JP7499042B2 - 木質耐震壁の強度評価方法 - Google Patents

木質耐震壁の強度評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、構造物に設置される木質耐震壁の強度計算方法に関するものであり、特に、直交集成板(CLT:Cross Laminated Timber)を壁体に用いた木質耐震壁の各種強度(例えば短期荷重、終局荷重)の計算方法に関するものである。
従来、CLTと呼ばれる直交集成板が知られている。CLTは、ひき板または小角材(これらをその繊維方向を互いにほぼ平行にして長さ方向に接合接着して調整したものを含む。以下、ラミナということがある。)をその繊維方向を互いにほぼ平行にして幅方向に並べ、または接着したものを、主としてその繊維方向を互いにほぼ直角にして積層接着し3層以上の構造を持たせた木質板材であり、耐震・耐火性能が高いという特長がある。
このCLTを壁体に用いたCLT耐震壁は、CLTからなる床スラブを介して上下階のCLT耐震壁と金物にて緊結することで、耐震壁としての性能を確保することが告示等で要請されている。
これに対し、本特許出願人は、特許文献1および特許文献2の木質耐震壁を提供している。
特許文献1の木質耐震壁は、CLTからなる壁体を備え、この壁体の上端と下端が鉄骨または鉄筋コンクリートからなる上梁と下梁に梁接合部を介してそれぞれ接合された木質耐震壁であって、梁接合部は、上梁または下梁に固定され、壁体に向けて突出する梁側の鋼板と、壁体の上端または下端から上梁または下梁に向けて突出するとともに壁体の内部に挿入配置される壁体内部側の鋼板と、これらの鋼板を接合するボルトと、壁体の上端面または下端面に配置され、壁体内部側の鋼板に接合する端面側の鋼板とを含んで構成され、壁体と壁体内部側の鋼板は、これらを貫通して配置される棒状の鋼製部材によって一体的に固定され、壁体と端面側の鋼板は、端面側の鋼板の外側から壁体の内部に挿入配置される外周にねじが形成された棒状のねじ付き鋼製部材によって一体的に固定されるものである。この特許文献1の木質耐震壁は、剛性、靱性、耐力に優れている。
また、特許文献2の木質耐震壁は、CLTからなる壁体を備え、この壁体の上端と下端が鋼材からなる上梁と下梁に梁接合部を介してそれぞれ接合された木質耐震壁であって、壁体は、上側に配置されて上端が上梁に接合される上部壁体と、下側に配置されて下端が下梁に接合される下部壁体とに上下に分割されており、上部壁体と下部壁体は、所定の荷重が作用すると梁接合部に先行して破壊する構造の壁接合部で接合されているものである。この特許文献2の木質耐震壁は、壁体の脆性的な破壊を防ぐことのできる明快な構造である。
特開2018-188845号公報 特開2018-080569号公報
ところで、上記の従来の特許文献1、2の木質耐震壁を合理的に設計するために、梁接合部に関する各種強度(例えば短期荷重・終局荷重)を適切に評価する計算方法が求められていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、各種強度を適切に評価することができる木質耐震壁の強度計算方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る木質耐震壁の強度計算方法は、CLTからなる壁体を備え、この壁体の上端と下端が上梁と下梁に梁接合部を介してそれぞれ接合された木質耐震壁の強度を計算する方法であって、梁接合部は、上梁または下梁に固定され、壁体に向けて突出して壁体の上端または下端から壁体の内部に挿入配置される壁体内部側の鋼板と、壁体の上端面または下端面に配置されて壁体内部側の鋼板に接合する端面側の鋼板とを含んで構成され、壁体と壁体内部側の鋼板は、これらを貫通して配置される棒状の鋼製部材によって一体的に固定され、壁体と端面側の鋼板は、端面側の鋼板の外側から壁体の内部に挿入配置されるとともに外周にねじが形成された棒状のねじ付き鋼製部材によって一体的に固定されるものであり、梁接合部の破壊荷重が、CLTに生じる割れによる梁接合部の集合破壊で決定されると仮定して、この時の破壊断面を設定するとともに、設定した破壊断面により集合破壊する集合破壊領域を設定するステップと、梁接合部に対して鉛直荷重と水平荷重が同時に作用すると仮定して、これらの荷重によりCLTが変形する荷重領域を設定するステップと、設定した荷重領域、破壊断面、集合破壊領域と、CLTのラミナの引張強度またはせん断強度に基づいて、破壊断面の破壊荷重として短期荷重または終局荷重の少なくとも一方を算定し、算定した破壊荷重に基づいて、梁接合部の強度を計算するステップを有することを特徴とする。
また、本発明に係る他の木質耐震壁の強度計算方法は、上述した発明において、所定の軸力を付加した鉛直荷重が作用すると仮定して、壁体に付加軸力が加わる場合を考慮することを特徴とする。
本発明に係る木質耐震壁の強度計算方法によれば、CLTからなる壁体を備え、この壁体の上端と下端が上梁と下梁に梁接合部を介してそれぞれ接合された木質耐震壁の強度を計算する方法であって、梁接合部は、上梁または下梁に固定され、壁体に向けて突出して壁体の上端または下端から壁体の内部に挿入配置される壁体内部側の鋼板と、壁体の上端面または下端面に配置されて壁体内部側の鋼板に接合する端面側の鋼板とを含んで構成され、壁体と壁体内部側の鋼板は、これらを貫通して配置される棒状の鋼製部材によって一体的に固定され、壁体と端面側の鋼板は、端面側の鋼板の外側から壁体の内部に挿入配置されるとともに外周にねじが形成された棒状のねじ付き鋼製部材によって一体的に固定されるものであり、梁接合部の破壊荷重が、CLTに生じる割れによる梁接合部の集合破壊で決定されると仮定して、この時の破壊断面を設定するとともに、設定した破壊断面により集合破壊する集合破壊領域を設定するステップと、梁接合部に対して鉛直荷重と水平荷重が同時に作用すると仮定して、これらの荷重によりCLTが変形する荷重領域を設定するステップと、設定した荷重領域、破壊断面、集合破壊領域と、CLTのラミナの引張強度またはせん断強度に基づいて、破壊断面の破壊荷重として短期荷重または終局荷重の少なくとも一方を算定し、算定した破壊荷重に基づいて、梁接合部の強度を計算するステップを有するので、木質耐震壁の各種強度を適切に計算することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の木質耐震壁の強度計算方法によれば、所定の軸力を付加した鉛直荷重が作用すると仮定して、壁体に付加軸力が加わる場合を考慮するので、連層耐震壁などで壁体に付加軸力が加わる場合も、木質耐震壁の各種強度を適切に計算をすることができるという効果を奏する。
図1は、本発明に係る木質耐震壁の強度計算方法における破壊断面の説明図である。 図2は、破壊領域の説明図である。 図3は、木質耐震壁の全体図であり、(1)は側断面図、(2)は正断面図である。 図4は、木質耐震壁の梁接合部に作用する荷重の説明図である。 図5は、荷重領域の説明図であり、(1)は鉛直荷重Tによるもの、(2)は水平荷重Qによるものである。 図6は、CLTの変形イメージ図であり、(1)は鉛直荷重Tによるもの、(2)は水平荷重Qによるものである。 図7は、P,T,Qの関係を示す図である。 図8は、付加軸力の算定図である。 図9は、破壊強度の説明図であり、(1)は断面1の破壊強度、(2)は断面2の破壊強度である。 図10は、破壊強度の説明図であり、(1)は断面3の破壊強度、(2)は断面4の破壊強度である。 図11は、図9および図10で用いる諸量の説明図である。 図12は、四隅接合部の終局荷重の算定式のテーブル図である。 図13は、耐震壁に掛かる荷重の説明図である。
以下に、本発明に係る木質耐震壁の強度計算方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
本発明に係る木質耐震壁の強度計算方法は、図3に示すような木質耐震壁10の梁接合部12の各種強度を計算する方法である。この木質耐震壁10は、CLTからなる壁体14を備えている。図3(2)に示すように、この壁体14の上端の左右と、下端の左右は、上梁16と下梁18に梁接合部12を介してそれぞれ接合される。
梁接合部12は、梁16、18に固定されたT字型の鋼材20と、この鋼材20に接合して壁体14の上端面、下端面に配置された端面側の鋼板22と、この鋼板22に接合して壁体14の内部に挿入配置される壁体内部側の鋼板24とを含んで構成される。壁体14と鋼板24は、これらを貫通して配置されるピン26(鋼製部材)によって一体的に固定される。壁体14と鋼板22は、鋼板22の外側から壁体14の内部に挿入配置されるLSB28(ラグスクリューボルト、ねじ付き鋼製部材)によって一体的に固定される。
本実施の形態の強度計算方法では、次のステップ1~3を通じて強度を計算する。
ステップ1は、梁接合部12の破壊荷重が、CLTに生じる割れによる梁接合部12の集合破壊で決定されると仮定して、この時の破壊断面を設定するとともに、設定した破壊断面により集合破壊する集合破壊領域を設定するものである。
ステップ2は、梁接合部12に対して鉛直荷重と水平荷重が同時に作用すると仮定して、これらの荷重によりCLTが変形する荷重領域を設定するものである。なお、所定の軸力を付加した鉛直荷重が作用すると仮定することで、壁体14に付加軸力が加わる場合を考慮してもよい。このようにすれば、連層耐震壁などで壁体に付加軸力が加わる場合の計算を適切に行うことができる。
ステップ3は、設定した荷重領域、破壊断面、集合破壊領域と、CLTのラミナの引張強度またはせん断強度に基づいて、破壊断面の破壊荷重として短期荷重、終局荷重を算定するものである。これにより、木質耐震壁10の各種強度を適切に評価することができる。
<実施例>
次に、本発明の実施例について説明する。
(1.破壊断面、破壊領域の設定)
梁接合部の破壊荷重はCLTに生じる割れによる梁接合部の集合破壊で決定するものとし、この時の破壊断面として図1の太線で示される断面1~断面4の4通りの破壊断面を仮定する。また、これらの破壊断面により集合破壊する破壊領域をLSB、ピンの配置により図2の3ケースと仮定する。
(2.荷重領域の設定)
CLT耐震壁全体は、図3に示すように四隅の梁接合部4辺を梁に接続する形態となっている。この際、耐震壁の梁接合部には、図4に示すように、鉛直荷重(引張荷重)Tと水平荷重(せん断荷重)Qが同時に作用するものとし、T、Qそれぞれの荷重により変形するCLTの領域を荷重領域と定義する。
鉛直荷重Tに関しては、図5(1)に示されるように、Tを水平方向の破壊断面tt(図2より、ケースにより断面1または断面2のいずれかとなる)に作用する分力Ttと、鉛直方向の破壊断面tq(図2より、ケースにより断面3または断面4のいずれかとなる)に作用する分力Tqの各分力に分解して考え、Tt、Tqの各々によりCLTが変形する荷重領域として、図5(1)のように荷重領域を設定する。この時のCLTの変形のイメージを図6(1)に示す。なお、破壊断面ttは分力Ttにより引張破壊、破壊断面tqは分力Tqによりせん断破壊するものとする。
同様に、水平荷重Qに関しては、図5(2)に示されるように、Qを水平方向の破壊断面qq(図2より、ケースにより断面1または断面2のいずれかとなる)に作用する分力Qqと、鉛直方向の破壊断面qt(図2より、ケースにより断面3または断面4のいずれかとなる)に作用する分力Qtの各分力に分解して考え、Qq、Qtの各々によりCLTが変形する荷重領域として、図5(2)のように荷重領域を設定する。この時のCLTの変形のイメージを図6(2)に示す。なお、破壊断面qqは分力Qqによりせん断破壊、破壊断面qtは分力Qtにより引張破壊するものとする。
(3.各荷重間の関係)
梁接合部の破壊荷重を算定するため、これまでに設定した各荷重T,Tt,Tq,Q,Qq,Qtの値を定める。
・T,Tt,Tqの間の関係
Tの分力Tt,Tqの比率をαt=Tt/Tqとすれば、図5(1)、図6(1)を参照して以下となる。
Tt,TqはTの分力なので、
T=Tt+Tq
よって、αt=Tt/Tqより、
Tt=T×αt/(1+αt) ・・・(式1)
Tq=T/(1+αt) ・・・(式2)
一方、図5(1),図6(1)を参照すれば、
Tt/(b1×t)=Et×δ/h2
Tq/(h1×t)=Gt×δ/b2
よって、
αt=Tt/Tq=(Et/Gt)×(b1×b2)/(h1×h2)・・・(式3)
ここに、EtはCLT強軸方向の引張弾性係数、GtはCLT強軸方向のせん断弾性係数、tはCLTの厚さ、b1,b2,h1,h2は図5(1)に示される寸法、δは図6(2)に示される変形である。
・Q,Qq,Qtの間の関係
Qの分力Qq,Qtの比率をαq=Qt/Qqとすれば、図5(1),図6(1)を参照して以下となる。
Qq,QtはQの分力なので、
Q=Qq/Qt
よって、αq=Qt/Qqより、
Qq=Q/(1+αq) ・・・(式4)
Qt=Q×αq/(1+αq) ・・・(式5)
一方、図5(2),図6(2)を参照すれば、
Qt/(h1×t)=Eq×δ/b2
Qq/(b1×t)=Gq×δ/h2
よって、
αq=Qt/Qq=(Eq/Gq)×(h1×h2)/(b1×b2)・・・(式6)
ここに、EqはCLT弱軸方向の引張弾性係数、GqはCLT弱軸方向のせん断弾性係数、tはCLTの厚さ、b1,b2,h1,h2は図5(2)に示される寸法、δは図6(2)に示される変形である。
・T,Qの合力PとT,Qの間の関係
TとQの比率は一定の値となることから、T,Qの合力PとT,Qの間には、図7を参照して以下の関係が成り立つ。
T/Q=tanθ ・・・(式7a)
P=SQRT(T2+Q2) ・・・(式7b)
ここに、θはPの方向を示す角度で、耐震壁の寸法(壁の幅と高さ)より定まる一定の値となる。
なお、連層耐震壁などで壁に付加軸力が加わる場合は、図8により求まる軸力Nを鉛直荷重Tに付加する形で考慮する。すなわち、(式7a,b)のP,T,Qの関係は次の(式8a,b)となる。図7のTも(T+N)となり、角度θもNの値に応じて変わる。
(T+N)/Q=tanθ ・・・(式8a)
P=SQRT{(T+N)+Q} ・・・(式8b)
以下の記述では、記述の簡略化のため、付加軸力Nがある場合は(T+N)をTと記し、(式8a,b)も(式7a,b)と同じ表現とする。
(4.耐震壁四隅接合部の終局荷重・短期荷重の算定)
(4.1 各破壊断面の破壊強度)
図1に示した破壊断面の破壊強度は図2に示される破壊断面tt,tq,qq,qtに対応する断面1~断面4の破壊強度として求まる。断面1~断面4の破壊強度は各ラミナごとの断面欠損を考慮した断面積にそのラミナの引張強度、または、せん断強度をかけて得られる荷重値となる。図9および図10に断面ごとの具体的な算定方法を、図11に図9および図10で用いる諸量を示す。
(4.2 四隅接合部の終局荷重の算定)
終局荷重は、図1、図2に示した破壊断面においてCLTのラミナが破壊する際の破壊荷重とする。終局荷重算定のための条件としては、次の各破壊断面ごとの条件である[条件1]~[条件4]、および、引張荷重Tとせん断荷重Qの複合的効果の影響を考慮した[条件5]・[条件6]を考慮し、[条件1]~[条件6]のうち、最も荷重値が小さくなる場合の値として荷重値を定める。ただし、上記の[条件5]・[条件6]で終局荷重が決まる場合、Tt,Tq,Qq,Qtの値は必ず[条件1]~[条件4]で決まるTt,Tq,Qq,Qtの値よりも小さくなるので、実際は[条件1]~[条件4]で終局荷重が決まることはない。従って、終局荷重の算定の際は、[条件5]・[条件6]のみを考慮すればよい。
[条件1] Tt≧Ttmaxとなった時に破壊
[条件2] Tq≧Tqmaxとなった時に破壊
[条件3] Qq≧Qqmaxとなった時に破壊
[条件4] Qt≧Qtmaxとなった時に破壊
[条件5] (Tt/Ttmax)+(Qq/Qqmax)≧1となった時に破壊
[条件6] (Tq/Tqmax)+(Qt/Qtmax)≧1となった時に破壊
ここに、
Ttmax:破壊断面ttの引張破壊強度
Tqmax:破壊断面tqのせん断破壊強度
Qqmax:破壊断面qqのせん断破壊強度
Ttmax,Tqmax,Qqmax,Qtmaxについては、図9および図10を参照する。
上述の各式より、以下の各式が成り立つ。
(式1)より、
Tt=T×αt/(1+αt) ・・・(式9)
(式2)より、
Tq=T×1/(1+αt) ・・・(式10)
(式4)より、
Qq=Q×1/(1+αq) ・・・(式11)
(式5)より、
Qt=Q×αq/(1+αq) ・・・(式12)
(式7a)より、
T/Q=tanθ ・・・(式13)
(式3)より、
αt=Tt/Tq ・・・(式14)
(式6)より、
αq=Qt/Qq ・・・(式15)
[条件5]により各荷重が決まる場合、破壊時のTt、Qqの間には次式が成り立つ。
(Tt/Ttmax)+(Qq/Qqmax)=1 ・・・(式16)
[条件6]により各荷重が決まる場合、破壊時のTq、Qtの間には次式が成り立つ。
(Tq/Tqmax)+(Qt/Qtmax)=1 ・・・(式17)
[条件5]により各荷重が決まる場合は、(式9),(式11)を(式16)に代入して、(式13)よりQを消去すれば、
(T/Ttmax×αt/(1+αt))+(T/(Qqmax×tanθ)×1/(1+αq))=1
よって、Tが以下のように求まる。
T=SQRT{1/[(1/Ttmax×αt/(1+αt))+(1/(Qqmax×tanθ)×1/(1+αq))]} (=T5とする) ・・・(式18a)
よって、(式9)~(式12)よりTt,Tq,Qq,Qtが定まり、(式7a,b)より、
Q=T5/tanθ (=Q5とする) ・・・(式18b)
P=SQRT(T5+Q5) (=P5とする) ・・・(式18c)
となる。
[条件6]により各荷重が決まる場合は、(式10),(式12)を(式17)に代入して、(式13)よりQを消去すれば、
(T/Tqmax×1/(1+αt))+(T/(Qtmax×tanθ)×αq/(1+αq))=1
よって、Tが以下のように求まる。
T=SQRT{1/[(1/Tqmax×1/(1+αt))+(1/(Qtmax×tanθ)×αq/(1+αq))]} (=T6とする) ・・・(式19a)
よって、(式9)~(式13)よりQ,Tt,Tq,Qq,Qtが定まり、(式7a,b)より、
Q=T6/tanθ (=Q6とする) ・・・(式19b)
P=SQRT(T6+Q6) (=P6とする) ・・・(式19c)
となる。
以上により求まった各条件による終局荷重P5、P6より、接合部の終局荷重Puが以下のように定まる。
Pu=min(P5,P6) ・・・(式20a)
ただし、
Pu=P5の時、断面tt・断面qqにおいて、断面ttの引張荷重・断面qqのせん断荷重の複合的な効果で破壊
Pu=P6の時、断面tq・断面qtにおいて、断面tqのせん断荷重・断面qtの引張荷重の複合的な効果で破壊
と判定される。
これにより、Tの終局荷重Tu、および、Qの終局荷重Quも以下のように定まる。
Pu=P5の時、Tu=T5,Qu=Q5 ・・・(式20b)
Pu=P6の時、Tu=T6,Qu=Q6 ・・・(式20c)
なお、付加軸力がある場合は、(式8a,b)で示したように、Tに付加軸力に付加軸力Nを加えた(T+N)を上記の各式におけるTとすればよい。
以上の各条件ごとの算定式を図12に示す。
(4.3 四隅接合部の短期荷重の算定)
短期荷重は4.2による終局荷重の2/3なる値とする。荷重の決定条件も終局荷重の決定条件と同じとなり、[条件5]、または、[条件6]のいずれかとなる。
Ta=Tu×(2/3) ・・・(式21a)
Qa=Qu×(2/3) ・・・(式21b)
Pa=Pu×(2/3) ・・・(式21c)
ここに、
Ta:接合部の鉛直荷重の短期荷重
Qa:接合部の水平荷重の短期荷重
Pa:接合部の鉛直荷重と水平荷重の合力の短期荷重
Tu:接合部の鉛直荷重の終局荷重
Qu:接合部の水平荷重の終局荷重
Pu:接合部の鉛直荷重と水平荷重の合力の終局荷重
なお、(式21)におけるTu,Qu,Puは図12の各式で計算される[条件5],[条件6]によるTu,Qu,Pu、および、(式20)により算定される値である。
(5.耐震壁全体の終局せん断荷重・短期せん断荷重の算定)
(5.1 耐震壁全体のせん断荷重)
耐震壁全体に載荷される水平方向のせん断荷重Pwによって耐震壁内に生じる荷重を模式的に示すと図13のようになる。PwはCLT内部にかかるPw0とCLT四隅接合部の圧縮側(鉛直荷重として圧縮力Cがかかる側)においてCLTと接合用鋼材との間に生じる摩擦力によるPwnとに分解される。
CLT内部ではPw0によってCLT四隅接合部に鉛直方向の引張荷重T・圧縮荷重Cと水平方向のせん断力Qが生じる。図13で近似的にT≒Cとみなせば、耐震壁四隅にかかる引張荷重T、せん断荷重QとPw0の関係は以下となる。
モーメント M=T×b=Q×h
せん断荷重 Pw0=T×b/(h/2)=Q×2
(T≒Cと仮定)
ここに、T:四隅部の引張荷重
C:四隅部の圧縮荷重
Q:四隅部のせん断荷重
M:壁全体のモーメント
一方、CLTと接合用鋼材の圧縮側の接触面では、図13における圧縮荷重Cにより摩擦力Pwnが生じる。ここで、CLT木口面と接合用鋼材との間の摩擦係数をμとし、T≒Cと仮定すれば、
Pwn=μ×C≒μ×T
となる。
以上より、耐震壁全体に載荷される水平方向のせん断荷重Pwが(式22)のように求まる。
Pw =Pw0+Pwn ・・・(式22a)
Pw0=T×b/(h/2)=Q×2 ・・・(式22b)
Pwn=μ×T ・・・(式22c)
(5.2 耐震壁全体の終局せん断荷重・短期せん断荷重の算定)
耐震壁全体の終局せん断荷重をPwuとすれば、(式22)における荷重T,Qが終局荷重に達した点としてPwuの値が定まることからPwuは(式23)のように求まる。
Pwu =Pw0u+Pwnu ・・・(式23a)
Pw0u=Tu×b/(h/2)=Qu×2 ・・・(式23b)
Pwnu=μ×Tu ・・・(式23c)
ここに、
Pw0u:Pw0の終局荷重
Pwnu:Pwnの終局荷重
Tu :Tの終局荷重、図12、(式18)~(式20)より、
Tu= min(T5,T6)
Qu :Qの終局荷重、図12、(式18)~(式20)より、
Qu=min(Q5,Q6)
同様に、耐震壁全体の短期せん断荷重をPwaとすれば、(式22)における荷重T,Qが短期荷重に達した点としてPwaの値が定まることからPwaは(式24)のように求まる。
Pwa =Pw0a+Pwna ・・・(式24a)
Pw0a=Ta×b/(h/2)=Qa×2 ・・・(式24b)
Pwna=μ×Ta ・・・(式24c)
ここに、
Pw0a:Pw0の短期荷重
Pwna:Pwnの短期荷重
Ta :Tの短期荷重で(式21)より求まる
Qa :Qの短期荷重で(式21)より求まる
図12、(式18)~(式20),(式21)を参照すれば、(式24)は(式25)のようにも表される。
Pwa =Pwu ×(2/3) ・・・(式25a)
Pw0a=Pw0u×(2/3) ・・・(式25b)
Pwna=Pwnu×(2/3) ・・・(式25c)
以上説明したように、本発明に係る木質耐震壁の強度計算方法によれば、CLTからなる壁体を備え、この壁体の上端と下端が上梁と下梁に梁接合部を介してそれぞれ接合された木質耐震壁の強度を計算する方法であって、梁接合部は、上梁または下梁に固定され、壁体に向けて突出して壁体の上端または下端から壁体の内部に挿入配置される壁体内部側の鋼板と、壁体の上端面または下端面に配置されて壁体内部側の鋼板に接合する端面側の鋼板とを含んで構成され、壁体と壁体内部側の鋼板は、これらを貫通して配置される棒状の鋼製部材によって一体的に固定され、壁体と端面側の鋼板は、端面側の鋼板の外側から壁体の内部に挿入配置されるとともに外周にねじが形成された棒状のねじ付き鋼製部材によって一体的に固定されるものであり、梁接合部の破壊荷重が、CLTに生じる割れによる梁接合部の集合破壊で決定されると仮定して、この時の破壊断面を設定するとともに、設定した破壊断面により集合破壊する集合破壊領域を設定するステップと、梁接合部に対して鉛直荷重と水平荷重が同時に作用すると仮定して、これらの荷重によりCLTが変形する荷重領域を設定するステップと、設定した荷重領域、破壊断面、集合破壊領域と、CLTのラミナの引張強度またはせん断強度に基づいて、破壊断面の破壊荷重として短期荷重または終局荷重の少なくとも一方を算定し、算定した破壊荷重に基づいて、梁接合部の強度を計算するステップを有するので、木質耐震壁の各種強度を適切に計算することができる。
また、本発明に係る他の木質耐震壁の強度計算方法によれば、所定の軸力を付加した鉛直荷重が作用すると仮定して、壁体に付加軸力が加わる場合を考慮するので、連層耐震壁などで壁体に付加軸力が加わる場合も、木質耐震壁の各種強度を適切に計算をすることができる。
以上のように、本発明に係る木質耐震壁の強度計算方法は、CLTを壁体に用いた木質耐震壁の設計に有用であり、特に、各種強度を適切に評価するのに適している。
10 木質耐震壁
12 梁接合部
14 壁体
16 上梁
18 下梁
20 鋼材
22,24 鋼板
26 ピン(鋼製部材)
28 LSB(ねじ付き鋼製部材)

Claims (2)

  1. CLTからなる壁体を備え、この壁体の上端と下端が上梁と下梁に梁接合部を介してそれぞれ接合された木質耐震壁の強度を、コンピュータを用いて評価する方法であって、
    前記梁接合部は、前記上梁または前記下梁に固定され、前記壁体に向けて突出して前記壁体の上端または下端から前記壁体の内部に挿入配置される壁体内部側の鋼板と、前記壁体の上端面または下端面に配置されて壁体内部側の前記鋼板に接合する端面側の鋼板とを含んで構成され、前記壁体と壁体内部側の前記鋼板は、これらを貫通して配置される棒状の鋼製部材によって一体的に固定され、前記壁体と端面側の前記鋼板は、端面側の前記鋼板の外側から前記壁体の内部に挿入配置されるとともに外周にねじが形成された棒状のねじ付き鋼製部材によって一体的に固定されるものであり、
    前記コンピュータが、
    前記梁接合部の荷重領域、破壊断面、集合破壊領域と、CLTのラミナの引張強度またはせん断強度に基づいて、前記破壊断面の破壊荷重として短期荷重または終局荷重の少なくとも一方を算定し、算定した前記破壊荷重から前記梁接合部の強度を評価するステップを有し、
    前記破壊断面として、前記梁接合部の破壊荷重が、CLTに生じる割れによる前記梁接合部の集合破壊で決定されるという仮定のもとに、壁体内部側の前記ねじ付き鋼製部材の端部の位置を通る水平方向の第一の破壊断面と、前記鋼製部材の位置を通る水平方向の第二の破壊断面と、前記ねじ付き鋼製部材の位置を通る鉛直方向の第三の破壊断面と、前記鋼製部材の位置を通る鉛直方向の第四の破壊断面が設定され、
    前記集合破壊領域は、前記第一~第四の破壊断面のうち、互いに垂直な2つの前記破壊断面により集合破壊する領域として設定され、
    前記荷重領域は、前記梁接合部に対して鉛直荷重と水平荷重が同時に作用すると仮定して、設定した前記破壊断面に基づいて、前記鉛直荷重と前記水平荷重によりCLTが変形する領域として設定される、
    ことを特徴とする木質耐震壁の強度評価方法。
  2. 前記荷重領域は、所定の軸力を付加した鉛直荷重が作用するという仮定に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の木質耐震壁の強度評価方法。
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