に比して金属銅微粒子の凝集が生じやすいだけでなく、経済的に不利である。
[熱可塑性樹脂]
本発明の樹脂組成物のマトリックスとなる熱可塑性樹脂は、酸素透過係数が2×10-3cc・m/m・day・atm以下である酸素バリア性を有する熱可塑性樹脂であるが、後述するように、1価有機酸銅を金属銅超微粒子に還元可能な加熱温度で熱劣化しない熱可塑性樹脂であることが望ましい。
このような熱可塑性樹脂としては、これに限定されないが、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等を好適に使用できる。
ポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂や、或いはこれらのポリエステル樹脂とポリカーボネートやアリレート樹脂等のブレンド物を用いることができる。
特にエステル反復単位の大部分(一般に80モル%以上、)がエチレンテレフタレート単位であり、ガラス転移点(Tg)が50~80℃であり、且つ融点(Tm)が240~270℃のポリエチレンテレフタレート(PET)系ポリエステルを好適に使用できる。PET系ポリエステルとしては、ホモポリエチレンテレフタレートが最適であるが、エチレンテレフタレート単位の含有量が上記範囲内にある共重合ポリエステルも好適に使用することができる。かかる共重合ポリエステルにおいて、テレフタル酸以外の二塩基酸としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;等の1種又は2種以上の組み合わせを例示することができ、エチレングリコール以外のジオール成分としては、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の1種又は2種以上が挙げられる。
ポリエステル樹脂の固有粘度は、樹脂組成物から成る成形体の形態や成形方法等によって、要求される固有粘度の範囲は異なるが、0.5~1dL/gの範囲にあることが望ましい。
ポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6/6,6共重合体、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13、キシリレン基含有ポリアミド等のポリアミド樹脂を挙げることができ、ガラス転移点(Tg)が40~60℃であり、且つ融点(Tm)が220~250℃の範囲にあるものが好適に使用できる。
上記キシリレン基含有ポリアミドとしては、具体的には、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンスベラミド、ポリパラキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド等の単独重合体、及びメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセバカミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体等の共重合体、或いはこれらの単独重合体または共重合体の成分とヘキサメチレンジアミンの如き脂肪族ジアミン、ピペラジンの如き脂環式ジアミン、パラ-ビス(2アミノエチル)ベンゼンの如き芳香族ジアミン、テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、ε-カプロラクタムの如きラクタム、7-アミノヘプタン酸の如きω-アミノカルボン酸、パラ-アミノメチル安息香酸の如き芳香族アミノカルボン酸等を共重合した共重合体が挙げられる。
[金属銅超微粒子]
本発明の樹脂組成物において、平均粒径100nm以下、特に10~50nmの範囲にある金属銅超微粒子は、後述する1価有機酸銅を含有するマスターバッチを、上記熱可塑性樹脂に配合し、熱処理を経ることによって、金属銅に還元されると共に、ナノ粒子化・ナノ分散された銅超微粒子が熱可塑性樹脂中で生成される。
[有機酸]
本発明の樹脂組成物においては、金属銅超微粒子の出発物質である有機酸銅に由来する有機酸を含有している。この有機酸を含有することにより、凝集しやすい金属銅超微粒子の凝集を有効に防止することが可能になる。
有機酸は、ミリスチン酸,ステアリン酸,オレイン酸,パルミチン酸,n-デカン酸,パラトイル酸,コハク酸,マロン酸,酒石酸,リンゴ酸,グルタル酸,アジピン酸、酢酸等の脂肪族カルボン酸、フタル酸,マレイン酸,イソフタル酸,テレフタル酸,安息香酸、ナフテン酸等の芳香族カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式カルボン酸等を挙げることができる。
本発明においては、用いる有機酸が、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等に代表される脂肪酸が炭素数3~30である高級脂肪酸であることが特に好ましい。
有機酸は、金属銅1モルに対して1モル未満の量、特に0.5~0.02モルの量で熱可塑性樹脂中に含有されていることが望ましい。後述するように、1価有機酸銅を含有するマスターバッチを熱可塑性樹脂中で加熱混合することによって、1価有機酸銅が還元され、金属銅1モルに対して有機酸は1モル生成するが、上記範囲の量の有機酸が熱可塑性樹脂中に残るように過加熱しないことが望ましい。
[その他]
本発明の樹脂組成物は、上述した金属銅超微粒子及び有機酸の他、その用途に応じて、それ自体公知の各種配合剤、例えば、充填剤、可塑剤、レベリング剤、増粘剤、減粘剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を公知の処方に従って配合することもできる。
(樹脂組成物の製造方法)
本発明の樹脂組成物は、上述した熱可塑性樹脂に、別途形成された金属銅超微粒子を配合することによって製造してもよいが、金属銅超微粒子は酸化されやすく、凝集しやすいことから、取扱い性に劣るため、この方法では生産性よく調製することができない。
従って本発明においては、上述した熱可塑性樹脂に一価有機酸銅を含有するマスターバッチを配合し、これらを所定温度で混練することにより、熱可塑性樹脂中に金属銅超微粒子と有機酸を同時に生成すると共に、金属銅超微粒子が均一に分散した樹脂組成物を製造することが好適である。
[マスターバッチ]
本発明の樹脂組成物の製造に好適に用いられるマスターバッチは、熱可塑性樹脂中に1価有機酸銅を含有するマスターバッチであり、好適には、樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂中に、上述した有機酸の1価有機酸銅を0.1~5重量%の量で含有するマスターバッチであることが望ましい。
本発明に好適に使用できるマスターバッチは、熱可塑性樹脂中に2価有機酸銅を配合し、これを2価有機酸銅が還元される温度で加熱混練することにより、熱可塑性樹脂中に1価有機酸銅が生成されて成るものである。前記熱可塑性樹脂と2価銅化合物の加熱温度は、具体的には熱可塑性樹脂の融点以上、且つ用いる2価銅化合物が5%の重量減少を生じる温度未満の範囲であり、この範囲内の温度で30~600秒、特に300秒加熱することが望ましい。尚、2価銅化合物の5%重量減少を生じる温度は、用いる2価銅化合物の質量を測定し、熱分析装置を用いて不活性雰囲気下で毎分10℃の昇温速度で昇温した際の重量変化を測定することにより得られた加熱減量曲線(TG曲線)において、5%の重量減少が生じる温度未満の温度とする。
マスターバッチに含有される1価有機酸銅としては、ミリスチン酸,ステアリン酸,オレイン酸,パルミチン酸,n-デカン酸,パラトイル酸,コハク酸,マロン酸,酒石酸,リンゴ酸,グルタル酸,アジピン酸、酢酸等の脂肪族カルボン酸、フタル酸,マレイン酸,イソフタル酸,テレフタル酸,安息香酸、ナフテン酸等の芳香族カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式カルボン酸等の有機酸の1価銅塩を挙げることができる。
本発明においては、特にミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等に代表される、炭素数3~30である高級脂肪酸の銅塩であることが特に好ましい。また、炭素数の多いものを使用することにより、熱可塑性樹脂中に含有される有機酸成分自体も吸着性能を発揮して吸着性能をより向上することが可能となる。
[樹脂組成物の調製]
本発明の樹脂組成物は、前述したとおり、熱可塑性樹脂中に平均粒径が100nnm以下、特に10~50nmの金属銅超微粒子が0.001~1重量%の量で含有されるように、上述した熱可塑性樹脂100重量部に対して上記マスターバッチを1~10重量部の量で配合し、加熱混合することにより調製することが望ましい。
加熱温度は、マスターバッチ中の1価有機酸銅が金属銅に還元される温度であると共に、使用する熱可塑性樹脂の融点以上且つ熱劣化が生じない範囲の温度である。具体的には熱可塑性樹脂の成形加工温度の範囲で1価有機酸銅が還元されるように、熱可塑性樹脂及び有機酸銅を選択することが重要である。
この範囲の温度で樹脂組成物を加熱混練することにより、金属銅超微粒子が均一分散され、有機酸を金属銅1モルに対して1モル未満の量で含有する樹脂組成物を調製することができる。すなわち、上記温度範囲で加熱することにより、1価銅化合物が金属銅に還元されると共に、銅超微粒子表面を修飾していた有機酸成分が脱離し、この有機酸成分の存在により銅超微粒子の凝集が防止されて、熱可塑性樹脂中に金属銅超微粒子が均一に分散された樹脂組成物となる。この溶融状態にある樹脂組成物を用い、所望の成形品形状に成形することが可能になる。
加熱混練時間は、所望の組成物が成形されれば特に制限はないが、120秒以上、特に、200~600秒、300~600秒が好ましい。
例えば、熱可塑性樹脂としてポリアミド樹脂を使用し、ポリアミド樹脂中に1価脂肪酸銅が含有されたマスターバッチを配合する場合には、250~280℃で所定の間、溶融混練して成形加工することにより、銅超微粒子が均一分散した成形品が得られる。
(実施例1)
6-ナイロン(宇部興産社製 1013B)にステアリン酸銅を2wt%配合し、押出成形機の設定温度250℃、Q(吐出量)/N(スクリュー回転数)=4/100=0.04の成形条件で2軸押出機((株)テクノベル製)を用いて、押し出してマスターバッチを作製した。次いで、前記6-ナイロン中にステアリン酸銅の含有量が0.05wt%になるように前記マスターバッチを配合し、2次成形温度260℃で2軸押出機にて混練し、ノズル径600μmから押出し、エアーエジェクターにて延伸させてナイロン繊維を作製した。
(比較例1)
樹脂の種類・配合量・成形温度を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして繊維を作製した。尚、表1中、「LDPE」は、宇部丸善ポリエチレン社製 低密度ポリエチレンJ5019である。
(粒子の確認)
表1の様に作製した繊維中の粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察したところ、実施例1のナイロン繊維中には約80nmの粒子を確認した(図1)。一方、比較例1のポリエチレン繊維中には粒子を確認できなかった。
(抗菌性能の確認)
また、実施例1及び比較例1で作製した繊維の黄色ぶどう球菌に対する抗菌活性値をJIS L1902に準じて確認したところ、実施例1のナイロン繊維では、抗菌活性値が2以上で効果を確認できたが、比較例1のポリエチレン繊維では抗菌活性を確認できなかった(表1)。
本発明の樹脂組成物は、優れた抗菌性能や吸着性能等を有する銅超微粒子が均一に分散された樹脂組成物であり、種々の形態に成形することができることから、容器、フィルム、シート等の包装材料や、不織布、繊維製品等に好適に利用できる。

Claims (3)

  1. ポリアミド樹脂又はポリエステル樹脂中に、平均粒径100nm以下の金属銅超微粒子及び炭素数3~30の脂肪酸を含有し、前記金属銅超微粒子が0.001~1重量%の量で含有され、前記脂肪酸が金属銅1モルに対して0.5~0.02モルの量で含有され、前記脂肪酸が前記金属銅超微粒子から脱離して存在し、抗菌活性値が2以上であることを特徴とする繊維。
  2. 請求項1記載の繊維の製造方法であって、前記ポリアミド樹脂又はポリエステル樹脂に炭素数3~30の脂肪酸銅を混合し、これを脂肪酸銅が還元される温度で加熱することにより一価脂肪酸銅を0.1~5重量%の量で含有するマスターバッチを調製し次いで該マスターバッチに使用したポリアミド樹脂又はポリエステル樹脂と同種の熱可塑性樹脂に前記マスターバッチを配合し、これらを前記マスターバッチ中の一価脂肪酸が金属銅に還元される温度であると共に、前記熱可塑性樹脂の融点以上且つ熱劣化が生じない範囲の加熱温度で混練することにより、金属銅超微粒子から脂肪酸が脱離して存在し、金属銅超微粒子が分散する樹脂組成物を調製し、該樹脂組成物をノズルから押出し、エアエジェクターで延伸して繊維を作製することを特徴とする繊維の製造方法。
  3. 請求項1記載の繊維を含有することを特徴とする不織布。
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