JP2006036818A - ポリ乳酸樹脂組成物、並びにこれから得られる成形体及びその製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸樹脂組成物、並びにこれから得られる成形体及びその製造方法 Download PDF

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誠 大内
Hirotaka Okamoto
浩孝 岡本
Mitsuru Nakano
充 中野
Arimitsu Usuki
有光 臼杵
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Abstract

【課題】 短い成形時間で成形しても成形体の変形が起こりにくく、成形時の流動性を低下させることなく耐熱性の高い成形体とすることが可能なポリ乳酸樹脂組成物、並びにこのポリ乳酸樹脂組成物を用いて得られる成形体及びその製造方法が提供すること。
【解決手段】 ポリ乳酸と、融点が180〜250℃の熱可塑性ポリエステル樹脂(好ましくはポリブチレンテレフタレート)と、好ましくは結晶化促進剤と、を含有し、熱可塑性ポリエステル樹脂の含有割合が、ポリ乳酸及び熱可塑性ポリエステル樹脂の合計量を基準として15質量%以下である、ポリ乳酸樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物、並びにこれから得られる成形体及びその製造方法に関する。
ポリ乳酸は、いわゆる生分解性を示し、その分解生成物は乳酸、二酸化炭素、水といった人体に無害な成分であることから、医療用材料や、汎用樹脂を代替する材料として注目されている。
しかし、ポリ乳酸は、その結晶化速度が小さいために、短時間で成形しようとすると充分に結晶化が進行せず、成形体の弾性率や耐熱性が低下してしまったり、成形体が変形したりすることがあった。そこで、ポリ乳酸の成形性を改善する方法として、ポリ乳酸にアミド化合物等の結晶化促進剤を添加する方法(例えば、特許文献1参照。)や、ポリ乳酸にポリアセタール樹脂及び熱可塑性ポリエステル樹脂を同時に添加する方法(例えば、特許文献2参照。)などがこれまでにも提案されている。
特開2004−51666号公報 特開2003−342459号公報
しかしながら、上記のような従来技術の場合、ポリ乳酸単独で成形する場合と比較すれば成形性は改善されるものの、より短時間で良好な成形体を得るためには、結晶化速度の点で必ずしも充分でない場合があった。特に、ポリ乳酸をより汎用的な用途へ適用するにあたっては、従来の汎用樹脂に匹敵する高い生産効率を達成することが望ましいが、そのためにも、ポリ乳酸の成形性についてはさらなる改良が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、短い成形時間でも成形体の変形が起こりにくく、また、成形時の流動性を低下させることもなく、耐熱性の高い成形体とすることが可能なポリ乳酸樹脂組成物、並びにこのポリ乳酸樹脂組成物を用いて得られる成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸と、融点が180〜250℃の熱可塑性ポリエステル樹脂と、を含有し、熱可塑性ポリエステル樹脂の含有割合が、ポリ乳酸及び熱可塑性ポリエステル樹脂の合計量を基準として15質量%以下であることを特徴とする。
ポリ乳酸に上記特定範囲の融点を有する熱可塑性ポリエステル樹脂を特定の割合で組み合わせたことによって、上記本発明のポリ乳酸樹脂組成物によれば、短い成形時間でも成形体の変形が起こりにくく、成形時の流動性を低下させることなく耐熱性の高い成形体を得ることができる。なお、上記の熱可塑性ポリエステル樹脂は、ポリ乳酸以外の樹脂とする。
ポリ乳酸は、通常、160〜180℃程度の融点を有するのに対して、上記熱可塑性ポリエステル樹脂はこれよりも高い上記特定範囲の融点を有する。したがって、上記ポリ乳酸樹脂組成物は、成形温度等を適正化することによって、ポリ乳酸は溶融するが、熱可塑性樹脂ポリエステルの少なくとも一部が溶融しないような条件で成形することが可能である。そして、このような条件で成形したときに、溶解せずにポリ乳酸樹脂組成物中に分散している熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポリ乳酸の結晶化速度を高める機能を発現することを本発明者らは見出した。
また、上記のような条件で溶融成形すると、冷却過程において、熱可塑性ポリエステル樹脂の結晶を含んだ状態からポリ乳酸の結晶化が進行し始める。したがって、樹脂組成物全体を溶融して、結晶を含まない状態を経て成形する場合と比較して、より短い時間で脱型に耐えうる結晶化度に達すると考えられる。
さらに、熱可塑性樹脂ポリエステル樹脂の含有割合を上記特定範囲とすることで、その結晶が溶融しない状態であっても、ポリ乳酸が溶融していれば、ポリ乳酸樹脂組成物全体としては十分な流動性を有し容易に成形できることが、本発明者らによる検討の結果明らかとなった。
上記熱可塑性ポリエステル樹脂としては、上記のような本発明の効果をより顕著に高めるため、ポリブチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
また、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、成形性をより顕著に改善するため、ポリ乳酸の結晶化を促進する結晶化促進剤を更に含有することが好ましい。なお、この結晶化促進剤は、上記の熱可塑性ポリエステル樹脂とは別の成分であるとする。
本発明の成形体の製造方法は、上記本発明のポリ乳酸樹脂組成物を、熱可塑性ポリエステル樹脂の少なくとも一部が溶融しない条件で成形することを特徴とするものであり、本発明の成形体は、上記本発明のポリ乳酸樹脂組成物を、熱可塑性ポリエステル樹脂の少なくとも一部が溶融しない条件で成形して得られることを特徴とするものである。
上記本発明のポリ乳酸樹脂組成物を用いて、熱可塑性樹脂ポリエステル樹脂の少なくとも一部が溶融しない条件で成形する上記本発明の製造方法によれば、短い成形時間で成形しても成形体の変形が起こりにくく、成形時の流動性を低下させることなく耐熱性の高い成形体を得ることができる。
本発明によれば、短い成形時間で成形しても成形体の変形が起こりにくく、また、成形時の流動性を低下させることもなく、耐熱性の高い成形体とすることが可能なポリ乳酸樹脂組成物、並びにこのポリ乳酸樹脂組成物を用いて得られる成形体及びその製造方法が提供される。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸と、融点が180〜250℃の熱可塑性ポリエステル樹脂と、を含有し、熱可塑性ポリエステル樹脂の含有割合が、ポリ乳酸及び熱可塑性ポリエステル樹脂の合計量を基準として15質量%以下であることを特徴とする。
ポリ乳酸としては、L−乳酸を主なモノマー単位とするポリL乳酸や、D−乳酸を主なモノマー単位として有するポリD乳酸等を用いる。ポリL乳酸及びポリD乳酸は、それぞれ、主成分としての一方の光学異性体と、少量成分としての他の光学異性体とを共重合したものであってもよい。この場合、一方のモノマー単位の含有割合が、ポリ乳酸全体のモノマー単位の量に対して90mol%以上であることが好ましく、95mol%以上であることがより好ましく、98mol%以上であることがさらに好ましい。一方の光学異性体の含有割合が高い(すなわち、光学純度が高い)ものを用いたほうが、立体規則性が増して、本発明の効果がより顕著に発現しやすい。
ポリ乳酸の分子量は、重量平均分子量で5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、100,000以上であることがさらに好ましい。ポリ乳酸の重量平均分子量が5,000未満であると、成形体の強度、剛性等の機械物性が不十分となる傾向にある。また、ポリ乳酸の重量平均分子量は、成形時の流動性の点から、400,000以下であることが好ましい。
ポリ乳酸は、L−乳酸又はD−乳酸の直接重合や、乳酸の環状2量体であるL−ラクチド又はD−ラクチドの開環重合等で得られる。重合の際、これら乳酸又はラクチドに加えて、グリコリド、カプロラクトン等の他の重合単量体をさらに重合させて共重合体としてもよい。ただし、乳酸以外の重合性単量体に由来するモノマー単位が占める割合は、ポリマー鎖全体に対してモノマー換算で50mol%以下であることが好ましく、30mol%以下であることがより好ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸以外の樹脂であって、180〜250℃の融点を有するものを用いる。この熱可塑性樹脂ポリエステル樹脂の融点は190〜250℃であることがより好ましく、200〜250℃であることが更に好ましい。熱可塑性ポリエステル樹脂の融点が180℃未満であると、これの少なくとも一部が溶融しない条件でポリ乳酸樹脂組成物を成形することが困難となる。一方、この融点が250℃を超えると、ポリ乳酸と溶融混合して樹脂組成物を得る際に、樹脂温度を250℃以上に加熱する必要があるために、ポリ乳酸の分子量が低下して成形体の特性が損なわれるという問題がある。
ここで、熱可塑性樹脂ポリエステル樹脂の融点は、DSC(昇温速度:1〜20℃/分)を測定したときの、熱可塑性ポリエステル樹脂の結晶に由来する融解吸熱ピークのピークトップ温度とする。
このような熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等が挙げられ、これらを単独で又は複数組み合わせて用いることができる。これらの中でも、成形性を特に顕著に改善できる点から、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂の含有割合は、ポリ乳酸及び熱可塑性ポリエステル樹脂の合計量を基準として15質量%以下である。熱可塑性ポリエステル樹脂の含有割合が15質量%を超えると、熱可塑性樹脂ポリエステル樹脂が溶融しない状態でポリ乳酸を溶融したとしても、流動性が低いために、射出成形等により溶融成形することが困難になる。また、熱可塑性ポリエステル樹脂の含有割合は、本発明の効果を高めるために、0.1質量%以上とすることが好ましい。
ポリ乳酸樹脂組成物は、上記の成分に加えて、結晶化促進剤を更に含有することが好ましい。この結晶化促進剤は、熱可塑性ポリエステル樹脂とは別の成分であって、ポリ乳酸のホモ結晶の核となる働き、及び結晶の成長速度を高める働きのうち少なくとも一方を有する成分であればよい。具体的には、アミド基を有する低分子化合物、タルク及び層状粘土鉱物からなる群より選ばれる少なくとも1種の結晶化促進剤を好適に用いることができる。特に、結晶化速度の点から、アミド基を有する低分子化合物と、タルク及び層状粘土鉱物のうち少なくとも一方とを併用することがより好ましい。
アミド基を有する低分子化合物としては、脂肪族モノカルボン酸アミド、N−置換脂肪族モノカルボン酸アミド、脂肪族ビスカルボン酸アミド、N−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド、N−置換尿素類などの脂肪族カルボン酸アミドや、芳香族カルボン酸アミド、あるいはこれらの化合物が水酸基でさらに置換されたヒドロキシアミドなどが挙げられる。これらの化合物が有するアミド基は1個でもよいし、2個以上でもよい。これらの中でも、アミド基を2個有するビスアミドは結晶化速度をより向上させることができる点で好ましく、また、ヒドロキシアミドはポリ乳酸中での安定性に優れ、耐熱性をさらに高めることができる点で好ましい。ビスヒドロキシアミドは、ビスアミド及びヒドロキシアミドを用いた場合に得られるそれぞれの効果を同時に得ることができる点で特に好ましい。
アミド基を有する低分子化合物の具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、乳酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、メチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N’−ジステアリルテレフタル酸アミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸モノエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド、N−ブチル−N’−ステアリル尿素、N−プロピル−N’−ステアリル尿素、N−ステアリル−N’−ステアリル尿素、N−フェニル−N’−ステアリル尿素、キシレンビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素、ヘキサメチレンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスラウリル尿素などを例示することができる。これらの中でも、乳酸アミド、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸モノエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド及びポリオキシエチレンオレイン酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが特に好ましい。
アミド基を有する低分子化合物の分子量は、好ましくは1,000以下であり、より好ましくは100〜900である。分子量が1,000を超えると、ポリ乳酸との相溶性が低下して、ポリ乳酸樹脂組成物への分散性が低下したり、成形体からブリードアウトしたりする傾向にある。
アミド基を有する低分子化合物の融点は、好ましくは20〜230℃である。この融点が20℃未満であると低分子化合物が成形体からブリードアウトして成形体の外観が損なわれる傾向にあり、230℃を超えると成形時の流動性が低下する傾向にある。
アミド基を有する低分子化合物の含有割合は、ポリ乳酸樹脂組成物全体を基準として、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜8質量%であることがより好ましく、0.5〜8質量%であることがさらに好ましく、0.5〜5質量%であることが最も好ましい。アミド基を有する低分子化合物の含有割合が0.1質量%よりも小さいと、剛性及び結晶化速度の向上の程度が不十分となる傾向にあり、10質量%よりも大きいと、アミド基を有する低分子化合物による可塑剤的な作用が過剰に強く発現するようになるため、成形体の剛性が低下する傾向にある。
タルクは、耐熱性に優れ化学的に安定な鉱物であるため、結晶化促進剤として好ましく用いることができる。タルクの平均粒径は、ポリ乳酸樹脂組成物中にできるだけ均一に分散させるために、30μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましく、7.0μm以下であることが特に好ましい。また、タルクは、ポリ乳酸との接着性を向上させるために、表面処理を施していてもよい。このようなタルクは、市販品として、日本タルク社、富士タルク工業社等から販売されているものを入手可能である。
タルクの含有割合は、ポリ乳酸樹脂組成物全体を基準として、0.1〜40質量%であることが好ましく、0.1〜30質量%であることがより好ましく、0.5〜30質量%であることがさらに好ましく、0.5〜20質量%であることがより一層好ましい。タルクの含有割合が上記範囲より小さいと、結晶化速度の向上の程度が不十分となる傾向にあり、上記範囲より大きいと、成形体が脆化して、その衝撃強度が低下する傾向にある。
層状粘土鉱物としては、具体的には、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト族、カオリナイト、ハロサイト等のカオリナイト族、ジオクタヘドラルバーミキュライト、トリオクタヘドラルバーミキュライト等のバーミキュライト族、テニオライト、テトラシリシックマイカ、マスコバイト、イライト、セリサイト、フロゴバイト、バイオタイト等のマイカ等が挙げられる。これらの層状粘土鉱物は、天然鉱物であってもよく、水熱合成、溶融法、固相法等による合成鉱物であってもよい。本発明では、上記の層状粘土鉱物のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、層状粘土鉱物の陽イオン交換容量は30〜300meq/100gであることが好ましい。
層状粘土鉱物としては、有機化されたものを用いることがより好ましい。有機化された層状粘土鉱物は、市販品として、例えば、Southern Clay Products社、コープケミカル株式会社等から販売されているものが入手可能である。
ここで、「有機化」とは、層状粘土鉱物の層間及び/又は表面に、有機物を物理的、化学的方法(好ましくは化学的方法)により吸着及び/又は結合させることを意味する。このような有機化には、有機アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩、有機ピリジニウム塩、有機スルホニウム塩等の有機オニウム塩が好適に用いられる。この有機オニウム塩は、層状粘土鉱物を有機化してその層間距離を広げるものであり、これによりポリ乳酸樹脂組成物中での層状粘土好物の分散均一性が高められる。
層状粘土好物の有機化に用いる有機アンモニウム塩としては、例えば、NR4+[4個のRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又はアルキル基を表し、Xはカウンターイオンを表す]で表されるものを好適に用いることができる。ここで、有機アンモニウム塩の炭素数(4個のRの炭素数の総和)は6以上であることが好ましい。有機アンモニウム塩の炭素数が6未満であると、層状粘土鉱物の層間距離が十分に広げられず、層状粘土鉱物をポリ乳酸中に均一に分散することが困難となる傾向にある。また、Rがアルキル基の場合、アルキル基は置換基を有していてもよく、この置換基としては水酸基が好ましい。さらに、Xで表されるカウンターイオンとしては、例えばCl、Brなどのハロゲンイオンが挙げられる。
上記NR4+で表される有機アンモニウムイオンの特に好ましい例として、下記一般式(1)又は(2)で表されるものを挙げることができ、これらを単独で又は組み合わせて用いることができる。
Figure 2006036818
上記一般式(1)中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分岐鎖状のペンチル基、直鎖又は分岐鎖状のヘキシル基、直鎖又は分岐鎖状のヘプチル基、直鎖又は分岐鎖状のオクチル基、直鎖又は分岐鎖状のノニル基、直鎖又は分岐鎖状のデシル基、直鎖又は分岐鎖状のウンデシル基、直鎖又は分岐鎖状のドデシル基、直鎖又は分岐鎖状のトリデシル基、直鎖又は分岐鎖状のテトラデシル基、直鎖又は分岐鎖状のペンタデシル基、直鎖又は分岐鎖状のオクタデシル基等が挙げられる。このアルキル基の炭素数は1〜4であることが好ましい。アルキル基の炭素数が4を超えると有機オニウム塩の合成が困難となる傾向にある。また、式(1)中、pは6〜22、より好ましくは8〜18の整数である。pが6未満であると、層状粘土鉱物の層間距離が十分に広がらず、ポリ乳酸樹脂組成物中での層状粘土鉱物の分散均一性が低下する傾向にある。pが22を越えると、有機オニウム塩の合成が困難となる傾向にある。
上記一般式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表す。このアルキル基としては、一般式(1)中のR、R及びRの説明において例示したアルキル基が挙げられる。R及びRの合計の炭素数は、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。RとRとの合計の炭素数が6未満であると、層状粘土鉱物の層間距離が十分に広がらず、ポリ乳酸樹脂組成物中での層状粘土鉱物の分散均一性が低下する傾向にある。具体的には、Rが水素原子でRがドデシル基である化合物、Rがメチル基でRがオクタデシル基である化合物、R及びRがオクタデシル基である化合物は、上記の条件を満たす化合物として好ましく用いられる。また、式(2)中、q及びrはそれぞれ独立に1〜20の整数であるが、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の整数であり、特に好ましくは1である。q又はrが20を越えると、層状粘土鉱物の親水性が過剰に高くなり、ポリ乳酸樹脂組成物の調製が困難となる傾向にある。
また、上記のような有機アンモニウム化合物の他、上記一般式(1)又は(2)中のN(窒素原子)がP(リン原子)に置換された有機ホスホニウム塩を結晶化促進剤として用いることもできる。
有機オニウム塩は、少なくともその一部が水酸基を有する有機オニウム塩であることが好ましい。この場合、水酸基を有する有機オニウム塩の含有割合は、有機オニウム塩全量を基準として5mol%以上であることが好ましく、10mol%以上であることがより好ましく、15mol%以上であることが更に好ましい。水酸基を有する有機オニウム塩の含有割合が5mol%未満であると、ポリ乳酸又はその重合性単量体(乳酸、ラクチド)との親和性が不十分となり、これらが層状化合物の層間に安定的に保持されにくくなる傾向にある。
有機オニウム塩の含有割合は、層状粘土鉱物100質量部に対して10〜150質量部であることが好ましく、20〜100質量部であることがより好ましい。有機オニウム塩の含有量が上記範囲よりも小さいと、層状粘土鉱物の層間距離が十分に広げられず、ポリ乳酸樹脂組成物中での層状粘土鉱物の分散均一性が低下する傾向にあり、上記範囲より大きいと、物理的吸着によって導入される有機オニウム塩の量が増加して、成形体の耐衝撃性等の物性が損なわれる傾向にある。
有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物の層間距離は、各層の重心間の平均距離を基準として2.9nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。層状化合物の層間距離が2.9nm未満であると、ポリ乳酸樹脂組成物中での層状粘土鉱物の分散均一性が低下して、その結晶化促進効果が低下する傾向にある。
有機化された層状粘土鉱物の含有割合は、ポリ乳酸樹脂組成物全量を基準として、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることがさらに好ましく、0.3〜3質量%であることが最も好ましい。この含有割合が0.01質量%よりも小さいと、剛性及び結晶化速度の向上の程度が不十分となる傾向にあり、10質量%より大きいと、成形体が脆化し、衝撃強度が低下する傾向にある。
なお、本発明のポリ乳酸樹脂組成物には、上記の構成成分に加えて、その特性を実質的に損なわない範囲で、可塑剤、顔料、安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、離型剤、滑剤、染料、抗菌剤、末端封止剤等の他の成分を含有させてもよい。ただし、ポリ乳酸及び熱可塑性ポリエステル樹脂の合計量は、ポリ乳酸樹脂組成物全体に対して80〜100質量%とすることが好ましい。
以上のような原料を、所定の割合で含有する本発明のポリ乳酸樹脂組成物を得るためには、ポリ乳酸、熱可塑性ポリエステル樹脂等を混合し、これを溶融混練する方法を好適に採用できる。この方法では、結晶化促進剤等を均一に分散させるために、ポリ乳酸及び熱可塑性ポリエステル樹脂が溶融する条件で溶融混練して行うことが好ましい。具体的には、樹脂温度が170〜250℃で、二軸押出機等を用いて混練することが好ましい。170℃未満で混練すると、ポリ乳酸及び熱可塑性ポリエステル樹脂の溶融が不十分となり、結晶化促進剤等がポリ乳酸樹脂組成物中に均一に分散しにくくなる傾向にある。また、250℃を超えると、ポリ乳酸の分子量が低下して、成形体の耐衝撃性などの物性が損なわれる傾向にある。
また、均一性の高いポリ乳酸樹脂組成物を得るための他の好適な方法として、L−乳酸、D−乳酸、L−ラクチド、D−ラクチド等のポリ乳酸を生成させるための重合性単量体と、熱可塑性ポリエステル樹脂等の他の成分とを混合した状態で混練しながら、重合性単量体を重合させる方法がある。
この方法における重合は、所定の触媒を用いるか又は無触媒で、好ましくは100〜200℃で行うことができる。好適な触媒としては、オクチル酸スズ、塩化スズ、塩化亜鉛、酸化鉛、炭酸鉛、塩化チタン、アルコキシチタン、酸化ゲルマニウム等が挙げられ、その使用量は重合性単量体100質量部に対して0.001〜1質量部であることが好ましい。
混練後のポリ乳酸樹脂組成物は、好ましくはペレット状、パウダー状等の形態に加工された後、成形工程に用いられる。成形工程前に、ポリ乳酸樹脂組成物を50〜150℃で0.1〜20時間熱処理して、水分等の揮発性成分を除去するとともに、結晶化をさらに進行させておくことが好ましい。
本発明の成形体の製造方法は、以上説明したような本発明のポリ乳酸樹脂組成物を用いて、熱可塑性ポリエステル樹脂の少なくとも一部が溶融しない条件で成形するものである。この製造方法により、短い成形時間でも、成形後の変形が起こりにくく、耐熱性等に優れる成形体が得られる。なお、成形過程においては、熱可塑性ポリエステル樹脂の大部分が未溶融のまま残存していることが好ましいが、本発明の効果を実質的に損なわない程度に、熱可塑性ポリエステル樹脂の一部が溶融してもよい。
成形においては、流動性を示す状態になるように加熱したポリ乳酸樹脂組成物を、金型内に充填する等して所定の形状とする。このとき、ポリ乳酸樹脂組成物の温度が、熱可塑性ポリエステル樹脂の少なくとも一部は溶融しないが、ポリ乳酸は溶融する温度となるように加熱することが好ましい。言い換えると、熱可塑性ポリエステル樹脂の融点よりも低く、且つ、ポリ乳酸の融点よりも高い範囲の温度となるように加熱することが好ましい。より具体的には、成形されるポリ乳酸樹脂組成物の温度が、好ましくは160〜230℃、より好ましくは180〜220℃となるように加熱することが好ましい。この温度が160℃未満であると、ポリ乳酸が溶融しにくくなって、流動性が低下してしまう傾向にあり、230℃を超えると、230℃以下の場合と比較して、熱可塑性ポリエステル樹脂が溶融しやすくなる傾向にある。なお、ポリ乳酸の融点は、熱可塑性ポリエステル樹脂の融点に関して上述したのと同様の条件によるDSCによって測定した場合、通常、160〜180℃である。
本発明の成形体の製造方法では、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、異形押出成形、射出ブロー成形、真空圧空成形、紡糸等の成形方法を好適に採用することができる。特に、射出成形等において、成形時に樹脂材料の溶融物を金型内に充填し、金型内でそのまま結晶化させる方法(金型内結晶化法)を採用する場合、従来のポリ乳酸樹脂組成物では生産性や操作性が悪く、さらには結晶化が不十分となって目的の成形体が得られないことが多いが、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を用いて、上記のような条件で成形することによって、成形体の製造を効率よく且つ確実に行うことができる。
本発明の成形体は、上記のような製造方法によって得られるものであり、その形状、厚み等は特に制限されず、射出成形体、押出成形体、圧縮成形体、ブロー成形体、シート、フィルム、糸、ファブリック等のいずれでもよい。より具体的には、バンパー、ラジエーターグリル、サイドモール、ガーニッシュ、ホイールカバー、エアロパーツ、インストルメントパネル、ドアトリム、シートファブリック、ドアハンドル、フロアマット等の自動車部品、家電製品のハウジング、製品包装用フィルム、防水シート、各種容器、ボトル等が挙げられる。また、本発明の成形体をシートとして使用する場合には、紙又は他のポリマーシートと積層し、多層構造の積層体として使用してもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<ポリ乳酸樹脂組成物の調製及びその結晶化速度の評価>
(実施例1)
ポリL乳酸(トヨタ自動車社製、「#5000」(商品名)、重量平均分子量約20万)と、ポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチック社製、「ジュラネックス500FP」(商品名)、融点:228℃)とを、ポリブチレンテレフタレート(PBT)の割合がポリL乳酸及びポリブチレンテレフタレートの合計量基準で1質量%となるように混合した混合物を、スクリューを備える二軸押出機(テクノベル社製、「KZW15TW−60MG」(商品名))を用い、スクリュー回転数200rpm、混合物温度230℃、混合物供給速度1kg/hで溶融混練して、ペレット状のポリ乳酸樹脂組成物を調製した。
調製したポリ乳酸樹脂組成物について、200℃又は240℃でそれぞれ一定時間保持してポリ乳酸を溶融した後、20℃/分の速度で30℃まで降温したときのDSCを測定し(試料質量:5〜10mg)、ポリ乳酸の結晶化による発熱のピーク温度(結晶化ピーク温度、Tc)及びその発熱量(ΔHc)を求めた。結晶化ピーク温度が高いほど、また、ΔHcが大きいほど、結晶化速度が大きいといえる。なお、ΔHcについては、ポリ乳酸樹脂組成物中に含まれるポリ乳酸の量で規格化した値とした。それぞれの結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリブチレンテレフタレートの割合を5質量%とした他は、実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物の調製及びその結晶化速度の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリブチレンテレフタレートの割合を10質量%とした他は、実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物の調製及びその結晶化速度の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
ポリブチレンテレフタレートの割合を15質量%とした他は、実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物の調製及びその結晶化速度の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
ポリL乳酸及びポリブチレンテレフタレートの合計量100質量部に対して、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド(日本化成社製、「スリパックスH」(商品名))1質量部と、タルク(日本タルク社製、「Micro Ace P−6」(商品名)、平均粒径4.0μm)1質量部とを、結晶化促進剤として更に加えた混合物を用いた他は、実施例1と同様にして、ポリ乳酸樹脂組成物の調製及びその結晶化速度の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
(実施例6)
ポリブチレンテレフタレートの割合を5質量%とした他は、実施例5と同様にして、ポリ乳酸樹脂組成物の調製と、その結晶化速度の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
(実施例7)
ポリブチレンテレフタレートの割合を10質量%とした他は、実施例5と同様にして、ポリ乳酸樹脂組成物の調製と、その結晶化速度の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
(実施例8)
ポリブチレンテレフタレートの割合を15質量%とした他は、実施例5と同様にして、ポリ乳酸樹脂組成物の調製と、その結晶化速度の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリL乳酸(トヨタ自動車社製、「#5000」(商品名)、重量平均分子量約20万)のみからなる樹脂について、実施例1と同様にして結晶化速度を評価した。得られた結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリL乳酸(トヨタ自動車社製、「#5000」(商品名)、重量平均分子量約20万)100質量部に対して、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド(日本化成社製、「スリパックスH」(商品名))1質量部と、タルク(日本タルク社製、「Micro Ace P−6」(商品名)、平均粒径4.0μm)1質量部とを混合した混合物を用いた他は、実施例1と同様にして、ポリ乳酸樹脂組成物の調製と、その結晶化速度の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<ポリ乳酸樹脂組成物の射出成形>
(実施例9)
実施例5で調製したポリ乳酸樹脂組成物について、射出成形機を用いて、シリンダ設定温度180℃(ポリ乳酸樹脂組成物の実測温度:190℃)で角柱試験片(80mm×10mm×4mm)を成形したときの成形体の変形度合いを、下記の基準で判定することにより成形性を評価した。評価は、金型温度を100℃、90℃又は80℃とし、冷却時間を90秒、60秒、45秒又は30秒とした条件について、それぞれ行った。
○:ほとんど変形しない
△:型から取り出せるが、少し変形するため物性試験の評価が困難になる
×:型から取り出すのが困難で成形できない
また、射出成形に用いたポリ乳酸樹脂組成物について、ASTM D−1238に規定される方法に従って、190℃におけるメルトフローインデックス(MFR、g/10分)を測定し、成形時の流動性を評価した。さらに、ほとんど変形せずに成形できた成形体(上記基準で○のもの)については、低荷重変形温度(HDT、荷重0.45MPa)を測定して、その耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
(実施例10)
実施例6で調製したポリ乳酸樹脂組成物を用いて、実施例9と同様にして成形体の変形度合い、流動性及び耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
(実施例11)
実施例7調製したポリ乳酸樹脂組成物を用いて、実施例9と同様にして成形体の変形度合い、流動性及び耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
(実施例12)
実施例8で調製したポリ乳酸樹脂組成物を用いて、実施例9と同様にして成形体の変形度合い、流動性及び耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
(比較例3)
比較例1で調製したポリ乳酸樹脂組成物を用いて、実施例9と同様にして成形体の変形度合い、流動性及び耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
(比較例4)
設定シリンダ温度を220℃(樹脂組成物の実測温度:232℃)とすることにより、ポリブチレンテレフタレートが全て溶融する温度条件で射出成形した他は、実施例9と同様にして成形体の変形度合い及び耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
(比較例5)
ポリブチレンテレフタレートの割合を16質量%とした他は実施例1と同様にして調製したポリ乳酸樹脂組成物を用いて、実施例9と同様にして成形を試みたところ、樹脂組成物の流動性が低いために金型内に樹脂組成物が流れず、成形できなかった。また、このポリ乳酸樹脂組成物の190℃におけるMFRは1.80g/10分と低かった。
Figure 2006036818
Figure 2006036818
表1に示すように、実施例1〜8のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレートが実質的に溶融しない温度である200℃でポリ乳酸を溶融した場合に、高いTc及び大きなΔHcの値を示した。実施例1〜4のポリ乳酸樹脂組成物を240℃で溶融した場合、ポリ乳酸の結晶化による発熱ピークが観測されなかったが、これは、240℃においてポリブチレンテレフタレートの大部分が溶融したためと考えられる。これに対して、ポリブチレンテレフタレートを用いなかった比較例1の場合、200℃で溶融したときでも発熱ピークが観測されず、ポリブチレンテレフタレートを用いずに結晶化促進剤のみを用いた比較例2の場合、200℃で溶融したときに発熱ピークが観測されたもののそのTcは低く、ΔHcは小さかった。したがって、本発明のポリ乳酸樹脂組成物によれば、ポリブチレンテレフタレートの少なくとも一部が溶融しない条件で成形することによって、十分な結晶化速度で結晶化し、短い成形時間で成形しても成形体の変形が起こりにくく、耐熱性の高い成形体を得ることが可能であると考えられる。
さらに、表2に示すように、実施例9〜12においては、実施例5〜8のポリ乳酸樹脂組成物を用いて、シリンダ設定温度を180℃に設定することによりポリブチレンテレフタレートの少なくとも一部が溶融しない条件で成形した場合、金型温度及び冷却時間の異なるほとんどの条件において、変形していない良好な成形体が得られ、得られた成形体の耐熱性も優れるものであった。これに対して、ポリブチレンテレフタレートを用いなかった比較例3や、シリンダ設定温度を220℃としてポリブチレンテレフタレートが実質的に全て溶融する条件で成形した比較例4においては、冷却時間を短くした場合等に多くの成形体で変形が生じた。また、ポリブチレンテレフタレートの含有割合を16質量%とした比較例5においては、樹脂組成物の流動性が低いために成形すること自体ができなかった。したがって、本発明の成形体の製造方法によれば、短い成形時間で成形しても成形体の変形が起こりにくく、成形時の流動性を低下させることなく耐熱性の高い成形体が得られることが確認された。

Claims (5)

  1. ポリ乳酸と、融点が180〜250℃の熱可塑性ポリエステル樹脂と、を含有し、
    前記熱可塑性ポリエステル樹脂の含有割合が、前記ポリ乳酸及び前記熱可塑性ポリエステル樹脂の合計量を基準として15質量%以下である、ポリ乳酸樹脂組成物。
  2. 前記熱可塑性ポリエステル樹脂は、ポリブチレンテレフタレートである、請求項1に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  3. 前記ポリ乳酸の結晶化を促進する結晶化促進剤を更に含有する、請求項1又は2に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載のポリ乳酸樹脂組成物を、前記熱可塑性ポリエステル樹脂の少なくとも一部が溶融しない条件で成形する、成形体の製造方法。
  5. 請求項1〜3の何れか一項に記載のポリ乳酸樹脂組成物を、前記熱可塑性ポリエステル樹脂の少なくとも一部が溶融しない条件で成形して得られる成形体。
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