JP7498734B2 - 気相成長装置 - Google Patents

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Description

本発明は、気相成長装置に関し、特に、反応炉内において、加熱環境下でサセプタに保持された基板に対して、金属塩化物からなる複数の反応ガスを供給して作用させることにより、基板上に複数の化合物半導体薄膜を形成・成長させるための気相成長装置に関する。
従来から、例えば、GaN、Ga、GaAs等の化合物半導体薄膜を基板上に成長させる方法として、MBE法(分子線結晶成長法:Molecular Beam Epitaxy)、MOCVD法(有機金属気相成長:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、及びHVPE法(ハイドライド気相成長法:Hydride Vapor Phase Epitaxy)等の気相エピタキシャル成長法が知られている。これらの各成長法は、それぞれの特徴から、化合物半導体薄膜の製造における用途が分かれている。
MBE法は、真空下で分子線セル内の原料を加熱して蒸発させ、基板上に供給する方法であることから、高純度の化合物半導体薄膜を成長させることができ、且つ、ヘテロ界面が比較的容易に得られるという利点がある。一方、MBE法は、他の成長法に比べて成長速度が遅く、設備費も高いことから、量産には向かないという問題もある。
MOCVD法は、現在、化合物半導体デバイスの製造において主流の方法であり、半導体薄膜の成長速度をサブミクロン~10μm/hr程度の範囲で制御でき、また、P型及びN型ドーピングも1016~1020cm-3程度まで制御でき、さらに、界面の急峻性も原子層レベルで制御可能であるという利点がある。一方、MOCVD法は、原料としてトリメチルガリウム(TMG)等の有機金属を用いることから、他の成長法に比べて原料が高価であり、設備も比較的高価となる。また、近年、GaNパワーデバイスにおいて、縦方向に電流を流す縦型ダイオードやトランジスタ等の開発が進められているものの、このようなパワーデバイスにおける半導体薄膜は数十μm程度の膜厚が必要なことから、成長速度が数μm/hr程度のMOCVD法ではスループットに劣り、生産性が高められ難いという問題がある。
HVPE法は、成長速度が100μ/hr以上と非常に速く、薄膜中に混入する原料由来のカーボン不純物が非常に少ないという利点がある(例えば、非特許文献1を参照)。一方、HVPE法は、反応炉内で原料ガスを発生させる方法のため、反応炉の炉内容積が大きくなり、原料ガスの切替えに時間がかかることから、急峻な界面が得られ難いという問題がある。これは、HVPE法の特徴として、金属塩化物からなる原料ガスを反応炉内で製造していることに起因する。
より詳細に説明すると、上記のHVPE法によって化合物半導体薄膜を成長させる気相成長装置においては、通常、反応炉内におけるガス流れの上流部に金属原料のボートを設置し、そのボートに塩化水素又は塩素を導入することで金属材料と反応させ、塩化物原料を製造する構成を採用している。HVPE法では、上記のような塩化物原料を製造する構成を内包させることから、反応炉の容積が大きくなるため、反応炉におけるガス流れの上流で原料ガスを切り替えたとき、反応炉内の原料ガスが切り替わるのに相当の時間を要する。
一方、近年では、HVPE法で用いられる原料である金属材料単体や塩素、塩化水素が比較的安価であることから、HVPE法によって化合物半導体薄膜からなるデバイス構造を成長させることが検討されている。
大島隆治,庄司靖,牧田紀久夫,菅谷武芳,「化合物半導体の高速成長と太陽電池応用(応用物理;89巻6号)」,公益社団法人 応用物理学会,2020年6月10日,P333~337
化合物半導体薄膜からなるデバイス構造を成長させるのには、異なる材料からなる半導体薄膜を複数層で堆積させる必要があり、それぞれの層の間における界面の急峻性がデバイスの性能を左右する。これに対応するため、上記の非特許文献1には、HVPE法によって太陽電池デバイス構造を製造するのにあたり、反応炉内に、金属材料が配置されるボート、及び、原料ガスを噴出するノズルを複数で設置し、基板を保持させたサセプタを、上記の各ノズルと対向する位置に適宜移動させることが提案されている。
しかしながら、非特許文献1に記載された技術では、基板を保持するサセプタを移動させるための手段や、反応炉内の気密性の保持等については、何ら言及されていない。このため、非特許文献1に記載の技術は、サセプタの移動機構を備えることに伴う反応炉の気密性の低下や、サセプタを各ノズルと対向する位置に移動させたときの位置の再現性の低下を招くものと考えられる。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、サセプタに保持された基板上に異なる組成の半導体薄膜を連続して成長させる際、気密性に優れた反応炉内において、基板がノズルと正確な位置で対向するようにサセプタを移動でき、各層間の界面の急峻性を有した半導体薄膜を、生産性よく低コストで均一に成長させることが可能な気相成長装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記問題を解決するために鋭意検討を重ねた。この結果、それぞれ異なる原料ガスを噴出する第1ガスノズル及び第2ガスノズルに対し、サセプタの位置を切り替えるサセプタ移動機構を、基板を保持したサセプタを公転させることで第1ガスノズル又は第2ガスノズルに対向する位置に移動させるためのサセプタ公転板を備えたサセプタ公転機構と、基板を保持したサセプタを自転させるサセプタ自転機構とから構成することを知見した。これにより、各層間の界面の急峻性を有した半導体薄膜を、生産性よく低コストで均一に成長させることが可能になることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、請求項1に係る発明は、有機金属気相成長法を用いることなく、金属原料にハロゲンガスを供給することで生成した反応ガスを基板上に導入することにより、前記基板上に半導体薄膜を成長させる気相成長装置であって、パージガスで満たされた反応炉内において前記基板を保持する自転自在なサセプタと、前記サセプタを加熱する加熱手段と、内部に配置された第1の金属原料に前記ハロゲンガスを供給することで生成した第1の反応ガスを前記基板上に導く第1ガスノズルと、内部に配置された第2の金属原料に前記ハロゲンガスを供給することで生成した第2の反応ガスを前記基板上に導く第2ガスノズルと、前記第1ガスノズル及び前記第2ガスノズルに対する前記サセプタの位置を、前記第1ガスノズルにおける前記第1の反応ガスの噴出口と互いに向かい合う第1の位置と、前記第2ガスノズルにおける前記第2の反応ガスの噴出口と互いに向かい合う第2の位置との間で切り替えるサセプタ移動機構と、を備え、前記サセプタ移動機構は、前記サセプタを、該サセプタの中心軸を中心に自転させるためのサセプタ自転機構と、前記サセプタ自転機構が取り付けられて回転自在とされたサセプタ公転板を有し、前記サセプタ公転板の中心軸を中心に前記サセプタ自転機構及び前記サセプタを公転させるためのサセプタ公転機構とからなり、前記サセプタ、前記第1ガスノズル及び前記第2ガスノズルの各々の中心軸は、平面視において、前記サセプタ公転板の前記中心軸に対応する位置に対して等距離に離間して配置されており、前記サセプタ移動機構が、前記サセプタ公転板を回転させることで前記サセプタ自転機構及び前記サセプタを公転させることにより、前記サセプタの位置を、前記第1の位置又は前記第2の位置に移動させ、前記第1の位置において前記サセプタを公転させることなく、前記サセプタを自転させながら、前記基板上に第1の半導体薄膜を成長させ、前記第2の位置において前記サセプタを公転させることなく、前記サセプタを自転させながら、前記基板上に第2の半導体薄膜を成長させ、前記第1の半導体薄膜と前記第2の半導体薄膜の組成が異なることを特徴とする気相成長装置である。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の気相成長装置であって、さらに、前記第1ガスノズルと前記第2ガスノズルとの間に配置され、前記基板上にパージガスを導くパージガスノズルを具備し、前記サセプタ移動機構は、前記サセプタの位置を、前記第1の位置と前記第2の位置との間に位置し、前記パージガスノズルにおける前記パージガスの噴出口と互いに向かい合う第3の位置に切り替え可能であることを特徴とする気相成長装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の気相成長装置であって、前記反応炉は、各ガスが水平方向に流れる横型炉とされており、前記サセプタ移動機構は、前記サセプタ公転板を回転させることで前記サセプタ自転機構及び前記サセプタを公転させることにより、前記サセプタの位置を、前記第1の位置又は前記第2の位置に移動させる際に、前記サセプタの公転と自転とを同期させながら該サセプタを回転させるとともに、前記サセプタに保持された前記基板を平面視したときの公転方向と自転方向とが逆方向であり、且つ、公転周期と自転周期とが同一であり、前記サセプタは、前記第1の位置及び前記第2の位置の何れの位置においても、前記サセプタに保持された前記基板の平面視における位相が同じであるモードを有することを特徴とする気相成長装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1~請求項3の何れかに記載の気相成長装置であって、前記第1ガスノズル及び前記第2ガスノズルは、前記基板上にハイドライド気相成長法によって半導体薄膜を成長させるものであり、前記反応ガスが金属塩化物であり、前記半導体薄膜が、GaAs、AlAs、InP、GaN、AlN、InN、Ga、及びInのうちの何れか、あるいは、それらの混晶からなることを特徴とする気相成長装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1~請求項4の何れかに記載の気相成長装置であって、前記第1ガスノズルが、前記基板上に前記第1の半導体薄膜を成長させ、前記第2ガスノズルは、前記第1の半導体薄膜上に前記第2の半導体薄膜を成長させることを特徴とする気相成長装置である。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の気相成長装置であって、前記第1ガスノズルが、前記第2ガスノズルによって成長させた前記第2の半導体薄膜上に、さらに、前記第1の半導体薄膜を成長させることを特徴とする気相成長装置である。
請求項7に係る発明は、請求項5に記載の気相成長装置であって、前記第1ガスノズル及び前記第2ガスノズルが、前記第1の半導体薄膜と前記第2の半導体薄膜とを交互に積層しながら成長させることを特徴とする気相成長装置である。
本発明に係る気相成長装置によれば、上記のように、第1の反応ガスを基板上に導く第1ガスノズル、及び、第2の反応ガスを基板上に導く第2ガスノズルに対し、基板を保持するサセプタの位置を切り替えるサセプタ移動機構が、基板を保持したサセプタを公転させることで第1ガスノズル又は第2ガスノズルに対向する位置に移動させるためのサセプタ公転板を備えたサセプタ公転機構と、基板を保持したサセプタを自転させるサセプタ自転機構とを有した構成を採用している。
上記のサセプタ公転機構を有することにより、まず、サセプタ公転板によって反応炉内の気密性を保持しながら、サセプタを公転で移動させることで、サセプタに保持された基板が、第1ガスノズル又は第2ガスノズルに対して正確な位置で対向するように移動する。これにより、第1の反応ガス及び第2の反応ガスが効率よく基板上に供給されるので、薄膜中に不純物等が混入することなく半導体薄膜を成長させることができる。
また、上記のサセプタ自転機構を有することにより、基板上に均一な厚さで半導体薄膜を成長させることができる。
従って、各層間の界面の急峻性を有した半導体薄膜を、生産性よく低コストで均一に成長させることが可能になる。
本発明の一実施形態である気相成長装置を模式的に説明する図であり、基板を保持したサセプタと第1ガスノズルとが対向した状態を示す図で、中央が反応炉の内部構成の一例を概略で示す破断図、横幅方向左側が中央の破断図中に示したA-A断面図、横幅方向右側が中央の破断図中に示したB-B断面図である。 本発明の一実施形態である気相成長装置を模式的に説明する図であり、基板を保持したサセプタとパージガスノズルとが対向した状態を示す図で、中央が反応炉の内部構成の一例を概略で示す破断図、横幅方向左側が中央の破断図中に示したC-C断面図、横幅方向右側が中央の破断図中に示したD-D断面図である。 本発明の一実施形態である気相成長装置を模式的に説明する図であり、第1ガスノズル、第2ガスノズル及びパージガスノズルを各々の噴出口側から見た平面図である。 本発明の一実施形態である気相成長装置を模式的に説明する図であり、基板を保持したサセプタ及びサセプタ公転板を基板側から見た平面図で、サセプタが公転及び自転しながら第1の位置、第2の位置、及び第3の位置に移動したときの、基板の位相を示した図である。 本発明の一実施形態である気相成長装置を模式的に説明する図であり、サセプタ公転板を反応炉の外部側から見た平面図である。 本発明の気相成長装置の実施例について説明する図であり、実施例で測定した基板上における半導体薄膜の膜厚の測定点と、基板のオリフラとの位置関係を示す平面図である。 本発明の気相成長装置の実施例について説明する図であり、基板を保持したサセプタを自転させることなく公転で移動させて半導体薄膜を成長させた場合の、図4Aに示した各測定点における第1の半導体薄膜単独の膜厚、及び、第1の半導体薄膜及び第2の半導体薄膜の合計の膜厚を示すグラフと、成膜時の基板の向きを示す位相図である。 本発明の気相成長装置の実施例について説明する図であり、基板を保持したサセプタを、自転と公転とを同期させながら移動させて半導体薄膜を成長させた場合の、図4Aに示した各測定点における第1の半導体薄膜単独の膜厚、及び、第1の半導体薄膜及び第2の半導体薄膜の合計の膜厚を示すグラフと、成膜時の基板の向きを示す位相図である。 本発明の気相成長装置の実施例について説明する図であり、実施例で測定した基板上における半導体薄膜の膜厚の測定点と、基板のオリフラとの位置関係を示す平面図である。 本発明の気相成長装置の実施例について説明する図であり、基板を保持したサセプタを自転させることなく公転で移動させて半導体薄膜を成長させた場合の、図5Aに示した各測定点における第1の半導体薄膜単独の膜厚、及び、第1の半導体薄膜及び第2の半導体薄膜の合計の膜厚を示すグラフと、成膜時の基板の向きを示す位相図である。 本発明の気相成長装置の実施例について説明する図であり、実施例で測定した基板上における半導体薄膜の膜厚の測定点と、基板のオリフラとの位置関係を示す平面図である。 本発明の気相成長装置の実施例について説明する図であり、基板を保持したサセプタを、自転と公転とを同期させ、第1の位置及び第2の位置を微調整しながら、移動させて半導体薄膜を成長させた場合の、図6Aに示した各測定点における第1の半導体薄膜単独の膜厚、及び、第1の半導体薄膜及び第2の半導体薄膜の合計の膜厚を示すグラフと、成膜時の基板の向きを示す位相図である。
以下、本発明を適用した一実施形態である気相成長装置について、図1、図2及び図3A~図3Cを適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、その特徴をわかり易くするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
図1は、本発明の一実施形態である気相成長装置100を模式的に説明する図であり、基板8を保持したサセプタ3と第1ガスノズル10とが対向した状態を示す図で、中央が反応炉1の内部構成の一例を概略で示す破断図、横幅方向左側が中央の破断図中に示したA-A断面図、横幅方向右側が中央の破断図中に示したB-B断面図である。
また、図2は、図1に示した気相成長装置100において、基板8を保持したサセプタ3を移動させ、パージガスノズル30と対向した状態を示す図で、中央が反応炉1の内部構成を概略で示す破断図、横幅方向左側が中央の破断図中に示したC-C断面図、横幅方向右側が中央の破断図中に示したD-D断面図である。
また、図3Aは、第1ガスノズル10、第2ガスノズル20及びパージガスノズル30を各々の噴出口15,25,35側から見た平面図である。また、図3Bは、基板8を保持したサセプタ3及びサセプタ公転機構40を構成するサセプタ公転板41を基板8側から見た平面図で、サセプタ3が公転及び自転しながら第1の位置P1、第2の位置P2及び第3の位置P3に移動したときの、基板8の位相を示した図である。また、図3Cは、サセプタ公転板41を反応炉1の外部側から見た平面図である。
以下の説明においては、図1、図2及び図3A~図3Cを参照しながら、当該気相成長装置の構成と、基板上に異なる組成の半導体薄膜を連続して形成する場合の工程について詳述する。
<気相成長装置の構成>
以下、本実施形態の気相成長装置100の構成について詳述する。
図1に例示する気相成長装置100は、金属原料にハロゲンガスを供給することで生成した反応ガスを基板上に導入することにより、基板上に半導体薄膜を成長させるものであり、第1ガスノズル10と、第2ガスノズル20と、パージガスノズル30と、サセプタ3と、該サセプタ3を加熱するサセプタヒータ(加熱手段)3Aと、サセプタ移動機構4とが設けられた反応炉1を備え、概略構成される。
本実施形態の気相成長装置100は、上記のサセプタ移動機構4が、サセプタ3を、該サセプタ3の中心軸J2を中心に自転させるためのサセプタ自転機構50と、サセプタ自転機構50が取り付けられて回転自在とされたサセプタ公転板41を有し、サセプタ公転板41の中心軸(公転軸)J1を中心にサセプタ自転機構50及びサセプタ3を公転させるためのサセプタ公転機構40とから構成される。
気相成長装置100は、サセプタ3の中心軸J2、第1ガスノズル10及び第2ガスノズル20の各々の中心軸JN1,JN2が、平面視において、サセプタ公転板41の中心軸J1に対応する位置に対して等距離に離間して配置されている。
そして、気相成長装置100は、サセプタ移動機構4が、サセプタ公転板41を回転させることでサセプタ自転機構50及びサセプタ3を公転させることにより、サセプタ3の位置を、第1の位置P1又は第2の位置P2に移動させる構成を採用している。
本実施形態の気相成長装置100によって化合物半導体薄膜が成膜される基板8は、例えば、SiC等からなる半導体基板であり、その外周の一部に、基板の結晶方位を示すためのオリフラ(オリエンテーションフラット)81を有する(図3Bを参照)。また、本実施形態では、基板8の裏面側がサセプタ3に保持され、表面8a側に化合物半導体薄膜が成膜される。
反応炉1は、図1及び図2に示すように、筒状の側壁1A、並びに、反応炉1内のガス流れ方向で上流側の一端1a側に配置されたフランジ部2、及び、ガス流れ方向で下流側の他端1b側に配置されたサセプタ移動機構4により、概略円筒状の密閉容器を形成している。
また、本実施形態の気相成長装置100においては、反応炉1の内部にパージガスが封入された構成を採用できる。
また、気相成長装置100に備えられる反応炉1は、各ガスが水平方向に流れる横型炉として構成されている。
フランジ部2は、図1中に示すように、封止板2aの一面側に、筒状の嵌合部2bが突設された構成とされており、この嵌合部2bが反応炉1の内部に入り込むことで、フランジ部2が反応炉1に嵌合された状態となる。また、フランジ部2における嵌合部2bの外面と反応炉1の内面との間には、Oリング等からなるシール部材2cが配置されている。
反応炉1内においては、サセプタ移動機構4のサセプタ公転機構40に備えられるサセプタ公転板41、及び、このサセプタ公転板41に回転自在に取り付けられるサセプタ自転軸51により、基板8が保持されたサセプタ3が支持されている。本実施形態の気相成長装置100において、サセプタ移動機構4は、反応炉1の下流側フランジとしても機能する。
また、図示例における反応炉1は、側壁1Aの周囲を取り囲むように配置され、反応炉1内全体を加熱するとともに、詳細を後述する第1ガスノズル10及び第2ガスノズル20の各々の内部に配置される、第1の金属原料M1及び第2の金属原料M2を加熱するためのヒータ1Bが設けられている。
ヒータ1Bとしては、特に限定されないが、昇降温レートを重視する観点からは、高周波を発生させるRFコイルを用いることが好ましいが、RFコイルの代わりに、一般的な発熱部材等からなるヒータを用いることも可能である。このような一般的な構成のヒータを、上記のヒータ1Bとして用いる場合には、通常、材質的に安価で加工が容易なカーボンヒータやカンタルヒータ等を用いることが好ましい。
また、図1中に示すように、反応炉1の側壁1Aにおけるサセプタ移動機構4の近傍には、余剰となった第1の反応ガスG1及び第2の反応ガスG2、並びにパージガスG3等を外部に排出するための排気口6が設けられている。
反応炉1やフランジ部2に用いる材料としては、特に限定されないが、ヒータ1Bによる高温加熱に耐えうる各種材料を適宜選定して採用することが可能である。
サセプタ3は、第1ガスノズル10及び第2ガスノズル20等と対向するように配置される保持部3aに、基板8を保持するものであり、概略円板状で肉厚の部材から構成される。図示例では、サセプタ3は、保持部3aに基板8の裏面8b側が保持され、表面8a上に半導体薄膜を成膜できるように構成されている。
サセプタ3は、通常、熱の良導体(例えば、カーボン等)で形成され、さらに好適には、原料ガス(反応ガス)による腐食を防止する観点から、SiC等のコーティングが施される。また、サセプタ3は、気相成長する薄膜の膜厚の平均化を図るため、その中心軸J2、即ち、図1中に示すサセプタ自転軸51の中心軸J2に沿って回転(自転)可能に構成されている。
サセプタ3は、ヒータ1Bにより加熱されるが、サセプタ3の内部、あるいはその近傍には、基板8を加熱するサセプタヒータ3Aが設けられていてもよい。図示例では、サセプタ3の内部にサセプタヒータ3Aが配置されている。
サセプタヒータ3Aとしては、特に限定されないが、上述したヒータ1Bの場合と同様、昇降温レートを重視する観点から、適宜選択して採用すればよい。あるいは、サセプタヒータ3Aとして、一般的なヒータやランプ等を用いることも可能であり、上記同様、例えば、材質的に安価で加工が容易なカーボンヒータやカンタルヒータ等を採用することが可能である。
サセプタ3は、詳細を後述するサセプタ移動機構4により、公転及び自転可能に構成されている。サセプタ3は、上記の公転による回転移動により、第1ガスノズル10、第2ガスノズル20及びパージガスノズル30とそれぞれ対応する位置、即ち、第1~第3の位置P1~P3に移動することが可能な構成とされている。
反応炉1内には、上流側のフランジ部2を貫通するように、このフランジ部2によって支持される第1ガスノズル10、第2ガスノズル20、及びパージガスノズル30が配置されている。これら第1ガスノズル10、第2ガスノズル20、及びパージガスノズル30は、フランジ部2を平面したとき、サセプタ移動機構4によって移動するサセプタ3の公転軌道上に配置されている。
第1ガスノズル10、第2ガスノズル20、及びパージガスノズル30としては、例えば、石英製のものが好適に用いられる。
第1ガスノズル10は、フランジ部2を貫通し、反応炉1内に噴出口15が配置されるように設けられる。第1ガスノズル10は、内部に第1の金属原料M1が配置され、この第1の金属原料M1にハロゲンガスG4を供給することで生成した、例えば、金属塩化物からなる第1の反応ガスG1を、噴出口15から基板8上に導くように構成される。
第1ガスノズル10は、図1中では詳細な図示を省略しているが、概略円筒状に構成され、内部に、第1の金属原料M1が充填されるボート11が配置されている。また、第1ガスノズル10の内部には、ガス原料導入部13、ハロゲンガス導入部14が設けられ、ガス原料導入部13の円筒内にハロゲンガス導入部14が配置されている。また、ハロゲンガス導入部14の円筒内にボート11が配置されている。
ガス原料導入部13は、反応炉1におけるフランジ部2側から導入されるガス原料G5を、噴出口15側から、サセプタ3に保持された基板8の表面に向けて導くことが可能な構成とされている。また、図1等においては図示を省略しているが、ガス原料として、窒素、酸素、アルシン又はホスフィン等、常温下において気体のガス原料を用い、組成の異なる膜を得るために、例えば、2種類以上の原料ガスを所定の流量比で混合したり、さらに、ドーピング原料を混合して供給したりする場合もある。
ハロゲンガス導入部14は、反応炉1におけるフランジ部2側から導入されるハロゲンガスG4を第1の金属原料M1に供給して反応させ、金属ハロゲン化物からなる第1の反応ガスG1として、噴出口15側から、ガス原料導入部13に導入されたガス原料G5とともに、サセプタ3に保持された基板8の表面に向けて導くことが可能な構成とされている。
ボート11に充填される第1の金属原料M1としては、特に限定されず、所望する膜特性に応じた金属原料を採用することができ、例えば、ガリウム、アルミニウム又はインジウム等の単体金属等が挙げられる。また、図1等においては図示を省略しているが、例えば、2種類以上の金属原料を各々のボートに充填し、それぞれ独立して所望のハロゲンガスG4を供給して下流側で合流させ、所望の比率の合金用原料として噴出口15から噴出させることも可能である。
第2ガスノズル20は、第1ガスノズル10と同様、フランジ部2を貫通し、反応炉1内に噴出口25が配置されるように設けられる。第2ガスノズル20は、内部に第2の金属原料M2が配置され、この第2の金属原料M2にハロゲンガスG4を供給することで生成した、例えば、金属塩化物からなる第2の反応ガスG2を、噴出口25から基板8上に導くように構成される。
第2ガスノズル20についても、第1ガスノズル10と同様、図1中では詳細な図示を省略しているが、概略円筒状に構成され、内部に、第2の金属原料M2が充填されるボート21が配置されている。また、第2ガスノズル20の内部にも、ガス原料導入部23、ハロゲンガス導入部24が設けられ、ガス原料導入部23の円筒内にハロゲンガス導入部24が配置されている。また、ハロゲンガス導入部24の円筒内にボート21が配置されている。
ガス原料導入部23は、上記のガス原料導入部13と同様、反応炉1におけるフランジ部2側から導入されるガス原料G5を、噴出口25側から、サセプタ3に保持された基板8の表面に向けて導くことが可能な構成とされている。
また、ハロゲンガス導入部24も、上記同様、反応炉1におけるフランジ部2側から導入されるハロゲンガスG4を第2の金属原料M2に供給して反応させ、金属ハロゲン化物からなる第2の反応ガスG2として、噴出口25側から、ガス原料導入部23に導入されたガス原料G5とともに、サセプタ3に保持された基板8の表面に向けて導くことが可能な構成とされている。
ボート21に充填される第2の金属原料M2としても、特に限定されず、第1の金属原料M1と同様、例えば、ガリウム、アルミニウム又はインジウム等の単体金属等が挙げられる。一方、例えば、第1ガスノズル10のボート11に充填される第1の金属原料M1としてガリウム単体金属を用いた場合には、第2の金属原料M2として、インジウム単体金属、又は、第1の金属原料M1と同じガリウム単体金属を用いる組み合わせを採用できる。また、2種類以上の金属原料を各々のボートに充填し、それぞれ独立して所望のハロゲンガスG4を供給して下流側で合流させ、所望の比率の合金用原料として噴出口15から噴出させることについても、第1ガスノズル10の場合と同様である。
図1に示す例においては、上記のサセプタ3の中心軸J2、第1ガスノズル10及び第2ガスノズル20の各々の中心軸JN1,JN2が、平面視において、サセプタ公転板41の中心軸J1に対応する位置に対して、平面視で等距離となるように離間して配置されている。
上記構成により、本実施形態の気相成長装置100によれば、第1ガスノズル10が、基板8上に、例えば、ハイドライド気相成長法によって図視略の第1の半導体薄膜(化合物半導体薄膜)を成長させる。同様に、第2ガスノズル20は、上記の第1の半導体薄膜上に、例えば、ハイドライド気相成長法によって図視略の第2の半導体薄膜(化合物半導体薄膜)を成長させる。本実施形態の気相成長装置100によって成膜される第1の半導体薄膜及び第2の半導体薄膜は、例えば、GaAs、AlAs、InP、GaN、AlN、InN、Ga、及びInのうちの何れか、あるいは、それらの混晶、さらには、P型、N型のドーピング剤が混入された化合物半導体薄膜である。
パージガスノズル30は、反応炉1内において、第1ガスノズル10と第2ガスノズル20との間に配置され、噴出口35から基板8上にパージガスG3を導くように構成される。図1中に示す例においては、パージガスノズル30は、フランジ部2を平面したときに、第1ガスノズル10及び第2ガスノズル20に対し、鉛直方向(図1における縦長方向)で上側に配置されるとともに、水平方向(図1における横幅方向)で、第1ガスノズル10と第2ガスノズル20との中間に対応する位置で配置される。これにより、図示例においては、第1ガスノズル10、第2ガスノズル20、及びパージガスノズル30が、平面視でパージガスノズル30を頂点とした二等辺三角形を描くように配置されている。
パージガスノズル30も、上述した第1ガスノズル10及び第2ガスノズル20と同様、図1中では詳細な図示を省略しているが、概略円筒状に構成され、反応炉1におけるフランジ部2側、即ち、パージガス導入部33側から導入されるパージガスG3を、噴出口35側から、サセプタ3に保持された基板8の表面に向けて導くことが可能な構成とされている。また、高温下においては、V族、VI族側の原料ガスは膜から蒸発してしまうことから、所定の原料ガスをパージガスとともに供給するか、あるいは、これらを混合して供給する。
なお、本実施形態において説明する、上記の「円筒状」とは、例えば、その断面における内部空間の形状が、断面真円形状に近いものの他、楕円形状等、断面形状が概略円形状であるものを全て含む。
さらに、本実施形態においては、上記の第1ガスノズル10、第2ガスノズル20、及びパージガスノズル30の形状は、円筒状のみに限定されるものではなく、例えば、角筒状等、他の断面形状を採用することも可能である。
サセプタ移動機構4は、図1及び図2に示すように、第1ガスノズル10及び第2ガスノズル20に対するサセプタ3の位置を、第1ガスノズル10における第1の反応ガスG1の噴出口15と互いに向かい合う第1の位置P1と、第2ガスノズル20における第2の反応ガスG2の噴出口25と互いに向かい合う第2の位置P2との間で切り替え可能に構成されている。
また、本実施形態の気相成長装置100に備えられるサセプタ移動機構4は、サセプタ3の位置を、さらに、第1の位置P1と第2の位置P2との間に位置し、パージガスノズル30におけるパージガスG3の噴出口35と互いに向かい合う第3の位置P3にも切り替え可能な構成を採用している。
サセプタ移動機構4は、上述したように、サセプタ3を、該サセプタ3の中心軸J2を中心に自転させるためのサセプタ自転機構50と、サセプタ自転機構50が取り付けられて回転自在とされたサセプタ公転板41を有し、サセプタ公転板41の中心軸J1を中心にサセプタ自転機構50及びサセプタ3を公転させるためのサセプタ公転機構40とからなる。
サセプタ移動機構4は、上記構成により、まず、サセプタ公転機構40に備えられるサセプタ公転板41を回転させることでサセプタ自転機構50及びサセプタ3を公転させることで、サセプタ3の位置を、第1の位置P1又は第2の位置P2、さらには、第3の位置P3に移動させる。
さらに、サセプタ移動機構4は、サセプタ自転機構50を、中心軸J2を中心に回転させることにより、基板8を保持したサセプタ3を自転させるように構成されている。
サセプタ公転機構40は、上述したサセプタ公転板41と、公転用モータ42と、公転用磁気シールユニット43とから概略構成される。
サセプタ公転板41は、上述したように、サセプタ自転機構50を構成するサセプタ自転軸51が取り付けられており、サセプタ公転板41を平面視したとき、サセプタ自転軸51が、中心軸J1に対して所定の距離で偏心した位置に取り付けられている。これにより、サセプタ自転軸51及び該サセプタ自転軸51の先端に取り付けられたサセプタ3が、サセプタ公転板41の回転に伴い、中心軸J1に対して偏心した軌道を描きながら公転する。また、図示例のサセプタ公転板41には貫通孔41cが設けられており、この貫通孔41cにサセプタ自転軸51が取り付けられている。
公転用モータ42は、サセプタ公転板41を回転させるものであり、図示例では、回転軸42aの先端にピニオン歯車42bが取り付けられている。このピニオン歯車42bが、サセプタ公転板41の外周部41bに設けられた図示略の歯車と噛み合わせられることにより、公転用モータ42の回転に伴ってサセプタ公転板41が回転する。
公転用モータ42としては、特に限定されないが、サセプタ公転板41の回転位相や回転速度を正確に調整することを考慮し、例えば、ステッピングモータを用いることができる。
公転用磁気シールユニット43は、サセプタ公転板41と反応炉1との間を気密にシールするものであり、反応炉1の気密性を高めるために設けられる。
図示例の公転用磁気シールユニット43は、反応炉1の他端1bに取り付けられる取付フランジ部43aと、この取付フランジ部43aの一面側に突設された嵌合部43bとを有する。この嵌合部43bが反応炉1の内部に入り込むことで、取付フランジ部43a及び嵌合部43bが反応炉1に嵌合された状態となる。また、嵌合部43bの外面と、反応炉1との間には、上述したフランジ部2の場合と同様、Oリング等からなるシール部材43cが配置されている。
また、公転用磁気シールユニット43の嵌合部43bと、サセプタ公転板41の内筒部41aとの間には、シール剤として機能する磁性流体が収容されている。これにより、公転用磁気シールユニット43は、サセプタ公転板41と反応炉1との間を、回転摺動可能な状態で気密にシールする。
サセプタ公転機構40を構成する、シール部材43c及び磁性流体43d以外の各部材の材質は、特に限定されないが、反応炉1と同様、耐熱性に優れた材料、例えば、従来からこの分野で用いられている金属材料等を何ら制限無く用いることができる。
また、磁性流体43dとしても、特に限定されず、従来から真空容器等の密閉に用いられているような、磁性微粒子、界面活性剤、及び、水や油等のベース液からなる溶液を何ら制限無く用いることが可能である。
本実施形態においては、公転用モータ42からサセプタ公転板41への回転力の伝達を、歯車を用いた例で説明しているが、本発明の気相成長装置は、このような構成に限定されるものではない。公転用モータ42によってサセプタ公転板41を回転させる手段としては、上記の歯車の他、例えば、プーリとベルトとを組み合わせた手段や、スプロケットとチェーンとを組み合わせた手段等につても、適宜採用することができる。
サセプタ自転機構50は、上記のサセプタ自転軸51と、自転用モータ52と、自転用磁気シールドユニット53とから構成される。
サセプタ自転軸51は、上述したように、サセプタ3を、中心軸J2を中心に回転させるものであり、一端51a側にサセプタ3が取り付けられるとともに、他端51b側が自転用モータ52の回転軸52aに接続されている。
自転用モータ52は、上記のように、回転軸52aの先端にサセプタ自転軸51が取り付けられていることで、このサセプタ自転軸51を回転させることにより、一端51aに取り付けられたサセプタ3を回転(自転)させる。
自転用モータ52としても、特に限定されないが、サセプタ3の回転位相や回転速度を正確に調整することを考慮し、公転用モータ42の場合と同様、例えば、ステッピングモータを用いることができる。
自転用磁気シールユニット53は、サセプタ自転軸51と、これが取り付けられるサセプタ公転板41との間を気密にシールするものであり、公転用磁気シールユニット43の場合と同様、反応炉1の気密性を高めるために設けられる。
図示例の自転用磁気シールユニット53は、サセプタ公転板41に設けられた貫通孔41cに配置された外筒部53a及び内筒部53bを有し、これら外筒部53aと内筒部53bとの間に磁性流体53cが収容されている。
そして、内筒部53bの内部を貫通するようにサセプタ自転軸51の他端51bが挿入されることで、サセプタ自転軸51と内筒部53bとが、共に回転可能に内嵌め固定されている。
これにより、自転用磁気シールユニット53は、サセプタ公転板41とサセプタ自転軸51との間を、回転摺動可能な状態で気密にシールする。
サセプタ自転機構50を構成する磁性流体53c以外の各部材の材質は、特に限定されないが、サセプタ公転機構40を構成するシール部材43c及び磁性流体43d以外の各部材と同様、耐熱性に優れた金属材料等を何ら制限無く用いることができる。
また、磁性流体53cとしても、上述した磁性流体43dと同様、特に限定されず、従来から真空容器等の密閉に用いられているような、磁性微粒子、界面活性剤、及び、水や油等のベース液からなる溶液を何ら制限無く用いることが可能である。
気相成長装置100に備えられるサセプタ移動機構4は、上記のような、公転用磁気シールユニット43及び自転用磁気シールユニット53による独立した2重の磁気シールユニットを備えた構成を採用することで、反応炉1内を効果的に気密に保つことができる。より詳細には、本実施形態の気相成長装置100は、大気側、即ち反応炉1の外部側に動力源である公転用モータ42及び自転用モータ52を設置し、反応炉1の外部から内部に回転力を導入するにあたり、上記の独立した2重の磁気シールユニットを備える。これにより、反応炉1内の気密性を確実に維持しながら、基板8を保持したサセプタ3を、公転における位置制御、並びに、自転における回転速度制御を、全て独立して行うことが可能となる。
本実施形態においては、サセプタ移動機構4が、サセプタ3の公転と自転とを同期させながら該サセプタ3を回転させるとともに、サセプタ3に保持された基板8を平面視したときの公転方向と自転方向とが逆方向であり、且つ、公転周期と自転周期とが同一となるように、公転用モータ42及び自転用モータ52を制御することが好ましい(図3Cを参照)。また、サセプタ3が、第1の位置P1及び第2の位置P2の何れの位置においても、サセプタ3に保持された基板8の平面視における位相が同じであるモードを有するように、公転用モータ42及び自転用モータ52を制御することがより好ましい(図3Bを参照)。
より詳細に説明すると、図3Aに示すような配置とされた、第1ガスノズル10、第2ガスノズル20、及びパージガスノズル30に対し、図3B中に示すように、サセプタ3に保持された基板8のオリフラ(オリエンテーションフラット)81が、どの位置においても所定の位置を向くように制御する。即ち、図3Bに示す例では、サセプタ3に保持された基板8のオリフラ(オリエンテーションフラット)81が、第1の位置P1、第2の位置P2、及び第3の位置P3の各々において、全て、鉛直下方を向くように制御されている。この際、図3Cに示すように、基板8を保持したサセプタ3は、公転と自転とで同期しながら回転するとともに、サセプタ3に保持された基板8を平面視したときの公転方向と自転方向とが逆方向となるように、サセプタ移動機構4を制御する。
サセプタ移動機構4によるサセプタ3の公転と自転とを、上記のような関係となるように制御することにより、半導体薄膜を、基板8の位相に対して、偏り無く均一に成長させることができる。これにより、基板8上に、第1の半導体薄膜と第2の半導体薄膜との層間の界面の急峻性を有した化合物半導体薄膜を均一に成長させることが可能になる。
なお、本実施形態の気相成長装置100で用いる、ハロゲンガスG4及びガス原料G5のガス種としては、特に限定されず、従来からこの分野で用いられているガスを何ら制限無く用いることが可能である。
これらのうち、ハロゲンガス導入部14,24に導入するハロゲンガスG4としては、例えば、塩素ガス又は塩化水素ガス等を用いることができる。
また、ガス原料導入部13,23に導入するガス原料G5としては、例えば、アンモニアガス(NH)やアルシンガス(AsH)、ホスフィンガス(PH)や酸素ガス(O)等のV族又はVI族のガスを用いることができる。このようなガス原料G5は、例えば、気相成長装置100における別の場所で共通化して生成したうえで、第1ガスノズル10及び第2ガスノズル20における最外周側に配置された多重管構造からなるガス原料導入部13,23に導入すればよい。
また、本実施形態の気相成長装置100では、第1ガスノズル10側のハロゲンガス導入部14に導入されるハロゲンガスと、第2ガスノズル20側のハロゲンガス導入部24に導入されるハロゲンガスとを、それぞれ異なるガス種とすることも可能である。
さらに、本実施形態では、第1ガスノズル10側のガス原料導入部13に導入されるガス原料と、第2ガスノズル20側のガス原料導入部23に導入されるガス原料とを、それぞれ異なるガス種とすることも可能である。この場合、例えば、ガス原料導入部13に導入されるガス原料G5としてアルシンガスを用い、ガス原料導入部23に導入されるガス原料G5としてホスフィンガスを用いることができる。
さらに、本実施形態の気相成長装置100で用いるパージガスG3のガス種としても、に限定されず、例えば、窒素ガス等、基板8上の残留成分を効果的に除去可能なガスを何ら制限無く採用することができる。
また、本実施形態においては、例えば、第1ガスノズル10及び第2ガスノズル20の内部に第1の金属原料M1又は第2の金属原料M2を配置することなく、予め所望の組成比で生成された第1の反応ガスG1及び第2の反応ガスG2を、第1ガスノズル10又は第2ガスノズル20の直接供給し、成膜に供する構成を採用してもよい。
また、本実施形態の気相成長装置100では、第1ガスノズル10から基板8に向けて供給する第1の反応ガスG1、及び、第2ガスノズル20から基板8に向けて供給する第2の反応ガスG2を、それぞれ、キャリアガスに同伴させて供給する構成を採用してもよい。
本実施形態においては、上述したような、第1ガスノズル10と、第2ガスノズル20と、サセプタ3の位置を切り替えるサセプタ移動機構4とを備え、基板8上に複数の膜種の半導体薄膜を成長させる構成において、サセプタ移動機構4が、サセプタ公転板41を回転させることでサセプタ自転機構50及びサセプタ3を公転させることで、サセプタ3の位置を、第1の位置P1又は第2の位置P2に移動させる構成を採用している。本実施形態の気相成長装置100によれば、上述した構成を採用することで、以下に説明するような作用・効果が得られる。
本実施形態によれば、各ノズルに対応した位置の間におけるサセプタ3の移動をサセプタ公転機構40による公転で行い、公転軸であるサセプタ公転板41の中心軸J1に対応する位置に対して、サセプタ3の中心軸J2、第1ガスノズル10及び第2ガスノズル20の各中心軸JN1,JN2が、平面視で等距離に離間して配置され、さらに、サセプタ公転機構40及びサセプタ自転機構50の両方に磁気シールユニットを備えた構成を採用できる。これにより、炉内の気密性を保持しつつ、簡便な構成で、サセプタ3の位置を、各ノズルに対応した位置、又は所望する位置に移動することが可能になる。
また、反応炉1内における炉中心からの相対的な位置は等しいので、反応炉1の側壁1Aの外周側に設置しているヒータ1Bからの熱の影響や、各ノズルの間を流れるパージガスによる相対的影響を無視することができる。
さらに、第1ガスノズル10と第2ガスノズル20との間に、パージガスを噴出するパージガスノズル30を設けることにより、各半導体薄膜間における界面の急峻性が上昇するので、得られるデバイスの特性が向上する効果が得られる。
また、本実施形態の気相成長装置100のような反応炉1を有する横型炉においては、相対的な重力の影響により、パージガスよりも重い塩化物原料からなる反応ガスは、反応炉1の下方に向かって流れる傾向がある。このため、基板8を保持したサセプタ3の自転を停止した状態で成膜した場合、一般に、基板8の表面8aにおける鉛直下方側の位置の膜厚が厚くなる。これに対し、サセプタ3を自転させることで、基板8上における膜厚分布を均一することができるとともに、各ノズルとサセプタ3との相対位置を調整することで、膜厚の均一化を図ることも可能となる。この場合、各ノズルはフランジ部2に固定されていることから、サセプタ3を公転軌道上でずらして移動させることになる。そして、1回の成膜毎に、上記の相対位置をずらしながら回転を停止して薄膜成長を行う。ここで、第1ガスノズル10に対応した第1の位置P1で相対位置を調整すると、公転軌道上における移動となることから、基板8の回転位相にずれが生じる。その後、第2ガスノズル20に対応する第2の位置P2についても同時に調整を行う場合、公転軌道上において、例えば、第1ガスノズル10から位相が180°ずれた位置に第2ガスノズル20が配置されていると、移動後の回転位相がほぼ180°ずれることから、成膜後の膜厚測定時に混乱が生じる。しかしながら、公転位相と自転位相を同期させ、基板8の回転位相が常に揃っている状態で成膜した場合には、基板8における鉛直下方側の位置の膜厚が常に厚い状態となるので、膜厚分布をより簡便且つ正確に把握でき、上述した相対位置の調整が容易になる。
<気相成長装置を用いた半導体の製膜プロセス>
上記構成の気相成長装置100を用いた、半導体の製膜プロセスの一例について、図1及び図2を参照しながら、以下に説明する。
まず、第1ガスノズル10内のボート11に第1の金属原料M1を充填するとともに、第2ガスノズル20内のボート21に第2の金属原料M2を充填する。
また、図1に示すように、サセプタ移動機構4により、基板8を保持したサセプタ3を、第1ガスノズル10の噴出口15と互いに向かい合う第1の位置P1にセットする。この際、サセプタ公転機構40に備えられるサセプタ公転板41を所定角度で回転させることにより、サセプタ3を第1の位置P1にセットする。
次いで、反応炉1におけるフランジ部2側から、第1ガスノズル10内のガス原料導入部13にガス原料G5を導入するとともに、ハロゲンガス導入部14にハロゲンガスG4を導入する。これにより、第1ガスノズル10は、ハロゲンガスG4を第1の金属原料M1に供給して反応させ、金属ハロゲン化物からなる第1の反応ガスG1として、噴出口15側から、ガス原料導入部13に導入されたガス原料G5とともに、サセプタ3に保持された基板8の表面8aに向けて導く。
この際、基板8上に到達した第1の反応ガスG1は、ヒータ1B又はサセプタ3に設けられたサセプタヒータ3Aの作用により、基板8の表面8aで熱分解し、分解したガス分子が、サセプタ3の自転に伴って回転する基板8上に堆積して膜形成が行われる。
これにより、基板8の表面8aに、図視略の第1の半導体薄膜を成長させる。
次に、図2に示すように、サセプタ公転機構40に備えられるサセプタ公転板41を所定角度で回転させることにより、基板8を保持したサセプタ3を、パージガスノズル30の噴出口35と互いに向かい合う第3の位置P3に移動させる。
次いで、パージガスノズル30の噴出口35から、基板8の表面、即ち、基板8上に形成された第1の半導体薄膜に向けてパージガスG3を供給することにより、基板8及び第1の半導体層の表面に存在する、第1の反応ガスG1に由来する残留成分を除去する。
次に、図1に示すように、サセプタ公転機構40に備えられるサセプタ公転板41を、さらに所定角度で回転させることにより、基板8を保持したサセプタ3を、第2ガスノズル20の噴出口25と互いに向かい合う第2の位置P2に移動させる。
次いで、反応炉1におけるフランジ部2側から、第2ガスノズル20内のガス原料導入部23にガス原料G5を導入するとともに、ハロゲンガス導入部24にハロゲンガスG4を導入する。これにより、第2ガスノズル20は、ハロゲンガスG4を第2の金属原料M2に供給して反応させ、金属ハロゲン化物からなる第2の反応ガスG2として、噴出口25側から、ガス原料導入部23に導入されたガス原料G5とともに、サセプタ3に保持されて自転する基板8の表面、即ち、第1の半導体薄膜上に向けて導く。
この際、基板8上に形成された第1の半導体薄膜上に到達した第2の反応ガスG2は、上述した第1の反応ガスG1の場合と同様、ヒータ1B又はサセプタ3に設けられたサセプタヒータ3Aの作用により、第1の半導体薄膜の表面で熱分解し、分解したガス分子が、サセプタ3の回転に伴って回転する基板8上の第1の半導体薄膜の表面に堆積して膜形成が行われる。
これにより、基板8の表面8aに形成された第1の半導体薄膜上に、図視略の第2の半導体薄膜を成長させる。
なお、反応炉1内における、残余の第1の反応ガスG1、第2の反応ガスG2、及びパージガスG3は、排気口6から外部に排出され、必要とされる除害処理等を施したうえで、工程で再利用されるか、あるいは、大気中に放出される。
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の気相成長装置100によれば、上記のように、第1の反応ガスG1を基板8上に導く第1ガスノズル10、及び、第2の反応ガスG2を基板8上に導く第2ガスノズル20に対し、基板8を保持するサセプタ3の位置を切り替えるサセプタ移動機構4が、基板8を保持したサセプタ3を公転させることで第1ガスノズル10又は第2ガスノズル20に対向する位置に移動させるためのサセプタ公転板41を備えたサセプタ公転機構40と、基板8を保持したサセプタ3を自転させるサセプタ自転機構50と、を有した構成を採用している。
上記のサセプタ公転機構40を有することにより、まず、サセプタ公転板41によって反応炉1内の気密性を保持しながら、サセプタ3を公転で移動させることで、サセプタ3に保持された基板8が、第1ガスノズル10又は第2ガスノズル20に対して正確な位置で対向するように移動する。これにより、第1の反応ガスG1及び第2の反応ガスG2が効率よく基板8上に供給されるので、薄膜中に不純物等が混入することなく半導体薄膜を成長させることができる。
また、上記のサセプタ自転機構50を有することにより、基板8上に均一な厚さで半導体薄膜を成長させることができる。
従って、各層間の界面の急峻性を有した半導体薄膜を、生産性よく低コストで均一に成長させることが可能になる。
<気相成長装置のその他の形態>
以上、実施形態により、本発明に係る気相成長装置の一例を説明したが、本発明に係る気相成長装置は、上述したような、図1に示す例の気相成長装置100の構成に限定されるものではない。上記の実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
例えば、第1ガスノズル10が、第2ガスノズル20によって成長させた第2の半導体薄膜上に、さらに、第1の半導体薄膜を成長させるように、サセプタ移動機構4を制御してもよい。さらに、第1ガスノズル10及び第2ガスノズル20が、第1の半導体薄膜と第2の半導体薄膜とを交互に積層しながら成長させるように、サセプタ移動機構4を制御してもよい。
また、例えば、第1ガスノズル又は第2ガスノズルのうちの一方又は両方が、内部に複数の金属原料が配置され、この複数の金属原料とハロゲンガスとから生成される反応ガスを基板上に導く構成を採用してもよい。この場合、例えば、まず、第1ガスノズルを用いて基板上に第1の半導体膜を成長させ、その後、第2ガスノズルを用いて第2の半導体膜を成長させている間に、第1ノズル内の複数の金属原料に供給されるハロゲンガスの流量を個別に変化させておく。これにより、基板上に第1の半導体膜と第2の半導体膜とを積層して成長させた後、再び、第1ガスノズルに対向する位置で、第2の半導体膜上に第3の半導体膜を成長することが可能となる。その後、同様に、第2ガスノズルに対向する位置に基板を移動させ、第3の半導体膜上に第4の半導体膜を成長することが可能であり、最終的には、所望のデバイス構造を無限に選択しながら、半導体膜を成長させることが可能である。
また、本実施形態においては、基板8の表面が水平方向を向くように、サセプタ3に基板8を保持させ、この状態で半導体薄膜を成長させる構成とされた、横型炉の反応炉1を有する気相成長装置100を例に挙げて説明しているが、本発明の気相成長装置は、このような構成には限定されない。本発明のような、基板8が保持されたサセプタ3を公転及び自転させる構成は、例えば、基板8の表面が鉛直上方を向くように、サセプタ3に基板8を保持させ、この状態で半導体薄膜を成長させる構成にも適用可能なものである。
但し、基板8や半導体薄膜の表面へのゴミ等の付着防止の観点からは、図1及び図2に示す気相成長装置100のように、基板8の表面が水平方向を向くように、サセプタ3に基板8を保持させ、この状態で半導体薄膜を成長させる構成を採用することが好ましい。
以下、実施例により、本発明に係る気相成長装置についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
<半導体薄膜の気相成長条件及び手順>
本実施例においては、図1及び図2に示すような、本発明に係る構成を備えた気相成長装置100を使用して、GaN(窒化ガリウム)系化合物半導体薄膜を製膜するとともに、GaN系化合物半導体薄膜の膜厚の均一性を調整する実験を行った。
この際、気相成長装置100における、第1ガスノズル10のボート11に充填される第1の金属原料M1としてガリウム単体金属を用いた。また、図1及び図2では図示を省略しているが、第2ガスノズル20として、ボート21を2個有しているものと準備し、一方のボート21に充填される第2の金属原料M2として、第1の金属原料M1と同じガリウム単体からなる金属原料を用い、他方のボート21に充填される第2の金属原料M2として、アルミニウム単体からなる金属原料を用いた。
そして、反応炉1の外部から、ヒータ1Bによって第1ガスノズル10及び第2ガスノズル20を加熱し、第1の金属原料M1の近傍の温度を約800℃、第2の金属原料M22の近傍の温度を約800℃、基板8の近傍の温度を約1000℃に保持した。
この際、基板8は、サセプタ3の保持部3aに、オリフラ81が鉛直下方側に入りされるように保持させた。
次いで、第1ガスノズル10において、ガス原料導入部13からガス原料G5としてV族のアンモニアガスを、ハロゲンガス導入部14からハロゲンガスG4として塩化水素ガスを導入し、第1の金属原料M1をなすガリウム単体金属と塩化水素ガスとを反応させ、塩化ガリウムの状態とした第1の反応ガスG1を生成させた。そして、第1の反応ガスG1である塩化ガリウムを、ガス原料G5であるV族のアンモニアガスとともに基板8の表面8aに供給し、窒化ガリウム(GaN)薄膜からなる第1の半導体薄膜を成長させた。
次いで、サセプタ移動機構4を作動させ、図2に示すように、基板8を保持したサセプタ3を、パージガスノズル30に対応した第3の位置P3に移動させた。この際、サセプタ公転機構40による公転位相と、サセプタ自転機構50による自転位相とを同期させることにより、基板8のオリフラ81が鉛直下方側に配置されるように調整した。具体的には、図示略の制御装置におけるプログラムにより、ステッピングモータからなる、サセプタ公転機構40の公転用モータ42、及び、サセプタ自転機構50の自転用モータ52に対し、基板8のオリフラ81が鉛直下方側に配置されるのに想到するステップ数を自動入力した。
そして、パージガスノズル30にパージガスG3として窒素ガス及びアンモニアガスを導入し、これらのガスを基板8上に形成された第1の半導体薄膜上に供給した。
次いで、サセプタ移動機構4のサセプタ公転機構40を作動させ、図1に示すように、基板8を保持したサセプタ3を、第2ガスノズル20に対応した第2の位置P2に移動させた。この際も、第1の位置P1の場合と同様、基板8のオリフラ81が鉛直下方側に配置されるように調整した。
その後、ガス原料導入部23からガス原料G5としてV族のアンモニアガスを、ハロゲンガス導入部24に、ハロゲンガスG4として塩化水素ガスを導入し、一方の第2の金属原料M22であるガリウム単体金属、及び、他方の第2の金属原料M22であるアルミニウム単体金属と反応させ、塩化インジウム及び塩化ガリウムからなる第2の反応ガスG21を生成させた。
そして、第2の反応ガスである塩化ガリウム及び塩化アルミニウムを、ガス原料G5であるV族のアンモニアガスとともに、基板8上に形成された第1の半導体薄膜の表面に供給し、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)薄膜からなる第2の半導体薄膜を成長させて積層した。
その後、反応炉1内にアンモニアガスを導入しながら基板8及びサセプタ3を冷却し、常温まで下がったところでサセプタ3を第3の位置P3まで移動させ、基板8に向けてパージガスノズル30からパージガスG3を噴出させた後、サセプタ3から基板8を取り外して反応炉1の外部に搬出した。
そして、基板8のオリフラ81の位置で、半導体薄膜が成膜された基板8を正確に半分に分割して、その断面を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で観察し、図4Aに示す各位置で膜厚を測定し、各位置における膜厚測定結果を図4Cのグラフに示した。図4Aの各測定位置に示すように、本例では、オリフラ81と直交するラインで基板8を分割した。また、図4Cには、基板のオリフラの成膜時の位置(向き)についても併せて示した。
図4Cのグラフに示すように、第1の半導体薄膜であるGaN薄膜、及び、第2の半導体薄膜であるAlGaN薄膜ともに、オリフラ81側が肉厚となり、その反対側が薄肉となった。両者ともにオリフラ側が肉厚となり、特に、AlGaN薄膜における膜厚分布で顕著であった。
また、本例では、上記同様の手順及び条件で、基板8を保持したサセプタ3を自転させることなく公転のみで半導体薄膜を成膜する実験を行い、その結果を図4Bのグラフに示した。また、図4Bには、基板のオリフラの成膜時の位置についても併せて示した。この場合、パージガスノズル30に対応する第3の位置P3において、オリフラ81が鉛直下方側に位置するような位相であったため、第1の位置P1と第2の位置P2とでは、基板8に180°の位相のずれが生じ、オリフラ81が鉛直方向に沿った配置になる。このため、図4Aの各測定位置に示すように、オリフラ81と直交するラインで基板8を分割した場合、それぞれの位置における水平方向の膜厚分布が見えるのみであり、本例において目的とする必要な情報は得られない(比較例)。
そこで、本例においては、さらに、第1ガスノズル10に対応した第1の位置P1、及び、第2ガスノズル20に対応した第2の位置P2において、サセプタ3の位置を適宜延長下方側に移動させて調整し、再度、上記と同様の手順及び条件で、基板8上に第1の半導体薄膜及び第2の半導体薄膜を成長させた。この際、第2の位置P2は、第1の位置P1よりもさらに下方側に位置するよう調整した。そして、上記同様、基板8のオリフラ81の位置で、半導体薄膜が成膜された基板8を正確に半分に分割して、その断面をSEMで観察し、図6Aに示す各位置で膜厚を測定し、各位置における膜厚測定結果を図6Bのグラフに示した。図6Aの各測定位置に示すように、本例でも、オリフラ81と直交するラインで基板8を分割した。また、図6Bには、基板のオリフラの成膜時の位置(向き)についても併せて示した。
この結果、図6Bに示すように、第1の半導体薄膜であるGaN薄膜、及び、第2の半導体薄膜であるAlGaN薄膜ともに、全体的に膜厚が均一となり、膜厚分布が緩やかな結果となった。
また、上記のGaN薄膜及びAlGaN薄膜を成膜する手順を数回繰り返し、次いで、その位置で基板を自転させながら、上記同様に半導体薄膜の成長を行った場合、GaN薄膜及びAlGaN薄膜の何れも、膜厚のばらつきが±数%程度であり、均一性に優れた半導体薄膜が得られることが確認できた(本発明例)。
一方、本例においては、さらに、基板8を保持したサセプタ3を自転させなかった点を除き、上記同様の手順及び条件で半導体薄膜を基板8上に成膜するとともに、図5Aに示すように、オリフラ81と平行なラインで基板を分割して、各位置で膜厚を測定する実験を行い、この結果を図5Bのグラフに示した。また、図5Bには、基板のオリフラの成膜時の位置(向き)についても併せて示した。
図5Bのグラフに示す結果においては、パージガスノズル30に対応する第3の位置P3において、オリフラ81が鉛直下方側に位置するような位相であったため、第1の位置P1と第2の位置P2とでは、基板8に180°の位相のずれが生じ、オリフラ81が鉛直方向に沿った配置になる。このため、第1の半導体薄膜であるGaN薄膜と、第2の半導体薄膜であるAlGaN薄膜とで、膜厚分布が逆転しており、調整し難いことがわかる(比較例)。
以上説明したような実施例の結果より、基板を保持したサセプタを公転及び自転させることが可能なサセプタ移動機構を備えた気相成長装置を用いることで、基板上に異なる組成の半導体薄膜を連続して成長させる際、基板がノズルと正確な位置で対向するようにサセプタを移動でき、各層間の界面の急峻性を有した半導体薄膜を、生産性よく低コストで均一に成長させることが可能であることが明らかである。
本発明の気相成長装置は、基板上に異なる組成の半導体薄膜を連続して成長させる際、気密性に優れた反応炉内において、基板がノズルと正確な位置で対向するようにサセプタを移動でき、各層間の界面の急峻性を有した半導体薄膜を、生産性よく低コストで均一に成長させることが可能なものである。従って、本発明の気相成長装置は、例えば、基板上に複数の半導体薄膜を積層して成長、成膜させるための装置として非常に好適である。
100…気相成長装置
1…反応炉
1a…一端
1b…他端
1A…側壁
1B…ヒータ
2…フランジ部
2a…封止板
2b…嵌合部
2c…シール部材
3…サセプタ
3a…保持部
3A…サセプタヒータ(加熱手段)
4…サセプタ移動機構
40…サセプタ公転機構
41…サセプタ公転板
41a…内筒部
41b…外周部
41c…貫通孔
42…公転用モータ
42a…回転軸
42b…ピニオン歯車
43…公転用磁気シールユニット
43a…取付フランジ部
43b…嵌合部
43c…シール部材
43d…磁性流体
50…サセプタ自転機構
51…サセプタ自転軸
51a…一端
51b…他端
52…自転用モータ
52a…回転軸
53…自転用磁気シールユニット
53a…外筒部
53b…内筒部
53c…磁性流体
6…排気口
10…第1ガスノズル
11…ボート
13…ガス原料導入部
14…ハロゲンガス導入部
15…噴出口
20…第2ガスノズル
21…ボート
23…ガス原料導入部
24…ハロゲンガス導入部
25…噴出口
30…パージガスノズル
33…パージガス導入部
35…噴出口
J1…中心軸(サセプタ公転板)
J2…中心軸(サセプタ、サセプタ自転軸)
JN1…中心軸(第1ガスノズル)
JN2…中心軸(第2ガスノズル)
8…基板
81…オリフラ(オリエンテーションフラット)
8a…表面
8b…裏面
P1…第1の位置
P2…第2の位置
P3…第3の位置
M1…第1の金属原料
M2…第2の金属原料
G1…第1の反応ガス
G2…第2の反応ガス
G3…パージガス
G4…ハロゲンガス
G5…ガス原料

Claims (7)

  1. 有機金属気相成長法を用いることなく、金属原料にハロゲンガスを供給することで生成した反応ガスを基板上に導入することにより、前記基板上に半導体薄膜を成長させる気相成長装置であって、
    パージガスで満たされた反応炉内において前記基板を保持する自転自在なサセプタと、
    前記サセプタを加熱する加熱手段と、
    内部に配置された第1の金属原料に前記ハロゲンガスを供給することで生成した第1の反応ガスを前記基板上に導く第1ガスノズルと、
    内部に配置された第2の金属原料に前記ハロゲンガスを供給することで生成した第2の反応ガスを前記基板上に導く第2ガスノズルと、
    前記第1ガスノズル及び前記第2ガスノズルに対する前記サセプタの位置を、前記第1ガスノズルにおける前記第1の反応ガスの噴出口と互いに向かい合う第1の位置と、前記第2ガスノズルにおける前記第2の反応ガスの噴出口と互いに向かい合う第2の位置との間で切り替えるサセプタ移動機構と、を備え、
    前記サセプタ移動機構は、前記サセプタを、該サセプタの中心軸を中心に自転させるためのサセプタ自転機構と、前記サセプタ自転機構が取り付けられて回転自在とされたサセプタ公転板を有し、前記サセプタ公転板の中心軸を中心に前記サセプタ自転機構及び前記サセプタを公転させるためのサセプタ公転機構とからなり、
    前記サセプタ、前記第1ガスノズル及び前記第2ガスノズルの各々の中心軸は、平面視において、前記サセプタ公転板の前記中心軸に対応する位置に対して等距離に離間して配置されており、
    前記サセプタ移動機構が、前記サセプタ公転板を回転させることで前記サセプタ自転機構及び前記サセプタを公転させることにより、前記サセプタの位置を、前記第1の位置又は前記第2の位置に移動させ
    前記第1の位置において前記サセプタを公転させることなく、前記サセプタを自転させながら、前記基板上に第1の半導体薄膜を成長させ、
    前記第2の位置において前記サセプタを公転させることなく、前記サセプタを自転させながら、前記基板上に第2の半導体薄膜を成長させ、
    前記第1の半導体薄膜と前記第2の半導体薄膜の組成が異なることを特徴とする気相成長装置。
  2. さらに、前記第1ガスノズルと前記第2ガスノズルとの間に配置され、前記基板上にパージガスを導くパージガスノズルを具備し、
    前記サセプタ移動機構は、前記サセプタの位置を、前記第1の位置と前記第2の位置との間に位置し、前記パージガスノズルにおける前記パージガスの噴出口と互いに向かい合う第3の位置に切り替え可能であることを特徴とする請求項1に記載の気相成長装置。
  3. 前記反応炉は、各ガスが水平方向に流れる横型炉とされており、
    前記サセプタ移動機構は、前記サセプタ公転板を回転させることで前記サセプタ自転機構及び前記サセプタを公転させることにより、前記サセプタの位置を、前記第1の位置又は前記第2の位置に移動させる際に、前記サセプタの公転と自転とを同期させながら該サセプタを回転させるとともに、前記サセプタに保持された前記基板を平面視したときの公転方向と自転方向とが逆方向であり、且つ、公転周期と自転周期とが同一であり、
    前記サセプタは、前記第1の位置及び前記第2の位置の何れの位置においても、前記サセプタに保持された前記基板の平面視における位相が同じであるモードを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の気相成長装置。
  4. 前記第1ガスノズル及び前記第2ガスノズルは、前記基板上にハイドライド気相成長法によって半導体薄膜を成長させるものであり、
    前記反応ガスが金属塩化物であり、
    前記半導体薄膜が、GaAs、AlAs、InP、GaN、AlN、InN、Ga、及びInのうちの何れか、あるいは、それらの混晶からなることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載の気相成長装置。
  5. 前記第1ガスノズルは、前記基板上に前記第1の半導体薄膜を成長させ、前記第2ガスノズルは、前記第1の半導体薄膜上に前記第2の半導体薄膜を成長させることを特徴とする請求項1~請求項4の何れか一項に記載の気相成長装置。
  6. 前記第1ガスノズルは、前記第2ガスノズルによって成長させた前記第2の半導体薄膜上に、さらに、前記第1の半導体薄膜を成長させることを特徴とする請求項5に記載の気相成長装置。
  7. 前記第1ガスノズル及び前記第2ガスノズルは、前記第1の半導体薄膜と前記第2の半導体薄膜とを交互に積層しながら成長させることを特徴とする請求項5に記載の気相成長装置。
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