JP7505940B2 - 遮水構造形成用組成物、及び、遮水方法 - Google Patents

遮水構造形成用組成物、及び、遮水方法 Download PDF

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本発明は、遮水構造形成用組成物、及び、遮水方法に関する。
従来、汚染土や廃棄物の貯蔵施設において、重金属等の有害物質を場外へ漏出させないように遮水工を構築するには、合成樹脂からなる遮水シートが使用されるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。この場合、一定の幅を有する枚葉状のシートを貯蔵施設に持ち込み、それぞれのシートを敷設した後に互いの端部を熱溶着させることで、貯蔵施設内の広い面積を覆うことができる。
特開平8-25485号公報
ここで、遮水シートは重量が大きいので、扱うにはクレーンを用いる必要があり、適切な位置に配置するには時間も要する。また、遮水すべき箇所に凹凸があるとシートが損傷する原因となるので、遮水すべき箇所を事前にできるだけ平坦に均す必要がある。このような状況に鑑み、本発明は、遮水すべき箇所に凹凸があっても事前に平坦に均す必要がなく、かつ、遮水工の構築が容易である遮水構造形成用組成物を提供することを目的とする。また、この遮水構造形成用組成物を用いた遮水方法を提供することを目的とする。
本発明は、全質量を基準として高分子化合物(ただし、硬化剤として働く高分子化合物を除く。)が17~57質量%の量で水に混合されてなる、遮水構造形成用組成物を提供する。この遮水構造形成用組成物を散布し乾燥させると、高分子膜が形成される。この高分子膜は透水係数が小さく、遮水工として機能する。ここで、遮水構造形成用組成物は液体であるので、散布箇所は必ずしも平坦である必要はない。散布箇所に凹凸があったとしても、その凹凸形状に追従して高分子膜が形成される。また、散布は小型の機械でも可能であるので、クレーン等の大型機を動員する必要がない。
本発明の遮水構造形成用組成物は、上記高分子化合物が、エチレン・酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル・スチレン共重合体、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むものであることが好ましい。
本発明の遮水構造形成用組成物は、さらに、全質量を基準として10質量%以下の硬化剤を含んでいてもよい。硬化剤を含んでいると、高分子化合物がさらに硬化することとなるので、できあがる高分子膜の透水係数をさらに低下させることができる。
本発明の遮水構造形成用組成物は、さらに、全質量を基準として0.1質量%~10.0質量%の増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤を含んでいると遮水構造形成用組成物の粘性が増し、遮水構造形成用組成物を法面に適用したときに液だれを防止することができる。
また、本発明は、貯蔵施設において、遮水すべき箇所に対して上記の遮水構造形成用組成物を適用して遮水構造を形成する遮水方法を提供する。また、本発明は、貯蔵施設において、遮水すべき箇所に不織布を敷設し、不織布に対して上記の遮水構造形成用組成物を適用して遮水構造を形成する遮水方法を提供する。特に不織布を用いる方法は、散布箇所が岩石質である場合のように空隙が多く、遮水構造形成用組成物が空隙に流れ込み高分子膜を形成しにくいときに有効である。また、不織布を用いる方法は、遮水構造形成用組成物を法面に適用したときに液だれを起こりにくくすることができる。
本発明によれば、遮水すべき箇所に凹凸があっても事前に平坦に均す必要がなく、かつ、遮水工の構築が容易である遮水構造形成用組成物を提供することができる。また、この遮水構造形成用組成物を用いた遮水方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。はじめに、遮水構造形成用組成物について説明する。本実施形態の遮水構造形成用組成物は、貯蔵施設の内部の遮水すべき箇所に対して適用して遮水構造を形成するためのものである。ここで遮水構造とは、遮水構造形成用組成物が固化することで形成される高分子膜である。
遮水構造形成用組成物は、その全質量を基準として、高分子化合物が17質量%~57質量%の量で水に混合されてなる混合液である。遮水構造形成用組成物は、水溶液であってもよく、懸濁液であってもよい。液体としての均一性の観点からは、水溶液であることが好ましい。高分子化合物の含有割合は、25質量%~50質量%であることが好ましく、30質量%~45質量%であることがより好ましく、34質量%~43質量%であることが更に好ましい。水の割合が過剰であると、遮水構造形成用組成物が固化する際に水が十分に蒸発する前に表面の固化が進むため、表面に気泡が発生し、生じる高分子膜の見栄えが悪くなる。なお、ここでいう「高分子化合物」は、硬化剤として働く高分子化合物を除くものである。
高分子化合物としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル・スチレン共重合体、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。高分子化合物を複数種含む場合は、ここに挙げた高分子化合物が高分子化合物全体の50質量%以上を占める主成分であることが好ましい。この場合、50質量%未満を占める副成分としては、ウレタン重合体、N-メチルピロドリン等であることが好ましい。
遮水構造形成用組成物は、高分子化合物を硬化させる硬化剤を含んでいてもよい。硬化剤を含んでいると、高分子化合物がさらに硬化することとなるので、できあがる高分子膜の透水係数をさらに低下させることができる。硬化剤としては、使用する高分子化合物に対して働くものであれば特に制限はなく、例えば脂肪族ジイソシアネート、有機過酸化物を用いることができる。硬化剤としては、高分子化合物の化合物鎖間を架橋する架橋剤であることが好ましい。また、イソシアネート系化合物であることが好ましく、脂肪族ジイソシアネートが好ましい。また、脂肪族ジイソシアネートはプレポリマーの状態であってもよい。硬化剤の含有割合は、遮水構造形成用組成物の全質量を基準として、10質量%以下であってもよく、0.5質量%~8質量%であってもよく、1質量%~5質量%以下であってもよく、2質量%~4質量%であってもよい。硬化剤の割合が過剰であると、遮水構造形成用組成物が固化する際に水が十分に蒸発する前に表面の固化が進むため、表面に気泡が発生し、生じる高分子膜の見栄えが悪くなる。
遮水構造形成用組成物は、増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤を含んでいると、遮水構造形成用組成物の粘性が増し、法面に適用したときに液だれを防止することができる。増粘剤としては、グアガム、キサンタンガム、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。増粘剤の含有割合は、遮水構造形成用組成物の全質量を基準として、0.1質量%~10.0質量%であることが好ましく、0.5質量%~5.0質量%であることがより好ましく、0.8質量%~3.0質量%であることがより好ましい。
遮水構造形成用組成物は、さらに他の成分を含んでいてもよい。例えば、食紅等の着色剤を含んでいると、散布の程度や散布ムラの有無を視覚的に確認することが容易になる。
遮水構造形成用組成物の粘度は、2000mPa・s以下であってもよく、1000mPa・s以下であってもよく、500mPa・s以下であってもよく、300mPa・s以下であってもよい。また、粘度の下限としては5mPa・s、10mPa・s、50mPa・s、100mPa・sが挙げられる。増粘剤を添加したり水の量を加減したりしてこれらの粘度範囲に調整することができる。また、遮水構造形成用組成物の粘度が上記の範囲内である場合(例えば500mPa・s以下)、固化して形成される高分子膜に、ピンホールが形成されることを抑制することができる。粘性が高い場合、散布箇所にムラが生じやすく、それ故ピンホールが形成されて遮水性能に悪影響がでる傾向がある。なお、上記の粘度の値は、BLII型粘度計を用いて1気圧下、20℃で60rpmの条件下で測定した値である。
次に、上記遮水構造形成用組成物を用いた遮水方法について説明する。上記の遮水構造形成用組成物は、貯蔵施設の内部の遮水すべき箇所に対して適用して遮水構造を形成するためのものである。ここで、「適用」とは、吹付け、散布、噴霧、塗布等、遮水構造形成用組成物を当該箇所に接触させる行為を指す。また、「遮水すべき箇所」とは、例えば、貯蔵施設の底面や法面を構成している地山や盛土の表面、貯蔵施設に溜められた岩石や土壌の表面、貯蔵施設に溜められた有害物質の表面、敷設した遮水シート同士の繋ぎ目等を指す。これらのうち、「貯蔵施設に溜められた岩石や土壌の表面」とは、貯蔵施設の使用を開始した後、貯蔵施設の容積内において必要に応じて局所的に本実施形態の遮水構造形成用組成物を適用することを意味している。また、「貯蔵施設に溜められた有害物質を含む土壌の表面」は、有害物質を含む土壌に降雨水が接触しないように蓋をする目的で本実施形態の遮水構造形成用組成物を適用することを意味している。なお、貯蔵施設は封じ込め構造であってもよい。
遮水構造形成用組成物を任意の方法で調製する。例えば、含有させる各成分を個別に用意して同時に混合して調製してもよく、高分子化合物の水溶液と硬化剤及び増粘剤の水溶液との二種類の水溶液を用意しこれらを混合して調製してもよい。混合にはハンドミキサー等を用いることができる。
そして、貯蔵施設の底面や法面における遮水すべき箇所に、遮水構造形成用組成物を散布する。散布には、ハイドロシーダー(種子吹付機)、ハイウォッシャー(高圧洗浄機)、コンクリート吹付機等を使用することができる。散布した後、散布表面を目視観察する。散布ムラが生じている箇所には重ねて散布することができる。重ねて散布した場合でも、はじめに散布した遮水構造形成用組成物に対して次の遮水構造形成用組成物が接着できるため、別途の手当ては不要である。遮水構造形成用組成物を放置すると、自然乾燥して固化し、そして硬化剤を含んでいる場合は硬化反応が進んで固化し、遮水工(遮水構造)としての高分子膜が形成される。
形成された高分子膜は、透水係数が1.0×10-14m/s~5.0×10-12m/sであってもよく、5.0×10-14m/s~1.0×10-12m/sであってもよく、1.0×10-13m/s~5.0×10-13m/sであってもよい。透水係数は、JIS Z 0208に従って測定することができる。この高分子膜は、厚さが0.5mm~5mmであってもよく、1.0mm~4mmであってもよく、1.2mm~3mmであってもよい。高分子膜の膜厚は、散布面積と散布量から算出することができ、又は、直接的な計測としてノギスによる測定をすることができ、又は、間接的な計測手法として過電流式や超音波式等によって測定することができる。
この高分子膜は透水係数が従来の遮水シートと比べて小さく(1.0×10-11m/s以下)、遮水工として機能するので、貯蔵施設の遮水方法として有効である。ここで、遮水構造形成用組成物は液体であるので、散布箇所は必ずしも平坦である必要はなく、敢えて平坦に均す必要もない。つまり、散布箇所に凹凸があったとしても、その凹凸形状に追従して高分子膜が形成される。また、散布は上記のとおり小型の機械でも可能であるので、クレーン等の大型機を動員する必要がない。また、散布する領域の調整が容易であり、重ねて散布することもできるので、従来の遮水シートによる遮水と比べて「遮水すべき箇所」の広さや形状の自由度が高く、処理の中断や再開も容易である。
ところで、上記の遮水方法において、遮水すべき箇所に先に不織布を敷設してもよい。すなわち、遮水すべき箇所に不織布を敷設した後に、その不織布の上に遮水構造形成用組成物を同様に散布する。この場合、遮水構造形成用組成物が不織布に含浸して、不織布と高分子化合物との複合体が形成される。あるいは、不織布の表面に上記の高分子膜が形成され、不織布と高分子化合物との複合体が形成される。いずれの複合体も遮水構造として機能する。
不織布の種類としては特に限定されず、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、セルロース繊維、合成繊維等の材料で製造されたものを使用することができる。不織布の厚さは1mm~10mmであってもよく、3mm~8mmであってもよい。
不織布と高分子化合物との複合体は、透水係数が1.0×10-14m/s~5.0×10-12m/sであってもよく、5.0×10-14m/s~1.0×10-12m/sであってもよく、1.0×10-13m/s~5.0×10-13m/sであってもよい。透水係数は、JIS Z 0208に従って測定することができる。この複合体は、厚さが1mm~30mmであってもよく、2mm~20mmであってもよく、5mm~15mmであってもよい。複合体の膜厚は、散布面積と散布量から算出することができ、又は、直接的な計測としてノギスによる測定をすることができ、又は、間接的な計測手法として過電流式や超音波式等によって測定することができる。
この遮水構造としての複合体は、不織布を含んでいるので耐久性が高い。また、不織布は遮水構造形成用組成物の足場となるので、遮水構造形成用組成物の粘性が低い場合であっても法面において液だれが起きにくい。遮水すべき箇所が岩石質である場合、岩石間の空隙が多く遮水構造形成用組成物を単独で用いた場合は遮水構造形成用組成物がその空隙に流れ込むため高分子膜が形成されにくいが、不織布を用いるとその空隙に蓋をしたうえで遮水構造形成用組成物を散布する恰好となるので、遮水構造を容易に構築することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、「遮水すべき箇所」として挙げた上記「敷設した遮水シート同士の繋ぎ目」とは、従来の方法に従って敷設した遮水シートの繋ぎ目を溶着する代わりに本発明の遮水構造形成用組成物を用いて当該繋ぎ目を埋めることができることや、遮水シートに生じた欠陥部分を本発明の遮水構造形成用組成物で補修することができることを意味している。
以下、実施例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。以下の実験において、透水係数はJIS Z 0208に従って測定し、粘度はBLII型粘度計を用いて25℃、60rpmで測定し、遮水構造の厚さはノギスを用いて測定した。
(比較例1)
透水係数は、日本遮水工協会の自主規格である「1.0×10-11m/s」を比較対象とした。厚さは1.5mmを想定する。
(実施例1)
エチレン・酢酸ビニル共重合体を50質量%、及び、ウレタン重合体を2.7質量%で含む水溶液100gと、硬化剤としての脂肪族ジイソシアネートプレポリマーを25質量%で含む水溶液40gとを混合し、遮水構造形成用組成物を調製した。ここで、遮水構造形成用組成物全体の質量を基準とした各成分の質量割合は、エチレン・酢酸ビニル共重合体が35.7質量%、ウレタン重合体が1.9質量%、脂肪族ジイソシアネートプレポリマーが7.1質量%となっている。また、この遮水構造形成用組成物の粘度は、500mPa・sであった。この遮水構造形成用組成物をプラスチック製の平面に滴下して高分子膜を形成させた。高分子膜を自然乾燥させた後、その透水係数と膜厚を測定した。
(実施例2)
合成繊維製の厚さ6mmの不織布を平面に敷き(広さは20cm×20cm)、この上に、実施例1で調製した遮水構造形成用組成物を滴下した。散布により形成された高分子膜を自然乾燥させた後、不織布と高分子膜とが一体化した遮水構造の透水係数と膜厚を測定した。
(実施例3)
エチレン・酢酸ビニル共重合体を38.5質量%、及び、ウレタン重合体を2.1質量%で含む水溶液184.1g調製し、遮水構造形成用組成物とした。この遮水構造形成用組成物の粘度は、560mPa・sであった。この遮水構造形成用組成物をプラスチック製の平面に滴下して高分子膜を形成させた。高分子膜を自然乾燥させた後、その透水係数と膜厚を測定した。
(実施例4)
エチレン・酢酸ビニル共重合体を33.3質量%、及び、ウレタン重合体を1.8質量%で含む水溶液212.4gと、硬化剤としての脂肪族ジイソシアネートプレポリマーを99.9質量%で含む水溶液7.08gと、増粘剤としてのグアガムを2.2g混合し、遮水構造形成用組成物を調製した。ここで、遮水構造形成用組成物全体の質量を基準とした各成分の質量割合は、エチレン・酢酸ビニル共重合体が32.1質量%、ウレタン重合体が1.7質量%、脂肪族ジイソシアネートプレポリマーが3.2質量%、グアガムが1%となっている。また、この遮水構造形成用組成物の粘度は、285mPa・sであった。この遮水構造形成用組成物をプラスチック製の平面に滴下して高分子膜を形成させた。高分子膜を自然乾燥させた後、その透水係数と膜厚を測定した。
(実施例5)
エチレン・酢酸ビニル共重合体を26.3質量%、及び、ウレタン重合体を1.4質量%で含む水溶液269.04gと、硬化剤としての脂肪族ジイソシアネートプレポリマーを99.9質量%で含む水溶液14.16gとを混合し、遮水構造形成用組成物を調製した。ここで、遮水構造形成用組成物全体の質量を基準とした各成分の質量割合は、エチレン・酢酸ビニル共重合体が25質量%、ウレタン重合体が1.4質量%、脂肪族ジイソシアネートプレポリマーが5.0質量%となっている。また、この遮水構造形成用組成物の粘度は、62.1mPa・sであった。この遮水構造形成用組成物をプラスチック製の平面に滴下して高分子膜を形成させた。高分子膜を自然乾燥させた後、その透水係数と膜厚を測定した。
(実施例6)
エチレン・酢酸ビニル共重合体を41.7質量%、及び、ウレタン重合体を2.3質量%で含む水溶液169.92gと、硬化剤としての脂肪族ジイソシアネートプレポリマーを99.9質量%で含む水溶液7.08gとを混合し、遮水構造形成用組成物を調製した。ここで、遮水構造形成用組成物全体の質量を基準とした各成分の質量割合は、エチレン・酢酸ビニル共重合体が40質量%、ウレタン重合体が2.2質量%、脂肪族ジイソシアネートプレポリマーが4.0質量%となっている。また、この遮水構造形成用組成物の粘度は、1070mPa・sであった。この遮水構造形成用組成物をプラスチック製の平面に滴下して高分子膜を形成させた。高分子膜を自然乾燥させた後、その透水係数と膜厚を測定した。
(実施例7)
エチレン・酢酸ビニル共重合体を16.7質量%、及び、ウレタン重合体を0.9質量%で含む水溶液424.8gと、硬化剤としての脂肪族ジイソシアネートプレポリマーを99.9質量%で含む水溶液14.16gとを混合し、遮水構造形成用組成物を調製した。ここで、遮水構造形成用組成物全体の質量を基準とした各成分の質量割合は、エチレン・酢酸ビニル共重合体が16.1質量%、ウレタン重合体が0.9質量%、脂肪族ジイソシアネートプレポリマーが3.2質量%となっている。また、この遮水構造形成用組成物の粘度は、7.8mPa・sであった。この遮水構造形成用組成物をプラスチック製の平面に滴下して高分子膜を形成させた。高分子膜を自然乾燥させた後、その透水係数と膜厚を測定した。
比較例1、実施例1~7の結果を表1に示す。実施例1~7で形成した遮水構造は、遮水シートよりも透水係数が小さいことが分かった。
Figure 0007505940000001
本発明は、貯蔵施設の遮水工として利用することができる。

Claims (6)

  1. 全質量を基準として高分子化合物(ただし、硬化剤として働く高分子化合物を除く。)が17質量%~57質量%の量で水に混合されてなり、
    前記高分子化合物全体の50質量%以上を占める主成分として、エチレン・酢酸ビニル共重合体を含み、
    前記高分子化合物全体の50質量%未満を占める副成分として、ウレタン重合体を含む、遮水構造形成用組成物。
  2. 前記高分子化合物が、酢酸ビニル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル・スチレン共重合体、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1記載の遮水構造形成用組成物。
  3. さらに、全質量を基準として10質量%以下の硬化剤を含む、請求項1又は2記載の遮水構造形成用組成物。
  4. さらに、全質量を基準として0.1質量%~10.0質量%の増粘剤を含む、請求項1~3のいずれか一項記載の遮水構造形成用組成物。
  5. 貯蔵施設において、遮水すべき箇所に対して請求項1~4のいずれか一項記載の遮水構造形成用組成物を適用して遮水構造を形成する、遮水方法。
  6. 貯蔵施設において、遮水すべき箇所に不織布を敷設し、
    前記不織布に対して請求項1~4のいずれか一項記載の遮水構造形成用組成物を適用して遮水構造を形成する、遮水方法。
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