JP7495138B2 - ステロイド受容体コアクチベーター-3の小分子刺激因子ならびに心臓保護剤及び/または血管再生剤としてのそれらの使用方法 - Google Patents

ステロイド受容体コアクチベーター-3の小分子刺激因子ならびに心臓保護剤及び/または血管再生剤としてのそれらの使用方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
この出願は、2018年8月29日に出願された米国仮出願第62/724,281号及び2019年3月28日に出願された第62/825,358号に対する優先権を主張し、これらはそれらの全体において参照により本明細書に組み込まれる。
心筋梗塞(MI)誘発性心不全の決定要因は、筋細胞の喪失、炎症、線維症、及び心臓駆出率の大うつ病に関連する心臓組織の進行性リモデリングである。心臓機能を改善するための有望な治療アプローチの1つは、機能的な心筋を直接保存することにより、in situで心臓組織の有害なリモデリングを防止することである。梗塞後の心臓機能を維持するための主なハードルには、組織の破壊と、組織の再プログラミング及び修復を促進するように設計された治療への障壁となる成人の心臓の限られた制限された再生能力とが含まれる。
ステロイド受容体コアクチベーター-3(SRC-3)の小分子刺激因子ならびに心臓保護剤及び/または血管再生剤としてのそれらの使用方法が本明細書に記載される。本明細書に記載される化合物は、心筋梗塞後の心臓の保護及び修復ならびに血管再生を促進するために有用である。方法は、本明細書に記載される化合物を対象に投与することを含む。
小分子SRC-3刺激因子には、以下の式の化合物、
Figure 0007495138000001
及びその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが含まれる。これらの化合物において、A、A、A、A、A、A、A、A、A、及びA10は各々独立して、CR及びNから選択され、各Rは、水素、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C1-6アルキル、かつRは、置換もしくは非置換シクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルである。任意に、化合物は以下の式を有し、
Figure 0007495138000002
式中、m及びnは各々独立して、1、2、3、4、または5である。
任意に、化合物は以下の式を有し、
Figure 0007495138000003
式中、m及びnは各々独立して、1、2、3、または4である。
本明細書に記載の化合物において、Rは、任意に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルからなる群から選択される。任意に、化合物は、
Figure 0007495138000004
からなる群から選択される。
任意に、化合物は、
Figure 0007495138000005
からなる群から選択されるか、
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。
有効量の以下の式の化合物、
Figure 0007495138000006
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを対象に投与することを含む、対象における虚血性損傷(例えば、心筋梗塞または脳卒中)を治療するための方法もまた本明細書に記載される。この方法での使用のための化合物において、A、A、A、A、A、A、A、A、A、及びA10は各々独立して、CR及びNから選択され、各Rは、水素、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、Xは、NR、CR、またはOであり、R、R、及びRは各々独立して、水素、置換もしくは非置換C1-6アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、及び置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される。任意に、化合物は、
Figure 0007495138000007
からなる群から選択される。
任意に、方法は、心筋梗塞に罹患したか、または脳卒中もしくは中枢神経系への他の血管障害に罹患した対象を選択することをさらに含み得る。
心筋梗塞に罹患した対象における心筋梗塞サイズを低減する方法が本明細書にさらに記載される。方法は、有効量の以下の式の化合物、
Figure 0007495138000008
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを対象に投与することを含み得る。本明細書に記載される方法での使用のための化合物において、A、A、A、A、A、A、A、A、A、及びA10は各々独立して、CR及びNから選択され、各Rは、水素、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、Xは、NR、CR、またはOであり、R、R、及びRは各々独立して、水素、置換もしくは非置換C1-6アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、及び置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される。任意に、化合物は、
Figure 0007495138000009
からなる群から選択される。
任意に、心筋梗塞サイズは、心筋梗塞に罹患した未治療の対象における心筋梗塞サイズと比較して、少なくとも5%(例えば、少なくとも15%)低減される。
心筋梗塞または脳卒中に罹患した対象において、心筋細胞の喪失を予防もしくは低減し、心臓血管灌流を改善し、及び/または中枢神経系血管灌流を改善する方法もまた本明細書に記載され、有効量の以下の式の化合物、
Figure 0007495138000010
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを対象に投与することを含む。この方法での使用のための化合物において、A、A、A、A、A、A、A、A、A、及びA10は各々独立して、CR及びNから選択され、各Rは、水素、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、Xは、NR、CR、またはOであり、R、R、及びRは各々独立して、水素、置換もしくは非置換C1-6アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、及び置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される。任意に、化合物は、
Figure 0007495138000011
からなる群から選択される。
対象における心臓血管機能及び/または中枢神経系血管機能を改善するための方法もまた本明細書に記載され、有効量の以下の式の化合物、
Figure 0007495138000012
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを対象に投与することを含む。この方法での使用のための化合物において、A、A、A、A、A、A、A、A、A、及びA10は各々独立して、CR及びNから選択され、各Rは、水素、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、Xは、NR、CR、またはOであり、R、R、及びRは各々独立して、水素、置換もしくは非置換C1-6アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、及び置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される。任意に、化合物は、
Figure 0007495138000013
からなる群から選択される。
任意に、対象は、虚血性損傷(例えば、心筋梗塞または脳卒中)に罹患している。任意に、対象は、高齢の対象である。
対象において創傷治癒を促進する方法もまた本明細書に記載され、有効量の以下の式の化合物、
Figure 0007495138000014
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを対象に投与することを含む。この方法での使用のための化合物において、A、A、A、A、A、A、A、A、A、及びA10は各々独立して、CR及びNから選択され、各Rは、水素、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、Xは、NR、CR、またはOであり、R、R、及びRは各々独立して、水素、置換もしくは非置換C1-6アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、及び置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される。任意に、化合物は、
Figure 0007495138000015
からなる群から選択される。
任意に、対象は、虚血性損傷(例えば、心筋梗塞または脳卒中)に罹患している。任意に、対象は、高齢の対象である。
有効量の以下の式の化合物、
Figure 0007495138000016
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを対象に投与することを含む、対象における肥大型心筋症を治療または予防するための方法が本明細書にさらに記載される。この方法での使用のための化合物において、A、A、A、A、A、A、A、A、A、及びA10は各々独立して、CR及びNから選択され、各Rは、水素、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、Xは、NR、CR、またはOであり、R、R、及びRは各々独立して、水素、置換もしくは非置換C1-6アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、及び置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される。任意に、化合物は、
Figure 0007495138000017
からなる群から選択される。
任意に、対象は、虚血性損傷(例えば、心筋梗塞または脳卒中)に罹患している。
1つ以上の実施形態の詳細は、図面及び以下の説明において述べられる。他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、ならびに請求項から明らかになる。
正常なヒトの心臓(左パネル)及び筋肉組織(右パネル)におけるNCOA3の発現を示すグラフを含む。 採取前にアデノ-SRC3を注射したマウスの心臓の画像である。 Aは、心筋梗塞(MI)後の薬物治療及び心エコー図測定の実験的タイムラインを示す。Bは、心筋梗塞後のマウスの心臓重量及び脛骨の長さの比(HW/TL)を示すグラフである。Cは、心筋梗塞後のマウスにおけるMCB-613処置の効果を示すグラフである。Dは、心筋梗塞後に採取され、コラーゲン線維を視覚化するために染色されたマウスの心臓の画像を含む。 心筋梗塞後のマウスにおける化合物10-1処置の効果を示すグラフである。 成体マウスの心臓における非筋細胞の包括的な単一細胞転写プロファイリングを示すプロットである。 心筋梗塞後のMCB-613で処置した心臓に存在する異なる細胞型を示すグラフである。 内皮の特徴を有する3つの細胞クラスターのベン分析である。 心筋梗塞後のマウスの心臓における長鎖脂肪酸のメタボロミクスを示すヒートマップである。 心筋梗塞後のマウスの心臓におけるメチルグルタリルカルニチンのメタボロミクスを示すヒートマップである。 上部パネルは、MCB-613がSRCの固有の転写活性を選択的に刺激することを示す。中心パネルは、化合物10-1がSRCの固有の転写活性を選択的に刺激することを示す。下部パネルは、化合物10-2がSRCの固有の転写活性を選択的に刺激することを示す。 心筋梗塞後及び化合物10-1による治療後の乳頭筋のレベルでの心臓断面の写真を含む。 生理食塩水で処置したマウス(「生理食塩水」)、MCB-613で処置したマウス(「MCB-613」)、及び梗塞のない野生型マウス(「WT」)における漸増最大運動試験の結果を示すグラフを含む。上部パネルは、二酸化炭素の呼気を示し、下部パネルは、酸素消費量を示す。 MCB-613が、MIの3日後の鶏卵及びマウスの心臓における血管新生を刺激することを示す。Aでは、心臓線維芽細胞をDMSOまたはMCB-613で24時間処理した。次に、総タンパク質を単離し、SRC-1、-2、及び-3について免疫ブロットした。Hsp90をローディング対照として使用した。Bについて、心臓線維芽細胞にGAL4 DNA結合部位-ルシフェラーゼレポーター(pG5-luc)及びGAL4-DNA結合ドメイン-全長SRC-1、-2、もしくは-3融合(pBIND-SRC)または対照pBIND発現ベクターでトランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞をDMSOまたはMCB-613で24時間処理した。総タンパク質を単離し、ルシフェラーゼ活性について測定した。相対光単位(RLU)は、ルシフェラーゼ活性を総タンパク質濃度(n=3)に正規化することによって計算された(*P<0.05)。Cでは、心臓線維芽細胞をDMSOまたはMCB-613で24時間処理し、次いで、薬物を含まない内皮増殖培地でさらに24時間コンディショニングした。次に、コンディショニングされた細胞をマトリゲルに播種して、一晩チューブ形成させ、次いで、チューブをカルセインAM色素で染色して画像化した。Dでは、鶏卵をDMSOまたはMCB-613で処理し、1日目及び3日目に血管面積を測定した。マウスの胚性線維芽細胞(MEF)をジメチルスルホキシド(DMSO)またはMCB-613で24時間処理し、次いで、鶏卵の膜に配置した。血管面積は1日目及び3日目に測定された。データは、各条件の対照に対する増加パーセントとして表される。各条件で6個の卵を使用した(*P<0.05)。Eでは、MIの2時間後にマウスをMCB-613または対照で処置した。心臓を固定し、内皮細胞特異的CD31について免疫染色した。3匹の対照マウス及びMCB-613で処置した3匹のマウスからの梗塞境界ゾーンの代表的な画像を示す。また、境界ゾーンごとの2つのフィールドについての組織の領域ごとの定量化CD31免疫染色密度を示す棒グラフを含む(*P<0.05)。 MCB-613が心筋梗塞後の心臓機能を改善することを示す。実験手順の概略図である。マウスを、左冠動脈前下行枝の永久結紮の2時間後、及びさらに6日間、ならびに示されるように8週目及び16週目に、MCB-613または対照で処置した。 MCB-613が心筋梗塞後の心臓機能を改善することを示す。駆出率は、示された時間に心エコー図によって測定され、心臓は、24時間及び12週間で採取された(*P<0.05)。 MCB-613が心筋梗塞後の心臓機能を改善することを示す。MI後12週間の脛骨の長さと心臓重量を比較した。 MCB-613が心筋梗塞後の心臓機能を改善することを示す。対照(MIなし)、MI、ならびにMI及びMI後2週間でのMCB-613の間における形態学及び18F-FDG取り込みの差を示す、軸位断(短軸)、冠状断(長軸)、及び矢状断でのマウスの心臓の中心スライスの代表的な画像を示す。矢印は梗塞ゾーンを示す。n=6対照MIなし、n=6 MI及びビヒクル対照、n=4 MI及びMCB-613。 MCB-613が心筋梗塞後の心臓機能を改善することを示す。MCB-613で処置した心臓(n=2;梗塞サイズ44%及び31%)及び12週間でのMCB-613で処置した心臓(n=4;梗塞サイズ22%、3%、20%、及び14%)を固定し、ピクロシリウスレッドで染色した。また、各心臓の境界ゾーンにおける線維症パーセントの定量化を示す棒グラフを含む。スケールバー:2000μm及び20μm。 MCB-613が心筋梗塞後の心臓機能を改善することを示す。MI後72時間の境界領域の代表的な電子顕微鏡写真を示す。My=筋原線維。Mi=ミトコンドリア。スケールバー:1μm。 MCB-613が心筋梗塞後の心臓機能を改善することを示す。MI後の24時間の対照及びMCB-613で処置した心臓からの代表的なTUNEL染色を示す。群あたりn=4つの心臓。スケールバー:2000μm及び20μm。 生理食塩水で処置した非梗塞野生型マウス(「WT生理食塩水」)、MCB-613で処置した非梗塞野生型マウス(「WT MCB-613」)、MI後に生理食塩水で処置したマウス(「MI生理食塩水」)、及びMI後にMCB-613で処置したマウス(「MI MCB-613」)における漸増最大運動試験の結果を示すグラフを含む)。左パネルは、酸素消費量を示し、右パネルは、二酸化炭素の呼気を示す。 MCB-613保護応答が、酸化的リン酸化の改善、炎症の減少、及び免疫細胞の減少に関連することを明らかにする、MI後12週間の心筋細胞のRNA転写プロファイリング及び間質細胞の単一細胞分析を示す。MI後12週間の対照処置及びMCB-613処置マウスからの全RNA配列決定のための心筋細胞及び単一細胞RNA-seq分析のための非心筋細胞を得るための単離手順の概略図である。n=2つの心臓/群。 MCB-613保護応答が、酸化的リン酸化の改善、炎症の減少、及び免疫細胞の減少に関連することを明らかにする、MI後12週間の心筋細胞のRNA転写プロファイリング及び間質細胞の単一細胞分析を示す。RNA-seqによって識別され、MCB-613で処置した2匹のマウス対MI後10週間の生理食塩水で処置した2匹のマウスの心筋細胞で差次的に発現される遺伝子のヒートマップ分析である。 MCB-613保護応答が、酸化的リン酸化の改善、炎症の減少、及び免疫細胞の減少に関連することを明らかにする、MI後12週間の心筋細胞のRNA転写プロファイリング及び間質細胞の単一細胞分析を示す。MCB-613対対照処置心臓の心筋細胞における上方制御及び下方制御された遺伝子の遺伝子セット濃縮分析である。 MCB-613保護応答が、酸化的リン酸化の改善、炎症の減少、及び免疫細胞の減少に関連することを明らかにする、MI後12週間の心筋細胞のRNA転写プロファイリング及び間質細胞の単一細胞分析を示す。教師なしクラスタリングによって識別された細胞集団を示す。各点は単一の細胞を示す。 MCB-613保護応答が、酸化的リン酸化の改善、炎症の減少、及び免疫細胞の減少に関連することを明らかにする、MI後12週間の心筋細胞のRNA転写プロファイリング及び間質細胞の単一細胞分析を示す。各クラスターを特異的に特定するために使用される確立された細胞型マーカーを示すヒートマップである。 MCB-613保護応答が、酸化的リン酸化の改善、炎症の減少、及び免疫細胞の減少に関連することを明らかにする、MI後12週間の心筋細胞のRNA転写プロファイリング及び間質細胞の単一細胞分析を示す。MI後の24時間の対照及びMCB-613で処置した心臓からの代表的なTUNEL染色を示す。群あたりn=4つの心臓。スケールバー:2000μm及び20μm。 Aは、線維芽細胞クラスター遺伝子発現のベン分析である。Bは、内皮クラスター遺伝子発現のベン分析である。Cは、マクロファージ遺伝子発現のベン分析である。Dは、対照で処置した心臓上のMCB-613の顆粒球における上方制御及び下方制御された遺伝子の遺伝子セット濃縮分析である。 MCB-613が、MI後12週間で持続的な免疫及び内皮細胞応答を調節することを示す。MCB-613で処置したマウスと比較した、対照マウスからの非筋細胞における上方制御及び下方制御された遺伝子の数を示す。 MCB-613が、MI後12週間で持続的な免疫及び内皮細胞応答を調節することを示す。心筋細胞を除く心臓細胞型間の細胞間コミュニケーションの受容体-リガンド分析を含む。線は、2つの細胞型間のコミュニケーションを示す。図の凡例に示されるように、リガンド-受容体の対合の方向性は、ノードで始まり、同族の受容体で終わる。線の太さは、リガンド-受容体の対合の数を反映している。ループは、オートクリンシグナル伝達回路を表す。 MCB-613が、MI後12週間で持続的な免疫及び内皮細胞応答を調節することを示す。顆粒球、線維芽細胞クラスター、及びマクロファージC4の間のリガンド-受容体対合のヒートマップである。 MCB-613が、MI後12週間で持続的な免疫及び内皮細胞応答を調節することを示す。それぞれ対照及びMCB-613で処置した心臓からの277及び310の顆粒球について、上位50の上方制御及び下方制御された薬物応答性遺伝子を示すヒートマップである。 MCB-613がBリンパ球及び単球を減少させ、MI後24時間で早くも顆粒球遺伝子及びリゾチームを上方制御することを示す。Aは、対照及びMCB-613処置マウスからのMI後24時間の蛍光活性化細胞選別(FACS)免疫表現型分析による心臓免疫細胞の定量化を示す。Bは、MI及びMCB 613処置後の24時間の骨髄から単離された顆粒球及び好中球におけるmRNA発現を示す。全RNAは、骨髄の好中球が豊富な画分及び好中球が枯渇した画分から単離され、cDNAに変換された。S100a9、Tlr7、及びLcn2の遺伝子発現変化をqPCRで測定し、18s RNA発現を対照として使用した。各群N=6*P<0.05。Cは、MI後24時間の対照及びMCB-613で処置した心臓からの代表的なLYZ染色を示す。Cの上部パネルは、低倍率の心内膜から心外膜を示し、下部パネルは、高倍率の心内膜下領域を示す。矢印はLYZ+細胞を示す。Cの棒グラフは、LYZ+細胞のLV密度の定量化を示す。n=3つの心臓/群、>10mm画像/心臓、MI手術後24時間*P<0.039。 CD-1マウスにおけるMCB-613、化合物1、及び化合物2について得られた薬物動態データのグラフ表示を含む。
ステロイド受容体コアクチベーター(SRC)タンパク質の刺激因子及びそれらの使用方法が本明細書に記載される。ステロイド受容体コアクチベーターは、核内受容体コアクチベーターのp160ファミリーのメンバーであり、SRC-1、SRC-2(TIF2/GRIP1)、及びSRC-3(AIB1/RAC3/ACTR/pCIP)を含む。本明細書に記載される小分子は、SRC-3の刺激因子であり、心臓保護剤及び/または血管再生剤として有用である。特に、化合物は、心筋梗塞または脳卒中後の心臓の保護及び修復ならびに血管再生を促進するために有用である。化合物はまた、心臓肥大及びコラーゲン沈着を防ぎ、心臓の梗塞後の機能を改善するのに有用である。化合物は、血管新生を増加させ、心臓及び中枢神経系において血管灌流を増加させ、心臓のベータ酸化を促進することが示されている。本明細書に記載される化合物の投与はまた、拡張型心筋症に関連する代謝産物であるメチルグルタリルカルニチンの存在を著しく減少させる。
I.化合物
本明細書に記載されるSRC刺激因子のクラスは、式Iによって表され、
Figure 0007495138000018
その薬学的に許容される塩またはプロドラッグである。
式Iにおいて、A、A、A、A、A、A、A、A、A、及びA10は各々独立して、CR及びNから選択される。式Iに存在する各R基は独立して、水素、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、及び置換または非置換C1-6アルキルから選択される。
また、式Iにおいて、Xは、NR、CR、またはOであり、R、R、及びRは各々独立して、水素、置換または非置換C1-6アルキル、置換または非置換シクロアルキル、及び置換または非置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される。
本明細書で使用される場合、アルキル、アルケニル、及びアルキニルという用語は、直鎖及び分岐鎖の一価置換基を含む。例には、メチル、エチル、イソブチル、3-ブチニルなどが含まれる。本明細書に記載される化合物及び方法で有用なこれらの基の範囲には、C-C20アルキル、C-C20アルケニル、及びC-C20アルキニルが含まれる。本明細書に記載される化合物及び方法で有用なこれらの基の追加の範囲には、C-C12アルキル、C-C12アルケニル、C-C12アルキニル、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、及びC-Cアルキニルが含まれる。
ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、及びヘテロアルキニルは、アルキル、アルケニル、及びアルキニルと同様に定義されるが、骨格内にO、S、もしくはNヘテロ原子またはそれらの組み合わせを含み得る。本明細書に記載される化合物及び方法で有用なこれらの基の範囲には、C-C20ヘテロアルキル、C-C20ヘテロアルケニル、及びC-C20ヘテロアルキニルが含まれる。本明細書に記載される化合物及び方法で有用なこれらの基の追加の範囲には、C-C12ヘテロアルキル、C-C12ヘテロアルケニル、C-C12ヘテロアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cヘテロアルケニル、C-Cヘテロアルキニル、C-Cヘテロアルキル、C-Cヘテロアルケニル、及びC-Cヘテロアルキニルが含まれる。
シクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアルキニルという用語は、単一の環状環または複数の縮合環を有する環状アルキル基を含む。例としては、シクロヘキシル、シクロペンチルエチル、及びアダマンタニルが挙げられる。本明細書に記載される化合物及び方法で有用なこれらの基の範囲には、C-C20シクロアルキル、C-C20シクロアルケニル、及びC-C20シクロアルキニルが含まれる。本明細書に記載される化合物及び方法で有用なこれらの基の追加の範囲には、C-C12シクロアルキル、C-C12シクロアルケニル、C-C12シクロアルキニル、C-Cシクロアルキル、C-Cシクロアルケニル、及びC-Cシクロアルキニルが含まれる。
ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、及びヘテロシクロアルキニルという用語は、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアルキニルと同様に定義されるが、環状骨格内にO、S、もしくはNヘテロ原子またはそれらの組み合わせを含み得る。本明細書に記載される化合物及び方法で有用なこれらの基の範囲には、C-C20ヘテロシクロアルキル、C-C20ヘテロシクロアルケニル、及びC-C20ヘテロシクロアルキニルが含まれる。本明細書に記載される化合物及び方法で有用なこれらの基の追加の範囲には、C-C12ヘテロシクロアルキル、C-C12ヘテロシクロアルケニル、C-C12ヘテロシクロアルキニル、C-Cヘテロシクロアルキル、C-Cヘテロシクロアルケニル、及びC-Cヘテロシクロアルキニルが含まれる。
アリール分子には、例えば、単一及び二重の共有結合が交互になっている場合と同じ番号の非局在化電子によって接続された、典型的には6つの炭素原子の1つ以上の平面のセットを組み込む環状炭化水素が含まれる。アリール分子の例は、ベンゼンである。ヘテロアリール分子には、O、N、またはSなどの原子のそれらの主な環状鎖に沿った置換が含まれる。ヘテロ原子が導入されると、5つの原子のセット、例えば、4つの炭素及びヘテロ原子は、芳香族系を作成することができる。ヘテロアリール分子の例には、フラン、ピロール、チオフェン、イマダゾール、オキサゾール、ピリジン、及びピラジンが挙げられる。アリール及びヘテロアリール分子はまた、追加の縮合環、例えば、ベンゾフラン、インドール、ベンゾチオフェン、ナフタレン、アントラセン、及びキノリンを含み得る。アリール及びヘテロアリール分子は、特に記載がない限り、環の任意の位置で結合され得る。
本明細書で使用されるアルコキシという用語は、単一の末端エーテル結合を介して結合したアルキル基である。同様に、本明細書で使用されるアリールオキシという用語は、単一の末端エーテル結合を介して結合したアリール基である。
本明細書で使用されるヒドロキシルという用語は、式-OHによって表される。
本明細書で使用されるアミンまたはアミノという用語は、式-NZによって表され、Z及びZは各々、上に記載される水素、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基などの本明細書に記載される置換基であり得る。
本明細書で使用されるアルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル分子は、置換または非置換であり得る。本明細書で使用される場合、置換という用語は、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基の、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルの主鎖に結合した位置への付加を含み、例えば、これらの分子のうちの1つによる水素の置き換えである。置換基の例には、これらに限定されないが、ヒドロキシル、ハロゲン(例えば、F、Br、Cl、またはI)、及びカルボキシル基が挙げられる。逆に、本明細書で使用される場合、非置換という用語は、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルが、水素の完全な補体を有することを示し、すなわち、その飽和レベルに見合った、置換を含まない、例えば、直鎖デカン(-(CH-CH)である。
いくつかの例では、式Iは、構造I-Aによって表される。
Figure 0007495138000019
構造I-Aにおいて、A、A、A、A、A、A、A、A、A、A10、及びRは、式Iについて上に定義されるとおりである。構造I-Aのいくつかの例では、A、A、A、A、A、A、A、A、A、及びA10の各々は、CRであり、各Rは独立して、式Iについて上に定義されるように基から選択される。例えば、構造I-Aの化合物は、構造I-A1によって表され得る。
Figure 0007495138000020
構造I-A1において、m及びnは各々独立して、1、2、3、4、または5である。言い換えると、分子のフェニル環は、1~5個のR基を含み得る。R基の各々は独立して、式Iについて上に定義されるように基から選択され得る。
構造I-Aのいくつかの例では、A、A、A、A、A、A、A、A、A、及びA10のうちの1つ以上は、Nであり得る。例えば、構造I-Aの化合物は、構造I-A2、構造I-A3、または構造I-A4によって表され得る。
Figure 0007495138000021
構造I-A2、構造I-A3、及び構造I-A4において、m及びnは各々独立して、1、2、3、または4である。言い換えると、分子のフェニル環は、1~4個のR基を含み得る。R基の各々は独立して、式Iについて上に定義されるように基から選択され得る。
任意に、構造I-A1、構造I-A2、構造I-A3、及び/または構造I-A4において、Rは、置換もしくは非置換シクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルである。いくつかの例では、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルからなる群から選択される。
いくつかの例では、式Iは、構造I-Bによって表される。
Figure 0007495138000022
構造I-Bにおいて、A、A、A、A、A、A、A、A、A、A10、R、及びRは、式Iについて上に定義されるとおりである。構造I-Bのいくつかの例では、A、A、A、A、A、A、A、A、A、及びA10の各々は、CRであり、各Rは独立して、式Iについて上に定義されるように基から選択される。例えば、構造I-Bの化合物は、構造I-B1によって表され得る。
Figure 0007495138000023
構造I-B1において、m及びnは各々独立して、1、2、3、4、または5である。言い換えると、分子のフェニル環は各々独立して、1~5個のR基を含み得る。R基の各々は独立して、式Iについて上に定義されるように基から選択され得る。
構造I-Bのいくつかの例では、A、A、A、A、A、A、A、A、A、及びA10のうちの1つ以上は、Nであり得る。例えば、構造I-Bの化合物は、構造I-B2、構造I-B3、または構造I-B4によって表され得る。
Figure 0007495138000024
構造I-B2、構造I-B3、及び構造I-B4において、m及びnは各々独立して、1、2、3、または4である。言い換えると、分子のフェニル環は各々独立して、1~4個のR基を含み得る。R基の各々は独立して、式Iについて上に定義されるように基から選択され得る。
いくつかの例では、式Iは、構造I-Cによって表される。
Figure 0007495138000025
構造I-Cにおいて、A、A、A、A、A、A、A、A、A、及びA10は、式Iについて上に定義されるとおりである。構造I-Cのいくつかの例では、A、A、A、A、A、A、A、A、A、及びA10の各々は、CRであり、各Rは独立して、式Iについて上に定義されるように基から選択される。例えば、構造I-Cの化合物は、構造I-C1によって表され得る。
Figure 0007495138000026
構造I-C1において、m及びnは各々独立して、1、2、3、または4である。言い換えると、分子のフェニル環は各々独立して、1~4個のR基を含み得る。R基の各々は独立して、式Iについて上に定義されるように基から選択され得る。
構造I-Cのいくつかの例では、A、A、A、A、A、A、A、A、A、及びA10のうちの1つ以上は、Nであり得る。例えば、構造I-Cの化合物は、構造I-C2、構造I-C3、または構造I-C4によって表され得る。
Figure 0007495138000027
構造I-C2、構造I-C3、及び構造I-C4において、m及びnは各々独立して、1、2、3、または4である。言い換えると、分子のフェニル環は各々独立して、1~4個のR基を含み得る。R基の各々は独立して、式Iについて上に定義されるように基から選択され得る。
式Iの例として、以下の化合物が挙げられる。
Figure 0007495138000028
Figure 0007495138000029
Figure 0007495138000030
Figure 0007495138000031
Figure 0007495138000032
Figure 0007495138000033
いくつかの実施形態では、化合物は、SYC-944(化合物2-8)(本明細書ではMCB-613とも称される)である。いくつかの実施形態では、化合物は、SYC-944(化合物2-8)(本明細書ではMCB-613とも称される)ではない。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物9-2、化合物9-8、化合物10-1、または化合物10-2である。
II.化合物の作成方法
本明細書に記載される化合物は、様々な方法で調製することができる。化合物は、様々な合成方法を使用して合成することができる。これらの方法の少なくともいくつかは、有機合成化学の分野で既知である。本明細書に記載される化合物は、容易に入手可能な出発物質から調製することができる。最適な反応条件は、使用される特定の反応物または溶媒によって変化し得るが、そのような条件は、日常的な最適化の手順により、当業者により決定され得る。
式Iの変形例には、各化合物について記載される様々な構成要素の加算、減算、または移動が含まれる。同様に、1つ以上のキラル中心が分子内に存在する場合、すべての可能なキラルバリアントが含まれる。さらに、化合物合成は、様々な化学基の保護及び脱保護を伴い得る。保護及び脱保護の使用、ならびに適切な保護基の選択は、当業者によって決定され得る。保護基の化学は、例えば、Wuts,Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,5th.Ed.,Wiley&Sons,2014に見出され得、それは参照によりその全体において本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載される化合物を生成する反応は、有機合成の当業者によって選択され得る溶媒中で実施され得る。溶媒は、反応が実施される条件下、すなわち温度及び圧力下で、出発物質(反応物)、中間体、または生成物と実質的に非反応性であり得る。反応は、1つの溶媒または1つを超える溶媒の混合物中で実施され得る。生成物または中間体の形成は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法に従って監視され得る。例えば、生成物の形成は、核磁気共鳴分光法(例えば、H-NMRまたは13C-NMR)、赤外分光法、分光光度法(例えば、UV-可視)、もしくは質量分析法などの分光手段、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)もしくは薄層クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーによって監視され得る。
本明細書に記載される化合物を合成するための例示的な方法は、以下の実施例1及び参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第WO2016/109470号に提供されている。
III.薬学的製剤
本明細書に記載される化合物またはその誘導体は、薬学的組成物で提供され得る。意図される投与様式に応じて、薬学的組成物は、例えば、錠剤、坐剤、丸剤、カプセル、粉末、液体、または懸濁液などの固体、半固体、または液体の剤形、好ましくは、正確な投与量の単回投与に好適な単位剤形であり得る。組成物は、薬学的に許容される担体と組み合わせた治療有効量の本明細書に記載される化合物またはその誘導体を含み、さらに、他の医薬剤、薬学的剤、担体、または希釈剤を含み得る。薬学的に許容されるとは、許容されない生物学的効果を引き起こすことなく、または薬学的組成物に含まれている他の構成成分と有害な様式で相互作用することなく、選択された化合物とともに個体に投与され得る、生物学的でないかまたはそうでなければ望ましくないものでない物質を意味する。
本明細書で使用される場合、担体という用語は、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤、脂質、安定剤、または薬学的製剤で使用するための当該技術分野で周知の他の物質を包含する。組成物で使用するための担体の選択は、組成物の意図された投与経路に依存するであろう。これらの物質を含む薬学的に許容される担体及び製剤の調製は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,21st Edition,ed.University of the Sciences in Philadelphia,Lippincott,Williams&Wilkins,Philadelphia Pa.,2005に記載されている。生理的に許容される担体の例には、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、及び他の有機酸を含む緩衝液などの緩衝液;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;ならびに/またはTWEEN(登録商標)(ICI,Inc.;Bridgewater,New Jersey)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(登録商標)(BASF;Florham Park,NJ)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
非経口的注射に好適な本明細書に記載される化合物またはその誘導体を含む組成物は、生理学的に許容される水性または非水性の滅菌溶液、分散液、懸濁液または乳剤、及び滅菌注射用溶液または分散液に再構成される滅菌粉末を含み得る。好適な水性及び非水性の担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例として、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、それらの好適な混合物、植物油(オリーブ油など)、及びオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用によって、分散液の場合には必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持することができる。
これらの組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などのアジュバントも含み得る。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって促進することができる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどもまた含まれ得る。注射可能な薬学的形態の持続的吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用によってもたらすことができる。
本明細書に記載される化合物またはその誘導体の経口投与のための固体剤形は、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、及び顆粒剤を含む。そのような固体剤形において、本明細書に記載される化合物またはその誘導体は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性常用賦形剤(もしくは担体)、または(a)充填剤もしくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸、(b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及びアカシア、(c)保湿剤、例えば、グリセロール、(d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定の複合ケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム、(e)溶液遅延剤、例えば、パラフィン、(f)吸収促進剤、例えば、第四級アンモニウム化合物、(g)湿潤剤、例えば、セチルアルコール、及びモノステアリン酸グリセロール、(h)吸着剤、例えば、カオリン及びベントナイト、ならびに(i)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤、及び丸剤の場合、剤形はまた、緩衝剤を含んでもよい。
類似の種類の固形組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量のポリエチレングリコール、及び同様物としてそのような賦形剤を使用して、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤として用いられ得る。
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、及び顆粒剤などの固体剤形は、腸溶コーティング及び当該技術分野で既知の他のものなどのコーティング及びシェルを用いて調製することができる。これらは、鎮静剤を含んでもよく、また、腸管のある特定の部分において、活性化合物(単数または複数)を遅延様式で放出するような組成物であり得る。使用することができる包埋組成物の例は、ポリマー物質及びワックスである。活性化合物はまた、適切な場合、上述の賦形剤のうちの1つ以上とともにマイクロカプセル化された形態であってもよい。
本明細書に記載される化合物またはその誘導体の経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容される乳剤、溶液、懸濁液、シロップ剤、及びエリキシル剤を含む。活性化合物に加えて、液体投与形態は、例えば、水または他の溶媒などの当該技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤、可溶化剤、ならびに乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタン脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物などを含み得る。
不活性希釈剤以外に、組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、香料、及び芳香剤などの追加の薬剤を含み得る。
活性化合物に加えて、懸濁液は、追加の薬剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天及びトラガント、またはこれらの物質の混合物などを含み得る。
直腸投与用の本明細書に記載される化合物またはその誘導体の組成物は、任意に、常温では固体であるが体温では液体であり、したがって直腸及び膣腔内で溶融し、活性成分を放出する好適な非刺激性賦形剤または担体、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、または坐剤ワックスと、化合物とを混合することにより調製することができる坐剤である。
本明細書に記載される化合物またはその誘導体の局所投与のための剤形には、軟膏、粉末、スプレー、及び吸入剤が含まれる。本明細書に記載される化合物またはその誘導体は、生理学的に許容される担体、及び必要であり得る場合、任意の防腐剤、緩衝剤、または噴霧剤とともに、滅菌条件下で混合される。眼科用製剤、軟膏、粉末、及び溶液もまた、組成物の範囲内であることが企図される。
組成物は、本明細書に記載される化合物のうちの1つ以上及び薬学的に許容される担体を含み得る。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー応答などを起こさずに対象の組織と接触させて使用するのに好適であり、合理的な利益/リスク比と見合うものであり、それらの意図された使用に効果的である本明細書に記載される化合物の塩またはその誘導体、ならびに可能な場合、本明細書に記載される化合物の双性イオン形態を指す。塩という用語は、本明細書に記載される化合物の比較的非毒性の無機及び有機酸付加塩を指す。これらの塩は、化合物の単離及び精製中にin situで調製され得るか、またはその遊離形態の精製された化合物を好適な有機酸もしくは無機酸と別々に反応させ、そのように形成された塩を単離することにより調製され得る。代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、メシル酸ナフチル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、メタンスルホン酸塩、及びラウリルスルホン酸塩などが含まれる。これらは、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及び同等物などのアルカリ及びアルカリ土類金属、ならびにこれらに限定されないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含む非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、及びアミンカチオンに基づくカチオンを含み得る。(少なくとも、そこに教示されている組成物については、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、S.M.Barge et al.,J.Pharm.Sci.(1977)66,1を参照されたい。)
本明細書に記載される化合物及び組成物またはその薬学的に許容される塩の投与は、治療有効量の本明細書に記載される化合物及び組成物または本明細書に記載されるその薬学的に許容される塩を、障害を治療するのに有効な期間使用して実施することができる。本明細書に記載される化合物及び組成物または本明細書に記載されるその薬学的に許容される塩の有効量は、当業者によって決定され得、哺乳動物に対して、1日あたり約0.5~約200mg/kg体重の活性化合物の例示的な投与量を含み、それは単回用量または1日あたり1~4回などの個別の分割用量の形態で投与され得る。あるいは、投与量は、1日あたり約0.5~約150mg/kg体重の活性化合物、1日あたり約0.5~100mg/kg体重の活性化合物、1日あたり約0.5~約75mg/kg体重の活性化合物、1日あたり約0.5~約50mg/kg体重の活性化合物、1日あたり約0.01~約50mg/kg体重の活性化合物、1日あたり約0.05~約25mg/kg体重の活性化合物、1日あたり約0.1~約25mg/kg体重の活性化合物、1日あたり約0.5~約25mg/kg体重の活性化合物、1日あたり約1~約20mg/kg体重の活性化合物、1日あたり約1~約10mg/kg体重の活性化合物、1日あたり約20mg/kg体重の活性化合物、1日あたり約10mg/kg体重の活性化合物、1日あたり約5mg/kg体重の活性化合物、1日あたり約2.5mg/kg体重の活性化合物、1日あたり約1.0mg/kg体重の活性化合物、もしくは1日あたり約0.5mg/kg体重の活性化合物、またはその中で導出可能な任意の範囲であり得る。任意に、投与量は、1日あたり約0.01mg/kg~約10mg/kg体重の活性化合物である。任意に、投与量は、約0.01mg/kg~約5mg/kgである。任意に、投与量は、約0.01mg/kg~約2.5mg/kgである。
当業者は、任意の特定の対象に対する特定の用量レベル及び投与頻度が変化してもよく、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用の長さ、対象の種、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、及び食事、投与の様式及び時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、ならびに特定の状態の重症度を含む様々な要因に依存することを理解するであろう。
製剤において用いられる正確な用量はまた、投与経路、及び疾患または障害の重篤度に依存し、専門家及び各対象の状況の判断に従って決定されるべきである。有効用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から誘導された用量反応曲線から外挿することができる。さらに、投与経路に応じて、当業者は、対象の細胞、組織、及び/または器官における所望のレベルの応答のための血漿濃度をもたらす用量を決定する方法を知っているであろう。
IV.使用方法
対象における心筋梗塞または他の虚血性損傷(例えば、脳卒中)を治療するための方法が本明細書に提供される。方法は、有効量の本明細書に記載される1つ以上の化合物もしくは組成物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを対象に投与することを含む。有効量は、方法における化合物の量を説明するために使用される場合、所望の薬理学的効果または他の生物学的効果を達成する化合物の量を指す。
また、インビトロで投与される濃度に対応する対象における標的細胞でのインビボ濃度が達成されるように、本明細書に記載される1つ以上の化合物のある量を対象に投与することを含む方法も企図される。
心筋梗塞に罹患した対象における心筋梗塞サイズを低減する方法が本明細書にさらに記載される。方法は、有効量の本明細書に記載される1つ以上の化合物または組成物を対象に投与することを含む。心筋梗塞サイズは、心筋梗塞に罹患した未治療の対象(例えば、心筋梗塞に罹患しており、かつ心筋梗塞のいかなる治療も投与されていない対象、または心筋梗塞に罹患しており、かつ本明細書に記載される化合物もしくは組成物以外の治療薬を投与されている対象)の心筋梗塞サイズと比較して、少なくとも5%低減され得る。任意に、心筋梗塞サイズは、心筋梗塞に罹患した未治療の対象の心筋梗塞サイズと比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減され得る。本明細書に記載される化合物及び組成物はまた、心筋梗塞に罹患した対象における心筋細胞の喪失を予防または低減するのに有用である。心筋梗塞に罹患した対象における心筋細胞の喪失を予防または低減するための方法は、有効量の本明細書に記載される1つ以上の化合物または組成物を対象に投与することを含む。
対象における心臓血管機能の改善、心臓血管灌流の改善、中枢神経系血管機能の改善、中枢神経系血管灌流の改善、創傷治癒の促進、及び/または肥大型心筋症の予防もしくは治療のための方法が本明細書にさらに記載される。方法は、有効量の本明細書に記載される1つ以上の化合物または組成物を対象に投与することを含む。任意に、対象は、心筋梗塞または脳卒中などの虚血性損傷に罹患している。任意に、対象は、高齢の個体、肥満の個体、糖尿病の個体、代謝症候群に罹患している個体、煙に晒されている個体(例えば、喫煙者及び長期間副流煙に晒されている個体)、血圧、血中コレステロール、もしくはトリグリセリドレベルの上昇に罹患している個体、または自己免疫状態に罹患している個体である。
対象における心筋梗塞の治療、心筋梗塞サイズの低減、心筋細胞喪失の予防もしくは低減、心臓血管機能の改善、心臓血管灌流の改善、中枢神経系血管機能の改善、中枢神経系血管灌流の改善、創傷治癒の促進、及び/または肥大型心筋症の予防もしくは治療のための方法は、1つ以上の追加の薬剤を対象に投与することをさらに含み得る。本明細書に記載される1つ以上の追加の薬剤及び化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグは、併用、同時、または連続投与を含む、任意の順序で投与することができる。連続投与は、最大数日間隔の時間間隔の順序での投与であり得る。方法はまた、1つ以上の追加の薬剤及び/または本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの2回以上の投与を含み得る。1つ以上の追加の薬剤及び本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの投与は、同じまたは異なる経路によって、同時にまたは連続であり得る。
追加の治療薬には、これらに限定されないが、抗血小板剤、スタチン、ベータ遮断薬、及びレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)遮断薬(例えば、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及びアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB))が含まれる。本明細書に記載される追加の治療薬として有用な抗血小板剤の例示的で非限定的な例には、糖タンパク質(GP)IIb/IIIa受容体アンタゴニスト(例えば、アブシキシマブ、エプチフィバチド、及びチロフィバン)、ジピリダモール、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、インドメタシン、及びスルフィンピラゾン)、アデノシン二リン酸(ADP)受容体アンタゴニスト(例えば、クロピドグレル及びチクロピジン)、及びホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、シロスタゾール)が挙げられる。
本明細書に記載される追加の治療薬として有用なスタチンの例示的で非限定的な例には、アトルバスタチン、セリバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、及びピタバスタチンが挙げられる。
本明細書に記載される追加の治療薬として有用なベータ遮断薬の例示的な例には、これらに限定されないが、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、フマル酸ビソプロロール、カルテオロール、カルベジロール、エスモロール、ラベタロール、メトプロロール、ナドロール、ネビボロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロール、及びチモロールが挙げられる。
本明細書に記載される追加の治療薬として有用なレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系(RAAS)遮断薬(例えば、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及びアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB))の例示的な例には、これらに限定されないが、アリスキレン、エナルキレン、レミキレム、ベナゼプリル、ベナゼプリラト、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル、フォシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、ロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、テルミサルサン、タソサルタン、エプロサルタン、スピロノラクトン、及びエプレレノンが挙げられる。
前述の治療薬のいずれも、本明細書に記載される組成物と任意の組み合わせで使用することができる。組み合わせは、併用して(例えば、混合物として)、別々であるが同時に(例えば、同じ対象への別々の静脈内ラインを介して)、または連続して(例えば、化合物または薬剤のうちの1つが最初に与えられ、次に2つ目が与えられる)のいずれかで投与される。したがって、組み合わせという用語は、2つ以上の薬剤の併用、同時、または連続投与を指すために使用される。
任意に、本明細書に記載される化合物または治療薬は、外科手術(例えば、冠状動脈バイパス手術)、血管形成術、ステント留置術、または別の移植手順と組み合わせて投与してもよい。
本明細書に記載される方法及び化合物は、予防的処置及び治療的処置の両方に有用である。予防的使用のために、治療有効量の本明細書に記載される化合物及び組成物またはそれらの薬学的に許容される塩は、発症前(例えば、心筋梗塞の明らかな兆候の前)、早期発症中(例えば、心筋梗塞の初期兆候及び症状時)、または心筋梗塞の発生後に対象に投与される。予防的投与は、心筋梗塞の症状の出現前に数日から数年間行うことができる。治療的処置は、心筋梗塞の発生後に、治療有効量の本明細書に記載される化合物及び組成物またはそれらの薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。
本明細書の予防的及び治療的処置のための方法は、任意に、心筋梗塞または脳卒中などの虚血性損傷に罹患しているか、または罹患するリスクが高い対象(例えば、肥満の個体、高齢の個体、または心筋梗塞もしくは脳卒中などの虚血性損傷に以前に罹患した個体)を選択することを含む。当業者は、例えば、疾患または状態の個人歴または家族歴、臨床検査(例えば、遺伝子検査)などを含む、様々な予後及び診断方法を使用して、そのような決定を行うことができる。任意に、本明細書の方法は、心筋梗塞に罹患した対象がその後の心筋梗塞に罹患するのを防ぐために使用され得る。
本明細書に記載される化合物及び組成物またはその薬学的に許容される塩は、限定されないが、小児及び高齢者の集団を含むヒト、ならびに動物、例えば、獣医用途における心筋梗塞の治療、心筋梗塞サイズの低減、心筋細胞喪失の予防もしくは低減、心臓血管機能の改善、創傷治癒の促進、及び/または肥大型心筋症の予防もしくは治療に有用である。
V.キット
対象における心筋梗塞の治療、心筋梗塞サイズの低減、心筋細胞喪失の予防もしくは低減、心臓血管機能の改善、創傷治癒の促進、及び/または肥大型心筋症の予防もしくは治療のためのキットも本明細書に提供される。キットは、本明細書に記載される化合物または組成物のうちのいずれかを含み得る。例えば、キットは、式Iの1つ以上の化合物を含み得る。キットには、抗血小板剤、スタチン、ベータ遮断薬、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)遮断薬(例えば、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及びアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB))、及びこれらの組み合わせなどの1つ以上の追加の薬剤をさらに含み得る。
キットは、本明細書に記載される化合物または組成物のうちのいずれかの経口製剤を含み得る。キットは、本明細書に記載される化合物または組成物のうちのいずれかの静脈内または腹腔内製剤を含み得る。キットはさらに、キットの使用説明書(例えば、対象を治療するための説明書)、容器、化合物もしくは組成物を投与するための手段(例えば、シリンジ)、及び/または担体を含み得る。
本明細書で使用される場合、治療、治療する、または治療することという用語は、疾患もしくは状態の1つ以上の症状を低減する方法を指す。したがって、開示される方法において、治療は、疾患もしくは状態の1つ以上の症状の重症度の5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%低減を指し得る。例えば、疾患を治療するための方法は、対照と比較して、対象における疾患の1つ以上の症状または兆候(例えば、心筋梗塞のサイズ)の5%低減がある場合に治療であると見なされる。本明細書で使用される場合、対照は、未治療の状態(例えば、心筋梗塞に罹患した未治療の対象における心筋梗塞サイズ)を指す。したがって、この低減は、自然レベルまたは対照レベルと比較して、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または5%~100%の間の任意の低減パーセントであり得る。治療が、疾患、状態、または疾患もしくは状態の症状の治癒または完全な消失を必ずしも指さないことが理解される。
本明細書で使用される場合、疾患もしくは障害を予防する、予防すること、及び予防という用語は、対象が疾患もしくは障害の1つ以上の症状を示し始める前、またはそれとほぼ同時に起こる、例えば、組成物または治療薬の投与の動作を指し、それは疾患もしくは障害の1つ以上の症状の発症または重症度を阻害または遅延させる。
本明細書で使用される場合、減少、低減、または阻害に関する言及は、対照レベルと比較して、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上の変化を含む。このような用語は、完全な排除を含み得るが、必ずしもそれを含むとは限らない。
本明細書で使用される場合、対象とは、哺乳動物及び非哺乳動物の両方を意味する。哺乳動物には、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、例えば、類人猿及びサル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ラット、マウス、ブタ、ならびにヤギが含まれる。非哺乳動物には、例えば、魚及び鳥が含まれる。
本出願を通じて、様々な刊行物が参照される。これらの刊行物のそれらの全体における開示は、本出願に参照により本明細書に組み込まれる。
以下の実施例は、本明細書に記載される方法及び組成物のある特定の態様をさらに説明することを意図しており、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1:化合物の合成
合成用のすべての化学物質は、Alfa Aesar(Ward Hill,MA)またはAldrich(Milwaukee,WI)から購入した。化合物の同一性は、Varian(Palo Alto,CA)400-MR分光計でのHNMRによって特徴付けられた。合成された化合物の純度は、254nmのUVでモニタリングして、ZorbaxC18(またはC8)カラム(4.6x250mm)を備えたShimadzu Prominence HPLCによって決定した。報告された化合物の純度は、>95%であることがわかった。
1-シクロプロピルピペリジン-4-オンの合成:
Figure 0007495138000034
シクロプロピルアミン(6.9mL、100mmol)及びアクリル酸エチル(22.3mL、210mmol、2.1当量)を、無水エタノール(50mL)に溶解した。混合物を室温(rt)で4日間撹拌した。揮発物を真空中で除去して粗油を得、それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10:1~1:1のn-ヘキサン:酢酸エチル)により精製して、ジエチル3,3’-(シクロプロピルアザンジイル)ジプロパノエートを無色の液体として得た(15.68g、61%)。
水素化ナトリウム(油中60%分散液、3.0g、75mmol、1.5当量)及びテトラヒドロフラン(THF、30mL)をオーブン乾燥フラスコに入れ、それにTHF(20mL)中の3,3’-(シクロプロピルアザニイル)ジプロパノエート(12.8g、50mmol)ジエチルの溶液を滴下で添加した。次に、無水エタノール(2.9mL、50mmol、1.0当量)を添加し、得られた混合物を24時間還流で撹拌した。反応物を飽和塩化アンモニウム(50mL)でクエンチした。混合物をジエチルエーテル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。揮発物を真空中で除去して粗油を得、それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10:1~2:1のn-ヘキサン:酢酸エチル)により精製して、1-シクロプロピルピペリジン-4-オンを無色の液体として得た(4.52g、収率65%)。H NMR(400MHz、CDCl):δ2.92(t、J=6.2Hz、4H)、2.42(t、J=6.2Hz、4H)、1.80~1.70(m、1H)、及び0.55~0.47(m、4H)。
1-イソペンチルピペリジン-4-オンの合成:
Figure 0007495138000035
ピペリジン-4-オン塩酸塩(13.56g、100mmol)、1-ブロモ-3-メチルブタン(14.4mL、120mmol、1.2当量)、及び炭酸カリウム(27.6g、200mmol、2.0当量)をアセトニトリル/水(50/50mL)混合溶媒に溶解した。混合物を還流で12時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、ジエチルエーテル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。揮発物を真空中で除去して粗油を得、それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、10:1~2:1のn-ヘキサン:酢酸エチル)により精製して、1-イソペンチルピペリジン-4-オンを無色の液体として得た(10.32g、収率61%)。H NMR(400MHz、CDCl):δ2.71(t、J=5.9Hz、4H)、2.43(t、J=5.9Hz、6H)、1.61(セプテット、J=6.6Hz、1H)、1.40(td、J=7.6、6.6Hz、2H)、及び0.90(d、J=6.6Hz、6H)。
α,β-不飽和ケトンの一般的な合成方法:
Figure 0007495138000036
N-保護ピペリジン-4-オン(5mmol)及びアルデヒド(11mmol、2.2当量)を酢酸(10mL)に溶解し、それに濃縮した塩酸(3mL)を添加した。混合物を室温で12時間撹拌した。反応物を飽和重炭酸ナトリウムによって注意深くクエンチした。混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。揮発物を真空中で除去して粗油を得、それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5:1~1:1のn-ヘキサン:酢酸エチル)により精製して、α,β-不飽和ケトンを得た(収率60~76%)。化合物9-2、9-8、10-1、及び10-2を含む、本明細書に記載される化合物を、一般的な方法に従って調製した。これらの化合物の各々の特性を以下に提供する。
(3E,5E)-1-シクロプロピル-3,5-ビス(3-メトキシベンジリデン)ピペリジン-4-オン(9-2)。
Figure 0007495138000037
黄色の粉末。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.75(s、2H)、7.36(t、J=8.0Hz、2H)、7.03(d、J=8.0Hz、2H)、6.96(s、2H)、6.93(d、J=8.0Hz、2H)、3.99(s、4H)、3.85(s、6H)、1.96~1.91(m、1H)、0.51~0.47(m、2H)、及び0.41~0.38(m、2H);13C NMR(100MHz、CDCl):187.6、159.7、136.7、136.4、133.8、129.7、123.0、116.1、114.7、54.0、51.3、38.1、及び6.9;MS(ESI)[M+H]376.5。
(3E,5E)-1-シクロプロピル-3,5-ビス(ピリジン-3-イルメチレン)ピペリジン-4-オン(9-8)。
Figure 0007495138000038
オレンジ色の粉末。H NMR(400MHz、CDCl):δ8.67(s、2H)、8.59(d、J=4.8Hz、2H)、7.73(s、2H)、7.70(d、J=8.0Hz、2H)、7.37(dd、J=8.0、4.8Hz、2H)、3.99(s、4H)、1.99~1.94(m、1H)、0.58~0.51(m、2H)、及び0.47~0.42(m、2H);13C NMR(100MHz、CDCl):187.2、151.2、149.9、137.3、135.8、132.4、131.1、123.6、55.8、40.1、及び6.9;MS(ESI)[M+H]318.5。
(3E,5E)-1-イソペンチル-3,5-ビス(2-メトキシベンジリデン)ピペリジン-4-オン(10-1)。
Figure 0007495138000039
化合物10-1を塩酸塩(黄色の粉末)として調製した。H NMR(400 MHz、CDCl):δ13.19(br、1H)、8.36(s、2H)、7.45(t、J=7.3Hz、2H)、7.10(d、J=6.6Hz、2H)、7.03(t、J=7.3Hz、2H)、6.97(d、J=8.3Hz、2H)、4.49(d、J=15.6Hz、2H)、4.28(d、J=15.6Hz、2H)、3.88(s、6H)、2.87~2.82(m、2H)、1.43(セプテット、J=6.6Hz、1H)、1.30(td、J=7.6、6.6Hz、2H)、及び0.70(d、J=6.6Hz、6H);13C NMR(100MHz、CDCl):182.2、158.2、141.4、132.5、130.5、124.1、122.2、120.9、111.3、55.7、50.8、49.6、32.8、26.0、及び22.1;MS(ESI)[M+H]406.5。
(3E,5E)-1-イソペンチル-3,5-ビス(3-メトキシベンジリデン)ピペリジン-4-オン(10-2)。
Figure 0007495138000040
化合物10-2を塩酸塩(黄色の粉末)として調製した。H NMR(400 MHz、CDCl):δ13.46(br、1H)、8.17(s、2H)、7.40(t、J=8.0Hz、2H)、7.01(dd、J=8.0、2.3Hz、2H)、6.89(d、J=8.0Hz、2H)、6.86(d、J=2.3Hz、2H)、4.59(d、J=15.6Hz、2H)、4.48(d、J=15.6Hz、2H)、3.84(s、6H)、2.89~2.84(m、2H)、1.46(セプテット、J=6.6Hz、1H)、1.37(td、J=7.6、6.6Hz、2H)、及び0.72(d、J=6.6 Hz、6H);13C NMR(100MHz、CDCl):181.8、160.0、144.8、134.3、130.4、123.9、122.2、116.3、116.1、55.5、50.5、50.2、32.7、26.0、及び22.1;MS(ESI)[M+H]406.5。
実施例2:心筋梗塞後の心臓保護の促進及び修復
本明細書のデータは、心筋梗塞後の本明細書に記載される化合物の投与が、心臓の保護及び修復を促進することを示す。他の機能の中で、代表的な化合物は、梗塞サイズの増加、心肥大、及びコラーゲン沈着を予防した。化合物は、心臓の梗塞後の機能を著しく改善した。化合物はまた、血管新生を増加させ、心臓のβ酸化を促進し、拡張型心筋症に関連する代謝産物であるメチルグルタリルカルニチンのレベルを著しく減少させた。
方法
すべての動物研究及びプロトコルは、Baylor College of MedicineのInstitutional Animal Care and Use Committeeにより承認され、実験動物の管理及び使用に関する国立衛生研究所のガイドラインに厳密に準拠して実行した。成体(8~10週齢)ICR(CD1)マウスをすべての研究に使用した。
成体マウスの心不全のモデル.8~10週齢のマウスにおいて心筋梗塞(MI)を誘発するために、左動脈前下行枝(LAD)を永久結紮した。簡潔には、マウスに2%イソフルランで麻酔し、次いで挿管した。4番目または5番目の肋間隙を通して開胸術を行うことによって心臓を露出させ、8-0ナイロン縫合糸をLAD動脈の周りに結んだ。力価9×10pfu/mlの10ulのアデノウイルスSRC-3(Ad-SRC-3)またはアデノウイルスGFP(Ad-GFP)を、左室下行冠動脈近くの前自由壁に注射した。細胞周期侵入を評価するために、類似体5-エチニル-2’-デオキシウリジン(EdU;0.2g/L、Santa Cruz、SC-284628A)を、9日間の実験期間飲料水に添加した。Click-iT EdUキット(Invitrogen、C10339)を使用して細胞増殖を測定した。MCB-613の初回用量は、手術の2時間後に20mg/kgで腹腔内投与した。その後、同じ用量の注射をさらに6日間行い、次いで、9週目及び16週目に3日間繰り返し用量を与えた。分析のために示された時点でマウスを採取した。
心エコー図.心臓機能は、心エコー図(VisualSonics、Vevo 2100、40Mhz-550Sプローブ)によって決定した。乳頭筋と横方向のBモードでアラインメントした後、Mモード画像で心臓機能を測定した。
組織学的分析.心臓全体を10%ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋し、7μm間隔で切片化した。各スライドには3または10の切片があり、頂点から始まり、縫合結紮部位で終了した(約30~50のスライド)。乳頭レベルの切片(スライド20~30)をピクロシリウスレッドで染色して、線維症の領域を特定した。梗塞サイズは、長さベースのアプローチを使用して決定された。
免疫染色分析.免疫組織化学及び免疫蛍光染色実験を、FFPE(ホルマリン固定及びパラフィン包埋切片)で行った。アポトーシス細胞を検出するためのTUNEL染色は、DeadEnd(商標)Fluorometric TUNEL Systemの製造業者のプロトコル(Promega、GS3250)を使用して行った。
単一細胞転写プロファイリングのための心臓細胞の単離.頸椎脱臼の前に、マウスを麻酔の手術面の下に置いた。心臓を取り出し、細胞を、1mg/mLで15分間、コラゲナーゼを含む、カルシウムを含まないpH7.4のタイロード溶液(130mMのNaCl、74.55mMのKCl、0.5mMのMgCl、0.33mMのNaHPO、0.25mmのHEPES、22mMグルコース)とのランゲンドルフ逆行性灌流によって単離した。次いで、心臓を装置から取り出し、ガラスピペットで粉砕する前に、15mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)を含む同じタイロード緩衝液で細かく刻んだ。次いで、心筋細胞を、300RPMで3分間の分画遠心分離によってペレット化した。次いで、細胞の非心筋細胞集団を含む上清を、70ミクロンフィルターにより濾過し、750Gでペレット化し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の1.1mLの2%ウシ胎児血清(FBS)に再懸濁した。蛍光活性化細胞選別(FACS)の「染色なし対照」のために0.1mLを除去した。残りの1mLを、4ug/mLのカルセインブルー及び10microMのDyeCycleRubyとともにインキュベートし、37℃で10分間インキュベートした。次に、細胞を600Gでスピンダウンし、Sytox Green(30nM)を含む0.5mLの2%FBS/PBSに再懸濁した。次に、FACS Aria iiセルソーターを使用して、Sytox Green-、Calcein+、DyeCycle Ruby+をPBS中の0.4%FBSに細胞を分類した。次に、細胞をペレット化し、PBS中の100uLの0.4%FBSに再懸濁し、カウントして、次いで単一細胞トランスクリプトームプロファイリングのために10x GenomicsChromiumシステムに流した。
代謝プロファイリング.4匹の対照マウス及び4匹のMCB-613処置マウスの心臓を、MI後24時間で単離し、10mM KClで灌流し、液体窒素で急速凍結し、-80℃で保存した。10mgの組織を脂肪酸及びカルニチンについて分析して、3つの正常な肝臓対照試料に正規化された。脂肪酸は、内部標準L-トリプトファンによって正規化され、カルニチンは内部標準L-ゼアチンによって正規化された。
RER、VO、及びVCOの測定.呼吸交換率(RER)、酸素消費量(VO)及び二酸化炭素呼気(VCO)は、マウスが疲労に達するまで、漸増最大運動試験を使用した間接熱量測定によって測定した。
結果
SRC-3の活性化は低い毒性を有する。核内受容体コアクチベーター3(NCOA3)は、ヒトの成体の心臓で、低レベルで発現され、SRC-3の活性化による副作用がほとんどないことを示す。加えて、MCB-613は、インビトロ及びインビボで低い毒性プロファイルを有する。正常なヒトの心臓におけるNCOA3の発現を測定し、約1,000名の剖検ドナーのGTExデータベースから分析した筋肉組織と比較した。図1は、正常なヒトの心臓(左パネル)及び筋肉組織(右パネル)におけるNCOA3の発現を示すグラフを含む。マッピングされた読み取り100万あたりのkb遺伝子長あたりの断片(FPKM)を、y軸に示し、データ点は試料を表す。データは、NCOA3の発現レベルごとに分類される。
SRC-3の発現は、心臓における非心筋細胞の増殖を誘発する。アデノウイルス由来のSRC-3(アデノ-SRC3)を、野生型成体マウスの心臓の左室自由壁に注射した。細胞増殖マーカーとして、5-エチニル-2’-デオキシウリジン処理水(EdU水)をマウスに与えた。9日後に心臓を採取し、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(Dapi)で染色して、核、PCM1心筋細胞マーカー、細胞表面マーカー、小麦胚芽凝集素(WGA)、及び細胞増殖マーカーEdUを特定した。図2は心臓の画像であり、SRC-3の発現が野生型成体マウスの心臓において非心筋細胞の増殖を誘発することを示す。
本明細書に記載される化合物は、心筋梗塞後の心臓機能の早期かつ進行性の喪失から保護する。心筋梗塞後、マウスを本明細書に記載される代表的な化合物で処置した。図3Aは、心筋梗塞後の薬物治療及び心エコー図測定の実験的タイムラインを示す。MCB-613または生理食塩水は、結紮の2時間後、及び24時間ごとにさらに6日間投与した。8週目及び16週目に週に3回繰り返し注射を行った。図3Bに示されるように、心臓重量及び脛骨の長さを10週目に測定した。6匹のマウスに生理食塩水を投与し、7匹のマウスにMCB-613を投与した。P<0.03。左室駆出率を心エコー図によって決定した(n=14、最大12週間;n=3、19週間)(図3C)。反復測定を使用してANOVAによってデータを分析し、平均+/-SEMとして表した。P<0.001。図3Dは、心筋梗塞後に採取され、コラーゲン線維を視覚化するために染色されたマウスの心臓の画像を含む。具体的には、図3Dは、心筋梗塞後10週間での、梗塞境界ゾーンの4倍及び対応する20倍の倍率の乳頭筋のレベルでの断面のピクロシリウスレッド染色を示す。梗塞サイズは長さ%として表される。データは、生理食塩水を投与された対照マウスと比較した、MCB-613処置マウスの梗塞サイズの減少を示す。左室駆出率は、心筋梗塞後に化合物10-1で処置されたマウスの心エコー図によって決定した(図4を参照されたい)。図8は、心筋梗塞後6週間の乳頭筋レベルでの断面のピクロシリウスレッド染色を示す。梗塞サイズは長さ%として表される。データは、生理食塩水を投与された対照マウスと比較した、化合物10-1処置マウスの梗塞サイズの減少を示す。
MCB-613は、心筋梗塞後の心臓の主要及び副次的な非心筋細胞型の変化を誘発する。成体マウスの心臓の非筋細胞について、包括的な単一細胞転写プロファイリングを行った。単一細胞配列決定を、心筋梗塞後10週間で心臓の非心筋細胞で行った。細胞クラスターはtSNE分析によって生成され、遺伝子発現シグネチャーによって特定した。成体マウスの心臓における非筋細胞の包括的な単一細胞転写プロファイリングを示すプロットについては、図5Aを参照されたい。図5Bは、心筋梗塞後のMCB-613で処置した心臓に存在する異なる細胞型を示す。図5Cは、内皮シグネチャーを有する3つの細胞クラスターのベン分析であり、MCB-613が、心筋梗塞後10週間で心臓における2つの異なる内皮細胞集団の内皮細胞成長を刺激することを示している。
MCB-613は、心臓保護カルニチン代謝産物を増加させる。図6Aは、心筋梗塞後24時間のマウスの心臓における長鎖脂肪酸のメタボロミクスを示すヒートマップである。図6Bは、心筋梗塞後のマウスの心臓におけるメチルグルタリルカルニチンのメタボロミクスを示すヒートマップである(完全なセットFDR=1)。ヒートマップは、MCB-613が心臓保護カルニチン代謝産物を増加させ、長鎖脂肪酸のβ酸化を増加させ、メチルグルタリルカルニチンを減少させることを示している。
本明細書に記載される化合物は、SRC固有の転写活性を刺激する。Gal4応答性ルシフェラーゼレポーター(pG5-luc)、及びGal4のDNA結合ドメインと融合したSRC-1、SRC-2、またはSRC-3をコードする構築物(pBIND-SRC-1、pBIND-SRC-2、またはpBIND-SRC-3)でトランスフェクトされたHeLa細胞を、MCB-613、化合物10-1、及び化合物10-2を含む本明細書に記載される化合物による処理に曝露した。図7の上部パネルは、MCB-613がSRCの固有の転写活性を選択的に刺激することを示す。図7の中心パネルは、化合物10-1がSRCの固有の転写活性を選択的に刺激することを示す。図7の下部パネルは、化合物10-2がSRCの固有の転写活性を選択的に刺激することを示す。
化合物10-1は、心筋梗塞後の心臓血管の持久力を改善する。図9は、生理食塩水で処置したマウス(「生理食塩水」;n=3)、MCB-613で処置したマウス(「MCB-613」;n=3)、及び梗塞のない野生型マウス(「WT」;n=2)における漸増最大運動試験の結果を示すグラフを含む。上部パネルは、二酸化炭素の呼気(VCO)を示し、下部パネルは、酸素消費量(VO)を示す。図9から代表的な化合物10-1に示されるように、本明細書に記載される化合物は、心筋梗塞後の心臓血管及び末梢血管の持久力を改善する。
概要
本明細書に提示されるデータによって示されるように、本明細書に記載される化合物は、インビボで血管新生を刺激し、損傷した心筋の機能を改善する。したがって、本明細書に記載される化合物は、慢性創傷の修復及び予防、血管新生の促進、血管疾患における血流の回復、ならびに代謝リモデリングを予防することによる脆弱な心筋の有害な構造リモデリングの抑制に有用な例外的な治療薬である。これらの化合物は、冠動脈不全後の心臓の修復に有用である。
実施例3:ステロイド受容体コアクチベーター刺激因子を使用した心筋梗塞後の心臓保護の促進及び修復
筋細胞の喪失、炎症、線維症、及び心臓駆出率の減少を伴う心臓組織の進行性リモデリングは、心筋梗塞(MI)誘発性心不全の特徴である。MI後の重要な治療目標は、心筋を保護し、梗塞サイズを最小化し、心不全への進行を予防し、機能回復を支持することである。本明細書のデータは、本明細書に記載されるステロイド受容体コアクチベーターの小分子刺激因子が、新しい血管の成長を促進し、MI後の心臓機能を改善することを示す。代表的な化合物を通して示されるように、小分子受容体コアクチベーター刺激因子の投与は、梗塞サイズ、アポトーシス、心肥大、コラーゲン沈着を減少させ、心筋細胞のエネルギー経路を活性化する。単一細胞転写プロファイリングにより、心臓機能の改善に関連する異なる間質細胞型及び転写応答が特定された。本明細書に記載される化合物は、MI後の心臓機能の早期かつ進行性の喪失を予防するための新規の治療選択肢を掲示する。
方法
動物.すべての動物研究及びプロトコルは、Baylor College of MedicineのInstitutional Animal Care and Use Committeeにより承認され、実験動物の管理及び使用に関する国立衛生研究所のガイドラインに厳密に準拠して実行した。成体(8~10週齢)ICR(CD1)マウスをすべての研究に使用した。
小分子刺激因子治療のための血管新生アッセイ.5~7日齢の特定病原体除去(SPF)認定受精鶏卵(白いレグホン)を使用して、絨毛尿膜(CAM)にアクセスした。CAMの総血管面積は、薬物の適用前に得られた画像を使用して測定した。0.6μMの濃度のMCB-613(100μL)をCAMの表面に局所的に適用した。CAMの血管面積を、薬物の毎日の適用後、毎日モニタリングした。実験中を通してビヒクル対照を維持した。治療を4日間継続し、その終了時に画像閾値法(ImageJ)を使用してCAMの総血管面積を定量化した。血管面積における成長パーセントを、対照卵及び処理卵について比較した。条件ごとにn=6個の卵。この実験を3回繰り返した。
薬物処置されたマウス胚性線維芽細胞(MEF)を用いた血管新生アッセイ.5~7日齢のSPF認定受精鶏卵(白いレグホン)を使用して、絨毛尿膜(CAM)にアクセスした。マウスの胚性線維芽細胞(MEF)を、0.6μMのMCB-613で24時間処理した。処理後、200万個のMEFを、マグネシウム及びカルシウムを含む60μLのPBSならびに40μLのマトリゲル(2M/卵)(Corning Inc.;Corning,NY)に懸濁した。次いで、MEFをピペッティングにより十分に混合し、CAMの表面に移した。CAMの血管面積を、毎日モニタリングした。実験中を通してビヒクル対照を維持した。MEFを、CAM表面で4日間成長させ、その終了時に画像閾値法(ImageJ)を使用してCAMの総血管面積を定量化した。次いで、血管面積における成長パーセントを、対照卵および処理卵(MEF処理対未処理)で比較した。条件ごとにn=6個の卵。
レポーターアッセイ.心臓線維芽細胞を6ウェルプレートに播種し、GAL4応答性ルシフェラーゼレポーター(pG5-luc)及びGAL4 DNA結合ドメイン(GAL4-DBD)完全長SRC-1、-2、もしくは-3融合構築物(pBIND-SRC-1、pBIND-SRC-2、またはpBIND-SRC-3)またはLipofectamine 3000(Invitrogen;Carlsbad,CA)を使用したpBIND対照の発現ベクターでトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を6μMのMCB-613またはジメチルスルホキシド(DMSO)で処理し、一晩インキュベートした。処理後の細胞を溶解し、Promegaルシフェラーゼアッセイシステム(Promega Life Sciences;Madison,WI)を使用して総タンパク質を単離した。タンパク質濃度は、ブラッドフォードアッセイ(Bio-Rad Laboratories;Hercules,CA)を使用して測定した。相対光単位を測定し、総タンパク質濃度に対して正規化した。
成体マウスの心不全のモデル.8~10週齢のマウスにおいてMIを誘発するために、左動脈前下行枝(LAD)を永久結紮した。簡潔には、マウスに2%イソフルランで麻酔し、次いで挿管した。4番目または5番目の肋間隙を通して開胸術を行うことによって心臓を露出させ、8-0ナイロン縫合糸をLADの周りに結んだ。MCB-613の初回用量は、手術の2時間後に20mg/kgで腹腔内投与した。その後、その日の同じ時刻に同じ用量の注射をさらに6日間行い、次いで、9週目及び16週目に3日間繰り返し用量を与えた。分析のために示された時点でマウスを採取した。
心エコー図.心臓機能は、心エコー図(VisualSonics、Vevo 2100、40Mhz-550Sプローブ)によって決定した。乳頭筋と横方向のBモードでアラインメントした後、Mモード画像で心臓機能を測定した。図11Aの心臓機能についての動物数は、0日目の対照(17);MCB-613(15)、1日目の対照(10);MCB-613(12)、14日目のビヒクル(19);対照(19)、56日目の対照(12);MCB-613(15)、70日目の対照(8);MCB-613(10)、80日目の対照(8);MCB-613(11)、133日目の対照(3);及びMCB-613(3)である。
組織学的分析.心臓全体を10%ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋し、7μm間隔で切片化した。各スライドには3~10の切片があり、頂点から始まり、縫合結紮部位で終了した(約30~50のスライド)。乳頭レベルの切片(スライド20~30)をピクロシリウスレッドで染色して、線維症の領域を特定した。梗塞サイズは、長さベースのアプローチを使用して決定された。アポトーシス細胞を検出するためのTUNEL染色は、DeadEnd(商標)Fluorometric TUNEL System(Promega、GS3250)を使用して行った。
電子顕微鏡法.動物を屠殺し、心臓を素早く取り出し、冷一次固定液(2%パラホルムアルデヒド+2.5%グルタルアルデヒド+0.1Mカコジル酸緩衝液中の2mM CaCl、pH 7.4)に直接入れ、それらを断面で切片化し、次いで、冷一次固定液中で4日間保持した。固定後、組織を0.1Mカコジル酸緩衝液中の0.1%タンニン酸で染色し、すすぎ、1時間浸透させた、その後、組織をdHO中ですすぎ、酢酸ウラニル水溶液で対比染色した。再度、組織をdHO中ですすぎ、次いで、エタノールの勾配系列(50、70、80、90、95、及び100%)で脱水した。プラスチック樹脂のエタノールへの希釈をそれぞれ増加させながら、100%のプラスチックに達するまで、組織を4日間の期間かけてゆっくりと浸潤させた。100%のプラスチックを3回交換して丸一日浸透させた後、組織を作りたてのSpurrの低粘度樹脂に包埋し、60℃で一晩重合した。ライカUC7ウルトラミクロトームを使用して、55~65nmの超薄切片をDiatome Ultra 45ダイヤモンドナイフで切断した。切片を150個の六角メッシュ銅グリッド上に収集し、Hitachi H7500透過型電子顕微鏡で観察した。画像を、AMTXR-16デジタルカメラ及びAMTImage Capture、v602.600.51ソフトウェアを使用して取り込んだ。
心臓細胞の単離.頸椎脱臼の前に、マウスを麻酔の手術面の下に置いた。心臓を取り出し、細胞を、1mg/mLで15分間、コラゲナーゼを含む、カルシウムを含まないpH7.4のタイロード溶液(130mMのNaCl、74.55mMのKCl、0.5mMのMgCl、0.33mMのNaHPO、0.25mmのHEPES、22mMグルコース)とのランゲンドルフ逆行性灌流によって単離した。次いで、心臓を装置から取り出し、ガラスピペットで粉砕する前に、15mg/mLのBSAを含む同じタイロード緩衝液で細かく刻んだ。次いで、心筋細胞を、300RPMで3分間の分画遠心分離によってペレット化した。次いで、細胞の非心筋細胞集団を含む上清を、70ミクロンフィルターにより濾過し、750gでペレット化し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の1.1mLの2%ウシ胎児血清(FBS)に再懸濁した。次いで、蛍光活性化細胞選別(FACS)の「染色なし対照」のために0.1mLの混合物を除去した。残りの1mLの混合物を、4μg/mLのカルセインブルー及び10μMのDyeCycleRubyとともにインキュベートし、37℃で10分間インキュベートした。次に、細胞を600gでスピンダウンし、Sytox Green(30nM)を含む0.5mLの2%FBS/PBSに再懸濁した。次に、FACS Aria iiセルソーターを使用して、Sytox Green-、Calcein+、DyeCycle Ruby+をPBS中の0.4%FBSに細胞を分類した。次に、細胞をペレット化し、PBS中の100μLの0.4%FBSに再懸濁し、カウントし、10x GenomicsChromiumシステムに通した。
単一細胞RNA配列決定.生のfastqファイルを、STARとのアラインメント、フィルタリング、バーコードカウント、及びUMIカウントのためにCell Ranger 2.1.1(10X Genomics)にインポートした。細胞クラスター及び差次的に発現される遺伝子を特定するために、R(バージョン3.4.3)で実装されたSeuratスイートバージョン3.0.0を使用してCell Rangerの結果を分析した。<200または>5,000の固有の遺伝子が発現している細胞、またはミトコンドリアにマッピングしている読み取りの>25%が、品質管理測定として除去された。フィルタリングされたデータを、各試料内で正規化及びスケーリングし、野生型試料と処理済み試料の両方を、統合分析のためにSeuratのアラインメント手順でアラインメントした。Seurat内に組み込まれたウィルコクソンの順位和検定を使用して、細胞型または治療にわたって差次的に発現する遺伝子を特定した。遺伝子オントロジー分析は、超幾何分布を利用して濃縮された経路を特定するpythonで開発されたカスタムコードを使用して行った(P値<0.05)。
梗塞を起こした心臓の細胞間コミュニケーションに対する治療の効果を研究するために、ヒトの精選された推定上のリガンド-受容体対を得た。各細胞型について、P値<0.05及びlog2FC>0.25または<-0.25のフィルターを適用することにより薬物治療の特徴が得られた。細胞間コミュニケーションは、細胞型A及びBを連結することによって構築され、リガンドは細胞型Aで異なって発現されたが、一方で、受容体は細胞型Bで異なって発現される。ネットワークはigraph Rパッケージを使用してプロットされた。
総RNA-Seq分析.配列決定読み取りは、trimGaloreソフトウェアを使用してトリミングした。次に、読み取りは、HISATを使用してヒトゲノムビルドUCSC mm10に対してマッピングしStringTieを使用してGencode遺伝子モデルに対して定量化した。遺伝子発現(FPKM)は、R統計システムを使用して分位数正規化された。腫瘍試料及び正常試料の間で差次的に発現する遺伝子は、p値<0.05及び倍数変化1.25のパラメトリックt検定を使用して決定した。経路濃縮分析は、GSEAソフトウェアパッケージを使用して実施し、調整されたq値で有意性が達成された(q<0.25)。ヒートマップは、pythonでMatplotlib、NumPy、及びSciPyライブラリを使用して生成した。
RNA単離及びqPCR.Qiagen RNA単離キットを使用して、細胞から総RNAを単離した。cDNAを、VILOマスターミックス試薬で調製した。qPCR分析は、Tlr7、Lcn2、及び18sのプライマーを含むTaqmanキットを使用して実施した。
顆粒球の単離.対照またはMCB-613で24時間処理したマウスの後肢から骨髄細胞を単離した。後肢を取り除き、氷冷ハンクス平衡塩溶液(HBSS)(Ca/Mgなし)及び2%FBSに入れた。骨の両端を切断し、26G針を使用して2%FBSを含む氷冷HBSSで骨髄を洗い流した。凝集塊を18G針で砕き、70μmフィルターで濾過し、400gで10分間4℃で遠心分離した。ペレットをRBC溶解緩衝液(BD Biosciences Pharmigen;San Diego,CA)に懸濁し、室温で2分間インキュベートした。HBSS緩衝液(8mL)を添加し、400gで10分間4℃でスピンさせた。トリパンブルー色素排除により生細胞をカウントし、Miltenyi Biotec(Bergisch Gladbach、Germany)のマウス好中球単離キットを使用して骨髄顆粒球を単離した。
フローサイトメトリー及び心臓免疫表現型決定.MI後または偽手術の後24時間の対照及びMCB-613で処置したマウスから単離した心臓及び脾臓を、消化緩衝液:500μLのDNAse I(10mg/ml)、500μlのコラゲナーゼII(50mg/ml)中で、4ml(1倍で約12の脾臓に十分である)のRPMI 1640に消化した。細胞をGentleMacs解離装置に入れ、「IMPC_step2」で2回実行し、25℃で15分間インキュベートした。「IMPC_step2」プログラムを繰り返し、試料を25℃でさらに15分間インキュベートし、続いて「IMPC_step2」プログラムをもう一度実行した。次いで、400μLの4℃停止緩衝液(1倍PBS、0.1M EDTA)を各試料に添加し、約100gで1秒間遠心分離して、チューブの底に液体を集めた。試料をメッシュフィルターキャップを通して50mLコニカルチューブに濾過した。次いで、チューブを1mLのFAC緩衝液で洗浄し、これもフィルターに通した。心臓の調製物はより粘稠であり、20mLの冷濾過生理食塩水で洗浄した。試料を500gで6分間遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットを1mLの4℃のFACS緩衝液に懸濁した。赤血球(RBC)の溶解及びブロッキングに続いて、単一細胞懸濁液を免疫細胞パネルで染色し、LSR IIフローサイトメーターを使用して定量化した。次いで、脾臓対照の500,000の生存イベントをカウントし、心臓細胞のチューブ全体を記録して分析した。
ウエスタンブロット.乳鉢及び乳棒器具を使用して、冷凍した心臓全体を微粉砕した。約20mgの粉末組織を、300μLの放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)緩衝液に添加し、組織ホモジナイザーを使用してホモジナイズした。次いで、試料をローテータープラットフォーム上で、4℃で1時間インキュベートし、続いて12,000gで10分間遠心分離して、破片を取り除いた。上清を収集し、今後の使用のために-80℃で保管した。タンパク質濃度は、ビシンコニン酸アッセイ(BCA)試薬系を使用して決定した。細胞溶解物については、10%グリセロールを含むNETN緩衝液を使用して細胞を溶解し、総タンパク質を単離した。すべての溶解緩衝液には、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤が補充された。組織溶解物タンパク質(30~50μg)または細胞溶解物タンパク質(50~70 μg)を、4~15%勾配ゲル(Bio-Rad)に充填し、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜に転写した。イムノブロッティングを、SRC-1、SRC-2、SRC-3、アクチン、及びHsp90に対する抗体を使用して実施した。HRP複合体化抗ウサギ及び抗マウス二次抗体を、1:2,500の希釈で使用した。化学発光検出にはPierce ECLを使用した。
チューブ形成アッセイ.心臓線維芽細胞を、DMSOまたは6μMのMCB-613のいずれかで処理した。処理後の24時間、PBSで細胞を2回すすぐことにより薬物を洗い流した。次いで、細胞を内皮細胞増殖培地で24時間コンディショニングした。コンディショニング後、細胞を、成長因子を低減したマトリゲル(10mg/ml)に播種し、一晩チューブを形成させた。翌日、チューブをCalcein AMで染色し、Cytationイメージングシステムを使用して画像化した。
免疫染色.心臓を心臓麻痺性の20mM KCL-PBSで灌流し、次いで、10%中性緩衝ホルマリンで灌流した後、滴下固定してパラフィンワックスに処理した。次いで、切片(7ミクロン)を切り取り、スライド上に配置した。免疫蛍光法は、最初にパラフィンを除去し、次に切片を再水和することによって行った。その後、抗原賦活化を行った(抗原アンマスキング溶液、トリスベース、Vector Labsカタログ番号H-3301;Vector Labs、Burlingame,CA)。切片を0.1%tween20-PBSで透過処理し、1%tween20-PBS中の10%ロバ血清でブロッキングし、次いで、ブロッキング溶液中の一次抗体(1:200ウサギ抗リゾチーム、abcamカタログ番号AB108508;Abcam、Cambridge,United Kingdom)、続いて二次抗体(1:200ロバ抗ウサギ、Alexa 647、Thermo Fisher Scientificカタログ番号A-31573;Thermo Fisher Scientific、Waltham,MA)、次いでローダミン複合体化WGA(1:250 Vector Labsカタログ番号RL-1022)、及びDAPI(1:500 Thermo Fisher Scientificカタログ番号62248)とともにインキュベートした。Zeiss LSM780共焦点顕微鏡で画像を撮影した。LYZ+細胞を、左冠動脈前下行枝閉塞手術の下の左室の心筋全体にまたがるランダム画像から手動でカウントした。n=3つの心臓/群、>10mm画像/心臓、MI手術後24時間。
RER、VO、及びVCO測定.RER、VO、及びVCOは、マウスは疲労に達するまで、漸増最大運動試験を使用した間接熱量測定により測定した。
結果
MCB-613は血管新生を刺激する。特に成体の心臓線維芽細胞における血管新生及び間質応答に対するMCB-613の効果が研究された。SRC-1、2、及び3タンパク質は、10週齢のマウスから単離された成体心臓線維芽細胞で発現された(図10A)。心臓線維芽細胞に、GAL4 DNA結合ドメイン-SRC-1、2、及び3融合タンパク質の発現ベクター、ならびにGAL4応答性ルシフェラーゼレポーターをトランスフェクトして、MCB-613処理後のSRC活性化を測定した(図10B)。SRC-3活性は、MCB-613に応答してSRC-1及びSRC-2よりも大きな程度で誘導され、MCB-613が心臓線維芽細胞のSRC-3活性を優先的に刺激することを示している。機能的には、MCB-613は、インビトロで成体の心臓線維芽細胞のチューブ形成を刺激した(図10C)。インビボでのMCB-613の血管新生の刺激を調査するために、ニワトリ卵血管新生アッセイを行った(図10D)。MCB-613をニワトリの卵に直接投与すると、インビボで血管新生が刺激された。さらに、MCB-613で事前に刺激されたマウス胚性線維芽細胞の導入は、おそらく細胞の非自律的な様式でロバストな血管新生を促進した。理論に拘束されないが、これらの発見は、MCB-613の血管新生の刺激が複数のメカニズムを介して発生し得ることを示す。
MCB-613が虚血誘発性心筋損傷後の回復を改善するかどうかを決定するために、MCB-613またはビヒクル対照を、左冠動脈前下行枝の外科的な永久結紮によって誘発された心筋損傷の2時間後にマウスに投与した。MI後3日間で梗塞境界ゾーンにおいて血管新生の増加が観察され、MCB-613が損傷組織の血管新生を促進し、血管疾患の状況で血流を回復することを示している(図10E)。
MCB-613は、MI後の心臓機能の喪失を防ぐ。マウスの左前頸動脈の外科的結紮は、心臓血管治療介入を試験するために一般的に使用される前臨床MIモデルである。梗塞後の初期及び後期の心臓機能及びリモデリングに対するSRC刺激の役割を調査するために、MIを受けたマウスをMCB-613またはビヒクル対照で処置した。マウスには、MI手術の2時間後及び24時間ごとにさらに6日間、腹腔内注射により20mg/kgのMCB-613または対照ビヒクルを与えた(図11A)。MI後の心臓機能の早期かつ進行性の喪失は、手術前、手術後24時間、2、8、12、及び19週間で心エコー図によって測定された。駆出率は、MI後24時間に対照処置動物で平均30%に減少した。対照的に、MI後2時間にMCB-613で処置されたマウスは、43%の平均駆出率を有し、MCB-613が駆出率の早期減少を防ぎ、脆弱な心筋に対する早期保護を提供したことを示している(図11B)。対照処置マウスの駆出率は24時間後にさらに減少し、MI後19週間で最低であり、経時的な心臓機能の進行性喪失を示している。対照的に、駆出率は、MCB-613の投与後のMI後24時間からMI後19週間まで、40%超に維持され、MCB-613の初期の心筋保護効果が心臓機能の進行性喪失を予防することを示している。8週目及び16週目に3日間繰り返し注射しても駆出率は変化せず、MCB-613が後の時点で心臓機能にそれ以上の影響を与えなかったことを示している。MI後19週間までの心臓機能の維持は、MI後のうっ血性心不全の予防に短期間の早期介入が効果的であり得ることを示す。心臓重量の分析は、MCB-613がMI後12週間でMI誘発性心臓肥大代償性反応を弱めたことを明らかにし(図11C)、心臓機能の維持が心不全の別の重要な特徴の予防と相関していることを示している。次いで、心臓の陽電子放出断層撮影(PET)イメージングを使用して、心筋の生存能力を空間的に評価した。梗塞ゾーンにおける改善された18F-FDG取り込みは、MCB-613がMI後2週間健康な心筋を維持することを示す(図11D)。心臓組織切片をピクロシリウスレッドで染色して、梗塞サイズ及び線維症の程度を評価した(図11E)。MI後12週間で測定された梗塞サイズは、MCB-613処置マウスからの心臓(3%、14%、20%、及び22%)と比較して、対照処置心臓(31%及び44%)においてより大きかった。さらに、心筋細胞はより小さく、梗塞境界ゾーンでの線維症の減少と関連しており、MCB-613が進行性心不全の2つの追加の重要な分子的特徴を防ぐことを示している(図11E)。心臓の代謝機能障害は心不全の一般的な特徴である。SRCは、骨格筋及び心筋を含む組織の多様な代謝要件を調整する。運動を伴う間接熱量測定を行い、対照としてMIを有さない年齢が一致したマウスと比較して、MI後3週間のエネルギー消費に対するMCB-613の影響を判定した(図12)。VCO及びVOは、MCB-613がMI後のマウスにおける運動時のエネルギー利用を改善することができることを示す、MI後3週間のMCB-613処置動物において上昇する。したがって、改善された心臓機能は改善されたエネルギー消費と関連している。MI後72時間の心臓の電子顕微鏡写真は、MCB-613が筋原線維構造の崩壊及び異常なミトコンドリア結晶構造を防ぐことができることを示し、MCB-613が心筋及びミトコンドリアをMI誘発損傷から保護することを示している(図11F)。早期の心筋保護を支持するために、MCB-613はMI後24時間アポトーシスを防ぐ(図11G)。これらの発見は、MCB-613が機能的な心筋を直接維持し、心臓組織の有害なリモデリングを防ぐように作用することを示す。
MCB-613は心筋細胞の損傷応答を防ぐ。心筋リモデリングの緩和及び心臓機能の改善に関連する心筋細胞及び非心筋細胞に特異的なMCB-613転写機能についての洞察を得るために、MI後12週間の対照処置及びMCB-613処置マウスから精製された心臓細胞でトランスクリプトームプロファイリングを行った(図13A)。心筋細胞の差次的遺伝子発現分析は、122個の上方制御された遺伝子及び107個の下方制御された遺伝子が、MI後12週間の心臓機能の改善に関連していることを示す(図13B)。差次的に発現する遺伝子の遺伝子セット濃縮分析は、酸化的リン酸化及び脂肪生成、ならびにアポトーシス及び炎症応答の抑制を表す遺伝子オントロジー分類の強力な濃縮を示し(図13C)、MCB-613が心筋細胞の損傷に関連するシグナル伝達を予防することに加えて心臓のエネルギー利用を改善することさらなる支持を提供する。
MCB-613は炎症性マクロファージを減少させる。単一細胞トランスクリプトームプロファイリングを行い、MI後12週間のMCB-613処置マウスにおける心臓機能の改善に関連する細胞型及び細胞型特異的シグナル伝達応答を特定した。非心筋細胞の代謝的に活性な生単一細胞懸濁液を、ランゲンドルフ灌流後の心臓全体から調製した(図13A)。細胞型の喪失を防ぎ、転写活性への影響を最小化するために、最小限の手順操作を行った。RNA品質管理に合格した2匹の生理食塩水処置マウスからの21,894個の細胞及び2匹のMCB-613処置マウスからの21,474個の細胞の転写プロファイルを、Seurat分析による10x Chromiumプラットフォームを使用して分析した。細胞発現パターン、教師なしクラスタリング、及びSeuratソフトウェア分析を使用した次元削減分析に基づいて15の異なる細胞クラスターを特定した(図13D)。クラスターサイズは101~6,085個の細胞の範囲であった。細胞集団を、既知のマウスの心臓細胞型マーカーに基づいて特定した(図13E)。分析された全細胞の42%で、マクロファージは、MI後12週間の主要な非心筋細胞集団であり、非心筋細胞が10%の造血由来細胞のみで構成されている正常な成体マウスの心臓とは異なる。細胞数の最大の変化の評価は、マクロファージクラスター1及びBリンパ球の数が減少した一方で、心外膜細胞、NK/Tリンパ球、線維芽細胞、及びリンパ管細胞を含む内皮細胞が、MCB-613処置マウスの心臓の細胞数において増加されたことを示す(図13F)。心臓マクロファージ、線維芽細胞、及び内皮細胞集団は、転写の不均一性を示し、それぞれ4、3、及び2個のサブクラスターからなる。心臓線維芽細胞における固有の遺伝子シグネチャーの評価は、Postn(線維芽細胞クラスター2)を発現する損傷反応性線維芽細胞集団の存在を明らかにし、最近報告されたリモデリングされた心臓における「恒常性線維芽細胞」を支持して、クラスター3の線維芽細胞はCompを固有に発現する(図14A)。線維芽細胞クラスター1が固有に濃縮された遺伝子は、血管新生(Bmp4、Ecm1、Ccl11、Pgf)及び細胞外マトリックス組織(Ecm2及びPdgfra)を促進する分泌機能に関与する線維芽細胞亜集団の存在を示す。内皮細胞の転写シグネチャーは、3つの亜集団の存在を示す。内皮クラスター2及びリンパ管内皮細胞は、内皮クラスター1と比較して、それぞれ218及び308個の固有遺伝子の転写活性化の増加を呈し、MI後12週間の心臓維持における異なる役割を示している(図14B)。リンパ管内皮クラスターは、リンパ管内皮遺伝子Prox1及びLyve1の固有の発現により定義される。増加した細胞数に加えて、血管新生促進制御因子HIF1A及びLrg1ならびにリンパ管新生制御因子Ccl121aの同時発現は、MCB-613がMI後12週間でリンパ管新生を刺激することを示す。初期の心臓遺伝子Mkl2、Tek、及びHand2の固有の発現によって定義される内皮クラスター2の遺伝子発現シグネチャーは、おそらく損傷ストレス応答による、より原始的な細胞状態への転写復帰を示す。理論に拘束されるものではないが、最大の内皮クラスターである内皮クラスター1は、少数の固有の遺伝子、及び任意の関連するGOタームまたはシグナル伝達経路の不在によって特徴付けられる内因性恒常性内皮細胞を表す。4つのマクロファージサブクラスターの転写シグネチャーは明らかに分離可能であった(図14C)。マクロファージの最大の亜集団であるマクロファージクラスター1は、心筋炎症の消散におけるこれらの遺伝子の役割と互換性のあるCcl8、Ccl24、及びLy96を含む炎症性遺伝子シグネチャーの発現によって定義される。クラスター2は、損傷に応答して骨髄に由来する短命の浸潤マクロファージであることが知られている炎症性遺伝子Cxcl1、Ccr2、Ccr5、及びTlr2を発現するCcr2+単球由来マクロファージの集団を表す。対照的に、クラスター3のマクロファージは、組織修復及び筋形成において役割を果たす局所増殖によって維持されることが知られているCcr2マクロファージを増殖する小さな集団の存在を示す110個の細胞周期増殖遺伝子を固有に発現する。クラスター4のマクロファージは、Cd209及びCoro1aを含む食作用の活性化に関与する遺伝子の発現によって特定され、MI後12週間に食作用マクロファージの小さな集団の存在を示している。驚くべきことに、心臓機能維持の改善に関連する細胞集団数のかなり小さな変化は、MCB-613心臓保護が代わりに細胞機能変化の結果である可能性が高いことを示す。
MCB-613は、有益なパラクリンシグナル伝達を促進する。MI後12週間のMCB-613を媒介した心臓機能の改善に関連する間質細胞型の機能的応答を決定するために、トランスクリプトームプロファイルを対照処置マウス及びMCB-613処置マウスの非心筋細胞で比較した(図15A)。細胞集団の転写応答の大きな変動は、MCB-613選択的細胞応答が心臓機能の改善に寄与することを示す。リンパ及び免疫細胞集団からなる細胞のより小さな集団は、最大の薬物誘発性トランスクリプトーム変化を経験した。心臓機能の改善に寄与する潜在的な間質細胞シグナル伝達相互作用を特定するために、MCB-613処置マウスの心臓と比較した対照の心臓の各細胞のリガンド及び受容体間の相互作用の数を計算した(図15B)。相互作用の最も高い頻度は、各線維芽細胞集団のリガンド、1つのマクロファージサブタイプ、及び顆粒球受容体に散布する内皮/SMC集団の間で起こった。顆粒球への間質細胞シグナル伝達のこのパターンは、MI後12週間のMCB-613心臓保護応答における顆粒球機能の広範なパラクリン調節を意味する。リガンド-受容体対合は、MMP9-LRP1、HSP90B1-TLR7、及びSERPINE1-TAURを含む組織構造及び抗炎症シグナル伝達経路の協調的調節を示唆している(図15C)。これを支持して、顆粒球における上方制御及び下方制御された遺伝子シグネチャーの遺伝子セット濃縮分析は、MCB-613が炎症性顆粒球機能を抑制することを示す(図14D)。対照と比較したMCB-613処置マウスの心臓顆粒球における上位の上方制御及び下方制御された遺伝子は、自然防御に関与する顆粒の発現の増加ならびに炎症性シグナル伝達に関与するサイトカイン、酵素、及びケモカインの減少を明らかにする(図15D)。これらの発見は、MCB-613に対する心筋の応答が、改善された心臓機能の根底にある持続的なパラクリン抗炎症性シグナル伝達の状況によって特徴付けられることを示す。
損傷時のMCB-613の投与は、24時間で即時応答をもたらしたため(図11B及び図11E)、MI後24時間の免疫細胞に対するMCB-613の効果を測定した。MI後24時間に心臓全体から単離された単一細胞のFACS分析による免疫表現型決定を使用して、免疫細胞の組成を定量化した。MI後12週間で見られたものと同様に、対照と比較して、B細胞の著しい減少、単球の減少の傾向があり、MCB-613処置マウスからの心臓の顆粒球の割合の変化はなかった(図16A)。次いで、パラクリンシグナル伝達の存在によるMCB-613に対する急性顆粒球転写応答及びMI後12週間の顆粒球におけるロバストな転写応答を測定した。顆粒球は、急性虚血性損傷後に心筋に到達する最初の自然免疫細胞であり、急性心臓発作によって引き起こされる炎症応答の程度、及びその結果として生じる心筋への損傷の程度の重要なメディエーターである。マウスの心臓から十分な量の損傷していない顆粒球を単離することは困難であるため、顆粒球応答を調査するために、MI後24時間の心筋顆粒球応答を反映する骨髄顆粒球を単離した。顆粒球が枯渇した骨髄と比較した顆粒球における顆粒球マーカーS100A9のmRNA発現の上昇は、顆粒球の単離が成功したことを示す(図16B)。MCB-613で処置したマウスからの顆粒球におけるTlr7及びLcn2の発現の増加は、単一細胞トランスクリプトーム分析を支持し、顆粒球機能の調節がMCB-613に対する急性心筋応答に寄与し得ることを明らかにしている。MIの不在下での外科的処置による組織外傷の結果として、MCB-613が骨髄顆粒球におけるTlr7またはLcn2を調節する可能性を制御するために、対照ビヒクルまたはMCB-613の投与による偽手術後24時間のマウスから顆粒球を単離した。細胞数または遺伝子発現の変化は観察されず、顆粒球遺伝子発現の変化が、MCB-613を媒介した心筋損傷応答の結果であることを示している。顆粒球における強力なトランスクリプトーム応答のMCB-613誘導は、好中球顆粒が化合物のMI後の炎症作用を調節することができることを示す。これを支持して、LYZ1顆粒発現は、MI後24時間の対照動物と比較して、MCB-613処置マウスの心筋において著しく増加した(図16C)。
実施例4:MCB-613、化合物10-1、及び化合物10-2の薬物動態(PK)研究
MCB-613、化合物10-1、及び化合物10-2の薬物動態をCD-1マウスで試験した。3つの化合物の各々をDMSO(20mg/mL)に溶解し、30%ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンと1:9の比率で混合し、CD-1マウスに強制飼養により腹腔内(ip)または経口(po)で投与した。化合物の投与後、血液試料(化合物あたり3匹のマウス)を9つの時点、すなわち5分、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、及び24時間で、尾静脈から採取した。これらの血液試料から血漿を単離し、化合物の血漿濃度をHPLC-MS/MSによって決定した。薬物動態パラメータは、Zhang et al.,Computer Methods and Programs in Biomedicine,99:306-314(2010)に記載されているように、薬物動態及び薬力学データ分析の分析に使用するアドインプログラムであるプログラムPKSolverを使用して計算した。結果は表1及び2に要約し、半減期(t1/2)、終末相半減期(終末相t1/2)、最大濃度が到達された化合物の投与後の時間(t最大)、観察された化合物の最大濃度(C最大)、最後の測定可能な濃度までの曲線下面積(AUC0-t)、無限時間までの曲線下面積(AUC0-inf)、及び化合物のクリアランス速度(Cl)を含む。
表1は、MCB-613、化合物10-1、及び化合物10-2がCD-1マウスに腹腔内投与された上記の研究からの薬物動態データを含む。
Figure 0007495138000041
表2は、MCB-613、化合物10-1、及び化合物10-2がCD-1マウスに経口投与された上記の研究からの薬物動態データを含む。
Figure 0007495138000042
薬物動態データも図17に示す。図17のグラフは、経時的に測定された平均血漿濃度を示す。グラフの上部の列は、MCB-613(左上のグラフ)、化合物10-1(上部中心のグラフ)、及び化合物10-2(右上のグラフ)がCD-1マウスに腹腔内投与された上記の研究からの薬物動態データを示す。グラフの下部の列は、MCB-613(左下のグラフ)、化合物10-1(下部中心のグラフ)、及び化合物10-2(右下のグラフ)がCD-1マウスに経口投与された上記の研究からの薬物動態データを示す。
添付の特許請求の範囲の化合物及び方法は、本明細書に記載される特定の化合物及び方法によって範囲が限定されるものではなく、それは、特許請求の範囲のいくつかの態様の例示として意図されており、機能的に同等である任意の化合物及び方法は、この開示の範囲内である。本明細書に示され、かつ記載される修正に加えて、化合物及び方法の様々な修正が、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。さらに、ある特定の代表的な化合物、方法、ならびにこれらの化合物及び方法の態様のみが具体的に記載されているが、一方で、他の化合物及び方法は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。したがって、ステップ、要素、構成要素、または構成物の組み合わせは、本明細書で明示的に言及することができるが、しかしながら、明示的に記載されていない場合でも、ステップ、要素、構成要素、及び構成物の他のすべての組み合わせが含まれる。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
以下の式の化合物、
Figure 0007495138000043

またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグであって、式中、
、A 、A 、A 、A 、A 、A 、A 、A 、及びA 10 が各々独立して、CR 及びNから選択され、各R が、水素、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C 1-6 アルキルであり、
が、置換もしくは非置換シクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルである、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
(項目2)
前記化合物が、以下の式を有し、
Figure 0007495138000044

式中、
m及びnが各々独立して、1、2、3、4、または5である、項目1に記載の化合物。
(項目3)
前記化合物が、以下の式を有し、
Figure 0007495138000045

式中、
m及びnが各々独立して、1、2、3、または4である、項目1に記載の化合物。
(項目4)
前記化合物が、以下の式を有し、
Figure 0007495138000046

式中、
m及びnが各々独立して、1、2、3、または4である、項目1に記載の化合物。
(項目5)
前記化合物が、以下の式を有し、
Figure 0007495138000047

式中、
m及びnが各々独立して、1、2、3、または4である、項目1に記載の化合物。
(項目6)
が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルからなる群から選択される、項目1~5のいずれか1項に記載の化合物。
(項目7)
前記化合物が、
Figure 0007495138000048

である、項目1に記載の化合物。
(項目8)
前記化合物が、
Figure 0007495138000049

である、項目1に記載の化合物。
(項目9)
Figure 0007495138000050

からなる群から選択される、化合物、
またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
(項目10)
対象において虚血性損傷を治療するための方法であって、
有効量の以下の式の化合物、
Figure 0007495138000051

またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを前記対象に投与することを含み、式中、
、A 、A 、A 、A 、A 、A 、A 、A 、及びA 10 が各々独立して、CR 及びNから選択され、各R が、水素、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C 1-6 アルキルであり、
Xが、NR 、CR 、またはOであり、R 、R 、及びR が各々独立して、水素、置換もしくは非置換C 1-6 アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、及び置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される、前記方法。
(項目11)
前記化合物が、
Figure 0007495138000052

からなる群から選択される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記虚血性損傷が、心筋梗塞または脳卒中を含む、項目10または11に記載の方法。
(項目13)
虚血性損傷に罹患した対象を選択することをさらに含み、前記虚血性損傷が、心筋梗塞または脳卒中を含む、項目10~12のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
心筋梗塞に罹患した対象において心筋梗塞サイズを低減する方法であって、
有効量の以下の式の化合物、
Figure 0007495138000053

またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを前記対象に投与することを含み、式中、
、A 、A 、A 、A 、A 、A 、A 、A 、及びA 10 が各々独立して、CR 及びNから選択され、各R が、水素、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C 1-6 アルキルであり、
Xが、NR 、CR 、またはOであり、R 、R 、及びR が各々独立して、水素、置換もしくは非置換C 1-6 アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、及び置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される、前記方法。
(項目15)
前記化合物が、
Figure 0007495138000054

からなる群から選択される、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記心筋梗塞サイズが、心筋梗塞に罹患した未治療の対象における心筋梗塞サイズと比較して、少なくとも5%低減される、項目14または15に記載の方法。
(項目17)
前記心筋梗塞サイズが、心筋梗塞に罹患した未治療の対象における心筋梗塞サイズと比較して、少なくとも15%低減される、項目14~16のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
心筋梗塞または脳卒中に罹患した対象において、心筋細胞の喪失を予防もしくは低減し、心臓血管灌流を改善し、及び/または中枢神経系血管灌流を改善する方法であって、
有効量の以下の式の化合物、
Figure 0007495138000055

またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを前記対象に投与することを含み、式中、
、A 、A 、A 、A 、A 、A 、A 、A 、及びA 10 が各々独立して、CR 及びNから選択され、各R が、水素、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C 1-6 アルキルであり、
Xが、NR 、CR 、またはOであり、R 、R 、及びR が各々独立して、水素、置換もしくは非置換C 1-6 アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、及び置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される、前記方法。
(項目19)
前記化合物が、
Figure 0007495138000056

からなる群から選択される、項目18に記載の方法。
(項目20)
対象における心血管機能及び/または中枢神経系血管機能を改善するための方法であって、
有効量の以下の式の化合物、
Figure 0007495138000057

またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを前記対象に投与することを含み、式中、
、A 、A 、A 、A 、A 、A 、A 、A 、及びA 10 が各々独立して、CR 及びNから選択され、各R が、水素、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C 1-6 アルキルであり、
Xが、NR 、CR 、またはOであり、R 、R 、及びR が各々独立して、水素、置換もしくは非置換C 1-6 アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、及び置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される、前記方法。
(項目21)
前記化合物が、
Figure 0007495138000058

からなる群から選択される、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記対象が、虚血性損傷に罹患している、項目20または21に記載の方法。
(項目23)
前記虚血性損傷が、心筋梗塞または脳卒中である、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記対象が、高齢の対象である、項目20または21に記載の方法。
(項目25)
対象において創傷治癒を促進する方法であって、有効量の以下の式の化合物、
Figure 0007495138000059

またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを前記対象に投与することを含み、式中、
、A 、A 、A 、A 、A 、A 、A 、A 、及びA 10 が各々独立して、CR 及びNから選択され、各R が、水素、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C 1-6 アルキルであり、
Xが、NR 、CR 、またはOであり、R 、R 、及びR が各々独立して、水素、置換もしくは非置換C 1-6 アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、及び置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される、前記方法。
(項目26)
前記化合物が、
Figure 0007495138000060

からなる群から選択される、項目25に記載の方法。
(項目27)
対象における肥大型心筋症を治療または予防するための方法であって、
有効量の以下の式の化合物、
Figure 0007495138000061

またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを前記対象に投与することを含み、式中、
、A 、A 、A 、A 、A 、A 、A 、A 、及びA 10 が各々独立して、CR 及びNから選択され、各R が、水素、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C 1-6 アルキルであり、
Xが、NR 、CR 、またはOであり、R 、R 、及びR が各々独立して、水素、置換もしくは非置換C 1-6 アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、及び置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される、前記方法。
(項目28)
前記化合物が、
Figure 0007495138000062

からなる群から選択される、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記対象が、虚血性損傷に罹患している、項目27または28に記載の方法。
(項目30)
前記虚血性損傷が、心筋梗塞または脳卒中である、項目29に記載の方法。

Claims (19)

  1. 以下の式の化合物、
    Figure 0007495138000063

    またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
    及びAが各々独立して、CRから選択され、各Rが、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、
    及びA10が各々独立して、C 1’ から選択され、 1’ が、水素、シアノ、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、
    が、置換もしくは非置換シクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、ここで、Rはシクロヘキシルではなく、
    ここで、「置換」は、ヒドロキシル、ハロゲン、またはカルボキシル基で置換されることを意味する、
    前記化合物、またはその薬学的に許容される塩。
  2. が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルからなる群から選択される、請求項に記載の化合物。
  3. 前記化合物が、
    Figure 0007495138000064

    である、請求項1に記載の化合物。
  4. Figure 0007495138000065

    からなる群から選択される、化合物、
    またはその薬学的に許容される塩。
  5. 対象において虚血性損傷を治療するための方法における使用のための組成物であって、
    1)以下の式の化合物、
    Figure 0007495138000066

    またはその薬学的に許容される塩(式中、
    及びAが各々独立して、CRから選択され、各Rが、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、
    及びA10が各々独立して、C 1’ から選択され、 1’ が、水素、シアノ、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、
    が、置換もしくは非置換シクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、ここで、Rはシクロヘキシルではない);あるいは
    2)
    Figure 0007495138000067

    からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩
    を含み、
    ここで、「置換」は、ヒドロキシル、ハロゲン、またはカルボキシル基で置換されることを意味する、
    組成物。
  6. 前記虚血性損傷が、心筋梗塞または脳卒中を含む、請求項に記載の組成物。
  7. 前記方法が、虚血性損傷に罹患した対象を選択することをさらに含み、前記虚血性損傷が、心筋梗塞または脳卒中を含む、請求項5~6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 心筋梗塞に罹患した対象において心筋梗塞サイズを低減するための組成物であって、
    1)以下の式の化合物、
    Figure 0007495138000068

    またはその薬学的に許容される塩(式中、
    及びAが各々独立して、CRから選択され、各Rが、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、
    及びA10が各々独立して、C 1’ から選択され、 1’ が、水素、シアノ、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、
    が、置換もしくは非置換シクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、ここで、Rはシクロヘキシルではない);あるいは
    2)
    Figure 0007495138000069

    からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、
    ここで、「置換」は、ヒドロキシル、ハロゲン、またはカルボキシル基で置換されることを意味する、
    組成物。
  9. 前記心筋梗塞サイズが、心筋梗塞に罹患した未治療の対象における心筋梗塞サイズと比較して、少なくとも5%低減される、請求項に記載の組成物。
  10. 前記心筋梗塞サイズが、心筋梗塞に罹患した未治療の対象における心筋梗塞サイズと比較して、少なくとも15%低減される、請求項8~9のいずれか1項に記載の組成物。
  11. 心筋梗塞または脳卒中に罹患した対象において、心筋細胞の喪失を予防もしくは低減し、心臓血管灌流を改善し、及び/または中枢神経系血管灌流を改善するための組成物であって、
    1)以下の式の化合物、
    Figure 0007495138000070

    またはその薬学的に許容される塩(式中、
    及びAが各々独立して、CRから選択され、各Rが、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、
    及びA10が各々独立して、C 1’ から選択され、 1’ が、水素、シアノ、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、
    が、置換もしくは非置換シクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、ここで、Rはシクロヘキシルではない);あるいは
    2)
    Figure 0007495138000071

    からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩
    を含み、
    ここで、「置換」は、ヒドロキシル、ハロゲン、またはカルボキシル基で置換されることを意味する、
    組成物。
  12. 対象における心血管機能及び/または中枢神経系血管機能を改善するための組成物であって、
    1)以下の式の化合物、
    Figure 0007495138000072

    またはその薬学的に許容される塩(式中、
    及びAが各々独立して、CRから選択され、各Rが、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、
    及びA10が各々独立して、C 1’ から選択され、 1’ が、水素、シアノ、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、
    が、置換もしくは非置換シクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、ここで、Rはシクロヘキシルではない);あるいは
    2)
    Figure 0007495138000073

    からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩
    を含み、
    ここで、「置換」は、ヒドロキシル、ハロゲン、またはカルボキシル基で置換されることを意味する、
    組成物。
  13. 前記対象が、虚血性損傷に罹患している、請求項12に記載の組成物。
  14. 前記虚血性損傷が、心筋梗塞または脳卒中である、請求項13に記載の組成物。
  15. 前記対象が、高齢の対象である、請求項12に記載の組成物。
  16. 対象において創傷治癒を促進するための組成物であって、
    1)以下の式の化合物、
    Figure 0007495138000074

    またはその薬学的に許容される塩(式中、
    及びAが各々独立して、CRから選択され、各Rが、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、
    及びA10が各々独立して、C 1’ から選択され、 1’ が、水素、シアノ、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、
    が、置換もしくは非置換シクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、ここで、Rはシクロヘキシルではない);あるいは
    2)
    Figure 0007495138000075

    からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩
    を含み、
    ここで、「置換」は、ヒドロキシル、ハロゲン、またはカルボキシル基で置換されることを意味する、
    組成物。
  17. 対象における肥大型心筋症を治療または予防するための組成物であって、
    1)以下の式の化合物、
    Figure 0007495138000076

    またはその薬学的に許容される塩(式中、
    及びAが各々独立して、CRから選択され、各Rが、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、
    及びA10が各々独立して、C 1’ から選択され、 1’ が、水素、シアノ、または置換もしくは非置換C1-6アルキルであり、
    が、置換もしくは非置換シクロアルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルであり、ここで、Rはシクロヘキシルではない);あるいは
    2)
    Figure 0007495138000077

    からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、
    ここで、「置換」は、ヒドロキシル、ハロゲン、またはカルボキシル基で置換されることを意味する、
    組成物。
  18. 前記対象が、虚血性損傷に罹患している、請求項17に記載の組成物。
  19. 前記虚血性損傷が、心筋梗塞または脳卒中である、請求項18に記載の組成物。
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