JP2004002130A - セラミックス多孔体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度及び優れた耐熱性を有し、かつ、自己修復機能を有するセラミックス多孔体及びその簡易な製造方法を提供する。
【解決手段】主たる成分が金属の炭化物、窒素化物、ホウ化物のいずれか一種の非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスより構成されるセラミックス多孔体であって、気孔率が25〜50%、気孔の平均気孔径が20μm以下、かつ非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスの複合粒子の平均粒径が0.01〜30μmの範囲にあり、このセラミックス多孔体の強度が30MPa以上であり、酸化雰囲気下で800℃以上の温度域において自己修復機能を有することを特徴とするセラミックス多孔体、その製造方法、及び構造部材。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックス多孔体及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、特定の平均細孔径及び気孔率を有し、しかも、高い機械的強度及び自己修復機能等を有する新規セラミックス多孔体及びその簡便な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、多孔質セラミックスは、溶融金属のろ過材、触媒担体、高温集塵フィルター、通気性断熱材、バーナーヘッド等として、広く用いられるようになってきた。非酸化物セラミックスは、優れた機械的特性、耐熱・耐食性を有しているため、高温構造用材料として広く応用されている。また、セラミックス多孔体は、ディーゼルエンジンの脱塵装置用フィルター、石炭加圧流動床複合発電システムの脱塵フィルターなど、高温燃焼ガス中に含まれる粉塵を分離するための高温集塵フィルターとして応用されている。
【0003】
このような高温集塵フィルターは、異常燃焼や逆洗などのために優れた耐熱や耐熱衝撃性が、また、腐食性ガスに曝されるため優れた耐食性が要求される。更に、高効率で粉塵を取り除くために、高い気孔率が要求される。
【0004】
非酸化物セラミックスを酸化雰囲気中で加熱すると、表面が酸化するため、不活性ガス雰囲気で焼成するのが一般的である。また、非酸化物セラミックスは、一般的に共有結合性が高く、難焼結性物質であるため、高い焼結温度が必要である。
【0005】
このような非酸化物セラミックスを原料として焼成するには、通常は、焼結助剤を添加し、その緻密化を促進し、焼結密度の向上を図ることが行われている。例えば、炭化ケイ素では、この緻密化を促進するための焼結助剤として、通常、例えば、Al O 、Y2  、B C、C、Be、Ti、Si N 等が用いられている。
【0006】
従来、炭化ケイ素多孔体は、炭化ケイ素粉末に有機質バインダー、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどを添加した配合物とし、これを成形した後、2000℃以上の温度で焼成することにより、炭化ケイ素微粒子を粒成長させて、粒子を相互に結合させることにより製造する方法が知られている。しかし、この方法では、気孔率が高々40%に留まり、多孔体の流体透過性が劣るという欠点があった。
【0007】
また、炭化ケイ素粉末と硬化性オルガノポリシロキサンなどを充填し、熱分解による多孔質セラミック成形体の製造方法が提案されている(特開平7−10656)。しかし、この種の方法でも、高気孔率で機械的特性の優れた炭化ケイ素多孔体は得られていない。
【0008】
また、炭化ケイ素粉末に、アルミナ及びシリカを含有し、かつ融点が1300℃以下である化合物を混合し、その成形体を非酸化性雰囲気中、1320℃以下の温度で焼成による炭化ケイ素多孔体の製造方法(特開2000−351679)が提案されている。しかし、この種の方法でも、機械的強度が低く、気孔率が30〜35%前後の多孔体の場合、機械的強度は50〜70MPa程度である。
【0009】
一般に、気孔率や気孔径を大きくすると、多孔体の機械的強度が低下する傾向がある。例えば、炭化ケイ素多孔体の製造方法として、数μm以上の比較的大きな粒子直径を有する炭化ケイ素粒子を骨材として用い、それにガラス質又は粘土質などの結合材を加えて成形後、その成形体を前記結合材が溶融する温度で焼き固める方法が従来から知られている。しかし、このような従来法では、1μm以上の細孔直径を得ることは比較的容易であるが、骨材となる炭化ケイ素粒子に粗大なものが用いられるために、機械的強度が低く、気孔率が30〜35%前後の多孔体の場合、強度は20MPa以下となるのが通常であった。
【0010】
このように、炭化ケイ素をはじめとする非酸化物セラミックス多孔体は、広範な分野で応用されているが、より耐熱・耐食性、耐熱衝撃性、機械的特性の優れた材料が望まれている。一方で、非酸化物セラミックス多孔質体のより簡便な作製技術の開発が望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明者らは、これまでの研究を調査し、鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明により、耐熱・耐食性、耐熱衝撃性、機械的特性の優れた材料及び本セラミックス多孔質体のより簡便な作製技術を提供することが可能になった。
本発明は、平均気孔径が20μm以下で、25%以上の高い気孔率を有し、かつ、30MPa以上の高い機械的強度を有し、自己修復機能をも有する極めて有用なセラミックス多孔体及びその簡単な製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、主たる成分が金属の炭化物、窒素化物、ホウ化物のいずれか一種の非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスより構成されるセラミックス多孔体であって、気孔率が25〜50%、気孔の平均気孔径が20μm以下、かつ非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスの複合粒子の平均粒径が0.01〜30μmの範囲にあり、更には、このセラミックス多孔体の強度が30MPa以上であり、更に、酸化雰囲気下で800℃以上の温度域において自己修復機能を有することを特徴とするセラミックス多孔体である。この構成にすることで、高温特性や耐食性、更には自己修復機能を有するセラミックス他孔質体を提供することが可能になる。
【0013】
本明細書中において、平均気孔径は、水銀圧入法により測定されたものである。気孔率は、アルキメデス法を用いて測定された見かけ気孔率である。セラミックス成形体の気孔率は、当該成形体の寸法と重量から密度を算出し、それを1から差し引いた値である。機械的強度は、JISR 1601に準拠した3点曲げ試験法により測定された強度である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の第1の態様は、主たる成分が金属の炭化物、窒素化物、ホウ化物のいずれか一種の非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスより構成されるセラミックス多孔体であって、気孔率が25〜50%、気孔の平均気孔径が20μm以下、かつ非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスの複合粒子の平均粒径が0.01〜30μmの範囲にあり、更には、このセラミックス多孔体の強度が30MPa以上であり、更に、酸化雰囲気下で800℃以上の温度域において自己修復機能を有することを特徴とするセラミックス多孔体である。
【0015】
このセラミックス多孔体において、気孔率を25〜50%に規定したのは、25%を下回ると圧損が高くなり、フィルター性能が低下するためであり、50%を上回ると強度の低下が認められるためである。また、気孔の平均気孔径を20μm以下に規定したのは、これを上回ると、気孔で粉塵等が捕捉されず、多孔体を通過する粒子が増加するため、効率よく粉塵を分離することが困難になるためである。更に、炭化ケイ素とシリカの複合粒子の平均粒径を0.01〜30μmに規定したのは、0.01μmを下回ると、容易に酸化反応が進行するため、実使用環境下において、酸化反応が容易に進行し、部材としての長期間の信頼性に劣るためである。また、粒径が30μmを上回ると、強度の低下が大きいため、フィルター部材としては不適となる。更に、強度値を30MPa以上に規定したのは、これより小さければ、熱衝撃等の応力に耐え切れず、部材の信頼性が低下するためである。更に、材料に損傷が与えられた場合に、酸素雰囲気下で800℃以上の温度域において熱処理するだけで、非酸化物セラミックスが体積膨張を伴う酸化挙動を示すことで、損傷を修復することが可能になる。
【0016】
本発明の他の態様は、上記非酸化物セラミックスが、炭化ケイ素であることを特徴とする上記セラミックス多孔体である。
【0017】
このセラミックス多孔体において、上記非酸化物セラミックスを炭化ケイ素セラミックスに限定したのは、この材料が、高温強度に優れており、実使用温度域でも、特に優れた特性を示すためである。
【0018】
本発明の他の態様は、上記非酸化物セラミックスが、窒化ケイ素であることを特徴とする上記セラミックス多孔体である。
【0019】
このセラミックス多孔体において、上記非酸化物セラミックスを窒化ケイ素セラミックスに限定したのは、この材料が、高温での化学的安定性に優れており、実使用温度域でも、特に優れた特性を示すためである。
【0020】
本発明の他の態様は、上記非酸化物セラミックスが、ホウ化チタンであることを特徴とする上記セラミックス多孔体である。
【0021】
このセラミックス多孔体において、上記非酸化物セラミックスをホウ化チタンセラミックスに限定したのは、この材料が、光触媒効果によって、実使用環境下におけるフィルターの自浄作用により、長寿命を示すためである。
【0022】
本発明の他の態様は、上記非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスの複合粒子は、粒子表面の酸素濃度が内部の酸素濃度よりも高いことを特徴とする上記セラミックス多孔体である。
【0023】
このセラミックス多孔体において、粒子表面の酸素濃度が、内部より高くなっていることで、表面は酸化物セラミックスにより結合力を高めるとともに、内部では非酸化物セラミックスが主体となり、非酸化物セラミックスの優れた耐熱性や耐食性を利用できることから、強度と耐熱性や耐食性を両立させることが可能になる。
【0024】
本発明の他の態様は、上記非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスの複合粒子において、粒子表面の酸素濃度が内部の酸素濃度よりも高い部分の膜厚をXとし、複合粒子の直径をAとすると、X≦A/10であることを特徴とする上記セラミックス多孔体である。
【0025】
このセラミックス多孔体において、膜厚をX≦A/10に規定したのは、これより厚ければ、高温強度が低下し、かつ、十分な自己修復機能を発揮できないためである。
【0026】
本発明の他の態様は、複合粒子は酸化物セラミックスの架橋によって結合していることを特徴とする上記炭化ケイ素セラミックス多孔体である。
【0027】
このセラミックス多孔体において、酸化物セラミックスの架橋によって粒子が結合することで、高強度を達成することが可能になるとともに、フィルターとして必要な開気孔を有する材料構造をとることが可能になる。
【0028】
本発明の他の態様は、非酸化物セラミックス粉末を成形して気孔率が40%以上の成形体とし、当該成形体を酸化性雰囲気中で800〜1700℃の温度範囲で焼成することを特徴とする上記セラミックス多孔体の製造方法である。
【0029】
この方法において、気孔率を40%以上に規定したのは、これより少なければ、製造プロセス過程において、緻密化の進行等により、最終的な多孔体中に閉気孔が増加し、フィルター性能が低下するためである。
【0030】
本発明の他の態様は、非酸化物セラミックス粉末の平均粒径が0.01〜30μmの範囲にあることを特徴とする特許請求項4に記載のセラミックス多孔体の製造方法である。
【0031】
この方法において、出発原料の平均粒径を0.01〜30μmに規定したのは、0.01μmを下回ると、容易に酸化反応が進行するため、最適な製造プロセス条件の範囲が極端に狭くなり実質上安定して製造することが困難であり、かつ、易反応性であることから、ハンドリング自体も困難であるためである。更に、粒径が30μmを上回ると、強度の低下が大きいため、フィルター部材としては不適となる。
【0032】
本発明の他の態様は、上記の高い気孔率、機械的強度及び自己修復機能を有するセラミックス多孔体を構成要素として含むことを特徴とする構造部材である。本発明において、構造部材とは、ろ過材、触媒担体、フィルター、断熱材、その他、上記セラミックス多孔体を構成要素として含むあらゆる種類の部品及び製品を意味する。
【0033】
次に、本発明の製造方法について説明する。本発明のセラミック多孔体の作製方法は、非酸化物セラミックス粉末から成形体を作製し、当該成形体を酸化性ガス雰囲気下で酸化させ、非酸化物セラミックス粒子同士の間に生成した酸化物セラミックスによって焼結させることを構成要件とするものである。本発明では、焼結する際に、試料の中で高融点の物質である単一な酸化物セラミックスを生成するため、粒子の再配列が抑制され、緻密化が進みにくくなることが特徴である。
【0034】
本発明の多孔体は、気孔径が20μm以下の開放した気孔を多数有し、表面積が大きい上、気孔率が25%以上と高いため、気体等の流体の通過量が大きく、フィルターや触媒担体等として優れた機能を備えている。また、曲げ強度が30MPa以上と高強度であるから、高い構造的信頼性を備えている。
【0035】
本発明の製造方法を更に詳しく説明する。本発明のセラミックス多孔体は、基本的には平均粒径30μm以下の非酸化物セラミックス粉末を成形した後、酸化性雰囲気中において800℃以上の温度、好ましくは1100℃〜1500℃の温度で焼結する方法により製造することができる。酸化性雰囲気は、大気、高純度酸素ガス又は酸素の混合ガスであってよい。焼結時の雰囲気は0.1〜1MPaである。より高強度のものを得るためには、1200℃以上での焼結温度とするのが好ましい。しかし、焼結温度が高くなると、焼結体の強度低下を招くことになる。
【0036】
かかるセラミックス多孔体の製造原料は、単一組成の粉末だけがよいが、その他のセラミックス粉末や金属粉末を混合してもよい。そのセラミックスや金属粉末としては、例えば、酸化性雰囲気に適用するSi N 、TiN、AlN等の窒化物、TiC、WC、ZrC等の炭化物、金属粉末としては、例えば、酸化性雰囲気に適用するPt、Ni、Al、Auのような、SiC以外の粉末が挙げられる。
【0037】
本発明のセラミックス多孔体の製造方法において、焼結中に非酸化物セラミックス粉末の酸化により生成した酸化物セラミックスは、焼結助剤として働き、非酸化物セラミックス粒子同士は、この酸化物によって強固に結合されるため、得られる焼結体は高い強度を発現する。
【0038】
本発明のセラミックス多孔体の製造方法において、焼結助剤や粒成長促進剤として、他の酸化物を添加、混合してもよい。この酸化物は、酸化により生成される酸化物との合成物の融点が高いことが望ましい。
【0039】
本発明の多孔体に用いる炭化ケイ素原料粉末としては、α型、β型、非晶質或いはこれらの混合物等が挙げられるが、特にα型炭化ケイ素粉末が好適に用いられる。このα型炭化ケイ素粉末の種類には特に制限はなく、例えば、一般に市販されているα型炭化ケイ素粉末を用いることもできる。
【0040】
前記非酸化物セラミックス原料粉末の粒子凝集を解消するために、攪拌混合を行ってもよい。この攪拌混合は、公知の攪拌混合手段、例えば、ミキサー、遊星ボールミルなどによって行うことができる。攪拌混合は、1〜30時間、特に、2〜24時間にわたって行うことが好ましい。
【0041】
非酸化物セラミックス粉末の成形性を向上させるために、バインダーとして、有機化合物の添加が望ましい。有機化合物としては、例えば、好適な加熱に焼却できるフェノ−ル樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリビニルアルコ−ル等の樹脂のモノマ−やプレポリマ−が好ましく、その他、セルロース、蔗糖、ピッチ、タール等の液状物等が用いられる。
【0042】
本発明において、成形体の作製には、適宜の方法が使用できる。これらの方法としては、例えば、金型成形、CIP(Cold Isostatic Press)成形、射出成形、押し出し成形、鋳込み成形などが挙げられる。気孔率は、成形する際の条件を調整することにより制御できる。すなわち、CIP成形の場合は静水圧で、鋳込み成形の場合は使用するスラリーの分散性で、また、射出成形や押出し成形の場合は粉末と樹脂の配合比を調整することで成形体の気孔率を制御できる。
【0043】
得られた成形体を必要に応じて脱脂処理を行う。その後、酸化性雰囲気下において、800〜1700℃の温度範囲で、好ましくは1100〜1500℃の温度範囲で焼結する。生成する酸化物セラミックスが高融点を有するため、焼結体の収縮を抑制し、高い気孔率を有する気孔体を形成する。
【0044】
本発明の方法は、他の気孔形成方法と組合せても使用できる。例えば、原料粉末に炭素粒子、有機質繊維などを添加し、焼結の際に、その添加物の焼却により、気孔を形成させることもできる。
【0045】
【作用】
本発明のセラミックス多孔体が形成される機構や、高い曲げ強度が示す原因については、以下のようなことが考えられる。すなわち、これらのことは、非酸化物セラミックスを酸化性雰囲気中で加熱すると、非酸化物セラミックス粒子表面の酸化によって、粒子間に酸化物セラミックスが形成され、非酸化物セラミックス粒子同士がその酸化物セラミックスにより強く結合され、また、焼結温度が低いため、粒子の再配列が困難であるためと考えられる。
【0046】
更に、本発明のセラミックス多孔体が高い曲げ強度が示す原因については、次のようなことが考えられる。すなわち、このことは、非酸化物セラミックスを酸化性雰囲気中で加熱すると、酸化によって酸化物セラミックスが形成され、この酸化物セラミックスは非酸化物セラミックス粒子と緊密な結合があったことや、また、酸化物セラミックスが形成される際に大きな体積膨張を示すことで、焼結体内部には残留圧縮応力が存在していることがその原因であると考えられる。例えば、炭化ケイ素はシリカを形成する際に、約45%の体積膨張を伴うことから、多孔質体の強度向上には効果的であると考えられる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
平均粒径0.6μmのα−SiC粉末(昭和電工株式会社製、A−2)を500kg/cm で成形し、寸法が約55mm×6mm×5mmの成形体とした。この成形体を電気炉に入れ、大気中で1100〜1500℃で1時間焼成した。得られた多孔質炭化ケイ素体について、その気孔率と嵩比重を水浸法で測定し、曲げ強度をJIS R1601に準拠した3点曲げ試験法により測定した。その結果を表1に示す。なお、加熱前後の重量の測定から、シリカの量を算出した。
【0048】
【表1】
Figure 2004002130
【0049】
得られた試料は、気孔率30〜40%で、曲げ強度30MPa以上の多孔質焼結体であった。
【0050】
表1において、例1〜例5で得られた炭化ケイ素多孔体の切断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、そのいずれにおいても微細な炭化ケイ素粒子がシリカによって強固に結合されていることが確認された。気孔径を水銀圧入法にて測定したところ、平均気孔径は0.2μmであり、その気孔径分布は極めて均一であった。
【0051】
1300℃で焼成した試料について、その1200℃の高温で測定した曲げ強度をJIS R1604に準拠した3点曲げ試験法により測定した。その結果、平均102MPa、標準偏差32MPaとなり、良好な耐熱性を示した。
【0052】
実施例2
平均粒径2.3μmのα−SiC粉末(昭和電工株式会社製、A−3)に1重量%のフェノール樹脂を加え、これをボールミル中で湿式で混合した。この混合粉末を乾燥後、500kg/cm で成形し、寸法が約55mm×6mm×5mmの成形体とした。この成形体を電気炉に入れ、大気中で1100〜1500℃で1時間焼成した。得られた多孔質炭化ケイ素体について、その気孔率と嵩比重を水浸法で測定し、曲げ強度をJIS R1601に準拠した3点曲げ試験法により測定した。その結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
Figure 2004002130
【0054】
得られた試料は、粗大な炭化ケイ素粒子が使用されているため、収縮率が低く、気孔率25〜40%で、曲げ強度20〜90MPaの多孔質焼結体であった。
【0055】
表2において、例6〜例10で得られた炭化ケイ素多孔体の切断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、そのいずれにおいても粗大な炭化ケイ素粒子がシリカによって強固に結合されていることが確認された。気孔径を水銀圧入法にて測定したところ、平均気孔径は2.0μmであった。
【0056】
1300℃で焼成した試料ついて、その1200℃の高温で測定した曲げ強度をJIS R1604に準拠した3点曲げ試験法により測定した。その結果、平均78MPa、標準偏差26MPaとなり、良好な耐熱性を示した。
【0057】
実施例3
成形圧力を変えて、気孔率と平均気孔径を制御した他は、上記実施例1と同様にしてセラミックス多孔体を作製した。なお、焼成温度は1300℃である。特性評価は圧力損失及び3点曲げ強度、耐熱衝撃性について行った。ここで、耐熱衝撃性は、水中投下法により測定した耐熱衝撃温度差である。また、実施例1のセラミックス多孔体にノッチを入れた後、1300℃で1時間熱処理を施した後の残存強度を測定した。比較のため、シリカ単体で構成されたセラミックス多孔体も同様の処理を施し、残存強度を測定した。
その結果を図1、2及び3に示す。
【0058】
実施例4
原料粉末を窒化ケイ素にした他は、上記実施例1と同様にしてセラミックス多孔体を作製した。なお、焼成温度は1300℃である。評価は塩化水素を含む雰囲気中に800℃で1時間暴露し、暴露前後での強度低下を調べた。なお、強度値は暴露前の強度で規格化した。比較のため、シリカ単体で構成されたセラミックス多孔体も同様の処理を施し、残存強度を測定した。その結果を図4に示す。
【0059】
実施例5
原料粉末をホウ化チタンにした他は、上記実施例1と同様にしてセラミックス多孔体を作製した。なお、焼成温度は1300℃である。評価は油を含む粉塵を通過させ、その後、太陽光に12時間さらし、油分を分解した後の、圧力損失を調べた。比較のため、シリカ単体で構成されたセラミックス多孔体も同様の処理を施し、同じ条件で圧力損失を評価した。結果を図5に示す。
【0060】
実施例5
原料粉末を炭化ケイ素とし、上記実施例1と同様にしてセラミックス多孔体を作製した。なお、焼成温度は1300℃である。また、比較例として、原料粉末を炭化ケイ素とシリカの混合粉末にした他は、上記実施例1と同様にしてセラミックス多孔体を作製した。評価は1000℃での高温強度を測定した。結果を図6に示す。ここで、比較例では、粒子が炭化ケイ素同士で接触している箇所もあり、すべての粒子が酸化物同士の架橋によって結合しているわけではなかった。
【0061】
実施例6
原料粉末を炭化ケイ素とし、焼成時間を変えた他は、上記実施例1と同様にしてセラミックス多孔体を作製した。なお、焼成温度は1300℃である。評価は酸化層の膜厚と、高温強度を調べた。また、多孔体に、亀裂をいれ、1300℃で1時間の熱処理を施して、強度の回復程度を評価した。その結果を図7、8に示す。
【0062】
実施例7
原料粉末を炭化ケイ素とし、出発原料の平均粒径を変えた他は、上記実施例1と同様にしてセラミックス多孔体を作製した。なお、焼成温度は1300℃である。評価は、強度を測定した。なお、出発原料の粒径が0.01μmより細かい場合には、酸化が進行し、本発明の多孔体を得ることはできなかった。また、焼成後の平均粒径は、出発原料の平均粒径とほぼ同じであった。その結果を図9に示す。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、主たる成分が金属の炭化物、窒素化物、ホウ化物のいずれか一種の非酸化セラミックスと酸化物セラミックスより構成されるセラミックス多孔体及びその製造方法に係るものであり、本発明によれば、高強度及び優れた耐熱性を有し、かつ、自己修復機能を有するセラミックス多孔体を提供することができる。強度、耐熱性、耐酸化性及び耐熱衝撃性等に優れ、しかも、高い気孔率のセラミックス多孔体を簡単な方法で作製することができる。
このセラミックス多孔体は、成形体製造工程と焼成工程が非常に簡単であり、また、焼成温度が低く、かつ、実用上極めて重要な自己修復機能を有するため、産業上極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る気孔率と圧力損失及び強度の関係を示すグラフである。
【図2】本発明に係る強度(初期強度)と耐熱衝撃温度差の関係を示すグラフである。
【図3】本発明に係る材質とノッチ材の残存強度率の関係を示すグラフである。
【図4】本発明に係る材質と暴露材の残存強度率の関係を示すグラフである。
【図5】本発明に係る材質と分解後の圧力損失の関係を示すグラフである。
【図6】本発明に係る酸素の存在状態と高温強度の関係を示すグラフである。
【図7】本発明に係る酸化層の膜厚と高温強度の関係を示すグラフである。
【図8】本発明に係る酸化層の膜厚と強度回復率の関係を示すグラフである。
【図9】本発明に係る出発原料の粒径と強度の関係を示すグラフである。

Claims (10)

  1. 主たる成分が金属の炭化物、窒素化物、ホウ化物のいずれか一種の非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスより構成されるセラミックス多孔体であって、気孔率が25〜50%、気孔の平均気孔径が20μm以下、かつ非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスの複合粒子の平均粒径が0.01〜30μmの範囲にあり、このセラミックス多孔体の強度が30MPa以上であり、酸化雰囲気下で800℃以上の温度域において自己修復機能を有することを特徴とするセラミックス多孔体。
  2. 上記非酸化物セラミックスが、炭化ケイ素であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス多孔体。
  3. 上記非酸化物セラミックスが、窒化ケイ素であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス多孔体。
  4. 上記非酸化物セラミックスが、ホウ化チタンであることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス多孔体。
  5. 上記非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスの複合粒子は、粒子表面の酸素濃度が内部の酸素濃度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載のセラミックス多孔体。
  6. 上記非酸化物セラミックスと酸化物セラミックスの複合粒子において、粒子表面の酸素濃度が内部の酸素濃度よりも高い部分の膜厚をXとし、複合粒子の直径をAとすると、X≦A/10であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のセラミックス多孔体。
  7. 複合粒子が、酸化物セラミックスの架橋によって結合していることを特徴とする請求項1、5又は6に記載のセラミックス多孔体。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のセラミックス多孔体を製造する方法であって、非酸化物セラミックス粉末を成形して気孔率が40%以上の成形体とし、当該成形体を酸化性雰囲気中で800〜1700℃の温度範囲で焼成することを特徴とするセラミックス多孔体の製造方法。
  9. 非酸化物セラミックス粉末の平均粒形が0.01〜30μmの範囲にあることを特徴とする請求項8に記載のセラミックス多孔体の製造方法。
  10. 請求項1から7のいずれかに記載の高い気孔率、機械的強度及び自己修復機能を有するセラミックス多孔体を構成要素として含むことを特徴とする構造部材。
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