JP7508804B2 - 耐熱衝撃性多孔質体および耐熱衝撃性多孔質体の製造方法 - Google Patents

耐熱衝撃性多孔質体および耐熱衝撃性多孔質体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セラミックス粒子を含む耐熱衝撃性多孔質体および耐熱衝撃性多孔質体の製造方法に関する発明である。
特許文献1(特開2001-199777号公報)には、フィルタとして使用されるハニカム構造体として、耐火性粒子としての炭化珪素粒子をガラス化素材で結合したハニカム構造体が記載されている。特許文献2(特開2014-189447号公報)には、骨材を結合するガラス中に、強化粒子であるムライト粒子が分散された多孔質材料が記載されている。
耐火性を有する骨材である多数のセラミックス粒子を、結合部を介して互いに結合することにより得られる耐熱衝撃性を有する多孔質体は、例えばフィルタなどの用途に利用される。例えば、DPF(Diesel particulate filter)と呼ばれるフィルタに上記した多孔質体を用いた場合、ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる微小な粒子状物質(PM:Particulate matter)等の微粒子が多孔質体によって捕集され、微粒子の数が低減したクリーンな排気ガスが排出される。
特開2001-199777号公報 特開2014-189447号公報
上記のようなDPFとして適用される多孔質体に要求される特性の一つとして、耐熱衝撃性がある。例えば、捕集された微粒子を焼成してフィルタの捕集特性を再生させる再生処理時には、多孔質体が高温環境下におかれる。このため、多孔質体の周辺温度の変化に伴って多孔質体に印加される熱衝撃が大きい。したがって、DPF等に適用される多孔質体には、高い耐熱衝撃性が要求される。本発明は、耐熱衝撃性がより高められた多孔質体を提供することを目的としている。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
[1]本発明に係る耐熱衝撃性多孔質体は、複数のセラミックス粒子と、前記複数のセラミックス粒子間を接合する、主成分として非晶質の酸化珪素から成る結合部と、前記複数のセラミックス粒子および前記結合部の少なくとも一方で外周縁が形成された複数の気孔と、を有する。前記複数の気孔は、前記結合部中に存在する複数の空隙を含む。任意の複数の断面における、前記結合部の面積に対する、当該結合部中に含まれる円相当径が0.1μm以下の空隙の面積率の平均値は5~25%である。
[2][1]に記載の耐熱衝撃性多孔質体において、断面視における、前記空隙の長軸の長さをN1、前記長軸に直交する方向における前記空隙の最も長い長さをN2としたとき、任意の複数の断面における、前記結合部中に含まれる円相当径が0.1μm以下の空隙のうち、N1/N2が2.5以上である空隙の占める割合の平均値が20~80%である。
[3][1]または[2]に記載の耐熱衝撃性多孔質体において、前記結合部は、珪素の他、第1族元素および第2族元素のうち、1種以上の金属元素を含む。前記複数のセラミックス粒子および前記結合部の合計質量に対する前記金属元素の含有割合は、20~500ppmである。
[4][3]に記載の耐熱衝撃性多孔質体において、前記第1族元素としてNaまたはKを、前記第2族元素としてMgまたはCaを含む。
[5][4]に記載の耐熱衝撃性多孔質体において、前記Na,K,MgおよびCaの総量に対するKの割合は0.1以下である。
[6][1]~[5]に記載の耐熱衝撃性多孔質体において、前記複数のセラミックス粒子のそれぞれは、炭化珪素から成る。前記結合部は、前記非晶質の酸化珪素の他、クリストバライトを更に含む。前記耐熱衝撃性多孔質体の一部をX線回折試験に供したとき、前記炭化珪素のピーク強度に対する前記クリストバライトのピーク強度の比は0.05以下である。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の耐熱衝撃性多孔質体において、セラミックス粒子の外周縁の周長をL1、前記セラミックス粒子の外周縁に対し接合した前記結合部の接合長をL2とするとき、任意の断面における、前記複数のセラミックス粒子の面積の合計値に対する、L2/L1は0.3~0.95であるセラミックス粒子の面積率は80%以上である。
[8][7]に記載の耐熱衝撃性多孔質体において、前記セラミックス粒子と前記結合部との接合部に存在する空隙の外周縁のうち、前記セラミックス粒子の外周縁と対向する部分の長さをL3としたとき、任意の断面における、前記複数のセラミックス粒子の面積の合計値に対する、L3/L2が0.2以下であるセラミックス粒子の面積率は80%以上である。
[9][1]~[8]のいずれかに記載の耐熱衝撃性多孔質体において、任意の断面における、前記結合部面積率の平均値は、5~30%である。
[10][1]~[9]のいずれかに記載の耐熱衝撃性多孔質体において、前記気孔の体積率は、下限値が35%であり、上限値が65%である。
[11][1]~[10]のいずれかに記載の耐熱衝撃性多孔質体において、前記複数の気孔のうち、気孔径が1.0μm未満の気孔は全体の10体積%以下であり、気孔径が100μmを超える気孔は全体の10体積%以下である。
[12][1]~[11]のいずれかに記載の耐熱衝撃性多孔質体において、曲げ強度は10MPa以上であり、曲げ強度/ヤング率比は1.8×10-3以上である。
[13][1]~[12]のいずれかに記載の耐熱衝撃性多孔質体において、室温から800℃における熱膨張係数は4.2×10-6/K以下である。
[14]本発明に係る耐熱衝撃性多孔質体の製造方法は、セラミックス原料、珪素を有する酸化物から成る結合部用原料、造孔材、およびバインダを含有する原料を成形して成形体を作製する成形工程と、前記成形体を酸素雰囲気で焼成し、多孔質材料を作製する焼成工程と、を有する。前記焼成工程における焼成温度の下限値は1000℃であり、焼成温度の上限値は1250℃である。前記原料は、第1族元素および第2族元素のうち、1種以上の金属元素を20~500ppm含有する。さらに、前記結合部用原料の個数分布積算径D50は0.1~5μm、D10は0.05~1μm、D90は0.2~10μmの範囲であり、前記結合部用原料の個数分布積算径D50をA1、D10をA2、D90をA3としたとき、(((A3-A2)/2+A2)-A1)/A1が0.1~0.3である。加えて、前記結合部用原料は、主成分として非晶質の酸化珪素を含む。
[15][14]に記載の耐熱衝撃性多孔質体の製造方法において、前記第1族元素としてNaまたはKを、前記第2族元素としてMgまたはCaを含む。Naを含む酸化物の含有率をAppm、Kを含む酸化物の含有率をBppm、Mgを含む酸化物の含有率をCppm、およびCaを含む酸化物の含有率をDppmとしたとき、前記焼成工程における焼成温度の上限温度Tは、下記式
T=1250℃-0.8×A-3.24×B-0.71×C-0.23×D
で示される値である。
[16][14]または[15]に記載の耐熱衝撃性多孔質体の製造方法において、前記セラミックス原料の個数分布積算径D50は1~50μmの範囲であり、前記セラミックス原料の個数分布積算径D50をA4としたとき、A4/A1は10~200の範囲である。
[17][16]に記載の耐熱衝撃性多孔質体の製造方法において、前記結合部用原料の個数分布積算径D10をA2、D90をA3としたとき、A3/A2が2~10の範囲である。
本願において開示される発明のうち、代表的な実施形態によれば、耐熱衝撃性多孔質体の熱衝撃破壊抵抗係数を大きくすることができる。
本発明の一実施形態に係る耐熱衝撃性多孔質体の一つの断面を撮影した電子顕微鏡写真である。 図1に示す空隙のアスペクト比の一例を示す拡大断面図である。 酸化珪素が非晶質(非晶質ガラス)である場合とクリストバライト(結晶質)である場合の温度と熱膨張率との相関関係を示す説明図である。 図1に示す耐熱衝撃性多孔質体の一部分をX線回折試験に供した時の回折チャートを示す説明図である。 図1に示すセラミックス粒子の外周縁の周長および結合部との接合長の一例を示す拡大断面図である。 図1に示すセラミックス粒子と結合部との間に空隙が介在する場合の一例を示す拡大断面図である。 図1に示す耐熱衝撃性多孔質体を利用したフィルタを示す斜視図および一部の拡大図である。 図7に示すフィルタを通過する排気ガスの経路を模式的に示す説明図である。 図7および図8に示すフィルタの製造フローの概要を示す説明図である。 図9に示す成形工程で使用する成形機の概略構成図である。 図10に示す成形機で使用する金型の平面図である。 実施例1で得られた多孔質体の断面のEDXによる元素マッピングの一例を示す図である。
以下に、本発明に係る耐熱衝撃性多孔質体(以下、単に多孔質体と記載する場合がある)の一実施形態について、図1~図6を参照しつつ説明する。なお、耐熱衝撃性多孔質体は、熱衝撃が印加される環境下での使用(例えば、DPFとしての使用)を考慮して、熱衝撃に対する耐性を向上させた多孔質体を意味し、例えば後述する熱衝撃破壊抵抗係数Rが600以上の耐熱衝撃性を有する多孔質体のことを指す。図1は、一実施形態である耐熱衝撃性多孔質体の一つの断面を撮影した電子顕微鏡写真である。図2は、図1に示す空隙のアスペクト比の一例を示す拡大断面図である。図3は、酸化珪素が非晶質(非晶質ガラス)である場合とクリストバライト(結晶質)である場合の熱膨張係数と温度との相関関係を示す説明図である。図4は、図1に示す耐熱衝撃性多孔質体の一部分をX線回折試験に供した時の回折チャートを示す説明図である。図5は、図1に示すセラミックス粒子の外周縁の周長および結合部との接合長の一例を示す拡大断面図である。図6は、図1に示すセラミックス粒子と結合部との間に空隙が介在する場合の一例を示す拡大断面図である。
図1に示すように、本発明に係る一実施形態の多孔質体100は、複数のセラミックス粒子10と、複数のセラミックス粒子10間を接合する、主成分として非晶質の酸化珪素から成る結合部20と、複数のセラミックス粒子10および結合部20の少なくとも一方で外周縁が形成された複数の気孔30と、を有する。複数の気孔30は、結合部20中に存在する複数の空隙33を含む。さらに、本実施形態の多孔質体では、任意の複数の断面における、結合部20の面積に対する、結合部20中に含まれる円相当径が0.1μm以下の微小空隙32の面積率の平均値は5~25%である。
<耐熱衝撃性の評価指標:熱衝撃破壊抵抗係数R>
上記構成の多孔質体100(図1参照)により、耐熱衝撃性が高まる理由について説明するが、まず、多孔質体の耐熱衝撃性の評価の指標として用いる熱衝撃破壊抵抗係数について以下で説明する。本発明に係る多孔質体で耐熱衝撃性の評価指標となる熱衝撃破壊抵抗係数Rは、ビオの係数βが無限大(β=∞)であり熱伝導率が考慮されない熱衝撃条件のように、急激な温度変化に伴って物体に生じる熱応力に対する抵抗性を示す係数である。熱衝撃破壊抵抗係数Rの数値が大きい程、抵抗性が高い、言い換えれば、急激な熱衝撃条件においても物体が破壊し難いことを意味する。熱衝撃破壊抵抗係数Rは、破壊強度をS、ポアソン比をν、熱膨張係数をα、ヤング率をEとすると、下記の式(1)で算出される。
R=S(1-ν)/αE ・・・式(1)
ここで、本発明において、式(1)の破壊強度Sは、多孔質体100の曲げ強度の値を用いることとする。
上記式(1)に記載されるように、熱衝撃破壊抵抗係数Rは、破壊強度Sに比例する。また、熱衝撃破壊抵抗係数Rは、熱膨張係数αおよびヤング率Eに反比例する。したがって、多孔質体の破壊強度Sの値を大きくする、あるいは多孔質体の熱膨張係数αまたはヤング率Eを小さくすることにより、多孔質体の熱衝撃破壊抵抗係数Rの値を大きくすることができる。
そして、上記したように、多孔質体100は、結合部20中に形成される空隙33のうち、円相当径が0.1μm以下の空隙33(以下、微小空隙32という場合がある。)が、結合部20の面積に対し、5~25%の面積率で存在している。これらの微小空隙32によって、熱衝撃を受けた際に、多孔質体100の破壊に至らない程度の微小なクラック(マイクロクラック)が結合部20中に生じやすくなり、結合部20の熱膨張係数αが抑制されるので、多孔質体100全体として、熱衝撃破壊抵抗係数Rを大きくすることができる。これにより、熱衝撃破壊抵抗係数Rの大きな耐熱衝撃性の高い多孔質体100を得ることができる。なお、微小空隙32の面積率が5%未満であると上記効果を得ることができず、一方で25%を超えると破壊強度(曲げ強度S)が低下する。なお、微小空隙32の円相当径の下限は特に限定されないが、上記のような効果を奏するためには、0.02μm以上であることが好ましい。以下、本実施形態に係る多孔質体100について、詳細に説明する。
<多孔質体の構造>
図1に示すように、多孔質体100は、複数のセラミックス粒子10と、複数のセラミックス粒子10の間を接合する結合部20と、複数の気孔30と、を有する。結合部20は、主成分として非晶質の酸化珪素から成る。複数の気孔30のそれぞれは、セラミックス粒子10および結合部20の少なくとも一方で外周縁が形成された孔である。複数の気孔30は、後述する造孔材により多孔質体100内に意図的に形成された通気孔31と、結合部20の材料および焼成方法に起因して結合部20中に生じる空隙33と、を含む。
通気孔31と空隙33とは、互いに区別される。通気孔31は、多孔質体100の製造時の原料に含まれる造孔材(詳細は後述する)に起因して形成される気孔30である。一方、空隙33は、後述するように、結合部20を焼成することにより生じる気孔30である。このため、通気孔31の大きさは空隙33の大きさより大きい場合が多い。また、空隙33は、円相当径が0.1μm以下の空隙(微小空隙)32と、0.1μmを超える空隙33(以下、粗大空隙34という場合がある。)を含んでいる。
空隙33は、結合部20の内部に形成される。このため、より具体的には、空隙33は、任意の断面において、外周縁から外側に0.5μmの範囲において70%以上の面積が珪素を含む酸化物で占められている気孔30と定義することができる。一方、通気孔31は、造孔材により形成される気孔30であり、セラミックス粒子10または、セラミックス粒子10のそれぞれの周囲に形成された酸化物皮膜11と接している場合が多い。このため、通気孔31は、複数のセラミックス粒子10および複数のセラミックス粒子10のそれぞれの周囲に形成された酸化物皮膜11の少なくとも一方により外周縁の半分以上が形成されている気孔30ということができる。なお、セラミックス粒子10そのものの組成により、通気孔31の外周縁には、酸化物皮膜11が形成される場合がある。この酸化物皮膜11は、多孔質体の原料を焼成する工程において、セラミックス粒子10の周囲に形成される皮膜であり、セラミックス粒子10の構成要素となっている(以下、酸化物被膜も含めてセラミックス粒子という場合がある)。酸化物皮膜11の厚さは、結合部20の厚さより薄く、0.2μm以下である。
製造方法は後述するが、本実施形態の多孔質体100の製造方法は、結合部20の熱膨張係数αを抑制し、多孔質体100全体としての熱衝撃破壊抵抗係数Rを高めるため、その焼成工程において、結合部20の原料である非晶質の酸化珪素を主成分とする結合部用原料の焼成過程におけるクリストバライト(結晶質)化を抑制し、酸化珪素が非晶質の状態を維持するように1000℃~1250℃という低温で焼成し、結合部20を形成することを、その特徴の一つとしている。
また、このように結合部20を低温で焼成することにより、多孔質体100の結合部20には適切な大きさの複数の微小空隙32が適量残留する。このように結合部20中に適切な大きさの複数の微小空隙32が適量存在している場合、上記した熱膨張係数が抑制されるメカニズムにより微小空隙32が全く存在しない場合と比較して、結合部20の熱膨張係数αが更に抑制される。このため、多孔質体100の熱衝撃破壊抵抗係数Rは、結合部分における熱膨張係数αが低減される効果により、大きくなる。
本実施形態の多孔質体100では、任意の複数の断面における、結合部20の面積に対する、結合部20中に含まれる微小空隙32の面積率の平均値が5~25%となるよう制御されている。なお、上記した「微小空隙の面積率の平均値」は、以下のように求めることができる。すなわち、多孔質体100の任意の断面において、無作為に抽出した少なくとも5か所(複数)の断面を選択する。そして、各断面において任意に選択した少なくとも6視野について2500倍の倍率で、エネルギー分散型X線分析(Energy dispersive X-ray spectrometry:EDX)を使用して撮像し、元素マッピングを行い、SiとOの分布を取得し、SiとOが共存している領域を酸化珪素(珪素を含む酸化物)の存在領域を結合部であると見做し、その面積を算出する。次に、各断面の各視野において、上記算出した結合部の面積に対する、円相当径が0.1μm以下の空隙(微小空隙)の面積の面積率を算出する。ここで、上記において定義したように、気孔の外周縁から外側に0.5μm以内の範囲において70%以上の面積が酸化珪素で占められている気孔を空隙と見做してもよい。そして、各断面の各視野における微小空隙の面積率の平均値を、上記した「面積率の平均値」とする。なお、上述したようにセラミックス粒子は、その周囲に酸化物被膜を有する場合がある。そしてセラミックス粒子がSiCやSi等のように珪素(Si)を含むセラミックスで構成されている場合には、その酸化物被膜は、珪素を含む酸化物で構成されている可能性がある。しかしながら、上記したように酸化物被膜の膜厚は概ね0.2μmと薄く、かつ酸化物被膜は結合部と直接接合する部分であるので、酸化物被膜も含めて結合部と見做して差し支えない。
また、上記したように低温で焼成することにより結合部20中に残留する、断面積が小さい微小空隙32は、図1に示すようにアスペクト比が大きい形状で形成される。このようにアスペクト比が大きい形状で形成される微小空隙32が存在すると、この微小空隙32が疑似的にマイクロクラックのように振る舞うので、上記した熱膨張係数が抑制されるメカニズムがより効果的に発揮され、結合部20の熱膨張係数の低減に特に寄与する。本実施形態の場合、図2に示すように、断面視における、微小空隙32の長軸の長さを長径N1、長軸に直交する方向における微小空隙32の最も長い長さを短径N2としたとき、任意の複数の断面における、結合部20中に含まれる微小空隙(円相当径が0.1μm以下の空隙)32のうちアスペクト比であるN1/N2が2.5以上である微小空隙32の占める割合の平均値が20~80%である。なお、「微小空隙のうちN1/N2が2.5以上である微小空隙の占める割合の平均値」は、上記した「微小空隙の面積率の平均値」と同様に求めることができる。
また、図1に示す多孔質体100が有する結合部20は、珪素の他、第1族元素および第2族元素のうち、1種以上の金属元素を含んでいる。そして、複数のセラミックス粒子10および結合部20の合計質量に対する上記金属元素の含有割合は、20~500ppm(parts per million)であることが望ましい。なお、この金属元素は、結合部20において、酸化物、窒化物、酸窒化物、硼化物(例えば、金属元素がMgで酸化物の場合にはMgO)などの化合物(複合化合物を含む)として、通常は存在しているが、化合物を構成しない遊離した元素として存在していてもよい。この金属元素の含有量の確認方法については、後述する実施例の項で詳述する。
多孔質体100の製造工程において、上記した第1族元素および第2族元素のうち、1種以上の金属元素を原料に適量混合させることにより、上記したように低温で焼成を行うにもかかわらず、下記する焼成メカニズムにより、結合部用原料の結合(焼結)性を高め、円相当径が0.1μmを超える粗大空隙34の生成が抑制された結合部20を得ることができる。すなわち、非晶質の酸化珪素を主成分とする結合部用原料の各原料粒子内では、温度上昇に伴い、ランダムに存在している酸化珪素の基本四面体構造である珪酸イオンが縮合し、再配列がはじまる。このとき、第1族元素または第2族元素のうち1種以上の金属元素の原料中の濃度が上記範囲に調整され、その金属元素イオンが適量に存在すると、この金属元素イオンにより酸化珪素のSi-O結合が切断され、低温でも酸化珪素の粘度が低下しやすくなる。この粘度低下により、原料粒子同士の接触部ではネック成長するとともに3重点に形成される空隙も徐々に縮小し、原料粒子同士が結合する。加えて、結合部用原料などからなる原料を混練してなるセラミックス坏土に含まれる水分は、後述する成形工程後の乾燥工程において結合部用原料の原料粒子の露出した表面からまず蒸発する。そして、当該水分の蒸発に伴い、水分に含まれる金属元素は、水分の蒸発が遅くなる原料粒子同士の接触部へ徐々に移動していく。したがって、金属元素の添加量が20~500ppmと微量な場合であっても、上記のような水分の蒸発にともなって、原料粒子の接触部では金属元素が濃化するため、上記説明した原料粒子の粘度低下が生じやすくなる。この結果、結合部20内に形成される複数の空隙33のそれぞれの大きさを低減できる。言い換えれば、上記金属元素を介在させることにより、小さい微小空隙32が形成され易くなる。すなわち、結合部20が、第1族元素および第2族元素のうち、1種以上の金属元素を含んでいることは、結合部20中に含まれる微小空隙32の面積率を5~25%に制御するための手段の一つとして有効であり、望ましい。
上記したように、結合部20中に占める微小空隙32の割合が極端に大きくなると、結合部20の強度の低下に起因して、多孔質体100の破壊強度が低下する。また、結合部20には多数の空隙33が含まれるが、体積の大きい空隙33程、多孔質体100の破壊強度に与える影響が大きい。しがって、上記金属元素を介在させることにより、空隙33の大きさを小さくすることは、結合部20の破壊強度を向上させられる点で好ましい。例えば、本実施形態の場合、任意の複数の断面における、結合部20中に含まれる円相当径が0.1μmを超える粗大空隙34の面積率の平均値は30%以下であることが望ましい。
ただし、上記した金属元素の含有率が500ppmを超えると、加熱時に酸化珪素のSi-O結合が過度に切断され、酸化珪素が過度に軟化し、冷却時にクリストバライト(結晶質)化が促進され、結合部20が多くの結晶質(クリストバライト)を含有するため熱膨張係数αが過大となり、多孔質体100の熱衝撃破壊抵抗係数Rを低下させることを本発明者は知見した。
図3は、酸化珪素が非晶質(非晶質ガラス)である場合とクリストバライト(結晶質)である場合の温度と熱膨張率との相関関係を示す説明図である。図3では、酸化珪素の非晶質である場合の特性曲線を二点鎖線で、クリストバライトである場合の特性曲線を一点鎖線で示している。図3に示すように酸化珪素が非晶質である場合は、温度上昇に比例して熱膨張率が大きくなる。ただし、その変化率は、クリストバライトの場合の変化率と比較して小さい。クリストバライトは、250℃程度以下ではα相であるが、200℃~300℃の間でβ相に転移する。α相からβ相に、あるいはβ相からα相に転移すると、クリストバライトの熱膨張率は、急激に変化する。このため、図1に示す結合部20がクリストバライト(結晶質)を多く含むと、上記した式(1)において、熱膨張率、すなわち熱膨張係数αの値が大きくなることにより、多孔質体100全体としての熱衝撃破壊抵抗係数Rの値が低下するのである。これを防止するためには、複数のセラミックス粒子10および結合部20の合計質量に対する金属元素の含有割合は、500ppm以下であることが望ましい。
また、図3に示す相転移が発生する温度帯を繰り返し通過する場合、熱膨張率(熱膨張係数)の急激な変化により、クリストバライトには、繰り返し大きな応力が印加される。結合部中に含まれるクリストバライトの割合が多い場合、繰り返し印加される応力に起因して結合部が破壊され易い。
なお、上記した効果をより有効に発揮するためには、多孔質体は、上記第1族元素としてナトリウム(Na)またはカリウム(K)を、上記第2族元素としてマグネシウム(Mg)またはカルシウム(Ca)を含めば、上記した効果をより有効に発揮できるので望ましく、さらに、上記Na,K,MgおよびCaの総量に対するKの割合が0.1以下であることがより望ましい。
本実施形態の場合、骨材である複数のセラミックス粒子のそれぞれは、耐火性(耐熱性)のあるセラミックス粒子であればよく、チタン酸アルミニウム、コーディエライト、窒化珪素、アルミナ、ムライトその他の種々のセラミックスからなる粒子を使用することができるが、炭化珪素から成ることが望ましい。炭化珪素の結晶は、チタン酸アルミニウム(AlTiO)の結晶、あるいはコーディエライト(2MgO・2Al・5SiO)などと比較して熱容量が大きく、熱伝導率が高いため、耐熱性が高い。また、炭化珪素のように、珪素を含むセラミックス粒子の場合、焼成した時に、セラミックス粒子10の表面に酸化珪素から成る酸化物皮膜11が形成され易い。この場合、酸化珪素を主成分とする結合部20との結合性が特に高くなる点で好ましい。
また、耐熱性の高い多孔質体をDPFの母材として用いる場合、DPFに捕集された微粒子の溶損限界量を増大させることができる。すなわち、DPFへ捕集された微粒子が所定量になった場合は、当該微粒子を燃焼してフィルタの捕集特性を再生させる再生処理時に微粒子を燃焼させる燃焼再生が行われる。このとき、多孔質体の表面に捕集された微粒子の量が多すぎると、DPFの機能を損なう程の熱損傷を受ける場合がある。微粒子の溶損限界量とは、上記した熱損傷を防止可能な微粒子の捕集量の限界値のことである。溶損限界量の値が大きくなれば、燃焼再生の頻度を低減できるので、DPFを効率的に稼働させることができる。
図1に示す結合部20は、耐熱衝撃性の観点で許容できる範囲であれば、非晶質の酸化珪素の他、結晶化したクリストバライト(結晶質)を更に含んでいてもよい。ただし、上記したように、結合部20を形成している酸化珪素が、結晶質であるクリストバライトを多く含むと、熱膨張係数αが大きくなり、熱衝撃破壊抵抗係数Rが低下する原因となる。
多孔質体100の結合部20に含まれるクリストバライトの割合は、多孔質体100の一部をX線回折試験に供し、図4に示すように、炭化珪素とクリストバライトのピーク強度を確認することにより評価することができる。そして、35.5°付近に現れる炭化珪素の面指数(006)ピーク強度P1に対する21.9°付近に現れるクリストバライトの面指数(101)のピーク強度P2の比(P2/P1)は、0.05以下であることが望ましい。
図4に示す例は、下記実施例1で得られたクリストバライトの生成量が適量な多孔質体をX線回折試験に供した例であり、炭化珪素のピーク強度P1に対するクリストバライトのピーク強度P2の比は、0.04程度である。なお、図4では、理解しやすいようにバックグランドノイズは除去している。そして、多孔質体100(図1参照)から取得する試験片の個体差によって、炭化珪素のピーク強度に対するクリストバライトのピーク強度比は、若干変化する場合がある。多孔質体100の損傷を防止するため、理想的には、任意に抽出した複数の試験片の全てにおいて、炭化珪素のピーク強度に対するクリストバライトのピーク強度比が0.05以下であることが特に好ましい。ただし、任意に抽出された複数(例えば5個)の試験片をX線回折試験に供したとき、炭化珪素のピーク強度に対するクリストバライトのピーク強度比の平均値が0.05以下になっていれば、熱衝撃破壊抵抗係数Rを低減する実効上の効果は得られる。
複数のセラミックス粒子10の殆どは、直接的には接合されず、結合部20を介して接合されている。このため、多孔質体100の熱衝撃破壊抵抗係数Rを大きくするためには、結合部20は、複数のセラミックス粒子10の外周縁を取り囲むように、セラミックス粒子10と長い接合長で接合され、双方が強固に結合していることが好ましい。一方で、DPFに適用する場合など多孔質体100のフィルタとしての機能を発揮するためには、適量の通気孔31を備えている必要がある。しかしながら、セラミックス粒子10と結合部20の接合長が長すぎる(つまり結合部20の割合が過大である)と、適量な通気孔31を確保することができないため、セラミックス粒子10(またはセラミックス粒子10の表面に形成された酸化物皮膜11)の一部分は、通気孔31に接していることが好ましい。
図5は、図1に示すセラミックス粒子の外周縁の周長および結合部との接合長の一例を示す拡大断面図である。図5では、セラミックス粒子10、結合部20、および通気孔31の区別を容易にするため、セラミックス粒子10にハッチングを付し、結合部20には、白色より濃い色を付している。また、図5では、結合部20内に存在する空隙33(図1参照)は図示を省略している。上記のように、複数のセラミックス粒子10のそれぞれと、結合部20とが強固に結合し、かつ多数の通気孔31が形成された状態を以下のように定義することができる。すなわち、セラミックス粒子10の外周縁の一周分の長さを周長L1、そのセラミックス粒子10の外周縁に対し接合した結合部20の接合部の長さを接合長L2とする。そして、任意の断面における、複数のセラミックス粒子10の面積の合計値に対する、L2/L1(接合長/周長)が0.3~0.95であるセラミックス粒子10の面積率が、80%以上であることが望ましい。
図5に示すように、セラミックス粒子10は、互いに分離された複数の箇所で結合部20を介して接合されている場合が多い。この場合、上記したセラミックス粒子10の外周縁に対し接合した結合部20の接合長であるL2は、複数箇所の接合長L2A、L2B、L2C(2カ所の場合、あるいは4カ所以上の場合もある)の合計値である。上記した周長L1と接合長L2の関係は、理想的には、無作為に抽出された任意の断面の全てで成立することが特に好ましい。ただし、上記した空隙33(図1参照)の面積率の規定と同様に、例えば、任意の複数(少なくとも5か所)の断面において任意に選択した少なくとも6視野を2500倍の倍率で走査型電子顕微鏡(SEM Scanning Electron Microscope)で観察した画像における平均値として、L2/L1が0.3~0.95であるセラミックス粒子10の面積率が80%以上になっていれば、結合部20の強度を確保し、かつ、通気機能を確保することができる。なお、セラミックス粒子は、上記のようにEDXによる元素マッピングで確認した結合部および同マッピングでSiもOも検出されない気孔以外の部分であり、その面積は、視野の全面積から結合部および気孔の面積を減ずることにより求めることができる。
図6は、図1に示すセラミックス粒子10と結合部20との間に空隙33が介在する場合の一例を示す拡大断面図である。図6では図5と同様に、セラミックス粒子10にハッチングを付し、結合部20には、白色より濃い色を付している。結合部20とセラミックス粒子10との結合強度を向上させる観点から、理想的には、セラミックス粒子10と結合部20との接合部に空隙33が介在しないことが好ましい。ただし、セラミックス粒子10と結合部20との接合部に介在する空隙33を完全に排除することは難しいので、次善の策として、以下の要件を満たすことが好ましい。すなわち、上記説明したように、セラミックス粒子10の外周縁に対し接合した結合部20の接合部の長さを接合長L2とし、セラミックス粒子10と結合部20との接合部に存在する空隙33の外周縁のうち、セラミックス粒子の外周縁と対向する部分の長さを空隙介在長L3とする。そして、任意の断面における、前記複数のセラミックス粒子の面積の合計値に対する、L3/L2(空隙介在長/接合長)が0.2以下であるセラミックス粒子の面積率が80%以上であることが望ましい。
図6に示すように、セラミックス粒子10の外周縁において、複数の箇所にセラミックス粒子10と結合部20との接合部に空隙33が存在する場合がある。この場合、空隙介在長L3は、複数箇所の空隙介在長L3A、L3B(3カ所以上の場合もある)の合計値である。なお、図示は省略したが、セラミックス粒子10の外周縁において、複数の箇所にセラミックス粒子10と結合部20との接合部に存在する空隙33が1個である場合、当該空隙33の空隙介在長が、上記した空隙介在長L3に該当する。上記した接合長L2と空隙介在長L3との関係は、理想的には、無作為に抽出された任意の断面の全てで成立することが特に好ましい。ただし、上記したL2/L1が0.3~0.95であるセラミックス粒子の面積率の規定と同様に確認し、L3/L2が0.2以下であるセラミックス粒子の面積率が、80%以上になっていれば、結合部20の強度を確保することができる。
図1に示す多孔質体100の熱衝撃破壊抵抗係数R(主に破壊強度)を大きくする観点から、複数のセラミックス粒子10を連結する結合部20の量が多い方が好ましい。一方、多孔質体100は、通気時の圧力損失を低減するため、多数の通気孔31を含んでいる必要があるので、複数のセラミックス粒子10の間を結合部20で埋め尽くすことはできない。本実施形態の多孔質体100は、複数のセラミックス粒子10、結合部20、および複数の気孔30の面積の合計値(つまり、多孔質体100全ての面積)に対し、結合部20の面積率の平均値は、5~30%である。これにより、多孔質体100の熱衝撃破壊抵抗係数Rを大きくし、かつ、通気時の圧力損失を低減できる。なお、結合部20の面積は、上記した空隙の面積の確認方法と同様にして確認することができる。
多孔質体100の破壊強度を大きくする観点から気孔30の占有率は小さい方が好ましい。また、多孔質体100をフィルタとして利用する場合、微粒子の捕集特性を向上させるためには、気孔30の占有率は小さい方が好ましい。一方、圧力損失を低減させるためには、気孔30の占有率はある程度大きい方が好ましい。したがって、気孔30の占有率は、ある程度以上は必要である。本実施形態の多孔質体100が含む気孔30の体積率は、下限値が35%であり、上限値が65%であることが望ましい。これにより、圧力損失を低減し、かつ、熱衝撃破壊抵抗係数Rおよび微粒子の捕集性能を向上させることができる。なお、気孔30の体積率は、JIS R 1655に規定された水銀圧入法に準じて計測することができる。水銀圧入法では、供試試料に水銀を圧入し、この時に印加された圧力と、圧入された水銀容積との関係から気孔径の分布を計測できる。また、水銀の表面張力が大きいので、気孔30のうち通気孔31の気孔径と比較して径が小さい空隙33には、水銀は殆ど圧入されない。このため、水銀圧入法の計測結果において、空隙33の気孔径は無視され、実質的に、通気孔31のみの体積率が確認される。
多孔質体100をフィルタとして利用する場合、その圧力損失を低減させるためには、複数の通気孔(気孔)31のそれぞれの気孔径が大きい方が好ましい。一方、微粒子の捕集性能を向上させるためには、複数の通気孔31のそれぞれの気孔径は小さい方が好ましい。すなわち、多孔質体100は、適正な大きさの通気孔31を適量含んでいることが望ましい。このため、本実施形態の多孔質体100の場合、複数の気孔30のうち、気孔径が1.0μm未満の通気孔(微小気孔)31を、全体の10体積%以下とし、気孔径が100μmを超える通気孔(粗大気孔)31を、全体の10体積%以下としている。これにより、圧力損失が低減され、かつ、微粒子の捕集性能を向上させることができる。なお、所定の気孔径を有する通気孔(気孔)31の体積率は、上記したJIS R 1655に規定された水銀圧入法に準じて、同様に計測することができる。
上記のように構成された本実施形態の多孔質体100の曲げ強度(式(1)における破壊強度S)は、10MPa以上であり、曲げ強度/ヤング率比が1.8×10-3以上となり、高い耐熱衝撃性(熱衝撃破壊抵抗係数R)を具現することができる。なお、多孔質体100の曲げ強度およびヤング率は、JIS R 1601の規定に準じて確認することができる(詳細は、後述する実施例で説明する。)。
加えて、本実施形態の多孔質体100の室温から800℃における熱膨張係数αは、4.2×10-6/K以下となり、より高い耐熱衝撃性(熱衝撃破壊抵抗係数R)を具現することができる。なお、多孔質体100の熱膨張係数は、JIS R 1618の規定に準じて確認することができる(詳細は、後述する実施例で説明する。)。
<多孔質体の適用例>
次に、図1に示す多孔質体100を利用した製品の一例として、自動車に取り付けられ、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる微粒子を捕集するフィルタであるDPFを取り上げて説明する。図7は、図1に示す多孔質体を利用したフィルタを示す斜視図および一部の拡大図である。図8は、図7に示すフィルタを通過する排気ガスの経路を模式的に示す説明図である。
図7および図8に示すフィルタ200は、自動車に取り付けられるDPFである。フィルタ200は、円柱形に成形された多孔質体100と、多孔質体100の側面を覆う外皮101とを備える。図8に示すようにフィルタ200は、図示しないエンジン側から排気ガスG1が供給される供給面200Aと、供給面200Aの反対側に位置し、多孔質体100を通過した排気ガスG2が排出される排出面200Bとを有する。
多孔質体100には、複数の通気路40が形成されている。複数の通気路40のそれぞれは、供給面200Aおよび排出面200Bの一方から他方に向かって貫通するように延在する。また、複数の通気路40のそれぞれは、供給面200Aおよび排出面200Bのいずれか一方の端部に栓41が埋め込まれている。図7および図8に示す例では、供給面200Aおよび排出面200Bのそれぞれにおいて、栓41が形成された通気路40と栓が形成されていない通気路40とが交互に配列されている。
図8に模式的に示すように、供給面200A側に供給される排気ガスG1は、多数の微粒子300を含んでいる。多数の微粒子300を含む排気ガスG1は、複数の通気路40のうち、供給面200A側に栓41が形成されていない通気路40から多孔質体100の内部に供給される。当該通気路40は、先端の排出面200B側に栓41が形成されているため、多孔質体100の内部の隔壁を通過して排出面200B側に栓41が形成されていない通気路40に移動し、排出面200B側から排出される。
この時、多孔質体100の複数の通気孔31(図1参照)を経由して排気ガスG1は通過するが、微粒子300は、セラミックス粒子10(図1参照)や結合部20(図1参照)に捕集され、多孔質体100の隔壁を通過することができない。この結果、排出面200Bから排出される排気ガスに含まれる微粒子300の数は元の排気ガスG1に含まれる微粒子300の数より少なくなる。
上記のように、多孔質体100をフィルタとして用いる場合、多孔質体100を排気ガスG1が通過する際に微粒子300を捕集するので、捕集性能および圧力損失というトレードオフの関係にある課題を解決する必要がある。本実施形態の多孔質体100の場合、上記したように、圧力損失を低減し、かつ捕集性能を向上させることができる。
また、多孔質体100により微粒子300を捕集する場合、時間経過とともに、多孔質体100の表面および不図示の通気孔の表面に微粒子300が堆積する。微粒子300の堆積量が多くなると、圧力損失が増大するので、堆積した微粒子300を除去する必要がある。微粒子300の除去方法としては、フィルタ200を加熱して、堆積した微粒子300を燃焼させることにより除去する方法が一般的に用いられる。以下、微粒子300を燃焼させて除去する処理を再生処理と呼ぶ。
フィルタ200の再生処理を行う場合、多孔質体100には熱衝撃が印加される。特に、微粒子300が局所的に多く集まる場所が存在する場合、熱衝撃負荷が局所的に大きくなるので、熱衝撃によるフィルタ200の部分的な焼損を回避するため、再生処理の頻度が多くなる。本実施形態の多孔質体100を用いたフィルタ200の場合、上記したように熱衝撃破壊抵抗係数Rを大きくすることができるので、熱衝撃によるフィルタ200の部分的な焼損が生じ難い。したがって、再生処理の頻度を低減することができるので、効率的に微粒子300を捕集することができる。
<フィルタの製造方法>
次に、図7および図8で説明したフィルタ(DPF)200の製造方法の好ましい一例について、図9~図11を参照して説明する。図9は、図7および図8に示すフィルタの製造フローの概要を示す説明図である。図10は、図9に示す成形工程で使用する成形機の概略構成図である。図11は、図10に示す成形機で使用する金型の平面図である。なお、図7に示すように多孔質体100は、フィルタ200を構成する部品の一つである。したがって、以下の説明は、多孔質体100の製造方法の一態様でもある。
本発明に係る多孔質体を製造する製造方法は、その適用例として上記で例示したフィルタを構成する多孔質体を得るための好ましい一例である。すなわち、本実施形態の多孔質体の製造方法は、図9に示すように、セラミックス原料、珪素を有する酸化物から成る結合部用原料、造孔材、およびバインダを含有する原料を成形して成形体を作製する成形工程S4と、成形体を酸素雰囲気で焼成し、多孔質材料を作製する焼成工程S6と、を必須の工程として有し、焼成工程S6における焼成温度の下限値は1000℃であり、焼成温度の上限値は1250℃である。上記原料は、第1族元素および第2族元素のうち、1種以上の金属元素を20~500ppm含有している。また、結合部用原料の個数分布積算径D50は0.1~5μm、D10は0.05~1μm、D90は0.2~10μmの範囲であり、結合部用原料の個数分布積算径D50をA1、D10をA2、D90をA3としたとき、(((A3-A2)/2+A2)-A1)/A1は0.1~0.3である。さらに、結合部用原料は、主成分として非晶質の酸化珪素を含んでいる。かかる製造方法によれば、上記特性を有する多孔質体を好適に製造することが可能となる。以下、多孔質体の製造では必須である成形工程S4および焼成工程S6以外の他の工程も含むフィルタの製造方法について詳細に説明する。
[秤量工程S1]
まず、図9に示す秤量工程S1では、図7に示す多孔質体100の原料を秤量する。原料は、セラミックス原料、珪素から成る結合部用原料、造孔材、およびバインダを含む。上記した各原料の種類および分量には、種々の変形例があるが、例えば、以下の原料を秤量する。まず、セラミックス原料として、炭化珪素(SiC)の原料粉末が75~95質量部となるよう秤量する。炭化珪素の原料粉末は、純度が94質量%以上でD50が3~50μmであることが好ましい。また、炭化珪素の原料粉末は、最大粒径が後述する成形工程で用いる押出成形用の金型400(後述する図11参照)のスリット幅405W(図11参照)の1/3以下であることが好ましい。また、原料は、第1族元素および第2族元素のうち、1種以上の金属元素を20~500ppm含有する。なお、炭化珪素の原料粉末には、上記した第1族元素および第2族元素のうち、1種以上の金属元素が不純物として含まれている場合がある。このような場合、化合物(酸化物)の形態で炭化珪素の原料粉末に含有する金属元素化合物(金属酸化物)は、例えば水で洗浄することにより取り除くことができる。したがって、原料粉末に含まれる金属元素化合物の含有率が上記した20~500ppmの範囲外である場合には、原料粉末を水洗浄することで含有率を調整することもできるし、化合物(酸化物)の形態で必要量の金属元素を添加することで、上記した金属元素の含有率となるよう調整することもできる。
本工程において、原料に、第1族元素および第2族元素のうち、1種以上の金属元素を20~500ppmの含有させる(添加する)ことで、下記説明する焼成工程で1000~1250℃という比較的低い焼成温度で焼成した場合でも、上記説明した焼成メカニズムにより、結合部用原料の原料粒子同士および結合部用原料の原料粒子とセラミックス原料の複数のセラミック粒子との結合(焼結)性を高めることができる。
また、珪素から成る結合部用原料として、溶融シリカなどの非晶質シリカ原料粉末を5~25質量部となるよう秤量する。非晶質シリカ原料粉末は、純度が99質量%以上でD50が1.0~5μm、D10が0.05~1μm、D90が0.2~10μmの範囲であることが望ましい。そして、結合部用原料の個数分布積算径D50をA1、D10をA2、D90をA3としたとき、(((A3-A2)/2+A2)-A1)/A1(以下、この式で算出される値を「D50偏差」という場合がある。)が0.1~0.3であることが望ましい。言い換えると、結合部用原料の個数分布積算径D10とD90の中央値に対しD50を一定の範囲で小さくすることにより、結合部用原料は比較的細粒の非晶質シリカ原料粉末で構成することができるので、上記のように多孔質体を構成する結合部中に微小空隙(適切な大きさの空隙)を適量形成することができる。なお、D50偏差が0.1未満の場合には、非晶質シリカ原料粉末が粗粒化しているため、所定量の微小空隙が形成されず、熱膨張係数が大きくなる可能性がある。また、0.3を超える場合にも、非晶質シリカ原料粉末が細粒化しすぎているため、同様に所定量の微小空隙が形成されず、熱膨張係数が大きくなる可能性がある。
さらに、図5を参照して説明したように、L2/L1が0.3~0.95であるセラミックス粒子の面積率が所定の範囲であるセラミックス粒子10が所定の面積を占めることにより高い破壊強度を示す多孔質体100を形成するためには、上記したセラミックス原料の個数分布積算径D50をA4、結合部用原料の個数分布積算径D50をA1としたとき、A4/A1が10~200の範囲であることが望ましい。
加えて、結合部用原料に着目すると、結合部用原料の粉末の粒径分布は、出来るだけシャープであることが図2および図6を参照して説明したL3/L2が0.2を超えるセラミックス粒子の面積率を低減し、適切なアスペクト比の微小空隙を形成する面で好ましく、上記のように結合部用原料の個数分布積算径D10をA2、個数分布積算径D90をA3としたとき、A3/A2が2~10の範囲であることが望ましい。
また、添加物として、例えば発泡済み樹脂から成る造孔材を1~10質量部となるよう秤量する。造孔材は、図1を用いて説明した通気孔31を形成するために添加される材料であって、例えば内部が中空の樹脂シェルから成る粒子である。造孔材のD50は、10~50μmであることが望ましい。造孔材は300℃以下の温度で焼失する樹脂材料から成り、後述する焼成工程で焼失する。造孔材が消失した後には、図1に示す通気孔31が形成されるので、造孔材の直径を制御することにより、通気孔31の大きさを制御することができる。また、例えば、メチルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロースからなるバインダを2~5質量部となるよう秤量する。
[混合工程S2]
次に、図9に示す混合工程S2では、上記秤量した原料粉末および添加物を、ミキサで混合(例えば、日本コークス工業社製ヘンシェルミキサで25分混合)し、原料混合物を調製する。
[混練工程S3]
次に、図9に示す混練工程S3では、上記した原料混合物を混練し、可塑化したセラミック杯土を作製する。本工程では、例えば、冷却機能付き減圧式の加圧型ニーダを利用することが望ましい。具体的には、原料混合物に例えば、42質量部のイオン交換水を添加して、ニーダで混練物の温度を25℃以下、真空度を100Pa以下に保ちながら45分の混練処理を行い、セラミックス坏土を得る。
[成形工程S4]
次に、図9に示す成形工程S4では、図7および図8に示す多孔質体100のセル構造が得られる図11に示す金型400が組み込まれた図10に示す成形機401を用いて成形する。本工程では、成形原料を図11に示す金型400から押し出すことにより成形する押出成形機を用いて成形する。本工程で用いる金型400は、複数の通気路40(図8参照)に対応する部分の周囲に格子状に形成される、スリット405を備える。金型400のスリット幅405Wは、例えば210μmである。
図10に示すように金型400の原料供給側に上記したセラミックス坏土404を投入した後、シリンダ402内の真空度を100Pa以下に到達するまで減圧して脱気を行う。真空度が100Pa以下で維持された状態で、金型400の原料供給側に配置されたピストン403を金型400側に押し込み、シリンダ402内にセラミックス坏土404を充填する。シリンダ402内にセラミックス坏土404を充填する充填処理は数回に分けて行う。シリンダ402内にセラミックス坏土404が十分に充填されると、ピストンの押圧力により、セラミックス坏土404が金型400から押し出される。これにより、図7および図8に示すようなセル構造を備え、かつ、全体としての形状が円柱形のハニカム形状の成形体100aが得られる。成形された成形体100aは予め設定された長さに切断された後、次の乾燥工程に移行する。なお、成形後の成形体100aの構造が自重により変形することを防ぐため、切断後の成形体100aは、乾燥工程に直ちに搬送される。
[乾燥工程S5]
次に、図9に示す乾燥工程S5では、乾燥工程中にハニカム成形体が変形することを防止するため、強制的に乾燥させる。例えば、加熱時の成形体の温度が120~200℃程度となるよう設定されたマイクロ波乾燥機で20分加熱することでハニカム成形体の表面を乾燥させた後、熱風乾燥機でハニカム成形体の内部まで完全に乾燥させる。乾燥させたハニカム成形体の両端面をバンドソウにて切断し、予め設定された寸法に整える。
[焼成工程S6]
次に、図9に示す焼成工程S6を行う。焼成工程S6では、乾燥したハニカム成形体を酸素(酸化)雰囲気で焼成することが必須である。これにより、結合部用原料である酸化珪素粉末を焼成し結合(焼結)せしめることができる。この焼成工程S6を経ることにより、図7に示す多孔質体100の素材である焼成体を作製することができる。本工程では、乾燥したハニカム成形体を例えば台車式ガス炉に配置する。その後、台車式ガス炉の庫内温度を1150℃まで1時間あたり100℃以下の速度で温度を上げ、24時間以上保持してから炉内で200℃以下まで冷却して取り出す。この時、焼成温度、言い換えれば、台車式ガス炉の庫内温度の上限値は1250℃である。また、台車式ガス炉の庫内温度が1150℃に到達した後における焼成温度の下限値は1000℃である。なお、上記した「酸素雰囲気で焼成」とは、酸素を含む気体の雰囲気中で焼成工程を行う意味であり、ガス炉内に積極的に酸素ガスを供給する場合の他、大気雰囲気中で焼成する場合を含み、雰囲気中の酸素分圧は2kPa以上であることが好ましい。
本工程において、結合部用原料の原料粒子同士および結合部用原料の原料粒子とセラミックス原料の複数のセラミック粒子を確実に結合せしめ所望の破壊強度を有する多孔質体を得るためには、焼成温度は1000℃以上とする必要がある。また、焼成温度を1250℃以下にすることで、非晶質の酸化珪素を主成分として含む結合部用原料のクリストバライト(結晶質)化を防止し、結合部に含まれるクリストバライト(結晶質)の含有量を抑制し、熱膨張係数が過大となることを防止することができる。なお、焼成温度での保持時間は、原料組成や所望の多孔質体の機械的特性により適宜設定すればよいが、1~100時間程度であり、好ましくは12時間以上、より好ましくは24時間以上である。
また、上記したように原料が含有する金属元素は、低温焼成であっても結合部用原料の原料粒子同士および結合部用原料の原料粒子とセラミックス原料の複数のセラミック粒子との結合(焼結)性を高めている。しかしながら、この金属元素の含有率が20~500ppmの範囲にある場合でも、焼成温度の相違により、結合部用原料のクリストバライト(結晶質)化に相違が生じることを本発明者は知見した。そして、本発明者の検討によれば、上記した第1族元素および第2族元素のうち特定の金属元素の含有量に応じて焼成温度を決定することにより、結合部における粗大空隙34(図1および図6参照)の発生を抑制しつつ、結合部用原料のクリストバライト化を抑制し、結合部のクリストバライトの含有量を低下せしめ、多孔質体の熱膨張係数αを抑制できることが判った。すなわち、クリストバライト化に大きな影響を及ぼす金属元素は、第1族元素のなかではナトリウム(Na)またはカリウム(K)であり、第2族元素のなかではマグネシウム(Mg)またはカルシウム(Ca)であり、Naを含む酸化物の含有率をAppm、Kを含む酸化物の含有率をBppm、Mgを含む酸化物の含有率をCppmおよびCaを含む酸化物の含有率をDppmとし、焼成工程における上限温度をTとすると、Tの値は、下記の式(2)が成り立つ範囲内であることが、結合部用原料のクリストバライト化を抑制する点で好ましい。
T=1250℃-0.8×A-3.24×B-0.71×C-0.23×D ・・・式(2)
上記したように、本実施形態の場合、1250℃以下で焼成することにより焼成体を製造する。例えば、石英ガラスの軟化点は、本来、約1700℃程度であり、本実施形態の焼成温度の上限値は、本来の石英ガラスの軟化点より低い。このように、低い温度で焼成する場合、ガラスの軟化点より高い温度で焼成する場合と比較して、設定された焼成温度までの昇温時間を短縮することができる。また、低温焼成の場合、冷却時間を短縮することができる。本実施形態の場合、焼成温度までの昇温時間、および焼成温度からの冷却時間を短縮できるので、焼成工程を効率化することができる。
[加工工程S7]
上記焼成工程S6で得られた多孔質の焼成体に対し、以下説明する加工工程S7~外皮形成工程S11を施し、フィルタ(DPF)を完成させる。まず、図9に示す加工工程S7では、焼成工程により得られた焼成体の両端面を例えば砥石を使用した研削加工で、その外周面を例えば切削工具を使用した切削加工で、製品形状に合わせて加工する。
[フィルム貼付工程S8]
次に、図9に示すフィルム貼付工程S8では、研削加工された焼成体の両端面にマスキングフィルムを貼りつける。マスキングフィルムは、例えば厚さ0.09mmの樹脂製フィルムである。
[フィルム孔開け工程S9]
次に、図9に示すフィルム孔開け工程S9では、焼成体に貼り付けられた樹脂製フィルムに選択的に孔開け加工を施す。本工程では、次の栓付工程において、栓を形成すべきハニカムの通気路を覆う部分に選択的に孔を形成する。孔を形成すべき位置は、画像解析を利用して決定される。孔開け加工は、例えばレーザ加工装置を用いて、レーザをマスキングフィルムの一部分に局所的に照射することで実施される。マスキングフィルムの複数の位置に順次レーザを照射することにより、マスキングフィルムを貫通する複数の貫通孔が形成される。マスキングフィルムに選択的に複数の貫通孔を形成すると、ハニカム焼成体が備える複数の通気路のうちの一部が露出する。
[栓付工程S10]
次に、図9に示す栓付工程S10では、図8に示すように、複数の通気路40のうちの端面近傍に、選択的に栓41を形成する。本工程では、まず、栓41の原料を調製し、スラリー状の目封止材を作製する。スラリー状の目封止材は、例えば以下のように調製される。まず、セラミックス粒子(例えば炭化珪素粒子)にメチルセルロースを配合してミキサで乾式混合を行う。乾式混合後にコロイダルシリカ(固形分量40質量%)およびイオン交換水を添加して、減圧混練ミキサで30分間混練を行う。これらの処理により、スラリー状の目封止材が得られる。
次に、焼成体の一方の端面を目封止材に浸漬し、マスキングフィルムに形成した貫通孔から通気路内に例えば10mmの深さまで目封止材を導入する。目封止材を導入した後、目封止材を導入した側の端面に高周波誘導加熱(例えば出力7kw)を30秒間実施して目封止材を乾燥させた後、一方の端面側に貼り付けられたフィルムマスキングを剥がす。続いて、焼成体の他方の端面側も同様に、目封止材に浸漬し、マスキングフィルムに形成した貫通孔から、目封止材を流路内に10mmの深さまで導入する。その後、先に栓付した面と同様の処理で目封止材を乾燥させた後、マスキングフィルムを剥がす。以上により、図7に示すフィルタ200に組み込まれる多孔質体100の作製が完了する。
[外皮形成工程S11]
次に、図9に示す外皮形成工程S11では、図7に示す多孔質体100の周囲を覆うように、外皮101を形成する。本工程では、上記した栓付工程で利用した目封止材と同様の原料を用いることができる。すなわち、セラミックス粒子(例えば炭化珪素粒子)にメチルセルロースを配合してミキサで乾式混合を行う。乾式混合後にコロイダルシリカ(固形分量40質量%)およびイオン交換水を添加して、減圧混練ミキサで30分間混練を行う。これらの処理によりスラリー状の外皮材が得られる。なお、本工程では、多孔質体100の側面に付着した外皮材を乾燥させるまで、側面に保持するため、上記した目封止材の粘度よりも粘性が高いペースト状の原料を準備する。
次に、栓が形成されたハニカム焼成体の両端面を抑えた状態でハニカムの通気路の延在方向を回転軸としてハニカム焼成体を回転させる。ハニカム焼成体の側面にペースト状の外皮材を押し付け、予め設定された厚さになるまで外皮材を付着させる。外皮材を付着させた後、例えば、120℃の熱風乾燥炉内で5時間以上保持し、外皮を乾燥させる。
[仕上工程S12]
次に、図9に示す仕上工程S12では、乾燥した外皮が所定の外形寸法および形状となるように研削砥石などで加工を行う。加工後の外皮に表面硬化剤を塗布し、湿度50%以下、気温20℃の室内にて2時間以上放置する。以上の各工程により、図7および図8に示すフィルタ200が得られる。
以下、本発明に係る実施例および比較例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。また、実施例1~15および比較例1~5では、図7および図8を参照して説明したフィルタ200に組み込まれるハニカム状の多孔質体100ではなく、長さ:45mm、幅:4mm、厚み:3mmのバルク形状の多孔質体を作製し、各種試験に供した。また、実施例1~15および比較例1~5の多孔質体は、図9を参照し説明した工程のうち、秤量工程S1~焼成工程S6のみを基本的には同様に実施し、作製した。また、実施例16では、図7および図8を参照して説明したフィルタ200に組み込まれるハニカム状の多孔質体100を作製した。表1~表3は、実施例1~16および比較例1~5の原料、製造条件、および特性のそれぞれを示す表である。
Figure 0007508804000001
Figure 0007508804000002
Figure 0007508804000003
<実施例1>
表1に示すように、セラミックス原料として炭化珪素粉末を使用し、炭化珪素粉末100質量部に対し、結合部用原料として非晶質の酸化珪素を主成分とする酸化珪素粉末を7.8質量部、造孔材として平均粒子径(D50)が30~60μmのVCl-AN系コポリマーからなるプラスチックマイクロバルーンを5質量部、バインダとしてメチルセルロースを9質量部となるよう秤量(バインダは、下記する他の実施例および比較例について同様)した(秤量工程S1)。なお、以下説明する他の実施例および比較例では、純度(99.9質量%以上)および非晶質のガラス含有率(99.9質量%以上)は実施例1と同様な酸化珪素粉末を使用し、その粒度分布のみ変更した。そして、これらをヘンシェルミキサ(日本コークス工業社製、型式:FM150L)にて、回転数30rpmで6.5分間混合して25kgの原料粉を作成した(混合工程S2)。そして、この原料粉に、分散剤としてポリアルキレングリコール誘導体0.4質量部、イオン交換水(抵抗率:0.2MΩ・cm)を40質量部加え、冷却機能付き減圧式加圧型ニーダ(モリヤマ製)にて圧力2MPa、回転数2rpmで109.5分間混練し、可塑性のセラミックス坏土を作製した(混練工程S3)。
表1に示すように、炭化珪素粉末のD50(A4)は13.8μm、酸化珪素粉末のD50(A1)は0.56μmで、A4/A1は24.6であった。酸化珪素粉末のD10(A2)は0.34μm、酸化珪素粉末のD90(A3)は1.02μmで、A3/A2は3.0であった。さらに、(((A3-A2)/2+A2)-A1)/A1で求められるD50偏差は、0.21であった。炭化珪素粉末および酸化珪素粉末のD10~D90は、JIS Z 8825に準拠し、マイクロトラック(マイクロトラックベル製、型式:MT3000II)で測定し、確認した。また、原料粉に含まれる金属元素であるNa,K,Mg,Caの含有率は、各々、34,6.7,30,130ppmであり、その総量は200.7ppmであり、K割合は0.03であった。金属元素の含有率は、グロー放電質量分析装置(V.G.Scientific社製、型式:VG-9000)で確認した。
上記した寸法に対応した立方体形状の内部空間を有する金型の内表面に離型剤(信越シリコーン製、型式:KM-244F)を塗布し、上記内部空間にセラミックス坏土を充填し、平板でセラミックス坏土を5.7MPaの加圧力にて速度5mm/秒で加圧して成形し、上記寸法のバルク形状の成形体を得た(成形工程S4)。そして、金型に充填された状態のままで成形体を電気炉に格納し、150℃で6時間加熱し、成形体を乾燥させた(乾燥工程S5)。なお、以下説明する他の実施例および比較例では、混合工程S2~乾燥工程S5は、実施例1と同様な条件で実施した。
次に、乾燥した成形体を大気(酸素)雰囲気で焼成し、多孔質体を作製した。具体的には、昇温速度90℃/時間で昇温し、表1に示すように1150℃の焼成温度で24時間保持し、その後炉冷し、実施例1の多孔質体を得た(焼成工程S6)。
得られた多孔質体について、以下の各項目の測定を行った。結果を表3に示す。なお、結合部に含まれる微小空隙の面積率(平均値)、アスペクト比(N1/N2)が2.5以上の微小空隙の割合(平均値)、クリストバライトのピーク強度比、L2/L1が0.3~0.95であるセラミックス粒子の面積率(表3では面積率Aと表示)、L3/L2が0.2以下であるセラミックス粒子の面積率(表3では面積率Bと表示)、結合部の面積率(平均値)および気孔体積率の確認方法は、上記説明したとおりであり、実施例1の多孔質体では、各々、14%、54%、0.03、90.5%、92.2%、10.3%、45%であった。微小空隙の面積率、アスペクト比(N1/N2)およびN1/N2が2.5以上の微小空隙の面積率、L2/L1面積率、L3/L2面積率および結合部の面積率の確認には、エネルギー分散型X線分析装置(AMETEK製)を備えた電界放出形走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製、SU-70)を使用した。
ここで、実施例1で得られた多孔質体の断面のEDXによる元素マッピングの一例を図12に示す。図12は、EDXで得られたSiおよびO各々の元素マッピングを重ね合わせたマッピングであり、SiとOが多い領域ほど白色調となっている。図12(a)は、微小空隙32と判断した気孔近傍の元素マッピングである。この微小空隙32では、その断面における外周縁から外側に0.5μmの範囲(図において符号Nで示す点線の範囲内)において98%(70%以上)の面積がSiとOとの共存領域(つまり酸化珪素)で占められていた。一方で、図12(b)は、空隙ではなく通気孔31と判断した気孔近傍の元素マッピングである。この通気孔31では、その断面における外周縁から外側に0.5μmの範囲(図において符号Mで示す点線の範囲内)において57%(70%未満)の面積がSiとOとの共存領域(酸化珪素)であった。
気孔径は、Micromeritics社製オートポアIIIにて水銀圧入法(JIS R 1655準拠)で測定した。実施例1の多孔質体において気孔径が1.0μm未満の微小な気孔の気孔体積率(微小気孔体積率)は3.8体積%、100μmを超える粗大な気孔の気孔率(粗大気孔体積率)は2.4体積%であった。
熱膨張係数は、JIS R 1618に準拠する方法で測定した。試験に供した試験片は、全長50mm、一辺が5mmの角柱状の試験片を使用した。また、試験には、リガク社製示差式TMAサーモプラスを使用し、温度を室温から800℃まで昇温速度10℃/分で昇温させて熱膨張係数を確認した。実施例1の多孔質体の熱膨張係数は、3.9×10/Kであった。
曲げ強度およびヤング率は、JIS R1601に準拠した固定型4点曲げ試験により測定した。試験に供した試験片は、全長Lt45.0±0.1mm、幅w4.0±0.1mm、厚さt3.0±0.1mmのサイズの試験片を使用した。また、試験には、インストロン社製万能試験機5565型を使用し、支点間距離lが10±0.1mm、Lが30±0.1mmにて、クロスヘッド移動速度0.5mm/分で試験片に負荷をかけ曲げ強度を確認した。実施例1の多孔質体の曲げ強度は17.1MPa、ヤング率は6.2GPaであり、曲げ強度/ヤング率は、2.8×10-3であった。
<実施例2~15、比較例1~5>
表1および表2に示すように条件を変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2~15、比較例1~5の多孔質体を作製した。作製した多孔質体について実施例1と同様にして上記各項目の測定を行った。表1および表2では、複数の実施例および比較例の条件のうち、実施例や比較例に応じて異なるものを抽出して示している。このため、例えば、表1で省略した酸化珪素原料の純度や非晶質のガラス含有率の条件、表2で省略した混合工程、混練工程、成形工程、および乾燥工程の各条件は、各実施例および各比較例において共通する。結果を表3に示す。
<実施例16:フィルタの例>
基本的には、実施例1と同一条件で、秤量工程S1~混練工程S3を実施し、得られたセラミックス坏土を押出成形し(成形工程S4)、その後実施例1と同一条件で、乾燥工程S5~焼成工程S6を行い、図7に示すように、隔壁の厚さが300μm、セル密度が46.5セル/cmで直径が270mmで長さが305mmの円柱状のハニカム形状の多孔質体100を作製した。そして、上記した加工工程S7~栓付工程S10を行い、多孔質体100の両端面に市松模様状に栓41を形成した。その後、外皮形成工程S11で、多孔質体100の外周に厚さが2.5mmの外皮101を形成し、仕上工程12を行い、図7に示すような実施例16のフィルタ200を得た。得られた実施例16のフィルタ200の多孔質体100の任意の位置から10×10×50mmの直方体形状の試験片を5個採取し、上記した各項目の測定を行った。5個の試験片の平均値は表3に示すとおりである。
上記したように本発明の範囲である実施例1~16によれば、微小空隙面積率が5~25面積%であるので熱膨張係数が低く、耐熱衝撃性が高い多孔質体を得られることが確認された。さらに、実施例1~16の多孔質体も、熱膨張係数が低く、耐熱衝撃性が高い多孔質体を得られることが確認された。
一方で、本発明の範囲外である比較例1および比較例2の多孔質体は、微小空隙面積率が25面積%を超えているため曲げ強度が低く、耐熱衝撃性が低い多孔質体となった。加えて、非酸化雰囲気で焼成した比較例3は、結合部用原料である酸化珪素粉末が焼成時に結合(焼結)せず、多孔質体を形成することができなかった。さらに、比較例4および比較例5の多孔質体は、微小空隙面積率が5面積%未満であり、熱膨張係数が高く、耐熱衝撃性が低い多孔質体となった。
本発明は前記した実施形態および実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
10 セラミックス粒子
11 酸化物皮膜
20 結合部
30 気孔
31 通気孔
32 微小空隙
33 空隙
34 粗大空隙
40 通気路
41 栓
100 多孔質体(耐熱衝撃性多孔質体)
101 外皮
200 フィルタ
200A 供給面
200B 排出面
300 微粒子
400 金型
401 成形機
402 シリンダ
403 ピストン
404 セラミックス坏土
405 スリット
405W スリット幅
L1 周長
L2,L2A,L2B,L2C 接合長
L3,L3A,L3B 空隙介在長

Claims (16)

  1. 複数のセラミックス粒子と、
    前記複数のセラミックス粒子間を接合する、主成分として非晶質の酸化珪素から成る結合部と、
    前記複数のセラミックス粒子および前記結合部の少なくとも一方で外周縁が形成された複数の気孔と、
    を有し、
    前記複数の気孔は、前記結合部中に存在する複数の空隙を含み、
    任意の複数の断面における、前記結合部の面積に対する、当該結合部中に含まれる円相当径が0.1μm以下の空隙の面積率の平均値が5~25%であり、
    前記結合部は、珪素の他、第1族元素および第2族元素のうち、1種以上の金属元素を含み、
    前記複数のセラミックス粒子および前記結合部の合計質量に対する前記金属元素の含有割合は、20~500ppmである、耐熱衝撃性多孔質体。
  2. 断面視における、前記空隙の長軸の長さをN1、前記長軸に直交する方向における前記空隙の最も長い長さをN2としたとき、任意の複数の断面における、前記結合部中に含まれる円相当径が0.1μm以下の空隙のうちN1/N2が2.5以上である空隙の占める割合の平均値が20~80%である、請求項1に記載の耐熱衝撃性多孔質体。
  3. 前記第1族元素としてNaまたはKを、前記第2族元素としてMgまたはCaを含む、請求項1または2のいずれか1項に記載の耐熱衝撃性多孔質体。
  4. 前記Na,K,MgおよびCaの総量に対するKの割合が0.1以下である、請求項に記載の耐熱衝撃性多孔質体。
  5. 前記複数のセラミックス粒子のそれぞれは、炭化珪素から成り、
    前記結合部は、前記非晶質の酸化珪素の他、クリストバライトを更に含み、
    前記耐熱衝撃性多孔質体の一部をX線回折試験に供したとき、前記炭化珪素のピーク強度に対する前記クリストバライトのピーク強度の比は、0.05以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の耐熱衝撃性多孔質体。
  6. セラミックス粒子の外周縁の周長をL1、前記セラミックス粒子の外周縁に対し接合した前記結合部の接合長をL2とするとき、任意の断面における、前記複数のセラミックス粒子の面積の合計値に対する、L2/L1が0.3~0.95であるセラミックス粒子の面積率が80%以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の耐熱衝撃性多孔質体。
  7. 前記セラミックス粒子と前記結合部との接合部に存在する空隙の外周縁のうち、前記セラミックス粒子の外周縁と対向する部分の長さをL3としたとき、任意の断面における、前記複数のセラミックス粒子の面積の合計値に対する、L3/L2が0.2以下であるセラミックス粒子の面積率が80%以上である、請求項に記載の耐熱衝撃性多孔質体。
  8. 任意の複数の断面における、前記結合部の面積率の平均値は、5~30%である、請求項1~のいずれか1項に記載の耐熱衝撃性多孔質体。
  9. 前記気孔の体積率は、下限値が35%であり、上限値が65%である、請求項1~のいずれか1項に記載の耐熱衝撃性多孔質体。
  10. 前記複数の気孔のうち、気孔径が1.0μm未満の気孔は、全体の10体積%以下であり、気孔径が100μmを超える気孔は、全体の10体積%以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の耐熱衝撃性多孔質体。
  11. 曲げ強度が10MPa以上であり、曲げ強度/ヤング率比が1.8×10-3以上である、請求項1~10のいずれか1項に記載の耐熱衝撃性多孔質体。
  12. 室温から800℃における熱膨張係数が4.2×10-6/K以下である、請求項1~11のいずれか1項に記載の耐熱衝撃性多孔質体。
  13. セラミックス原料、珪素を有する酸化物から成る結合部用原料、造孔材、およびバインダを含有する原料を成形して成形体を作製する成形工程と、
    前記成形体を酸素雰囲気で焼成し、多孔質材料を作製する焼成工程と、
    を有し、
    前記焼成工程における焼成温度の下限値が1000℃であり、焼成温度の上限値が1250℃であり、
    前記セラミックス原料が、第1族元素および第2族元素のうち、1種以上の金属元素を20~500ppm含有し、
    前記結合部用原料の個数分布積算径D50が0.1~5μm、D10が0.05~1μm、D90が0.2~10μmの範囲であり、
    前記結合部用原料の個数分布積算径D50をA1、D10をA2、D90をA3としたとき、(((A3-A2)/2+A2)-A1)/A1が0.1~0.3であり、
    前記結合部用原料が、主成分として非晶質の酸化珪素を含む、耐熱衝撃性多孔質体の製造方法。
  14. 前記第1族元素としてNaまたはKを、前記第2族元素としてMgまたはCaを含み、
    Naを含む酸化物の含有率をAppm、Kを含む酸化物の含有率をBppm、Mgを含む酸化物の含有率をCppm、およびCaを含む酸化物の含有率をDppmとしたとき、前記焼成工程における焼成温度の上限温度Tは、下記式
    T=1250℃-0.8×A-3.24×B-0.71×C-0.23×D
    で示される値である請求項13に記載の耐熱衝撃性多孔質体の製造方法。
  15. 前記セラミックス原料の個数分布積算径D50が1~50μmの範囲であり、
    前記セラミックス原料の個数分布積算径D50をA4としたとき、A4/A1が10~200の範囲である、請求項13または14のいずれか1項に記載の耐熱衝撃性多孔質体の製造方法。
  16. 前記結合部用原料の個数分布積算径D10をA2、D90をA3としたとき、
    A3/A2が2~10の範囲である、請求項15に記載の耐熱衝撃性多孔質体の製造方法。
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