JP7493133B1 - 自動車用サブフレーム構造およびその補剛部品 - Google Patents

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Abstract

サブフレームの剛性を向上させることができ、車体重量の増加を最小限に抑えることができる自動車用サブフレーム構造を提案する。自動車の車体前後方向に延在する中空の部材からなり、サスペンションアームの連結部を有する左右一対のサイドメンバと、自動車の車体左右方向に延在する中空の部材からなり、前記左右一対のサイドメンバに対してそれらと交差する方向に結合する2本以上のクロスメンバと、を備える自動車用サブフレーム構造であって、前記クロスメンバの各々と前記サイドメンバの各々との結合部の近傍の該クロスメンバの内部に補剛部品が設置され、前記補剛部品は、前記クロスメンバの断面の全てまたは一部を塞ぐ断面補剛部と、前記クロスメンバの上板または下板の内面および左右壁板の少なくとも一方の内面に添う形状を持つ板面補剛部と、を有する。

Description

本発明は、自動車の車体下部に設置されてサスペンションアームと車体とを連結するサブフレームの構造およびそこに用いられる補剛部品に関するものである。
自動車の車体にはその下部に、車輪を支持するサスペンションアームと車体とを連結するサブフレームが設置されたものがある。サブフレームは一般的に、車体前後方向に延在する2本のサイドメンバに車体左右方向に延在する2本のクロスメンバが結合された井桁状か、前方のクロスメンバがないH型の構造をとる。サイドメンバとクロスメンバは必ずしも別体で形成されて互いに結合されている必要はなく、一体の部品となっている場合もある。
サブフレームは、サスペンションの動作に伴いサスペンションアームから入力される荷重によって変形を生じるため、高い剛性が求められる。サブフレームの高剛性化は、乗り心地の向上に繋がり自動車の価値を向上させる。一方でサブフレームは、自動車のエネルギー効率の観点から、軽量であることも求められる。サブフレームの軽量化のためには、板材で成形する場合は板厚を薄くすることが効果的だが、板厚を薄くすると一般に剛性は低下するので、高剛性化と軽量化はトレードオフの関係にある。
また、板厚を薄くすると低下する性能としては、衝突性能、静的強度、疲労強度などがあるが、これらは強度の高い材料を適用することで解決できる。しかし、一般的な金属材料においては高強度化しても弾性係数はほとんど変化しないので、材料の高強度化による高剛性化は期待できない。このため、剛性の確保が困難であることを理由に、軽量化ができない場合がある。そこで、特許文献1,2では、補剛部材モデルの形状最適化解析(トポロジー最適化)により求めた最適な位置に補剛部品を配置することによって、サブフレームの剛性を向上させる方法を提案している。
特許文献1では、各々中空の部材からなるサイドメンバとクロスメンバとで井桁状に形成された自動車のサブフレーム構造において、サイドメンバとクロスメンバとの結合部におけるサイドメンバおよびクロスメンバの内部に、上側と下側とを繋ぐ筒状部材を補剛部品として設置する技術が開示されている。また、特許文献2では、各々中空の部材からなるサイドメンバとクロスメンバとの結合部におけるサイドメンバおよびクロスメンバの内部に、上側と下側とを繋ぐ柱状部を有する樹脂製の補剛部材を充填または設置する技術が開示されている。
さらに、特許文献3では、自動車の車体前部または車体後部のサブフレームにおいて、充電モジュールを組み込むことができるように構成された、ねじり剛性を向上させるための補強構造が開示されている。そして、補強構造は、せん断強さを持つプレートとして構成され、補強構造の材料を切り欠いて設けた開口部に充電モジュールを埋設するものとしている。
さらに、特許文献4では、各々筒状に形成された一対のサイドメンバとクロスメンバとが連結部材で連結され、サイドメンバの高さがクロスメンバよりも高くされたバッテリフレームにおいて、側面衝突に対する曲げ耐力の小さいクロスメンバの端部の脆弱部にその上壁と下壁とを連結する補強部材を設置する技術が開示されている。そして、補強部材としては、上壁と下壁を貫通する連結棒、または断面形状が略矩形の筒状の鋼板製部材で構成され上壁と下壁の内周面に沿って溶接されるバルクを設置するとしている。
特開2020-083018号公報 特開2020-075656号公報 特許第5822896号公報 特開2013-035410号公報
特許文献1,2記載の方法では新たな部品を大量に追加することから、製造コストを増加させてしまうという課題があった。また、特許文献3の補強構造は、開口部を有するせん断強さを持つプレートで構成されるので、サブフレームのねじり剛性を向上させるが、車体重量を増加させてしまうという課題があった。そして特許文献4記載の方法では、側面衝突に対するクロスメンバの屈曲は抑制できるが、バッテリフレームの車両上下方向のねじり剛性や車体左右方向の曲げ剛性を十分に向上させることができないという課題があった。
そこで本発明は、クロスメンバの一部のみに補剛箇所を限定することにより部品点数の増加を最小限に抑えた上で補剛箇所の剛性を向上させ、車体重量の増加を最小限に抑えながらサブフレームの剛性を向上させる自動車のサブフレーム構造を提供することを目的とする。さらに本発明は、そのサブフレーム構造に用いられる補剛部品を提供することを目的とする。
本発明者は、閉断面構造のサブフレームの剛性を向上させるために効果的な補剛箇所を鋭意検討した結果、サイドメンバに対してそれらと交差する方向に結合するクロスメンバの、結合部の近傍のクロスメンバ内部を補剛することが重要であることを見出した。さらに、中空の部材からなるクロスメンバの該結合部の近傍の断面変形を抑制することが、サブフレームの剛性向上に効果的であることを見出した。
上述した本発明者の知見に基づいて従来の課題を解決する本発明の自動車用サブフレーム構造は、
自動車の車体前後方向に延在する中空の部材からなり、サスペンションアームの連結部を有する左右一対のサイドメンバと、
自動車の車体左右方向に延在する中空の部材からなり、前記左右一対のサイドメンバに対してそれらと交差する方向に結合する2本以上のクロスメンバと、
を備える自動車用サブフレーム構造であって、
前記クロスメンバの各々と前記サイドメンバの各々との結合部の近傍の該クロスメンバの内部に補剛部品が設置され、
前記補剛部品は、前記クロスメンバの断面の全てまたは一部を塞ぐ断面補剛部と、前記クロスメンバの上板または下板の内面および左右壁板の少なくとも一方の内面に添う形状を持つ板面補剛部と、を有することを特徴とするものである。
なお、本発明の自動車用サブフレーム構造においては、前記サイドメンバの各々と、前記クロスメンバの何れか1本以上が、引張強度が590MPa級以上の高強度鋼板で形成されていると、鋼板の薄肉化によりサブフレーム構造を軽量化できるので好ましい。また本発明の自動車用サブフレーム構造においては、前記補剛部品は引張強度が270MPa級以上で440MPa級以下の鋼板で形成されていると、補剛部品を安価かつ容易に製造できるので好ましい。
そして、上述した本発明者の知見に基づいて従来の課題を解決する本発明の自動車用サブフレーム構造の補剛部品は、
自動車の車体前後方向に延在する中空の部材からなり、サスペンションアームの連結部を有する左右一対のサイドメンバと、
自動車の車体左右方向に延在する中空の部材からなり、前記左右一対のサイドメンバに対してそれらと交差する方向に結合する2本以上のクロスメンバと、
を備える自動車用サブフレーム構造に用いられる補剛部品であって、
前記クロスメンバの各々と前記サイドメンバの各々との結合部の近傍の該クロスメンバの内部に設置され、
前記クロスメンバの断面の全てまたは一部を塞ぐ断面補剛部と、前記クロスメンバの上板または下板の内面および左右壁板の少なくとも一方の内面に添う形状を持つ板面補剛部と、を有することを特徴とするものである。
なお、本発明の自動車用サブフレーム構造およびその補剛部品においては、前記補剛部品の板面補剛部は、前記サイドメンバと前記クロスメンバとを結合する前記結合部におけるL字状に湾曲した内側の稜線部を補剛するものであると、前記サイドメンバと前記クロスメンバとが結合されて応力集中が生じやすい前記結合部の変形を抑制し、サブフレーム構造全体の剛性を向上させることができるので好ましい。
かかる本発明の自動車用サブフレーム構造およびその補剛部品によれば、サブフレームの剛性を向上させることができ、それと同時に、変形を抑制することで、衝突性能、静的強度、疲労強度の向上も期待できる。また、従来のサブフレーム構造からの部品点数の増加が最小限に抑えられることで、車体重量の増加を最小限に抑えることができる。そして、従来の補剛方法のように多数の部品や新たな部品を追加する場合に比べてサブフレームへの補剛部品の接合箇所も少なくて済むため、生産性の向上が期待できる。
本発明の一実施形態の自動車用サブフレーム構造を模式的に示す平面図である。 (a)は、本発明の一実施形態の補剛部品を2方向から見た状態で示す斜視図、(b)は、その実施形態の補剛部品を図1に示す実施形態のサブフレーム構造に設置した状況を拡大して示す透視図である。 (a)は、上記実施形態のサブフレーム構造の有限要素法解析モデルでのねじり解析の際の拘束位置と荷重付加位置および方向とを示す説明図、(b)は、上記実施形態のサブフレーム構造の有限要素法解析モデルでの曲げ解析の際の拘束位置と荷重付加位置および方向とを示す説明図である。 サブフレーム構造のクロスメンバの一部、結合部、およびサイドメンバの車体上下方向の上側部分を透視図とし、実施例(発明例)および比較例2~5の補剛部品を示す説明図である。 (a)は、比較例1を基準として実施例および比較例2~5のねじり剛性向上率および曲げ剛性向上率を示す説明図、(b)は、実施例を基準として比較例2~5のねじり剛性向上率および曲げ剛性向上率を示す説明図である。
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。図1は、本発明の一実施形態の自動車用サブフレーム構造を模式的に示す平面図である。図中符号1で示す実施形態のサブフレーム構造は、左右一対のサイドメンバ3と、前後一対の2本のクロスメンバ5とで形成されて、井桁状になっている。
サイドメンバ3は、自動車の車体前後方向に延在する中空の部材からなり、サスペンションアームの連結部9を有している。クロスメンバ5は、自動車の車体左右方向に延在する中空の部材からなり、左右一対のサイドメンバ3に対してそれらと交差する方向に、それらのサイドメンバ3の車体左右方向内側に向けて湾曲する結合部7(L字状に湾曲した部位)で結合されている。結合部7は、サイドメンバ3における車体左右方向内側の稜線部3aと、車体前後方向前側のクロスメンバ5における車体前後方向後方側の稜線部5aと、を繋ぐ湾曲稜線部7aを有する。なお、本発明のサブフレーム構造は、前側のクロスメンバ5がないH型のもの(ラダーフレーム)でもよい。また、上記実施形態のサブフレーム構造1は、サイドメンバ3とクロスメンバ5とが一体の部品となっているが、必ずしも一体の部品である必要はなく、サイドメンバ3とクロスメンバ5が別体で形成されて互いに結合されていてもよい。
図2(a)は、本発明の一実施形態の補剛部品を、上記実施形態のサブフレーム構造1の前側のクロスメンバ5の内部の右側に設置するものを代表例として、異なる2方向から見た状態で示す斜視図、図2(b)は、図中符号11で示す上記実施形態の補剛部品を上記実施形態のサブフレーム構造1の前側のクロスメンバ5の内部の右側に設置した状況を拡大して示す透視図である。補剛部品11は、鋼板を樋状にプレス成形したものであり、板面補剛部11aと断面補剛部11bとを有している。
板面補剛部11aは、結合部7の近傍のクロスメンバ5の上板または下板、図示例では上板の内面の少なくとも一部に添う形状の天板11cおよび傾斜面11eと、クロスメンバ5の左右両壁板の内面の少なくとも一部に添う形状の縦壁11dとを持っている。ここで、縦壁11dおよび傾斜面11eは、結合部7の、L字状の湾曲の内側部分からサイドメンバ3との境界近傍まで続く内面に添う形状を有している。これにより、板面補剛部11aは、サイドメンバ3と前側のクロスメンバ5とを結合する結合部7におけるL字状に湾曲した内側の湾曲稜線部7aを補剛している。また、板面補剛部11aは、クロスメンバ5の車幅方向長さの約15~20%まで延在している。そして、板面補剛部11aは、クロスメンバ5の上板および左右両側壁並びに結合部7のL字状の湾曲の内側部分の内面に溶接または接着剤(樹脂)等によって張り付けられる。この板面補剛部11aは、クロスメンバ5の補剛対象部位の見かけの板厚を向上させることにより、サブフレーム構造1の剛性を向上させることができる。また、貼り付けに接着剤(樹脂)を用い、クロスメンバ5の上板および左右両側壁と補剛部品11の板面補剛部11aとの間に、所定の厚みを有する樹脂を挟み込むことで、補剛対象部位の見かけの板厚を更に向上させることができる。補剛対象部位の見かけの板厚を厚くすると、該当部位の曲げ剛性が高くなるので、単に元部品と板面補剛部11aとの板厚を合計した分以上の剛性が期待できる。さらに、板面補剛部11aは、サイドメンバ3から前側のクロスメンバ5に至るまでの結合部7における湾曲稜線部7aを補剛する。これにより、サイドメンバ3とクロスメンバ5とが接続されて応力集中が生じやすい結合部7の変形を抑制し、サブフレーム構造1全体の剛性を向上させることができる。なお、接着剤(樹脂)の種類については、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂またはエラストマー系樹脂などが挙げられる。
断面補剛部11bは、サイドメンバ3と前側のクロスメンバ5との結合部7の近傍のクロスメンバ5の中空断面の全てまたは一部を塞ぎ、サブフレーム構造1の曲げ変形やねじれ変形を誘発する外力(荷重)が付加された際に、車体前方からの衝突に耐えるよう設計されるサイドメンバ3と比較して強度の低いクロスメンバ5の断面変形を抑制することにより、サブフレーム構造1の全体の剛性を向上させることができる。
補剛部品11を、クロスメンバ5とサイドメンバ3との各結合部7に近傍するクロスメンバ5の部分の内部に設置する理由は、次の通りである。結合部7のように、サイドメンバ3やクロスメンバ5の中間部におけるような大域的な形状が変化する部分(以下、「形状変化部」と称す)では、応力が集中し、形状変化部の前後のサイドメンバ3やクロスメンバ5の部分に比べて変形が発生しやすい。従って、サブフレーム構造1の剛性低下の原因となる。それゆえ、結合部7の近傍の部分を補剛することが重要となる。
また、サイドメンバ3やクロスメンバ5は略矩形断面を有する中空の部材からなるので、サブフレーム構造1に曲げやねじりの荷重が付加された場合、応力集中は略矩形断面の稜線部に生じる。それゆえ、結合部7の断面内の補剛箇所としても、形状変化部つまり稜線部を補剛することが重要である。ここで、稜線部とは、図2(a)に示す補剛部品11では、天板11cと縦壁11dとの間、天板11cと傾斜面11eとの間および、縦壁11dと傾斜面11eとの間の各稜線の総称である。板面補剛部11aは、結合部7の近傍のクロスメンバ5の部分の内周面の全部又は一部に添うような形状を有し、結合部7の近傍のクロスメンバ5の部分の稜線部を内側から覆うように補剛している。
また、図2に示す補剛部品11は、板面補剛部11aと断面補剛部11bとの周縁部同士を溶接して結合することによって、単に板面補剛部11aおよび断面補剛部11bがそれぞれ独立して補剛するよりも高い補剛効果を得ることができる。なお、上記実施形態のサブフレーム構造1では代表例として、前側のクロスメンバ5の内部の右側に補剛部品11を設置しているが、それと同様の構成の補剛部品11を前側のクロスメンバ5の内部の左側にも設置し、さらに後側のクロスメンバ5の内部の左右両側にも設置する。
<材料強度について>
補剛部品11は、サブフレーム構造1の剛性を向上させるためのものであるので、補剛部品11に高強度材を適用する必要はなく、引張強度が270MPa級以上で440MPa級以下であれば材料価格の点でも加工の容易さの点でも好ましい。一方、本実施形態では補剛部品11によりサブフレーム構造1の高剛性化を実現できるので、剛性の観点からはサブフレーム構造1に使用される鋼板の薄肉化が可能となる。サブフレーム構造1をその強度を維持しつつ軽量化するためには、サブフレーム構造1の何れかの部品に引張強度が590MPa級以上の高強度材を使用することが好ましい。高強度材を使用する部品については特に限定されるものでないが、左右一対のサイドメンバ3は強度の観点から板厚が決定されている場合が多いため、衝突強度向上の観点から高強度材を用いることにより、薄肉化が可能である場合が多い。
(解析調査例1)
解析調査例1では、上記実施形態のサブフレーム構造1が一般的なサブフレームの剛性に及ぼす影響を以下のように解析調査した。実施例(発明例)を、図2(a),(b)に示すような補剛部品11を前側のクロスメンバ5の内部の左右および後側のクロスメンバ5の内部の左右に設置した図1のサブフレーム構造1とし、比較例1は補剛部品11を設置していない図1のサブフレーム構造1とした。図2(b)に示す座標軸で、X軸は車体左右方向(正は車体右方側)、Y軸は車体前後方向(正は車体前方側)、Z軸は車体上下方向(正は車体上方側)をそれぞれ示す。
ここで、実施例および比較例1のサブフレーム構造1の左右一対のサイドメンバ3並びに前側および後側のクロスメンバ5は各々、板厚2.0mm、引張強度590MPa級の鋼板製であり、実施例のサブフレーム構造1の各補剛部品11の板面補剛部11aおよび断面補剛部11bは板厚1.0mm、引張強度270MPa級の鋼板製とした。各補剛部品11の長さは、各クロスメンバ5の車体左右方向の長さの約10%とし、各補剛部品11は、各クロスメンバ5の結合部7の近傍部分の内部に熱可塑性系構造用接着剤で接着した。
解析条件は図3(a)に示すねじりおよび図3(b)に示す曲げの2条件として、有限要素法を用いて単位荷重に対する荷重点の変位を求め、変位の逆数を剛性とし、従来部品からの剛性変化率を算出した。図3(a),(b)には、荷重を付加する位置およびサブフレーム構造1を拘束する位置をそれぞれ示す。
図3(a)の「解析条件ねじり」では、後側のクロスメンバ5の左右両端部を拘束し、前側のクロスメンバ5の左右両端部にそれぞれ車体上下方向の上向きと下向きに荷重(1kN)を付加し、クロスメンバ5の左右両端部の単位荷重当りの車体上下方向の変位量をねじり剛性として求め、比較例1を基準としたときの実施例のねじり剛性の向上率(ねじり剛性向上率)を評価した。
また図3(b)の「解析条件曲げ」では、後側のクロスメンバ5の左右両端部を拘束し、前側のクロスメンバ5の左右両端部にそれぞれ車体右方向の向きに荷重(1kN)を付加し、クロスメンバ5の左右両端部の車体左右方向の単位荷重当りの変位量を曲げ剛性として求め、比較例1を基準としたときの実施例の曲げ剛性の向上率(曲げ剛性向上率)を評価した。
この結果、実施例は、補剛部品11を設置していない図1のサブフレーム構造1である比較例1を基準として、ねじりの場合でねじり剛性向上率が4.8%、曲げの場合で曲げ剛性向上率が4.0%であり、ねじり剛性および曲げ剛性がそれぞれ向上することが判明した。
(解析調査例2)
解析調査例2では、上記実施形態のサブフレーム構造1の補剛部品11を構成する板面補剛部11a、断面補剛部11b、板面補剛部11aの湾曲稜線部7aの、ねじり剛性向上率および曲げ剛性向上率への寄与度を調査した。図4は、サブフレーム構造1のクロスメンバ5の一部、結合部7、およびサイドメンバ3の車体上下方向の上側部分を透視状態(図示せず)とし、実施例(発明例)および以下に示す比較例2~5の補剛部品を示したものである。
図4(a)に示す実施例(発明例)は、上記解析調査例1におけるものと同一である。図4(b)に示す比較例2は、図4(a)に示す実施例の補剛部品11のうち、断面補剛部11bを削除し、板面補剛部11aのみとしたものである。図4(c)に示す比較例3は、図4(a)に示す実施例の補剛部品11のうち、結合部7におけるL字状に湾曲した内側の湾曲稜線部7a(図1参照)の部分を削除したものである。図4(d)に示す比較例4は、図4(c)に示す比較例3の補剛部品のうち、板面補剛部11aにおける傾斜面11eおよび縦壁11dに相当する部分を削除したものである。図4(e)に示す比較例5は、図4(a)に示す実施例の補剛部品11のうち、板面補剛部11aを削除し、断面補剛部11bのみとしたものである。
図5(a)は、上記比較例1を基準とした実施例および比較例2~5のねじり剛性向上率(%)および曲げ剛性向上率(%)を示すものであり、また、図5(b)は、実施例を基準(100%)とした比較例2~5のねじり剛性向上率(%)、曲げ剛性向上率(%)を示すものである。
比較例2と比較例5との比較より、補剛部品11の板面補剛部11aは、断面補剛部11bのねじり剛性向上率の4.7倍、曲げ剛性向上率の1.9倍であり、板面補剛部11aの剛性向上への寄与度が高いことが判明した。また、実施例と比較例3~5との比較より、結合部7におけるL字状に湾曲した内側の湾曲稜線部7aを補剛することで、ねじり剛性を大きく向上できることが判明した。
以上、図示例に基づき説明したが、本発明は上述の図示例に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で適宜に変更できるものであり、例えば上記実施形態はクロスメンバ5の上板に添わせて補剛部品11を設置しているが、本発明のサブフレーム構造はクロスメンバ5の下板に添わせて補剛部品11を設置してもよい。
また、上記実施形態のサブフレーム構造は車体後部のサブフレームに適用してその剛性を向上させているが、本発明のサブフレーム構造は車体前部のサブフレームに適用してその剛性を向上させてもよい。
本発明の自動車用サブフレーム構造およびその補剛部品によれば、サブフレームの剛性を向上させることができ、それと同時に、変形を抑制することで、衝突性能、静的強度、疲労強度の向上も期待できる。また、従来のサブフレーム構造からの部品点数の増加が最小限に抑えられることで、車体重量の増加を最小限に抑えることができる。そして、従来の補剛方法のように多数の部品や新たな部品を追加する場合に比べてサブフレームへの補剛部品の接合箇所も少なくて済むため、生産性の向上が期待できる。
1 サブフレーム構造
3 サイドメンバ
3a 車体左右方向内側の稜線部
5 クロスメンバ
5a 車体前後方向後方側の稜線部
7 結合部
7a 湾曲稜線部
9 サスペンションアームの連結部
11 補剛部品
11a 板面補剛部
11b 断面補剛部
11c 天板
11d 縦壁
11e 傾斜面

Claims (4)

  1. 自動車の車体前後方向に延在する中空の部材からなり、サスペンションアームの連結部を有する左右一対のサイドメンバと、
    自動車の車体左右方向に延在する中空の部材からなり、前記左右一対のサイドメンバに対してそれらと交差する方向に結合する2本以上のクロスメンバと、
    を備える自動車用サブフレーム構造であって、
    前記クロスメンバの各々と前記サイドメンバの各々との結合部の近傍の該クロスメンバの内部に補剛部品が設置され、
    前記補剛部品は、前記クロスメンバの断面の全てまたは一部を塞ぐ断面補剛部と、前記クロスメンバの上板または下板の内面および左右壁板の少なくとも一方の内面に添う形状を持つ板面補剛部と、を有し、
    前記補剛部品の板面補剛部は、前記サイドメンバと前記クロスメンバとを結合する前記結合部におけるL字状に湾曲した内側の稜線部を補剛することを特徴とする自動車用サブフレーム構造。
  2. 前記サイドメンバの各々と、前記クロスメンバの何れか1本以上が、引張強度が590MPa級以上の高強度鋼板で形成されていることを特徴とする、請求項1記載の自動車用サブフレーム構造。
  3. 前記補剛部品は引張強度が270MPa級以上で440MPa級以下の鋼板で形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の自動車用サブフレーム構造。
  4. 自動車の車体前後方向に延在する中空の部材からなり、サスペンションアームの連結部を有する左右一対のサイドメンバと、
    自動車の車体左右方向に延在する中空の部材からなり、前記左右一対のサイドメンバに対してそれらと交差する方向に結合する2本以上のクロスメンバと、
    を備える自動車用サブフレーム構造に用いられる補剛部品であって、
    前記クロスメンバの各々と前記サイドメンバの各々との結合部の近傍の該クロスメンバの内部に設置され、
    前記クロスメンバの断面の全てまたは一部を塞ぐ断面補剛部と、前記クロスメンバの上板または下板の内面および左右壁板の少なくとも一方の内面に添う形状を持つ板面補剛部と、を有し、
    前記補剛部品の板面補剛部は、前記サイドメンバと前記クロスメンバとを結合する前記結合部におけるL字状に湾曲した内側の稜線部を補剛することを特徴とする、自動車用サブフレーム構造の補剛部品。
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JP2022108320A (ja) 2021-01-13 2022-07-26 トヨタ自動車株式会社 サスペンションメンバ

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