JP4457338B2 - セラミックハニカム構造体、その製造方法及びそのためのコート材 - Google Patents

セラミックハニカム構造体、その製造方法及びそのためのコート材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はセラミックハニカム構造体の外周壁に関するものである。
【0002】
【従来技術】
地域環境や地球環境の保全面から、自動車などのエンジンの排気ガスに含まれる有害物質を削減するため、セラミックハニカム構造体を使用した排気ガス浄化用の触媒コンバータや微粒子捕集用フィルターが使用されている。
【0003】
図1はハニカム構造体の斜視図である。図1に示すように、通常、ハニカム構造体1は、外周壁3と、この外周壁3の内周側に各々直交するセル壁4により形成された多数のセル5を有する。そして、ハニカム構造体1は、金属製収納容器(図示せず)内で動かないように、収納容器内周面とハニカム構造体の外周壁との間に配置された把持部材により強固に把持されて収納されている。
【0004】
ハニカム構造体1は、従来、以下の工程で製造されている。
コージェライト生成原料粉末と、成形助剤、造孔剤と水を、混合、混練して得たセラミック坏土を特殊金型を通じて押出成形することにより、外周壁3やセル壁4が一体に形成されたハニカム構造を有する成形体を得る。次に、乾燥炉で、成形体中の水分などを蒸発乾燥させ、更に焼成炉により、成形体中のバインダ等の成形助剤等を除去した後、所定温度下で焼成して、所定の形状と強度を持ち、セル壁4に微細な細孔を持つハニカム構造体1を得ていた。
【0005】
ディーゼルエンジン用の、例えば、外径が150mm以上で長さが150mm以上の大型セラミックハニカム構造体や、セル壁4の厚さが0.2mm以下と薄いハニカム構造体1を製造する場合、押出成形時に、成形体の自重が大きすぎたり、成形体自身の強度が不十分であったりすることから、自重を支えきれず、外周壁3の周縁部のセル壁4が潰れたり変形し、焼成後に所定の強度が得られないという問題があった。
【0006】
この問題を解決するため、特許文献1には、セラミック杯土を押出成形、乾燥、焼成してハニカム構造を有する焼成体とした後、このハニカム構造を有する焼成体の外周壁3とその周縁部を研削加工によって所定寸法より小さくする除去加工を行い、除去加工した周縁にコート材を塗布、乾燥、硬化させて外周壁部を形成する発明が開示されている。この従来の発明によれば、ハニカム構造を有する焼成体の外周壁3とその周縁部を研削加工で除去しているので、外周壁の周縁部の変形したセルを除くことができ、また機械的強度を高くできるとしている。またハニカム構造を有する焼成体全体の真円度が低い場合にも、研削加工により真円度を高めた後に外周壁部を形成することにより、寸法精度が向上するとしている。そしてこの従来の発明に使用されるコート材としては、セラミックファイバーと無機バインダーとを使用すると外周壁部の強度を大きくすることができ、更にコート材にハニカム構造体と同種の例えばコージェライト粉末を添加するとハニカム構造体本体との熱膨張差を少なくすることができるので好ましいとしている。
【0007】
更に、上記のような構成のハニカム構造体における、外周壁部の耐剥離性を改善して、耐熱性、耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体を得るため、特許文献2では、外周壁部(外殻層)がコージェライト粒子及び/又はセラミックファイバーと、それらの間に存在する、コロイダルシリカまたはコロイダルアルミナにて形成された非晶質酸化物マトリックスとから構成してなることを特徴とするセラミックハニカム構造体の発明が開示されている。
【0008】
この発明によれば、軸方向に伸びる凹溝を外周面に有するハニカム構造体本体を用い、この凹溝にコージェライト骨材と無機バインダーからなるコート材を充填して外周壁部を設けている。このような構成にすることにより、ハニカム構造体に有効な補強をしつつ、外周壁部であるコート層の剥離によるハニカム構造体の使用中の強度低下を防止し、且つハニカム構造体の補強の際に惹起されるハニカム構造体の熱衝撃強度の低下を効果的に抑制せしめることができるとしている。そしてこの発明で使用されるコート材は、外周壁部とハニカム構造体の熱膨張差を小さくし、熱応力により外周壁部にクラックが発生するのを防止するため、コージェライト粒子及び/又はセラミックファイバーと、コロイダルシリカまたはコロイダルアルミナからなるコロイド状酸化物とを主成分として含み、且つコロイド状酸化物を、前記コージェライト粒子及び/又はセラミックファイバ−の100重量部に対して、固形分換算で3〜35重量部の割合で配合している。
【0009】
【特許文献1】
特許第2604876号公報
【特許文献2】
特許第2613729号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術である特許文献1、特許文献2に記載の発明のセラミックハニカム構造体を排気ガス浄化用の触媒コンバータや微粒子捕集用フィルターとして使用した場合には、以下のような問題があった。
セラミックハニカム構造体を触媒担体及び微粒子除去フィルタとして用いる場合には、これらが収納される金属製容器に支持部材を介して強固に把持されている。そして、上記触媒担体或いは微粒子除去フィルタとして使用される際にはセラミックハニカム構造体の軸方向に形成されている多数の流通孔を高温の排気ガスが流通することから、特に始動時には、局所的に急激な温度上昇が生じ、セラミックハニカム構造体の中心部と外周壁部で温度差による熱応力が発生し、セラミックハニカム構造体の外周壁部に割れが発生することがあった。このように外周壁部に割れが発生すると、この割れが起点となってセル壁にまで進展し、セル壁が脱落して排気ガスが浄化不能になるような場合もあった。
【0011】
また、微粒子除去用フィルタの場合は、フィルタ上に堆積した微粒子を燃焼させる再生処理の際の発熱により特に微粒子の堆積が局所的に多いハニカム構造体の中心付近が局所的に温度が上昇し、温度差による熱応力によりセラミックハニカム構造体の外周壁部に割れが発生することもあった。このように外周壁部に割れが発生すると、この割れが起点となってセル壁にまで進展し、セル壁が脱落して排気ガスが浄化不能になるような場合もあった。
このような現象は、特に、ディーゼル機関の排気ガス浄化用触媒担体、或いは微粒子除去用フィルタとして用いられるような、外径190mm以上、且つ、長さが200mm以上の大型セラミックハニカム構造体の場合には、発生しやすいという問題があった。
【0012】
従って、本発明の目的は、排気ガス浄化用の触媒コンバータや微粒捕集用フィルター,特に排気ガス浄化用の触媒コンバータとして使用した場合に熱応力に伴う割れの発生しにくいセラミックハニカム構造体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の熱応力に伴う外周壁部割れの問題に関して鋭意検討を行った。上記従来技術の発明では、コージェライトからなるハニカム構造体の外周面にコージェライト粒子及び無機バインダーからなるコート材を塗布、乾燥し、場合によっては焼成されて外周壁部が形成されていることから、ハニカム構造体本体の熱膨張係数に対して、外周壁部の熱膨張係数が必然的に大きくなる。これはハニカム構造体本体が、押出成形法により、原料の板状カオリン粒子を狭いスリットを通過させる際に壁面内に配向させ、その後焼成で生成されるコージェライト結晶を配向させ、ハニカム構造体の流通孔方向や径方向の熱膨張係数が小さくなるようにしているのに対し、外周壁部はコージェライト粒子及び無機バインダーからなるコート材を塗布することにより形成されるため、外周壁中のコージェライト粒子はランダム配向となっていること、また、外周壁部を形成するためのコート材は、熱膨張を大きくする原因となる無機バインダーを含有しているためである。従って、コート材を乾燥、或いは焼成後に室温に戻すことにより、乾燥或いは焼成でハニカム構造体のセル壁と外周壁部の固着、及びハニカム構造体のセル壁と外周壁部の熱膨張係数の違いにより、熱膨張係数の大きな外周壁部の一部には引張応力、熱膨張係数の小さなセル壁の一部には圧縮応力が残留することになる。
【0014】
このようにして得たハニカム構造体を、収納容器に収納する際に把持部材による把持力を加えても、外周壁部に引張応力が残留することになる場合があった。一般にセラミックスは圧縮応力に比べて、引張応力に弱い性質を持つことから、セラミックス部品として使用する場合は、極力引張応力が発生せぬよう配慮されるのであるが、かかる外周壁部に引張応力が作用した状態で、ハニカム構造体の中心部の温度が急上昇すると、セル壁と外周壁部の温度差により、更に外周壁部に温度差による引張応力が作用し、外周壁部に割れが発生しやすくなるのである。そこで、このような割れの発生し易いハニカム構造体外周壁部に対して、圧縮応力を残留させれば、割れは発生しにくいと考え本発明に想到した。
【0015】
すなわち、本発明のセラミックハニカム構造体は、セル壁により仕切られた多数の流通孔を有するセラミックハニカム構造体であって、前記セラミックハニカム構造体のセル壁の径方向の熱膨張係数が10.1〜20.0×10 -7 /℃であり、前記セラミックハニカム構造体の外周壁部が少なくとも非晶質シリカからなる粒子と、それらの間に存在する非晶質酸化物マトリックスとからなり、前記外周壁部の熱膨張係数が10.0×10-7/℃以下であり、前記セラミックハニカム構造体の外周壁部の熱膨張係数が、前記セラミックハニカム構造体のセル壁部の径方向の熱膨張係数より小さいことを特徴とする。
【0016】
また、本発明のセラミックハニカム構造体は、セル壁により仕切られた多数の流通孔を有するセラミックハニカム構造体であって、前記セラミックハニカム構造体の外周壁部が少なくとも非晶質シリカからなる粒子と、それらの間に存在する非晶質酸化物マトリックスとからなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のセル壁により仕切られた多数の流通孔を有するセラミックハニカム構造体において、前記セラミックハニカム構造体の周縁部を加工により除去した後、外周面にコート材を塗布して外周壁部を形成したことが好ましい。
【0018】
また、本発明のセル壁により仕切られた多数の流通孔を有するセラミックハニカム構造体の外周壁部が少なくとも非晶質シリカからなる粒子と、それらの間に存在する非晶質酸化物マトリックスとからなるセラミックハニカム構造体において、該非晶質酸化物マトリックスがコロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナであると好ましく、少なくとも該非晶質シリカからなる粒子100質量部に対して、該非晶質酸化物マトリックスを2〜35質量部の割合で含んでいると、好ましい。
【0019】
また、本発明のセラミックハニカム構造体の製造方法は、コージェライトからなるセラミックハニカム構造体の周縁部を加工により除去した後、外周面にコート材を塗布して外周壁部を形成するセラミックハニカム構造体の製造方法において、前記コート材が少なくとも非晶質シリカからなる粒子とコロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナからなるコロイド状酸化物を含み、前記非晶質シリカ粒子100質量部に対して、コロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナからなるコロイド状酸化物を固形分換算で2〜35質量部の割合で含むことを特徴とする。
【0020】
また本発明のセラミックハニカム構造体の外周壁部を形成するためのコート材は、少なくとも非晶質シリカからなる粒子とコロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナからなるコロイド状酸化物を含み、前記粒子100質量部に対して、コロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナからなるコロイド状酸化物を固形分換算で2〜35質量部の割合で含むことを特徴とする。
【0021】
【作用】
次に本発明の構成要件について説明する。
本発明のセラミックハニカム構造体は、セル壁により仕切られた多数の流通孔を有するセラミックハニカム構造体において、前記外周壁部の熱膨張係数が、セル壁の径方向の熱膨張係数より小さいことから、ハニカム構造体の外周壁部の一部には圧縮の残留応力が、ハニカム構造体のセル壁の一部には引張の残留応力が付与されている。このような残留応力状態になるのは、コート材を乾燥、或いは焼成後に室温に戻すことにより、乾燥或いは焼成でハニカム構造体のセル壁と外周壁部が固着し、冷却過程でハニカム構造体のセル壁と外周壁部の熱膨張係数差により、外周壁部の一部には圧縮応力、セル壁の一部には引張応力が残留するためである。そのため、使用時、特に始動時に、セラミックハニカム構造体の中心部が急加熱され、セラミックハニカム構造体の中心部と外周壁部で温度差が発生しても、外周壁部の一部には圧縮の残留応力が付与されていることから、外周壁部には引張応力が発生しにくく、外周壁部に発生する割れを防止することができる。
【0022】
ここで、外周壁部の熱膨張係数はセル壁の径方向の熱膨張係数より、0.1×10−7/℃ 以上小さいと好ましい。具体的には、コージェライト質セラミックハニカム構造体セル壁の径方向の熱膨張係数が10.1〜20.0×10-7/℃程度であることから、外周壁部の熱膨張係数が10.0×10-7/℃以下程度であれば、通常の使用時に発生するハニカム構造体外周壁部とハニカム構造体中心部との温度差に伴い発生する膨張量の違いに伴う外周壁部の割れを防止することができる。より好ましくは、外周壁部の熱膨張係数はセル壁の径方向の熱膨張係数より1.0×10−7/℃以上小さい、即ち、外周壁部の熱膨張係数は、9.0×10−7/℃以下である。また、更に好ましくは、外周壁部の熱膨張係数はセル壁の径方向の熱膨張係数より2.0×10−7/℃以上小さい、即ち、外周壁部の熱膨張係数は、8.0×10−7/℃以下である。
【0023】
また、本発明のセラミックハニカム構造体は、セル壁により仕切られた多数の流通孔を有するセラミックハニカム構造体において、前記外周壁部が少なくとも非晶質シリカからなる粒子と、それらの間に存在する非晶質酸化物マトリックスとから構成されている。このようなセラミックハニカム構造体は、外周壁部が少なくとも熱膨張係数の小さな非晶質シリカからなる粒子と、それらの間に存在する非晶質酸化物マトリックスとから構成されていることから、外周壁部の熱膨張係数がコージェライトからなるハニカム構造体のセル壁に比較して小さくすることができるため、外周壁部の乾燥或いは焼成後の冷却に伴い、ハニカム構造体の外周壁の一部には圧縮の残留応力が、ハニカム構造体セル壁の一部には引張の残留応力が付与される。そのため、使用時、特に始動時に、セラミックハニカム構造体本体の中心部が急加熱され、セラミックハニカム構造体の中心部と外周壁部で温度差が発生しても、外周壁部には圧縮の残留応力が付与されていることから、外周壁部には引張応力が発生しにくく、外周壁部に発生する割れを防止することができる。
【0024】
ここで、本発明のセラミックハニカム構造体の外周壁部に用いられる粒子に非晶質シリカを用いるのは、非晶質シリカは、例えば10.0×10−7/℃以下の極めて低い熱膨張係数を有していることから、少なくとも非晶質シリカを含有する外周壁部の熱膨張係数をコージェライトからなるセル壁の熱膨張係数より小さくできるからである。外周壁の熱膨張係数をセル壁の径方向の熱膨張係数より小さくできると、前述したように、外周壁部の乾燥或いは焼成後の冷却に伴い、ハニカム構造体の外周壁の一部には圧縮の残留応力が、ハニカム構造体セル壁の一部には引張の残留応力が付与されるため、使用時、特に始動時に、セラミックハニカム構造体本体の中心部が急加熱され、セラミックハニカム構造体の中心部と外周壁部で温度差が発生しても、外周壁部には圧縮の残留応力が付与されていることから、外周壁部には引張応力が発生しにくく、外周壁部に発生する割れを防止することができる。
【0025】
ここで、外周壁部のセラミックス粒子が全て非晶質シリカである必要は無く、質量%で50%以上が非晶質シリカであれば低熱膨張の外周壁部が得られる。更に非晶質シリカの平均粒径は、1μm以上、100μm以下であると、強度及び耐熱衝撃性に優れた外周壁部が得られるので好ましい。非晶質シリカの平均粒径が1μm未満であると、非晶質シリカを結合するための非晶質酸化物マトリックスを多量に必要とするため外周壁部の耐熱衝撃性が低下することもあるからであり、非晶質シリカの平均粒径が100μmを超えると、外周壁部の強度が低下することもあるからである。より好ましいシリカの平均粒径は5μm以上40μm以下である。ここで、非晶質シリカ粒子の好ましい形態は、概略等方的な粒子形状である。例えば、非晶質シリカ粒子の長径に対する短径の比であるアスペクト比が20以下の場合には、非晶質シリカの表面積が小さくなることから、非晶質シリカ同士を結合するための非晶質酸化物マトリックスの量を少なくすることが出来るため、耐熱衝撃性に優れる外周壁部を得ることが出来る。アスペクト比の好ましい範囲は10以下である。更に好ましいアスペクト比は5以下である。
【0026】
また、外周壁を構成する非晶質シリカからなる骨材粒子は、特許文献1及び2に記載されているような、コージェライト骨材粒子に比べて、硬度が高いことから、外周壁自体の硬度を高めることができため、セラミックハニカム構造体を金属製収納容器内に収納する際の、把持部材による把持力により、骨材粒子が摩耗、脱落して、外周壁に割れや、欠けが発生することを防ぐことができる。
【0027】
また、本発明のハニカム構造体の外周壁部が非晶質酸化物マトリックスを含むのは、外周壁部の骨材で有る非晶質シリカ粒子との接合性に優れ高強度の外周壁部を形成できるからである。
【0028】
また、本発明のセル壁により仕切られた多数の流通孔を有するセラミックハニカム構造体において、前記セラミックハニカム構造体の周縁部を加工により除去した後、外周面にコート材を塗布して外周壁部を形成したことが好ましいのは、次の理由による。通常、コージェライトからなるセラミックハニカム構造体を製造する際は、コージェライト生成原料からなる坏土を押出し成形し、セル壁と外周壁部が一体的に形成されたハニカム構造の成形体を得た後、焼成を行う。しかし、外周壁とセル壁が一体に押出成形、焼成されたコージェライトハニカム構造体では、外周壁は、セル壁より厚く形成されることもあり、外周壁におけるコージェライト結晶の配向度がセル壁よりも低くなるため、ハニカム構造体の外周壁の熱膨張係数は、セル壁の熱膨張係数と同程度か或いは、外周壁の熱膨張係数の方が大きくなる。このため、コージェライトからなるセル壁と一体的に形成された、熱膨張係数の大きい外周壁を完全に削除した後、再度、ハニカム構造体のセル壁に比べて小さい熱膨張係数を有する外周壁部を形成するためである。
【0029】
さらに本発明のセラミックハニカム構造体がセラミックハニカム構造体の周縁部を加工により除去した後、再度外周面にコート材を塗布して外周壁部を形成するのは、外周面に軸方向に伸びる凹溝を配置させ、この凹溝にコート材を充填して外周壁部を設けることにより、ハニカム構造体本体と外周壁を強固に接合できるためであり、また、外周壁の周縁部の変形したセル壁を除くことができるため、機械的強度を高くできるからである。またハニカム構造を有する焼成体全体の真円度が低い場合にも、研削加工により真円度を高めた後に外周壁部を形成することにより、寸法精度が向上するからである。
【0030】
また、本発明のセラミックハニカム構造体の製造方法において、セラミックハニカム構造体の外周壁を加工除去するのは、セラミックハニカム構造体を押出成形した後の乾燥体、或いは、乾燥体を焼成した後の焼成体の、いずれの場合でも構わないが、加工のコストを下げる観点からは、乾燥体に対して行うのが好ましく、寸法精度を確保する観点からは、焼成体に対して行うことが好ましい。
【0031】
コート材を塗布した後は、乾燥或いは、焼成操作を施すことにより、非晶質シリカからなる粒子とそれらの間に存在する非晶質セラミックスとから形成された外周壁が、周縁部を加工により除去されたセラミックハニカム構造体の外周面の凹溝に固着され、強固で熱衝撃にも強い外周壁部が形成される。
【0032】
ここで、非晶質酸化物マトリックスがコロイダリシリカ及び/又はコロイダルアルミナから形成された非晶質酸化物マトリックスであることが好ましいのは、外周壁を形成する際、コロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナのコロイド状酸化物によりコート材の塗布性に優れると共に、外周壁部の骨材で有る非晶質シリカ粒子との接合性に優れ高強度の外周壁部を形成できるからである。
【0033】
また、外周壁部が非晶質シリカからなる粒子100質量部に対して、非晶質酸化物マトリックスを2〜35質量部の割合で含むのが好ましいのは、非晶質酸化物マトリックスが2質量%未満では、非晶質シリカからなる粒子の間を強固に結合できないこともあるためであり、また、35質量%を超えると外周壁の乾燥、或いは焼成時に外周壁部に割れが生じたり、熱衝撃により外周壁部に割れが入りやすくなるためである。
【0034】
また本発明のセラミックハニカム構造体は、外周壁部が非晶質シリカからなる粒子と非晶質酸化物マトリックスから構成されているが、セラミックファイバー、セメント等を含有しても良く、更に有機バインダー等を含有しても良いが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本発明のハニカム構造体の外周壁部は、非晶質シリカからなる粒子とコロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナから形成された非晶質酸化物マトリックスとから形成されているため、SiOを70質量%以上含有していると好ましいが、Al、MgO、Fe、TiO、NaO、KO、CaO等を適量含んでも良い。尚、好ましいSiOの含有量は80質量%以上であり、更に好ましいSiOの含有量は80質量%以上である。
【0036】
本発明のセラミックハニカム構造体の製造方法において、コージェライトからなるセラミックハニカム構造体の周縁部を加工により除去した後、外周面にコート材を塗布して外周壁部を形成する際に、前記コート材が少なくとも非晶質シリカからなる粒子とコロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナからなるコロイド状酸化物とを含み、前記粒子100質量部に対して、コロイダルシリカを固形分換算で2〜35質量部の割合で含んでいることから、大きな熱衝撃の加わる排気ガス浄化用の触媒コンバータや微粒子捕集用フィルタに用いても、外周壁部の割れの問題が発生しにくく、ハンドリング時にも外周壁部に割れの発生しにくいセラミックハニカム構造体を提供することが出来る。
【0037】
この理由は、コージェライトからなるセラミックハニカム構造体の周縁部を加工により除去することにより、セラミックハニカム構造体の外周面に軸方向に伸びる凹部を配置させ、この凹溝にコート材を充填して外周壁部を設けることにより、ハニカム構造体と外周壁を強固に接合でき、また、セラミックハニカム構造体の周縁部の変形したセル壁を除くことができるため、機械的強度を高くできるからである。更に、コート材に少なくとも非晶質シリカからなる粒子とコロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナからなるコロイド状酸化物とを含み、前記非晶質シリカ粒子100質量部に対して、コロイド状酸化物を固形分換算で2〜35質量部の割合で含んでいることから、非晶質シリカからなる粒子の間をコロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナからなるコロイド状酸化物で強固に結合して外周壁部を形成することにより、強固な外周壁部が形成されるのとともに、熱膨張係数の小さな非晶質シリカ粒子を用いることにより、外周壁の熱膨張係数がセラミックハニカム構造体のセル壁の径方向の熱膨張係数より小さくできるため、熱衝撃が加わっても、外周壁に割れが発生しにくいからである。ここで、コート材が非晶質シリカからなる粒子100質量部に対して、コロイダルシリカ及び/またはコロイダルアルミナを固形分換算で2〜35質量部の割合で含むのは2質量部未満では、非晶質シリカからなる粒子の間を強固に結合できないためであり、また35質量部を超えると、外周壁の乾燥、或いは焼成時に外周壁部に割れが生じたり、熱衝撃により外周壁部に割れが入りやすくなるためである。
【0038】
ここで、コート材には、非晶質シリカ粒子及びコロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナからなるコロイド状酸化物に加えてセラミックファイバー、セメント等を含有しても良く、更に有機バインダー等を含有しても良いが、これらに限定されるものではない。更に、コート材を塗布し、乾燥或いは焼成操作を行って、外周壁を形成した後に、コロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナ等のコロイド状酸化物を外周壁表面から塗布、乾燥させても良い。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき説明する。
(実施例1〜4)
カオリン、タルク、シリカ、アルミナなどの粉末を調整して、質量比で、SiO2 :48〜52%、Al23:33〜37%、MgO:12〜15%を含むようなコージェライト生成原料粉末とし、これにメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のバインダー、潤滑剤、造孔材としてグラファイトを適量添加し、乾式で十分混合した後、規定量の水を添加、十分な混練を行って可塑化したセラミック杯土を作成した。
【0040】
次いで、坏土を公知の押出成形用口金を通過させることにより、外周壁3とセル壁4とが一体に形成されたハニカム構造を有する成形体とした後、乾燥、焼成操作を加えることにより、セル壁厚0.3mm、セル壁のピッチ1.5mm、外径寸法280mm、全長300mmの外周壁3とセル壁4とが一体に形成されたコージェライト質セラミックハニカム焼成体を得た。この焼成体から試験片を切り出し、気孔率、平均細孔径及びセル壁の径方向の熱膨張係数を測定した。ここで気孔率及び平均細孔径は水銀圧入法により測定し、熱膨張係数は室温から800℃の間の平均熱膨張係数として求めた。その結果、セル壁の気孔率は65%、平均細孔径は20μm、セル壁の径方向の熱膨張係数は10.5×10−7/℃であった。
【0041】
得られたコージェライト質セラミックハニカム焼成体の周縁部を円筒研削盤を用いて加工除去することにより、外周面に凹溝を有する、外径264.7mm、全長300mmのハニカム体Aを準備した。
【0042】
一方、コート材として、表1に示す材料を主原料として用い、表2に示す配合比率で混合、更に、有機バインダー、水を加えて混練し、セラミックハニカム構造体に塗布可能なペースト状になるように調整した。次いで、前記ハニカム体Aの外周面にコート材を約1mmの厚さで、塗布後、120℃2時間の条件で乾燥を行い、外径266.7mm、全長300mmである実施例1〜4のセラミックハニカム構造体を得た。
【0043】
次に実施例1〜4のセラミックハニカム構造体の外周壁の表面硬度を測定した。表面硬度はGeorgeFischer社製Core Hardness TesterのType PKHを使用し、二回転させることで引っかき傷をつけて、その傷深さを非接触三次元測定器クイックビジョン(株式会社ミツトヨ製)を使用して測定し、評価した。結果を表2に示す。
次に実施例1〜4のセラミックハニカム構造体に対して、耐熱衝撃性の評価を行った。耐熱衝撃性の評価試験は、一定温度に加熱された電気炉中にセラミックハニカム構造体を挿入して30分間保持し、その後室温に急冷し、目視観察でクラックが発見された温度差(加熱温度−室温)を耐熱衝撃温度とした。また、目視による判定でクラックが発見されない場合は、25℃温度を上昇させ同様の試験を行い、クラックが発生するまで繰り返した。なお、試験数は各3個とし、それらの最低温度で表した。結果を表2に示す。
さらに試験後に、外周壁部から熱膨張測定用の試験片を切り出し、40℃から800℃までの平均熱膨張係数を測定した結果を表2に示す。
【0044】
実施例1〜4のセラミックハニカム構造体は、外周壁を形成するコート材が非晶質シリカAとコロイダルシリカで構成されていることから、外周壁の表面硬度(引掻き傷深さ)は、いずれも実用上問題ない0.45mm以下であり、外周壁の熱膨張係数は、セル壁の径方向の熱膨張係数10.5×10−7/℃より、小さいため、耐熱衝撃温度は、実用上問題ないレベルである550℃以上であった。
【0045】
(実施例5〜8)
実施例1〜4と同様の方法により、セル壁の気孔率65%、平均細孔径20μm、セル壁の径方向の熱膨張係数10.5×10−7/℃の材料特性を有し、セル壁厚0.3mm、セル壁のピッチ1.5mm、で外周面に軸方向に延びた凹溝を有する、外径264.7mm、全長300mmのハニカム体Aを準備した。 一方、コート材として、表1に示す材料を主原料として用い、表2に示す配合比率で混合、更に、有機バインダー、水を加えて混練し、セラミックハニカム構造体に塗布可能なペースト状になるように調整した後、前記ハニカム体Aの外周面にコート材を約1mmの厚さで、塗布後、120℃2時間の条件で乾燥を行い、更に850℃2時間の条件で焼成を行い、外径266.7mm、全長300mmである実施例5〜8のセラミックハニカム構造体を得た。
【0046】
実施例5〜8のセラミクハニカム構造体に対し、実施例1〜4と同様に、外周壁の表面硬度、外周壁の熱膨張係数、及び耐熱衝撃温度を測定した結果を、表2に示す。実施例5〜8のセラミックハニカム構造体は、外周壁を形成するコート材が非晶質シリカBとコロイダルシリカで構成されていることから、外周壁の表面硬度(引掻き傷深さ)は、いずれも実用上問題ない0.45mm以下であり、外周壁の熱膨張係数は、セル壁の径方向の熱膨張係数10.5×10−7/℃より、小さいため、耐熱衝撃温度は、実用上問題ないレベルである550℃以上であった。
【0047】
(実施例9〜12)
実施例1〜4と同様の方法により、コージェライト生成原料粉末に、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のバインダー、潤滑剤、造孔材として有機発泡剤及びグラファイトを適量添加し、乾式で十分混合した後、規定量の水を添加、十分な混練を行って可塑化したセラミック杯土を作成した。次いで、坏土を公知の押出成形用口金を通過させることにより、外周壁3とセル壁4とが一体に形成された外径290mm、全長320mmのハニカム構造を有する成形体を得た。このハニカム構造の成形体を乾燥後、外周壁部及びその周縁部、また両端部を旋盤により除去加工することにより、成形体の外周面に軸方向に延びる凹溝を有するハニカム構造の成形体とし、次いで焼成操作を加えることにより、セル壁厚0.3mm、セル壁のピッチ1.5mmで外周面に軸方向に延びる凹溝を有する外径寸法264.7mm、全長300mmのセラミック体Bを準備した。このセラミック体Bの、セル壁の気孔率は65%、平均細孔径は20μm、セル壁の径方向の熱膨張係数は10.5×10−7/℃であった。
【0048】
一方、実施例1〜4と同様に、コート材として、表1に示す材料を主原料として用い、表2に示す配合比率で混合、更に、有機バインダー、水を加えて混練し、セラミックハニカム構造体に塗布可能なペースト状になるように調整した。次いで、前記ハニカム体Bの外周面にコート材を約1mmの厚さで、塗布後、120℃2時間の条件で乾燥を行い、外径266.7mm、全長300mmである実施例9〜12のセラミックハニカム構造体を得た。
【0049】
実施例9〜12のセラミクハニカム構造体に対し、実施例1〜4と同様に、外周壁の表面硬度、外周壁の熱膨張係数、及び耐熱衝撃温度を測定した結果を、表2に示す。実施例9〜12のセラミックハニカム構造体は、実施例1〜4のセラミックハニカム構造体が焼成後に周縁部の除去加工を行っているのに対し、焼成前に周縁部の加工を行っている点のみが異なるだけであり、外周壁を形成するコート材が非晶質シリカAとコロイダルシリカで構成されていることから、外周壁の表面硬度(引掻き傷深さ)は、いずれも実用上問題ない0.45mm以下であり、外周壁の熱膨張係数は、セル壁の径方向の熱膨張係数10.5×10−7/℃より、小さいため、耐熱衝撃温度は、実用上問題ないレベルである550℃以上であった。
【0050】
(実施例13〜14)
実施例1と同様の方法により、セル壁の気孔率65%、平均細孔径20μm、セル壁の径方向の熱膨張係数10.5×10−7/℃の材料特性を有し、セル壁厚0.3mm、セル壁のピッチ1.5mm、で外周面に軸方向に延びた凹溝を有する、外径264.7mm、全長300mmのハニカム体Aを準備した。 一方、コート材として、表1に示す材料を主原料として用い、表2に示す配合比率で混合、更に、有機バインダー、水を加えて混練し、セラミックハニカム構造体に塗布可能なペースト状になるように調整した後、前記ハニカム体Aの外周面にコート材を約1mmの厚さで、塗布後、120℃2時間の条件で乾燥を行い、外径266.7mm、全長300mmである実施例13〜14のセラミックハニカム構造体を得た。
【0051】
実施例13〜14のセラミクハニカム構造体に対し、実施例1と同様に、外周壁の表面硬度、外周壁の熱膨張係数、及び耐熱衝撃温度を測定した結果を、表2に示す。実施例13のセラミックハニカム構造体は、外周壁を形成するコート材が非晶質シリカA、90質量%と石英10質量%の混合粒子とコロイダルシリカで構成されており、実施例14のセラミックハニカム構造体は、外周壁を形成するコート材が、非晶質シリカAとコロイダルアルミナから構成されていることから、外周壁の表面硬度(引掻き傷深さ)は、いずれも実用上問題ない0.45mm以下であり、外周壁の熱膨張係数は、セル壁の径方向の熱膨張係数10.5×10−7/℃より、小さいため、耐熱衝撃温度は、実用上問題ないレベルである550℃以上であった。
【0052】
(比較例1〜2)
実施例1と同様の方法により、セル壁の気孔率65%、平均細孔径20μm、セル壁の径方向の熱膨張係数10.5×10−7/℃の材料特性を有し、セル壁厚0.3mm、セル壁のピッチ1.5mm、で外周面に軸方向に延びた凹溝を有する、外径264.7mm、全長300mmのハニカム体Aを準備した。 一方、コート材として、表1に示す材料を主原料として用い、表2に示す配合比率で混合、更に、有機バインダー、水を加えて混練し、セラミックハニカム構造体に塗布可能なペースト状になるように調整した後、前記ハニカム体Aの外周面にコート材を約1mmの厚さで、塗布後、120℃2時間の条件で乾燥を行い、外径266.7mm、全長300mmである比較例1〜2のセラミックハニカム構造体を得た。
【0053】
比較例1〜2のセラミクハニカム構造体に対し、実施例1と同様に、外周壁の表面硬度、外周壁の熱膨張係数、及び耐熱衝撃温度を測定した結果を、表2に示す。比較例1〜2のセラミックハニカム構造体は、外周壁を形成するコート材がコージェライトA、或いはB、とコロイダルシリカで構成されていることから、外周壁の表面硬度(引掻き傷深さ)は、いずれも実用上問題ない0.45mm以下より大きく、外周壁の熱膨張係数は、セル壁の径方向の熱膨張係数10.5×10−7/℃より、大きいため、耐熱衝撃温度は、実用上問題ないレベルである550℃以上を下まわった。
【0054】
(比較例3)
実施例1と同様の方法により、コージェライト生成原料粉末に、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のバインダー、潤滑剤、造孔材として有機発泡剤及びグラファイトを適量添加し、乾式で十分混合した後、規定量の水を添加、十分な混練を行って可塑化したセラミック杯土を作成した。次いで、坏土を公知の押出成形用口金を通過させることにより、外周壁3とセル壁4とが一体に形成されたハニカム構造を有する成形体を得た後、乾燥、焼成操作を加えることにより、セル壁の気孔率65%、平均細孔径20μm、セル壁の径方向の熱膨張係数10.5×10−7/℃の材料特性を有し、セル壁厚0.3mm、セル壁のピッチ1.5mm、外径266.7mm、全長300mmの外周壁とセル壁が一体に形成されたハニカム構造体(ハニカム体C)を得た。
【0055】
比較例3のセラミックハニカム構造体に対し、実施例1と同様に、外周壁の表面硬度、外周壁の熱膨張係数、及び耐熱衝撃温度を測定した結果を、表2に示す。比較例3セラミックハニカム構造体は、外周壁とセル壁が一体に形成されていることから、外周壁の表面硬度(引掻き傷深さ)は、実用上問題ない0.45mm以下であったが、外周壁の熱膨張係数は、セル壁の径方向の熱膨張係数10.5×10−7/℃より、大きいため、耐熱衝撃温度は、実用上問題ないレベルである550℃以上を下まわった。
【0056】
【表1】
Figure 0004457338
【0057】
【表2】
Figure 0004457338
【0058】
実施例を用いて示したように、本発明のセラミックハニカム構造体は、セル壁により仕切られた多数の流通孔を有するセラミックハニカム構造体において、外周壁を非晶質シリカ粒子と、それらの間に存在する非晶質酸化物マトリックスで構成することにより、外周壁の熱膨張係数がセル壁の径方向の熱膨張係数に比べて小さくなるように外周壁を形成していることから、耐熱衝撃性に優れたセラミックハニカム構造体が得られる。
【0059】
【発明の効果】
以上、説明のとおり、本発明のセラミックハニカム構造体によれば、外周壁部を形成する工程及び外周壁部を形成するコート材を適切に選択することで、排気ガス浄化用の触媒コンバータや微粒捕集用フィルター,特に排気ガス浄化用の触媒コンバータとして使用した場合に熱衝撃に伴う割れの発生しにくいセラミックハニカム構造体を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハニカム構造体の斜視図である。
【符号の説明】
1:ハニカム構造体
3:外周壁
4:セル壁
5:セル

Claims (7)

  1. セル壁により仕切られた多数の流通孔を有するセラミックハニカム構造体であって、前記セラミックハニカム構造体のセル壁の径方向の熱膨張係数が10.1〜20.0×10 -7 /℃であり、前記セラミックハニカム構造体の外周壁部が少なくとも非晶質シリカからなる粒子と、それらの間に存在する非晶質酸化物マトリックスとからなり、前記外周壁部の熱膨張係数が10.0×10-7/℃以下であり、前記セラミックハニカム構造体の外周壁部の熱膨張係数が、前記セラミックハニカム構造体のセル壁部の径方向の熱膨張係数より小さいことを特徴とするセラミックハニカム構造体。
  2. セル壁により仕切られた多数の流通孔を有するセラミックハニカム構造体であって、前記セラミックハニカム構造体の外周壁部が少なくとも非晶質シリカからなる粒子と、それらの間に存在する非晶質酸化物マトリックスとからなることを特徴とするセラミックハニカム構造体。
  3. セル壁により仕切られた多数の流通孔を有するセラミックハニカム構造体の周縁部を加工により除去した後、外周面にコート材を塗布して外周壁部を形成したことを特徴とする、請求項1または2に記載のセラミックハニカム構造体。
  4. 前記非晶質酸化物マトリックスがコロイダリシリカ及び/又はコロイダルアルミナから形成された非晶質酸化物マトリックスであることを特徴とする請求項乃至記載のセラミックハニカム構造体。
  5. 前記外周壁部が少なくとも非晶質シリカからなる粒子100質量部に対して、非晶質酸化物マトリックスを2〜35質量部の割合で含むことを特徴とする請求項乃至記載のセラミックハニカム構造体。
  6. コージェライトからなるセラミックハニカム構造体の周縁部を加工により除去した後、外周面にコート材を塗布して外周壁部を形成するセラミックハニカム構造体の製造方法において、前記コート材が少なくとも非晶質シリカからなる粒子とコロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナからなるコロイド状酸化物とを含み、前記粒子100質量部に対して、前記コロイド状酸化物を固形分換算で2〜35質量部の割合で配合せしめてなることを特徴とするセラミックハニカム構造体の製造方法。
  7. 少なくとも非晶質シリカからなる粒子とコロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナからなるコロイド状酸化物とを含み、前記粒子100質量部に対して、前記コロイド状酸化物を固形分換算で2〜35質量部の割合で配合せしめてなることを特徴とするセラミックハニカム構造体の外周壁を形成するためのコート材。
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