JP7497419B2 - シス型キサントフィル組成物および使用方法 - Google Patents

シス型キサントフィル組成物および使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、家禽卵の黄身の色味を向上する家禽用飼料に関し、具体的には、シス型キサントフィルを含む家禽用飼料に関する。
ニワトリ等の家禽類の卵は栄養価が高く、それ自体が食品として、また種々の菓子および食品の材料として広く利用されている。
卵の商品価値を決める重要な要素の一つは卵黄色である。卵黄色は飼料に含まれるカロテノイド等の色素、特にトウモロコシに含まれる色素であるルテインおよびゼアキサンチンが産卵鶏に吸収され、卵へと移行し、蓄積するために黄色味を帯びるようになったものであることは良く知られている。
近年では、卵黄色がより濃い、あるいはより赤身を増した卵が消費者に好まれるようになってきている。産卵鶏に給餌する配合飼料には一般的にトウモロコシが50~60%程度配合されているが、トウモロコシ等の穀類だけでは消費者の嗜好に合う色にならないため、現在、ほとんどの飼料にカロテノイドを主成分とする色揚げ剤が添加されている。色揚げ剤としては、例えばパプリカ由来の色素やファフィア酵母、パラコッカス菌体末のアスタキサンチンが利用されている。
特許文献1には、特定の体積粒子径に粉砕したカロテノイド含有乾燥菌体粉末を飼料として用いることで、卵黄の色味が強化されることが開示されている。しかしながら、特許文献1では、100℃を超える温度の伝熱部と接触させることで乾燥菌体粉末を得ているところ、カロテノイドは熱により分解されることが知られているため、100℃を超える伝熱部との接触は好ましくない。また、特許文献1には、実際にどの程度卵黄の色味が向上されたか開示されていない。特許文献2には、トウモロコシおよびアスタキサンチンを所定量含有する飼料を給餌することで、消費者に好まれる卵黄色を呈する卵を得る方法が開示されている。
特開2016-10383 国際公開第2016/194789号パンフレット
しかしながら、消費者に好まれる卵黄色の濃い家禽卵およびそのような卵を生産するための家禽用飼料の提供が依然として望まれている。
シス型キサントフィルによる家禽類の卵の色揚げ効果については知られていなかった。
上記課題に鑑み鋭意研究した結果、本発明者は、シス型キサントフィルに富む飼料で家禽を給餌すると、キサントフィルの家禽卵および血漿への吸収率が高まり、卵黄色調の高い卵および食肉が得られることを見出した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
キサントフィルを含み、前記キサントフィルの10~90%がシス型であることを特徴とする、卵黄色調改善剤。
[2]
前記キサントフィルの10~70%がシス型であることを特徴とする、[1]に記載の卵黄色調改善剤。
[3]
キサントフィルの濃度が1~50ppmとなるように[1]または[2]に記載の卵黄色調改善剤を含み、前記キサントフィルの10~90%がシス型であることを特徴とする、家禽用飼料。
[4]
キサントフィルを1~50ppmの濃度で含み、前記キサントフィルの10~90%がシス型であることを特徴とする、家禽用飼料。
[5]
前記キサントフィルの10~70%がシス型であることを特徴とする、[3]または[4]に記載の家禽卵飼料。
[6]
キサントフィルが卵黄に含有され、前記キサントフィルの50~95%がトランス型で存在し、卵黄のカラーファン値が13~18の卵黄色を呈する、家禽卵。
[7]
前記キサントフィルがアスタキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチンの少なくともいずれか1種であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の卵黄色調改善剤。
[8]
前記キサントフィルがアスタキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチンの少なくともいずれか1種であることを特徴とする、[3]~[5]のいずれか1項に記載の家禽用飼料。
[9]
前記キサントフィルがアスタキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチンの少なくともいずれか1種であることを特徴とする、[6]に記載の家禽卵。
[10]
家禽が、鶏、ガチョウ、アヒル、またはウズラである、[3]~[5]および[3]のいずれか1項に記載の家禽用飼料または[6]もしくは[9]に記載の家禽卵。
[11]キサントフィルを含み、前記キサントフィルの10~90%がシス型であることを特徴とする、肉色改善剤または酸化ストレス改善剤。
[12]前記キサントフィルがアスタキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチンの少なくともいずれか1種であることを特徴とする、[11]に記載の剤。
本発明により、キサントフィルを含み、前記キサントフィルの10~90%、例えば10~70%がシス型であることを特徴とする、卵黄色調改善剤が提供される。また、本発明の別の態様において、前記卵黄色調改善剤を含む、家禽用飼料が提供される。
本発明の卵黄色調改善剤を産卵家禽用の一般飼料に含有させた飼料または前記家禽用飼料で家禽を給餌すると、卵黄色調が改善された卵を生産することができる。したがって、本発明は、良好な卵黄色を有する家禽卵およびその生産方法を提供することができる。
また、本発明の別の態様において、キサントフィルを含み、前記キサントフィルの10~90%、例えば10~70%がシス型であることを特徴とする、肉色改善剤もしくは酸化ストレス改善剤、または前記肉色改善剤もしくは酸化ストレス改善剤を含む飼料が提供される。
本発明の肉色改善剤を家禽または魚介類の一般飼料に含有させた飼料で家禽または魚介類を給餌すると、色調が改善された食肉を生産することができる。
本発明の酸化ストレス改善剤を家禽または魚介類用の一般飼料に含有させた飼料で家禽または魚介類を給餌すると、家禽または魚介類の酸化ストレスが軽減され得るので、家禽または魚介類の保管時や調理時の酸化劣化の抑制や健康維持効果が期待される。
図1は、投与6時間後の血漿中アスタキサンチン濃度(左)およびシス型比率(右)を示す。
本発明は、所定量のシス型キサントフィルを含む卵黄色調改善剤および当該卵黄色調改善剤を含む家禽用飼料に関する。前記家禽用飼料は、所定量のシス型キサントフィルを含むことにより、それを給餌された家禽においてキサントフィルの家禽卵への吸収率が高まり、消費者に好まれる卵黄色を呈する卵が提供される。したがって、本発明は、当該家禽用飼料で給餌された家禽から生産される家禽卵および当該家禽卵の生産方法も含む。また、家禽体内に取り込まれたシス型キサントフィルは、卵黄中において大部分がトランス型キサントフィルとして蓄積し、卵黄の色味を効率良く改善すると推察される。
また、本発明は、所定量のシス型キサントフィルを含む肉色改善剤または酸化ストレス改善剤、および当該肉色改善剤または酸化ストレス改善剤を含む飼料に関する。前記飼料は、所定量のシス型キサントフィルを含むことにより、それを給餌された家禽または魚介類においてキサントフィルの血漿中または肉への吸収率が高まり、色調の改善された食肉が提供される。したがって、本発明は、当該飼料で給餌された家禽または魚介類から生産される食肉の生産方法も含む。また、キサントフィル、特にアスタキサンチンは抗酸化作用を有することから、家禽または魚介類の酸化ストレスが軽減され得るため、家禽または魚介類の保管時や調理時の酸化劣化が抑制され、あるいは健康維持効果が期待される。
本明細書において、「家禽」または「家禽類」は、特に限定されるものではないが、例えば鶏、鶉、七面鳥、ホロホロ鳥、鳩、アヒル、ガチョウ、ダチョウが例示される。本明細書において、「卵」または「家禽卵」は、上記家禽または家禽類の卵をいう。特に日本を含む多くの国では家禽卵の中で鶏卵の消費量または流通量が最も多いため、消費量または流通量の観点から、本発明は鶏または鶏卵において好適に実施することができる。
本明細書において、「魚介」または「魚介類」は、特に限定されるものではないが、例えばクルマエビ、サクラマス、サケ等が例示される。
本明細書において、数値範囲について「~」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値および上限値を含むものとする。例えば、「10~20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10~20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
本明細書において、「%」および「ppm」の値は、重量比を意味するものとする。本明細書において、「1mg/kg」は「1ppm」と同義である。
本明細書において、卵黄色調の改善とは、対照と比較して卵黄色が濃いことをいう。卵黄色はカラーファン値またはa値で測定され、値が大きいほど卵黄色が濃いことを意味する。対照とは、本発明の卵黄色調改善剤または本発明の家禽用飼料を給餌されていない家禽または給餌前の家禽からの家禽卵における卵黄色をいう。
1.卵黄色調改善剤および家禽用飼料:肉色改善剤または酸化ストレス改善剤および肉色改善剤または酸化ストレス改善剤を含む飼料(シス型キサントフィル富化飼料)
本発明は、キサントフィルを含み、前記キサントフィルの10~90%、例えば10~70%がシス型であることを特徴とする卵黄色調改善剤(以下、「本発明の卵黄色調改善剤」ともいう)を提供する。また、キサントフィルを1~50ppmの濃度で含み、前記キサントフィルの10~90%、例えば10~70%がシス型であることを特徴とする、家禽用飼料(以下、「本発明の家禽用飼料」ともいう)を提供する。本発明の家禽用飼料には、キサントフィルの濃度が1~50ppmとなるように本発明の卵黄色調改善剤を含む飼料も含まれる。
本発明の家禽用飼料で家禽類を給餌することにより、卵黄色の濃い家禽卵が提供される。
本発明は、キサントフィルを含み、前記キサントフィルの10~90%、例えば10~70%がシス型であることを特徴とする、肉色改善剤(以下、「本発明の肉色改善剤」ともいう)または酸化ストレス改善剤(以下、「本発明の酸化ストレス改善剤」ともいう)を提供する。
また、キサントフィルを1~50ppmの濃度で含み、前記キサントフィルの10~90%、例えば10~70%がシス型であることを特徴とする飼料(以下、「本発明の飼料」ともいう)を提供する。本発明の飼料には、キサントフィルの濃度が1~50ppmとなるように本発明の肉色改善剤または本発明の酸化ストレス改善剤を含む飼料も含まれる。
本発明の飼料で家禽類または魚介類を給餌することにより、色調の改善された食肉が提供される。または、本発明の飼料で家禽類または魚介類を給餌することにより、家禽類または魚介類の酸化ストレスが軽減され得るので、家禽類または魚介類の保管時や調理時の酸化劣化が抑制され、あるいは健康維持効果が期待される。
本明細書において、「キサントフィル」は、アスタキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン、ゼアキサンチン、α-クリプトキサンチン、β-クリプトキサンチン、ルテイン、カンタキサンチン、アステロイデノン、3-ヒドロキシエキネノン、β-アポ-8’-カロテナール、フコキサンチン、ラクツカキサンチン、ツナキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、ビオラキサンチン、ネオキサンチン、シフォナキサンチン、アンテラキサンチン、シトラナキサンチン、フコキサンチノール、アマロウシアキサンチンA、ハロシンチアキサンチン、ジアトキサンチン、ペリジニン、スピリロキサンチン、ルビキサンチン、ロドキサンチン、アロキサンチン等が挙げられる。本発明において、好ましいキサントフィルは、アスタキサンチン、アドニルビンまたはアドニキサンチンであり、より好ましいキサントフィルは、アスタキサンチンまたはアドニキサンチンであり、特に好ましいキサントフィルはアスタキサンチンである。本発明の卵黄色調改善剤および家禽用飼料は、キサントフィルの中から1種または複数種を適宜組み合わせて含み得る。本発明の肉色改善剤または酸化ストレス改善剤および本発明の飼料は、キサントフィルの中から1種または複数種を適宜組み合わせて含み得る。組合せは、例えば、アスタキサンチン、アドニルビンおよびアドニキサンチンを含む組み合わせであり、好ましくは、アスタキサンチンおよびアドニキサンチンを含む組み合わせである。
本明細書において、キサントフィルは、薬学的に許容される塩の形態であってもよい。
キサントフィルは分子中央部分の共役二重結合のシス体、トランス体による異性体が存在する。本明細書において、分子中の共役二重結合の1つまたは2つ以上がシス型である異性体を「シス体」または「シス型」キサントフィルといい、分子中の共役二重結合のすべてがトランス型である異性体を「トランス体」、「トランス型」または「オールトランス型」キサントフィルという。単に「キサントフィル」という場合には、シス型キサントフィルとトランス型キサントフィルの双方を含むものとする。シス、トランス異性体の定義は、アスタキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン等の各キサントフィルについても同様にあてはまる。
例えばアスタキサンチンの場合、9-シス体、13-シス体、15-シス体、ジシス体またはそれらの組み合わせがシス型アスタキサンチンに含まれる。シス型アドニルビンには、9-シス体、13-シス体、15-シス体、ジシス体またはそれらの組み合わせが含まれる。また、シス型アドニキサンチンには、9-シス体、13-シス体、15-シス体、ジシス体またはそれらの組み合わせが含まれる。
本発明において、キサントフィルは、当業者であれば化学合成法または細菌や酵母等の微生物を用いた方法等の公知の方法で製造することができる。例えば、化学合成を行う場合としては、Pure & Appl. Chem., Vol 51 pp535-564(1979)等に記載の方法で製造することができる。また、細菌を用いる場合は、特開2010-172293号、特開2005-087097号、国際公開2010/087400号パンフレット、国際公開2010/044469号パンフレット、特開2001-352995号パンフレット等に記載の方法で製造することができる。さらに、酵母を用いる場合は、特開平5-76347号、特開平6-319531号、特開平8-214870号等に記載の方法で製造することができる。
本発明に用いる細菌としては、キサントフィルを産生する細菌であれば何ら限定されないが、好ましくはParacoccus属、Sp hingomonas属、Brevundimonas属またはErythrobacter属に属する細菌が用いられ、中でもParacoccus属に属する細菌が好ましい。Paracoccus属に属する細菌の中では、Paracoccus carotinifaciens、Paracoccus marcusii、Paracoccus haeundaensisおよびParacoccus zeaxanthinifaciensが好ましく用いられ、特にParacoccus carotinifaciensが好ましく用いられる。
Paracoccus属に属する細菌の具体的な菌株の例として、Paracoccus carotinif aciensE-396株(FERM BP-4283)およびParacoccus属細菌A-581-1株(FERM BP-4671)が挙げられ、これらの変異株も本発明に好ましく用いられる。
なお、天然アスタキサンチン源としてファフィア酵母も知られている。ファフィア酵母の産生するアスタキサンチンのシス体比率について、本明細書で開示の方法で測定したところ3.6%であった。
また、キサントフィル産生細菌として、好ましくは16SリボソームRNAに対応するDNAの塩基配列が上記E-396株の塩基配列と高い相同性(同一性)を有する細菌が用いられる。ここで言う「高い相同性を有する」とは、E-396株の16SリボソームRNAに対応するDNAの塩基配列と目的の細菌の対応する塩基配列とが、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上相同であること意味する。E-396株の塩基配列と高い相同性を有する細菌が用いられる。E-396株の16SリボソームRNAに対応するDNAの塩基配列は、例えば国際公開第2010/044469号の配列表に記載されている。16SリボソームRNAに対応するDNAの塩基配列とは、16SリボソームRNAの塩基配列中のU(ウラシル)をT(チミン)に置き換えた塩基配列を意味する。
Paracoccus carotinifaciens E-396株の16SリボソームRNAの塩基配列と、他のキサントフィル産生細菌であるParacoccus marcusii DSM 11574株、Paracoccus属細菌N-81106株、Paracoccus haeundaensis BC 74171株、Paracoccus属細菌A-581-1株、Paracoccus zeaxanthinifaciens ATCC 21588株、およびParacoccus sp. PC-1株の16SリボソームRNAの塩基配列との相同性は、それぞれ99.7%、99.7%、99. 6%、99.4%、95.7%、および95.4%であり、これらは分類学上極めて近縁な菌株であることが分かる。従って、これらの菌株はキサントフィルを産生する細菌として一つのグループを形成しているといえる。よって、これらの菌株は本発明に好ましく用いられ、キサントフィルを効率的に産生することができる。
本発明において、キサントフィルの生産性が改良された変異株も用いることができる。改良された変異株は、アスタキサンチン生産能の高い菌株(特開2001-95500号)等の公知の菌株を用いることができる。また、キサントフィルの生産性が改良された変異株は、当業者であれば公知技術に基づき、変異処理とスクリーニングにより取得することができる。変異処理する方法は変異を誘発するものであれば特に限定されない。例えば、N-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(NTG)およびエチルメタンスルホネート(EMS)などの変異剤による化学的方法、紫外線照射およびX線照射などの物理的方法、遺伝子組換えおよびトランスポゾンなどによる生物学的方法などを用いることができる。変異処理される微生物は特に限定されないが、キサントフィル産生細菌であることが好ましい。また、変異株は、自然に起こる突然変異により生じたものでもよい。
本発明において上記細菌を培養し、キサントフィルを製造する方法を以下に説明する。
(1)菌体の生産方法
例えば、特開2010-172293の方法に従い、キサントフィル産生細菌を培養し、菌体(培養物)を作製する。
本発明において、細菌の培養に用いるキサントフィル生産用培地は、キサントフィル産生細菌が生育し、キサントフィルを生産するものであるならば何れでもよいが、炭素源、窒素源、無機塩類および必要に応じてビタミン類などを含有する培地が好ましく用いられる。
炭素源としては、例えば、グルコース、シュークロース、ラクトース、フルクトース、トレハロース、マンノース、マンニトールおよびマルトース等の糖類、酢酸、フマル酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、マロン酸およびピルビン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソブタノールおよびグリセノール等のアルコール類、大豆油、ヌカ油、オリーブ油、トウモロコシ油、ゴマ油およびアマニ油等の油脂類などが挙げられ、これらの炭素源の中から、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。中でも好ましくはグルコースまたはシュークロースが用いられる。培養前の培地(始発培地)に添加する量は炭素源の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1L当たり1~100g、好ましくは2~50gである。また、炭素源は始発培地に添加するだけでなく、培養途中に逐次的または連続的に追加供給することも好ましく行われる。
無機窒素源としては、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウムなどのアンモニウム塩類、硝酸カリウムなどの硝酸塩類、アンモニアおよび尿素等が挙げられ、これらの中から、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。添加量は窒素源の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1Lに対し0.1g~20g、好ましくは0.2~10gである。
有機窒素源としては、例えば、コーンスティープリカー(ろ過処理物を含む)、ファーマメディア、大豆粕、大豆粉、ピーナッツミール、ディスティラーズソルブル、乾燥酵母、グルタミン酸ソーダなどが挙げられ、これらの中から、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。添加濃度は窒素源の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、0~80g/L、好ましくは0~30g/Lである。無機窒素源および有機窒素源は、通常始発培地に添加するが、逐次的または連続的に追加供給してもよい。
無機塩類としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウムなどのリン酸塩類、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウムなどのマグネシウム塩類、硫酸鉄、塩化鉄などの鉄塩類、塩化カルシウム、炭酸カルシウムなどのカルシウム塩類、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどのナトリウム塩類、硫酸マンガンなどのマンガン塩類、塩化コバルトなどのコバルト塩類、硫酸銅などの銅塩類、硫酸亜鉛などの亜鉛塩類、モリブデン酸ナトリウムなどのモリブデン塩類、硫酸ニッケルなどのニッケル塩類、セレン酸ナトリウムなどのセレン塩類、ホウ酸およびヨウ化カリウム等が挙げられ、これらの中から、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。添加量は無機塩の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1Lに対し0.0001~15gである。無機塩類は通常始発培地に添加するが、逐次的または連続的に追加供給してもよい。
ビタミン類としては、例えば、シアノコバラミン、リボフラビン、パントテン酸、ピリドキシン、チアミン、アスコルビン酸、葉酸、ナイアシン、p-アミノ安息香酸、ビオチン、イノシトール、コリンなどが挙げられ、これらの中から、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。添加割合はビタミン類の種類により異なり適宜調整すれば足りるが、通常、培地1Lに対し0.001~1000mgであり、好ましくは0.01~100mgである。ビタミン類は通常始発培地に添加するが、逐次的または連続的に追加供給してもよい。
本発明において用いるキサントフィル生産用培地は、殺菌処理した後、細菌の培養に用いられる。殺菌処理は、当業者であれば、適宜行うことができる。例えば、適切な容器中の培地をオートクレーブで加熱滅菌することができる。あるいは、滅菌フィルターによりろ過滅菌してもよい。
培地のpHは、例えばpH2~12、例えばpH6~9に調整する。
本発明において、キサントフィル生産細菌は、上記のように調製されたキサントフィル生産用培地に植菌され、所定の条件で培養される。植菌は、試験管、フラスコあるいは発酵槽などを用いたシード培養により菌株を適宜増やし、得られた培養物をキサントフィル生産用培地に加えることで行う。シード培養に用いる培地は、キサントフィル生産菌が良好に増殖する培地であれば特に限定されない。
培養は、適切な培養容器において行われる。培養容器は培養容量により適宜選択することができ、例えば、試験管、フラスコ、発酵槽などをあげることができる。培養温度は15~80℃、好ましくは20~35℃、より好ましくは25℃~32℃であり、通常1日~20日間、好ましくは2~12日間、より好ましくは3~9日間、好気条件で培養を行う。好気条件としては、例えば、振とう培養または通気撹拌培養等が挙げられ、溶存酸素濃度を一定の範囲に制御することが好ましい。溶存酸素濃度の制御は、例えば、攪拌回転数、通気量、内圧などを変化させることにより行うことができる。溶存酸素濃度は好ましくは0.3~10ppm、より好ましくは0.5~7ppm、さらに好ましくは1~5ppmに制御する。
(2)菌体の取り出し
培養が終了した菌体培養液等の培養物から、公知技術に基づき、培地成分のみを取り除く。その後、ドラムドライヤーにて菌体を乾燥させてもよい。乾燥方法としては、ドラムドライヤーの他、スプレードライ、造粒型スプレードライ、凍結乾燥等を用いることができる。
上記のようにキサントフィル産生細菌を培養して得られる培養物から遠心分離、ろ過分離またはデカンテーションによりキサントフィルおよび菌体を含む濃縮物を分離する。分離工程は酸性条件下で行うこともできる(特開2010-172293号参照)。ここで、本明細書において、「培養物」は、培養上清、培養菌体、培養で得られた沈殿濃縮物(後述)、乾燥菌体または菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。
培養物は、そのまま分離操作を施すこともできるが、不要な成分の除去効果を高めるために水で培養物を希釈してから分離することも好ましく行われる。また、遠心分離、ろ過分離、デカンテーションなどの操作の最中に水を加えることも可能である。また、培養終了後、分離するまでの間に培養微生物を死滅させるために加熱殺菌を行うことも可能である。
本発明において、菌体の分離の方法は、沈降性に基づいて分離する方法あるいは粒子の大きさに基づいて分離する方法を利用することが、具体的には、遠心分離、ろ過分離またはデカンテーションを、単独または2種以上を組み合わせてもよい。また、1回遠心分離を行い、上澄み液に残ったキサントフィルをさらに回収するためにもう一度上澄み液だけを遠心分離に供するというように同種の分離を2回以上繰り返してもよい。遠心分離、ろ過分離またはデカンテーションは当業者であれば、公知の手法に基づき適宜実施することができる。
遠心分離に用いる遠心分離機は連続式でもバッチ式でもよいが、好ましくは連続式が用いられる。遠心分離機のタイプはいずれでもよい。遠心加速度は一般的な細菌の菌体分離に用いられるレベルならばいずれでもよいが、好ましくは500~100,000×g、より好ましくは1,000~50,000×gである。
ろ過分離に用いる膜ろ過装置は、スタティック型でも、クロスフロー型でも良いが、目詰まりを防止しやすいクロスフロー型が好ましい。使用される膜の材質は、例えば、ろ紙、ろ布、化学繊維、セラミックなどを例示することができる。また、珪藻土などをろ過助剤として用いてもよい。膜の形状としては、平膜、中空糸膜、筒型膜などが例示される。膜の孔径は、通常細菌を分離するのに適するものならばいずれでも良いが、好ましくは、0.001μm~100μm、より好ましくは0.01~10μm、さらに好ましくは0.05~1μmである。精密ろ過膜、限外ろ過膜が好ましく、精密ろ過膜が特に好ましく用いられる。
デカンテーションに用いる容器は何でもよいが、例えば、通常の円筒形タンクが用いられる。デカンテーションで培養物を静置する時間に、特に制限はないが、好ましくは、0.5h~48h、より好ましくは1h~24hである。
分離に供する培養物の温度は、通常行われる温度であれば特に制限はないが、好ましくは0℃~90℃、より好ましくは2℃~75℃、さらに好ましくは4℃~60℃である。
上記分離工程、すなわち遠心分離、ろ過分離またはデカンテーション、またはこれらの組み合わせによって培養物から得られた沈殿濃縮物には、キサントフィルと菌体が濃縮される。沈殿濃縮物が次の工程に適した粘度、水分含量になるように、分離速度、分離強度などを適宜調整することも好ましく行うことができる。分離工程におけるキサントフィルの濃縮物中への回収率は、キサントフィルの分解・劣化、装置内面などへの付着、上澄み液への漏洩などの影響により変化しうるが、好ましくは70~100%、より好ましくは80~100%、さらに好ましくは90~100%である。
得られた沈殿濃縮物を乾燥せずにキサントフィルを抽出回収し、必要に応じて精製し(後述の(3)、(4))、これをシス型化処理することにより、卵黄色調改善剤を製造することができる。
また、得られた沈殿濃縮物を乾燥することにより、キサントフィルを含む乾燥菌体を得ることができる。そして、得られた乾燥菌体をシス型化処理することにより、卵黄色調改善剤を製造することができる。あるいは、乾燥菌体からキサントフィルを抽出して、必要に応じて精製し(後述の(3)、(4))、これをシス型化処理することにより、卵黄色調改善剤を製造することができる。
肉色改善剤または酸化ストレス改善剤も、卵黄色調改善剤と同様に製造することができる。
沈殿濃縮物の乾燥方法は特に限定されないが、たとえば、噴霧乾燥、流動乾燥、噴霧造粒乾燥、噴霧造粒流動乾燥、回転式ドラム乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。また、培養物、沈殿濃縮物、または乾燥菌体の段階において、アルカリ試薬や界面活性剤などを用いた化学的処理、溶菌酵素や脂質分解酵素、タンパク質分解酵素などを用いた生化学的処理、あるいは超音波、粉砕、加熱などの物理的処理のうち一つまたは二つ以上の処理を行ってもよい。
(3)菌体からのキサントフィル粗抽出および(4)キサントフィル粗抽出物からの精製
抽出は、以下に示すように当業者であれば公知技術に基づき実施することができる。例えば、(i)~(iii)の方法が挙げられるが、これに限定されるわけではない。
(i)特許第4969370号に記載の方法による高温エタノール抽出。
(ii)50℃のアセトンに菌体を入れ、2時間懸濁(または常温6時間)したのち、ろ過。続いて、溶媒を除去し、乾燥させる(公知技術)。
(iii)常温クロロホルム溶液に菌体をいれ、3時間懸濁した後、ろ過。続いて、溶媒を除去し、乾燥させる(公知技術)。
キサントフィルを培養物から抽出する場合、抽出および洗浄に用いる溶媒は特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール類、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ヘキサンなどが挙げられる。当業者であれば、抽出溶媒、抽出温度などの抽出条件、洗浄条件を調整することにより、目的のキサントフィル種、例えば、アスタキサンチン、アドニキサンチン、アドニルビン等1つまたは組み合わせて抽出することもできる。
このように得られた抽出物をキサントフィルとしてそのまま用いることが可能であり、さらに精製して使用することもできる。抽出液からキサントフィル沈殿物を得る方法としては、たとえば、冷却、加熱、減圧濃縮、貧溶媒添加、酸・アルカリ薬剤など各種塩類の添加などを単独で、または適宜組み合わせて用いて沈殿させる方法が挙げられる。得られたキサントフィル沈殿物は、洗浄のため必要に応じて少量の低級アルコール類などの溶媒を用いて懸濁攪拌させてもよい。洗浄の手法は特に限定されないが、例えば、懸濁攪拌後に濾取する方法または沈殿物の上から通液する方法等が実用的に好ましい方法として挙げられる。
培養物、沈殿濃縮物、乾燥菌体、抽出液、精製物および各工程操作におけるキサントフィルの酸化分解を極力防止したい場合には、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気で行うことができる。また、医薬品や食品で用いられている酸化防止剤を選択して加えてもよい。あるいは、これらの処理を組み合わせてもよい。また、光によるキサントフィルの分解を極力防止するために、光を当てない条件下で行ってもよい。
上記のように得られる沈殿濃縮物、乾燥菌体、抽出物または精製物は、キサントフィルとしてそれぞれ単独で用いることもできるし、これらを任意の割合で混合して用いることもできる。
上記のように得られるキサントフィルの中には、アスタキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチンなどのキサントフィルが1種以上含まれる。
(5)シス型化処理
本発明の卵黄色調改善剤または本発明の家禽用飼料に含まれるキサントフィルは、前述のとおり、特に限定するものではないが、当業者であれば化学合成法または細菌や酵母等の微生物を用いた方法等の公知の方法で製造することができる。しかし、微生物等の天然物由来のキサントフィルは、一般的に、シス型キサントフィル含有率が十分ではない(例えば、4%以下)。また、市販のキサントフィルも、一般的にシス型キサントフィル含有率が十分ではない。したがって、本発明の卵黄色調改善剤または本発明の家禽用飼料に含まれるキサントフィルは、天然物由来あるいは市販のキサントフィルに、シス型キサントフィル含有率を調整するための処理(シス型化処理)を施したものとしてもよい。また、本発明の卵黄色調改善剤または本発明の家禽用飼料に含まれるキサントフィルは、天然物由来あるいは市販のキサントフィルに、シス型キサントフィル含有率を調整するための処理(シス型化処理)を施したキサントフィルを加えたものとしてもよい。
本発明において、例えばパナファード-AX(PANAFERD-AX、ENEOS株式会社)パナファード-P(PANAFERD-P、ENEOS株式会社)を市販のアスタキサンチンとして入手することができる。
例えば、(2)~(4)で得られた沈殿濃縮物、乾燥菌体または抽出若しくは精製したキサントフィルをシス型キサントフィル含有率を調整するための処理し、シス型キサントフィルの割合を調整したキサントフィルを得ることができる。
シス型化処理は、例えば、簡便な手法として熱処理を例示することができる。なお、シス型キサントフィル含有率を調整するための処理は、熱処理に限られず、光照射処理や、キサントフィルのシス異性化反応を促進する所定の触媒を用いた処理等であってもよい。さらに、シス型キサントフィル含有率を高度に高める手法としては、トランス型とシス型キサントフィルの溶解度の差を利用した分離法等を例示することができる。
熱処理は、暗所にて、窒素雰囲気化で行うことが好ましい。熱処理の温度は、30~300℃、40~280℃、または50~260℃が好ましい。熱処理の時間は、1分~24時間、2分~12時間、または3分~10時間が好ましい。熱処理は、例えば、ウォーターバス、オイルバス、またはオートクレーブの加熱装置等を用いて行うことができる。また、熱処理は、酢酸エチル、エタノール、またはアセトン等の溶媒中で実施してもよい。
熱処理には、例えば、(2)~(4)で得られた沈殿濃縮物や乾燥菌体を抽出処理することが含まれる。抽出処理の溶媒としては、酢酸エチル、エタノール、またはアセトン等を使用することができる。抽出温度は、30~300℃、40~280℃、または50~260℃が好ましい。抽出時間は、30分~24時間、1時間~12時間、または2時間~10時間が好ましい。抽出後、溶媒をエバポレーター等で除去し、大豆油、菜種油、またはオリーブ油等の植物油に懸濁させてもよい。
シス型アスタキサンチンは、例えば、以下の方法で製造することができる。(2)で得られた乾燥菌体を、アセトンを使用する室温抽出に供し、抽出液をエバポレーターで濃縮し、濃縮液が二層に分離したところで濃縮物にヘキサン-クロロホルム(1:1)混合液を加えて良く混和した後、分液操作により有機溶媒層を得る。前記有機溶媒層をエバポレーターで濃縮乾固する。濃縮乾固物をクロロホルムに溶解し、シリカゲルカラムにてアスタキサンチンを分離する。例えば、アセトン:ヘキサン(5:5)で溶出する画分を濃縮し、4℃で放置することで、トランス型を多く含むアスタキサンチン遊離体を結晶として得ることができる。そして、前記アスタキサンチン遊離体を、ジクロロメタンに溶解し、80℃で3時間加熱後、エバポレーターで溶媒を除去する。さらに、エタノールに再溶解し、フィルダーで分離し、再度エバポレーターで溶媒を除去する。このような処理により、シス型アスタキサンチンを多く含むアスタキサンチンを取得することができる。
上記のような熱処理等のシス型化処理により、キサントフィルの10~90%、例えば10~70%がシス型となる。このように調整された沈殿濃縮物、乾燥菌体、または抽出もしくは精製キサントフィルも本発明に含まれる。
本発明において、キサントフィル含有量およびシス型キサントフィル含有率は、逆相カラムや順相カラムを用いたHPLC(高速液体クロマトグラフィー)法により測定できる。定量は、クロマトグラム中における各キサントフィル異性体ピークのピーク面積に基づいてなされる。
例えば、アスタキサンチンを例に挙げると、アスタキサンチン全体量を100%とした場合におけるシス型アスタキサンチン含有率は、次の式により求めることができる。
Figure 0007497419000001
ここで「各シス異性体のピーク面積の合算値」は、各シス型アスタキサンチンのピーク面積を合算した値である。トランス型アスタキサンチンの含有率(%)は、100からシス型アスタキサンチンの含有率を引くことで求められる。
同様にキサントフィル全体量を100質量%とした場合におけるシス型キサントフィル含有率は、次の式により求めることができる。トランス型キサントフィルの含有率は、100からシス型キサントフィルの含有率を引くことで求められる。
Figure 0007497419000002
上記式において、「シス型キサントフィル」を「トランス型キサントフィル」に、「各シス異性体」を「オールトランス異性体」に読み替えることで、トランス型含有率を求めることもできる。
本発明の肉色改善剤、本発明の酸化ストレス改善剤または本発明の飼料に含まれるキサントフィルは、本発明の卵黄色調改善剤または本発明の家禽用飼料に含まれるキサントフィルと同様に製造することができる。
本発明の卵黄色調改善剤は、キサントフィルを含む組成物をシス型化処理することによって製造することができる。すなわち、本発明の卵黄色調改善剤は、シス型キサントフィルの含有率を10~90%、例えば10~70%に調整したキサントフィルを含む。
また、本発明の家禽用飼料は、一般に用いられる産卵家禽用飼料(基本飼料)に、シス型キサントフィルの割合を10~90%、例えば10~70%に調整したキサントフィルを1~50ppmの濃度となるように配合して製造することができる。本発明において、基本飼料は、特に限定されず、家禽類の飼料として当業者が通常使用するものを用いることができる。家禽類の飼料としては、種々の組成の配合飼料が知られているが、ほとんどの場合、トウモロコシを主体とする飼料が用いられる。トウモロコシを主体とする飼料の一例を表2に示す。
本発明の肉色改善剤または本発明の酸化ストレス改善剤は、シス型キサントフィルの含有率を10~90%、例えば10~70%に調整したキサントフィルを含む。また、本発明の飼料は、一般に用いられる家禽用飼料または魚介用飼料(基本飼料)に、シス型キサントフィルの割合を10~90%、例えば10~70%に調整したキサントフィルを1~50ppmの濃度となるように配合して製造することができる。
すなわち、本発明の卵黄色調改善剤および家禽用飼料、あるいは本発明の肉色改善剤または酸化ストレス改善剤および飼料は、キサントフィルを含有し、含有するキサントフィル全体、すなわち、シス型キサントフィルとトランス型キサントフィルの総重量を100%とした場合にその重量の10~90%、例えば10~70%がシス型キサントフィルである。本発明の卵黄色調改善剤または家禽用飼料、あるいは本発明の肉色改善剤もしくは酸化ストレス改善剤または飼料は、含有するキサントフィルの10~60%、10~50%、10~40%、10~30%、10~20%、20~70%、20~60%、20~50%、20~40%、20~30%、30~70%、30~60%、30~50%、30~40%、40~70%、40~60%、40~50%、50~70%、50~60%、または60~70%がシス型キサントフィルであることが好ましい。また、本発明の卵黄色調改善剤または家禽用飼料、あるいは本発明の肉色改善剤もしくは酸化ストレス改善剤または飼料は、含有するキサントフィルの10~80%、20~90%、20~80%、30~90%、30~80%、40~90%、40~80%、50~90%、50~80%、60~90%、60~80%、70~90%、70~80%または80~90%がシス型キサントフィルであることが好ましい。また、本発明の卵黄色調改善剤または家禽用飼料、あるいは本発明の肉色改善剤もしくは酸化ストレス改善剤または飼料は、含有するキサントフィルの10~80%、15~75%、18~70%、または20~60%がシス型キサントフィルであることがより好ましい。
本発明の卵黄色調改善剤および家禽用飼料、あるいは本発明の肉色改善剤もしくは酸化ストレス改善剤または飼料に含有されるキサントフィルは、好ましくはアスタキサンチン、アドニルビンおよびアドニキサンチンから選択される1以上を含み、より好ましくは、アスタキサンチンおよびアドニキサンチンから選択される1以上を含む。本発明の卵黄色調改善剤および家禽用飼料、あるいは本発明の肉色改善剤もしくは酸化ストレス改善剤または飼料にアスタキサンチン、アドニルビンまたはアドンキサンチンが含有される場合、それぞれ、その10~90%、例えば10~70%がシス型として存在する。例えば、本発明の卵黄色調改善剤および家禽用飼料、あるいは本発明の肉色改善剤もしくは酸化ストレス改善剤または飼料に含まれるアスタキサンチンは、その10~90%、例えば10~70%がシス型として存在する。
シス型キサントフィル含有率が上記範囲内の本発明の家禽用飼料を用いて生産される卵は、卵黄中のキサントフィル含有量、特にトランス型キサントフィルの含有率が高くなる。また、シス型キサントフィル含有率が上記範囲内の本発明の飼料を用いて生産される食肉は、キサントフィル含有量、特にトランス型キサントフィルの含有率が高くなる。
本発明の家禽用飼料または本発明の飼料1kg当たりに含まれるキサントフィルの量は、特に限定するものではないが、0.1~500mg/kgとすることができ、0.5~100mg/kgとすることがより好ましく、1mg~50mg/kg(1ppm~50ppm)とすることがさらに好ましい。また、本発明の家禽用飼料または本発明の飼料1kg当たりに含まれるキサントフィルの量は、1~40mg/kg、1~30mg/kg、1~20mg/kg、1~10mg/kg、2~40mg/kg、2~30mg/kg、2~20mg/kg、2~10mg/kg、3~40mg/kg、3~30mg/kg、3~20mg/kg、3~10mg/kg、5~40mg/kg、5~30mg/kg、5~20mg/kg、5~10mg/kgであってもよい。
本発明の家禽用飼料または本発明の飼料が、50ppm以下のキサントフィルを含むことは、コストの面で好ましい。
2.本発明の家禽卵および本発明の家禽卵の生産方法:本発明の食肉および本発明の食肉の生産方法
本発明の家禽用飼料で給餌された家禽から生産された卵は、本発明に含まれる。本明細書において、本発明の家禽卵は、本発明の家禽用飼料で給餌された家禽から生産される。
本発明の家禽卵は、卵黄中にキサントフィルを含有するとともに、含有するキサントフィル全体を100質量%とした場合に50~95%がトランス型(すなわち、5~50%がシス型)キサントフィルであって、卵黄のカラーファン値が13~18であることを特徴とする。
本発明の家禽用飼料で給餌された家禽から生産された卵の卵黄または血漿中においてトランス型キサントフィルの含有率が極めて高くなる理由は定かではない。実施例においてシス型に富むアスタキサンチンを経口投与した場合に、血漿中のアスタキサンチンの多くがトランス型として存在したことから、シス型アスタキサンチンは小腸から吸収された後、腸管細胞内や肝臓でトランス型に異性化されると考えられる。そして、トランス型は卵黄色調に影響すると考えられている。また、実施例において、シス型アスタキサンチンは、トランス型アスタキサンチンよりも経口投与または給餌された場合に血漿および家禽卵への吸収率が高かった。これらのことから、本発明の卵は、色調が改善するものと考えられる。
本発明の飼料で給餌された家禽または魚介類から生産された食肉は、本発明に含まれる。本明細書において、本発明の食肉は、本発明の飼料もしくは本発明の家禽用飼料で給餌された家禽または魚介類から生産される。本発明の別の態様において、本発明の飼料によってカロテノイドが血漿中に高含量で蓄積されるため、肉色の赤色度または黄色度が増大し、その結果、自然かつ食欲を喚起する肉色を実現することが可能である。
本発明の食肉は、対照と比較して食肉が改善されることを特徴とする。対照と比較して色調が改善されるとは、本発明の飼料または本発明の肉色改善剤で給餌されていない対照(家禽または魚介類の肉)または本発明の飼料または本発明の肉色改善剤で給餌される前の対照(家禽または魚介類の肉)と比較して、肉色の赤色度または黄色度が増大することを意味する。
本明細書において、肉色は、色彩色差計や分光速度計を用いて測定することにより、L*a*b*表色系で数値化することができる。ここで、L*は明度、a*は赤色度、b*は黄色度を示す。本発明により生産された家禽または魚介類の肉色は、対照(例えば、通常の飼料で飼育された家禽または魚介類の肉)に比較して高い赤色度および黄色度を示し、その結果、より自然な肉色を呈する。
また、本発明の別の態様において、本発明の家禽用飼料または本発明の飼料で家禽または魚介類を給餌することにより、家禽または魚介類の体内にカロテノイドが高含量で蓄積されるため、家禽または魚介類の体内の酸化ストレスを改善させることが可能である。本明細書において、酸化ストレスの改善とは、対照と比較して酸化ストレスが低いことまたは酸化ストレスが付加される速度が遅いことを意味する。酸化ストレスの程度は、例えば、抗酸化活性により測定することができる。
さらに、本発明の別の態様において、本発明の家禽用飼料または本発明の飼料で家禽または魚介類を給餌することにより、家禽または魚介類の体内にカロテノイドが高含量で蓄積されるため、肉の保管時や調理時の酸化劣化を抑制することが可能である。また、酸化ストレスが軽減され得るため、健康維持効果が期待される。そのため、本発明の酸化ストレス改善剤はヒトに適用することもできる。ヒトに適用する場合は、本発明の酸化ストレス改善剤に添加剤等を配合することにより、健康食品またはサプリメントとすることができる。健康食品またはサプリメントの用法および用量は、当業者であれば適宜設定することができる。
さらに、本発明によりカロテノイド量が増大した家禽または魚介類では、カロテノイド量、特にアスタキサンチンの含有量の増加に伴い抗酸化活性が増大する。抗酸化活性は、脂質過酸化度またはビタミンE含量によって測定することができる。脂質過酸化度が低いほど抗酸化活性が高いことを示す。したがって、本発明において、脂質過酸化度は、対照の家禽または魚介類における脂質過酸化度に比べて低減する。また、ビタミンE含量が高いほど抗酸化活性が高いことを示す。したがって、ビタミンE含量は、対照家禽におけるビタミンE含量に比べて増大する。脂質過酸化度は、例えば、比色定量法により試料中のマロンジアノレデヒド(MDA)含量を測定することで求めることができる(Azada MAK, et al., Molecular and Integrative Physiology 155, 401-406. 2010.)。当業者であれば、公知の方法に基づき、適宜脂質過酸化度を測定することができる。ビタミンEの量も、公知の方法(例えば、Faustmanら(1989)の方法)により定量することができる。本明細書において、ビタミンEには、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロールおよびδ-トコフェロール並びにα-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノールおよびδ-トコトリエノールが含まれ、ビタミンE含量は、これらの1以上の含量を測定することにより求めることもできる。
本発明の家禽用飼料または本発明の飼料の給餌期間は、特に限定するものではないが、4日間以上とすることができ、10日間以上とすることがより好ましく、21日間以上とすることがさらに好ましい。本発明の家禽用飼料または本発明の飼料の給餌期間が4日間以上であれば、卵黄に含まれるキサントフィルのトランス型キサントフィルの含有率が高い(例えば、50~95%以上)家禽卵を得ることができる。また、本発明の家禽用飼料の給餌期間が4日間以上であれば、卵黄のカラーファン値が高い、例えば13~18の家禽卵を得ることができる。
実施例において、卵黄中のキサントフィル含有量は、本発明の家禽用飼料または本発明の飼料の給餌期間が4日から21日までは漸次高くなった。すなわち、家禽用飼料または飼料の給餌期間が4日以上、7日以上、14以上、好ましくは、21日間以上であれば、卵黄中のキサントフィル含有量が高い家禽卵または食肉を得ることができる。
ある態様において、本発明の家禽卵は、卵黄中に含まれるキサントフィル全体を100%とした場合に50~95%がトランス型である。本明細書において、キサントフィル全体を100%とした場合のトランス型キサントフィル含有率(%)を、単にトランス型キサントフィル含有率ともいう。同様に、本明細書において、キサントフィル全体を100%とした場合のシス型キサントフィル含有率(%)を、単にシス型キサントフィル含有率ともいう。
卵黄中のキサントフィル含有量について、本発明の家禽卵は、アスタキサンチン、アドニルビンおよびアドニキサンチンの含有量の合計は、3.0ppm以上であることが好ましく、3.5ppm以上であることがより好ましく、5.0ppm以上であることがさらに好ましい。
本発明の家禽卵は、卵黄中にキサントフィルを含み、前記キサントフィルのトランス型キサントフィル含有率が50~95%であり、好ましくは60~95%または65~95%である。また、別の態様において、卵黄中のトランス型アスタキサンチン含有率は、好ましくは70、71、72、73、74、75、76、77、78、79または80%以上である。また、別の態様において、卵黄中のトランス型アドニルビン含有率は、好ましくは、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74または75%以上である。また、別の態様において、卵黄中のトランス型アドニキサンチン含有率は、好ましくは、86、87、88、89、90、91、92、93、94または95%以上である。
なお、本発明の家禽卵において、卵黄中のキサントフィル含有量および卵黄中に含まれるトランス型キサントフィル含有率は、例えば、家禽に給餌する飼料に含まれるキサントフィルのシス型キサントフィル含有率や飼料の給餌期間や家禽の飼育条件を適宜設定することにより変更調整することができる。当業者であれば、本発明の範囲で飼料、給餌条件、飼育条件等を適宜検討することにより、本発明の家禽卵を取得することができる。
鶏卵等の卵黄色は、カラーファン(CF)値による測定が、当分野において最も一般的な卵黄色の評価方法である。カラーファン(CF)値の測定には、JA全農たまご社の全農卵黄カラーチャート(Zen-Noh Yolk Colour Chart:CF)やロッシュ社のヨークカラーファン(Roche Yolk Color Fan: RYCF)が一般に用いられ、電子的に色調を判定する機器(例えばエッグマルチテスターEMT-7300(JA全農たまご社)等)による自動的測定によってカラーファン値を測定することも行われている。本発明において、カラーファン(CF)値は、エッグマルチテスターEMT-7300(JA全農たまご社)等)により測定された値を意味する。カラーファンの値は、1~18の範囲である。
本発明の家禽卵は、卵黄のカラーファン値が13~18であることを特徴とする。本発明の家禽卵のカラーファン値は、好ましくは13~17、13~16、13~15、13~14.5、13.5~14.5の範囲である。
また、卵黄色は分光測色計によって測定されることもある。分光測色計は、ミノルタCR-200、CM-700d等の市販の装置を使用することができる。カラーファン(CF)値と分光測色計の測定値とは一致せず、例えばCF値10の卵黄のa値(赤色)は13、CF値12の卵黄のa値は15、CF値14の卵黄のa値は19程度である。これは飼料成分や家禽の品種、色差計の測定方法等によって値が変わることがあるためであり、分光測色計による測定値とCF値との明確な対応付けは未だなされていない。従って、当業者にとって、CF値が最も共通に理解される客観的測定値であるといえる。
本発明の家禽卵は、15~21の範囲のa値を示し得る。
以下、実施例によりさらに具体的に説明する。
1.キサントフィルの製造およびシス型化処理(調整キサントフィルの製造)(実施例1~4)
(1)キサントフィル(アスタキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン)の製造
特開2012-158569号公報に記載の方法に準じて、パラコッカス属E-396株を培養し、乾燥することで乾燥菌体(乾燥菌体中にアスタキサンチン3%、アドニルビン0.5%、アドニキサンチン0.5%、総カロテノイド4%含有)を得た。
(2)シス型化処理(調整キサントフィルの製造)(実施例1~4、比較例2)
(1)で得られた乾燥菌体を原料とし、酢酸エチルを用いて表1に記載の条件で抽出を行い、エバポレーターで溶媒除去後、大豆油に懸濁させ、シス型化キサントフィルを得た。各サンプルのシス型化アスタキサンチン含有率は3.9%~50.6%であった。
Figure 0007497419000003
2.調整オレオレジンの製造
リコピンは、カロテノイドの一種であり、キサントフィルには含まれない。実施例においては、リコピンを比較の一つとして用いる。
リコピン含有率15質量%のトマトオレオレジン(ライコレッド株式会社製、Lyc-O-Mato(登録商標)15%)を入手した(以下、「無調整オレオレジン」という)。無調整オレオレジンに含まれるリコピンは、シス型リコピン含有率が5.5質量%であった(比較例4)。
無調整オレオレジンを所定の温度で熱処理して、リコピンのシス型リコピン含有率を調整したオレオレジン(以下、「調整オレオレジン」という)を得た。熱処理は、暗所にて、窒素雰囲気下で1時間行った。130℃の熱処理により、シス型リコピン含有率が35.1質量%の調整オレオレジンを得た(比較例3)。
3.家禽用飼料(シス型キサントフィル富化飼料)の製造
「1」で得られた調整キサントフィル(実施例1~4、比較例2)または「2」で得られた調整オレオレジン(比較例4)もしくは無調整オレオレジン(比較例3)を、以下の表2に示される成分を有する飼料(比較例1)に添加して、表3に示される家禽用飼料を製造した。
Figure 0007497419000004
Figure 0007497419000005
実施例5~8は、アスタキサンチン、アドニルビンおよびアドニキサンチンがそれぞれ8μg/g、1.4μg/gおよび1.2~1.3μg/gとなるように、調整キサントフィル(実施例1~4)を表2の飼料に添加した。
比較例5は、表2に示される成分を有する飼料(比較例2)である。すなわち、いずれのキサントフィルまたはオレオレジンを加えていない。
比較例6は、アスタキサンチン、アドニルビンおよびアドニキサンチンがそれぞれ8μg/g、1.3μg/gおよび1.5μg/gとなるように、調整キサントフィル(比較例2)を表2の飼料に添加した。
比較例7は、リコピンが200μg/gとなるように、調整オレオレジン(比較例3)を表2の飼料に添加した。
比較例8は、リコピンが200μg/gとなるように、無調整オレオレジン(比較例4)を表2の飼料に添加した。
実施例5~8および比較例5~8の飼料に含まれるアスタキサンチン、アドニキサンチンおよびリコピンのシス型含有率を表3に示す。実施例5、6、7および8の飼料に含まれるアドニルビンのシス型含有率は、それぞれ20.5%、31.0%、39.8%、50.2%であった。
4.キサントフィル含有鶏卵の生産
実施例5~8および比較例5~6の飼料を、91週齢の産卵鶏(ジュリアライト、各10羽)にそれぞれ給餌して、鶏卵を生産した。飼料を給餌開始してから4日目、7日目、14日目、21日目に採取された鶏卵について、卵黄中のキサントフィル含有量とシス型キサントフィル含有率を、順相HPLC分析によりそれぞれ測定した。比較例7~8についても同様に鶏卵を生産させ、卵黄中のリコピン含有量とシス型リコピン含有率を、順相HPLC分析によりそれぞれ測定した。実施例5~8または比較例5~8の飼料を給餌した産卵鶏から得られた鶏卵をそれぞれ実施例9~12または比較例9~12とした。
5.卵黄中のキサントフィルまたはリコピン含有量の測定方法およびシス型キサントフィルまたはシス型リコピン含有率の測定方法
上記のようにして生産された鶏卵の卵黄1gを50mlのアセトンに懸濁した。アセトンに懸濁した卵黄を、氷温にて、15分間超音波処理して、卵黄からキサントフィルおよびリコピンを抽出した。抽出物を、キサントフィルの場合は5~10mlの酢酸エチルに、リコピンの場合は5~10mlのヘキサンに溶解し、0.2μmのPTFEフィルター(アドバンテック東洋株式会社製)に通し、HPLC用のサンプルを得た。得られたサンプルは、以下の条件で順相HPLC分析に供した。
[キサントフィル順相HPLC分析の条件]
装置:高速液体クロマトグラフProminence システム(株式会社島津製作所社製)
カラム:Lunaシリカゲルカラム(長さ:150mm×1本、内径:4.6mm、粒子径:5μm、Phenomenex株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:ヘキサン:酢酸エチル:アセトン(75:23:2、v/v/v)
流速:1.2mL/min
検出波長:470nm
[リコピン順相HPLC分析の条件]
装置:高速液体クロマトグラフProminence システム(株式会社島津製作所社製)
カラム:Nucleosil 300‐5(長さ:250mm×3本、内径:4.6mm、粒子径:5μm、ジーエルサイエンス株式会社製)
カラム温度:35℃
移動相:ヘキサン(0.075% DIPEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン)含有)
流速:1.0mL/min
検出波長:460nm
キサントフィル含有量およびシス型キサントフィル含有率は、順相HPLC分析によって得られたクロマトグラム中のピーク面積に基づいて算出した。リコピンの含有量およびシス型リコピンの含有率も、キサントフィルと同様に算出および解析した。
6.卵黄中のキサントフィルおよびリコピン含有量
上記「5」で測定した卵黄中のアスタキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチンおよびリコピンの含有量を表4に示す。
Figure 0007497419000006
実施例9~12および比較例10の卵黄では、卵黄中のキサントフィル含有量が、給餌4日目~21日目にかけて上昇した。
実施例9~12および比較例10の結果を比較すると、比較例10に比べて実施例9~12では卵黄中のキサントフィルの含有量が高い(表4)。
実施例5~8と比較例2の飼料は、キサントフィルの含有量はほぼ同じであるが、シス型キサントフィル含有率は実施例5~8の方が比較例2よりも高い(表3)。
これらのことから、飼料に含まれるシス型キサントフィルの含有率が高いと、当該飼料を給餌された家禽から生産される卵中の卵黄に含まれるキサントフィルの含有量が高くなることが示された。
また、実施例5~8の飼料を給餌して取得された実施例9~12の卵を比較すると、飼料中のシス型キサントフィルの含有率依存的に、当該飼料を給餌された家禽から生産される卵中の卵黄に含まれるキサントフィルの含有量が増加することが示された。
また、リコピン200μg/gを含む比較例7および8の飼料を給餌された鶏から生産される比較例11および12の卵について、卵黄中のリコピンの含有量はそれぞれ4.23μg/gおよび1.76μg/gであった。一方、実施例5~8の飼料中のキサントフィル含有量(アスタキサンチン、アドニルビンおよびアドニキサンチンの含有量の合計)は10.6~10.7μg/gであり、比較例7~8の飼料中のリコピン含有量(200μg/g)に比べ約1/20量であるにも関わらず、実施例9~12の卵中の卵黄のキサントフィル含有量(アスタキサンチン、アドニルビンおよびアドニキサンチンの含有量の合計)は4.01~10.05μg/gであった。キサントフィルは、リコピンに比較して卵黄中に含まれやすいことが示された。
7.卵黄中のトランス型キサントフィル含有率およびシス型キサントフィル含有率
上記「5」で測定した実施例9~12および比較例9~12の卵の卵黄中のアスタキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチンおよびリコピンについて、トランス型含有率を表5に示し、シス型含有率を表6に示す。
Figure 0007497419000007
Figure 0007497419000008
実施例9~12は、トランス型キサントフィル含有率が66.7%~92.4%であった。一方、比較例7および8は、トランス型リコピン含有率が16%および23%であった。シス型のキサントフィルとシス型のリコピンは、産卵鶏の体内における挙動が異なり、鶏卵に含まれるシス-トランス異性体の比率が異なることが示された。
8.卵黄色
実施例5~8または比較例5~6の飼料をそれぞれ給餌開始後21日目の鶏卵(各10個)について、エッグマルチテスターEMT-7300(JA全農たまご社)を用いてカラーファン値を測定した。コントロールは、飼育35日目の鶏卵(表3に示す飼料による給餌終了後1週間目の鶏卵、すなわち、表3に示す飼料による給餌開始後29~35日目は比較例5の飼料で給餌した産卵鶏から得られた鶏卵)の測定結果を用いた。比較例7~8についても、類似の評価を行った。測定結果を表7に示す。なお、表7中の以下の項目は次のものを示す。
カラーファン値:エッグマルチテスターEMT-7300(JA全農たまご社)を用いて決定される卵黄色の値
値:コニカミノルタ社製の分光測色計CM-700dを用いて測定された値
Figure 0007497419000009
実施例9~12および比較例10の結果を比較すると、比較例10に比べて実施例9~12は卵黄中のカラーファン値およびa値のいずれも高かった(表7)。
具体的には、実施例5の飼料(シス型アスタキサンチン含有率13.9%、シス型アドニルビン含有率20.5%、シス型アドニキサンチン含有率12.5%)、実施例6の飼料(シス型アスタキサンチン含有率27%、シス型アドニルビン含有率31.0%、シス型アドニキサンチン含有率27.2%)、実施例7の飼料(シス型アスタキサンチン含有率36.8%、シス型アドニルビン含有率39.8%、シス型アドニキサンチン含有率35.6%)、または実施例8の飼料(シス型アスタキサンチン含有率50.6%、シス型アドニルビン含有率50.2%、シス型アドニキサンチン含有率46.6%)を給餌して生産される鶏卵(それぞれ実施例9、10、11または12)は、比較例6の飼料(シス型アスタキサンチン含有率3.9%、シス型アドニキサンチン含有率4.5%)を給餌して生産される比較例10の鶏卵に比して、卵黄のカラーファン値が1.4~2.1も高かった。
実施例5~8と比較例6の飼料は、キサントフィルの含有量がほぼ同じであり、その中のシス型の含有率は比較例6に比べて実施例5~8が高いこと(表3)を考慮すると、飼料に含まれるシス型キサントフィルの含有率が高いと、当該飼料を給餌された家禽から生産される卵中の卵黄のカラーファン値またはa値が高くなり、卵黄色調が改善されることが示された。
また、実施例5~8の飼料を給餌して取得された実施例9~12の卵中の卵黄の結果を比較すると、飼料中のシス型キサントフィルの含有率依存的に、当該飼料を給餌された家禽から生産される卵中の卵黄色調が改善されることが示された。
また、リコピン200μg/gを含む比較例7および8の飼料を給餌された産卵鶏から生産される比較例11および12の卵に比べて、キサントフィルを含む実施例9~12の鶏卵の方が、カラーファン値が高かった。キサントフィルは、リコピンに比較して卵黄色調を改善効果が高いことが示された。
9.アスタキサンチン異性体の吸収性評価試験<実験方法>
鶏に対して、トランス型アスタキサンチンを98.8%含み、かつシス型アスタキサンチンを1.2%含むアスタキサンチン((all-E)-AST)を5mg、またはトランス型アスタキサンチンを17.6%含み、かつシス型アスタキサンチンを82.4%含むアスタキサンチン((Z)-AST)を5mg経口投与し、投与6時間後の血漿中アスタキサンチン濃度を分析した。
(all-E)-ASTの製法
上記実施例の項目の1.(1)に記載の乾燥菌体を、アセトンを使用する室温抽出に供し、抽出液をエバポレーターで濃縮し、濃縮液が二層に分離したところで濃縮物にヘキサン-クロロホルム(1:1)混合液を加えて良く混和した後、分液操作により有機溶媒層を得た。前記有機溶媒層をエバポレーターで濃縮乾固した。濃縮乾固物をクロロホルムに溶解し、シリカゲルカラムにてアスタキサンチンを分離した。アセトン:ヘキサン(5:5)で溶出する画分を濃縮し、4℃で放置することで、アスタキサンチン遊離体を結晶として得た。
(Z)-ASTの製法
上記方法で得られた(all-E)-ASTをジクロロメタンに溶解し、80℃で3時間加熱した。エバポレーターで溶媒を除去した後、さらにエタノールに再溶解し、フィルダーで分離し、再度エバポレーターで溶媒を除去し、大豆油に懸濁させ、(Z)-ASTを得た。
得られた(all-E)-ASTまたは(Z)-ASTを、10mg/mLの濃度になるように大豆油に懸濁し、懸濁液0.5mLを鶏(Lohmann Julia、各5羽)に経口投与した。コントロール区には、0.5mLの大豆油を鶏(Lohmann Julia、5羽)に経口投与した。
投与6時間後に鶏から血液を採取して血液試料を得た。血液試料(3~4mL)にヘパリンを0.2mL添加し、3000rpmで5分間遠心分離し、血漿(上清)をアスタキサンチン含有量の測定に用いた。
血漿中のアスタキサンチン含有量は、上記「5」のキサントフィル順相HPLC分析の条件と同様の方法で測定した。
<結果>
結果を図1に示す。(Z)-AST投与区では、血漿中アスタキサンチン濃度が(all-E)-AST投与区の約6倍高かった。さらに、血漿中アスタキサンチン中のシス型含有率も、(Z)-AST投与区の方が(all-E)-AST投与区よりも約5倍高く、血漿中のシス型含有率は(Z)-AST投与区(シス型含有率:82.4%)では33.0%であった。
また、血漿中のトランス型アスタキサンチン濃度は、(Z)-AST投与区で1.25μg/g(1.86μg/g×67%)であり、(all-E)-AST投与区で0.31μg/g(0.33μg/g×94%)であった。
この結果から、シス型アスタキサンチンは経口投与された場合に、トランス型アスタキサンチンに比べて、血漿中に吸収されやすいことが示される。
さらに、(Z)-AST投与区(シス型含有率:82.4%)では、血漿中のシス型含有率が33.0%であった。すなわち血漿中のアスタキサンチンは約70%がトランス型として存在していたことから、シス型アスタキサンチンは小腸から吸収後、腸管細胞中や肝臓でトランス型に異性化されることが示唆される。
また、経口シス型アスタキサンチンは高い血中移行率を有し、血中において、より安定なトランス型アスタキサンチンとして多く存在することから、アスタキサンチンの組織蓄積性の向上が期待される。
また、血漿における上記結果から、シス型アスタキサンチンにより肉の色味を改善し得ることが示唆される。また、アスタキサンチンは抗酸化効果を有することから、シス型アスタキサンチンを用いて、肉の色調維持あるいは褐色化の抑制、肉の保管時や調理時の酸化劣化の低減、家禽の酸化ストレスの低減などの効果を期待することができる。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または本質から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
本発明により、キサントフィルを含み、前記キサントフィルの10~90%、例えば10~70%がシス型であることを特徴とする、卵黄色調改善剤が提供される。また、本発明の別の態様において、前記卵黄色調改善剤を含む、家禽用飼料が提供される。
本発明の卵黄色調改善剤を産卵家禽用の一般飼料に含有させた飼料または前記家禽用飼料で家禽を給餌すると、卵黄色調が改善された卵を生産することができる。したがって、本発明は、良好な卵黄色を有する家禽卵およびその生産方法を提供することができる。
また、本発明の別の態様において、キサントフィルを含み、前記キサントフィルの10~90%、例えば10~70%がシス型であることを特徴とする、肉色改善剤もしくは酸化ストレス改善剤、または前記肉色改善剤もしくは酸化ストレス改善剤を含む飼料が提供される。
本発明の肉色改善剤を家禽または魚介類の一般飼料に含有させた飼料で家禽または魚介類を給餌すると、色調が改善された食肉を生産することができる。
本発明の酸化ストレス改善剤を家禽または魚介類用の一般飼料に含有させた飼料で家禽または魚介類を給餌すると、家禽または魚介類の酸化ストレスが軽減され得るので、家禽または魚介類の保管時や調理時の酸化劣化の抑制や健康維持効果が期待される。

Claims (15)

  1. キサントフィルを含み、前記キサントフィルの10~90%がシス型であり、
    前記キサントフィルがアスタキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチンの少なくともいずれか1種であることを特徴とする、家禽用の卵黄色調改善剤。
  2. 前記キサントフィルの10~70%がシス型であることを特徴とする、請求項1に記載の卵黄色調改善剤。
  3. キサントフィルの濃度が1~50ppmとなるように請求項1または2に記載の卵黄色調改善剤を含み、前記キサントフィルの10~90%がシス型であることを特徴とする、家禽用飼料。
  4. キサントフィルを1~50ppmの濃度で含み、前記キサントフィルの10~90%がシス型であり、
    前記キサントフィルがアスタキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチンの少なくともいずれか1種であることを特徴とする、家禽用飼料。
  5. 前記キサントフィルの10~70%がシス型であることを特徴とする、請求項3または4に記載の家禽用飼料。
  6. キサントフィルを1~50ppmの濃度で含み、前記キサントフィルの10~90%がシス型であり、前記キサントフィルがアスタキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチンの少なくともいずれか1種であることを特徴とする家禽用飼料で家禽を給餌することを含む、家禽卵の生産方法
  7. 前記キサントフィルがアスタキサンチンあることを特徴とする、請求項1または2に記載の卵黄色調改善剤。
  8. 前記キサントフィルがアスタキサンチンあることを特徴とする、請求項3~5のいずれか1項に記載の家禽用飼料。
  9. 前記キサントフィルがアスタキサンチンあることを特徴とする、請求項6に記載の家禽卵の生産方法
  10. 前記家禽が、鶏、ガチョウ、アヒル、またはウズラである、請求項3~5および8のいずれか1項に記載の家禽用飼料
  11. 前記家禽が、鶏、ガチョウ、アヒル、またはウズラである、請求項6または9に記載の家禽卵の生産方法。
  12. キサントフィルを含み、前記キサントフィルの10~90%がシス型であり、
    前記キサントフィルがアスタキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチンの少なくともいずれか1種であることを特徴とする、家禽用の肉色改善剤
  13. 前記キサントフィルがアスタキサンチンあることを特徴とする、請求項12に記載の家禽用の肉色改善剤。
  14. キサントフィルを含み、前記キサントフィルの10~90%がシス型であり、
    前記キサントフィルがアスタキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチンの少なくともいずれか1種であることを特徴とする、家禽用の酸化ストレス改善剤。
  15. 前記キサントフィルがアスタキサンチンであることを特徴とする、請求項14に記載の家禽用の酸化ストレス改善剤。
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